JPS5937147B2 - 射出成形装置における金型用ガス抜き装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、ダイカストマシンや射出成形機等の射出成
形装置において、成形時の金型のキャビティから大量の
ガスを抜取りながら射出し得るようにした金型用のガス
抜き装置に関するものである。

従来より、ダイカストは精密な製品を多量に製造する成
形法として広く普及しているが、製品内部に多くの巣が
生じ、満足した強度のものが得られない欠点があった。

その理由は、高速かつ高圧で溶融金属をキャビティ内に
充填するため、キャビティ内のガスが十分抜けきらずに
溶融金属と混合して製品中に残存し、製品中に巣を形成
するためである。

本出願の発明者等は、従来より、このような欠点をなく
すために、いろいろ研究をし、特開昭５６−４７２５７
号公報に記載されているような装置を発明した。

その発明は、固定金型と可動金型の分離面部に、キャビ
ティから導かれたガス抜き溝、摺動弁を内蔵した弁室、
弁座およびガス排出穴を直列に配置し、かつ、弁室の直
前のガス抜き溝より摺動弁部を迂回して、弁座の直前の
弁室の側面に通じたバイパスを設けた構造のもので、射
出中に開いていて金型キャビティ中のガス抜きを良好に
行なっているガス抜き用の弁を、射出した溶湯の慣性力
の作用で閉じるようにしたものである。

本来、前記装置のものは、弁の移動方向が金型の型締型
開方向と直角に設けられていて、溶湯とも呼ぶ溶融金属
の直進によって弁を閉じるようになっているので、溶湯
や弁が比較的にすなおに動き、弁の閉じ動作が比較的に
早く、より確実であるとともに、弁を金型に開放状態で
取付けて、金型からすぐはずすことができるように設置
できるので、弁を掃除したり、弁が万一、故障したり、
パリなどでつまったりしたときなどのメンテナンスがや
りやすいという長所を有している。

しかし、金型に中子があると、弁の取付は場所がとれな
くなるおそれがある。

ダイカスト製品が、例えば、自動車のエンジンブロック
などのように、大型化、複雑化してくると、金型の上下
左右の四方にそれぞれ中子が設けられたり、あるいは、
金型の上側と左右の三方にそれぞれ中子が設げられたり
する。

この場合、第１の引用例の金型ガス抜き用の弁装置は、
固定金型と可動金型の合わせ面にしか取付けられないの
で、ガス抜き用の弁は、極めて設置しにくいか、あるい
は、設置できる場合でも、固定金型と可動金型が合わさ
る金型の上部右隅部か上部左隅部のどちらかにしか設置
できない。

そのため、弁を設置する場合は、金型のキャビティから
弁部に至るまでのガス抜き溝を、上と横の２個の中子の
接触面部を通して設ける必要があるとともに、このガス
抜き溝がかなり長くなることがある。

そして、２個の中子間のガス抜き溝を通って来た溶湯が
、固定金型と中子のスライド面間に入ってしまうことが
あり、そうなったら、溶湯が固まってパリになって残り
、中子が動かなくなり、不具合を生じる。

また、前記装置のものでは、弁装置を固定金型と可動金
型の合わせ面部に設置する関係上、弁設置穴の固定金型
と可動金型とに半円ずつあけ、金型が合わされたとき、
丸い円柱状の穴になるように設けられていて、その穴の
中に円筒状の弁装置が装入されるようになっている。

この場合、金型は、加工の便宜上、従来より入れ子と呼
ばれている２個の金型片にこれらの半円状の穴をそれぞ
れあけて、それぞれ別々に加工された固定金型と可動金
型の型合わせ面に組込まれて形成されることが多い。

そうすると、入れ子や弁装置設置穴の加工はやさしいが
、弁装置設置穴を加工した入れ子を固定金型と可動金型
にそれぞれ組込むときの心出し、すなわち、位置合わせ
が難しい。

