JPS6018830B2 - クラツチ操作時のエンジン振動低減装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車のクラッチを切ったときに車体が振動す
るのを防ぐためにエンジンの振動を低減するようにした
装置に関する。

一般にエンジンを自動車に搭載する場合、運転時のエン
ジン振動が車体側に伝わるのを防ぐために、ゴムなどの
弾性的なマウントを介して車体側に支持するようにして
いる。

しかしながら、クラッチペダルの動きを油圧やワィアー
などの機械的な操作系統を介してクラッチ本体に伝える
ことによりエンジン駆動力を断続するようにした機械式
クラッチ装置を備えた車両では、信号停止などで一時的
にクラッチを切ったときにクラッチペダルを支持した車
両側部材、例えばダッシュパネルとエンジン側とがクラ
ッチ操作系統を介してほぼ剛結合状態になるため、エン
ジン振動が車体側へ伝達して不快な振動や騒音をひき起
こすという問題を生じる。

このような場合の対策として従来は例えば袴関昭５３−
３０５２５号、持開昭５３一３０５２６号公報のように
、ダッシュパネルに補強を施して車体側の剛性を高めて
いたのであるが、このようにして車体側の振動を抑える
にはかなりな補強材を必要とするので、振動現象がクラ
ッチを切ったときにのみ生じる一時的なものであるだけ
に、補強材の分だけ従らに車体重量を増やす結果になり
がちである。

なお、持開昭５２−１３７５３計号公報などのように、
自動変速機の中立位置で点火時期を進角させないように
したものであるが、この場合でも、上記のように信号待
ちで一時的にクラッチを切ったときに車体側に伝動され
る振動を低減することはできない。本発明はこのような
問題を解決することを目的とする。

そのために本発明は、クラッチ操作レバーに連動して駆
動力を断続するクラッチ装置を備えたエンジンにおいて
、前記クラッチ装置の断続功替状態を検出する検出装置
と、この検出装置と連係してクラッチ断続切替状態でエ
ンジン点火時期を遅らせる点火時期制御系統とを設ける
ようにしたものである。したがってクラッチ断続切替状
態では点火時期を遅らせて燃焼を緩やかにして、燃焼最
高圧力を下げ、エンジン自体の振動を低減することによ
り、クラッチ切替状態で車体側に伝達される不快な振動
を緩和することができる。

以下、本発明を図面に示した実施例に基づいて説明する
。

第１図において、１は車体側のダッシュパネル、２はク
ラッチ操作レバー（クラッチペダル）、３は油圧マスタ
ーシリンダ、４はエンジン側のクラッチ本体である。

クラッチ操作レバー２はブラケツト５を介してダッシュ
パネル１１こ揺動自由に支持され、マスターシリンダ３
はピストンロッド６を介して操作レバー２と連接してい
る。

操作レバー２を踏み込むとマスターシリンダ３に発生し
た油圧通路７を介してクラッチ本体４に作用し、クラッ
チ断状態にする。これらの点については周知の油圧式ク
ラッチ装置と同様であるが、本発明では、このクラッチ
装置の断続切替状態を検出する検出装置と、この検出装
置と連係する点火時期制御系統とを設け、クラッチを切
ったときにエンジンの点火時期を遅らせる。

この実施例では、上記検出装置としてクラッチ操作レバ
ー２と連動して開閉するスイッチ８を設けるとともに点
火時期制御系統として真空進角装置９への負圧通路１０
と大気側とを蓮適する大気導入通路１１およびこの大気
通路１１を前記スイッチ８と連係して開閉する電磁弁１
２で形成し、クラッチ操作レバー２を踏み込んでクラッ
チ断状態にするとスィッチ８が閉成して鴎慈弁１２を開
き、負圧通路１０を大気側に開放して真空進角装置９へ
の負圧を希釈するようにしてある。

負圧を希釈する程度としては、例えば点火時期が通常よ
りも１ｏｏ（クランク角度）ほど遅れるように、大気導
入通路１１の途中にオリフィス（図示せず）を介装して
調節しておく。第２図はこのようにして点火時期を遅ら
せた場合の燃焼圧力の変化を表わしたもので、ＭＢＴ時
（実線）よりも点火時期を１００ほど遅らせると、破線
で示したように燃焼圧力の立ち上り（圧力上昇率）が緩
やかになり、しかも最高燃焼圧力も低下するのでエンジ
ン自体の振動が減少する。

このようにエンジン自体の振動が低減する結果、クラッ
チ操作系統を介して車体側部材が振動するようなことは
起り得ず、もし若干の振動が生じたとしても車体側の僅
かな補強で容易に対処することができる。なお、点火時
期制御系統としては図示したものの他に、例えば電子式
点火装置を備えたエンジンの場合は、その点火時期制御
回路に予め検出装置からの信号に基づいいて点火時期を
遅らせる回路を形成したものでもなく、また検出装置と
してはクラッチ断時の油圧上昇に応動する圧力スイッチ
などを使用することができる。

勿論、本発明はワイヤ一作動のクラッチ装置にも適用可
能である。以上のように本発明は、クラッチ装置の断続
切替状態の検出時に点火時期を遅らせ、エンジン自体の
振動を低減するようにしたので、車体の剛性や重量を徒
に増加させることなく、クラッチ切替状態での車体の振
動を抑制できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の概略構成図である。 第２図は点火時期を遅らせたときの燃焼圧力の変化をク
ランク回転位置との関係で表わしたグラフである。１…
ダッシュパネル、２・・・クラッチ操作レバー（クラッ
チペダル）、３…マスターシリンダ、４…クラッチ本体
、８…スイッチ、９…真空進角装置、１０・・・負圧通
路、１１・・・大気導入通路、１２・・・電磁弁。 第１図第２図

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ クラツチ操作レバーに連動して駆動力を断続するク
   ラツチ装置を備えたエンジンにおいて、前記記クラツチ
   装置の断続切替状態を検出する検出装置と、この検出装
   置と連係してクラツチ断続切替状態でエンジン点火時期
   を遅らせる点火時期制御系統とを設けたクラツチ操作時
   のエンジン振動低減装置。