JPS6013533Y2 - 熱間圧延ロ−ル用水切装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、多量のロール冷却水を圧延中の高温材料にか
からないように排出し、且つ、ロール冷却及び保護を効
果的ならしめる新しい機能を付加した多機能一体型水切
装置に関する。

以下、本考案をホットストリップミルを例に具体的に詳
述する。

新鋭ホットストリップミルは、スケールアップ、高速化
（含アイドルタイム減）、高圧延荷重化と厳しい条件下
で圧延が行なわれるようになりロールに加わる熱的負荷
は増大した。

これに伴ない、ロールの保護強化の観点からロール冷却
能力を向上させる必要が生じた。

而してロール冷却能力を向上させるために種々の方法が
ハード及びソフト両面から検討されたが、基本的なすう
勢として、冷却水量を増すこと、あるいは、噴出圧力を
高める等の方法が採用された。

その結果、ロールに衝突後の多量の冷却水が、ロールバ
イトの入口及び出口付近で、圧延中の材料の上に乗り、
例えば、ホットストリップミルの仕上げスタンド圧延機
列内での板の温度、特に端部の温度を低下させる等のへ
い害が生じている。

これに対する対策としては、第１図ａに例示するように
圧延材料１を圧延するワークロール（上）２に平板状の
水切板３，４をロール２に押し当て、ロールにロール冷
却用ヘッダー１５よりスプレーされた冷却水が圧延中の
材料にかからないようにする方策が実施されている。

この水切板は第１図すの断面図に示す如く平板状の鋼板
５の先端にフェルト６をワッシャー７を介してボルト８
で取付けた構造をとっている。

しかし、現場経験的には、水切板をロールに隙間なく押
当てるとロールの肌の損傷が進むことが判明し、現在で
は、水切板とロール表面間に０．５〜３ＴＩｒ！Ｒ位の
隙間を設けている。

水切板とロール表面間に隙間を設けると、入口側の水切
板を通過後のロール表面上には冷却水が流れ、この冷却
水でロール表面が冷却されて有効冷却時間が長くなる（
めれ壁冷却）と同時に、該冷却水の一部がロールバイト
に引込まれ、蒸気膜となって圧延材からロールへの伝熱
を阻害し、ロール保護上有効に作用する。

しかし、圧延中にロールに付着したスケールその他の有
害なゴミ等が冷却水で洗い流されない場合、ロールバイ
トに噛込まれて表面疵発生の原因あるいは誘因となる欠
点がある。

本考案は上記の如き諸欠点を除き、以下に列記する新し
い機能を備えた水切装置を開発したものである。

１ ロール冷却水が圧延中の材料にかからないように排
出する。

２ ロールに付着したスケール等の表面疵の原因となる
物の除去。

３ 水切板〜ロールバイト間のロール表面のぬれ壁冷却
による抜熱効果の増大。

４ ロールバイト内で蒸気膜を形成するのに必要な冷却
水の供給（断熱及び潤滑効果）。

５ 人口側の水切板については、熱間潤滑剤の新しい供
給方法。

即ち本考案は以上の機能を具備した水切板であり、その
要旨とするところは半円筒様断面もしくはＬ字様断面の
樋の１側辺を圧延ロールに接し、且つ、数機の水平面に
対する傾斜角が１０度以内の分水型にして配置し、更に
、数機とロールバイト間にロール表面のぬれ壁冷却用、
及び、蒸気膜形成用散水機構を併設したことを特徴とす
る熱間圧延ロール用水切装置。

実用新案登録請求の範囲第１項の水切装置に熱間圧延油
供給機構を併設した熱間圧延ロール用水切装置である。

次に、本考案の水切装置の構成に関し、熱延ワークロー
ル（上）を例に具体的に説明する。

本考案者等は冷却水を圧延中の材料外に排出する方法を
種々検討の結果、第２図ａに示す如き分水型水切板９と
して、半円筒様断面もしくはＬ字様断面の樋を分水型に
してワークロール１に接して配置するのがよいことを確
認した。

金属製の該水切板を直接ロールに押し当てるとロール表
面に疵がつくので、該水切板のロール側端部には、例え
ば第２図すの如く、フェルト状材料９′を取付けるが、
その位置は該機端の上、下いずれの側あるいは上、下両
端に取付けてもよい。

