JPS5923753B2 - 粉末状の洗顔料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、水と混練して、顔面に塗布し、一定時間放置
（必要に応じて軽くマッサージを行ない）して、顔面の
汚れ成分や老化角質を固定化酵素の酵素反応により分解
し、その後水で洗い落して顔面を清浄化する粉末状の洗
顔料に関する。

更に詳しくは酵素の経日安定性（活性保持率、等）使用
時の水混和性、感触および洗浄効果に優れた粉末状の洗
顔料に関する。

一般に酵素は高温や特に湿気を含む場合、ＰＨあるいは
金属イオンやイオン性界面活性剤などの共存物によつて
不活性化されやすい。

近時、酵素本来の優れた分解作用を加味した酵素入り洗
剤が脚光を浴びているが、一般に洗剤基剤、例えばアニ
オン型界面活性剤を主剤とした洗剤に酵素を配合する場
合には、アニオン型界面活性剤は酵素の安定性を弱め、
実用上満足し得る程度の酵素失活乃至活性低下の少ない
製品は得られていない。

一方洗顔化粧料においても、皮膚上の汚れ成分の一つで
ある蛋白質を酵素により分解除去して美容効果を向上せ
しめる洗顔料が市販されているが、次のような問題が指
摘されている。

すなわち、（イ）酵素は不安定で失活しやすいため、酵
素含有製品の保存条件、容器、包装に充分な注意が必要
であり、また製造時に一部失活するおそれがある。（ロ
）酵素含有製品は、保存時に変色、変臭を起しやすい。

←０ 顔面塗布時に、ベトツキなどのフィーリングの好
ましくない感触を与えることがある。

（ヨ 水との混和性が充分でなく、酵素が浮遊しやすい
。

最近、酵素の失活を抑制する化合物としてＮーアシルグ
ルタミン酸塩等が提案されているが、やはりその抑制効
果は少なく、保存時に製品の変色、変臭を起しやすく、
また使用時にベトツキ感やぬるぬるした好ましくない感
触を与える問題を解消することができない。

一方、通常の酵素を安定化するために開発された固定化
酵素においても、なお保存時に酵素失活や活性低下、変
臭等を起しやすくまた、洗顔時等にベトツキ感を与えや
すいものが多い。

本発明者等はかゝる現状に鑑み鋭意研究した結果、洗浄
剤基材のアニオン型界面活性剤に、酵素が絹フイプロイ
ンによつて包括された固定化酵素の粉末と化粧料用の水
不溶性無機粉体とを併用混合する場合は、固定化酵素中
の含有酵素が更に安定化され、その活性保持効果が向土
するのみならず、保存時の変色、変臭、使用時の感触お
よび水混和性の前記諸問題が悉く解消されることを認め
、本発明を完成した。

本発明の目的は、経日安定性（保存安定性）、使用時の
水混和性（水中分散性）、塗布時の感触および洗浄効果
の優れた粉末状の洗顔料を提供することにある。

更に他の目的は、固定化酵素の安定性を向上する方法を
提供するにある。

すなわち、本発明は、主体構成成分として、酵素が絹フ
イプロインにより包括されている固定化酵素の粉末を、
含有している酵素量として０．０１〜５重量％（重量％
は組成物の重量基準。

以下同じ）と、アニオン型界面活性剤を３〜９０重量％
と、化粧料用の水不溶性無機粉体を３〜９０重量％とを
配合してなる粉末状の洗顔料である。本発明に使用され
る、酵素が絹フイプロインによつて包括されている固定
化酵素（絹フイプロイン一固定化酵素）は、水不溶性の
蛋白質である絹フイプロイン（担体）によつて酵素が実
質的に包被されている構造の固定化酵素である。このよ
うな形態の固定化酵素は、その分類上から、通常包括型
とか包括型固定化酵素と呼ばれている。また酵素が絹フ
イプロインによつて包括された固定化酵素の粉末とは、
粉末状の絹フイプロイン一固定化酵素であつて、通常０
．５〜２０μのものが適用される。粉末状の絹フイプロ
イン一固定化酵素は、銅一エチレンジアミン水溶液、塩
化カルシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、硝酸カ
ルシウム水溶液、硝酸マグネシウム水溶液等の溶媒（絹
フイプロインを溶解する溶媒）に絹フイプロインを溶解
した溶液を透析して得られる絹フイプロイン水溶液に、
酵素を混合した後、この混合液に硫安、食塩、芒硝等の
無機塩（凝固剤）を添加して、混合液を凝固、沈澱せし
め、その後、凝固物を乾燥し、粉砕することによつて得
られる。

