JPS6114248B2 - - Google Patents

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JPS6114248B2
JPS6114248B2 JP52038401A JP3840177A JPS6114248B2 JP S6114248 B2 JPS6114248 B2 JP S6114248B2 JP 52038401 A JP52038401 A JP 52038401A JP 3840177 A JP3840177 A JP 3840177A JP S6114248 B2 JPS6114248 B2 JP S6114248B2
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JP
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fibers
fiber
stretching
acrylonitrile
hot water
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JP52038401A
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Yoshikatsu Imai
Takeji Ootani
Hiroaki Yoneyama
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は優れた性能を有する炭素繊維を製造す
る方法に関するものであり、更に詳しくはアクリ
ロニトリル系繊維束を原料として高強力・高弾性
の炭素繊維を迅速かつ能率的に製造するための原
繊維の工業的な製造方法に関するものである。 アクリロニトリル系繊維が高強力・高弾性の炭
素繊維用原料として有用であることが見出されて
以来、炭素繊維の製造法に関する多くの提案がな
されている。特に炭素繊維を複合材料の補強材と
して使用する場合には、単繊維としてのみならず
繊維束としても高度の引張り強さを有しており、
しかもその性能が安定に得られることが望まれて
いる。 このような要請を満足する炭素繊維をより経済
的に達成するためには、原料アクリロニトリル系
繊維から目的とする炭素繊維に転換する焼成過程
において、即ち原料繊維を酸素含有気流中におい
て200〜300℃の温度領域で処理する予備酸化工程
及び予備酸化工程で処理された黒化繊維(又は酸
化繊維と称する)を不活性気流中で約2500℃まで
の温度で処理する炭素化工程において、最も適切
な操作で迅速に操作することが肝要であると同時
に、目標とする炭素繊維性能をより高度に達成し
うる原料繊維を見出すことが必要である。 本発明者らは、AN系繊維を原料として迅速か
つ能率的に高性能の炭素繊維束を製造する方法に
関し一連の検討をすすめた結果、前記した熱処理
段階のうち、第1段階の予備酸化工程がきわめて
重要であることを認識すると共に、より高品質の
炭素繊維を与えるべくより迅速な焼成を可能にす
るには原料繊維の特性が大きく寄与することを知
つた。 該予備酸化工程は、アクリロニトリル系繊維を
構成する分子の環化反応及び架橋反応を進行させ
分子間結合を強固にし、次の炭素化反応に移行し
易い耐炎性の分子構造に変成する役割を有してい
る。従来、予備酸化工程においては原料繊維を空
気中200〜300℃の温度で張力を与え伸縮しながら
あるいは適度に制限収縮させながら加熱処理する
ことによりなされているが、上記した反応を十分
進行させ、かつ安定に行なわしめるにはかなりの
長時間を要し炭素繊維の高価格をもたらす大きな
要因となつている。 予備酸化での反応速度はその処理温度に強く影
