JPS607053B2 - ループヤーンの製造法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、熱可塑性合成繊維マルチフィラメント糸条か
らループやタルミを有する紡績糸様ループャーンを製造
する方法に関する。

従来、流体を利用して繊維糸条を乱流及び鷹乱作用域に
通してマルチフィラメント糸条にループを形成する方法
として■ 非捲綱性糸条を流体乱流域に通過させ、非捲
縦性糸条にループを形成する方法、■ 非捲縦性糸条に
先撚を施こしてから、流体乱流域に通過せしめループを
形成する方法、■ 糸条に仮撚加工、擦過加工、押込加
工等の捲縮加工を施こしてから、流体乱流域に通過せし
めループを形成する方法、などが知られている。

非捲綱性糸条に流体処理を施こした■の場合、繊維の開
織性が悪く、ループやタルミは張力負荷によって精脱し
、ループやタルミの保持性が低い。この欠点を改良する
方法として、■の如く、糸条に予め先撚を施こしてから
流体処理を行う方法が提案されている。この方法では加
工糸条の嵩高・性が十分でなく、また、我々の実験結果
によれば、加工糸条の長さ方向に於けるループの発生頻
度斑があり、ループの均一分散性に問題がある。

特に、糸条の構成フィラメント数が少ない場合には、ル
ープの発生の絶対数が少なく、ループの不均一分散状態
が顕著に認められ、緑織物にした場合、外観が悪いもの
しか得られない。一方、■の方法によって得られるルー
プャーンは、嵩高性に富み、ループの分散性の面では■
の方法に比較して若干改良されるものの、各繊維がすべ
て捲縮され、ループを保持する基盤が存在せず、従って
、ループの保持性が非常に悪い。ループの保持性を高め
るには、流体圧力を高めるか、あるいは加工速度を遅く
して糸速に対する流体の圧力比及び流量比を高める必要
があり、経済的にループヤーンを製造することは困難と
なる。また、形成されたループの平均ループ長が短くな
り、紡績糸風糸条を得ることを目的とする本発明に対し
て、風合面で物足りなさがある。本発明者らは、かかる
従来技術の問題点を解消すべ〈、種々検討を行なった結
果、ループ長が長く、糸条の長さ方向にループが均一に
分散し、ループ保持性が高く、しかも、編織物の風合に
適度なソフト感、ボリウム感がある紡績糸風のループャ
ーンの製造を目的とし、次の手段を採用することによっ
て、目的とするループヤーンが能率よく高速度で製造で
きる方法を開発したのである。

本発明は、熱可塑性合成繊維マルチフィラメント糸条に
仮撚加工を施こし、該糸条の捲縮を消滅する程度に伸長
熱処理し、次に、該糸条を超過供給させた状態で流体の
乱流および蝿乱作用城を通過させることを特徴とするル
ープャーンの製造法である。本発明で用いる熱可塑性合
成繊維マルチフィラメント糸条とは、ポリエステル、ポ
リアミド「ポリアクリル等の延伸糸あるいは末延伸糸が
好ましい。

これら熱可塑性合成繊維マルチフィラメント糸条にまず
仮機加工を施こす。

この仮撚加工を施こすことにより捲縮が付与されること
は勿論のこと繊維糸条を構成する個々のフィラメントは
断面が変形し、同時に仮撚の撚掛け及び撚戻し作用及び
、紡糸時に付与した繊維の収束性を高めるための油剤の
飛散によってフィラメントの開綾性が高まる。本発明に
おいて、仮撚加工法は、加撚−熱固定〜解撚が同時に行
なわれる通常のスピンドル方式あるいは摩擦方式の仮撚
加工法を採用すればよい。

仮燃温度は、仮漆加工後の繊維の断面が変形しやすい熱
可塑性繊維糸条の熱応力の最大応力値を示す温度より高
い温度であって「 しかも、紡糸油剤の飛散率の高い温
度とすることが望ましい。また、糸条の融点以下の温度
、望ましくは、融点より２０００以上低い温度で行う。
一方、仮撚数（ＴＷ）は、次式で示される範囲のもので
あれば、ループャーンのループ保持性が高く、ループ長
の長いループャーンが得られる。１１５００／ノＤ＋５
９０≦ＴＷ≦２３０００／ノＤ＋５９０（但しＤは仮撚
糸条のデニール）仮撚数が上式より多いと糸切れ及び毛
羽発生による仮撚上の問題が発生し、仮撚数が少ないと
開繊性が十分でなく、満足するループやタルミを形成す
ることが困難となる。