本発明の絹フイプロイン一固定酵素において担体の絹フ
イプロインにより固定化されている酵素フとしては、プ
ロテアーゼ、リバーゼ、アミラーゼ等の加水分解酵素が
その洗浄効果等がより好ましく、特にプロテアーゼが良
好な効果を示す。

本発明に使用する絹フイプロイン一固定化酵素としては
、酵素含有率が通常０．１〜２０重量％のものが適用さ
れる。本発明の洗顔料におけけ絹フイプロイン固定化酵
素の配合量（使用量）は、絹フイプロイン一固定化酵素
に含有している酵素量として組成物（洗顔料）の重量（
処方成分の全量重量）に対して０．０１〜５重量％、好
ましくぱ０．１〜２重量％である。

０．０１重量％未満では洗浄効果や酵素の効果が低下し
５０重量％をこえると顔面塗布時に粉つぽい感触を与え
やすい。

本発明の洗顔料に使用する化粧料用の水不溶性無機粉体
としては、例えば、タルク、カオリン、酸化チタン、ベ
ントナイト等が好ましいものとして挙げられる。

これらの無機粉体は一種また二種以上組合せて使用され
る。その配合量（使用量）は、組成物（洗顔料）の重量
（処方成分の全量重量）に対して３〜９０重量％、好ま
しくは１０〜７０重量％である。３重量未満では、固定
化酵素の活性保持効果や製品の保存安定性がわるくなり
、また感触がわるくなる（ベトツク）傾向がある。

９０重量％よりも多くなると洗浄力の低下や感触の悪化
（粉つぽい感触）をきたしやすい。

しかし、該無機粉体の配合量が上記の範囲内においては
特に固定化酵素の安定性を更に向上して、製品の保存安
定性を著しく向上するものであつて、その作用効果の特
異性は著しい。

本発明におけるアニオン型界面活性剤としては、高級ア
ルコール硫酸エステル塩、及びＮ−アシルグルタミン酸
塩が好ましいものとして例示される。

高級アルコール硫酸エステル塩としては、炭素数が１２
〜１８の高級脂肪族アルコール硫酸エステルのアルカリ
金属塩が好ましい。また、Ｎ−アシルグルタミン酸塩と
しては、炭素数６〜２０のアシル基を有するＮ−アシル
グルタミン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が好
ましい。

これらのアニオン型界面活性剤ペー種または二種以上組
合せて使用され、その配合量は組成物（洗顔料）の重量
（処方成分の全量重量）に対して３〜９０重量％、好ま
しくは１０〜７０重量％である。

３重量％よりも少ないと油質汚れ等に対する洗浄力に劣
り、７０重量％をこえると、顔面塗布時の感触がベトつ
いてわるくなるとか、酵素活性の持続性が低下する等の
問題を生ずる。

本発明の洗顔料において、必要に応じて配合し得る他の
成分としては、慣用成分としての香料、金属イオン封鎖
剤等を挙げることができる。本発明の粉末状洗顔料＆ζ
水と混練して塗布されるが、その際、浮遊物を生成した
り、ママコになることなく、容易に水と混和し、また塗
布時にはベトツクことなくさつぱりとしたフイーリング
の良い感触を与えることができる。そして種々の汚れ成
分を酵素反応によつて円滑に分解すると共に界面活性剤
の作用と相俟つて優れた洗浄効果を発揮し得る。

また、長期保存しても変色や変臭を惹起することなく極
めて安定で、水混和性、感触、洗浄力を低下することが
ない。特に長期保存時に起りやすい酵素活性保持率の低
下を、前記無機粉体によつて未然に防止抑制し得るその
作用効果の特異性は著しい。本発明の洗顔料は、顔面の
みならず、手や肌にも適用することができ、同等の優れ
た洗浄効果を発揮して、容易かつ安全に皮膚を清浄化す
ることができる。以下、実施例について説明する。尚、
実施例で示す部とは重量部を、％とは重量％を意味する
。

また、酵素活性（活性保持率）、洗浄効果、感触、経日
安定性は後述の如くしてしらべた。

（１）プロテアーゼ活性Ｐ−トシルアルギニンメチルエ
ステル ０．０３３Ｍ水溶液（ＰＨ８）中に適当量のプロテアー
ゼまたは固定化プロテアーゼを加え、３０℃で３０分間
攪拌しながら反応した後、生成したメタノールをガスク
ロマトグラフイ一により定量する。

