JPS6112432Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は二輪車等のリヤークツシヨンとして使
用する油圧緩衝器の減衰機構に関する。

従来の油圧緩衝器には減衰力発生孔を設けたピ
ストンを中空ロツドの外周に嵌装し、このピスト
ンをシリンダーに摺動自在に嵌合するとともに、
中空ロツドの側壁油孔と中空ロツド上部に嵌めた
円板の油孔を介してシリンダー内のピストン下部
油室の上部油室と連通させることにより、該円板
の油孔とピストンの油孔の両方で減衰力を発生さ
せるようにしたものがある。また、これを更に改
良して、中空ロツド上方の前記円板の下側に径の
異なる複数のオリフイスを設けた環状板バルブを
回転自在に取付けるとともに、中空ロツド内に回
転可能に挿入した調整ロツドの先端をこの環状板
バルブに一体回転可能に係合させ、中空ロツドの
回転で円板油孔と対向する環状板バルブのオリフ
イスを変化させることにより円板油孔の減衰力を
調整することにしたものも知られている。

しかし、これらはいずれも円板油孔が常に一定
の開口面積で連通しているため、ピストンの引き
行程だけでなく、押し行程にも円板油孔からの減
衰力が発生してしまつた。また、一般に、円形油
孔に油を通過させてその流通抵抗で減衰力を発生
させる場合、油孔が常に一定面積で開口している
と温度による油の粘度変化により減衰力が大きく
変動してしまう傾向があるため、従来のように、
中空ロツド上部の円板油孔が常時開放している構
造では温度特性が悪いという問題もあつた。

従つて、本考案の目的は中空ロツド上方の円板
に形成した減衰力発生油孔を押し行程で閉鎖する
とともに、温度変化による減衰力の変動を小さく
し、これにより温度特性の優れた油圧緩衝器の減
衰機構を提供することにある。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図において、１は内部に油を充填した油
圧緩衝器のシリンダー、２は中空ロツド３の外周
に固着され、シリンダー１内に摺動自在に嵌挿さ
れたピストンであつて、ピストン２にはそれぞれ
出口側にチエツクバルブ２ａまたは２ｂを有する
押し行程及び行程の減衰力発生油孔２a′，２b′が
形成されている。

中空ロツド３の上部には円板４を、中空内部油
路５と対向して固設してあるとともに、この円板
４にはシリンダーの上部油室Ａと中空ロツド３の
内部油路５を連通する油孔６が穿設してある。他
方、中空ロツド３の側壁には内部油路５とシリン
ダーの下部油室Ｂを連通する油孔７が設けてあ
り、かくしてシリンダーの上部油室Ａと下部油室
Ｂは円板油孔６、内部油路５、油孔７を介して連
通し、円板油孔６を通過する油の流通抵抗からも
減衰力が発生するようになつている。尚、図の例
では更に、中空ロツド３上部に固設した円板４の
下側には前記円板油孔６と対向する同一円周上に
径の異なる複数のオリフイス８ａ，８ｂ…を穿孔
した環状板バルブ８を回転自在に取付けてあると
ともに、中空ロツド３の内部油路５内に回転可能
に挿入した調整ロツド９の先端を前記環状板バル
ブ８に一体回転可能に係合させ、中空ロツド９の
回転で円板油孔４と対向する環状板バルブ８のオ
リフイス８ａ，８ｂ…を変化させることにより円
板油孔４の減衰力を調整するようにしてある。

尚、図中１０は調整ロツドを回転するつまみ、
１１，１２は車体及び車輪軸への連結具、１３は
気体室（図示せず）へ配管である。

以上述べた油圧緩衝器の構造自体は従来公知の
ものである。本考案の特徴はこの種の構造の油圧
緩衝器において、中空ロツド上部に嵌装した前記
円板４の上面に該円板４の油孔６を開閉する板バ
ルブ１４を設けたことにある。

この板バルブ１４は第２図のように一端をね
じ、かしめ、スポツト溶接その他の手段で円板４
の上面に固着し、自由端側を油孔６上に延在させ
ることにより、ピストンの押し行程で油孔６を閉
鎖し、引き行程では板バルブ１４の自由端側を該
油孔６の油圧に応じて弾力的に油室Ａ側に撓み、
油の流量を調整するようになつている。

本考案は以上の構成になるので、ピストンの押
し行程では円板４の油孔６が板バルブ１４で閉鎖
され、油はチエツクバルブ２ａを有するピストン
の油孔２a′のみを通過する。従つて、温度変化に
伴つて油の粘度が変化しても減衰力の変動は従来
のものに比較して小さくなる。

また、引き行程ではシリンダーの下方油室Ｂの
油は円板４の油孔６から板バルブ１４を押し上げ
て上方油室Ａに流入するが、板バルブ１４の撓み
量は油孔６の油圧に応じて変化するので温度変化
に伴つて油の粘度が変化しても円板油孔６の減衰
力は環状板バルブ８のオリフイス径を上限とし、
それ以下は板バルブ１４の撓み量で調整され、従
来例のように大きく変化することがない。

尚、第３図は上記のように温度と減衰力の関係
を従来例との比較において示す減衰力特性グラフ
である（但しピストン速度を一定とする）。

以上のように本考案によれば円板の油孔が板バ
ルブにより押し行程で閉鎖されるとともに、引き
行程では板バルブの撓み量で円板油孔の減衰力が
調整されるので温度変化に伴つて油の粘度が変化
しても減衰力の大巾な変動が回避される。従つ
て、温度特性の優れた減衰機構を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の減衰機構を使用した油圧緩衝
器の断面図、第２図は円板の上面図、第３図は温
度変化による本考案の減衰力特性を従来例との比
較において示すグラフである。 １……シリンダー、２……ピストン、３……中
空ロツド、４……円板、８……環状板バルブ、９
……調整ロツド、１４……板バルブ、Ａ……シリ
ンダー上部油室、Ｂ……シリンダー下部油室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 減衰力発生油路２a′，２b′を有するピストン２
   を中空ロツド３の外周に取付けるとともにこのピ
   ストン２をシリンダー１内に摺動自在に嵌合し、
   中空ロツド３の上部に嵌装した円板４の油孔６と
   中空ロツド内部の油路５と中空ロツドの側壁に穿
   設した油孔７とを介してシリンダーの上部油室Ａ
   と下部油室Ｂとを連通させた油圧緩衝器におい
   て、中空ロツド上部に嵌装した前記円板４の上面
   に該円板４の油孔６を開閉する板バルブ１４を設
   けたことを特徴とする油圧緩衝器の減衰機構。