仮撚加工に供される糸条は前記熱可塑性合成繊維糸条で
も未延伸糸を用いて延伸仮撚を行なえば、より良好なル
ープャーンを製造することができる。捲縞が付与された
糸条を、次に伸長熱処理城に通す。

もし、この工程を経ないで、直接、糸条を流体の乱流お
よび騒乱作用城に通すと、フィラメント間の交総性の低
下及び加工糸の中心をなすフィラメント集東部の糸密度
減少をきたす。その結果糸条のループ保持性が低下する
。このような欠点を解決するには、前以つて伸長熱処理
を施すことが必須の要件である。本発明でいう伸長熱処
理とは、仮撚工程において形成させた捲縮のほぼ全量に
近い量を消滅させるものでありＹ糸条を熱板またはホッ
トピンに接触走行せしめる方式が熱効率の点で最も有効
であるがｔ非接触方式のものを採用しても差支えない。

熱処理温度は、仮撚温度よりも少くとも５℃高い温度と
することが捲縮を消滅させるうえで望ましい。

一方、伸長熱処理工程における伸長条件はし従来の仮撚
加工後、弛緩熱処理（弛緩率１０％以上）する際の弛緩
熱処理張力（通常０．０１〜０．０２タノｄ）よりはる
かに高い張力である０．０４夕／ｄ以上の張力で伸長熱
処理することが望ましい。伸長熱処理した糸条は、次に
、超過供給させた状態で流体の乱流および澄乱作用域を
通過させ糸条にループとタルミを形成させる。糸条に流
体の乱流および撹乱作用を付与する装置としては、特公
昭３６−８１２３号、特公昭３８一２８２８号、ｕ．ｓ
．ｐ．３５４５０５７号等によって示されるところの、
繊維糸条にループやタルミを形成せしめる噴射ノズルが
用いられる。また、該ノズルには１０〜３０％の超過供
給で糸条を供給することが望ましく、供給量が少なけれ
ばループの形成量が少なく、また、不均一に形成される
。一方、供給量が多すぎるとネップを形成するので好ま
しくない。流体の乱流及び蝿乱作用城を通過した糸条は
流体の進行方向に対してほぼ直角に引取る。以上述べた
如き工程を経ることにより、良好な紡績糸様のループャ
ーンを得ることができる。

本発明は、上記工程を連続的に行なってもよく、また、
断続的に行ってもよい。第１図は、本発明のループャー
ンを連続的に製造する装置の一例を示す説明図であり、
供給原糸ボピンーから解された熱可塑性合成繊維糸条２
は、第１ローラー３を経て、仮撚ヒーター４で仮撚スピ
ンドル５により加撚された状態で熱処理を受ける。

仮撚スピンドルを通過後、糸条は簾燃され、捲縮が付与
される、次に、第２ローラー６と第３ローラー８との間
で伸長熱処理を施こす。即ち、両ローラー間で捲縮が消
滅する程度に伸長すると同時に、ヒーター７で熱処理さ
れる。伸長熱処理された糸条は第３ローラーと等４ロー
ラー１０間に設けたループャーン製造用ノズル９に供給
し、流体乱流及び潰乱作用を受けて糸軸方向に多数のル
ープや夕ルミを有する糸条を得る。尚、糸条ノズル９へ
超過供給状態で供給することが必要である。ノズルを出
た糸条はサーフエースローフ‐１１に接触回転するボビ
ン１２に巻き上げる。また、本発明では、ループ形成後
の糸条を糸条の幹となる部分の密度を高めた状態で熱セ
ットするために伸長もしくは弛緩状態で熱処理を施こし
ループの保持性を高める工程を付加してもよい。次に、
本発明方法により得られるループヤーンの特徴を説明す
る。第１表は、ポリエステル１５Ｍ／７２５を用いて、
各種方法でループャーンを製造し、得られたループヤー
ンの特性を調査した結果を示す。船 船 白 ごヱ 霊胃÷ 偽のト 朱舷ｌ 」鰻７く 入 ｌ へき下 心＼鎌 「９０ ト的Ｎ Ｎの十 出岬 Ｇ豚紫 。

