JP3582865B2 - 乾燥押し花製品 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、各種装飾に用いられる乾燥押し花製品に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、シワの発生を抑え、変色の防止、保存性等に優れた全く新しい乾燥押し花製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
生花を加工して乾燥押し花として利用することは、従来から広く行われている。そしてこの場合の加工には、一般的には、乾燥剤の入った箱の中に、生花を紙で挾み通気性クッションシートと共に重ねあわせて入れ、箱から空気を抜きながら、数日間保持する方法が採用されている。
【0003】
この方法により得られたものが、いわゆる乾燥押し花であり、花は水分を減少されており、色彩は生に近い状態である。
これらの乾燥押し花は、従来より、そのまま紙に封じ込んだり、布に取り付けたりして利用されており、たとえば、紙や布に固着する手段としては、乾燥押し花を、2枚のホットメルトフィルムで挾み、これに3番目のフィルムを重ねあわせて布に載せ、3番目のフィルムの上からアイロンをあて全体を一体に加熱融着するものや、
薄紙と透明フィルムとを重ねて台紙の上の乾燥押し花に被せ、薄紙の上からアイロンを当て、フィルムを融かして薄紙と乾燥押し花と台紙とを一体化したもの等が知られている。
【0004】
しかしながら、何れの場合も、乾燥押し花はそのまま何らの保護手段もなく扱われており、花の位置決めを行に当り、花に直接接触する必要がある。
また、所定の位置においたつもりでも、加工中の衝撃で位置にずれを生じたりしている。
これらのことは、乾燥押し花を利用すべく行う加工にあたり、加工時間を長期化し、かつ、乾燥押し花に無駄を生じ、製品歩留まりを低下させる原因となっている。
【0005】
このような事情から、この発明の発明者は、使用、またはその加工にあたり、花を損傷せず、かつ、取扱い容易な状態の、乾燥押し花を実現するために、乾燥押し花が、ホットメルトフィルム上にホットメルトフィルムによって固着されている乾燥押し花製品を開発し、すでに実用に供してきてもいる。
そしてまた、ホットメルトフィルムの乾燥押し花が固着されている側、又は固着されていない側、の何れか一方又は双方に、台紙が設けられている乾燥押し花製品や、
乾燥押し花が、上下のホットメルトフィルムによって固着されていることを特徴とする乾燥押し花製品、上下のホットメルトフィルムの外側の何れか一方、又は双方に台紙が設けられている乾燥押し花製品等も具体化してきている。
【0006】
これらの押し花製品は、花の損傷を抑え、取扱いが容易で、生産性も良好であるとの優れた効果を有するものである。
しかしながら、その後のこの発明の発明者の検討によって、これらの乾燥押し花製品にはさらに改善すべき点が残されていることも明らかになってきた。
それと言うのも、上記の通りの優れた効果を奏する乾燥押し花製品ではあっても、対象とする乾燥押し花の種類によっては、押し花そのものが薄く、たとえば葉脈が著しく目立つものや、あるいはホットメルトフィルムが段差のある平面を形成する場合等には、乾燥押し花の周囲にしわが発生しやすいという問題があり、また押し花の崩壊による切れ、割れ等が完全には防止できず、ホットメルトの浸透による押し花そのものの変色や、さらには色やけが生じることもあるという問題が残されていたからである。
【0007】
これらの課題は、より高品質な、寿命の長い押し花製品の実現のためには大変に重要な課題となっていた。
そこでこの発明は、このような課題を解決し、より高品質で高級な、そして長寿命であって、当然にも生産性の良好な乾燥押し花製品を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するものとして、樹脂被覆された乾燥押し花が、ホットメルトフィルムもしくは樹脂塗膜によって基板に固着されていることを特徴とする乾燥押し花製品を提供する。
【0009】
【作用】
この発明においては、従来のように、乾燥押し花を直接ホットメルトフィルム等によって固着するのではなく、あらかじめ、乾燥押し花そのものを透明樹脂によって被覆しておく。このため、葉脈等が目立つ薄い乾燥押し花や段差のある平面への成形製品であっても、従来のように、押し花の周辺にしわが発生することはなく、また、押し花の崩壊による不都合も生じない。
【0010】
そして、ホットメルト等の接着剤が押し花に浸透することもないため変色が防止され、色やせも防止されることになる。
この場合の乾燥押し花を被覆する透明樹脂としては、より速硬化性のものが好ましく、たとえばUV等によって硬化する光硬化性樹脂が、その透明度、取扱い性、硬度、硬化速度等の点において好ましい。
【0011】
