JPS6037289B2 - 火花点火式内燃機関 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は少なくとも１つの主燃焼室と、この主燃焼室か
ら隔てられた点火室と、主燃焼室から点火室へ混合気を
供給すべく点火室内に接線方向で開口した少なくとも１
つの溢流通路とを備えた火花点火式内燃機関であって、
点火室が円形横断面を有しており、点火室の外周範囲に
、点火電極及び火花間隙を有する点火装置が設けられて
いる形式のものに関する。

従来の技術 点火室を設けることにより、点火室から噴出する炎によ
って主燃焼室内の混合気が点され、極度に薄い混合気で
も点火可能となることは周知のことである。

点火室内の混合気の点火は点火プラグによって行なわれ
るのが一般である。点火室内の混合気を点火するために
、公知技術では、主燃焼室から点火室内へ流入した薄い
混合気に付加的な燃料を噴射して点火室内の混合気が濃
くされる。しかし、この種の層式給気方式では、噴射弁
に付着した煤の影響で混合気の調整が不良となり、点火
プラグ近傍領域で混合気が過剰に濃厚となり、点火に息
切れが生じ又は不完全燃焼を併発し、機関効率が低下す
るとともに、排ガス組成が悪化する。うず室として形成
された点火室の一般的な礎成では、接線方向で流入する
混合気流によって生じる遠心力が混合気の比較的重い燃
料満に著しく作用するため、層式給気万式での前述の難
点は一層深刻となる。この難点は回転ピストン機関でも
同機に生じるが、回転ピストン機関の場合は、ピストン
の回転につれて主燃焼室が循環する点が相違する。上述
の難点を排除するために、点火室に隣接して特別室を設
け、この特別室に点火プラグを配置し、点火室から特別
室内へ通路を介して流入し混合気を点火する形式の層式
給気方式も公知である。

この方式では点火室と特別室とを接続する比較的狭い通
路に煤が堆積するおそれが多い。その上「点火室内にう
ずが生ぜず、着火速度が減少し、主演合気の燃焼が不具
合となる。上述の層式給気方式のいずれも、直接噴射装
置を要し、噴射時点、点火時点及び機関のピストン位置
を適宜対応させる必要があるため、コストが高い。

可能な限り最大の出力を得るために、圧縮比を高め、混
合気の比較的大きな部分をうずく（回転流）にする形式
の、点火室を備えた内燃機関も公知である。

しかし、この内燃機関はいわゆる柔軟性に乏しく、排ガ
スの組成もよくない。主燃焼室の圧縮比が高いと、混合
気温度が高くなり、いわゆる熱巣（温度が特に高い所）
が生じ、混合気の自己点火を生じる危険がある。この自
己点火は主燃焼室内の混合気の回転によって回避できる
が、しかし、高圧縦比と主混合気の強い回転とを併用す
れば、同様に機関は柔軟性に乏しくなるとともに、乱流
領域が大きくなるために混合気の着火性が悪くなる。着
火性、排ガス、運転静粛性、出力、燃費等への要求は、
部分的には互いに矛盾する複雑な要求であり、これらを
最良に適合させることは必要であるが極めて困難である
。本発明が解決しようとする問題点 そこで本発明の課題は、これまで述べた困難を回避すべ
く、点火室の内壁に沿ってかく乱運動に乏しい境界層を
形成して、公知技術に対してまったく新しい形式で点火
室内の混合気を最良な状態で点火させることにある。

問題点を解決した本発明の手段 上記課題を解決した本発明の要旨は点火室がほぼ円筒状
に形成されており、火花間隙がほぼ半径方向で点火室内
に配置されており、かつ、点火装置のアース電極が点火
室の周壁によって形成されていることにある。

本発明の作用 本発明によれば、点火室内で点火されるべき混合気が、
点火室内へ接線方向で閉口した溢流速路を介して主燃焼
室から供給され、これにより点火室内の円筒うず流若し
くは回転流が生じる。

