JPS6116028Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は工作機械用ワーク固定装置に関し、多
数のワークを規則的に且つ高精度に位置決め固定
できるようにして、ワーク交換の作業能率及び機
械の稼動率を高め、製品の寸法精度を改善するこ
とを目的とする。

マニシングセンタなどの高性能NC工作機械で
は、機械の稼動率を高める為に、ワーク固定装置
（ワーク交換用パレツト）を用いてワーク交換す
る。即ち、工作機械の一側のワーク交換テーブル
上でワーク固定装置に多数のワークを各々所定位
置・所定姿勢となるようにセツトして固定し、こ
の固定装置ごと機械のテーブル上へ移動させて正
確に位置決めして固定し、機械加工を行なう。

ここで、機械のテーブルに対するワーク固定装
置の相対位置及び固定装置に対する各ワークの縦
横・高さ方向の相対位置が製品の寸法精度に重大
な影響を及ぼすが、多数のワークを設計寸法通り
に固定装置に位置決めするには相当の困難を伴な
う。

従来装置では、ワーク固定装置の台盤上面のボ
ルト穴やＴ溝を利用して台盤上に１個若しくは複
数のワークを固定したり、またこれと同様に台盤
上に固定されたバイスにワークを固定していた。
この場合、設計寸法通りに各ワークを台盤に精度
良く固定する作業が複雑化し、多大の労力と工数
がかかるだけでなく、ワークの位置決め精度の誤
差を計測し、これを加味して機械加工させなけれ
ばならないので、機械の稼動率の低下を来し、尚
製品の寸法精度が不十分となる。

本考案は、上記諸欠点を解消する為、台盤上に
固定した基準受枠の側面のワーク受面をその長さ
方向に複数等分して単位ワーク受面とし、この各
単位ワーク受面の横一側の位置決め嵌合部に各ワ
ーク位置決め具を着脱自在に固定して、そのワー
ク位置決め面を単位ワーク受面外に突出させ、各
単位ワーク受面と該ワーク位置決め面とで、各ワ
ークの縦横方向位置を正確に決めることができる
ようにしたものである。

以下、本考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図〜第５図に示すように、工作機械Ｍの前
側に配置されたターンテーブルＴ上に、２面のワ
ーク固定装置Ｐを載置可能であり、そこでパレツ
ト状のワーク固定装置Ｐに多数のワークＷをセツ
トした後、工作機械Ｍのテーブル１上へ搬送して
所定位置に正確に位置決め後固定し、ワークＷの
機械加工を行なうようになつている。

このため、テーブル１上にはワーク固定装置Ｐ
の走行の為の２条の走行レール２が付設され、搬
入したワーク固定装置Ｐの台盤３の下面の位置決
め用嵌合穴（図示略）に立型油圧シリンダからな
る位置決め装置４の合栓４ａを嵌入させることに
より、台盤３を正確に位置決めする。

他方、立型油圧シリンダからなるクランプ装置
５のクランプ爪５ａは台盤３下面のクランプ用Ｔ
溝に遊嵌して、台盤３の前後方向走行を許し、台
盤３を上記位置決め装置４で位置決め後、クラン
プ爪５ａを引き下げることにより台盤３を引き下
げてその走行手段６を溝内に退入させ、支持条材
７上に支持固定する。

尚、上記走行手段６は第６図・第７図に示すよ
うに形成される。走行輪６ａは台盤３下面の矩形
溝に内装される型枠６ｂに付設され、この型枠６
ｂはバネ６ｃで下方へ付勢され、上記クランプ装
置５で台盤３をバネ力に抗して引き下げると、型
枠６ｂが退入し、走行輪６ａが下方へ突出しない
ようになる。

尚、台盤３の前後移動の際、その左右方向への
移動を規制するため、走行案内レール８を台盤の
下面のＴ溝の縦溝部に前後摺動自在に挿嵌して案
内する。

第３図・第５図・第８図に示すように、ワーク
固定装置Ｐの台盤３は鋼製厚盤からなり、その上
面中央部には基準受枠９が左右方向に向けて固定
され、この基準受枠９の前後には対称的にワーク
配置空間１１を隔てて各ワーク押枠１０が基準受
枠９に平行して対向する状態に付設される。

