JPS5916007B2 - ベルト式仮撚ユニツト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はベルト式仮撚ユニットに関する。

２本のベルトを互いに交差させ、該交差部分に押接する
方向に付勢し、両ベルトを互いに逆方向に走行させ、上
記ベルトの交差部に糸をニップしつつ走行させることに
より糸に仮撚を施すベルト式仮撚装置は公知である。

即ち、第８図に示す如く、２本のベル）Ｂ１ 。

Ｂ２を糸Ｙの走行路に対して同角度θ傾斜して交差させ
、該交差部に糸をニップして仮撚を施す場合、ベル）Ｂ
１ 、Ｂ２の走行速度を同速度としてベルトと糸との相
対速度を■とするベルトの糸走行方向の速１ｆＶ１はＶ
１： ＶＣＯ３θとなりこの速度■１に比例する送り
力が作用し、糸走行路と直角方向のベルト速度Ｖ２はＶ
’ｌ ＝ ■ｓｉｎθとなり、撚数はこの速度■２に
比例する。

また糸に撚りをかける際には糸が元に戻ろうとする力に
打ち克つ力が作用する必要があり、核力はベルトのニッ
プ圧とベルトと糸間の摩擦係数により決定されるもので
ある。

従って糸に対する直角方向に作用する力、即ち加熱力と
撚数、糸の走行方向に作用する力、即ち送り力と張力は
、上記様々の要素が変動すれば当然変化するものである
。

しかしながらベルトの走行速度■およびベルトの交差角
θは通常運転中はある値に設定されているものであり、
またベルトの設定ニップ圧、ベルトと糸の摩擦係数等も
経時的変化はあるにしても短時間では大きく変化するも
のではない。

このことから糸の単位長さ当りの撚数、あるいは加熱側
張力、解撚側張力等はほぼ一定となるはずである。

しかしながら実際の糸には少なからぬ撚数の変動あるい
は張力の変動が生じている。

この撚数変動、張力変動の原因として糸走行時における
糸の横方向への変位または振動、ベルトのプーリ軸の軸
方向の移動等による糸のニップ位置の変化、即ち糸のニ
ップ長さの変動によるものであることが推測される。

即ち、第８図における糸Ｙのニップ長さｌはベルｔ４３
１ 、Ｂ２の巾りとベルトの交差角θによって決定され
、１： Ｌ ／ｓｉｎθである。

しかしながら、糸Ｙが左右に変位するか、糸は定位置で
ベルトＢ１．Ｂ２の一方がブーＩＪ Ｐ １またはＢ２
の軸方向にズした場合、ニップ長は上記最大ニップ長ｌ
よりも小さくなる。

この場合、ベルトと糸間のニップ圧が小さくなり、ベル
トと糸間にスリップが生じることがあり、加熱力、送出
力が減少する。

このことを利用して糸掛は時にはベルト交差部の中央部
からズした位置で半撚りの状態で糸掛けし一定の糸速に
なった時、全撚位置即ち第８図の最大ニップ長位置へ移
動させることが行われている。

逆に言えばニップ長が減少すれば撚数が減少することを
示しているのである。

同時に糸走行方向の送出力も減少することにより解撚側
の糸の張力が増加することになる。

このように通常の運転中に仮撚ユニットにおける糸のニ
ップ長の変動は撚数、糸張力、特に解撚側の糸張力に大
きな影響を及ぼし、不均一な仮撚加工糸が生産され、糸
の品質を低下させる原因となっていた。

本発明は上記欠点を解消することを目的としたもので、
多少の糸の変位、ベルトの移動が生じてもニップ長が変
動しないようにしたもので即ち２本のベルトの巾を異な
った巾として、交差部分の形状を平行四辺形状になるよ
うにしたベルト式仮撚ユニット、、・赫提供するもので
ある。