主燃焼室から点火室が隔離されているため、かつ混合気
が点火室内へ接線方向で流入するため、点火室内にいわ
ゆる固体うずが初めに生じ、この固体うずが増大してポ
テンシャルうずを形成し、これによって燃料と空気との
均一な混合が良好に行なわれる。本発明によれば点火室
内への付加的な噴射を行なわないため、この均一な混合
が妨げられない。このうず内の混合気速度は境界層領域
ではわずかであり、しかもかく乱が生じても極めて細か
い。混合気が均一にもかかわらず、遠心力に基づいて境
界層内では混合気が若干濃密となる。このように混合気
が濃密となる点火室壁境界層内に点火プラグの電極が配
置される。これによって、点火室内の混合気濃度が極め
て薄くても、着火性が向上する。点火室内での点火過程
が主燃焼室内の燃焼過程から隔離されて行なわれるため
、主燃焼室の最良の形状への要求が点火室によって影響
されない。従来→般には空気過剰入＝１．３が点火の限
界であったが、本発明によれば空気過剰率＾＝１．６の
混合気でも点火することができる。薄い混合気が点火し
難い主な原因は点火プラグ領域内の混合気の不均一性並
びに混合気速度及び乱流組織（うずの大きさ）の不適性
にある。圧縮過程の終りで主燃焼室と点火室との容積比
が５以上あるのがよく、有利には１０〜２５である。

点火室の容積比が小さい方が、比表面がわずかであるた
め、熱損失及び炭化水素ェミッションが少なくて有利で
ある。同じ理由から、点火室と主燃焼室との間の溢流通
路も可能な限り短い方がよい。その長さは使用材料並び
に高熱個所での灼熱点のおそれによって制限される。４
・さし、点火室内では燃焼持続時間も比較的短かく、ひ
いては主演合気のいわゆる点火おくれ時間はわずかであ
り、このことは特に高回転で有利である。

それというのは圧縮された主演合気は程度の差これあれ
周辺から点火されるからである。回転ピストン機関では
、点火室から出る炎噴流が循環する主燃焼室を十分な時
間にわたってなめ、かつこれによって主混合気の迅速か
つ確実な燃焼が可能であると有利である。点火室が比較
的小さい場合には、点火室が比較的大きい場合に比して
混合気の回転も小さく、それに相応して壁面での熱損失
もわずかである。さらに、混合気の回転が小さいと、燃
焼開始時の圧力上昇も小さく、従って機関の運転が比較
的柔軟となるとともに、機械的損失がわずかとなり、ひ
いては材料負荷がわずかになるという利点が伴なう。点
火室が４・さし、程、その中に生じるポテンシャルうず
も一層小さい。ポテンシャルうず自体はいわゆる分散う
ずの多数の小さいうずから構成され、この分散うずの寸
法は主うず又はポテンシャルうずに比例している。しか
しうずの着火能力はその大きさ１こ依存する。うずが小
さければ小さい程、混合気は一層均一となり、一層点火
しやすい。物質交換及び運動量交換に関連して、小さい
点火室内には秩序ある流れが生じるとともに、特に壁範
囲内に微細なうずを生じ、これによって大きな点火室に
比して着火能力が効果的となる。このことは本発明の重
要な点である。本発明の１実施態様では、点火電極が点
火室の壁に対してほぼ平行にかつうずの流れ方向に対し
て直角に配置されている。

本発明の別の実施態様では、点火室が主燃焼室内に突入
している。

本発明のさらに別の実施態様では、点火室の端面が完全
に主燃焼室内へ突入しており、かつ、少なくとも、この
端面に境を接していて溢流通路の関口部を備えた範囲が
同様に主燃焼室内へ突入している。

本発明のさらに別の実施態様では、すべての溢流通路が
同じうずで作用するように配置されている。

本発明のさらに別の実施態様では、点火室の端面がほぼ
平らに形成されており、かつ、互いに逆方向に回転する
２つのうずが生じるように２つの溢流通路が両端面のご
く近くで点火室内へ開口している。

