JPS6346173B2 - - Google Patents

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JPS6346173B2
JPS6346173B2 JP61236548A JP23654886A JPS6346173B2 JP S6346173 B2 JPS6346173 B2 JP S6346173B2 JP 61236548 A JP61236548 A JP 61236548A JP 23654886 A JP23654886 A JP 23654886A JP S6346173 B2 JPS6346173 B2 JP S6346173B2
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Japan
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fiber
fiber bundle
hot
elongation
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JP61236548A
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Isamu Kohama
Yoshihisa Yamamoto
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Japan Exlan Co Ltd
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Japan Exlan Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は新規な物性を具備する炭素繊維(以下
黒鉛繊維も含む)に関するものであり、さらに詳
しくは、優れた単繊維強度を有すると共に、無成
形の炭素繊維束が新規な強伸度特性を示す炭素繊
維を提供するものである。 アクリル系繊維を、酸化性雰囲気中にて、200
〜400℃に加熱して環化せしめ、ついで非酸化性
雰囲気中にて高温(普通800℃以上)焼成するこ
とによつて、補強材料、発熱体、耐熱材として優
れた炭素繊維が得られることは周知の事実であ
る。 しかしながら、アクリル系繊維を先ず酸化性雰
囲気中にて加熱処理し、かかる繊維構造中にナフ
チリジン環の環化構造を形成せしめる工程、所謂
耐炎化工程は、最終生成物たる炭素繊維の物性を
左右する極めて重要な工程であり、従来よりかか
る工程には長時間の加熱処理操作が必要とされて
おり、そこに炭素繊維の低生産性の原因があつた
のである。 しかして、炭素繊維の生産性を高めるために高
温耐炎化条件あるいは急昇温操作を採用する場合
があるが、かかる場合においては、繊維の発熱転
移点付近の温度にて分子間架橋や分子内環化等の
急激な反応が起こり、これに伴つて局部的な蓄熱
が惹起され、そこにピツチ・タール状物質を生じ
る等の不均一な反応を惹起し、そのため繊維同士
が融着(マクロ融着)したり、また機械的強度の
低下等の炭素繊維の物性に著しい悪影響をもたら
していた。 そこで、従来よりかかる環化反応を促進し、以
て短時間にて耐炎化繊維を得るために種々なる方
法が提案されているが、いずれも繊維形成重合体
に特殊な共単量体成分を共重合せしめたり、特殊
な薬品処理手段を採用したりまたは複雑な耐炎化
工程を採用する方法であつて、必ずしも炭素繊維
の経済性、工業的生産性の向上に寄与するもので
はなかつた。また上記手段では繊維同士がマクロ
融着する不都合はある程度解消され得るが、ミク
ロ融着現象は未だ残存しているのである。かかる
炭素繊維の二本乃至数十本がきわめて微細なオー
ダーで融着するミクロ融着現象が残存すると、炭
素繊維から炭素繊維樹脂複合材料(いわゆるコン
ボジツト)を製造する(例えばフイラメントワイ
ンデイングの如く該炭素繊維に高い張力を掛けつ
つ樹脂を含浸させて成形する)場合、“スツポ抜
け”現象なるトラブルが派生され、著しく成形加
工性を低減するのみならず、商品価値に富んだ複
合材料、つまり性能(強度水準、物性変動等)に
秀でた炭素製品が提供されるに至つていないのが