たとえばアクリート系光硬化性樹脂がそのようなものとして例示される。この樹脂は、上記の効果以外にも、酸化防止、防カビ、光および熱による劣化をも効果的に抑止することになる。もちろん、この透明樹脂には、酸化防止剤、防カビ剤等を配合しておいてもよい。
さらに必要に応じ、硬化助剤、粘度調整剤、着色剤等が含有れていてもよい。
【0012】
透明樹脂によって被覆した乾燥押し花は、次にホットメルトフィルムまたは接着性の樹脂塗膜によって基板上に固着することになる。
この場合、たとえば、透明樹脂によって被覆した乾燥押し花は、ホットメルトフィルムにホットメルトフィルムによって固定されている。つまり、乾燥押し花は上下のホットメルトフィルム層とホットメルトフィルム層によって固着されている。
【0013】
この場合、台紙を適宜に用いてもよい。
もちろん、適宜な加熱手段が用いられることになる。
台紙の上には離型剤を塗布された紙、あるいはフィルムの如き離型用材が載せられ、次いで、ホットメルトフィルム、乾燥押し花が載せられ、この状態で再び台紙が載せられるようにしてもよい。
【0014】
抑え板いずれの場合にも、たとえば乾燥押し花及びホットメルトフィルムを抑えた状態で、加熱手段を働かせ加熱する。
乾燥押し花への透明樹脂の被覆は、通常は、5〜50μm、さらには5〜15μm程度の厚みとするのが好ましい。また、ホットメルトフィルムについてはその厚みに特に限定はないが、ホットメルトフィルムが20μとか50μ程度の薄いものである場合は、台紙を使用することが望ましい。上下からホットメルトフィルムを重ねて、乾燥押し花を挾んだときにおいては、全体のホットメルトフィルムの厚さが100μ程度以上のときはあってもなくてもよい。
【0015】
ホットメルトフィルムが一枚であるときは、台紙は乾燥押し花の側にあり、ホットメルトフィルムと台紙とで乾燥押し花を挾んだように設けることが好ましい。花の種類や、ホットメルトフィルムの厚さによっては台紙が花と反対側にあっても差し支えない。
ホットメルトフィルムが1枚ではあるが100μ程度より厚い場合とか、上下から乾燥押し花を抑えた場合で、ホットメルトフィルムが厚いときは、台紙を省略することできる。
【0016】
もちろん、ホットメルトフィルムに代わって、接着性の樹脂塗膜によって透明樹脂被覆した乾燥押し花を基板上に固着してもよい。基板そのものは、フィルム、シート、剛体プレートあるいはその他の適宜な形状の成形体であってよい。
以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発明の乾燥押し花製品について説明する。
【0017】
【実施例】
実施例1
図1に例示したように、乾燥押し花(1)にUV硬化性アクリート樹脂被覆層(2)をその厚みが10μmとなるように設けた。
次いで、この透明樹脂被覆乾燥押し花を、耐熱性ポリエステル樹脂プレート(3)の上に置き、厚み60μmのホットメルトフィルム(4)を乗せて加熱硬化させた。
【0018】
これによって、押し花周辺でのしわの発生がなく、変色、色やせのない耐久性に優れた乾燥押し花製品が得られた。
実施例2
図2に例示したように、厚み8μmのUV硬化性アクリレート樹脂被覆層(2)を乾燥押し花(1)に設け、上下に各々の厚み40μmのホットメルトフィルム(4)を置いて、加熱した。
【0019】
得られた乾燥押し花製品は、実施例1と同様にその性能は優れたものであった。
【0020】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この発明により、乾燥押し花周辺でのしわの発生がなく、その崩壊による不都合のない、変色および色やせ防止、耐久性に優れた乾燥押し花製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を例示した断面図である。
【図2】別の実施例を例示した断面図である。
【符号の説明】
1 乾燥押し花
2 透明樹脂被覆層
3 樹脂プレート
4 ホットメルトフィルム
Claims (5)
- 樹脂被覆された乾燥押し花が、ホットメルトフィルムまたは樹脂塗膜によって基板に固着されていることを特徴とする乾燥押し花製品。
- 乾燥押し花が速硬化性樹脂により被覆されている請求項1の製品。
- 光硬化性樹脂により乾燥押し花が被覆されている請求項1または2の製品。
- 基板が、台紙を有する、もしくは台紙を有しないホットメルトフィルムである請求項1ないし3のいずれかの製品。
- 基板がフィルム、シート、プレートまたはその他成形体である請求項1ないし4のいずれかの製品。
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- 1994-10-07 JP JP24441594A patent/JP3582865B2/ja not_active Expired - Fee Related
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