JPS5910328Y2 - 密封式弁間隙自動調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は内燃機関の動弁機構に於いて、熱膨脹吸収用
の弁すきまを自動的に調整して常時零に保つ弁間隙自動
調整装置に関するもので、特に油を密封した構造で組立
てが容易で且つ小型になした装置を提供せんとするもの
である。

従来より広く使用されている内燃機関の動弁機構には弁
駆動時のエンジンの温度上昇に伴う熱膨脹差を吸収し、
エンジンの種々の温度に対応して弁を確実に閉じるよう
にする為に弁と弁駆動系路との間に弁すきまを設けてあ
る。

このような弁すきまは弁駆動時に衝突音を発し、いわゆ
るタペット音なる騒音の原因となり、また高速運転時に
弁開閉の動きの正確さを害することとなり完全なエンジ
ンの制御を行うことができず、排気公害の原因となって
いた。

そこで上記弁すきまにより生ずる種々の問題を解消する
為に適度な粘性と非圧縮性を有する油圧を利用して弁す
きまを無くし、自動的に伸縮して熱膨脹差を吸収する弁
間隙自動調整装置が用いられる様になった。

これは相対移動するリフターとプランジャ間に油を充填
させ、弁開時には油圧により両者を一体に動作させ、弁
閉時には両者を離して弁すきまを無くすものである。

従来の弁間隙自動調整装置、特に油を密封させた装置を
示すと、第１図に示す様に、カム１と接する筒状のりフ
タ−２内にピストンの役目をなすフ゜ランジャ３を摺動
自在に挿入し、プランジャ３の上端にプッシュロツド４
の端部球面を支持するボールシ一ト５を被嵌し、プラン
ジャ３の下部凹部とリフタ−２との間に油室６を形或し
油室６内にプランジャ３を押上げるプランジャスプリン
グ７を配し、油室６とプランジャ３の上部軸部に形威し
た油溜室８との間にチェックボール９、スプリング１０
、及びノテナ１１とより或る一方向バルブ１２を設け、
リフター２の中央部内周面にプランジャ３の上限位置を
設定する止め輪１３を設け、更にリフター２とプランジ
ャ３との間に外部への油の漏れを防止すると共に外部か
らの不純物の侵入を防止し、更に温度上昇に伴う油の体
積膨脹分を吸収する弾性シール１４を設けてシールさせ
、前記弾性シール１４の一方の端部をボールシ一ト５の
下面にて押圧固定しており、更にリフター２の開口端一
部に切欠部１５を形戒し、ボールシー１− ５の対向位
置に突出部１６を形威して両者を嵌め合せ、一体化させ
てある。

１７はプランジャ３の油溜室８の油漏れを防止する止め
栓である。

そしてその作用を説明すると、動弁系に力が働いていな
い弁閉時には、油室６内のプランジャズプリング７の蓄
勢弾力によりプランジャ３が押上げられ、一方向バルブ
１２が開いて油溜室３の油が油室６内に流入し、リフタ
ー２とプランジャ３間が伸長して弁すきまをなくす。

弁開時カム１にてリフター２が押上げられると、一方向
バルブ１２か゛閉じ、油室６内の油の流出を防止し、油
圧が発生して力が伝達され、プランジャ３がリフタ−２
と一体に上昇し、プッシュロツド４を押上げて弁を開く
。

この間リフター２とプランジャ３の摺動面間から油室６
内の油が微量漏れて油溜室８内に還流し、両者間は若干
短かくなる。

そしてリフター２への上方の力がなくなり下降すると、
プランジャスプリング７にてリフター２とプランジャ３
とが離隔され、油室６内が負圧となり、チェックボール
９がスプリング１０に抗して開き、油溜室８から油室６
内へ油が流入し、プランジャ３が伸びて弁すきまを零に
補正するものである。

また上記弁間隙自動調整装置は、リフター２の下面の偏
摩耗を防止する為に、リフター２の中心とカム１の中心
とを偏心させ、且つプッシュロツド４を傾斜させてプラ
ンジャ３にモーメント荷重を与えて弁駆動時に回転させ
る様になしてある。

従ってリフター２とプランジャ３は夫々回転し乍ら相対
回転しようとするが、切欠部１５及び突出部１６の嵌め
合いにより相対回転は防止され、一体に回転するのでプ
ランジャズプリング７及び弾性シール１４等の変形及び
破損が防止され、誤動作や油漏れ等が防止される。

この様に上記した弁間隙自動調整装置によれば弁すきま
による騒音等の問題は解決されたが、組付部品が多く、
油を密封させるものであり、組付作業性が悪かった。

即ち、組立時、プランジャズプリング７上にリテナ１１
を載置し、リテナ１１内にスプリング１０及びチェック
ボール９を収納させ、これらにプランジャ３を被せ、こ
の後プランジャ３を逆向きに回転させて油中でリフター
２内に挿入し、リフター２内に十分に油を充填させた後
、止め輪１３及び弾性シール１４等を組付けていた。

