JPS5929071Y2 - 仮枠装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は仮枠装置に係り、建造物のコンクリートスラ
ブ中に埋設される各種の配線ボックス類が配電等の関係
によりボックス位置の正確性が要求されて固定される場
合、コンクリート材打ち込みに際し、内部空間内での配
線ボックス類の移動調整を可能とする収納空間をスラブ
中に予め確保しておくことができるようにしたもので、
収納空間内に配線ボックス類を配置固定するときの設置
位置の自在性、埋め戻すときのモルタル材の埋込容易性
が図れるようにした仮枠装置に関するものである。

従来から建造物のコンクリートスラブ中に埋設されるア
ウトレフトボックス、スイッチボックス、コンセントボ
ックス等の配線ボックス類は、スラブ構築時に構枠され
るコンクリートパネル面に所定の取付金具にて仮止設置
され、この状態でコンクリート材を打ち込み凝固した後
コンクリートパネルを脱型することにより、埋設固定さ
れる。

ところが、コンクリート材打ち込み後は、配線ボックス
類の固定位置を変更、移動調整することは困難であり、
コンクリート材圧等により固定位置がずれると、スラブ
構築後に実施される各種の配電工事に際し、配線ボック
ス類と連絡させるための位置合わせが困難となり、特に
配電等の関係によりボックス位置の正確性が要求される
ときの不都合は顕著であり、このような不都合が作業中
の障害のひとつとなっていた。

そこで、この考案は、内部空間での配線ボックス類の移
動調整を可能とする収納空間をスラブ中に予め確保して
おくこと、収納空間内に設置するときの任位置での固定
を簡易迅速に行ない得ること、更に収納空間内に配置し
た配線ボックス類を埋め戻す際のモルタル材の充填固着
を確実にすることで、成上のような従来存した欠点の解
消を図らんとしたものである。

そのため、この考案は、埋設すべき配線ボックス類の空
間容積より大きい容積の空間を占める所定の外形を有し
、コンクリートパネル面に当接仮止されるようになって
いる仮枠本体と、この仮枠本体に貫挿保持され、仮枠本
体脱型後に残置される撓曲自在な棒状支持部材と、仮枠
本体外側面を覆い、凝固後のコンクリートスラブ面に露
呈されるラス金網とを備えたことを特徴とするもので、
以下図面を参照してこの考案の一実施例を説明すると次
の通りである。

図において示される符号１は、仮枠本体であり、埋設す
べき配線ボックス類Ｂ、例えばアウトレットボックス、
スイッチボックス、コンセントボックス等の空間容積よ
り大きい容積の空間を占める所定の外形を有し、コンク
リートパネル２面に当接仮止されるようになっている。

この仮枠本体１は、コンクリート材打ち込み時にはその
圧、衝撃等に充分耐え、また圧潰されることなくその外
形が保形されること、コンクリート材の凝固後にあって
は容易に脱型可能であることを要し、構造、素材は特に
限定されるものではない。

第１図及び第２図において示される仮枠本体１は、直方
体状に成形されたポリスチレン樹脂（スチロール樹脂）
製、あるいは発泡ポリスチレン樹脂製のものであり、第
７図に示される仮枠本体１は、適宜肉厚の板材によって
組立てられた直方体状の箱に形成されたものであり、ま
た図示を省略したが、内部に補強桟板が内蔵される角筒
状の角枠体の一方開口端を閉塞蓋板にて閉塞して、全体
を耐水性段ボール紙にて形成したものであってもよく、
いずれにしても、内部が中空であるか密であるかは関係
なく、その外形が所定の空間容積を占める大きさであれ
ばよい。

２は仮枠本体１をコンクリートパネル２面にバンド線６
を介して連結するための連結金具で、仮枠本体１にあっ
てコンクリートパネル２面に当接される面の反対外側面
に当接される帯状当接片３両端に、先端を尖鋭状にした
刺止片４を当接片３に対し点対称に折曲連設し、コンク
リートパネル２面に仮枠本体１を縛りつけるバンボ線６
を挿通させるｌ対のバンド線挿通孔５を当接片３に開穿
したものである。

これが使用に際しては、当接片３にあるバンド線挿通孔
５にバンド線６を挿通し、刺止片４にて仮枠本体１面に
強制的に打着することにより連結金具２を仮枠本体１に
固定し、コンクリートパネルＰを貫挿させたバンド線６
を適宜縛着すればよいものである。

