JPS6051964B2 - 工作機械 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、内向きの刃具を具備したリング状の刃具ド
ラムを備え、この刃具ドラムを回転することによりクラ
ンクシャフトのピン及びジャーナルの外径さらにカウン
タウェブ等を加工する工作機械に関するものである。

従来のこの種の工作機械としては、米国特許第３８８
００２５号、米国特許第４２７６７９４号、特開昭５２
一６１８９１号の各公報に記載されたものがあるが、上
記第１の従来例である米国特許第３８８００２５号公報
に記載されたものは、刃具を遊星運動させる機能として
互いに直交する複合スライドを用いているが、各スライ
ドを平行移動させる必要があり、精度に問題がある。

一方上記第２、第３の従来例である米国特許第４２７
６７９４号及び特開昭５２−６１８１時公報に記載され
たものは、２個の偏心環を用いて偏心量をアジヤストす
る構成であるため、その偏心量をあまり大きくすること
ができず、加工部の径が大小大きく異なる加工物に対応
することができなかつた。

これに対応すべく偏心量を大きくしようとすると、全体
的に大きくなつてしまうという問題があつた。 本発明
は上記のことにかんがみなされたもので、被加工部中心
と刃具ドラム中心間の偏心量が大きくとれて被加工部の
切削径が種々相違する被加工材に対応でき、しかも機械
的にコンパクトに構成することができるようにした工作
機械を提供しようとするものである。

以下本発明の実施例を図面に基ついて説明する。

図中１はベッド、２、３はこのベッド１の長手方向両
端部に互いに対向して固設した主軸頭であり、この両主
軸頭２、３に、先端にチャック４、５を設けたスピンド
ルノーズ６、７が設けてあり、これらによつてクランク
シャフト８の両端部が、回転しないように把持されるよ
うになつている。

１０、１１は上記スピンドルノーズ６、７をまたいで
ベッド１上に取付けられるスライドユニツ卜であり、こ
の両スライドユニット１０，１１はベッド１の長手方向
にスライド自在に係合載置してある。

そしてこれらスライドユニット１０，１１のコラム１２
，１３は下部はベッド１に設けたスクリュ１４，１５に
螺合してあり、このスクリュ１４，１５をモータ１６，
１７で回転することにより移動するようになつている。
上記両スライドユニット１０，１１は同一構成となつて
おり、以下その構成をその一方のスライドユニット１０
について説明する。

スライドユニット１０のコラム１２の下部に、軸心を上
記スピンドルノーズ６と平行にした固定軸１８が固設し
てあり、この固定軸１８に揺動体１９の下部が枢支して
ある。

またコラム１２には第３図Ａに示すようにスピンドルノ
ーズ６に対応する部分にこれが干渉しなようにした窓孔
１２ａが設けてある。上記揺動体１９はコラム１２の前
面に添わせてあり、これの上端面に枢動軸を中心とする
扇形歯車２０が設けてあり、これにコラム１２の上部に
支承した小歯車２１が噛合している。

そしてこの小歯車２１は歯車列を介してコラム１２に設
けた揺動用モータ２２に連結してある。揺動体１９は第
４図から第６図に示すようになつていて、下部には固定
軸１８に嵌合する孔２３があり、また上下方向に長くし
た角状の長孔２４が設けてある。この長孔２４の両側辺
にはガイド溝２５，２５が上下方向に設けてある。また
揺動体１９の上部には孔２３と直角方向に空胴部２６が
設けてある。上記ガイド溝２５，２５はこの空！胴部２
６に連通してある。２７はスライド体で、このスライド
体２７は第７図、第８図に示すようになつていて、これ
の両側辺部には上記揺動体１９のガイド溝２５，２５に
スライド自在に嵌合するガイド２８，２８が設５けてあ
り、またこの両ガイド２８，２８にナット２９，２９が
突設してあり、このナット２９，２９に上下方向に送り
ねじ３０，３０が螺合してある。

この両送りねじ３０，３０の上端には傘歯車３１，３１
が固着してある。この両送りねじ３ク０，３０は上記揺
動体１９のガイド溝２５，２５内に収納されるようにな
つている。３２は上記傘歯車３１，３１に噛合する傘歯
車３３，３３を固着した回転軸であり、この回転軸３２
は揺動体１９の上部に設けた空胴部２６内に収納される
ようになつている。

そしてこの回転軸３２には揺動体１９に固着するスライ
ド用モータ３４に連結してある。スライド体２７の中心
部には軸心をスライド体２７のスライド方向と直角にし
た貫通孔３５が設けてある。３６は刃具ドラムであり、
この刃具ドラム３６は中空筒状になつており、上記スラ
イド体２７の貫通孔３５に軸受を介して回転自在に支承
されてノいる。