現状である。 ここにおいて、本発明者等は上記欠陥を克服
し、繊維間のミクロ融着現象を惹起しない炭素繊
維を工業的有利に提供すべく鋭意研究した結果、
無成形(無処理)の状態の炭素繊維束を測定して
得られる荷重伸張率曲線に着目し、ミクロ融着挙
動と該荷重伸張率曲線による物性挙動との相互関
係を見出し、さらにこの関係が強化複合材料の性
能(例えば引張強度等)に密接な関連を有するこ
とを見出して本発明に到達した。 すなわち、本発明の主要なる目的は新規な物性
を有する炭素繊維を提供することにある。 本発明の目的は、物性変動の少ない炭素繊維強
化複合材料を与え、しかも該複合材料の性能を向
上し得る炭素繊維を提供することにある。 さらに本発明の他の目的は、以下に記載する本
発明の具体的な説明より明らかとなろう。 かくの如き本発明の上記目的は、単繊維強度が
300Kg/mm2以上であり、無成形(無処理)の状態で
の炭素繊維束を測定して得られる荷重伸張率曲線
において、束強度が50Kg/mm2以上で、かつ最大荷
重ピークが伸度0.7%以上の領域に位置し、しか
も伸度0.5%以下の領域には上記繊維束を構成す
る各繊維間相互作用に基づく荷重極大ピークまた
はシヨルダー形状ピークが現われない炭素繊維を
使用することにより達成され、またかかる炭素繊
維の工業的な製造手段としては、アクリロニトリ
ルを少なくとも90重量%含有せしめてなるアクリ
ロニトリル系重合体からなり、かつ該重合体を紡
糸して得られる紡出繊維束を熱延伸処理する前に
熱延伸温度より10℃以上低く、しかも温度が30℃
を下まわらない温湯浴下、下記(1)式を満足する如
き延伸処理を行なつて後続の熱延伸工程を走行せ
る繊維束のサバキ係数(下記(2)式で定義)を1.2
〜4.0にならしめたアクリル系繊維を焼成し、炭
化ないしは黒鉛化せしめる方法を挙げることがで
きる。 0<logA/logA+logB≦0.6 (1) ここでA:熱延伸に先立つて行なわれる延伸の
延伸比 B:熱延伸倍率 サバキ係数=熱延伸工程にある紡出繊維束の最大糸束
幅/静水中において緊張固定状態にある熱延伸を施した
繊維束の最大糸束幅 かくして得られた炭素繊維は、低伸張時におい
て切断現象が惹起しないのでコンポジツト成形時
に何等トラブル(いわゆるスツポ抜け等)を派生
しない成形加工性に富んだ有用なものである。な
お、“スツポ抜け”とは、炭素繊維束に伸張力を
与えたとき、ごく低伸張領域より継続的に数本の
単繊維が切断し最終的には単繊維の平均切断伸度
より低い伸張率において束全体が抜けるが如く切
断するトラブルを言う。 また上記方法に従えば、熱延伸槽内での繊維束
(アクリル系繊維)の単繊維相互間の分繊性が極
めて良好な状態に保持され得るため、該繊維束を
構成する単繊維一本一本の表面および内部基質が
均一な化学的並びに物理的処理をうけることにな
り、かかる均一処理されたアクリル系繊維をその
後焼成工程に供した場合には、該繊維構成単繊維
のそれぞれが均一な環化あるいは架橋反応をう
け、最終的にミクロおよびマクロ融着のない品質
均一性に優れた炭素繊維が得られるのである。 さらに熱延伸直前に繊維束は延伸下に熱処理さ
れるため結晶化され、その後の熱延伸により高度
の配向性を有することとなり、かかる高配向性ア
クリル系繊維を焼成する場合には、高物性、高品
質の炭素繊維が得られることとなる。 また上記方法によれば、乾燥熱処理を経た最終
繊維束がその良好なサバキ性に起因して焼成工程
において単繊維相互間の融着、合着を惹起するも
のでないため急速昇温が可能となり、炭素繊維の
生産性が高められる。 さらに本発明に係る炭素繊維は、それを構成す
る一本一本の単繊維が品質均一性に優れているの
で、それを炭素繊維樹脂強化複合材料の形成素材
に用いた場合、樹脂との接着性が充分になされ、
以て実用的な、高品質のコンポジツトを作製可能
ならしめるものである。むろん前述した如きミク
ロ融着が認められないのでコンポジツト製造時に
充分な張力を付与でき(コンポジツト成形加工性
に優れ)、より一層高品質のコンポジツトを作製
することが出来、その工業的意義を極めて高め得
ることはいうまでもないところである。 さらに本発明を詳細に説明する。 前述した如くミクロ融着と荷重伸張率曲線との
相互関係を明らかにした点が本発明において重要