響され、予備酸化時間をできるだけ短縮し迅速に
焼成するにはより高い温度での焼成技術をつくる
ことが望まれる。本発明者らの検討によれば予備
酸化を空気気流中220℃で行なつた場合約5〜6
時間の処理を必要とするが、これを240℃で行な
つた場合1.5〜3時間にまで短縮できる。 一方、より高温を付与して焼成時間を短縮する
方法には工業上重大な欠陥が潜んでおり安易にそ
れが達成できるものでないことが判つた。 第1の欠点は、焼成中に単繊維相互が著しく合
着又は融着する傾向を示し、原料繊維の種類、と
りわけポリマーの組成によつても若干異なるが、
通常のアクリロニトリル系繊維ではほとんどの場
合遭遇することを認めた。この合着又は融着現象
−即ち、フユージング(Fusing)現象−が発生
する場合、引き続き炭素化して得られる炭素繊維
の強度の低下が極めて大きく、かつその性能変動
も大きくなり、複合材料の補強用繊維集合体とし
ての利用価値が著しく低下する。又極端な場合に
は炭素化工程で繊維束が膠着して破断し、炭素繊
維そのものも得られない場合がしばしば起る。 次に、より高温での予備酸化焼成を適用する際
の第2の問題点は、張力コントロールが極めて難
かしくなる点にある。これまでの検討によれば炭
素繊維の強度もしくは弾性率を規制する重要な因
子は、予備酸化時の張力(又は荷重)の付与にあ
り、より高度に配向させたアクリロニトリル系繊
維を用いて、温度条件もしくは予備酸化反応の進
行に合わせて適度に張力を付与しつつ、原料繊維
の配向を大巾に低下させることなく焼成すること
が基本的に重要である。 この際より高温の条件を適用すると、反応の進
行に合わせた張力制御が複雑になりかつ繊維集合
体では単繊維間の反応斑又は張力斑の発生傾向が
大きくなる結果、最終的に炭素繊維の品質の変動
が大きくなる。又高温の予備酸化炉に導かれた、
前記した予備酸化反応の十分に進行していない初
期の過程で、繊維は極めて伸び易いため、微少な
張力でも繊維の変形が比較的大きくなり繊維性能
の斑の誘因となる。 本発明者等は、高品質の炭素繊維を経済的に製
造する方法に関し、特に律速となる予備酸化処理
に着目し、より高温で迅速に焼成を行なうべく、
上記した欠陥、即ちフユージング現象による性能
低下と張力コントロールの困難性を克服すべく鋭
意検討した結果、原料繊維たるアクリロニトリル
系繊維の性能改良によつて有効に目的を達成する
ことを見出し本発明に到達した。 以下本発明を更に詳細に説明する。 本発明は少くとも90重量%のアクリロニトリル
を含有するアクリロニトリル系重合体を有機溶剤
で湿式紡糸し、洗浄したのちあるいは洗浄と同時
に熱水中下記に示す実効延伸比0.4〜0.8の範囲で
予備延伸し、引き続き乾燥することなくゲージ圧
力0.5〜5Kg/cm2−Gの加圧スチーム(飽和水蒸
気)中で延伸后乾燥緻密化することによつて得ら
れた配向度が82〜92%であり、粗面化した表層面
を有するAN系繊維を焼成することを特徴とる炭
素繊維の製造法を提供する。 記:実効延伸比 =適用予備延伸倍率/繊維が延伸により破断に至る最高
延伸倍率 出発原料となるアクリロニトリル系重合体とし
ては少くともアクリロニトリルを90重量%含有す
ることが必要であり、アクリロニトリル以外の成
分が10重量%を越えた重合体よりなる繊維は高温
での繊維の粘弾性的性質が低下し、本発明の方法
を適用してもフユージングする傾向が顕著になり
好ましくない。 アクリロニトリル以外の共重合成分としては通
常のアクリロニトリルとの共重合可能な単量体な
らいずれも用いることが可能で、目的によつて1
種又は2種以上含有しても差支えなく、具体的に
は、アクリル酸、メタクリン酸、イタコン酸及び
これらの誘導体、アクリルアミド、メタクリルア
