JP3852281B2 - 筒内噴射式火花点火内燃機関 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内噴射式火花点火内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧縮行程後半において気筒内へ直接的に燃料を噴射することによって着火性の良好な可燃混合気を点火プラグ近傍だけに形成し、気筒内全体としてはリーンな混合気を燃焼可能な成層燃焼を実現する筒内噴射式火花点火内燃機関が公知である。
【0003】
このような成層燃焼において、点火プラグ近傍に良好な可燃混合気を形成するために、シリンダボアの吸気ポート側に沿って下降してピストン頂面を介して上昇する縦旋回流(以下、逆タンブル流と称する)を利用して、圧縮行程後半の噴射燃料を気化させると共に点火プラグ近傍に集中させることが提案されている。このためには、圧縮行程後半でも逆タンブル流を持続させなければならず、吸気ポート形状を工夫する等して、吸気行程において比較的強い逆タンブル流を生成することが必要である。
【0004】
ところで、成層燃焼は、圧縮行程後半の限られた時間で燃料を噴射しなければならないために、多量の燃料を噴射することは難しい。それにより、一般的な筒内噴射式火花点火内燃機関では、多量の燃料が必要な機関高負荷時には、燃料消費率の低い成層燃焼を断念し、吸気行程で燃料を噴射して点火時点において気筒内に均質混合気を形成する均質燃焼を実施するようになっている。
【0005】
均質燃焼を良好なものにするためには、気筒内の乱れを利用して燃焼速度を速めることが必要である。しかしながら、均質燃焼の燃焼速度を速めるほどの強い逆タンブル流が圧縮行程後半において気筒内に持続されていると、成層燃焼時においては気流が強くなりすぎ、混合気の成層度が低下して良好な成層燃焼が実現できなくなる。
【0006】
特開平9−256858号公報には、吸気ポート内を隔壁によって分割して、気筒内に逆タンブル流を生成するための逆タンブルポート部と、逆タンブル流とは反対方向に縦旋回する順タンブル流を気筒内に生成するための順タンブルポート部とを形成し、順タンブルポートを閉鎖する制御弁を備える筒内噴射式火花点火内燃機関が記載されている。
【0007】
この筒内噴射式火花点火内燃機関は、成層燃焼時に、制御弁によって順タンブルポート部を閉鎖し、逆タンブルポート部だけを使用して気筒内に逆タンブル流を生成することにより、前述のように点火プラグ近傍に良好な可燃混合気を形成することを可能とし、また、均質燃焼時には、制御弁を開弁して順タンブルポート部を開放し、気筒内に、逆タンブルポート部を使用しての逆タンブル流と、順タンブルポート部を使用しての順タンブル流とを生成することにより、逆タンブル流と順タンブル流とを互いに衝突させて気筒内に乱流を発生させ、この乱れが点火まで持続するために均質燃焼の燃焼速度が速まるとしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来技術によって、成層燃焼における点火プラグ近傍の良好な可燃混合気の形成と、均質燃焼における燃焼速度向上との両方が、ある程度は実現することができる。しかしながら、そのためには、前述したように制御弁とその駆動装置とが必要であり、機関吸気系を複雑にしてそのコストを上昇させる。もし、制御弁を省略すれば、成層燃焼時にも、気筒内には圧縮行程後半で乱れがもたらされることとなり、点火プラグ近傍の良好な可燃混合気の形成が不可能となる。
【0009】
従って、本発明の目的は、成層燃焼における点火プラグ近傍の良好な可燃混合気の形成と、均質燃焼における燃焼速度向上とを、機関吸気系を複雑にすることなく実現可能とする筒内噴射式火花点火内燃機関を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、気筒内へ直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁と、ピストン頂面のキャビティとを具備して、成層燃焼と均質燃焼とを実施する筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記成層燃焼時に前記燃料噴射弁から圧縮行程で噴射された燃料によって前記点火プラグ近傍に可燃混合気を形成するために利用可能な吸気の第一縦旋回流を気筒内に生成するための第一生成手段と、前記第一縦旋回流と並列して逆方向に旋回する吸気の第二縦旋回流を生成するための第二生成手段とを具備し、前記成層燃焼及び前記均質燃焼に係らずに前記第一生成手段及び前記第二生成手段によって気筒内に前記第一縦旋回流及び前記第二縦旋回流を生成し、前記燃料噴射弁は燃料を厚さの薄い扇状に噴射するものであり、前記第一縦旋回流は前