JPS6310881Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主軸が内外二重構造で、かつ内外主
軸間に偏心を与え、この内外主軸の回転方向の相
対位置を変えることにより外側主軸の軸心に対す
る工具径を変化するようにした工具径可変形主軸
装置に用いる工具に関するものであり、その目的
とするところは、１個の工具にて円筒部材の内外
両面を同時に、あるいは交互に加工でき、しかも
同一の工具でもつて内外両面の種種異なる加工径
を加工できるようにした工具径可変形主軸装置に
おける工具を提供することにある。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図中１は立形のコラム、２はこのコラム１に上
下方向に摺動自在に装着された主軸ユニツト、３
はこの主軸ユニツト２に装着された工具径可変形
主軸装置である。また４はコラム１の側方に設け
られた工具ストツク用のマガジン装置で、このマ
ガジン装置４にある工具A₁と、上記工具径可変
形主軸装置３に装着された工具A₂とは工具交換
装置５にて選択的に交換されるようになつてい
る。

上記工具径可変形主軸装置３は第２図に示すよ
うになつていて、主軸６は内側主軸７と外側主軸
８の二重構造となつており、内側主軸７は外側主
軸８に対して回転可能に、かつ外側主軸８の軸心
に対してｅだけ偏心している。また内側主軸７の
先端部には、この内側主軸７の軸心に対して上記
偏心量ｅだけ偏心した位置にテーパ状の工具取付
穴９が設けてある。外側主軸８は主軸箱１０に支
承されている。

また上記主軸箱１０には主軸６を中心に複数
本、例えば３本のボールねじ軸１２が主軸６と平
行に支承されている。これらのボールねじ軸１２
の一端側には歯車１３が設けられていて、これら
歯車１３は主軸箱１０に支承された同期歯車１４
に同時に噛合されており、この同期歯車１４によ
り各ボールねじ軸１２が同期されるようになつて
いる。上記ボールねじ軸１２のうちの１本のボー
ルねじ軸の一端が歯車機構１５を介してサーボモ
ータ１６に連結してある。

上記各ボールねじ軸１２は、略３角形状をなす
シフタ本体１７の各隅部に回転自在にかつ軸方向
に係合したナツト１８に螺合してある。上記シフ
タ本体１７の中心部にはホルダ１９が回転自在
に、かつ軸方向に係合して嵌合してある。このホ
ルダ１９の内周部にはめねじ部２０が台形状に突
設されている。そしてこのめねじ部２０は外側主
軸８の外周部に軸線に沿つて形成されたガイド溝
８ａに移動自在にかつ回転方向に係合して嵌合
し、このめねじ部２０は上記内側主軸７の外周面
に形成されたおねじ部２１に螺合しており、ホル
ダ１９が軸方向に移動することにより内側主軸７
が回転するようになつている。

一方上記内側主軸７の基端部は歯車機構２２を
介して回転駆動モータ２３に連結してある。また
上記歯車機構２２の１個の歯車軸２４に割出し用
駆動歯車２５が固着してあり、この駆動歯車２５
に噛合する従動歯車２６の軸に割出し用円板２７
が固着してある。この円板２７にドツグ２８ａ，
２８ｂが設けてあり、このドツグ２８ａ，２８ｂ
に対向する位置に検出器２９が設けてある。

このような工具径可変形主軸装置にあつては、
サーボモータ１６を駆動することにより内側主軸
７が外側主軸８に対して相対的に回転される。ま
た回転駆動モータ２３を駆動することにより内・
外側主軸７，８が一体状になつて外側主軸８の軸
心を中心として回転される。さらに内側、外側主
軸７，８は上記回転駆動モータ２３と複数のドツ
グ２８ａ，２８ｂを設けた円板２７と検出器２９
により一体状になつて割出し回転される。

上記構成の工具径可変形主軸装置に用いる工具
Ａは第３図に示すようになつており、基部には内
側主軸７の工具取付穴９に嵌合するテーパ部３０
と、このテーパ部３０の先端に係止部３１が設け
てあり、この係止部３１が主軸装置の内側主軸７
内に設けたソケツト３２に係脱自在に係合するよ
うになつている。上記係止部３１とソケツト３２
の係脱はソケツト３２を軸方向に移動することに
よつてなされる。

上記工具Ａには内径用の刃具３３と、外径用の
刃具３４とが固着されている。この両刃具３３，
３４は第４図に示すように円周方向にβだけ位相
がずれて取付けられている。