（２） リパーゼ活性 オリーブ油の水分散液に適当量のリパーゼまたは固定化
リパーゼを加え、攪拌をしながら３０℃、３０分間反応
した後、生成した遊離脂肪酸の量を標準アルカリ液で中
和滴定して求める。

（３）アミラーゼ活性 デンプン水溶液に適当量のアミラーゼまたは固定化アミ
ラーゼを加え、攪拌しながら３０℃、３０分間反応した
後、生成した還元性末端を過マンガン酸カリウム溶液で
定量して求める。

（４）洗浄効果（洗浄力）、使用時の感触洗浄力、感触
については専門女性パネラ一１０名により、後述の如く
使用して洗顔を行なうことによつて評価を行なつた。

当該洗顔料を０．５ｔ手にとり、そこへ水約５７を加え
て手でねり合せ、それを顔に塗布して、５回マツサージ
後、水で洗いおとす。

洗浄力は使用前後の顔の外観より評価し、また感触は塗
布時の感触から評価した。評価は何れも、良好・・・・
・・・・・５点、やや良好・・・・・・・・・４点、普
通・・・・・・・・・３点、やや不良・・・・・・・・
・２点、不良・・・・・・・・・１点の５段階によつた
。

（５）水との混和性試料洗顔料と水を混練した場合のま
ざりぐあいから評価した。

実施例 １ （１）酵素（プロテアーゼ）が絹フイプロインによつて
包括された固定化酵素（固定化プロテアーゼ）の製造絹
フイプロインを銅−エチレンジアミン水溶液に溶解した
溶液を透析して得られた絹フイプロイン水溶液にプロテ
アーゼ（上田化学工業製）を混合した後、この混合液に
硫安を加えて絹フイプロインを凝固、沈澱せしめ、その
後乾燥、粉砕して、プロテアーゼが絹フイプロインによ
り包括された固定化酵素（絹フイプロイン一固定化プロ
テアーゼ）の粉末を得た。

（２）洗顔料の製造 粉体混合機に、セチル硫酸ナトリウム４５部、カオリン
４５部、酸化チタン５．０部および前記の絹フイプロイ
ン一固定化プロテアーゼ（固定化酵素）５．０部（含有
酵素量として０．５部）を入れて、充分均一に混合して
、本発明の洗顔料を製造した。

（３）洗顔料の特性 上記の如くして得られた、本発明の洗顔料は、水との混
練時に容易に分散して、水混和性が良好で、塗布時にさ
つぱりとしたフイーリングの良い感触を与えた。

また洗浄力は良好であつた。更に４５℃の恒温室に１ケ
月保存後においても変色、変臭が無く、安定で、水との
混和性、塗布時の感触（さつぱりしている）、洗浄力も
良好で、製造直後と何等変化が認められなかつた。そし
て酵素活性保持率は１００％であつた。また、本発明の
前記洗顔料（ね未処理のプロテアーゼを配合した後記比
較例１の洗顔料に比較して実用特性および経日安定性が
優れている。比較例 １（固定化酵素の代りに通常の酵
素を使用して、実施例１と同様に配合した洗顔料）絹フ
イプロイン一固定化プロテアーゼの代りに、固定化処理
に使用した上田化学工業製のプロテアーゼを０．５部使
用し、かつカオリンを４９．５部使木：（用する他は、
実施例１と同様にして比較の洗顔料を製造した。

得られた洗顔料は水と混練すると酵素が浮遊しかつ粉体
等がママコとなつて、混和し難く、そして顔面塗布時に
ぬるついた（ぬるぬるした）好ましくない感触を与えた
。

洗顔時の洗浄力はやＸ良好であつたが、４５℃の恒温室
で１ケ月保存するとやや褐色に変色し、コゲたような異
臭を発生した。更に酵素活性保持率は７１％であつた。
実施例 ３固定化酵素として実施例１で使用した粉末状
の絹フイプロイン固定化プロテアーゼ（プロテアーゼ含
有率１０％）を使用し、かつその配合量を第１表の如く
変化した場合の洗顔料の実用特定をしらべた。

結果を第１表に示す。第１表Ｑ結果から明らかなように
、該固定化酵素の含有酵素量としての配合量は、組成物
の重量を基準として０．０１〜５重量％、好ましくは０
．１〜２重量％である。

０．０１重量％未満では洗浄力、酵素活性保持率が低下
し、５％を越えると水との混和性、塗布時の感触、酵素
活性保持率がわるくなり、長期保存時に変色、変臭がみ
られる。