このワーク押枠１０は台盤３上面のＴ溝を介し
てボルト等で前後移動可能に固設され、必要に応
じてワーク配置空間１１の幅を調節できるように
なつている。

基準受枠９の前面及び後面にはワーク受面１３
が形成され、このワーク受面１３を左右方向に複
数等分して各単位ワーク受面１３ａに形成され
る。

この単位ワーク受面１３ａの中央部の稍上段部
に対向する位置でワーク押枠１０に油圧シリンダ
から成る各押締め手段１４が付設され、その出力
軸１５がワーク押枠１０の内側面より突出して各
単位ワーク受面１３ａに対向し、各出力軸１５端
にはクランプ具１６が球面接当を介して全方向揺
動自在に付設される。ここで、符号１６ａはクラ
ンプ具本体、符号１６ｂはワーク押え幅調整具で
ある。

各油圧シリンダの作動油室１７をワーク押枠１
０内に透設された油路１８で連通連結するととも
に、方向切換弁１９を介して油路１８に圧油を給
排して出力軸１５を各単位ワーク受面１３ａに対
して進出若しくは退入させるように構成する。

また、各単位ワーク受面１３ａに対して正確に
ワークＷを位置決めする為、各単位ワーク受面１
３ａの境界部で基準受枠９の上面に所定ピツチ隔
ててキー溝状の位置決め嵌合部２０を凹設し、こ
こに門形のワーク位置決め具２１を嵌合させる。

ワーク配置空間１１で台盤３上面に高さ調整具
２２を固設し、その上にワークＷを載置するとと
もに、各単位ワーク受面１３ａに接当させて各ワ
ク位置決め具２１で左右方向の位置を定め、回動
防止具２３を介在させて各クランプ具１６で軽く
押えた状態に押締め手段１４に低圧圧油を供給し
て仮締め後、１４高圧圧油を供給して本締めする
ようになつている。

ここで、ワークＷの浮上を防ぐ為に、押締め手
段１４の出力軸１５を僅かに先端下りに２゜〜４
゜程度傾斜させて、下向きの押え力を発生させ
る。

また、ゴム環から成る段性体２４を介してクラ
ンプ具１６を出力軸１５側へ付勢することによ
り、アンクランプ時にも球面接当部に隙間が生じ
ないようにして切粉の噛み込みを防ぐとともに、
クランプ具１６の姿勢を良好に保持するようにな
つている。

次に、上記のワーク位置決め具２１について詳
しく説明する。

このワーク位置決め具２１は台盤３に対する各
ワークＷの左右方向の位置を正しく設定する為の
ものである。即ち、第９図に示すように、各単位
ワーク受面１３ａの境界部で基準受枠９の上面に
前後方向向きにキー溝状の位置決め嵌合部２０が
凹設され、ここに門形のワーク位置決め具２１の
上部の挿嵌部２１ａが着脱自在に嵌合され、ボル
ト２１ｃで基準受枠９に固定される。このワーク
位置決め具２１の門形の両脚部の位置決め部２１
ｂがワーク受面１３外へ張り出し、その左側面か
らなるワーク位置決め面２１ｄは各単位ワーク受
面１３ａの右側端でワーク受面１３に直交する鉛
直面に位置する。

そして、各ワークＷの内側面を各単位ワーク受
面１３ａに接当させるとともに、各ワークＷの右
側面の縁部を各ワーク位置決め面２１ｄに接当さ
せることにより、各ワークＷを台盤３に正確に位
置決めすることができる。

また、第１０図に示すように、細長のワークＷ
を固定する場合には、適宜ワーク位置決め具２１
を取外し、複数の単位ワーク受面１３ａにワーク
Ｗを受け止めさせる。

尚、ワーク位置決め具２１は上記の如く門形の
構造に限らず、種々の構造のものを用いることが
できる。また、位置決め嵌合部２０は上記のもの
に限らず、要するにワーク位置決め具２１を正確
に位置決めして固定できるものであればよい。

上記実施例の一部を次のように変形することが
出来る。

(イ) 第１１図・第１２図に示すように、ワーク位
置決め装置を調整する為に、前記門形のワーク
位置決め具２１の脚部のワーク位置決め面２１
ｄに調整具２１Ａをネジ（図示略）で着脱自在
に付設するか若しくは一体的に形成してワーク
位置決め具２１とする。