である。つまり、通常の炭素繊維の切断伸度は単
繊維および繊維束ともに1.0%〜1.5%である。理
想的な無成形(無処理)の状態の炭素繊維束はミ
クロ融着が全くなく単繊維間の品質が完全に均一
であるため単繊維の場合と同様、最大荷重ピーク
は切断伸度の位置に求められるはずであるが、現
実は理想切断伸度より低い伸度領域で最大荷重ピ
ークが存在する。この最大荷重ピークが伸度0.7
%に満たない領域にあれば、繊維束全体に比較的
小さな融着(ミクロ融着の部類に属す)が多く低
伸度領域から少しずつ単糸切断が惹起しているこ
とを物語つており、一方伸度〓0.5%以下の伸度
領域に荷重極大ピークもしくはシヨルダー形状ビ
ークが発生すれば、繊維束の単繊維の数本乃至数
十本の集中した比較的大きな融着(これもミクロ
融着に属する)があり低伸度領域で数本乃至数十
本の単糸の集中した切断が惹起していることを物
語るものである。いずれにせよコンポジツトを製
造する際、適当な荷重を作用することは困難とな
るので体積含有率を高ならしめることはできず、
引張強度等に秀でた有用なコンポジツトを作製す
ることはむつかしくなる。上記荷重伸張率曲線の
代表例を第1図A〜Cに示す。第1図中Aは本発
明に係る炭素繊維、第1図中BおよびCは本発明
から逸脱する場合のそれをそれぞれ示している。
なお、a点は最大荷重ピーク、b点は荷重極大ピ
ークおよびc点はシヨルダー形状ピークをそれぞ
れ示している。 またミクロ融着現象が認められる炭素繊維の荷
重伸張率曲線がなぜ前記曲線BまたはCの如きに
なるかについて説明を行なう。すなわち、ミクロ
融着部分が介在すると、応力が作用した場合作用
力が不均一に分布し融着部分に曲げ変形やねじり
変形が発生する。これらの変形(特にねじり変
形)発生時の炭素繊維のタフネスはその伸度が相
対的に小さいため繊維軸方向の引張強度に比して
著しく低く、以て低伸張時でもいとも容易に切断
(前記曲線b点またはc点)するからである。 上述の如き特異な性能を有する炭素繊維を製造
するに際し特に重要なことは、紡出後熱延伸直前
において所定の延伸、温度条件下で繊維束を水浴
にて、延伸熱処理することにより熱延伸槽を走行
せる紡出繊維束の分繊性(サバキ性)を良好な状
態に保持すること、換言すれば熱延伸に入る直前
の繊維束を熱延伸温度より10℃以上低く、かつ30
℃を下まわらない熱水浴中にて前述の(1)式を満足
するように延伸することに基づいて後述する紡出
繊維束のサバキ係数を1.2〜4.0に調整ならしめる
ことにある。すなわち、かかるサバキ係数が1.2
に満たない場合には紡出繊維束を構成する単繊維
の表面および内部基質が均一な化学的および物理
的処理を受けず得られた繊維束も化学的、物理的
に均一なものであるとは言えないばかりか、熱延
伸前の処理温湯の温度が低いことから結晶化が進
まず配向性の高い繊維であるとは言えないため最
終的にミクロ融着のない、しかも高物性、高品質
の炭素繊維を製造することが困難となり好ましく
ない。一方、該サバキ係数が4を越える場合には
熱延伸槽内における分繊状態がかえつて進行しす
ぎ該繊維束を構成する単繊維同士が絡み合い、そ
の結果前記紡出繊維束の単糸切れおよび操業性低
下等の不都合が派生され、また結果的に熱延伸前
の処理温湯の温度が高いことから結晶化が進みす
ぎ延伸性が低下してやはり操業性が低下し望まし
くない。 なお、上述した紡出繊維束のサバキ係数とは以
下の方法にて測定し定義づけしたものである。 即ち、通常の方法により作製されたアクリル系
紡糸原液を2区分し、一方のものは紡糸、冷延
伸、水洗、ゲル処理、熱延伸工程を経由せしめた
後、いつたん系外へ取り出し緊張固定状態にて熱
延伸槽に再度導入せしめた。これに対し、もう一
方のものは後述する所定の条件の下で紡糸、冷延
伸、水洗、ゲル処理を施された後、熱延伸槽中に
導入され、さらに後の工程(例えば乾燥熱処理工
程等)へと導いて最終繊維に作製した。そこでか
かる熱延伸槽中の紡出繊維束の最大糸束幅をl
(熱延伸槽中にある紡出繊維束)およびl′(緊張固
定状態下での熱延伸槽中にある紡出繊維束)とし
て、本発明に係るサバキ係数を下記の如く定し
た。 紡出繊維束のサバキ係数=l/l′ またここにおいて、本発明の炭素繊維を製造す
るに当り使用しうるアクリロニトリル系重合体と
