JPS6033775B2 - 反射防止ガラスの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ガラスの反射率を低下させ透過率を増大させ
るためにガラスの表面にポーラスなシリカリッチな層を
形成させた反射防止ガラスの処理方法に関する。

更に詳細には、珪弗化水素酸のシリカ過飽和水溶液に浸
潰しガラスに化学的エッチングにより反射防止層形成処
理を行った後、該反射防止ガラスをＺｎ，Ｐｂ，Ｂｅ等
の金属塩溶液に浸債処理することを特徴とする反射防止
ガラスの製造方法に関するものである。

近年、省エネルギー政策のため太陽熱を利用する研究が
盛んに行われ集熱効率を向上させた種々の太陽熱集熱器
が開発されている。

この大腸熱集熱器は一般的には、その集熱部を太陽に臨
むべく外部へ露出させるため集熱部或は集光部へ損傷を
与えないように透光性のすぐれたガラス等でカバーされ
ている。該ガラス板は、カバーとして機能するとともに
太陽熱集熱器の本来の目的を達成するべく大量の光エネ
ルギーを通過させ、更には、集熱器に吸収された熱エネ
ルギーを外部に放散することなく確保するという機能を
有さなければならない。集熱器のカバー用ガラスが上記
の如き機能を果すことによって太陽熱集熱器の集熱効率
を一層向上せしめることができるのである。実際には、
集熱器が吸収した熱エネルギーを確保するためにカバー
用ガラス板を二層にして設けるのが一般的である。又、
一方ガラス板においてより多くの光エネルギーを通過せ
しめるために、ガラス板自体の反射率を低下させる必要
がある。特に、カバー用ガラス板による太陽光の反射損
失は、ガラス板一枚で集熱器に照射される全エネルギー
の７〜８％、従って二層のガラス板では１４〜１６％に
達するため、ガラス板の反射による損失を低下せしめ透
過率を増大させることは、集熱器の集熱効率の向上に大
きく寄与する。従来、ガラスの反射率を低下せしめる方
法としてガラスの表面に真空蒸着法によって弗化マグネ
シウム等をコーティングするという方法があるが、この
方法は、主にレンズ、フィルター等の小型の精密光学部
品に使用されるもので装置の構造上、及びコスト的にカ
バー用板ガラスの如き大型のものに使用することは困難
である。

大型の板ガラスの反射率を低減し、透過率を増大せしめ
る方法として、ニコル等による米国特許第２４８６４３
１号、トムセンによる米国特許第２９９０６６２号に開
示された珪弗化水素酸のシリカ過飽和水溶液利用するエ
ッチング方法がある。この方法によれば大型の板ガラス
を上記水溶液中に垂直に浸潰し、ガラス成分中のアルカ
リ及びアルカリ士類金属酸化物をガラスの表面から取り
除き、シリカ成分のみを選択的にすことによって多孔質
のシリカスケルトンからなる薄い層をガラス表面に形成
することにより、反射率が低減された反射防止ガラスが
得られる。ところが、上述の公知のエッチング方法によ
り得られた反射防止ガラスはそのままでは耐湿性が劣り
高温高湿の雰囲気中に長時間曝すと表面のポーラスなシ
リカリッチ膜の劣化が生じ、反射率が増加し初期の透過
率を維持しないことがわかった。

本発明者らは、上記の問題点に鑑み反射防止ガラスの耐
湿性を向上させるべく本発明を完成したものである。本
発明は、珪弗化水素酸のシリカ過飽和水溶液に浸債する
ことにより化学的にエッチングによってガラス表面に設
けたポーラスなシリカリッチ層から成る反射防止層をＺ
ｎ，Ｐｂ，控等の金属塩溶液で後処理することを要旨と
している。