数機の傾斜角（θ）は余り大きくなく１０度以下とする
。

該傾斜角を余り大きくすると、最も強く冷却する必要の
あるロール胴長中央部の強力冷却（通常、主冷却用ヘッ
ダーから１０ｋｐ／ｃ７１！Ｇ以上の高い圧力で水を噴
射している）の冷却開始点や冷却の終点がロールバイト
から離れて冷却時間が短くなり冷却能力が低下するので
傾斜角の上限は１０度位とする。

逆に、傾斜角が余り小さいと冷却水の板幅端外への排出
がうまく行なわれず、樋から溢れ、板上に落下するので
、冷却水量レベルにもよるが、最低若干の傾斜が必要で
ある。

従来の水切板は、前述の如く、ロールに密着させず、若
干の隙間を設けて使用されていたが、本発明の桶型水切
板はロール表面に密着させて使用する。

この使用法により、圧延中にロール表面に付着したスケ
ール等の有害な物を取除き、冷却水と共に排出される。

前述の従来の水切板の使用法では、隙間から流出した冷
却水がロール表面でぬれ壁冷却の作用があり、ロール保
護上かなりの効果を生み、且つ、ロールバイト内での蒸
気膜形成用の水を供給する作用があった。

本考案の如く水切板を密着させて使用する場合には、水
切板から下側のぬれ壁冷却用及び蒸気膜形成用の冷却水
は、別途供給する必要が生じる。

即ち本考案においては該用途の冷却水は第２図すに示す
如く前記水切板の下側に配設したぬれ壁冷却用水供給用
ヘッダー１１からぬれ壁冷却用スプレー用のスリットノ
ズル１２またはフラットノズルから供給する。

該用途の冷却水供給機構は、ロール組替所要時間短縮の
ために、一体構造とする。

該用途に供給する冷却水量については、多量の冷却水を
散布し過ぎると圧延中の鋼板上に冷却水が溜まり、これ
により特に鋼板の端部温度が低下するので上限がある。

本考案者等は、従来の水切板の隙間から流出する水量を
測定した結果、ロール胴長方向の幅１０ｍｍ当り４／／
ｍｉｎ以下であり、好ましくは２．Ｊ／ｍｉｎ以下が適
当であることを確認した。

下限については、各ミルの圧延条件の厳しさにより一部
には云えないが、一応の目安として、幅１０ｒＩａｎ当
り０．０５Ｊ／ｍｉｎ以上が望ましい。

該用途の冷却水の噴出圧力は、ノズルの形式およびノズ
ル先端からロール表面間距離によって異なるが、ロール
表面に衝突後冷却水ができるだけはね返らずロール表面
に沿って流れるような低噴出圧力が必要である。

以上の通り、本考案は水切板の本来の機能すなわちロー
ル冷却水の排出能力を十分に発揮させ、且つ、ぬれ壁冷
却用の水は水切板に併設した冷却水噴射ノズルから吹付
け、該冷却水の一部がロールバイトに引込まれ蒸気膜と
なり断熱効果を持つことを狙った多機能一体型水切装置
を提供することである。

しかし、該水切板を実用化する上で、特に入口側に設置
する水切装置については、熱間潤滑剤の供給について考
慮する必要がある。

近年のホットストリップミルはロール保護によるロール
原単位低減及び圧延動力削減等の観点から熱間潤滑剤（
熱間圧延油）を使用している。

熱間潤滑剤のロールへの供給あるいは塗付方法として色
々な方法が採用されているが、その中でバックアップロ
ール付近のロールが最もぬれていない場所で熱間潤滑剤
を吹付ける方法がある。