は、アクリロニトリルを少なくとも90重量%以上
含有するものであつて、必要に応じてその他の不
飽和単量体を共重合せしめて作製されるものであ
る。その他の不飽和単量体として、アクリル酸、
メタクリル酸、エタアクリル酸、クロトン酸、イ
ソクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、メサコ
ン酸、シトラコン酸およびこれらの水溶性塩(ア
ルカリ金属塩、アンモニウム塩)、アリルアルコ
ール、メタアリルアルコール、オキシプロピオン
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、α―
メチレングルタロニトリル、イソプロペニルアセ
テート、アクリルアミド、ジメチルアミノエチル
メタアクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロ
リドン、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチ
ル、酢酸ビニル、アリルクロライド、メタアリル
スルホン酸ソーダ、p―スチレンスルホン酸カリ
等の周知のエチレン系不飽和化合物を挙げること
が出来る。またアクリロニトリル系重合体は一般
に溶液重合系、塊状重合系、乳化重合系あるいは
懸濁重合系等の周知の重合系を用いて製造され、
さらにかかる共重合体からのアクリル系繊維の製
造に際して溶剤としては、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド等の有機溶剤;硝酸、塩化亜鉛水溶液、ロダン
塩水溶液等の無機塩溶剤が使用され、常法に従つ
て紡糸原液が作製され、紡糸、繊維化されること
となる。なお、かかる紡糸手段としては、公知の
湿式紡糸法、乾式紡糸法、乾/湿式紡糸法等を任
意に選択できるが、就中上記のアクリロニトリル
系重合体と溶剤からなるアクリル系紡糸原液を、
該紡糸原液の非凝固性気体である空気または不活
性ガス中に紡糸孔を通じて吐出せしめ、次いで凝
固液体中に導き凝固せしめる方法(上記乾/湿式
紡糸法)を採用すれば、本発明の目的を有利に達
成ならしめることが出来る。 しかして紡出、繊維化された繊維束はこの後冷
延伸、水洗、ゲル処理等の工程を施した後熱延伸
工程において所望のサバキ係数が得られるように
特定延伸条件下で前処理を行なつた後熱延伸し、
さらに必要に応じて例えば加圧蒸気中における追
加延伸、乾燥緻密化、熱処理等を施して焼成原糸
としてのアクリル系繊維に作製される。 なお、上記のゲル処理工程とは紡出、冷延伸、
水洗して得られた水膨潤状態にあるゲル繊維をア
ルカリ金属カチオンもしくはアンモニウムイオン
を含有するPHの調節された水溶液にて処理するも
のであつて、かかるゲル処理によつて上記繊維の
分子にイオン結合される上記アルカリ金属カチオ
ンもしくはアンモニウムイオンの量が調節され、
以て炭素繊維製造にあたつての焼成時間の短縮化
もしくは耐炎化反応の暴走阻止を計ることができ
る。 また上述した紡出繊維束のサバキ係数の調整
は、前述の如く熱延伸直前の特定延伸条件下で行
なわれる温湯処理の温度および延伸倍率を調節す
ることにより行なわれるが如何なる温度に設定す
れば熱延伸槽内におけるサバキ係数を所望の1.2
〜4にすることができるかの決定は熱延伸に至る
までの工程要因即ち、紡出時の紡糸原液温度、冷
延伸比、水洗温度、水洗後ゲル処理時の処理液
PH、熱延伸時における溶液のPH、延伸浴温度、延
伸倍率および前述の乾/湿式紡糸を採用した場合
には紡糸孔の吐出面と凝固液体の液面との間隔等
の組合せに依存する。例えば紡糸原液温度が低い
場合は該温湯処理温度も低く、冷延伸比が高い場
合はかかる処理温度を低くしてやることが好まし
いが、最終的には、熱延伸前の延伸を熱延伸温度
より10℃以上低く、かつ30℃を下まわらない温湯
中で、前記(1)式に従う延伸倍率を採用して行なう
ことが必要である。 かくの如く熱延伸工程直前において繊維束を延
伸熱処理した場合その後の熱延伸工程において走
行中の繊維束が何故良好にさばけるかについての
理論的根拠については本発明者等も明確な理由を
見出すに至つていないが、熱延伸点の位置と関係
