JPS6033863Y2 - 化粧用塗布具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、多孔質素材を用いた化粧用塗布具、特にウレ
タンフオーム類を素材としたパフ類、筆類、チーフ類の
改質、改良に関する。

〔従来の技術〕

従来より、化粧用塗布具として、ウレタン発泡体が多く
用いられてきている。

その用途は塗布具のほぼ全体に亙っている。

ウレタン発泡体を塗布部に用いた化粧用塗布具は、通常
、シート状のウレタン発泡体を打抜き、絞り、研磨、接
合等の加工により、パフ状、筆状、チーフ状の形状にし
て、用いている。

このように塗布部が発泡体の化粧用塗布具が種々の形態
および用途で利用されるのは、ウレタン発泡体独特の弾
性と多孔性が化粧用塗布具に適しているからである。

すなわち、発泡体の弾性は使用感を向上させ、また多孔
であるため、化粧料の含みが良いからである。

〔考案の解決しようとする問題点〕

しかしながら、近年の化粧技術の進歩につれて、これら
多孔質素材を単に打抜き、絞り、研磨、接合等の加工に
より、所望の形状に加工するのみでは、対応できない問
題が生じている。

すなわち、最近では化粧料が非常に多種類となり、そし
て化粧料の種類（例えば、粉末化粧料、固型化粧料等で
あるとかファンデーション、アイシャドウ等であるとか
）に応じて、発泡体の密度（化粧料の含み状態への影響
）、剛性（使用時の塗布具の腰）、表面状態（肌へのタ
ッチ、感触）を変えることが、塗布具に用いられる発泡
体に要求されているというのが実状である。

一例を上げれば、塗布表面を化粧料に合致した状態とす
ることが求められる（すなわち、例えばクリーム状化粧
料と粉末状化粧料とでは、異なった発泡密度や塗布表面
状態が求められる）。

また、用途によっても種々の要求が出されている。

例えば、ファンデーションとアイシャドウとでは、異な
った表面状態、剛性等が求められる。

更に、塗布具内部は弾性に富み、外部のみに腰を求める
こともあるし、また、植毛加工する場合等は多孔質素材
の表面の平滑性が求めるられる（表面が粗面であると、
植毛加工する場合に、均一に植毛できない等の問題が生
じるからである）。

本考案者はこれらの状況を踏まえ、発泡倍率の異なる各
種発泡ウレタンフオームシートを組合せ、それらを接着
剤で貼り合せ加工して上述の要求に対応することを試み
た。

しかしながら、発泡シートを接着剤で貼合することは、
その貼合工程に極めて手間どり、また得られた貼合シー
トの品質も均一性に欠けるものであった。

すなわち、発泡シートを接着剤で貼合すると、発泡体の
気孔内に接着剤が定着腰化粧料の含みが良いという発泡
体の初期の効果が得難いことや、実際の使用時に貼合シ
ートが層間剥離を呈することや、発泡シートの密度はあ
る程度までしか高くすることができず（すなわち、気孔
の大きさを小さくするのに限界があり）、所望の密度に
合致しがたいこと等の品質上の問題、更にその製作上極
めて困難を伴う等の製作上の問題があり、実用に供する
ものが完威し難く、従って、意に反するものであった。

〔考案の目的〕

本考案はこれらの段階を経て開発されたものであり、そ
の目的は、前述のような問題を解決でき、製作が容易で
且つ種々の化粧料の塗布にも対応できる機能の優れた化
粧用塗布具を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案者は前記目的を、塗布部がインシアネート誘導重
合体から誘導された発泡体からなる化粧用塗布具におい
て、前記塗布郡全体が、発泡体を加熱圧縮処理もしくは
樹脂液または溶剤等を含浸せしめたものを圧縮処理して
発泡体の細胞性網状体の重合糸が圧縮状態で結合固定し
た圧縮体から形成されている化粧用塗布具により達成す
るものである。

〔実施例〕

以下実施例を図面に基づいて説明すると、インシアネー
ト誘導重合体から誘導された重合性ポリエステルポリウ
レタン、重合性ポリエーテルポリウレタン等のシート状
フオーム体１ （第１図口参照）を圧縮しながらシート
の両面を加熱処理することにより、定厚で所望の見掛密
度の圧縮体２（第１図口参照）を形成する。

この場合に、圧縮率は、フオーム原厚の５％〜９０％の
範囲で、シート全体が圧縮状態となるようにする。

また、加熱温度は１４５°Ｃ〜２２０℃が良好である。

加熱圧縮処理することにより、圧縮状態でインシアネー
ト誘導体の細胞性網状体の重合糸が軟化点近傍で結合さ
れ、圧縮体２が形成されるものと考えられる。

この加熱圧縮処理の場合に、当然のことながら、圧縮率
が低い方が原フオームの見掛密度に近く、圧縮率が高く
なるほど、見掛密度が高くなる。

このように、加熱圧縮処理により定厚で所望の見掛密度
の圧縮体２を形成した後、打抜き、研磨、接合、絞り等
の加工を行って、任意形状に成形する。

第１図イは圧縮前の原フオームを示し、第１図口は全体
を圧縮状態に固定して、チーフ状に仕上げたものの一例
である。

このように全面仕上したものはクレンジング用にも極め
て適している。

また、第２図に示すものは、打抜き、研磨により仕上た
パフ状塗布具であり、この塗布具では全面が圧縮体２と
なっている。

第３図イは厚さ１ｏ７ｒａｎの原フオーム体の細胞性網
状体の重合糸の（いわゆる発泡体の骨格）の概略平面図
である。

第３図口は第３図イにおいて鎖線で囲んだ部分Ａを実物
（厚さ１０７７１７７！の原フオーム体）の５咋に拡大
した、原フオーム体の骨格の電子顕微鏡写真である。

第４図イは厚さ１０ｍｍの原フオーム体を厚さ３ｍｍに
圧縮固定した後の発泡体の骨格の概略平面図である。

第４図口は第４図イにおいて鎖線で囲んだ部分Ｂを実物
（厚さ１０ｍｍの原フオーム体を厚さ３順に圧縮固定し
た後の発泡体）の５＠に拡大した、３ｒｆｒ！ｎに圧縮
固定した後の発泡体の骨格の電子顕微鏡写真である。

