JPS5936895Y2 - 地下設置用変圧器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は配電用として地下孔内に設置して使用される変
圧器に係り、変圧器の本体が地下孔底部に溜まる地下水
や雨水等に浸漬されることによって生じていたアースと
該本体間の電食を防止する構造に関するものである。

近年においては、都市の密集化や電力需要の増大等に伴
ない、且つ設置用地の入手難や都市美化等のために、変
圧器を始めとする配電機器は地下に埋設される傾向にな
っている。

そこで一般的な地下埋設方法について第１図により説明
する。

第１図は、従来構造の地下設置用変圧器１を地下孔２内
に設置した場合において、該変圧器１の下部が水３に浸
漬されている状態を想定している。

即ち、変圧器１を収納する地下孔２はコンクリート等の
隔壁４で構成され、その開口部２ａは通気可能な蓋５に
よって閉じられている。

また、変圧器１は所定の接地工事が施された接地棒６と
導線７によって電気的に接続されている。

なお、８は栗石、１２は変圧器１を地下孔２の底部２ｂ
から浮かすベースである。

このような変圧器の地下埋設において、地下孔２の底部
２ｂには地表９から蓋５を通って流入する雨水や地下孔
２から滲出する地下水等が溜まるが、これによる水位は
意外と高く、地域によっては第１図の如く変圧器１の高
さの半分以上が常に水３に浸漬して年間を通じて水位の
下ることがないのが現状である。

したがって水に浸漬されるという前提のもとに、一般に
この種の変圧器１のタンク表面は溶融亜鉛めっき上に更
に耐水性及び耐腐食性の塗装が施されている。

しかし、塗装にピンホールが存在したり輸送中や据付工
事中に屡々傷を受けるため、部分的に亜鉛めっき層やタ
ンク素地の鋼材が露出してしまい、この露出部分１０が
水中に浸漬されると接地棒６との間で異種金属による接
触腐食を生ずることがある。

即ち電解質を含む水３中において、ピンホールや傷等に
よる変圧器１の露出部分１０と銅製の接地棒６との間に
電位差が生じて自然電極電位の貴・卑の関係で接地棒６
が陰極にまた変圧器１の露出部分１０が陽極になり、導
線７を介して形成された閉回路に矢印のように腐食電流
が流れる。

この場合、露出部分１０はピンホールや傷等によって生
ずるためその面積が極めて狭く、この狭い部分１０に腐
食電流が集中することにより思いもよらぬ短期間に著し
く腐食が進行して変圧器１のタンクに穴をあけることと
なり、従来よりその対策に苦慮されてきた。

そこで本考案は、変圧器のタンクが直接水に浸漬しない
ような埋設構造にすればたとえ腐食が生じても即事故に
つながるような事にならず、しガも修理や交換も容易に
なるということに着目してなされたものである。

以下、本考案の一実施例を第２図に基づいて説明する。

なお、第２図中で従来技術と同一部分には同一番号を付
して説明の重複を省く。

第２図は本実施例の地下設置用変圧器が収納された地下
孔２内底部に水が溜った状態を想定して示す。

第２図において、１１は本実施例の地下設置用変圧器で
あり、その外周にスカート１３を備える。

このスカート１３は、変圧器本体のタンクを適宜な間隔
を保って囲繞する筒状のものであり、その材質は地下孔
２内の水３中での自然電極電位が変圧器本体のタンクと
同じかあるいはそれよりも卑なものとしである。

このようなスカート１３は、水面より高い位置１１ ａ
から変圧器本体のタンク下側のベース１２に至るまで適
宜な間隔をあけて該変圧器本体のタンクを囲むが、スカ
ート１３の上端部は位置１１ ａにて変圧器本体のタン
クと気密を保って密着接合してあり、スカート１３の下
端部はそのまま開口させである。

なお、スカート１３の上端部を変圧器本体のタンクに密
着接合する位置１１ ａは、地下孔２内の予想される水
位によって適宜に選択し、該上端部が水没しない位置と
すれば良い。

またスカート１３の下端部は、変圧器本体のタンク底面
が水没しない程度に伸ばしておく。

したがってベース１２はその高さ寸法及び断面積を夫々
若干大きくすると良い。

このような構成の地下設置用変圧器１１は、地下孔２内
に設置した場合、次のような利点を有する。

即ち、地下孔２の底部２ｂに溜った水３の水位が上昇し
てスカート１３の上端部近くまで水没しても、スカート
１３の上端部が密封されているため、スカート１３内側
の空気１４に押し戻されて該スカート１３内側へは水３
が浸入できない。

即ち、変圧器本体のタンクが水３に浸漬することがなく
、スカート１３によって変圧器本体のタンクが防水され
るのである。

その代りスカート１３は直接水３に触れるため接地棒６
との間で電食が生じ、犠牲電極となって変圧器本体のタ
ンクよりも早目に腐食する。

しかし、変圧器本体のタンクに比較してその修理、交換
は極めて容易である。

また仮りに腐食が進んでスカーＩ・１３に孔があいたり
して防水の用を果さなくなっても、第１図の従来構造と
同一条件になるだけで即事故につながることはない。

更に防食については、ベース１２の高さ及び断面積を大
きくしておけばその分が腐り代として働き、例え腐食し
ても事故には直結せず交換も容易にできる。

更に付言すれば、スカート１３は放熱片としての効果を
もつので、従来変圧器タンクに装着されていた放熱片（
図示せず）を省略したり減少させたりできる。

このような利点を生ずるスカート１３は、多少の水圧が
外側から加わるが、機械的強度は殆んど要求されず変圧
器本体のタンクと比較すれば薄い材料で良い。

またその形状及び構造は変圧器本体のタンクを囲繞する
だけで極めて簡単である。

よってスカート１３の製作は極めて安価且つ容易である
。

以上実施例とともに具体的に説明したように、本考案は
スカートを備えることにより極めて簡単な構造で変圧器
本体を水の浸漬から防止し、且っ電食から保護できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来構造の地下設置用変圧器を地下孔内に設置
し、その下部が水に浸漬された状態を想定して示す側面
図で、地下孔を破断しである。 第２図は本考案の地下設置用変圧器を地下孔内に設置し
、その下部が水に浸漬された状態を想定して示す側面図
で、スカート及び地下孔を破断しである。 図面中、２は地下孔、３は水、６は接地棒、１１は本考
案の地下設置用変圧器、１２はベース、１３はスカート
、１４は空気である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 地下孔等に設置して使用される地下設置用変圧器におい
   て、変圧器本体の外周に該変圧器本体との間に適宜な間
   隔を保ってスカートが装着され、このスカートの上端部
   が変圧器本体と密着接合していると共にスカートの下端
   部が変圧器本体より下方で開口していることを特徴とす
   る地下設置用変圧器。