そしてこの刃具ドラム３６の内面には刃具３７が固着し
てある。一方この刃具ドラム３６の外周には歯車３８が
設けてあり、これにスライド体２７が支承された小歯車
３９が噛合してある。そしてこの小歯車３９の軸はスラ
イド体２７に固着する回転用モータ４０に連結してある
。第１０図は各駆動用モータをＮＣ装置４１による制御
装置４２にて制御することを示す説明図である。

上記構成における作用を説明する。

クランクシャフト８はその両端をチャック４，５で固着
することにより回転しないように把持固定される。

このとき、ジャーナル中心Ｃ，と切削しようとするピン
Ｐ１との中心Ｃｐとを結ぶ中心線は垂直となるようにす
る。またこのとき刃具ドラム３６の中心ＣＯをクランク
シャフト８のジャーナル中心Ｃ３と一致させておく（第
１１図Ａ）。ピンＰ１の加工動作に入る場合、スライド
ユニット１０を移動して刃具ドラム３６の刃具３７を上
記ピンＰ１と一致させて固定する。次に回転用モータ４
０を駆動して刃具ドラム３６を回転させ、これと共に、
スライド用モータ３４を駆動してスライド体２７を移動
し、刃具ドラム３６の刃具３７をピンＰ１に接近させ、
所望の径２ｒ′９に加工すべく位置決めをする。

このとき揺動用モータ２２は停止しており、揺動体１９
は垂直状態て停止している（第１１図Ｂ）。次に揺動用
モータ２２とスライド用モータ３４を駆動して揺動体１
９を揺動すると共にスライド体２７を往復運動を行なう
。

上記揺動体１９を揺動するための揺動用モータ２２はス
ライド用モータ３４に関連して通常のＮＣ装置にて同期
制御され、刃具ドラム３６が遊星運動するようにしてい
るので、正転、逆転を１サイクル中に繰り返す。

またスライド用モータ３４も上記動作と連動して正転、
逆転を１サイクル中に繰り返し、スライド体２７を送り
ねじ３０，３０を介して往復動させる。

刃具ドラム３６は回転用モータ４０にて連続的に回転さ
せる。

このときピン中心Ｃｐと揺動体１９の揺動中心Ｃ３間の
距離をＥ１ピンＰ１の加工後の半径をＲＰｌ刃具３７の
回転半径をＲＣｌ刃具ド之ム３６の回転中心Ｃｃと揺動
中心Ｃｓ間の距離をＰ１ピン中心Ｃ，と揺動中心Ｃ，と
を結ぶ直線をＹ軸、このＹ軸と直交し、かつ揺動中心Ｃ
，を通る直線をＸ軸とすると、このＸ，Ｙ座標系におい
て、ピンｐェの加工後の半径Ｒｐと刃具３７の回転半径
Ｒ。

のそれぞれの円弧の内接点を（Ｘ，ｙ）とし、Ｙ軸から
の揺動角をθ、刃具ドラム３６の中心Ｃｃが描く軌跡の
半径をｒとしたときに、の式を満足させるように揺動用
モータ２２とスライド用モータ３４の同期制御を開始す
る。

このときθは揺動体１９の揺動角を、Ｐはスライド体２
７のスライド量を制御することになる。この同期動作を
続行させると第１１図のＡ−Ｆに示すような順序でピン
Ｐ１の全周の加工が完了する。

第１２図は上記関係を解析するための説明図であり、こ
の図において、刃具ドラム３６の回転中心ＣＯの軌跡上
に１点Ｃｃをとつたときに、ΔＣ。

，ｐ″，Ｃｐにおいて、又（Ｅ−ｒ）≦Ｐ≦（Ｅ＋ｒ） となる。

上記のようにしてピンＰ１の全周加工が完了した七しｑ
１自ｋ′→１ｉｒんＭｌハ悄日丁罹Ｇｎこ酩雷五六什る
が、このときは刃具ドラム３６の回転中心ＲＯとジャー
ナル中心ＣＪとを一致させた状態で移動する。

次の加工部を割出したあとは、上述のサイクルに従つて
ピン加工ができる。

所望のピン加工が完了したあとはスライドユニット１０
をワーク搬入出状態に戻す。

これらの一連の動作は他のスライドユニット１１におい
ても同様に行なわれる。

以上ピンだけの加工について述べたが、２個のユニット
１０，１１でピンとピンあるいはピンとジャーナルの加
工が行なえ、さらにカウンタウェブの加工をも行なうこ
とができる。

また刃具ドラム３６に軸方向に複数列の刃具を設けるこ
とにより同位相の複数本のピンあるいはジャーナルを同
時に加工することができる。一方上記実施例ではピンは
ジャーナルに対して一方向に偏心しているクランクシャ
フトについて示したが、各ピンが１２０ンづつ互いに位
相がずれている場合でもこの位相がずれたままで加工を
行なうことができる。

