JPS6036978Y2 - ケ−ブル貫通部の密閉構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ビル等の火災発生時に壁または床等のケー
ブル貫通孔が通気孔となって、煙やガスが隣接する階や
部屋に伝播侵入することがないようにしたケーブル貫通
部の密閉構造に関するものである。

従来、この種のケーブル貫通部の密閉構造としては、第
１図に示すように、ビル等の壁または床５の貫通孔７に
貫通した屋内幹線等のケーブル１を支持金具２における
パツキン８付きのクランプ部材３によってその半径方向
に締付把持し、またその支持金具２における上記クラン
プ部材３の外側に奥設しているフランジ部材４を壁また
は床５に対して固定し、さらにケーブル１の上記貫通孔
７内に位置する部分の外周には、ビニル等の保護チュー
ブ９を被せ、またさらに壁または床５における上記支持
金具２が位置する側と反対側の表面１０（ケーブルが垂
直に布設される場合は床の下面、つまり下階の天井面）
には、貫通孔７とケーブル１との間の隙間を塞ぐように
遮蔽板１１を取付けると共に、上記支持金具２が位置す
る側から貫通孔７内にモルタルセメント１２を流込み硬
化させて、貫通孔７の空隙個所をモルタルセメント１２
からなる防火部材によって充填閉塞するようにした型式
のものが知られている。

しかるに、この型式のケーブル貫通部の密閉構造を構成
する場合は、ケーブル１を壁や床５に対して固定する作
業と、貫通孔７を防火部材によって閉塞する作業とが全
く別の作業として二度にわたって行なわれることになり
、しかも防火部材による貫通孔７の閉塞部を構成するた
めには、いちいち現場において壁または床５の表面１０
に遮蔽板１１を取付は固定したり、その遮蔽板１１の取
付後にモルタルセメント１２を溶解してこれを貫通孔７
内に流し込んだりしなければならないと共に、モルタル
セメント１２の完全な硬化を待って貫通孔７の閉塞状態
を点検確認しなければならず、そのため施工が極めて煩
雑であり、これに多大の労力と長時間を要する欠点があ
る。

この考案は前述の欠点を排除することのできるケーブル
貫通部の密閉構造を提供することを目的とするものであ
る。

次にこの考案を図示の例によって詳細に説明する。

第２図はこの考案の一実施例を示すものであって、垂直
方向に布設される屋内幹線用のケーブル１が、パツキン
８を介して２分割型の支持金具２における１対の半円形
溝を有するクランプ半休部材３Ａ、３Ｂにより半径方向
に締付力を受けて締付把持され、また各クランプ半休部
材３Ａ、３Ｂの下端から外側に向って一体に突設してい
る平板状のフランジ半休部材４Ａ、４Ｂが、ボルト１３
Ａ、１３Ｂにより床５に対して固定されている。

なお１４は１対のクランプ半休部材３Ａ、３Ｂを相互に
綜合わせる合わせボルトである。

支持金具２における上記フランジ半休部材４Ａ、４Ｂの
下部には、外径が貫通孔７の直径にほぼ等しく、また内
径がケーブル１の外径にほぼ等しく、かつその高さｈが
床５の厚さｔよりも僅かに小さい半環状の難燃性防火半
休部材６Ａ、６Ｂが、それぞれ通しボルト１４Ａ、１４
Ｂにより固着されており、この難燃性防火半休部材６Ａ
、６Ｂが図示のように貫通孔７に嵌挿されて、ケーブル
１と貫通孔７との間の間隙が気密閉塞されている。

なお、上述の実施例において、支持金具２の下部に固着
されている各難燃性防火半休部材６Ａ。

６Ｂを第３図に示すように、上部難燃性防火半休部材１
５および下部難燃性防火半体部材１６に分割し、その両
者の間に耐火性繊維の編組シート等からなる防火クッシ
ョン材１７を介在し、かつその防火クッション材１７が
難燃性防火半体部材１５．１６の外壁面から適宜外側に
はみ出すように構成しておけば、ケーブル１と貫通孔７
との間の間隙をより確実に気密閉塞することができ、ま
た第４図に示すように、各難燃性防火半休部材６Ａ、６
Ｂの外周をテーパー面１８Ａ、１８Ｂとすると共に、そ
の上端に床５の表面に接する鍔部１９Ａ、１９Ｂを設け
ておけば、各難燃性防火半休部材６Ａ、６Ｂをより容易
に貫通孔７内に嵌入することができると共に、貫通孔７
をより確実に気密閉塞することができる。

第５図は、多数条のケーブル１が貫通する等の理由によ
り、貫通孔７の開孔面積が比較的大きくなっている場合
にこの考案を実施した例を示すものであって、支持金具
２におけるクランプ部材３とフランジ部材４とが別物品
として分離され、フランジ部材４の下部に難燃性の防火
部材６が通しボルト１４により固着されている。

したがってこの例の場合は、防火部材６を貫通孔７に嵌
挿するようにフランジ部材４をボルト１３により床５に
対して固定すると共に、クランプ部材３を締結ボルト２
０によりフランジ部材４に対して固定してケーブル貫通
部の密閉構造を構成することができる。

なお、この考案を実施する場合、難燃性の防火部材６の
構成材料としては、アスベスト材、珪酸カルシウム材、
ロックウール材、セメント材等ヲ単一または併用して用
いることができ、またその防火部材６の表面に、高熱時
に微細な隙間も塞ぐことができるように、発泡性の耐火
塗装を施しておいてもよい。

この考案によれば、ケーブル１を締付把持すべきクラン
プ部材３および壁または床５に対して固定さるべきフラ
ンジ部材４を有する支持金具２の下部に、壁または床５
の貫通孔７内に嵌挿さるべき難燃性の防火部材６が固着
されているので、クランプ部材３をケーブル１に当接把
持させつつ防火部材６を貫通孔７に嵌入すると共に、フ
ランジ部材４を壁または床５に対して固定するだけで、
ケーブル貫通部の密閉構造を容易迅速に構成することが
でき、特に防火部材により貫通孔７を閉塞するための作
業が前述の従来の場合に比較して著しく容易となるもの
であり、また防火部材６をプレハブ標準化することがで
きるので、壁または床５に穿設する貫通孔７の大きさも
これに合わせて規格統一化することが可能となり、その
ため現場施工作業の省力化を推進することができる等の
効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のケーブル貫通部の密閉構造を示す一部縦
断側面図、第２図はこの考案の一実施例を示す一部縦断
側面図、第３図および第４図は、第２図における支持金
具の下部に固着されている防火部材の変形構造例を示す
斜視図および一部縦断側面図、第５図はこの考案の多数
条のケーブル貫通部に実施した場合の例を示す側面図で
ある。 図において、１はケーブル、２は支持金具、３はクラン
プ部材、４はフランジ部材、５は壁または床、６は難燃
性の防火部材、７は貫通孔である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーブル１が支持金具２におけるクランプ部材３により
   その半径方向に締付力を受けて締付把持され、またその
   支持金具２におけるフランジ部材４が壁または床５に対
   して固定され、さらに支持金具２の下部に固着されてい
   る難燃性の防火部材６が壁または床５の貫通孔７内に嵌
   挿されて、ケーブル１と貫通孔７との間の間隙が閉塞さ
   れていることを特徴とするケーブル貫通部の密閉構造。