上記構成における作用を以下に説明する。今第
５図に示すように、両刃具３３，３４のずれ角β
をπ／４とし、また両刃具３３，３４の刃先と軸心 からの距離をｌとする。そして内側主軸７を回転
して内側主軸７の工具取付穴９が外側主軸８の軸
心Ｏと一致した状態で上記工具取付穴９に上記工
具Ａを取付ける。

この状態から内側主軸７を回転すると工具Ａに
固着した各刃具３３，３４の加工半径γは第６図
に示す軌跡を描いて変化する。

第６図において、ａは内径用の刃具３３の、ま
たｂは外径用の刃具３４のそれぞれの軌跡であ
る。内側主軸７をθ₂だけ回転させると、両刃具３
３，３４による加工半径はγ′iとγ′oとなり、この
状態で主軸装置を回転してボス３５を加工する
と、このボス３５の内外部３５ａ，３５ｂが加工
される。このときは両方の刃具３３，３４が作用
している。次に内側主軸７を外側主軸８に対して
相対的に回転して偏心角θをθ₁にすると、外径加
工用の刃具３４の刃先はP₁からP₃に移り、内径
加工用の刃具３３の刃先はP₂からP₄に移る。こ
の状態で主軸装置を回転させると、外径加工用の
刃具３４が作用し、内径加工用の刃具３３はアイ
ドル状態となる。このためボス３５は外径３５ｃ
が加工され、外面は所定の半径γoに仕上げられ
る。次に内側主軸７の偏心角θをθ₃にすると、外
径加工用の刃具３４の刃先はP₃からP₅に移り、
内径加工用の刃具３３の刃先はP₄からP₆に移る。
この状態で主軸装置を回転させると内径加工用の
刃具３３が作用し、外径加工用の刃具３４はアイ
ドル状態となる。このためボス３５は内径３５ｄ
が加工され、内面は所定の半径γiに仕上げられ
る。

なお上記加工手順において、取代が少ない場合
には、最初から偏心角をθ₁にして外面を加工し、
次にθ₃にして内面加工を行なつてもよい。

また上記加工径は２個の刃具３３，３４間の位
相のずれ角β及び刃具長ｌを変えることにより調
整できる。

第７図、第８図、第９図は上記両刃具３３，３
４の取付構造の実施例を示すもので、内径加工用
の刃具３３は第７図に示すように長孔３６，３６
にボルト３７，３７を挿入して固着し、長孔３
６，３６の長さにわたつて半径方向に寸法調整自
在となつている。また外径加工用の刃具３４は第
８図に示すように、その基部が工具本体に対して
半径方向に出入り自在に嵌挿し、これを押しボル
ト３８，３８にて押し付け固定し、上記基部を工
具本体から出入りすることにより半径方向の寸法
調整が行なわれるようになつている。また第９図
は両刃具３３，３４の取付手段の他の実施例であ
り、両刃具３３，３４の一方をリング部材３９に
固着し、このリング部材３９を工具本体に対して
回転することにより、両刃具３３，３４の位相ず
れ角βを調整することができる。

本考案は上記のようになるから、１個の工具に
て円筒部材の内外両面を同時に、あるいは交互に
加工でき、しかも同一の工具でもつて内外両面の
種々異なる加工径を加工でき、円筒部材の内外両
面加工を、工具交換することなく能率よく加工す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は工具径可変形主軸装置の全体を示す正
面図、第２図は要部を示す断面図、第３図は本考
案に係る工具の側面図、第４図はその正面図、第
５図は工具を主軸装置に取付けた状態を模式的に
示す正面図、第６図は工具の偏心角の変化に対す
る加工半径の変化を示す線図、第７図から第９図
は各刃具の取付け部の実施例図である。 ７は内側主軸、８は外側主軸、９は工具取付
穴、３３，３４は刃具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転自在に支承された外側主軸８と、この外側
   主軸８の中心に対して偏心量ｅだけ偏心した位置
   に回転可能に支承され、かつ先端部にこれの回転
   中心に対して偏心した位置に工具取付穴９を設け
   た内側主軸７と、この内側主軸７の工具取付穴９
   に係脱可能に取付けられるようにした取付部を有
   し、かつ内径側加工用の刃具３３と外径側加工用
   の刃具３４とを円周方向に位置をずらせて固着し
   た工具Ａとからなることを特徴とする工具径可変
   形加工装置。