記キャビティ内を縦方向に旋回して前記点火プラグ近傍を通過し、前記成層燃焼時には、圧縮行程において前記燃料噴射弁から前記キャビティ内へ噴射された燃料が前記第一縦旋回流によって点火プラグ近傍に導かれ、前記均質燃焼時には、吸気行程において前記燃料噴射弁から噴射された燃料が前記第一縦旋回流、前記第二縦旋回流、及び、前記第一縦旋回流と前記第二縦旋回流との境界で発生する乱流によって点火時期までに均質化されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記点火プラグは気筒上部略中心に位置し、前記第一生成手段及び前記第二生成手段によって前記第一縦旋回流の両側に前記第二縦旋回流が生成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明による請求項3に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1又は2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記第一生成手段及び第二生成手段は、吸気ポートの壁面形状であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による請求項4に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1から3のいずれかに記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、一つの吸気ポート内が、前記第一生成手段を備える第一吸気ポート部と前記第二生成手段を備える第二吸気ポート部とに少なくとも二分割されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による請求項5に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項2又は3に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記第一生成手段を備える吸気ポートの両側に前記第二生成手段を備える別の吸気ポートが配置されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の気筒内概略縦断面図であり、図2は図1のピストン平面図である。これらの図において、1は気筒上部略中心に配置された点火プラグであり、2は気筒上部周囲から気筒内へ直接的に燃料を噴射するための燃料噴射弁である。また、3はピストンであり、その頂面には凹状のキャビティ4が形成されている。燃料噴射弁2は、燃料のベーパを防止するために、気筒内において吸気流により比較的低温度となる吸気ポート側に配置されている。
【0016】
また、燃料噴射弁2は、スリット状の噴孔を有し、燃料を厚さの薄い扇状に噴射するものである。成層燃焼を実施するためには、図1に示すように、圧縮行程後半において燃料をピストン3の頂面に形成されたキャビティ4内へ噴射する。噴射直後の燃料は液状であるが、キャビティ4の底壁4aに沿って進行して幅方向に拡がる際に底壁4aの広範囲部分から熱吸収するために気化し易い。こうして気化しつつある燃料は、対向側壁4bによって上方向に偏向させられる。
【0017】
図2に示すように、対向側壁4bは、平面視において円弧形状を有している。それにより、キャビティ4の底壁4a上を進行して気化しつつある燃料は、対向側壁4bの円弧形状によって中央部へ集合し、点火プラグ1近傍において一塊の可燃混合気となる。こうして、この可燃混合気を着火燃焼させることにより成層燃焼が実現可能である。
【0018】
本実施形態の筒内噴射式火花点火内燃機関は、このように、スリット状の噴孔を有する燃料噴射弁と、特定形状のキャビティ4とによって、気流を利用しなくても点火プラグ1近傍に比較的良好な可燃混合気を形成可能である。しかしながら、燃料噴射弁が円錐状又は柱状に燃料を噴射するものである場合等では、噴射燃料を自身慣性力によってキャビティ底壁4a上に薄く広げて底壁4aの広範囲部分から熱吸収させることが困難である。それにより、成層燃焼時において可燃混合気を形成するためには、圧縮行程後半においてキャビティ4内を縦方向に旋回して点火プラグ1近傍を通る逆タンブル流を利用して、キャビティ内に噴射された燃料の気化を促進すると共にこうして気化された燃料を点火プラグ1近傍に導くことが必要である。
【0019】
もちろん、本実施形態においても、逆タンブル流を利用すれば、圧縮行程でさらに多量の噴射燃料を気化させて、点火プラグ1近傍に導くことができ、燃料消費率の低い成層燃焼を高負荷側へ拡大することができる。また、必要燃料量の少ない低負荷時においても、噴射された全ての燃料が逆タンブル流を利用してさらに短時間で確実に気化させられ、成層燃焼をさらに良好なものとすることができる。