本発明のさらに別の実施態様では、内燃機関のシリンダ
又はシリンダヘッド内に交換可能に配置された点火装置
及び溢流通路を備えた点火室挿入体内に点火室が位置し
ている。

本発明のさらに別の実施態様では、前記点火室挿入体が
固定のためにその外周面の少なくとも１部分にねじ山を
備えてねじ込み可能に形成されている。

本発明のさらに別の実施態様では、点火室がエンジンケ
ーシングへ向って断熱されている。

本発明のさらに別の実施態様では、点火室が点火室挿入
体内に設けられており、この点火室挿入体の一部が空気
室によってエンジンへ向かって断熱されている。本発明
のさらに別の実施態様では、混合気うず流の流れ方向で
点火装置の手前に位置する、点火室の壁が断熱されてい
る。

実施例 次に図示の実施例を説明する。

第１図及び第２図は本発明の１実施例を示す。

点火室８はシリンダヘッド３に設けた孔内に挿入された
点火室挿入体１３，１４内に形成されている。点火室８
は円筒形に形成されており、この点火室８内に互いに平
行に配置された２つの溢流通路７が援線方向に開□して
いる。この溢流通路７は点火室８と主燃焼室４とを接続
せしめている。溢流通路７はそれぞれ点火室８の端壁の
１方に片寄せられており、従って特に第１図から判るよ
うに２つの円筒うずが互いに並列に生じ、これらの円筒
うずの回転方向は第１図の矢印によって示すように互い
に逆である。これによ、両方のうずの境界範囲内に微細
なうずから成る極めて大きな乱流領域が生じ、高い炎速
度が得られる。炎速度もしくは反応速度のこの上昇は両
方のうずの間の極めて大きな速度勾配の結果であり、こ
の速度勾配は運動量交換、物質交換及び熱交換の量をも
規定する。混合気の反応が迅速であるため、出力最大の
点火時点を遅らせることができ、機関のノッキング傾向
を削減する。本発明に基づく点火室及び溢流通路の形状
によって、点火室から主燃焼室内へ向かう炎噴流を最適
の方向に向けることができる。１つの点火室内に２つの
逆方向のうずを形成させることは、自明なように、均一
な混合気流によって作動する内燃機関に適用されるばか
りではなく、広くあらゆる点火室、特に層状給気方式の
点火室を有する機関並びにディーゼル機関にも有利に援
用される。

点火室内の混合気を良好に点火することができるように
、第１図に示す実施例では、点火室８が空気室１９によ
ってシリンダヘッド３から断熱されている。

この空気室１９は特に点火室８の未燃焼の混合気が点火
プラグに向って擦過して行く側に配置されている。この
空気室の代りに他の断熱材を使用することもできる。第
１図及び第２図に示すように、点火のために点火電極と
して役立つただ１つの電極２０を備えた点火プラグ１１
が使用されている。

アース電極は点火室の壁自体が形成している。第２図に
示すように、電極２０を適当に長く構成することによっ
て、両方のうずを１つの点火プラグ１１によって同時に
点火することができる。アース電極を点火室の壁によっ
て形成したため、電極２０からじかに点火室の壁に向っ
て点火火花が生じ、混合気の壁面境界層が有利にこの点
火火花によって着火される。点火室の壁面が触媒作用を
有する表面を備えていると点火に有利である。

このことは例えば点火室挿入体１３，１４をニッケル製
にすることによって達成することができる。溢流通路７
の横断面を円形又は楕円形にすることもできる。

点火室がたんに１つの溢流通路ひいては１つのうずを有
するに過ぎない場合には、溢流通路の横断面の最軸がう
ず（回転流）の中心軸線に対して平行になるように溢流
通路を形成するのが有利である。実験によれば、溢流通
路の全横断面積／点火室の横断面積の比が０．１〜０．
４殊に０．１５〜０．３であるのが有利である。これに
よって、点火機能を損なうことないこ、点火室と主燃焼
室との明白な隔離が可能である。電極２川ま両方の溢流
通路の関口と関口との中央に配置されるのが有利である
。