この第３図口および第４図口に示した電子顕微鏡写真か
られかるように、圧縮後でも平面的に見た骨格の穴の大
きさくすなわち、細胞性網状体の網目）はほとんど変化
しない。

しかし、後述の第６図口に示すように、圧縮後の発泡体
の骨格は上下方向に接近して位置するため、下方に位置
している骨格が圧縮前（第５図口参照）より鮮明に写っ
ている。

第５図イは第３図に示した原フオーム体の発泡体の骨格
の概略断面図である。

第５図口は第５図イにおいて鎖線で囲んだ部分Ｃを実物
（厚さ１０ｍｍの原フオーム体）の７皓に拡大した電子
顕微鏡写真である。

第６図イは第４図に示した３ｒＩｖＩＬに圧縮後の発泡
体の骨格の概略断面図である。

第６図口は第６図イにおいて鎖線で囲んだ部分りを実物
（３ｍｍに圧縮後の発泡体）の７皓に拡大した電子顕微
鏡写真である。

この電子顕微鏡写真かられかるように、圧縮により発泡
体の骨格が押圧され、その結果、偏平に変形した状態の
まま固定されている。

なお、上述の実施例において、圧縮体２の圧縮状態を適
宜変化させることにより、所望の見掛密度や腰を有する
塗布具を得ることができる。

従って、液状、粉状、クリーム状等の種々の化粧料の塗
布にそれぞれ適合した塗布具として、その塗布機能を高
めることができる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、任意に選んだ既製の発泡体から、所望
の見掛密度を有する圧縮体を任意に形成できるとともに
、所望の腰や弾性を持たせることができる。

従って、本考案では、目的化粧料に応じた適切な密度や
弾性を持った塗布具とでき、本考案の化粧用塗布具は非
常に使い易い。

この圧縮体２の他のメリットとしては、原フオーム体部
１に比べ、圧縮によりその表面状態が極めて平滑に仕上
るので、表面状態を良好とでき、しかも塗布部の化粧料
塗布表面の全体に亙って均一な状態であるので、化粧用
塗布具の使用機能を高めることができる（例えば、塗り
むら等を生ぜずに、化粧料を塗布できる）。

また、上述の如く、圧縮体２は、その表面状態が極めて
平滑に仕上るので、表面に植毛加工を施す場合にも、今
までに得られなかった平坦均一な毛面を得ることが可能
になったことも化粧用塗布具として特筆できることであ
る。

更に、本考案の塗布具は発泡体の細胞性網状体の重合糸
（いわゆる発泡体の骨格）は圧縮され、偏平に変形した
状態で固定されているので、化粧料は偏平な骨格の間に
保留され、塗布具の内部深くまで浸入しない（なお、原
フオーム体では骨格の隙間力状きいため、化粧料は容易
に塗布具の内部深くまで浸透してしまう）。

従って、化粧料を無駄に消費することがなく、しかも塗
布具表面付近に化粧料が保留されているので、ムラなく
、スムースに塗布することができる。

塗布具の発泡密度を変える場合には、従来は原料シート
の発泡密度から変化させねばならず、所望の発泡密度と
し得ないことも多々あった。

これに対し、本考案の塗布具は既製の発泡体から所望の
見掛密度を有する圧縮部を形成するので、簡単に且つ安
価に製造でき、所望の特性の化粧用塗布具を経済的に市
場に提供できる。

しかも、所望の見掛密度の発泡体を得る場合でも、素材
の劣化が起こらず実用性の高い塗布具が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図イは原フオーム体の側面図、第１図口は原フオー
ム体を圧縮加工した状態を示す側面図、第２図は圧縮体
からなる円形塗布具の斜面図である。 第３図イは原フオーム体の細胞性網状体の重合糸の（い
わゆる発泡体の骨格）の概略平面図、第３図口は第３図
イにおいて鎖線で囲んだ部分Ａの電子顕微鏡写真による
部分平面図である。 第４図イは圧縮後の発泡体の骨格の概略平面図、第４図
口は第４図イにおいて鎖線で囲んだ部分Ｂの電子顕微鏡
写真による部分平面図である。 第５図イは原フオーム体の発泡体の骨格の概略断面図、
第５図口は第５図イにおいて鎖線で囲んだ部分Ｃの電子
顕微鏡写真による部分断面図である。 第６図イは圧縮後の発泡体の骨格の概略断面図、第６図
口は第６図イにおいて鎖線で囲んだ部分りの電子顕微鏡
写真による部分断面図である。 １・・・・・・原フオーム体、２・・・・・・圧縮体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 塗布部がインシアネート誘導重合体から誘導された発泡
   体からなる化粧用塗布具において、前記塗布郡全体が、
   発泡体を加熱圧縮処理もしくは樹脂液または溶剤等を含
   浸せしめたものを圧縮処理して発泡体の細胞性網状体の
   重合糸が圧縮状態で結合固定した圧縮体から形成されて
   いることを特徴とする化粧用塗布具。