【0020】
本実施形態を含めて一般的な筒内噴射式火花点火内燃機関において、ピストン頂面に形成されたキャビティ4は、燃料噴射弁2が吸気ポート側に配置されていることも相まって、吸気ポート側に偏在しており、キャビティ4の対向側壁4b近傍上部には、気筒上部略中心に位置する点火プラグ1が位置するようになっている。しかしながら、逆タンブル流を利用して可燃混合気を形成する場合には、燃料噴射弁から噴射される燃料の慣性力は点火プラグ近傍に可燃混合気を形成するのに必ずしも必要ではなく、例えば、燃料噴射弁を排気ポート側に配置して、又は、任意の位置に配置して、成層燃焼時に圧縮行程後半においてキャビティ内へ燃料を噴射するようにしても良い。
【0021】
このようなキャビティ4と点火プラグ1との位置関係において、図3に矢印で示すように、吸気行程において、吸気がシリンダボアの吸気ポート側に沿って下降するように気筒内へ導入されれば、この吸気流は次いでピストン頂面のキャビティ4内へ流入して上方向へ偏向され、点火プラグ1近傍を通る逆タンブル流が生成される。この逆タンブル流は、圧縮行程後半においても同様にキャビティ内を縦方向に旋回し、成層燃焼時にキャビティ内へ噴射された燃料を良好に気化させて点火プラグ1近傍に導き、点火プラグ1近傍に可燃混合気を形成することができる。
【0022】
本実施形態において、吸気行程で点火プラグ1近傍を通る逆タンブル流を気筒内に生成することにより、前述したように、成層燃焼領域を高負荷側へ拡大することが可能となる。しかしながら、多量の燃料が必要な機関高負荷時には、全ての燃料を圧縮行程後半の限られた時間で噴射することは困難であり、一般的な筒内噴射式火花点火内燃機関と同様に、吸気行程で燃料を噴射して気筒内に均質混合気を形成する均質燃焼が実施される。
【0023】
この均質燃焼を良好なものにするためには、吸気流を利用して噴射燃料を気筒内全体に十分に均質化することも重要であるが、点火時点において気筒内に乱れを生成して均質混合気の燃焼速度を速めることも重要である。成層燃焼時に利用可能な逆タンブル流を圧縮行程後半で持続させるように、吸気行程において比較的強い逆タンブル流が生成されるようになっていれば、この逆タンブル流によって、均質燃焼における噴射燃料の均質化は可能である。
【0024】
しかしながら、成層燃焼時と同様に圧縮行程後半から点火まで持続する逆タンブル流自体は層流としての性質が強く、乱流による気筒内の乱れのようには燃焼速度を速めることはできない。それにより、均質燃焼における燃焼速度を十分に速めるためには、かなり強い逆タンブル流を点火まで持続させることが必要となり、このように強い逆タンブル流は、成層燃焼時にキャビティ内へ噴射された燃料を気化させて、点火プラグ近傍へ導いても、点火時点において気化燃料が点火プラグを通り過ぎてしまうなどして、逆に混合気の成層度を低下させ、良好な成層燃焼を実現不可能にする。
【0025】
図4は、本実施形態の筒内噴射式火花点火内燃機関における二つの吸気ポート、すなわち、第一吸気ポート10と第二吸気ポート20との概略斜視図である。第一吸気ポート10及び第二吸気ポート20は、それぞれ分割壁11,21によって、吸気ポート隣接方向に二分割されており、すなわち、吸気ポート隣接方向に並ぶ四つの吸気ポート部10a,10b,20a,20bが形成されている。
【0026】
図5は、四つの吸気ポート部における内側二つの吸気ポート部10a,20aの断面形状を示しており、気筒内開口近傍の排気ポート側内壁における突出部Aによって、これら二つの吸気ポート部10a,10bを通り気筒内へ導入される吸気は、矢印で示すように偏向され、シリンダボアの吸気ポート側に沿って下降して逆タンブル流を生成する。
【0027】
また、図6は、四つの吸気ポート部における外側二つの吸気ポート部10b,20bの断面形状を示しており、気筒内開口近傍の反排気ポート側内壁における突出部Bによって、これら二つの吸気ポート部10b,20bを通り気筒内へ導入される吸気は、矢印で示すように偏向され、シリンダボアの排気ポート側に沿って下降して順タンブル流を生成する。
【0028】
図7は、四つの吸気ポート部10a,10b,20a,20bによって前述したように気筒内に形成される二つの逆タンブル流T1と二つの順タンブル流T2とを示す概略気筒斜視図である。内側二つの吸気ポート部10a,20aによって形成される二つの逆タンブル流T1は、隣接するために一緒になって気筒中央断面近傍を縦方向に旋回し、外側二つの吸気ポート部10b,20bによって形成される二つの順タンブル流T2は、逆タンブル流T1の両側を縦方向に旋回する。
【0029】