ミド等のアミド化合物及びその誘導体、酢酸ビニ
ル、スチレン、塩化ビニリデン等のハロゲン化単
量体、メタリルスルホン酸ソーダやスチレンスル
ホン酸ソーダの如きスルホン酸誘導体等が挙げら
れるが必ずしもこれらに限定されるものではな
い。 本発明の要素は、第1にフユージング現象を抑
制すべく原繊維の製造過程で繊維の側表面形状を
できるだけ粗にするような手法を適用することに
あり、そのためには紡糸した糸条を特定条件下に
熱水中で延伸し、更に加圧スチーム中で延伸する
ことが必要である。 予備酸化時の単繊維相互のフユージング現象に
ついて詳細な検討を行なつたところ、フユージン
グの現象は上記した反応の未だ十分に進行してい
ない初期過程で生起し、一旦そこで合着が生ずる
と反応の進行と共にその度合を増し、分繊性不良
な柔軟性の乏しい繊維束又はロツド状へと移行す
ることが明らかになつた。すなわちフユージング
の根本の原因はいわばAN系繊維相互の繊維基質
の粘弾性的性質が関係する融着にあると考えられ
る。 一方、フユージングは繊維のもつ側表面形状に
強く依存し、表面が粗な繊維は平滑な繊維に比し
著しく耐フユージング性に優れている。 この現象を添附図面によつて説明する。第1図
は繊維側表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率3000
倍)である。第1図中の写真1は特定の条件下で
湿式紡糸し熱水延伸することによつて得た平滑な
表面形状を有するアクリロニトリル系繊維であ
り、このような繊維はこの予備酸化時フユージン
グの傾向が極めて大きい典型的なものであり、こ
のような繊維は炭素繊維製造用原料として用いる
ことは好ましくない。写真2は通常の湿式紡糸条
件で得た未延伸糸に低倍率の熱水延伸を適用した
場合に得られるやや粗な表面を有するアクリロニ
トリル系繊維で、この場合も予備酸化条件によつ
ては部分的にフユージングを起こすことがある。 写真3は本発明で用いるアクリロニトリル系繊
維であり、その表面は粗な形状を有しており、そ
の焼成工程に於て上述した如き不都合を生ずるこ
とがない。 本発明の第2の要素は焼成前の原料繊維の配向
度を特定の範囲に規定することにある。即ち必要
な限り高度に配向せしめこれによつて迅速な焼成
条件を適用する際の張力負荷による繊維の伸縮変
動を小さくすることを目的とする。第2図は、繊
維のX線配向度が86.5%の繊維Fと比較のために
X線配向度が80.1%の繊維Eの240℃における予
備酸化初期過程での張力に対する伸縮特性を示し
たものである。この場合の張力は最初に付与した
荷重で表示したものであり本発明で用いる炭素繊
維製造用原料繊維である繊維Fは張力に対する伸
度変動率が小さいことが明白であり、それ故その
焼成操作性が極めて良好である。 本発明の第3の要素は、上述した如き特性をも
つアクリロニトリル系繊維を製造するに際し、少
くとも90重量%のアクリロニトリルを含むアクリ
ロニトリル系重合体を通常の方法で紡糸し、つい
で特定条件下の熱水延伸と加圧スチーム延伸を組
み合わせた2段延伸法を採用することにある。か
くすることによつて安定にしかも高生産速度で目
的の原繊維を製造する方法にある。 従来の熱水延伸法では本発明で用いる繊維の如
き高配向度の繊維を得ることは不可能なのである
が、本発明に於ては熱水予備延伸と加圧スチーム
延伸とを採用し、その優れた延伸性を利用して極
めて高倍率延伸を行なうことに成功し原繊維の配
向を上げかつ延伸速度、すなわち繊維の生産速度
をかせぐことを可能にしたのである。 本発明で用いるアクリロニトリル系繊維は通常
の紡糸を形成することができるが、特に粗な表面
を有する繊維を作るには湿式紡糸法を採用するの
が好ましい。かくすることによつて形成された糸