以下本発明の実施例を図面に従って説明する。

第１図は仮撚装置のレイアウトの一例を示す概略構成図
で、クリールスタンド１に支持された給糸ボビン２から
引出された糸Ｙはフィードローラ３を経て支柱４に沿っ
て設置されるヒータ５を通過し、ヒータ上方の変向ガイ
ドローラ６．７を経て、傾斜して設置されたバルーンプ
レート８に導入される。

加熱作用に伴うバルーンを抑制するバルーンプレート８
を出た糸は冷却水によって積極的に冷却されるべく冷却
ボックス９内を通過し、所定の温度にまで冷却された後
、仮撚ユニット１０へ導入される。

該仮撚ユニット１０によって付与された撚りは第１ヒー
タ５内の糸に伝播し、撚りが固定される。

さらに上記仮撚ユニット１０を通過した糸は場合により
トルク消去用第２ヒーク１１へ導入されて所望の巻縮性
を有する仮撚加工糸となりパッケージ１２に巻取られる
。

第２図はベルト式仮撚ユニットの実施例を示すもので、
ブラケット１３のプーリ１４，１５に掛けられた第１の
無端ベルト１６と、ブラケット１７のブーＩＪ １ Ｂ
、 １９に掛けられた第２の無端ベルト２０を設定角
度θの下で交差させ、矢印の如く該交差部において互い
に逆方向に走行させつつ、上記ベルト１６，２０間に糸
を一定接圧の下でニップし、加熱力と、送出力を糸に付
与し、仮撚作用を施す。

なお、上記ブラケット１３を固定した第１の枠体２１は
基盤２２に固定され、軸２３を中心に回転可能であり、
同様にブラケット１７を固定した第２の枠体２４は基盤
２５に固定され、上記軸２３中心に基盤２５は回転可能
である。

従って基盤２２．２５を回転させることによりベルト交
差角θを調整することができる。

さらに上記第１の無端ベルト１６と第２の無端ベルト２
０のベルト巾は異なっており、第３図に示すようにベル
ト１６の巾をＬｌ、ベルト２０の） 巾をＬ２とすると
、Ｌｌ＞Ｌ２とされる。

従って上記中の異なるベルト１６，２０を糸走行路に平
行な直線に対して同角度θ傾斜させて交差させることに
より、交差部分即ちベルト１６の両側縁１６ａ、１６ｂ
とベルト２０の両側縁２０ａ。

； ２０ｂで囲まれた部分は平行四辺形となり、さらに
ベルｔ−１６、２０の側縁の交点Ｐ、Ｑより下した糸走
行路に対して平行な直線２６．２７とベルト２０の側縁
２０ａ、２０ｂで囲まれた斜線で示す範囲は平行四辺影
領域Ｚとなる。

； このため、上記平行四辺影領域Ｚにおける巾Ｓの
範囲内においては糸のニップ長さ１１はいづれの位置に
おいても一定であり、ニップ長の変動が生じない。

即ち第１の無端ベルト１６の巾をＬｌ、第２の無端ベル
ト２０の巾ｊＬ２とし、該両ベル１ トを上記角度θで
交差させた場合、平行四辺影領域Ｚの巾Ｓと該領域中に
おけるニップ長１１はとなり、例えばＬ １ ＝ １２
ｍｒｒｔ、 Ｌ ２＝８ｍｒａ、θ＝５５°Ｃとした場
合、Ｓ＝３．５ｍｒＩＬ、 ！！ １ ＝９．８ｍｍと
なる。

即ち、この状態の下では糸Ｙは平行四辺影領域・ の中
心から左右へ３．５７２ｍｍの範囲内で糸走行路が変位
したとしてもニップ長ノ１は変わることがないのである
。

・ 従って糸Ｙとベルト交差部分の相対的位置関係が変
動しても平行四辺影領域Ｚ内であればニップν 長７１
は変わることなく、撚数、糸張力に与える影響も少ない
ものになる。

