JPS5922651B2 - 仮着性表面保護紙の貼着方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は成形されたメタアクリル樹脂板に表層を紙とし
て、接着層が熱板着性のオレフィン系コポリマーより成
り、表層の紙に平衡水分よりも過剰の水分を保持させた
仮着性表面保護紙を担れシワや部分的な浮き剥離の生ず
ることなく貼着する方法に関するものである。

従来、メタアクリル樹脂板には加工時、運転時。

保管時などにおいて、その表面にキズや塵埃がつきやす
ぃために、板の表面を保護する事を目的として、各種の
表面保護紙が使用されている。例えばクラフト紙の如き
紙にポバール系の水性糊を用いて板に貼着するか、ゴム
系組成物を主成分とした感圧性糊を用いて板に貼着して
ぃるのが現状である。しかしながら、前者におぃては、
水蒸気の透過に対して全く抵抗性を持たないこと、表面
保護紙を剥離させる際に板表面に糊が残存しやすいこと
などの欠点がある。後者においては、経日変化によつて
接着強度が著しく上昇して、表面保護紙を剥離させるこ
とが困難になること、表面保護紙の剥離後に板表面に糊
が残存し易いなどの欠点がある。また、表面保護紙を貼
着する際の別の問題として下記の事柄がある。

即ち、ダイスより押出され、ポリシンクロールで艶付け
及び冷却されたメタアクリル樹脂押出板は、自然冷却、
もしくは強制冷却されてガラス転位点（以下Ｔｇという
。

押出板の各グレードによつて通常８０〜１００℃である
）以下となり、常温迄冷却される。このＴｇ以上の温度
で表面保護紙を貼着することは、押圧により樹脂板が変
型したりもしくはキズを生じさせることとなる。従つて
，押出板の変型もしくはキズ付きを防ぐにはＴｇ以下の
温度で表面保護紙を貼着する必要がある。一方，ゴミの
附着を極力防止する点からは、メタアクリル樹脂を押出
成形した後に速やかに表面保護を施す必要がある。また
．押出板に高温で表面保護紙を貼着する場合には、さら
に貼着時と室温との温度差に起因する収縮を生じ、その
ためにＴｇ以下の高温で表面保護紙を貼着して室温迄冷
却された場合に、保護紙に浮きシワが生じ６製品の不均
一な吸湿や，ゴミの附着等が起る。本発明者らは、上記
につぃて鋭意研究して６押出板の成型後６Ｔｇ以下の温
度で速やかに表面保護紙を貼着して６室温迄充分に冷却
され，時間経過後も部分的な剥離や、浮きシワの生じな
い仮着性表面保護紙の貼着方法を発明するに到つた。即
ち、本発明は、４０℃からメタアクリル樹脂のガラス転
位点より若干低めの温度範囲内で仮着性を有するオレフ
イン系コポリマーを接着層とし水分を１０〜３０％自む
紙を表層とする仮着性表面保護紙を、４０℃からメタア
クリル樹脂板のガラス転位点より若干低めの温度範囲に
．メタアクリル樹脂板の温度を制御し、メタアクリル樹
脂板に連続的に貼着することを特徴とする仮着性表面保
護紙の貼着方法である。以下６本発明を説明する。

仮着性表面保護紙は接着層と基材である紙とからなり、
基材としての紙は６書籍用紙．新聞用紙などの印刷用紙
６書筒用紙６雑記用紙などの筆記用紙．重袋用クラフト
紙６軽包装用クラフト紙６ロール紙６ワンプなどの包装
用紙などが用いられる。

これらのうち６コスト６引張強度６引裂強度などの面よ
りクラフト紙が望ましい。

接着層に使用される仮着性オレフイン系コポリマーとし
ては、酢酸ビニール成分，アクリル酸エステル成分、ア
クリル酸成分６アクリル酸塩成分、メタアクリル酸エス
テル成分．メタアクリル酸成分またはメタアクリル酸塩
成分とエチレンとの共重合体でエチレン以外の成分の自
有率は２〜５０ｗｔ、好ましくは５〜２０ｗｔ％，更に
好ましくは７〜１５ｗｔ％が用いられる。

この自有率は６メタアクリル樹脂板への表面保護紙の接
着強度を左右する要素となる。即ち６後述の接着条件と
あいまつて６この自有率を満足することにより、メタア
クリル樹脂板に貼着された本発明の長面保護紙は，板製
品の保管時又は運搬時に於いては樹脂板から剥離するこ
となく．板製品の使用加工の際には簡単に剥離できるこ
ととなる。更に６仮着性のコントロールのために．オレ
フイン系コポリマーにロジン，ロジンエステル，インデ
ン樹脂６クマロン樹脂、ビネン樹脂，石油樹脂などの貼
着付与剤を加えてもよぃ。