条は引き続き熱水中で脱溶剤した後、あるいは脱
溶剤しながら実効延伸比0.4〜0.8なる範囲で予備
延伸する。アクリロニトリル系繊維は紡糸により
形成された糸条中のフイブリル組織は後の延伸過
程でフイブリル凝集単位が細分化され、配向し、
再配列されてゆくことによつてその表面が粗面化
してゆくのであるが、この粗面化を十分に行なう
には紡糸によつて形成した糸条を通常のPH値(即
ちほぼ中性)を有する熱水中で予備延伸すること
が最も効果的であるが、この際の実効延伸比が
0.4以下ではフイブリル凝集単位の細分化、再配
列を十分に行うことが難しく十分に表面が粗面化
した繊維を得ることができなくなる。一方、この
実効延伸比が0.8を越えると繊維が破断現象を呈
するようになり、部分的に毛羽の発生が認められ
るようになり、この繊維の焼成工程でのトラブル
が発生し易くなる。参考のために実効延伸比が
0.8を越えて熱水延伸して得た繊維側表面形状の
電子顕微鏡写真を第1図中の写真4に示したが、
その表面は極めて粗な形態をとつており、一部に
毛羽の発生が認められる。 次いで、予備延伸した糸条は、好ましくは残存
溶剤が重合体重量に対して2%以下の状態でゲー
ジ圧力0.5〜5Kg/cm2−Gの加圧スチーム中で延
伸する。一旦比較的高倍率の熱水延伸を受けた糸
条もこの加圧スチーム中の延伸によつて更に安定
に二次延伸することが可能で、例えば熱水中の延
伸で破断に至る最高延伸倍率が10倍の繊維を、実
際に5倍(実効延伸比0.5)の予備延伸をしつい
で乾燥することなく2.5Kg/cm2−Gの加圧スチー
ム中で延伸すると安定に更に3倍の延伸倍率での
延伸、即ち、全延伸倍率15倍の延伸が工業的に採
用でき、繊維の配向を一層高めることができると
共に、その延伸倍率増加に伴なつて繊維生産性向
上に寄与することとなる。スチーム圧力が0.5
Kg/cm2−Gよりも低いと繊維の延伸性が低下し目
的とする表面形状と配向度とを有する繊維を得る
ことは難しく、一方スチーム圧力が5Kg/cm2−G
を越えて大きい場合には延伸しようとする繊維に
フロー現象が生じると共に単繊維相互間で融着が
生じ、その延伸性が著るしく低下すると共に目的
とする繊維を作ることができなくなる。この加圧
スチーム延伸に際しては加圧スチーム延伸前に繊
維を乾燥しないこと、並びに繊維中に残つている
溶剤量を極力少なくしてやることが加圧スチーム
延伸時に於ける単繊維相互間の融着防止の点から
好ましい。 なお、本発明の熱水中の予備延伸を省略して加
圧スチーム1段延伸を適用しても、熱水延伸に比
べて無理なくより高倍率延伸が可能であるが、得
られる繊維の側表面形状は極めて平滑となり、焼
成時のフユージング現象を防止するという観点か
らは好ましくない方法である。 加圧スチーム延伸された糸条は連続的に通常の
乾燥・緻密化あるいは適度の緩和処理を受け原料
繊維とする。 得られた原料繊維は最終的に配向度82〜92%を
有するべく、延伸及び乾燥緻密化又は緩和処理が
設定される。ここに云う配向度とは、AN系繊維
のX線回折図形において、散乱角16〜17度で赤道
線上に極大強度をもつ結晶性反射に着目し、方位
角方向の回折強度分布を測定して求められる半価
巾Hから次式によつて計算される値である。 配向度(%)=180−H/180×100 配向度が82%より小さい場合、前記したように
予備酸化時の伸縮挙動が好ましくない。いいかえ
れば荷重に対する伸縮率の変化が大きい。又、配
向度が82%以上の原料繊維を焼成することによつ
て得た炭素繊維はその機械的強度も優れている。
一方配向度が92%を越えた原料繊維を焼成して得
られた繊維はその特性が低下する傾向が大きくな
る。その原因は詳細に分らないが、延伸操作で高
度に配向せしめる際、前記したように実効延伸比