すなわち、第１３図、第１４図に示すように、第１ピン
Ｐ１に対して１２０図位相がずれた第２ピンＰ２を加工
するときには揺動体１９の揺動中心線１をＹ軸からθ２
だけ傾斜させ第２ピンＰ２の軸心を通るようにする。

このときの第２ピンＰ２加工時の数式は以下のようにな
る。

また（Ｅ″−ｒ）≦Ｐ≦（Ｅ″＋ｒ） 故に第２ピンＰ２の加工は上記（４）式によつて加工で
きる。

同様に第３ピンＰ３も加工できることは当然である。な
お上記加工方法によらず、第２，第３ピンを第１ピンの
位置に位相をずらせてから第１の実施例のように加工し
てもよい。

この場合割出し装置にてチャック４，５を所定角度例え
ば１２０装にわたつて回動する。なお上記実施例の説明
に用いた図面においては、説明の都合上、刃具ドラム３
６、刃具３７の大きさに対してクランクシャフト８を大
きく示したが、実際には第１５図、第１６図に示すよう
な関係にある。

すなわち刃具ドラム３６に円板４３が固着され、この円
板４３の内径面に刃具３７が固着してある。そして刃先
から刃具ドラム３６の内径面までの寸法をＬ１クランク
シャフト８の最大半径方向深さをＬＯとしたときに、Ｌ
＞ＬＯとなるようになつている。なお第１６図は刃具を
２連装した状態を示す。また上記実施例では、揺動体１
９をコラム１２，１３に枢支し、この揺動体１９にスラ
イド体２７を装着した例を示したが、これを逆にしてス
ライド体２７をコラム１２，１３に摺動自在に装着し、
このスライド体２７に揺動体１９を揺動自在に枢支する
ようにしてもよい。

本発明によれば、ワークを固定担持するワーク、担持装
置と、ワーク担持装置の軸方向に移動可能にしたスライ
ドユニット１０，１１と、スライドユニット１０，１１
に対して上記ワーク担持装置の軸心と直角方向に揺動可
能にしてスライドユニット１０，１１に設けた揺動体１
９と、揺動体１９の揺動中心と直角方向で、かつ揺動中
心を通る直線方向にスライド自在にして上記揺動体１９
に設けたスライド体２７と、回転軸心を揺動体１９の揺
動中心と平行にして上記スライド体２７に回転自在に設
けられ、かつ内向きに刃具３７を装着したリング状の刃
具ドラム３６と、揺動体１９を揺動する揺動体駆動手段
と、スライド体２７を往復動するスライド体駆動手段と
から工作機械を構成したから、被加工部中心と刃具ドラ
ム中心間の偏心量が大きくとれて被加工部の切削径が大
きく異なる種々の被加工材に対応することができ、し“
かも機械的にコンパクトに構成することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は正面図、
第２図はスライドユニットの一部破断側面図、第３図は
スライドユニットの正面図、第３図Ａはスライドユニッ
トのコラムを示す正面図、第４図は揺動部材の正面図、
第５図は第４図の■−■線断面矢視図、第６図は第４図
の■−■線断面矢視図、第７図はスライド体の正面図、
第８図は第７図の■−■線断面矢視図、第９図は刃具ド
ラムの駆動部を示す断面図、第１０図は各駆動用モータ
をＮＣ装置による制御装置にて制御することを示す説明
図、第１１図の各図は作用説明図、第１２図から第１４
図は本発明における刃具ドラムによる切削状態を解析す
るための説明図、第１５図、第１６図はワークに対する
刃具ドラムと刃具の大きさの関係を示す正面図と断面図
、第１７図は刃具を２連にした場合の断面図である。 １０，１１はスライドユニット、１９は揺動体、２７は
スライド体、３６は刃具ドラム、３７は刃具。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ワークを固定担持するワーク担持装置と、ワーク担
   持装置の軸方向に移動可能にしたスライドユニット１０
   ，１１と、スライドユニット１０，１１に対して上記ワ
   ーク担持装置の軸心と直角方向に揺動可能にしてスライ
   ドユニット１０，１１に設けた揺動体１９と、揺動体１
   ９の揺動中心と直角方向で、かつ揺動中心を通る直線方
   向にスライド自在にして上記揺動体１９に設けたスライ
   ド体２７と、回転軸心を揺動体１９の揺動中心と平行に
   して上記スライド体２７に回転自在に設けられ、かつ内
   向きに刃具３７を装着したリング状の刃具ドラム３６と
   、揺動体１９を揺動する揺動体駆動手段と、スライド体
   ２７を往復動するスライド体駆動手段とからなることを
   特徴とする工作機械。