本発明の連続的貼着方法を以下図面によつて説明する。

第１図において，１は押出機であり６押出グレードのメ
タアクリル樹脂が溶融押出しされ６ポリシンクロール２
で表面艷付け及冷却される。ポリシンクロール２で冷却
された樹脂の温度は１００℃乃至１５０℃である。押出
された板は表面保護紙貼着用ロール３迄の間で冷却され
てＴｇ以下の温度になり、表面保護紙貼着用ロール３で
表面保護紙８が押出板７に押圧されて貼着される。表面
保護紙８は保護紙供給ロール６から、エキスパンダーロ
ール４を介して、または送行補助口ール５（第３図）を
介して、表面保護紙貼着用ロール３へ送られ、押出板７
に貼着される。表面保護紙８を表面保護紙貼着用ロール
３により貼着する際に押出板の温度は、４０℃以上から
Ｔｇより若干低い温度に制御されなければならなぃ。

この温度上限はメタアクリル樹脂の各グレードにより変
わるものであるがほぼ８０〜１００℃である。この温度
Ｔｇを越えると樹脂板に貼着の際に変形やキズを生ずる
こととなる。また４０℃以下では、本発明の表面保護紙
が．前述の如く感熱感圧タイプのものであり貼着がうま
く行なわれない。この温度匍卿は，成型時の余熱を利用
して行なつてもよく、押出板の温度が４０℃に満たない
場合には押出板加熱ヒーター９により加熱して・やれば
よぃ。この制御された温度で表面保護紙が貼着されたメ
タアクリル樹脂板は、その後放冷されるが６損れシワや
浮きシワの発生は防止できない。

この原因は、検討の結果解つたところであるが．保護紙
ノの貼着以後に於ける押出板の温度差による収縮に対し
て、保護紙が追随していけないことによるところが大き
い。従つて６本発明では表面保護紙の基材である紙に収
縮能を付与させる方法として紙の特性を生かし、簡便で
かつ効果的な水分自有率の制御を選択した。

紙の水分自有率としては紙の平衡水分率よりも過剰にし
て、かつ自水された保護紙をロール状に巻き取つた際に
、水滴の落ちない程度が望ましく、水分自有率１０〜３
０％が適当である。紙を濡らす際には、使用する水にグ
リセリン．ポリエチレングリコールなどの水溶性で高沸
点の多価アルコールを１〜１０％添加してもよぃ。表面
保護紙の水分名有率を１０％乃至３０％にするには、保
護紙供給ロール６より表面保護紙を送り出して、表面保
護紙貼着用ロール３迄の間で，例えばロールコーターな
どを使用して水分を付与するか、または基材紙に仮着性
オレフイン系コポリマーの接着層を設けた後にコーター
を用いて水分を付与してもよい。表面保護紙貼着用ロー
ル３のロール押出は０．５〜１０ｋｇ／（：！７Ｌ２で
あり、保護紙の接着剤成分と貼着温度から適宜この範囲
から選べばよい。

好ましくは、１〜５ｋｇ／（１−JモV！２が望ましい。
前述の如く、本発明における表面保護紙が貼着されたメ
タアクリル樹脂板は、表面保護紙が保管時に於いては充
分に貼着しており．使用時に容易に剥離する事ができ、
これを数値的に示すならば剥離強度として１２〜５０９
／２０ｍｍ′Ｃ−，好ましくは２０〜４０９／２０ｍ１
である。適切な剥離強度を得るためには．仮着成分であ
る酢酸ビニールＴＥＬ有量の低いエチレン酢酸ビニル共
重合体を接着層に使用した場合には、接着温度及ロール
押圧は前記条件のうち高くする事がよく，酢酸ビニール
自有量の高いエチレン酢酸ビニール共重合体を接着層に
使用した場合には接着温度及びロール押圧は低くするこ
とが好ましい。

本発明において６貼着する際に表面保護紙に適度な張力
をかけることは更に好ましい。

即ち、エキスパンダーロール４，送行補助ロール５を１
個以上、好ましくは２〜４個使用することによつてこれ
のない場合の表面保護紙の払れシワ発生を無くすること
ができる。張力は表面保護紙の切断強度以下であり、例
えば秤量４０９／Ｍ２のクラフト紙では４．０ｋｇ／１
５關以下，好ましくは１ｋｇ／１５ｍ１以下である。保
護紙に張力を掛けることにより、払れシワの防止と合せ
て、保護紙を伸ばすことになり、浮きシワの対策の一環
にもなる。かくして本発明においては、仮着後に時間を
経ノ過しても６均一かつ良好に貼着されている貼着方法
を最も簡便な方法で達成するにいたつた。

また本発明においては６保護紙の自水率を高めたために
、保護紙に柔軟性が出，そのために貼着時の押出板表面
によりよくトレースするようになり．よい良好な貼着性
が得られるようになつた。また保護紙の水分により、貼
着された押出板が均一に冷却されるために、及び保管時
に紙が空気中の水分を吸湿しやすいために、薄い接着層
を径由して押出板に対し緩慢な増湿を与える事により反
りに対しても効果がある事が判つた。なお６本発明は押
出板に限定されることはなく、押出板の方が好ましいが
キヤス板にも実施可能である。

以下６実施例によつて更に本発明を説明する。

実施例 １押出グレードのメタアクリル樹脂（旭化成製
ＭＭＡ樹脂デルペツト透明）を押出機より溶融押出して
、ポリシンクロールで表面艷付け及冷却した厚さ３ｍｍ
の板の温度は１２０℃であつた。