が0.8付近から毛羽の発生等の欠陥が生じ、これ
が最終的に炭素繊維の性能に反映するのであろう
と考えられる。 従つて乾燥及び緻密化処理を行なつた原料繊維
の配向は82〜92%の範囲とすることが必要であ
る。ここで乾燥・緻密化処理は重要で、高性能の
炭素繊維を得るには必須条件となる。そのために
いかなる方法も用いることができ、例えば表面温
度120〜180℃のロール乾燥処理法を採用すること
ができるがここでも融着対策上できるだけ温和な
条件が望ましい。 乾燥緻密化された繊維は更に適度の収縮を許し
た緩和処理を施しても良い。得られた原料繊維
は、前記した通常の予備酸化及び炭素化処理がな
され最終的に炭素繊維となる。又更に高温処理を
施して黒鉛繊維を製造しうる。但しこの一連の焼
成工程のうち、特に予備酸化工程では従来採用し
難かつたより高温の熱処理条件を用い迅速な処理
を行なうこともできる。 以上のように本発明は、高性能の炭素繊維又は
その集合体繊維束を経済的に製造するための原繊
維たるアクリロニトリル系繊維の設計およびその
合理的な製造法に関するものであり、本発明の適
用によつて、従来ネツクとなつていた予備酸化の
大巾な迅速処理が可能となり、しかも高性能炭素
繊維が経済的に得られるようになつた。その工業
的価値はまことに大きいものがある。 以下実施例により本発明を更に詳しく説明す
る。 実施例 1 組成がアクリロニトリル94重量%、アクリル酸
メチル5重量%及びメタクリル酸1.0重量%で、
その比粘度(0.1gの重合体を0.1Nのロダンソーダ
を含むジメチルホルムアミド100mlに溶解し25℃
で測定)0.195の共重合体20部を、あらかじめ0
℃の温度に冷却したジメチルホルムアミド(以下
DMACと称する)80部中に均一に分散させた後
80℃の温度に加熱して溶解した後、過し、脱泡
して紡糸用原液を調製した。 この紡糸原液を孔数2000個、孔径0.065mmφの
紡糸口金を通してDMAC70%及び水30%の組成
からなる温度40℃の凝固浴中に湿式紡糸した。引
き取り速度は5m/分であつた。引き続き98℃の
熱水中で洗浄しながら予備延伸を施した。この際
の破断に至る最高延伸倍率(以下MDRと称す
る)は12.1倍であつた。 適用延伸倍率を(1)3.6(2)4.8(3)6.0(4)7.3の4種変
更して4種の繊維を作り、ついで更に熱水中で洗
浄して糸条中の残存溶剤量を約0.5重量%に低下
せしめたのち、連続的に両端にラビリンスシール
を有するチヤンハー内圧力2.0Kg/cm2Gの加圧ス
チーム中で、全延伸倍率15倍となるようにそれぞ
れ延伸を行なつた。 延伸速度は75m/分であつた。ついで表面温度
135℃のロール上で糸条を乾燥し、常圧スチーム
中で収縮率2%の緩和処理を施し、AN系繊維、
即ち原料繊維とした。得られた原料繊維の性状を
第1表に示す。
【表】 第1表から明らかなように、原繊維はいずれも
良く似た性能を有するが、繊維側表面形状におい
てその差が明らかであつた。実効延伸比が低い熱
水延伸の場合にその平滑性が高い。 この表面形状について加圧スチーム延伸前の熱
水延伸糸を風乾してしらべた結果全く同様の傾向
にあり、繊維の側表面形状はほぼ熱水延伸で決ま
り、加圧スチーム延伸はほとんど寄与していない
ことが分つた。 又、前記したMDR12.1倍に対し、実効延伸比
0.85、すなわち延伸倍率10.3倍を越える延伸を適
用した場合、延伸ロール上に毛羽発生による糸条
のまきつきが頻発し安定な操業が不可能であつ
た。 次に第1表に示す4種の原繊維を240℃の温度
に加熱した空気雰囲気中を、120mg/dの張力下
で170分間の予備酸化処理を行なつた。この際得
られる酸化繊維の密度(トルエン−四塩化炭素密