前記したように、固定金型と可動金型は別々に加工され
るので、加工位置がほんのわずかでもずれると、固定金
型に組込む入れ子と可動金型に組込む入れ子のそれぞれ
の単円状の穴の位置がずれ、弁装置の設置や作動に支障
をきたすおそれがある。

また、前記装置のものでは、弁装置が金型の外周端部に
設けられるので、押出板が非常に大きくなるか、あるい
は、設置困難になる。

これらの弁装置を用いたときは、弁装置部で凝固した射
出金属を、型開き後、射出製品とともに可動金型から取
出す必要があるが、その時は、通常、可動金型に付設さ
れた押出板に取付けた押出ピンで押出して取出す。

しかし、前記したように、弁装置を金型の外周端部に設
置する関係上、弁装置部の凝固金属を押出すための押出
ピンを、非常に外側に設ける必要があり、その設置が極
めて難しく、場合によっては、押出ピンが取付けられな
い状態が生じるおそれがある。

また、前記装置のものでは、弁装置が金型の外周端部に
設けられるので、キャビティから弁装置までのガス抜き
溝の長さが長くなり、その分だけ、アルミニウム合金な
どの射出金属の歩留りが悪くなることがある。

また、前記装置のものでは、例えば、上下左右に中子が
あるような金型では、前記したように、ガス抜き用の弁
装置を金型の上側の右か左の隅部の固定金型に設置する
必要がある関係上、通常、金型の四隅に設けるガイドピ
ンの１本を取って、その部分に弁装置を設置することも
必要となり、その分だけ、型締時の金型のガイドや型合
わせが不安定となることもある。

また、前記装置のものは、ガス抜き溝から弁設置部の側
部に通じたガス排出用のバイパスと呼ばれる迂回通過を
有するガス抜き用の弁装置が金型の外周面部に設置され
るものであるから、バイパスから固定金型の外周面まで
の距離が比較的に短くなりがちであり、この距離が短か
すぎると、固宇金型と可動金型の合わせ面からパリが吹
出す可能性もある。

また、前記装置のものは、ガス抜き用の弁装置が金型の
外周面部にあり、キャビティから弁装置までのガス抜き
溝が比較的に長く、したがって、射出、型開き後に、可
動金型から取出す射出製品とランナ部全体の寸法が大き
くなるので、これら射出製品をマシン外に取出すとき、
マシンのタイバニ当ったり、マシン外の取出した射出製
品が冷却用の水槽に入らなかったりするおそれがあり、
また、トリミング装置を大きくする必要が生じるなどの
おそれがある。

本発明は、射出成形時に金型のキャビティ内のガスを確
実容易に排出することができるようにし、ガス抜き装置
の弁を確実に作動させうるようにするとともに、前記欠
点をなくしうるようにしたものである。

本発明においては、金型のキャビティから導かれたガス
抜き溝部で、かつ、互いに相対した凹凸部を有する金型
の分離面部に、キャピテイから進んで来る被射出溶融物
の作用によってガス抜き溝の軸線方向とは異なる方向に
直接動かされる弁と、キャビティから進んで来る被射出
溶融物の進行方向をガス抜き溝の軸線方向から弁の移動
方向に変えうる反射面と、ガス抜き溝から弁の移動路の
側面に通じたガス排出用の迂回通路を設け、弁を、被射
出溶融物の慣性力を受ける端面を弁の移動方向と交差さ
せた状態で設けた弁にして、反射面で反射した被射出溶
融物の慣性力を弁に直接作用させて弁を直接閉じうるよ
うにするとともに、弁の開閉作動により前記迂回通路と
金型外部間のガス排出路の連通遮断を行いうるようにし
、かつ、閉じている弁を開の状態にする弁開き用押圧ピ
ンを備えた射出成形装置における金型用ガス抜き装置と
した。