この連続押出された板材は自然冷却されて．表面保護紙
の貼着時には板温が７０℃であつた。表面保護紙は秤量
４０９／Ｍ２の片艷やクラフト紙の片面に、酢酸ビニー
ル自有量１０％のエチレン一酢酸ビニール共重合体を溶
融押出被覆して，クラフト紙にグラビアロールを用いて
自水率を１８％にしたものをロール状に巻取つた。この
表面保護紙に０．５ｋｇの張力を与えて．エキスパンダ
ーロール及補助ロールを介して表面保護紙貼着用ロール
で押圧し、押出板表面に連続して貼着した。表面保護紙
貼着用ロールでの押圧は２ｋｇ／鑞であつた。表面保護
紙を貼着された押出板は，．払れシワや浮きシワなどの
シワがなく．均一に表面保護されている。なお、この貼
着された表面保護紙の剥離強度は２５＄Ｐ／２０Ｃ！！
Ｌであつた。

実施例 ２ 押出グレードのメタアクリル樹脂（旭化成製ＭＭＡ樹脂
デルペツト）を押出機より溶融押出して、ポリシンクロ
ールで表面艶付け及冷却した厚さ２ｍ１の板の温度は１
１０℃であつた。

この連続押出された板材は自然冷却されて、表面保護紙
の貼着時における板温は６０℃であつた。メタアクリル
樹脂板の表面保護に使用する保護紙は坪量３６ｆ／Ｍ２
の片艶やクラフト紙の片面に，酢酸ビニール自有量１３
９１Ｉのエチレン一酢酸ビニール共重合体を０．０３０
１！の厚さに溶融押出被覆して６さらにクラフト紙面に
リバース・ロール・コーターを用いて．クラフト紙面の
自水率を１５％にしたものをロール状に巻取つた。この
表面保護紙に０．３ｋ１？／１５１！ｌの張力を与えて
，送行補助ロール２本及エキスパンダーロール１本を介
して、表面保護紙貼着ロールで押圧し、押出板表面に該
表面保護紙を連続して貼着した。貼着ロールでの押圧は
３ｋｇ／ＡＩＬであつた。該表面保護紙を貼着された押
出板は．その貼着表面保護紙に、鮪れシワや浮きシワな
どのシワがなく．均一に貼着されている。なお、この貼
着された表面保護紙の剥離強度は２０ｆ／２０Ｃ！！Ｌ
であつた。比較例 １ 押出グレードのメタアクリル樹脂（旭化成製デルペツト
）を押出機より溶融押出して、ポリシンクロールで表面
艷付け及び冷却した厚さ３關板の温度は１２０℃であつ
た。

この連続押出された押出板は自然冷却されて．表面保護
紙の貼着時には板温は７０℃であつた。使用する表面保
護紙は秤量４０ｆ／ｍ の片艷やクラフト紙の片面に、
酢酸ビニール含有量１０ｑ６のエチレン一酢酸ビニール
共重合体を厚さ０．０２５１！ｌに押出被覆したものを
ロール状に巻取つた。このロール状に巻取つた表面保護
紙に張力を与えないで、かつエキスパンダーロールおよ
び／または補助ロールを用いないで，直ちに表面保護紙
貼着用ロールで押圧し、押出板表面に連続的に貼着した
。

表面保護紙貼着用ロールの押圧Ｂ水！『であつた。押出
板に貼着された表面保護紙には、鮪れシワが多数あり，
また全面的な浮きシワが発生しており、その鮪れシワ部
および浮きシワ部よりの不均一な吸湿により製品に反り
をきたしたり，．塵埃が入りこみやすいものである。

また外観上からも商品価値を低下させるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の実施の態様を示すものであ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ４０℃からメタアクリル樹脂のガラス転位点より若
   干低めの温度範囲内で仮着性を有するオレフィン系コポ
   リマーを接着層とし水分を１０〜３０％含む紙を表層と
   する仮着性表面保護紙を、４０℃からメタアクリル樹脂
   板のガラス転位点より若干低めの温度範囲に、メタアク
   リル樹脂板の温度を制御し、メタアクリル樹脂板に連続
   的に貼着することを特徴とする仮着性表面保護紙の貼着
   方法。 ２ メタアクリル樹脂板が押出板であることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の貼着方法。 ３ 特許請求の範囲第１項又は第２項において、温度制
   御をメタアクリル樹脂板の成形余熱を利用して行う貼着
   方法。 ４ 特許請求の範囲第１項又は第２項において、メタア
   クリル樹脂板が製造工程で冷却されている場合には加熱
   して制御することを特徴とする貼着方法。 ５ 特許請求の範囲第１項〜第４項記載の方法において
   、連続的に貼着する方法をロールの押圧で行うことを特
   徴とする貼着方法。 ６ 特許請求の範囲第１項〜第５項記載の方法において
   、貼着直前に仮着性表面保護紙の含水率を１０〜３０％
   に制御することを特徴とする貼着方法。 ７ 特許請求の範囲第１項又は第６項記載の方法におい
   て、表面保護紙に張力をかけながら貼着する貼着方法。