度勾配管法により30℃の温度で測定、以下同様)
は1.38であつた。 次いで320℃の温度の窒素ガス雰囲気に7分間
滞在させた後、350〜1000℃の温度勾配を有する
窒素ガス雰囲気中を4分間で通過させて炭素化を
行なつた。更に1200℃及び1500℃の温度の窒素ガ
ス雰囲気中をそれぞれ0.5分間で通過させて熱処
理を行なつて炭素繊維を製造した。予備酸化繊維
の状態及び得られた炭素繊維の性能を第2表に示
した。 なお、炭素繊維の引張り試験はテンシロン
UTM−3型を用いて、試長25mm、引張り速度20
%/分、測定雰囲気20℃65%RHで行なつた。測
定本数は25本である。
【表】 第2表から明らかに本発明の延伸法を適用する
ことによつて高性能炭素繊維束が得られることが
分る。 次に、同じ原繊維を用いて100mg/dの張力を
付与しつつ、予備酸化温度を20℃上げて260℃と
する焼成を行なつた。酸化繊維の到達密度1.38に
必要な処理時間はいずれもほぼ一致し約85分であ
つた。ついで上記した方法と同様に炭素化処理を
行ない第3表に示すような結果を得た。
【表】 第3表から、原繊維A(比較例)は予備酸化時
繊維束が膠着し好ましい炭素繊維が得られなかつ
た。一方、本発明の原繊維から得られる炭素繊維
は240℃の予備酸化の場合とほぼ同様の高品質の
炭素繊維が得られた。但し予備延伸における実効
延伸比が0.4の原繊維Bはややフユージング傾向
がみられ、炭素繊維性能も相対的に低かつた。 本実施例により、予備酸化処理をできる限り迅
速に行なう場合、本発明の原繊維はその効果を十
分に発揮することが判る。 実施例 2 紡糸原液の吐出量を実施例1の26.7%と変更す
る以外は実施例1と同様に湿式紡糸を行ない、98
℃の熱水中で洗浄と同時に8倍の延伸を施し(実
効延伸比0.75)、ついで残存溶剤量0.35%の予備
延伸糸を表面温度135℃で乾燥・緻密化后、沸水
中で2%の収縮処理を行なつて原繊維Eとした
(比較例)。 一方、その3倍量の吐出量の条件で同様に紡糸
し、ついで熱水中で7.5倍の延伸を施した。この
際のMDRは14.8倍であり、従つて適用延伸倍率
は実効延伸比で0.51となる。 残存溶剤量0.35%の状態で2.2Kg/cm2−Gの加
圧スチーム中で2.4倍の延伸倍率を適用し(全延
伸倍18倍)、引き続き同様の乾燥及び緩和処理を
行なつて原繊維Fとした(本発明)。 原繊維E(比較例)を製造する際、延伸ロール
上に若干の毛羽の発生と糸条のまきつきトラブル
が間断なく起りやや不安定な操業となつた。 即ち原繊維Eは工業的に熱水延伸の限界に近い
高倍率延伸を適用している。原繊維の性能と第4
表に示した。
【表】 第4表にみるように熱水延伸1段(原繊維E)
では本発明の配向度を達成することが困難であつ
た。 次に原繊維EおよびFに、110mg/dの荷重を
付与し、230℃で60分、ついで250℃で60分予備酸
化処理し、酸化繊維の到達密度を1.37とした。つ
いで実施例1と同様の方法で炭素化処理を行ない
炭素繊維とした。その結果を第5表に示す。
【表】 明らかに本発明の原繊維Fから出発する炭素繊
維の特性は極めて優れている。又この繊維Fを熱
水延伸のみの場合(原繊維E)に比べて3倍の生
産速度でより安定に製造し得ることは工業的にそ
の意義は大きい。 なお比較のために原繊維Fを作る場合と同様の
方法で紡糸した予備延伸したのち、まず一旦表面
温度135℃のロール上で乾燥・緻密化後、同様の
加圧スチーム延伸を施し、ついで2%の熱水緩和
を行なつた後105℃のロール上で乾燥処理して得
た原繊維を同様に焼成したところ予備酸化時にか
なりフユージング傾向が認められ、その炭素繊維
性能は、強度228Kg/mm2、強度変動率18.4%と、
本発明の原料繊維に比べその性能低下が顕著であ