第一縦旋回流としての逆タンブル流T1と第二縦旋回流としての順タンブル流T2との境界では、進行方向が反対の気流が接触することにより乱流が発生する。
【0030】
こうして、成層燃焼時において、圧縮行程後半にピストン頂面のキャビティ4内に噴射された燃料は、逆タンブル流T1が気筒中央断面近傍を旋回しているために、キャビティ底壁からの受熱と逆タンブル流とによって気化され、気化した燃料は逆タンブル流によって点火プラグ1近傍へ導かれ、気筒上部略中心に位置する点火プラグ1近傍に可燃混合気が形成される。こうして、確実な着火性が保証された良好な成層燃焼を実現することができる。
【0031】
一方、均質燃焼時には、吸気行程で気筒内へ噴射された燃料は、気筒中央断面近傍を旋回する逆タンブル流T1と、その両側を旋回する順タンブル流T2と、境界で発生する乱流とによって、十分に気化して均質化され、良好な均質混合気が形成される。この均質混合気が点火プラグ1によって着火されると、特に逆タンブル流T1と順タンブル流T2との境界で発生する乱流により、燃焼速度が非常に速くなり、良好な均質燃焼を実現することができる。
【0032】
こうして、本実施形態によれば、成層燃焼か均質燃焼かによって、制御弁より吸気ポートの一部を閉鎖する等の制御を必要とすることなく、すなわち、制御弁及びその駆動装置を設けることによる機関吸気系の複雑化及びコストアップを防止して、成層燃焼及び均質燃焼をいずれも良好なものとすることができる。
【0033】
本実施形態では、第一及び第二吸気ポート10,20をそれぞれ二分割して、点火プラグが位置する気筒中央断面近傍の逆タンブル流と、その両側の順タンブル流とを生成するようにしたが、例えば、シリンダヘッド底面図である図8に示すように、内燃機関が吸気三弁式であれば、気筒中央断面近傍に位置する吸気ポート30が図5に示す断面を有して気筒内に逆タンブル流を生成し、この吸気ポート30の両側に位置する吸気ポート40が図6に示す断面を有して気筒内に順タンブル流を生成することにより、前述同様な逆タンブル流及び順タンブル流を気筒内に生成することが可能である。
【0034】
また、本実施形態では、点火プラグ1が気筒上部略中心に位置している。それにより、均質燃焼及び成層燃焼が気筒略中心から開始されて放射状に火炎伝播するために、混合気を短時間で燃焼させ、良好な燃焼を可能としている。しかしながら、点火プラグを気筒上部中心から偏倚させても、十分に均質燃焼及び成層燃焼が可能である。例えば、前述した実施形態のように、内燃機関が吸気二弁式の場合において、一方の吸気ポート側に点火プラグが偏倚させているならば、この一方の吸気ポートが図5に示す断面を有して気筒内に逆タンブル流を生成し、他方の吸気ポートが図6に示す断面を有して気筒内に順タンブル流を生成することにより、逆タンブル流を利用して点火プラグ近傍を通る可燃混合気を形成することができ、良好な成層燃焼を実現可能であると共に、逆タンブル流と順タンブル流との境界で乱流を発生させることができ、良好な均質燃焼も実現可能である。この場合においては、ピストン頂面に形成するキャビティも点火プラグに合わせて一方の吸気ポート側に偏倚させる必要がある。燃料噴射弁も同様に偏倚させても良いが、特に偏倚させなくても成層燃焼時にキャビティ内へ燃料を噴射することは可能である。もちろん、内燃機関が吸気一弁式である場合には、吸気ポートを隔壁によって二つの吸気ポート部に分割して、点火プラグを偏倚させた側の一方の吸気ポート部で逆タンブル流を生成し、他方の吸気ポート部で順タンブル流を生成するようにすれば良い。
【0035】
これまで、ピストン頂面のキャビティが吸気ポート側に偏在している場合を説明したが、キャビティを排気ポート側に偏在させることも可能であり、この場合には、燃料噴射弁も排気ポート側に配置することが好ましいが、吸気ポート側に配置されていても成層燃焼時にキャビティ内への燃料噴射が可能であれば良い。このような構成の場合には、成層燃焼時に燃料噴射弁から圧縮行程に噴射された燃料によって点火プラグ近傍に可燃混合気を形成するために利用可能な吸気の第一縦旋回流は、逆タンブル流ではなく順タンブル流となり、第一縦旋回流と並列して逆方向に旋回する吸気の第二縦旋回流は、順タンブル流ではなく逆タンブル流となる。従って、吸気ポートの構成を前述とは逆にすれば良い。
【0036】
【発明の効果】