溢流通路７を１つだけ設けることもできる。

その場合には、電極２０が溢流通路の関口と向かい合わ
せに配置される。第３図及び第４図に示す実施例では、
点火室挿入体１３が半球状の主燃焼室４内へ突入してい
る。

点火炎噴流によって、主燃焼室内の主混合気の着火を良
好にするために、この実施例では３つの溢流通路７が点
火室８内へ接線方向で閉口するように、断面ほぼ三角形
の点火室挿入体の各辺に沿って配置されている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１実施例の部分断面図、第２図は第１
図の０−ロ線に沿った断面図、第３図は本発明の別の実
施例の断面図及び第４図は第３図のＷ−Ｗ線に沿った断
面図である。 ３・・・シリンダヘッド、４・・・主燃焼室、７・・・
溢流通路、８・・・点火室、１１・・・点火プラグ、１
３，１４・・・点火室挿入体、１９・・・空気室、２０
・・・電極。 第１図第２図 第３図 第４図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 少なくとも１つの主燃焼室と、この主燃焼室から隔
   てられた点火室と、主燃焼室から点火室へ混合気を供給
   すべく点火室内に接線方向で開口した少なくとも１つの
   溢流通路とを備えた火花点火式内燃機関であつて、点火
   室の外周範囲に、点火電極及び火花間隙を有する点火装
   置が設けられている形式のものにおいて、点火室８がほ
   ぼ円筒状に形成されており、火花間隙がほぼ半径方向で
   点火室８内に配置されており、かつ、点火装置のアース
   電極が点火室の周壁によつて形成されていることを特徴
   とする火花点火式内燃機関。 ２ 点火電極２０が点火室８の壁に対してほぼ平行にか
   つうずの流れ方向に対して直角に配置されている特許請
   求の範囲第１項記載の火花点火式内燃機関。 ３ 点火室８が主燃焼室内に突入している特許請求の範
   囲第１項又は第２項記載の火花点火式内燃機関。 ４ 点火室８の端面が完全に主燃焼室内へ突入しており
   、かつ、少なくとも、この端面に境を接していて溢流通
   路７の開口部を備えた範囲が同様に主燃焼室内へ突入し
   ている特許請求の範囲第３項記載の火花点火式内燃機関
   。 ５ すべての溢流通路７が同じうず流方向で作用するよ
   うに配置されている特許請求の範囲第４項記載の火花点
   火式内燃機関。 ６ 点火室の端面がほぼ平らに形成されており、かつ、
   互いに逆方向に回転する２つのうずが生じるように２つ
   の溢流通路７が両端面のごく近くで点火室８内へ開口し
   ている特許請求の範囲第１項から第３項までのいずれか
   １項記載の火花点火式内燃機関。 ７ 内燃機関のシリンダ又はシリンダヘツド内に交換可
   能に配置された点火装置及び溢流通路７を備えた点火室
   挿入体１３，１４内に点火室８が位置している特許請求
   の範囲第１項から第６項までのいずれか１項記載の火花
   点火式内燃機関。 ８ 前記点火室挿入体が固定のためにその外周面の少な
   くとも１部分にねじ山を備えてねじ込み可能に形成され
   ている特許請求の範囲第７項記載の火花点火式内燃機関
   。 ９ 点火室８がエンジンケーシングへ向かつて断熱され
   ている特許請求の範囲第１項から第８項までのいずれか
   １項記載の火花点火式内燃機関。 １０ 点火室が点火室挿入体１３，１４内に設けられて
   おり、この点火室挿入体の一部が空気室１９によつてエ
   ンジンへ向つて断熱されている特許請求の範囲第９項記
   載の火花点火式内燃機関。 １１ 混合気うず流の流れ方向で点火装置の手前に位置
   すると、点火室８の壁が断熱されている特許請求の範囲
   第１０項記載の火花点火式内燃機関。