そして、前記仮枠本体１に貫挿保持され、仮枠本体１脱
型後に残置される撓曲自在な棒状支持部材７があり、こ
の棒状支持部材７は、一端に巻回された埋設部分８を、
他端に尖鋭状の尖鋭端９をそれぞれ設けて中央部を支持
部分１０となし、撓曲性ある適宜径の番線材にて形威さ
れたものである。

すなわち、仮枠本体１をコンクリートパネル２面に仮止
するとき、尖鋭端９にて仮枠本体１に貫入され、埋設部
分８を外出したままでコンクリート材を打ち込み、コン
クリート材の凝固後で仮枠本体１を脱型したとき埋設部
分８にてコンクリートスラブＣ内に固定されたまま抜去
されることなく収納空間内に支持部分１０が残置される
ようになっている。

また、仮枠本体１外側面を覆い、凝固後のコンクノート
スラブＣ面、すなわち収納空間奥壁面に露呈されるラス
金網１１があり、このラス金網１１は、仮枠本体１をコ
ンクリートパネル２面に連結した後、前記連結金具２外
側から仮枠本体１を覆うように装着されるか、あるいは
連結金具２内側に配されてバンド線６を介してコンクリ
ートパネルＰと一体化される。

前者であれば、連結金具２、バンド線６の再使用が可能
であるから便利であり、後者であれば、仮枠本体１とラ
ス金網１１とを予め一体化しておくこと、及びコンクリ
ート材打ち込み時にあってのラス金網１１の脱落がなく
便利である。

ラス金網１１自体は、第１図乃至第６図に示すように、
仮枠本体１前面（後面）、外側周面全体を覆うような略
ボックス状に構枠される場合に限らず、第７図に示すよ
うに、仮枠本体１前面（後面）のみを覆い、かつこの前
面（後面）外形よりひと回り大きくした平面状に形成さ
れることもあり、施工現場の状況に応じ自由に選定でき
る。

ただ、いずれにしてもコンクリートパネルＰ、仮枠本体
１の脱型時でラス金網１１は残置されるようにしておか
なければならない。

１２は、前記棒状持部材７に配線ボックス類Ｂを取付け
る取付金具であり、配線ボックス類Ｂの底壁外側面に向
って開口された断面溝形状の金具本体１３を形威し、配
線ボックス類Ｂの底壁に沿わせられた前記棒状支持部材
７が嵌合される適数個の嵌合支持溝１４を金具本体１３
両側壁開口端に形成し、配線ボックス類Ｂの底壁に開穿
した透孔に貫挿係止する係止片１５を金具本体１３一端
に延設し、配線ボックス類Ｂの底壁に内側から貫挿させ
た止着ボルト１６をねし止めさせるねし孔１７を金具本
体１３他端に設けたものである。

次に、これが使用を説明すると、コンクリートスラブＣ
を構築すべく構枠されるコンクリートパネル２面に、予
め成型された、あるいは組立てられた仮枠本体１を、既
定の設計に従い埋設される配線ボックス類Ｂの所定位置
で、連結金具２、バンド線６等を介して仮止固定させ、
その際、埋設部分８を仮枠本体１外に位置せしめるよう
、仮枠本体１に棒状支持部材７を強制的に貫挿保持させ
、また仮枠本体１外側面をラス金網１１にて覆って適宜
止着しておく。

また、コンクリートスラブＣ中に埋設が予定される電線
管、ケーブルＷ等を適宜配管、配線し、その先端を仮枠
本体１内に貫入しておいてから、コンクリート材を打ち
込む。

そして、コンクリート材が凝固した後コンクリートパネ
ルＰを脱型し、また場合によっては破断、破壊して仮枠
本体１を脱型すれば、仮枠本体１外形状の収納空間が枠
数形成され、同時に収納空間のコンクリートスラブＣ面
にラス金網１１が露呈され、また棒状支持部材７が突出
された状態となっており、その支持部分１０に取付金具
１２を介して配線ボックス類を取付けるものである。

このときにおける棒状支持部材７の支持部分１０の左右
、前後、上下方向への撓曲自在性を利用して、これを直
接計測確認しながら移動調整することで配線ボックス類
Ｂの設置位置が自由に選定されるものである（第４図、
第５図参照）。

次いで、仮枠本体１固着時に同時に配管、配線されてい
た電線管Ｗ等に直接にあるいはフレキシブルパイプ等を
介して間接に配線ボックス類Ｂと連絡接続し、然る後、
収納空間内にモルタル材Ｍその他を充填することにより
埋め戻しを行ない、配線ボックス類Ｂの支持作業が完了
する。