この様な熱間潤滑剤供給方法の場合、水切板を比較的大
きな圧力で押付けると、折角ロール表面に付着した熱間
潤滑剤が拭き取られることになる。

したがって、該水切板の場合には熱間潤滑剤の塗付また
は供給方法に工夫がいる。

本考案者等は種々検討の結果、該押し当て方式の水切板
を通過後のロール表面は冷却水が拭き取られており、熱
間圧延油の塗布場所として好適であることを見出した。

そこで、本考案者等は該水切板本体９とぬれ壁冷却用水
供給ノズル１２間に先端が多孔質のフェルト状材料を取
付けた潤滑剤供給部１０をロール表面に押し当て、且つ
、熱間潤滑剤単味あるいは温水または水と熱間潤滑剤と
の混合液を潤滑剤圧送配管１３から圧送し、該多孔質フ
ェルト状材料からなる潤滑剤供給部１０からにじみ出さ
せ、ロール表面に塗付する熱間潤滑剤供給方法を実施し
たところ、従来の方法と比較して遜色ないことが確認さ
れた。

而してロールに塗付された熱間潤滑剤はぬれ壁冷却用の
冷却水によって洗い流されることはなかった。

即ち上記の如き多機能複合型一体水切装置を採用するこ
とによって、従来の水平−楔板型の水切板の諸欠点が一
挙に解決されたものである。

次に実施例として第２図に示す本考案の水切装置（θ＝
７°）を生産用６スタンド仕上圧延機（ロール径： ７
３０ｍｍ、ロール胴長： １４６２ｍｍ）のＦｌおよび
Ｆ４スタンドに設置した結果を、全スタンドに従来型の
水切板を取付けていた場合と比較して示す。

主要圧延条件 １ 圧延材料 ＳＡＥ １００８ ２ 製品寸法 ２．Ｏｒａ板厚Ｘ ９３５ｙ＋ｍ板幅ｘ
ｃｏｉ１３ ぬれ壁用冷却水 ０．５ｆ／ｍｉｎ／幅
１０７ｍ実施結果 １ 抽出ロール温度 従来の水切板の場合６８′Ｃであったが本考案の水切板
をＦｌ及びＦ４ｓｔ’ｄに設置した場合６６′Ｃであっ
た。

２ 仕上出口温度 従来法と比較して、板幅中央部温度は約３０°Ｃ向上し
、且つ、板幅端から２−中央部に入った点の温度は約８
℃向上した。

第３図ａ、 ｂｔ ｃに、この考案になる熱間圧延ロー
ル用水切装置における水切板９がロール２に接している
状態における断面を示す。

第３図ａに示すのは、水切板断面が半円筒形状のもの、
第３図Ｃに示すのは、水切板断面がＬ字様のものである
。

第３図すに示すのは、第３図ａに示すものと第３図Ｃに
示すものを折衷した断面形状をもつ水切板である。

尚、本考案における分水型樋状水切板９の断面形状は第
２図ａで例示したもの以外に、第３図ａ、 ｂ、 ｃに
例示する断面に類似のものも含まれ、いずれも好結果を
示した。

尚、ロール表面への熱間潤滑剤の供給方法は、本考案の
水切板〜ロールバイ１間であれば、多孔質材料からにじ
ませる方法以外にスプレ一方式でも同様の効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは水切板の設置位置の概念図、第１図すは従来
の代表的な水切板の構造を示す横断面説明図、第２図ａ
は本考案の水切装置の概念図で、半円筒様断面の分水型
樋状水切板（散水機構、及び供油機構を取外した状態）
で例示した図、第２図すは本考案水切装置の構造を示す
横断面説明図、第３図ａ、 ｂ、 ｃは分水型樋状水切
板として適用可能な断面形状を例示した断面図である。 １・・・・・・圧延材料、２・・・・・・ワークロール
、３，４・・・・・・板状水切板、５・・・・・・水切
板本体用鋼板、６・・・・・・フェルト、７・・・・・
・ワッシャー、８・・・・・・ボルト、９・・・・・・
分水型樋状水切板、１０・・・・・・潤滑剤供給部、１
１・・・・・・ぬれ壁冷却用水供給用ヘッダー、１２・
・・・・・ぬれ壁冷却用水スプレーノズル、１３・・・
・・・潤滑剤圧送配管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 半円筒様断面もしくはＬ字様断面の樋の１側辺を圧延ロ
   ールに接し、且つ、該樋の水平面に対する傾斜角がＷ度
   以内に分水型にして配置し、更に、該樋とロールバイト
   間にロール表面のぬれ壁冷却用、及び蒸気膜形成用散水
   機構を併設したことを特徴とする熱間圧延ロール用水切
   装置。