そして、閉じている弁を開の状態にする弁開き用抑圧ピ
ンとして、例えば、製品押出板に取付けたピンを用い、
製品押出動作と同時に弁を開きうるようにした。

次に、図面に示した実施例によって、本発明の詳細な説
明する。

第１図〜第３図は本発明の１実施例を説明するもので、
図において符号１は固定盤、符号２は可動盤、３は固定
金型、４は可動金型、５は押出板、６は押出ピン、７は
可動金型４のキャビティ、８は射出スリーブをそれぞれ
示し、射出スリーブ８中にはプランジャ９が摺動自在に
嵌合されている。

射出スリーブ８の外方端近傍には溶融金属の供給口８ａ
が形成されている。

固定金型３において、キャピテイ７の周りの可動金型４
に面する部分には、十分な面積を有する浅いガス抜き溝
１０が形成されている。

ガス抜き溝１０は第２図に示すように１本のガス抜き溝
１１に連通しており、このガス抜き溝１１は固定金型３
０分割面に設けられている。

このガス抜き溝１１は第１乃至３図に示すように互いに
相対した凹凸部を有する固定金型３および可動金型４０
分割面部に共有状態をもって形成された弁室１２に直行
して連通している。

この弁室１２は、第３図に明らかなように、ガス抜き溝
１１の軸線と直交又はその他の異なる方向に交差した軸
線を有し、その底面は摺鉢状に形成された円錐面となっ
ている。

すなわち、弁室１２の端部の固定金型３の分離面部には
、キャピテイ７から進んで来る溶融金属の進行方向をガ
ス抜き溝１１の軸線方向から後記する弁１３の移動方向
に変えうる反射面２０が設げられており、弁室１２中に
は弁１３が摺動自在に嵌合されている。

弁１３は、溶融金属の慣性力を受ける端面２１を弁１３
の移動方向と交差させた状態で設けた弁１３にして、反
射面２０で反射した溶融金属の慣性力を弁１３に直接作
用させて弁１３を直接閉じうるようにした。

弁１３の弁棒１３ａは、可動金型４側に形成され、かつ
、弁座１３ｂ部を介して弁室１２に連続する透孔４ａの
方に伸びており、透孔４ａ部の可動金型４に固定された
ガイドブロック１４を摺動自在に貫通して外方に導かれ
ている。

このガイドフロック１４を貫通している部分の弁棒１３
ａを囲むようにして筒体１６が可動金型４に対してボ
ルト１７によって固定されており、この筒体１６の先端
の裏面と弁棒１３ａの先端部との間には弁１３を閉じる
方向に力が作用する引張スプリング１８が弾装されてお
り、且つ、ガイドブロック１４の一部にはストッパー１
５ａ等の係止機構１５にて前記引張スプリング等の弾性
体１８に抗して弁１３を開位置にて保持し得るものとす
る。

すなわち、弾性体１８の引張力は、保止機構１５で弁１
３を開状態に保っている力より小さい。

一方、前記ガス抜き溝１１は弁室１２の近傍において、
第２図に示すように左右に分岐した迂回通路１９，１９
を有し、これら迂回通路１９゜１９は第２図及び第３図
に示すように互いに相対した凹凸部を有した金型の分割
面に沿って、弁室１２の弁１３の移動路の側面に迂回し
て弁室１２中に開口している。

この迂回通路１９の弁室１２に対する開口部は弁１３の
前進状態である非作動時にあっては、弁１３の弁棒１３
ａ側に位置しており、前記透孔４ａに連通している。

そして、弁１３が弁座１３ｂに当る位置まで後退移動し
たときに、この開口部は弁１３の外周面で閉じられるよ
うになっている。

透孔４ａは可動金型４に形成された排出路４ｂに連通し
ている。

弁棒１３ａの端部には復帰杵２３が筒体１６の切欠部１
６ａを通って筒体１６の外方へ突出しており、この復帰
杵２３を製品押出用の製品押出板５に一体に取付けた弁
開き用押圧ピン２２で押圧し、前進せしめ、閉じている
弁１３を開状態にセットし得る構造とした。