したがって、収納空間のコンクリートスラブＣ面にラス
金網１１が露呈されるから、埋め戻す際のモルタル材Ｍ
がラス金網１１に喰い込み、その充填固着作業を極めて
容易に遂行でき、しかも一旦充填固着後はラス金網１１
を介してコンクリートスラブＣと一体化されて剥離、脱
落することはなく、ひいては配線ボックス類Ｂの埋設固
定を一層確実なものとすることができる。

また、仮枠本体１は、埋設すべき配線ボックス類Ｂの空
間容積より大きい容積の空間を占める所定の外形を有す
るから、コンクリート材の凝固後で仮枠本体１を脱型す
るとその外形状で収納空間が形成されることになり、し
かもこの収納空間の中で埋設が予定される配線ボックス
類Ｂの移動調整が自由であるから、配電等の関係により
正確な位置決めが必要とされる場合に極めて便利でる。

仮枠本体１脱型後に残置される棒状支持部材７は、それ
自身が撓曲自在となっているから、収納空間内での左右
、前後方向への位置調整はもとより、収納空間から外出
させてもその位置の調整が可能であり、また上下方向へ
の位置調整は前述のような取付金具１２の棒状支持部材
７に対する支持位置の変更により行なうことができる。

しかもこれらの位置調整作業は棒状支持部材７の撓曲可
能な範囲内であれば無制限に行なえ、同時に大きな変更
も、微調整もできるから頗る便利であると共に、棒状支
持部材７の設置は１本でも、複数本でもその数は限定さ
れず、またその設置状態は上下方向、左右方向でも、更
には交差されるものであってもよく、配線ボックス類Ｂ
の取付状況を考慮して予め種々に設定することができる
。

仮枠本体１とラス金網１１とは、簡単に結合でき、コン
クリート材の打ち込み時は分離されなくとも、コンクリ
−ドパネルＰ、仮枠本体１の脱型時には、打ち込まれた
凝固後のコンクリート材とラス金網１１とが一体化され
ることになることと相俟ち、これらＰ、１と分離されて
ラス金網１１だけが残置され、その後のモルタル材Ｍ充
填作業に備えることができ、また収納空間のコンクリー
トスラブＣ面に露呈されるだけであるから、配線ボック
ス類Ｂの位置決め作業の際に邪魔になることもない。

以上明らかなようにこの考案によれば、建造物のコンク
リートスラブ中に埋設される各種の配線ボックス類の位
置が配電等の関係によりその正確性が要求されるとき、
コンクリート材打ち込み時にその移動調整を可能とさせ
る収納空間を予め確保しておくことができると共に、収
納空間内に配線ボックス類を配置固定するときに棒状支
持部材の撓曲性を利用して直接計測しながら自由な位置
に設置でき、また配線ボックス類を埋め戻すときのモル
タル材の充填固着を容易かつ確実にし、ひいては配線ボ
ックス類の埋設固定を一層確実なものとし、しかも構成
簡単で安価に提供し得る等の実用上極めて有益な効果を
奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１図は分解
斜視図、第２図は使用状態の断面図、第３図は配線ボッ
クス類の取付時における側面図、第４図及び第５図はそ
の正面図、第６図はその一部切欠平面図、第７図は他の
実施例における使用状態の断面図である。 Ｂ・・・・・・配線ボックス類、Ｃ・・・・・・コンク
リートスラブ、Ｐ・・・・・・コンクリートパネル、Ｗ
・・・・・・電線管、ケーブル等、Ｍ・・・・・・モル
タル材、１・・・・・・仮枠本体、２・・・・・・連結
金具、３・・・・・・当接片、４・・・・・・刺止片、
５・・・・・・バンド線挿通孔、６・・・・・・バンド
線、７・・・・・・棒状支持部材、８・・・・・・埋設
部分、９・・・・・・尖鋭端、１０・・・・・・支持部
分、１１・・・・・・ラス金網、１２・・・・・・取付
金具、１３・・・・・・金具本体、１４・・・・・・嵌
合支持溝、１５・・・・・・係止片、１６・・・・・・
止着ボルト、１７・・・・・・ねじ孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 埋設すべき配線ボックス類の空間容積より大きい容積の
   空間を占める所定の外形を有し、コンクリートパネル面
   に当接仮止されるようになっている仮枠本体と、この仮
   枠本体に貫通保持され、仮枠本体脱型後に残置される撓
   曲自在な棒状支持部材と、仮枠本体外側面を覆い、凝固
   後のコンクリートスラブ面に露呈されるラス金網とを備
   えたことを特徴とする仮枠装置。