JPS6215562Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は油圧機器のシール手段においてパツキ
ン等の損傷防止のために使用されるバツクアツプ
リングに関する。

ピストンとシリンダ、ピストンロツドとシリン
ダカバー、或いは旋回軸と旋回台の如く、互いに
嵌合する２部材が、液圧による負荷を受けながら
軸方向又は円周方向の相対運動をなす液圧機器に
おいては、両部材間の隙間をシールするために、
相対運動をなす２部材の一方に削設された環状溝
内に、ゴム状弾性材料製のパツキン等を挿入して
２部材間の隙間を閉塞させるのが通常であるが、
この種のシール手段においては、高圧の作動液圧
を受けたパツキン等が受圧側と反対側の背部を２
部材間の隙間にくい込まれて損傷させられるのを
防護するために、パツキン等の背部にパツキン等
の材料に比し大なる強度を備える合成樹脂材料製
のバツクアツプリングが使用されている。

第１図及び第２図は上記したバツクアツプリン
グを使用するシール手段の一例を示すもので、第
１図の例においては、相対移動をなす２部材の一
方の部材１の内周面に削設された環状溝３内に、
ゴム状弾性材料製のパツキン６が他方の部材２の
周面と弾性接触する如くに挿入されて両部材１、
２間の隙間４を閉塞しており、パツキン６の受圧
側に対し反対側の背部７が断面略五角形状に欠除
され、この欠除部に、パツキン６の材料に比し大
なる強さを備える材料製のバツクアツプリング１
０が挿入されてパツキン６の隙間４内へのくい込
みを防護している。

第２図の他の例においては、一方の部材１の環
状溝３内に弗素系合成樹脂材の如く耐摩耗性に富
む材料製の摺動リング１１が他方の部材２の周面
と弾性接触する如くに挿入されて両部材１、２間
の隙間４を閉塞しており、摺動リング１１と環状
溝３の底周面との間に、ゴム状弾性材料製のバツ
クリング１２が介挿されて摺動リング１１を他方
の部材２の周面側へ付勢しており、更に摺動リン
グ１１及びバツクリング１２の軸方向両端部に断
面略四角形状の環状空所が形成され、この環状空
所内に、高強度の合成樹脂材料製のバツクアツプ
リング１０が挿入されて、図上、上下両側面に交
互に作用する作動液圧を受けた摺動リング１１が
隙間４内へくい込まれて損傷させられるのを防護
している。

上記したシール手段においては、パツキン６又
は摺動リング１１に対する防護機能を確実になす
ために、バツクアツプリング１０と他方の部材２
の周面との隙間が最小限に設定されるが、この隙
間が僅少であることは他方の部材２との嵌合時の
困難性を招来し、更にバツクアツプリング１０が
やゝ硬質である所から環状溝３内への挿入が困難
であるために、バツクアツプリング１０を切断し
て環状体の径寸法を変化させ得るようにする構成
が用いられている。バツクアツプリング１０に対
する切断は、従来第３図及び第４図に示す様に、
切断部１４を通る半径１５を含み、中心軸線１６
と交差する面によつてなされるのが通常であつた
が、この様に切断されたものにおいては、作動圧
力を受けたときに、第４図上に点線をもつて示す
様に、切断部１４に形成される鋭角端片１７が軸
方向の荷重を受けて対向する切断面１８に圧接し
て切断部１４に形成される隙間を閉塞するが、径
方向の負荷に対しては隙間が残存するので、ゴム
状弾性材製のパツキン６（第２図の例においては
バツクリング１２）がこの残存隙間内にすみ肉部
をくい込ませ、いわゆるハミ出し現象を生起させ
るため、圧力負荷の繰返し作動に伴なうハミ出し
現象の繰返しによりパツキン６又はバツクリング
１２が損傷してシール機能を失なうに至る。

上記した従来技術によるバツクアツプリングに
おける問題点を解消するために、第５図及び第６
図に示すようなバツクアツプリングを使用して相
当の成果をあげることができた。（昭和54年実用
新案登録願第92793号、実開昭56−10544号公報参
照）第５図及び第６図のバツクアツプリングは、
環状体の１箇所に環状体の円周に対する切線２１
に対し傾斜角〓を保つて環状体の内周側から外周
側へ伸びる切断部１４を設け、この切断部１４を
挟む両端末部の一方に形成された鋭角端片１７が
径方向の圧力負荷を受けて対向する切断面１８に
圧接して切断部１４に形成される隙間を外周側に
おいて閉塞するようになされている。このバツク
アツプリングにおいては外周側の隙間がなくなつ
たことにより径方向の圧力負荷によるパツキン又
はバツクリングのくい込みはなくなるが軸方向負
荷による内周側に残存する隙間へのくい込みによ
りパツキン、バツクリングの損傷を生じることが
あつた。

