JPS6040938Y2 - パツキン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は軸とハウジングとの相対移動する二部材間を密
封するパツキンに関する。

更に詳細には、摺動側シール部が摩耗しても、当該シー
ル部の密封接触面圧が低下しないようにした断面■形状
のパツキンに関する。

本考案に関する先行技術としては第１図に示すもの（実
公昭５２−４８２９３号公報）がある。

第１図は軸２の外周面とハウジング３の穴との間隙を密
封するために、断面■形状の内外周りツブ４，８にシー
ル部１４．１５を設けた環状のパツキン５を層状に重ね
て、軸２とハウジング３との空間部に装着し、軸方向両
側のアダプタ６．７により各パツキン５が弾性的に押圧
されているものである。

このような構成をするパツキンの両リップ４゜８に有す
る各シール部はアダプタからの押圧力によって軸２とハ
ウジング３の各周面に密封接触している。

、しかし、内周リップ４は軸２と接触摺動しているので
摩耗する結果となる。

一方、パツキン５のハウジング３側と接触する外周りツ
ブ８は非摺動接触であるから摩耗の発生が少ない。

このような態様に於て、軸２と接触している内周リップ
４が摺動によりますます摩耗すると、第２図に示すよう
に、内周リップ４のシール部１５と軸２との間に間隙が
生ずるから、内周リップ４の重ね合せた凹面９と凸面１
０との間にも間隙が生ずることになる。

その結果、アダプタ６．７からの押圧力は非摺動側の外
周りツブ８のみを、層状方向に押圧することになり、摺
動側の内周リップ４には作用しなくなる。

従って、内周リップの軸２への密封接触力は急速に低下
することになる。

つまり、内周リップ４のシール部１４は摩耗すると軸２
との密封接触力を弱め、パツキンとしての密封性に欠点
が生ずる。

本考案は上述のような問題点に鑑み威されたもので、本
考案の目的は、シールリップの摺動側の接触部が摩耗し
ても、相手部材への密封性が低下しないようにしたもの
である。

このため本考案は以下のように構成されている。

即ち、相対摺動可能な軸とハウジングの穴との間に１個
又は複数個嵌着して軸方向両側からアダプタにより挾持
されるパツキンであって、前記パツキンが内周リップと
外周リップとにより断面略Ｖ形状を威して軸方向両側面
に凹面と凸面とを形威し、前記パツキンの摺動側リップ
の凹面又は凸面に前記凹面又は凸面より突起した凸周面
部を設け、前記パツキンとアダプタとを重ね合せて、前
記非摺動側リップの重ね合せた凹面又は凸面側に環状間
隙を形成できるようにしたものである。

上述のように構成することによって、本考案は以下のよ
うな特有の効果を生ずる。

パツキンの摺動側リップに凸周面部が設けられているの
で、単数又は複数のパツキンとアダプタとを重ね合せる
と、摺動側のリップの重ね合せ面は接面しても、非摺動
側のリップの重ね合せ面は接面しないから、この接面し
ない面間に環状間隙を生ずる。

つまり、両側のアダプタにより押圧力を受けるとパツキ
ンの摺動側のリップの重ね合せ面のみが互いに接面し、
摺動側のリップはシール部が相手摺動部材周面と接触す
るような力を受ける。

その結果、摺動側のリップのシール部が相手との摺動接
触により摩耗しても、非摺動側のリップの環状間隙を形
成する両面が接面するまで、摺動側のリップのシール部
と相手摺動部材とが密封的に接面することができるので
、パツキンのシール部は相手摺動部材との密封性を効果
的に保持することが期待できる。

以下本考案の実施例によって詳細に説明する。

第３図は軸２とハウジング３との間隙に設けられた空間
部に層状に重ねられたパツキン２０を配置し、このパツ
キン２０を軸方向両側より雄アダプタ２１と雌アダプタ
２２を介して押圧されているものである。

この押圧力はスプリング２３により威されているが、ア
ダプタ２１．２２の弾性力等によって押圧することも可
能である。

パツキン２０は外周りツブ２４と内周リップ２５とによ
り軸方向両側面が凹面２８と凸面２９とを形成するよう
に断面路Ｖ形状をしたゴム状弾性材製の環状体である。

内周リップ２５の軸２と接触する側及び外周りツブ２４
のハウジング３と接触する側にはシール部２６．２７が
設けられている。

そして、パツキン２０の内周リップ２５の凹面２８は外
周りツブ２４の凹面２８よりも対称にして軸方向に突起
した一体の環状の凸周面部３１を有している。

従って、パツキン２０の凹面２８に他のパツキン２０の
凸面２９を重ね合せると、内周リップの凹面２８と凸面
２９とは互いに接面するが、外周りツブ２４の凹面２１
と凸面２９は対応面間に環状間隙３０を形成して接面し
ない。