なお、第３図の０１．Ｇ２は糸ガイドで糸Ｙの走行路に
沿った上記ベルト交差部分の前後に配されており、また
糸通過孔の巾ｔは上記中Ｓより少くとも小とされ、かつ
平行四辺影領域Ｚ内に位置決めされ、糸をガイドするよ
うにされると好都合である。

次にベルト巾の同じ場合と異なる場合の撚数張力の変動
の実験例を示す。

第４図において、糸のニップ中心よりの変位量を中心線
Ｃから左側をマイナス、右側をプラスとし変位量を△Ｓ
とする。

ニップ力２５０ｇ、糸速６００ｍ／分、ベルト速１７８
００ｍ／分、ベルトの交差θを５５°、２２５デニール
のポリエステル糸を用い、第１ベルト１６の巾Ｌ１を１
２ｍｍ、第２ベルト２０の巾を８ｍｍとした場合の実験
結果を第５図、第６図に示す。

即ち、第５図は糸の変位量△Ｓと撚数ＴＰＭの関係を示
し、一点鎖線２８は回申８ ｍｍ１８ ｍｍのベルトを
用いた場合を示し、実線２９が本発明によるベルトを用
いた場合を示す。

回申のベルトの場合、ベルトの交差部中心（０位置）か
ら左右へわずか変位するだけで撚数が減少し、中心から
４ｍｍ偏位した位置では略１００ ＴＰＭの減少が見ら
れるが、ベルト巾を異なったものとした場合では糸の変
位量が前述した値５＝３５即ち△Ｓ−±３．５／２を越
えるまではほぼ一定の撚数が測定され、±３．５／２を
越えた位置から撚数の減少が見られる。

即ち前記ベルトの交差部の平行四辺影領域Ｚ中において
は糸走行路が変位しても撚数に与える影響はほとんどな
い。

さらに第６図には糸走行路の変位量へＳと糸張力ＴＩ
、Ｔ２との関係を示し、一点鎖線は回申のベルトを用い
た場合、実線は異なる巾のベルトを用いた場合の張力変
化であり、第６図の上側の一点鎖線３０と実線３１の２
本の線は解撚側の糸張力Ｔ２を表し下側の２本の線３２
．３３は加熱側の糸張力を表わす。

ここで解撚側張力とは第３図において糸が上から下へ走
行する時、糸ニツプ部分より下側位置における糸の張力
を意味し、加熱側張力とは糸ニツプ部分より上側におけ
る糸の張力を意味する。

即ち、加熱側張力Ｔ１はベルトの交差部中心から糸が変
位しても大きな張力変動は生じず上記条件下ではほぼ５
０ｇ程度である。

しかしながら張力変動量は小さいにしても、回申のベル
トの場合、ニップ部分の中心よりわずかでも左右に糸が
変位すると直ちに張力の変動が見られるのに対し、本発
明の場合ベルト交差部の平行四辺影領域ＺすなわちＳ＝
３．５ｍｍの範囲内では糸の変位にもかかわらず張力変
動はほとんど生じていないのである。

このことは解撚側の張力変動において顕著であり、即ち
第６図の如く解撚側の張力Ｔ２は回申のベルトの場合、
ベルト交差部中心から糸がわずか変位するだけで張力は
大きくなり、糸の微少な振動によって解撚張力が変動し
、製造される仮撚加工糸が不均一になり易いのである。

即ちニップ長の変動によって糸とベルト間に滑りが生じ
、その結果前述した糸送出分力が減少し、仮撚ユニット
からの糸送り出し速度が低くなるため、一定回転するフ
ィードローラとの相互作用により糸に新たな引張りの力
が作用することになり、解撚側の糸張力が増加するので
ある。

一方、本発明によるベルトの場合は、第６図実線３３の
如く解撚側の糸張力Ｔ２は交差部の中心から左右へ糸走
行路が変位しても前述した平行四辺形領域内（Ｓ ＝
３．５ｍｍ）においては張力変動がほとんど生じていな
い。