なお、ストッパー１５ａ等の係止機構１５は第３図に示
す如く、弁棒１３ａの外周面に設げた切欠段部１３Ｃに
ガイドブロック１４内に設けた圧縮バネにてボール１５
ｂを押圧する場合に限ることなく、第７図に示す如く弁
棒１３ａ内に圧縮バネとボール１５ｂとを内蔵する場合
もある。

又、第８図及び第９図に示す如く弁棒１３ａにテーパー
面を形成し、断面が角形の押圧片１５ｃを弁棒１３ａの
左右から弁棒１３ａを押圧挾持する如く形成する場合、
及び第１０図に示す如く板バネ１５ｄにて弁棒１３ａを
押圧挾持する場合、更に第１１図に示す如く弁棒に板バ
ネを設ける場合等がある。

要は弁１３を後退させる力を常に弾性体１８により加え
つつ、弁１３が開状態で維持される係止機構１５を設け
、該係止機構１５は被射出溶融金属が弁１３に与える最
初の衝撃で弁体の挾持係止を開放するものであれば足り
る。

なお、弾性体１８は引張りバネを弁棒後端と筒体１６頂
部の裏面との間に設ける場合に限ることなく、圧縮バネ
を復帰杵２３とガイドブロック１４との間に設けること
もある。

なお、弁１３の閉じる方向に力を作用させるものとして
、引張りバネからなる弾性体１８を用いたが、これは、
比較的に小さな力を作用させておくシリンダやソレノイ
ド装置を用いることができるし、あるいは、プーリに巻
掛けたロープの一端を弁体軸４５の後端４６部に取付け
、このロープの他端に重りを取付けた重力装置などを用
いることもできる。

次に以上のように構成された本実施例の動作を説明する
。

まず、弁１３が開いた状態で型締が行われ、第３図に示
す様に弁１３が前進位置にて弁室１２内にセットされる
。

そして射出スリーブ８中に溶融金属が注入され、射出プ
ランジャ９が前進すると、射出スリーブ８中の溶融金属
は高速度でキャビティ７中へ流入する。

これに伴ってキャビティ７中の質量の小さいガスはガス
抜き溝１ｏ、ｉｉを介して弁室１２の方向へ導かれる。

しかし、弁室１２は弁１３で封じられており、かつ質量
の小さいガスでは弁１３を押すことができないため、ガ
スは迂回通路１９を通って弁１３の外側に迂回し、透孔
４ａ及びガス排出路４ｂを通って外気に排出される。

そしてそのあと被射出溶融物である溶融金属がガス抜き
溝１０，１１を通って挿入してくる。

この溶融金属は質量が大きく、高速であるため、まず、
迂回通路１９方向へは迂回せずに直進し、弁室１２内に
向う。

弁室１２の底面は前述したように円錐形状に形成されキ
ャビティ７から進んで来る溶融金属の進行方向をガス抜
き溝１１の軸線方向から弁１３の移動方向に変えうる反
射面２０とされているため、直進してきた溶融金属がこ
の針面に激突し、はぼ９０度の方向を替えて弁１３の端
面２１に激突する。

このとき、最初の溶融金属が弁１３の端面２１当り、弁
１３に第３図中左方への力が作用し、ボール等からなる
係止機構１５が外れ、弁１３は図中の左方に押され、且
つ、スプリング等の弾性体１８にて弁は引張られるので
、最初の溶融金属による衝撃で弁は高速で後退する如（
移動され、透孔４ａの基端側に形成された弁座１３ｂに
着座する。

その後、溶融金属が一瞬とだえてガスが弁に当っても、
弁１３は弾性体１８にて引張られている故弁が開くこと
はない。

この結果、迂回通路１９の弁室１２に対する開口部は弁
１３０周面によってブロックされ、迂回通路１９と透孔
４ａ、ガス排出路４ｂとの連通状態は遮断される。

この結果、溶融金属自身の作用によってガス排出用の通
路は遮断され、溶融金属の外部への排出は完全に遮断さ
れる。

従って、溶融金属は弁室１２及び迂回通路１９に満たさ
れるが、透孔４ａ内に入らない。

なお、上記実施例において、射出成形が終了して溶融金
属が冷却固化し、型開が行われた後にはガス抜き溝１０
，１１、弁室１２迂回通、路１９中に固化した廃棄金属
は、射出製品と一体となって可動金型４に付着した状態
で固定金型３側から離れる。