又、この凸周面部３１はパツキンの内周リップ２５の凸
面２９に設けることもできる。

つまり、外周りツブ２４の重ね合せ面に環状間隙３０を
形成するものであれば、凹面２８又は凸面２９のどちら
に設けても良いわけである。

次に、雄アダプタ２１は押圧方向に凸面２９と同様の外
形をした凸部３２を有し、この凸部３２の面は内周リッ
プ２５の凸周面部３１の面に接面すると共に、外周りツ
ブ２４の凹面２８とは環状間隙３０を形成するように重
ね合さる。

又、雌アダプタ２２はパツキン２０の凸面２９と外形が
同形状をした凹部３３を有して、パツキン２０の凸面２
−９と接合する。

本考案は上述のように構成することによって、以下のよ
うな作用と効果を威す。

本考案の層状に重ねられたパツキン２０を雄アダプタ２
１と雌アダプタ２２により軸方向両側から押圧されるこ
とによって、両リップ２４．２５のシール部２６゜２７
と軸２及びハウジング３の穴の周面とが密封接触してい
る。

そして、パツキン２０に対し軸２はたえず摺動するから
、長期間には内周リップ２５のシール部２６が摩耗する
ことになる。

しかし、内周リップ２５に凸周面部３１が設けられて、
各パツキン２０及びアダプタ２１．２２との重ね合せ面
は内周リップ２５のみが接面しているから、雌アダプタ
２２の押圧力は内周リップ２５のシール部２６のみを軸
２に対して接面するように押圧する。

つまり、外周りツブ２４の環状間隙３０を形成している
凹面２８と凸面２９が接面するまで、雌アダプタ側から
の押圧力は内周リップ２５のシール部２６のみを軸２に
対して密封接触するように作用させる。

従って、本考案のパツキンはシール部が摩耗しても長期
間にわたって効果的に密封性を発揮することが期待でき
る。

第４図は本考案の他の実施態様としてパツキン２０が１
個の場合である。

この場合も、上述と同様の密封性を有する作用効果を発
揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の密封装置の半断面図、第２図は従来の密
封装置のパツキンのシール部が摩耗したときのパツキン
とアダプタとの重ね合せ面の状態を示す断面図、第３図
は本考案の密封装置のパツキンを示す半断面図、第４図
は本考案の他の実施例を示す密封装置のパツキンの半断
面図である。 ２・・・・・・軸、３・・・・・・ハウジング、４・・
・・・・内周リップ、５・・・・・・パツキン、６・・
・・・・アダプタ、７・・・・・・アダプタ、訃・・・
・・外周リップ、９・・・・・・凹面、１０・・・・・
・凸面、１４・・・・・・シール部、１５・・・・・・
シール部、２０・・・・・・パツキン、２１・・・・・
・雄アダプタ、２２・・・・・・雌アダプタ、２３・・
・・・・スプリング、２４・・・・・・外周リップ、２
５・・・・・・内周リップ、２６・・・・・・シール部
、２７・・・・・・シール部、２８・・・・・・凹面、
２９・・・・・・凸面、３０・・・・・・環状間隙、３
１・・・・・・凸周面部、３２・・・・・・凸部、３３
・・・・・・凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 相対移動する軸とハウジンの穴との間隙に１個又は複数
   個嵌着して軸方向両側からアダプタ２１．２２により挾
   持されるパツキンであって、前記パツキンが内周リップ
   ２５と外周りツブ２４とにより断面略Ｖ形状を威して軸
   方向両側面に凹面２８と凸面２９とを形成し、前記パツ
   キンの摺動側リップの凹面２８又は凸面２９に前記凹面
   ２８又は凸面２９より突起した凸周面部３１を設け、前
   記パツキンと前記アダプタとを重ね合せて、前記非摺動
   側リップの重ね合せた凹面２８又は凸面２９側に環状間
   隙３０を形成できるようにしたパツキン。