上記領域Ｚをはずれた時点で初めて張力の増加傾向が見
られ、±２ｍｍを越えた時点から張力増加が顕著になっ
ているが、変位量△Ｓを４ｍｍ以下に押えることはニッ
プ部上下の糸ガイドによって容易に行うことができ、従
って糸の変位が生じたとしても前記平行四辺形領域内に
限定でき張力はほぼ一定に維持されるのである。

従って、上記実験例から明らかな如（、ベルト交差部の
平行四辺影領域Ｚにおいてはニップ長の一定となる範囲
が生じ、該範囲内においては糸走行路が変位したとして
も撚数、加熱側および解撚側の糸張力の変動が生じるこ
となく安定した仮撚加工が行える。

さらに２本のベルト巾の差を大きくした場合は、第７図
に示す如く、ベルト３４．３５の巾Ｌ３゜Ｌ４の差が犬
であるため、ベルト交差部における、糸走行路と平行な
直線３６，３７とベルト３５の側縁３５ａ、３５ｂで形
成される平行四辺影領域Ｚ１は細長くなり、従って該領
域Ｚ１に複数本の糸Ｙ１〜￥５をニップすることが可能
で、一対のベルトで複数本の糸を加工でき、仮撚加工を
効果的に行い、少なくとも該一対のベルト３４ 、３５
により加工された糸は品質が揃い、またニップ長１２の
変動が生じにくく良質の加工糸を得ることができるので
ある。

なお、本発明における糸ガイドは糸をベルト交差部にお
いて糸のニップ長が一定となる前記平行四辺影領域内に
ガイドし得るものであれば何でも良く、例えばプレート
やローラ或いはピン等を用いたもの、またはこれらのも
のに上記糸ガイドとしての機能を併せ持たせたものの一
切を含むものとする。

以上のように本発明では、ベルト式仮撚ユニットの交差
する２本のベルトのベルト巾を異なったものとしたので
、ベルト交差部に平行四辺形領域が生じ、該領域内にお
いて糸をニップすることにより、多少の糸の変位が生じ
ても変位量が上記平行四辺形内であればニップ長が変わ
ることなく、一定に維持され、ニップ長の変動による撚
数の変動、加熱側および解撚側の糸張力も変動すること
なく一定条件の下での仮撚加工が施されるため糸に付与
される単位長さ当りの撚数も一定となり、製造された糸
のかさばり程度も全糸長に渡って均等になり、良品質の
仮撚加工糸を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は仮撚装置のレイアウトを示す概略構成図、第２
図は本発明のベルト式仮撚ユニットの実施例を示す概略
構成図、第３図は同ベルト交差部の拡大説明図、第４図
は糸走行路の変位量を示す説明図、第５図は糸走行路の
変位量と撚数の変動の関係を示す測定線図、第６図は同
変位量と糸張力の関係を示す測定線図、第７図は本発明
のベルト式仮撚ユニットの他の実施例を示すベルト交差
部拡大図、第８図は従来のベルト交差部を示す説明図で
ある。 １０・・・・・・仮撚ユニット、１６・・・・・・第１
の無端ベルト、２０・・・・・・第２の無端ベルト、Ｇ
１ 、 Ｇ２・・・・・・糸ガイド、Ｌｌ・・・・・・
第１ベルトのベルト巾、Ｌ２・・・・・・第２ベルトの
ベルト巾、θ・・・・・・糸とベルトのなす角度、Ｚ・
・・・・・平行四辺形領域、１１・・・・・・ニップ長
。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １２本の無端ベルトを交差させ該交差部において互いに
   逆方向に走行させ、上記２本のベルト間に糸をニップし
   て仮撚を付与するベルト式仮撚ユニットの上記２本のベ
   ルトを巾の異なるベルトとし、糸を上記交差部における
   糸のニップ長が一定となる領域にガイドする糸ガイドを
   糸の走行路に沿った上記交差部の前後に配したことを特
   徴とするベルト式仮撚ユニット。