しかる後、押出板５が前進し押出ピン６の作動によって
、キャビティγ中の成形品と共に、可動金型４から前記
廃棄金属を離型する。

この製品押出しが行なわれる時、抑圧ピン２２も同時に
前進し、押圧ピン２２０作用で復帰杵２３が押され、そ
の結果弾性体１８０弾発力に抗して弁１３は前進し、開
状態となり、且つ係止機構１５にて開状態が保持され次
の動作の時期状態となる。

このとき、弁１３はボール等の係止機構にて開状態を保
持される故、押圧板５や押圧ピン２２が後退しても弁１
３は開状態を維持することとなる。

本実施例＋’ｌ上のように構成されているため、射出成
形時においてガスは迂回通路１９から溝１１を介してガ
ス排出路４ｂを通って外方に排出され、続いて進入して
くる大きな質量を持った溶融金属は弁室１２の反射面に
当って反射し、ガス抜き溝１１の軸線方向とは異なる方
向へ約９０度方向を替えて弁１３に激突し、係止機構１
５を外すことにより弁を左方に後退させ、迂回通路１９
の開口端を弁１３０周面でブロックするため、外部との
通路は遮断され溶融金属自身の作用によって弁を閉じる
。

従って溶融金属は金型外へ排出されることがない。

以上の説明から明らかなように本発明によれば、金型の
分離面部に、ガス抜き溝の軸線方向とは異なる方向に弁
を設け、キャビティから進んでくる被射出溶融物の進行
方向をガス抜き溝の軸線方向から弁の移動方向に変えう
る反射面を設け、ガス抜き溝から弁の移動路の側面に通
じたガス排出用の迂回通路を設け、前記弁を、キャビテ
ィから進んできて反射面で反射した被射出溶融物の慣性
力の作用によって直接閉じ、外部に連絡される通路を遮
断することができる構成とされているため、金型キャビ
ティ内のガスを確実に排出でき、被射出溶融物の外部へ
の排出を完全に阻止することができる。

すなわち、射出成形時に効率良く大量のガスを抜き取り
、製品中に巣を形成することがなく、被射出溶融物が該
弁１３位置に達したときは、最初の溶融物により素早く
且つ確実に弁１３を閉じることができるものである。

そして、成形後は、金型を開き成形品を取出す際に成形
品を押出す製品押出板５に付設した押圧ピン２２をもっ
て弁体の復帰杵２３を前進せしめるから、弁室１２内の
凝固金属は確実に排出されるだけでなく、弁１３を開状
態に自動的且つ確実にセットできる。

上記実施例は可動金型４に取付けたガイドブロック１４
に弁棒１３ａを設けた場合であるが、第４図に示す如く
固定金型３に弁棒１３ａを設ける場合もある。

この実施例では、内部を中空とした円柱状の弁棒１３ａ
を用い、弁となる先端１３ｄを可動金型４内に食い込む
如く位置させ、第４図乃至第６図に示す如く、迂回路１
９が分岐した後、ガス抜き溝１１に続く溶湯の通路１１
ａを可動金型４内に食い込む如く形成し、弁室１２に至
らしめる。

迂回通路１９の端部は弁棒１３ａの側方に至り、弁棒１
３ａの周囲に設けた切欠部１３ｅを介して固定金型３に
設けたガス排出路３ｂに連通ずる。

更に弁棒１３ａ後端に膨大部を形成して復帰杵２３とし
、筒体１６の後方にソレノイド式シリンダー等のアクチ
ュエータ２５を設ける。

該アクチュエータ２５に取付ける弁開き用押圧ピンの１
種である復帰ピン２２は筒体１６を貫通し、復帰杵２３
を押圧して弁棒１３ａを前進させるものである。

なお、該アクチュエータ２５は電磁作動に限ることなく
、油圧作動のものを用いることもあり、該アクチュエー
タ２５と可動金型４内に設けられる製品押出板５の作動
シリンダとは電気的又は油圧的に結合され、製造押出板
５の作動と連動してアクチュエータ２５に設げた復帰ピ
ン２２も前進するものである。