本発明者らは、珪弗化水素酸のシリカ過飽和水溶液に浸
潰してつくられた反射防止ガラスを高温高温雰囲気に曝
した場合、反射率が増加した透過率の減少が起るのは、
温度が高く且つガラス表面に水分が付着した状態が長く
続くとガラスの内部からガラス成分のうち移動しやすい
アルカリイオンが表面のポーラスなシリカリッチ層中に
移動し表面層の効果を減じていると考え、アルカリイオ
ンの移動を抑えるため反射防止ガラスを各種金属塩溶液
に浸債処理した結果、耐泡性能が大幅に向上することを
見出した。

従って、珪弗化水素酸のシリカ過飽和水溶液に浸潰し、
化学的エッチングによってガラス表面に反射防止層形成
させた後、Ｚｎ，Ｐｂ，氏等の金属塩溶液に浸造するこ
とにより耐湿状態が２〜３倍に向上した反射防止ガラス
を製造することができた。

以下実施例を述べる。

実施例 １ ３ｍ／ｍの厚味のガラス板を珪弗化水素酸のシリカ過飽
和水溶液に浸潰し表面に反射防止層（可視光反射率で１
〜２％）を形成後、Ｚｎ（Ｎ０３）２の１％水溶液に２
独特間浸濃し、水洗後、１００つ０で３時間乾燥を行っ
た。

このようにして製造した反射防止ガラスを５５℃で相対
湿度１００％の雰囲気中に９４畑時間放置後、透過率の
減少を測定した。表面反射防止層を設けることによるガ
ラスの透過率増大（約５％）を１００％としてこれに対
する上記の劣化促進試験後の透過率減少割合を「劣化率
」とすると、劣化率はＺｎ（Ｎ０３）２処理を行わない
ものは２４〜２５％に対し、Ｚｎ（Ｎ０３）２処理を行
ったものは、７〜９％であり約３倍の耐湿性の向上であ
った。Ｚｎ（Ｎ０３）２の濃度については１０％でも同
様の効果が得られた。

浸債時間についても３び分、１，３，６時間についても
夫々処理を行ったが、やはり同程度の耐湿性向上の効果
が得られた。

実施例 ２ 実施例１と同様にしてガラス板表面に反射防止層を形成
後、Ｐｂ（Ｎ０３）２の１％水溶液に２畑寺間浸潰し水
洗後、１００ｏｏで３時間乾燥を行った。

このようにして製造した反射防止ガラスを５５ｏｏで相
対湿度１００％の雰囲気中に９４脚寺間放置後、透過率
の減少を測定したところ劣化率は、Ｐｂ（Ｎ０３）２処
理を行なわないものは２４〜２５％に対し、Ｐｂ（Ｎ０
３）２処理を行ったものは１２〜１３％であり、約２倍
の耐綱性の向上であった。Ｐｂ（Ｎ０３）２の濃度につ
いては１０％でも同様の効果が得られた。

浸債時間についても３０分、１，３，６時間について夫
々処理を行ったが、やはり同程度の耐湿性向上の効果が
得られた。

実施例 ３ 実施例１と同様にしてガラス板表面に反射防止層を形成
後、氏Ｃ〆２ の１％水溶液に２４時間浸潰し、水洗後
１００ｑｏで３時間乾燥を行った。

このようにして製造した反射防止ガラスを５５００で相
対湿度１００％の雰囲気中に９４加持間放置後、透過率
の減少を測定したところ劣化率は、茂Ｃ夕２処理を行わ
ないものは２４〜２５％に対し、茂Ｃそ２処理を行った
ものは１３〜１９％であり、約１．５倍の耐湿性の向上
であった。技Ｃ〆２の濃度については、１０％でも同様
の効果が得られた。

浸債時間についても３ぴ分、１，３，６時間につし、て
夫々処理を行ったが、やはり同程度の耐緑性向上の効果
が得られた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ガラスを珪弗化水素酸のシリカ過飽和水溶液で処理
   して化学的エツチングによりその表面に反射防止層を形
   成した後、該反射防止層をＺｎ，Ｐｂ，Ｂｅのいずれか
   の金属塩溶液で後処理することを特徴とする反射防止ガ
   ラスの製造方法。