実施例 ３固定化酵素は実施例１の絹フイプロイン一固
定化プロテアーゼ（酵素含有率１０％）（粉末状）を使
用し、かつアニオン型界面活性剤のラウリル硫酸ナトリ
ルウム（ＳＬＳ）の配合量を第２表の如く変化した場合
の洗顔料の実用特性をしらべた。

結果を第２表に示した。第２表の結果から明らかなよう
に、アニオン型界面活性剤の配合量１１ζ組成物の重量
（処方成分の全量重量）を基準として３〜９０重量％、
好ましくは１０〜７０重量％である。実施例 ４ 固定化酵素として、実施例１の絹フイプロイン固定化プ
ロテアーゼ（粉末状）を使用し、かつ化粧料用の水不溶
性無機粉体のタルクの配合量を第３表の如く変化した場
合の洗顔料の実用特性等をしらべた。

結果を第３表に示す。第３表の結果から明らかなように
、化粧料用の水不溶性無機粉体（タルク）の配合量′ζ
組成物の重量（処方成分の全量重量）を基準として３〜
９０重量％、好ましくは１０〜７０重量％である。比較
例 ２ （化粧料用の水不溶性無機粉体を使用しない場合）タル
クを使用せずかつセチル硫酸ナトリウムを９３部使用す
る他は、実施例４と同様にして比較 ３（用の洗顔料を
製造した。

得られた洗顔料の、製造直後の塗布時の感触はベトつく
ようなわるい感触を与えた。

また４５℃の恒温室に１ケ月間保存したところ、変臭し
、水混和性はわるく、塗布時にベトつくようなわるい
３．感触を与えた。また酵素の活性保持率は８９％であ
つた。実施例 ５ （１）絹フイプロイン一固定化酵素の製造プロテアーゼ
の代りにリパーゼ（和光純薬製）、４アミラーゼ（和光
純薬製）をそれぞれ別々に使用する他は、実施例１の（
１）と同様にして、リパーゼが絹フイプロインにより包
括されている固定化酵素（絹フイプロイン一固定化リパ
ーゼ）（リパーゼ含有率１０％）、およびアミラーゼが
絹フイプロインにより包括されている固定化酵素（絹フ
イプロイン一固定化アミラーゼ）（アミラーゼ含有率１
０％）の粉末を製造した。

）．）洗顔料の製造絹フイプロイン一固定化プロテアー
ゼの代りに、上記の絹フイプロイン一固定化リパーゼ、
絹フイプロイン一固定化アミラーゼのそれぞれを別々に
使用する他は、実施例１の（２）と同様に行なつて、各
洗顔料を製造した。

｛）洗顔料の特性 上記の如くして得られた本発明の各洗顔料について、洗
顔時の洗浄力および塗布時の感触をしらべた結果、何れ
の洗顔料も洗浄力は良好で、塗布時にさつぱりとした良
好な感触を与えた。

また水の中に容易に分散して、その混和性も良好であつ
た。更に、各洗顔料の経日安定性（４５℃の恒温室に１
ケ月保存後）における、酵素活性保持率、変色、変臭の
有無、洗浄力、感触および水に対する混和性をしらべた
。

その結果、各洗顔料は何れも変色（着色）、変臭（異臭
）等が無く、また洗浄力は良好で、感触も製造直後と同
様にさつぱりとしたフイーリングの良いものであつた。
更に水に対する混和性も良好で、容易に水中に分散して
実質的に変化（異状）が認められなかつた。酵素活性保
持率は、前記の絹フイプロイン一固定化リパーゼを配合
した洗顔料では９８％、絹フイプロイン一固定化アミラ
ーゼでは１００％であつた。

実施例 ６ セチル硫酸ナトリウムの代りに、Ｎ−ラウロイル一Ｌ−
グルタミン酸ジナトリウムを使用する他＆ζ実施例１の
（２）と同様に行なつて、本発明の洗顔料を製造した。

得られた洗顔料は、途布時にさつぱりとして良好な感触
を与え、洗浄力も良好であつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 主体構成成分として、酵素が絹フィブロインにより
   包括されている固定化酵素の粉末を、含有している酵素
   量として０．０１〜５重量％（重量％は組成物の重量基
   準、以下同じ）と、アニオン型界面活性剤を３〜９０重
   量％と、化粧料用の水不溶性無機粉体３〜９０重量％と
   を配合してなる粉末状の洗顔料。