があると推察される。 すなわち、繊維束を構成する単繊維の結晶化度
の低いような場合には延伸点は熱延伸の供給ロー
ラ上にあり、該供給ローラを離れ熱延伸浴に入る
際には繊維はすでに延伸された状態にあつて太さ
が変化することはなく、従つて繊維および繊維か
らの水のしぼり出しという繊維束をひろげよう
(さばけさせよう)とする力が発生しないため熱
延伸工程中においてさばけることはない。一方、
熱延伸前に特定延伸条件で温湯処理すると結晶化
が進み延伸されにくい繊維となる。従つて、延伸
点は繊維束が十分昇温する供給ローラから離れ浴
中の延伸ローラによつた位置へ移動し固定されて
いない状態で延伸されることになることから繊維
および繊維束から水が外へしぼり出されるという
糸をひろげようとする力が直接繊維に作用し繊維
束はさばける。さらに少しでもさばけた繊維束は
浮力が増して水面に対して角度がつくために水を
けたてて進む形となり、さばきは大きくなると推
察している。このような観点から勘案すると、サ
バキ係数の調整が熱延伸槽内に繊維束を押えつけ
るもしくは持ちあげることの可能な繊維束に対し
直角方向の固定棒ガイドを設けることにより、延
伸点の位置を適当に移動させることにより可能と
も考えられ本発明者等による実験でも確認されて
いるが、いかんせん高物性を有する炭素繊維なら
びに品質均一性に優れた炭素繊維複合材料を得る
ためには原糸(焼成原糸)に可能な限り傷(クラ
ツク)をつけないことが必要であり、そのために
はやはりこのような棒ガイドの使用は望ましくな
いという知見も会得している。 かくして得られた、単繊維間相互の分繊状態を
極めて良好に保持したアクリル系繊維から炭素繊
維を製造するに際しては従来より公知の如何なる
焼成方法をも採用することができるが、一般に酸
化性雰囲気中にて150〜400℃に加熱し環化せしめ
る(繊維中にナフチリジン環の環化構造を形成せ
しめる)一次焼成工程(所謂耐炎化工程)と、次
いで非酸化性雰囲気中もしくは減圧下にて高温
(普通800℃以上であり、黒鉛化の場合にあつては
2000℃以上の温度が採用される)焼成することに
より、炭化ないしは黒鉛化せしめる二次焼成工程
からなる焼成方法が好適に採用される。なお、耐
炎化の雰囲気としては空気が好適であるが、他に
亜硫酸ガスもしくは一酸化窒素ガス存在下または
光照射下に耐炎化する方法等も採用することが出
来る。また炭素化ないし黒鉛化の雰囲気としては
窒素、水素、ヘリウム、アルゴン等が好適に用い
られる。さらに、より優れた強度、弾性率の炭素
繊維を製造する場合には一般法として知られてい
るように張力を掛けて加熱することは好ましい方
法の一つである。特に耐炎化処理および炭素化な
いし黒鉛化時に張力を掛けることは効果的であ
る。 かくして、かくの如き方法を採用することによ
つて、ミクロ融着のない、高強度、高弾性率のし
かも品質均一性に優れた炭素繊維(後述する実施
例1のデータから明らかな如くCF強度が300Kg/
mm2以上で、かつSS強度が50Kg/mm2以上、好ましく
は70Kg/mm2以上)を生産性よく短時間にて製造す
ることが可能となり、従つてかかる優れた性能を
有する炭素繊維は、高品質性能を与え得るべく樹
脂強化材料(コンポジツト)の形成素材としても
好適に使用され、補強材料、発熱体、耐熱材料等
の広範な分野に使用され得ることとなつた。 本発明の理解を更に良好にするため、次に本発
明の代表的実施例を示す。なお、実施例中、特に
断わらない限り百分率および部は重量基準にて示
す。 実施例 1 (NH42S2O3/Na2SO3系レドツクス触媒を用
いて水系懸濁重合法により得られたアクリロニト
リル98%およびメタアクリル酸2%からなるアク
リロニトリル系重合体15.5部を、43.4%のロダン
ソーダ水溶液84.5部に溶解して得た紡糸原液(温
度73℃)を、孔径0.15mm、孔数50の紡糸口金を通
じて空気中に一旦吐出せしめ、次いで5℃、12%
のロダンソーダ水溶液からなる凝固浴中に導い
て、凝固せしめた。 かかる際の紡糸口金底面と凝固浴液面との間隔
は0.3cmであつた。次いで得られた紡出繊維束を
1.3倍冷延伸した後、30℃の温度下で水洗し、続
いてPH2.2に維持したゲル処理槽に導入し第1表
の如く種々なる温度の水浴下延伸処理し、更に98