則部三精霊 ミ辻 １ト Ｘ鮒 Ｈミ コ ？Ｘ ＊＼ 試料Ｎｏ．１及び試料他２は本発明方法を採用したルー
プヤーン。

試料Ｎｏ．３、試料地．４、試料他５は従来法によるル
ープャーンで、試料紬．３及び試料蛇．４は伸長熱処理
工程を経ないもの、試料恥．５は仮撚、伸長熱処理工程
を通さず、単に流体乱流および、騒乱作用を経たもので
ある。尚、表中、数平均繊維長×。

はループ長をＭｉ「ループ長Ｍｉのもののループの数を
Ｎｉとした時×ｎ＝２Ｍｉｎｉ／ＺＮｉで表わす。また
、量平均繊維長ＸＷは、 ×Ｗ＝ＺＭ２ｉＮｉ／２Ｍｉｎｉで表わす。

更に、ループ強度はループやタルミが張力負荷によって
消失する時の張力で示す。本発明者らの研究によれば、
ループ強度は、ループャーンが編織工程、染仕上工程等
の後工程でも、ループ形態を大きく変化させないために
は、少なくとも０．６夕／ｄ以上が必要である。ループ
長は第３図に示す如くループやタルミを根元からの長さ
夕を測定したものである。

第１表から明らかな如く、本発明のループャーン（試料
Ｎｏ．１、試料Ｎｏ．２）は共にループ長が長く、ルー
プ強度も高く、ループの発生頻度も高い。

また、ループも非常に均一に分散していることがわかる
。更にこれを証明するために第２図にループ長とその発
生率の関係をグラフで示す。第２図で明らかな如く、本
発明のループャーン（試料Ｎｏ．１及び試料Ｎｏ．２）
は、従来法によるループヤーンと較べてループ長が全般
に長い方向に分布が移動している。また、ループャーン
の外観も第４図に示す如く本発明のループャーンは従来
法によるループャーンと較べてループが非常に均一に分
散し発生している点に特徴がある。以上の如く、本発明
の方法を採用することによりループャーンの生産性は向
上するのみならず、この方法によって得られたループャ
ーンはループ長が長く、ループが均一に分散し、ループ
保持性が高い。

また、これを緑織物に加工した場合、風合、外観は長繊
維糸条でありながら、紡績糸様の風合、外観を有し、抗
ピリング性にも全く問題のない良好な編織物が得られる
。次に、実施例により、本発明の方法を具体的に説明を
行う。

尚、実施例はすべて第１図に示す装置を用いた。

実施例 １ ェステル１５皿、７２フィラメント糸を用いて、仮燃温
度１９０午Ｃ、仮燃数１６０Ｍ／Ｍ、伸長熱処理温度２
１０００、伸長熱処理張力１５夕、ノズルの圧縮空気圧
５．５ｋ９／洲、空気流量９州そ／ｍｉｎ、超過供給量
＋２０％、加工速度ｉ３仇ｈ／ｍｉｎで加工した。

得られた加工糸は、ループ強度０．７５夕／ｄ、数平均
ループ長０．３４側、島平均ループ長０．４６側、ルー
プ発生頻度９０ケ／弧で加工糸の長さ方向にループが均
一に発生しており、この加工糸より得られた脇地は、紡
績糸風の触感と暖かさ、ソフト感を持ち、良好な風合を
有していた。実施例 ２ ェステル１５皿、７２フィラメント糸を用いて、仮撚温
度１７０００、仮撚数１６００Ｔ／Ｍ、伸長熱処理温度
２１０ｑｏ、伸長熱処理張力１３夕、ノズルの圧縮空気
圧５．０ｋ９／地、空気流量９０Ｎ〆／ｍｉｎ、超過供
給量十２０％、加工速度１３仇ｈ／ｍｉｎで加工した。