上記のような装置を利用すると、以下に記載するような
多くの効果が期待できる。

（１）質量の小さいガスがほぼ逃げたとき、ガスに続い
て進行して来た質量の大きい被射出溶融物の慣性力で、
構造が比較的に簡単な弁を直接押すことにより、ガスの
排出路を遮断するようにしたので、弁の作動が早く、か
つ、確実であり、ガス抜きと、弁部からの被射出溶融物
の排出防止を確実容易に行える。

特に、被射出溶融物を斜面である反射面に激突させ、そ
の反射によって弁に作用させるようにしたので、弁の作
動が早く、確実である。

そして、各回の鋳込動作に完全に同調して、自動的にガ
ス抜きが行われ、タイミングが狂うこともなく、ガス抜
き作動が安定する。

（２）射出時にガス抜きを十分に行えるので、射出製品
中の残存ガスが大幅に減少し、射出製品の湯まわり、耐
圧、気密性が著しく向上する。

（３）成形品押出板に付設した復帰ピン又は製品押出板
と連動する押圧ピンで弁体を前進せしめる場合は、製品
の押出と同時に開状態にセットできるだけではなく、確
実かつ安全に廃棄金属を排出することができる。

従って、キャビティ外周のエヤベント部におけるパリ発
生が減少するので、パリを除かなくても良く、金型に傷
をつげることがない。

その結果自動化が容易になり、金型の鋳金も延びる。

（４）弾性体１８などのような弁１３を閉じる方向に力
を作用させる部材にて弁体１３に対し、常に弁が後退す
る方向に力を加えつつ、開状態を保持する係止機構１５
を設けておけば、被射出溶融物の最初の衝撃で係止機構
を外して弁を閉じ弾性体１８等にて弁の開状態を維持す
ることができるから、被射出溶融物が不連続に弁１３に
到達する場合でも、最初の被射出溶融物により確実に弁
を閉じることができる。

（５）本発明においては、閉じている弁を開の状態にす
る弁開き用押圧ピンを備えているので、弁が開いている
時には、弁が自由に動けるように弁開き用の抑圧ピンを
後退させて弁から離しておくことができ、弁を抵抗の少
ない状態で、溶湯の慣性力で素早く、円滑に閉じること
ができる。

そして、閉じている弁を開く時は、弁開き用の押圧ピン
を前進させ、抑圧ピンで弁を強制的に押して弁を開くよ
うにすることができるので、弁の開き動作を常に確実容
易に行うことができる。

勿論、抑圧ピンを製品押出用の押出板に一体に取付けて
おけば、射出時には抑圧ピンを後方にさげておくことが
できるとともに、製品押出時に、同時に、閉じている弁
を確実容易に開くことができるし、弁開き用の駆動源を
新たに設ける必要もない。

また、押圧ピンをアクチュエータで前後進させる場合で
あっても、同様に、閉じている弁を確実容易に開（こと
ができる。

（６）本発明では、弁装置が金型の外周面部に出ないで
、金型の型締型開方向と平行に設けられるので、仮に、
金型の上下左右に４個の中子があっても、上側の中子に
組込むことができ、キャビティのすぐ近くに設置するこ
とができる。

したがって、キャビティから弁装置までのガス抜き溝の
距離をかなり短くすることができるとともに、従来のよ
うに中子と固定金型との間のスライド面にパリが入って
中子動作に支障をきたすこともない。

（７）本発明では、弁装置は金型の型締型開方向と平行
に設けることができ、したがって、一方の金型のみに組
込むことができるので、円形に一体に形成された弁装置
設置穴は、従来の金型分離面部に設けるもののように位
置ずれを起こすことがなく、弁装置の摺動作動も良好に
行われる。