本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、点火プラグと、気筒内へ直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁と、ピストン頂面のキャビティとを具備して、成層燃焼と均質燃焼とを実施する筒内噴射式火花点火内燃機関において、成層燃焼時に燃料噴射弁から圧縮行程で噴射された燃料によって点火プラグ近傍に可燃混合気を形成するために利用可能な吸気の第一縦旋回流を気筒内に生成するための第一生成手段と、第一縦旋回流と並列して逆方向に旋回する吸気の第二縦旋回流を生成するための第二生成手段とを具備し、成層燃焼及び均質燃焼に係らずに第一生成手段及び第二生成手段によって気筒内に第一縦旋回流及び第二縦旋回流を生成し、燃料噴射弁は燃料を厚さの薄い扇状に噴射するものであり、第一縦旋回流はキャビティ内を縦方向に旋回して点火プラグ近傍を通過し、成層燃焼時には、圧縮行程において燃料噴射弁から前記キャビティ内へ噴射された燃料が第一縦旋回流によって点火プラグ近傍に導かれ、均質燃焼時には、吸気行程において燃料噴射弁から噴射された燃料が第一縦旋回流、第二縦旋回流、及び、第一縦旋回流と第二縦旋回流との境界で発生する乱流によって点火時期までに均質化されるようになっている。それにより、制御弁を設ける等して機関吸気系を複雑にすることなく、成層燃焼時には、第一縦旋回流が利用されて点火プラグ近傍に可燃混合気が形成され、良好な成層燃焼を実現することができ、均質燃焼時には、第一縦旋回流と第二縦旋回流との境界で発生する乱流による乱れによって、燃焼速度を速めて、良好な均質燃焼を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す成層燃焼時における圧縮行程後半の概略気筒内縦断面図である。
【図2】図1の筒内噴射式火花点火内燃機関のピストン頂面図である。
【図3】図1の筒内噴射式火花点火内燃機関における吸気行程の概略気筒内縦断面図である。
【図4】図1の筒内噴射式火花点火内燃機関における吸気ポートの概略斜視図である。
【図5】内側二つの吸気ポート部における概略断面図である。
【図6】外側二つの吸気ポート部における概略断面図である。
【図7】図1の筒内噴射式火花点火内燃機関の概略気筒斜視図である。
【図8】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関のもう一つの実施形態を示すシリンダヘッド底面図である。
【符号の説明】
1…点火プラグ
2…燃料噴射弁
3…ピストン
4…キャビティ
10,20,30,40…吸気ポート
T1…逆タンブル流
T2…順タンブル流
Claims (5)
- 点火プラグと、気筒内へ直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁と、ピストン頂面のキャビティとを具備して、成層燃焼と均質燃焼とを実施する筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記成層燃焼時に前記燃料噴射弁から圧縮行程で噴射された燃料によって前記点火プラグ近傍に可燃混合気を形成するために利用可能な吸気の第一縦旋回流を気筒内に生成するための第一生成手段と、前記第一縦旋回流と並列して逆方向に旋回する吸気の第二縦旋回流を生成するための第二生成手段とを具備し、前記成層燃焼及び前記均質燃焼に係らずに前記第一生成手段及び前記第二生成手段によって気筒内に前記第一縦旋回流及び前記第二縦旋回流を生成し、前記燃料噴射弁は燃料を厚さの薄い扇状に噴射するものであり、前記第一縦旋回流は前記キャビティ内を縦方向に旋回して前記点火プラグ近傍を通過し、前記成層燃焼時には、圧縮行程において前記燃料噴射弁から前記キャビティ内へ噴射された燃料が前記第一縦旋回流によって点火プラグ近傍に導かれ、前記均質燃焼時には、吸気行程において前記燃料噴射弁から噴射された燃料が前記第一縦旋回流、前記第二縦旋回流、及び、前記第一縦旋回流と前記第二縦旋回流との境界で発生する乱流によって点火時期までに均質化されることを特徴とする筒内噴射式火花点火内燃機関。
- 前記点火プラグは気筒上部略中心に位置し、前記第一生成手段及び前記第二生成手段によって前記第一縦旋回流の両側に前記第二縦旋回流が生成されることを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
- 前記第一生成手段及び第二生成手段は、吸気ポートの壁面形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
- 一つの吸気ポート内が、前記第一生成手段を備える第一吸気ポート部と前記第二生成手段を備える第二吸気ポート部とに少なくとも二分割されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
- 前記第一生成手段を備える吸気ポートの両側に前記第二生成手段を備える別の吸気ポートが配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
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