つた。なお、繊維FとEとを240℃における予備
酸化初期過程での張力に対する伸縮特性を測定し
た結果を第3図に示したが本発明で用いる原料繊
維は初期酸化工程における伸度変動率が極めて小
さく、その焼成作業性が良好であることが判断さ
れる。 実施例 3 原液の吐出量を変更する以外は実施例1の方法
で紡糸し、洗浄した後延伸倍率6倍の熱水延伸を
施し、ついで2.0Kg/cm2−Gの加圧スチーム中
で、延伸倍率を変更することによつて配向度の異
なる延伸糸を得、ついでそれぞれ連続的に125℃
の表面温度を有するロールで乾燥緻密化処理を施
しいずれも単繊維繊度1.5デニールの原繊維を製
造した。結果を第6表に示す。
【表】 第6表に示すそれぞれの原繊維に対して、140
mg/dの荷重を付与して240℃で160分の予備酸化
処理を施し、ついで実施例1と同様の方法で炭素
化処理を行なつたところ第7表に示す結果を得
た。
【表】 第6表および第7表から、原繊維の配向度が最
終的に炭素繊維性能に影響することが明らかで、
配向度の大なる程、弾性率は良好な値を与える
が、強度およびその変動率に関しては、配向度を
適当な範囲に設定する必要のあることが判る。特
に配向が本発明の範囲を越える93.6%の繊維Iか
ら得られる炭素繊維の強度低下および変動率の増
大は顕著である。 実施例 4 実施例3の本発明の原繊維Hを製造する条件と
同様に紡糸・延伸した後、ロール乾燥温度を変更
して第8表に示す如き原繊維を得た。ロール乾燥
温度常温の場合(原繊維J)は風乾に相当し、
105℃の場合は(原繊維K)水分を除去したのみ
で、両者とも十分な緻密化処理をしていない場合
である。
【表】 第8表から、ロール乾燥温度もしくは緻密化処
理の有無は原繊維の性質にはあまり影響を及ぼさ
ないことが判る。 次に各原繊維を実施例3と全く同様に焼成して
炭素繊維を得た。結果を第9表に示したが、炭素
繊維性能に対して原繊維の乾燥緻密処理の程度が
強く反映されることが認められ、原繊維製造過程
での緻密化処理は本発明の必須条件となる。
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図は繊維側表面の走査型電子顕微鏡写真で
ある。倍率は3000倍。写真1は表面の平滑なAN
系繊維、写真2は湿式紡糸后低倍率の熱水延伸を
適用したその表面がやや粗なAN系繊維、写真3
は粗な表面形状を有する本発明のAN系繊維、写
真4は非常に高倍率(実効延伸比が0.8を越え
る)の熱水延伸を適用した粗な表面形状を有する
AN系繊維である。 第2図は、240℃で予備酸化した際、予備酸化
開始后20分時の初荷重に対する繊維の伸縮率を示
しており、繊維Fは本発明の配向度86.5%の繊維
であり、繊維Eは配向度80.1%の比較用繊維であ
る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 少なくとも90重量%にアクリロニトリルを含
    有するアクリロニトリル系重合体を有機溶剤で湿
    式紡糸し、洗浄したのちあるいは洗浄と同時に熱
    水中で下記に示す実効延伸比0.4〜0.8の範囲で予
    備延伸し、引き続き乾燥することなくゲージ圧力
    0.5〜5Kg/cm2−Gの加圧スチーム(飽和水蒸
    気)中だ延伸後、乾燥緻密化処理を行うことによ
    つて得られた配向度85〜95%であり、粗面化し表
    層面を有するアクリロニトリル系繊維を焼成する
    ことを特徴とする炭素繊維の製造法。 記:実効延伸比 =適用予備延伸倍率/繊維が延伸により破断に至る最高
    延伸倍率
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