本考案は上記した従来技術によるバツクアツプ
リングの切断部における問題点に鑑み、バツクア
ツプリングの切断面を、バツクアツプリングを構
成する環状体の半径に平行する線を含み、かつ環
状体の端面に対し傾斜する平面により形成させ
て、切断面の稜縁部が環状体の周面側と端面側と
を通して鋭角な端縁を形成し、この鋭角端縁が対
向する切断面に圧接して切断部の隙間を閉塞する
ようになして、バツクリング、パツキンのくい込
みを防止するようにするものである。

以下、図面により本考案の実施例について説明
する。第７図及び第８図の実施例は環状体の断面
形状が略五角形のもので、環状体の切断面が、環
状体の任意の半径１５に平行する線２３を含んで
環状体の端面２４に対し傾斜角θを示す平面によ
つて形成されている。切断によつて形成される両
端末部のうち半径１５に近い方の内方端末部２５
は内周側及び第８図上の下方端面側において鋭角
の端縁を形成し、外周側及び第７図上の上方端面
側に鈍角の端縁を形成し、半径１５に対し遠い方
の外方端末部２６は外周側及び第７図上の上方の
端面側に鋭角の端縁を形成し、内周側及び第７図
上の下方の端面側に鈍角の端縁を形成している。

第９図及び第１０図の他の実施例は環状体の断
面形状が略四角形状のもので、切断面は上記の実
施例と同様に半径１５の平行線２３を含み、かつ
環状体の端面２４との間に傾斜角θを保つ平面に
よつて構成され、内方端末部２５は内周側及び図
上下方の端面側に、外方端末部２６は外周側及び
図上上方の端面側に、それぞれ鋭角の端縁を形成
し、他の稜縁部に鈍角の端縁を形成している。

上記した環状体の切断面は、理論上、半径１５
に対する平行線２３の位置を半径１５に近接する
位置から環状体内周面近傍まで任意に取り、端面
２４に対する切断面の傾斜角θを90゜以下の任意
角度となすことができるが、実際上から半径１５
から平行線２３までの距離を環状体半径の２／３
程度とし、傾斜角θを60゜程度に設定することが
好適である。

本考案のバツクアツプリングは上記したよう
に、切断面が環状体の半径に平行する線を含み、
かつ環状体の端面に対し傾斜する一平面によつて
形成され、切断により形成される端末部が一方の
周面と一方の端面とを通して鋭角の端縁を形成し
ているので、切断部の隙間がこの鋭角の端縁部に
より、周面及び端面を通して完全に閉塞されるの
で、ゴム状弾性材製のバツクリング又はパツキン
のハミ出し現象が阻止され、従つてバツクリン
グ、パツキンを良好に防護し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はそれぞれ、本考案の対象と
なるバツクアツプリングを使用したシール手段の
構造を示す断面図、第３図及び第４図は従来技術
によるバツクアツプリングの一例を示すもので第
３図は平面図、第４図は断面図、第５図及び第６
図は一部改良されたバツクアツプリングを示すも
ので第５図は平面図、第６図は断面図、第７図は
本考案の一実施例の断面図、第８図は同平面図、
第９図は本考案の他の実施例の断面図、第１０図
は同平面図である。 １……一方の部材、２……他方の部材、３……
環状溝、４……隙間、６……パツキン、７……背
部、１０……バツクアツプリング、１１……摺動
リング、１２……バツクリング、１４……切断
部、１５……半径、１６……中心軸線、１７……
鋭角端片、１８……切断面、２１……切線、２３
……平行線、２４……端面、２５……内方端末
部、２６……外方端末部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 環状体をなし、前記環状体の半径に平行する直
   線を含み、前記環状体の端面に対し傾斜する平面
   によつて切断された前記環状体における切断面
   が、前記環状体の前記半径と中心軸線とを含む平
   面と交差することがない一平面で形成されている
   ことを特徴とするバツクアツプリング。