℃、PH4.0、第1表の如く延伸条件下熱延伸槽を
走行せしめた。 その時の熱延伸工程中にある紡出繊維束のサバ
キ係数を求めたところ、第1表の如くであつた。
この後熱延伸処理を施された繊維束は、過熱水蒸
気中での延伸並びに乾燥工程を通つて単繊維デニ
ール1.3デニールのアクリル系繊維に作製された。 かくして得られたアクリル系繊維を、それぞれ
焼成し、10種の炭素繊維を得た。即ち、焼成は電
気炉を使用して空気雰囲気下、200℃から300℃ま
で20分間を要して連続的に昇温することにより耐
炎化繊維を得た後、更にこの耐炎化繊維を窒素ガ
ス雰囲気中において1200℃まで100分間を要して
連続的に昇温することにより炭素化する方法を採
用した。 ついで、得られた10種の炭素繊維の強度および
強度変動率並びにスツポ抜け挙動を測定し、その
結果をアクリル系繊維作製時での水浴処理温度お
よび延伸倍率ならびにサバキ度合等と対比して第
1表に示すが、第1表の比較より明らかな如く、
本発明に従うことにより炭素繊維の強度および物
性変動率を著しく向上せしめ、しかもスツポ抜け
トラブルが惹起されないことが出来ることとなつ
た。
【表】 強度である。
また前述の炭素繊維のうちNo.4、No.8を無成形
(無処理)の繊維束の状態で荷重伸張率曲線を測
定したところ、No.4は第1図中曲線Aの如き、一
方No.8は第1図中曲線Bの如きものとなつた。 なお、荷重伸張率曲線の測定方法は以下の方法
に従がつた。すなわち、製造された無処理の炭素
繊維束をインストロンModel1115(インストロン
社製;ゲージ長200mm、引張速度50mm/分)に供
して測定した。 また上記試料番号No.4および8にて示す炭素繊
維を強化材料として用いて一方向繊維強化樹脂を
作製した。即ち、樹脂としてはエポキシ系熱硬化
性樹脂(エピコート#828、シエル化学株式会社
製)、硬化剤としてBF・MEAを使用し、また160
℃(乾熱)×1時間なる硬化熱処理条件および180
℃(乾熱)×2時間のボストキユアリング条件を
採用した。なお、硬化後の炭素繊維含有率はいず
れも60%となるよう調製した。 かくして得られた2種の炭素繊維強化樹脂につ
いて、その繊維方向の機械強度性能を測定し、そ
の結果を第2表に示した。
【表】 第2表の結果より明らかな如く、サバキ性の良
好なアクリル系繊維を焼成原糸から作製した、特
異な物性挙動を呈する炭素繊維を使用することに
より、複合材料の強度性能を著しく高めることが
出来るのであり、また複合材料間の強度変動率も
極めて小さく、従つて均一な、かつ優れた性能を
有する複合材料を有利に製造し得ることとなつ
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は無成形(無処理)の状態での炭素繊維
束を測定して得られる荷重伸張率曲線の一例を示
すものであり、Aは本発明に係る炭素繊維のも
の、BおよびCは在来のものの測定曲線を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 単繊維強度が300Kg/mm2以上であり、無成形
    (無処理)の状態の炭素繊維束を測定して得られ
    る荷重伸張率曲線において、束強度が50Kg/mm2
    上で、かつ最大荷重ピークが伸度0.7%以上の領
    域に位置し、しかも伸度0.5%以下の領域には上
    記繊維束を形成する各繊維間相互作用に基づく荷
    重極大ピークまたはシヨルダー形状ピークが現わ
    れない炭素繊維。
JP23654886A 1986-10-03 1986-10-03 炭素繊維 Granted JPS62125017A (ja)

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JP23654886A JPS62125017A (ja) 1986-10-03 1986-10-03 炭素繊維

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JPS62125017A JPS62125017A (ja) 1987-06-06
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