得られた加工糸は、ループ強度０．７１夕／ｄ、数平均
ループ長０．３４側、量平均ループ長０．４５柳、ルー
プ発生頻度８５ケ／伽、ループ発生状態も、ループの分
散度が良好で、この加工糸より得られた編地は、紡績糸
風タッチの良好なものであった。実施例 ３タ ェステ
ル１５皿、７２フィラメント糸を用い、仮撚温度１９０
ｏｏ、仮撚数２５０中／Ｍ、伸長熱処理温度２１０ｑｏ
、伸長熱処理張力１３夕、ノズルの圧縮空気圧５．５ｋ
９／地、空気量９０Ｎそ／ｍｉｎ、超過供給量＋２０％
、加工速度１３肌／ｍｉｎで加工し、得られ０た加工糸
をさらに、熱処理温度２１０℃、処理張力５夕で処理を
行ったところ、得られた加工糸のループ強度は１．０夕
／ｄ、にも達し、ループの数平均繊維長は０．３３柳、
量平均ループ長０．４６柳、ループ発生頻度９８ケ／弧
で、良好なループャーンが得夕られた。

実施例 ４ ェステル１５皿、７２フィラメント用未延伸糸を用い、
延伸仮撚加工を、仮撚温度１９０００、仮撚数２５０ｍ
／Ｍ、延伸比１．７５で行い、伸長熱処理温度０２１０
００、伸長熱処理張力１０夕、ノズルの圧縮空気圧５．
５ｋ９／鮒、空気量９０Ｎ夕／ｍｉｎ、超過供給量＋２
０％、加工速度、１４５ｈ／ｍｉｎで加工した。

得られた加工糸は、ループ強度１．０夕／ｄ、ループ発
生頻度９５ケ／抑、で数平均ループ長０．４＆舷、量平
均ループ長は０．５３側で得られた加工糸による編地は
、良好な紡績糸風合を有していた。実施例 ５ ェステル７印、３６フィラメント糸を用い、仮撚温度１
９０℃、仮撚数２００ｍ／Ｍ、伸長熱処理温度２１０℃
、伸長熱処理張力５夕、ノズルの圧縮空気圧６．０ｋ９
／地、空気量９州夕／ｍｉｎ、超過供給量十２０％、加
工速度１３瓜ｈ／ｍｉｎで加工した。

得られた加工糸は、ループ強度０．８０夕／ｄ、数平均
ループ長０．３５柳、量平均繊維長０．４５側、ループ
発生頻度５８ケ／伽で、加工糸の長さ方向に於けるルー
プの分散状態が非常に均一な加工糸が得られた。また、
該加工糸により得られた緑地は、ループの均一分散した
美しいものであった。実施例 ６ ナイロン７皿、３４フィラメント糸を用い、仮撚温度１
５０ｑｏ、仮撚数３００ｍ／Ｍ、伸長熱処理温度１８ぴ
０、伸長熱処理張力１５９、ノズルの圧縮空気圧５．５
ｋ９／の、空気量９州そ／ｍｉｎ、超過供給量十２０％
、加工速度１３血／ｍｉｎで加工した。

得られた加工糸による編地は、紡績糸風の柔らかい、暖
かさの有する良好なものであった。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のループャーンを製造するための装置の
一例を示す模式図、第２図は、ループ長とループ発生率
の関係を示すグラフ、第３図は、ループ長測定のための
説明図、第４図は、ループヤーンの正面図である。 １…・・・供給源糸ボビン、２・・・・・・糸条、３・
・・・・・第ｌｏーフー、４…・・・仮撚ヒーター、５
・・・・・・仮撚スピンドル、６……第２ローフー、７
……ヒーター、８……第３０ーフー、９……ノズル、１
０……第４ローフー、１１……サーフエースローフー、
１２……ボビン。 第２図 策３図 第１図 第４図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱可塑性合成繊維マルチフイラメント糸条に次式で
   示される仮撚数（ＴＷ）の範囲内で仮撚加工を施こし、
   該糸条の捲縮を消滅する程度の伸張熱処理を仮撚加工温
   度より少くとも５℃高い温度で、しかも０．０４ｇ／ｄ
   以上の糸条張力下で施し、次に、該糸条を１０〜３０％
   超過供給させた状態で流体の乱流および撹乱作用域を通
   過させることを特徴とするループヤーンの製造法。 １１５００／√（Ｄ）＋５９０≦ＴＷ≦２３０００／√
   （Ｄ）＋５９０（但し、Ｄは繊維糸条のデニール）