(ロ) 第１３図に示すように、位置決め嵌合部２０
をワーク受面１３に縦溝状に凹設する。

(ハ) 第１４図に示すように、基準受枠９に水平に
透設した上下２本の角孔を位置決め嵌合部２０
とし、ここにワーク位置決め具２１を挿通させ
て固定する。

(ニ) 第１５図に示すように、押締め手段１４を形
成する。

即ち、油圧シリンダのピストン５０に出力軸１
５を螺合し、皿バネ５１の弾撥力で出力軸１５を
押締め駆動させるとともに、油室５２に圧入され
る圧油でピストン５０を介して出力軸１５を退入
駆動するように形成する。ワークＷを締付ける場
合、所定の圧油で皿バネ５１を弾圧後、操作具５
３を回して出力軸１５を螺進させ、クランプ具１
６をワークＷに接当させてから、圧油を抜くこと
により皿バネ５１の所定の力でワークＷを締め付
けることが出来る。こうして、押締め力を適宜設
定できるようになつている。

本考案は、上記のように構成されるので、次の
効果を奏する。

基準受枠の各単位ワーク受面とその一側でこの
ワーク受面から突出する各ワーク位置決め面とに
各ワークを接当させることにより、各ワークの縦
横方向の位置を正確かつ規則的に位置決めして固
定することができる。

従つて、NC工作機械ではNCテーププログラミ
ングなどの作業が大幅に軽減されるだけでなく、
ワーク固定装置へ多数のワークを簡単に速やかに
セツトできるようになる。しかし、ワーク位置精
度も十分に高く出し得るため、ワークの位置決め
誤差修正も要しないので、工作機械の稼動率を改
善することが出来る。また、ワーク位置決め具を
着脱できるので、これを適宜取外すことにより大
形のワークをも位置決めできる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図・第２図
は各々工作機械とターンテーブルの側面図と平面
図、第３図は平面図、第４図は正面図、第５図は
側面図、第６図・第７図は各々走行手段の車輪部
とバネ部の縦断正面図、第８図は要部部分拡大縦
断側面図、第９図は第３図Ａ部部分斜視図、第１
０図・第１１図は各々変形例の第３図Ｂ部相当
図、第１２図は第１１図の変形例に係るワーク位
置決め具の拡大斜視図、第１３図・第１４図は
各々別変形例の第９図相当図、第１５図は他の変
形例の第８図Ｃ部相当図である。 ３…台盤，９…基準受枠，１０…ワーク押枠，
１１…ワーク配置空間，１３…ワーク受面，１３
ａ…単位ワーク受面，１４…押締め手段，１５…
出力軸，１６…クランプ具，２０…位置決め嵌合
部，２１…ワーク位置決め具，２１ａ…挿嵌部，
２１ｄ…ワーク位置決め面，２１Ａ…調整具。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 台盤３の上面上に基準受枠９とワーク押枠１
   ０とをワーク配置空間１１を空けて対向状に固
   設し、基準受枠９のワーク押枠１０に対向する
   ワーク受面１３を長さ方向に複数等分してそれ
   ぞれ各単位ワーク受面１３ａを形成し、各単位
   ワーク受面１３ａに対応する押締め手段１４を
   ワーク押枠１０に設け、各押締め手段１４の出
   力軸１５端に設けたクランプ具１６を各単位ワ
   ーク受面１３ａに対向させ、各クランプ具１６
   を各押締め手段１４で各単位ワーク受面１３ａ
   に向けて押圧駆動可能に構成し、各単位ワーク
   受面１３ａの横一側位置で基準受枠９に位置決
   め嵌合部２０を形成し、各位置決め嵌合部２０
   に各ワーク位置決め具２１の挿嵌部２１ａを着
   脱自在に固定するとともに、各ワーク位置決め
   具２１のワーク位置決め面２１ｄを各単位ワー
   ク受面１３ａの面外へ突出させた事を特徴とす
   る工作機械用ワーク固定装置。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載した工
   作機械用ワーク固定装置において、門形のワー
   ク位置決め具２１に調整具２１Ａを着脱可能に
   付設したもの。