（８）本発明では、弁装置をキャビティの近（に設置す
ることができるので、押出ピンで弁装置部の凝固金属を
押出す場合でも、押出ピン位置はキャビティの近くで良
く、従来の大きさの押出板をそのまま充分に活用するこ
とができる。

（９）本発明では、キャビティから弁装置までのガス抜
き溝の長さを比較的に短くすることができるので、射出
金属の歩留りがそれ程悪くならない。

−（１０）本発
明では、仮に、上下左右に中子のある金型であっても、
弁装置を中子に設置することもできて、キャビティの近
くに設置することができ、金型の四隅に通常設けるガイ
ドピンの１本を取って、そこに弁装置を設置する必要も
なく、型締時の金型のガイドに支障をきたすこともなく
、型合わせ等が常に良好に行われる。

συ 本発明では、ガス抜き用の弁装置をキャビティに
比較的に近い所に取付けることができるので、ガス抜き
溝から弁設置部の側面に通じたガス排出用のバイパスも
金型の外周面よりかなり中の方に設けることができ、し
たがって、ガス排出用のバイパスから金型外にパリが吹
出すこともない。

０ 本発明では、ガス抜き弁の弁装置をキャビティから
比較的に近い部分に取付けることができるので、その間
のランナ部がそれ程長くならず、射出製品の取出しゃそ
の後の処理、例えば、冷却用水槽に入れたり、トリミン
グ装置内に移送してトリミングしたりする作動に特に支
障をきたすことはない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１実施例を示す縦断側面図、第２図は
第１図中の■−■線断面図、第３図は第１図の一部拡大
断面図、第４図は本発明の他の実施例を示す図、第５図
、第６図は各々第４図中のＶ−■線断面図及びＶＩ−Ｖ
Ｉ線断面を示す図にして、第７図乃至第１１図は各種係
止機構を示す図である。 １・・・・・・固定盤、２・・・・・・可動盤、３・・
・・・・固定金型、４・・・・・・可動金型、５・・・
・・・製品押出板、６・・・・・・押出ビン、７・・・
・・・キャビティ、８・・・・・・射出スリーブ、９・
・・・・・射出プランジャ、１０，１１・・・・・・ガ
ス抜き溝、１２・・・・・・弁室、１３・・・・・・弁
、１３ａ・・・・・・弁棒、１３ｂ・・・・・・弁座、
１４・・・・・・ガイドブロック、１５； ・・・・・
・係止機構、１６・・・・・・筒体、１８・・・・・・
スプリング、１９・・・・・・迂回通路、２０・・・・
・・反射面、２２・・・・・・押圧ピン、２３・・・・
・・復帰杵。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 金型のキャビティから導かれたガス抜き溝部で、か
   つ、互いに相対した凹凸部を有する金型の分離部に、キ
   ャビティから進んでくる被射出溶融物の作用によってガ
   ス抜き溝の軸線方向とは異なる方向に直接動かされる弁
   と、キャビティから進んで来る被射出溶融物の進行方向
   をガス抜き溝の軸線方向から弁の移動方向に変えうる反
   射面と、ガス抜き溝から弁の移動路の側面に通じたガス
   排出用の迂回通路を設け、弁を、被射出溶融物の慣性力
   な受ける端面を弁の移動方向と交差させた状態で設けた
   弁にして、反射面で反射した被射出溶融物の慣性力を弁
   に直接作用させて弁を直接閉じうるようにするとともに
   、弁の開閉作動により前記迂回通路と金型外部間のガス
   排出路の連通遮断を行いうるようにし、かつ、閉じてい
   る弁を開の状態にする弁開き用押圧ピンを備えた射出成
   形装置における金型用ガス抜き装置。 ２ 閉じている弁を開の状態にする弁開き用抑圧ピンと
   して、製品押出板に取付けたピンを用い、製品押出動作
   と同時に弁を開きうるようにした特許請求の範囲第１項
   記載の射出成形装置における金型用ガス抜き装置。