この様に多くの工程を必要とし、また位置ずれを生じな
い様に各部を支持する必要もあり、作業が困難であった
。

更に組付け作業中に空気が混入すると、圧力が十分に伝
達されず、弁間隙調整機能が著しく低下したり、或いは
全く作用しなくなるといった問題点があった。

この考案は上記従来の問題点に鑑み、これを改良除去し
たもので、リテナの形状を変えることにより各部の組付
け及び位置決めを容易になしたものであり、更にボール
シート及びプランジャの上部形状を変えることにより軸
方向長さを短かくなしたものである。

以下この考案の構或を図面に示す実施例に従って説明す
ると次の通りである。

第２図に於いて、１８はカム１により往復動される有底
筒状のリフターで、上部内周面を大きく形威して各部材
の挿入を容易ならしめている。

１９はノックー１８内に摺動自在に配されたプランジャ
で、下部内壁２１とリフタ−１８の底面２０との間で油
室２２を構或し、プランジャ１つの小径部１９ ａとノ
ッター１８の内周面との間に第１油溜室２３を構或し、
この第１油溜室２３とプランジャ１９の中心部に油室２
２と連通ずる如く軸線に沿って形戒した第２油溜室２４
とを連通孔２５で連通してある。

２６は第２油溜室２４から油室２２への油の流入のみを
許すチェックボール２７及びリテナ２８とで構或される
一方バルブで、リテナ２８は第３図にも示す様に中央部
を下方に膨隆させて収納室２８ ａを形威し、周縁部を
下方に折曲げて圧入部２８ ｂを形威し、収納室２８
ａの下面に連通孔２９を形戊すると共に平面部２８ Ｃ
及び収納室２８ ａの上部に跨がって数個所を切断し、
これを下方に折曲げて円弧状の切起片３０を形戒してあ
り、圧入部２８ ｂをプランジャ１９の円壁２１ ａに
圧人固定し、チェックボール２７を収納室２８ ａ内に
装着したスプリング３１にてプランジャ１９の弁座１９
Ｃに押圧保持させてある。

３２はリフタ−１８とプランジャ１９間の油室２２内に
装着されたプランジャズプリングで、上端部をリテナ２
８の切起片３０に係止させてあり、プランジャ１９及び
リテナ２８を押上げる。

３３はリフタ−１８とプランジャ１９の上部間に挾在固
定され、第１の油溜室２３を密封すると共に温度上昇に
伴う油の体積膨脹分を吸収する弾性シールで、断面Ｕ字
状で且つ環状に形威し、その両端部を厚肉に形威して内
側取付部３４及び外側取付■３５を形威し、内側取付部
３４はプランジャ１９の上端に載せ、ボールシ一ト３６
にて押圧固定され、外側取付部３５はリフタ−１８に形
或された円周溝３フ内に係止させてある。

３８はプランジャ１９の上限を設定する止め輪で、リフ
ターの嵌合溝３８′に外周部を嵌合固定してある。

ボールシ一ト３６は小径の下部軸部３９をプランジャ１
９の第２油溜室２７１の上部に嵌合させ、下端を段部４
０に係合させ、且つ両者間に止めリング４１を介在させ
て抜脱を防止してある。

そしてボールシート３６の頭部３６ ａの周面の一部を
切欠いて回り止め部４２を形或し、その下端に形威した
押圧片４３にて弾性シール３３の内側取付部３４を押圧
する。

４４はリフタ−１８の上部内周面に圧入嵌合された環状
の薄肉鉄板よりなるロックプレートで、第４図にも示す
様に外周面４４ａ下部を縮径或いはテーパ状になし、平
面部４４ｂの開口部４４ Ｃ周縁をホールシート３６の
回り止め部４２に沿った形状になし、且つ平面部伺ｂに
連通孔４５を形或してあり、縮径部４６にて弾性シール
３３の外側取付部３５を押圧し、開口部４４Ｃをボール
シ一ト３６の回り止め部４２に嵌め合せて相対回転を防
止させる。

平面部４４ｂの連通孔４５は弾性シール３３と平面部４
４ｂ間の圧力を大気圧になすものである。

上記弁間隙自動調整装置の作用は従来と同様で、弁駆動
時に、カム１０回転動作に伴ってリフター１８が押し上
げられると、油室２２内の油圧によりプランジャ１９も
一体に押し上げられて弁を開放し、リフター１８が下降
するとプランジャスプリング３２によりリフター１８と
プランジャ１９間が離隔され、一方向バルブ２６のチェ
ックボール２７が開き、第２油溜室２４から油室２２内
へ油が補充され、両者の軸長さが伸び弁を閉じると共に
弁すきまを零に保つ。

また弁駆動時にエンジンの温度上昇に伴って油が体積膨
脹しても、弾性シール３３が第２図の破線で示す様に撓
んで膨脹分を吸収し、油圧を大気圧に保ち、同時に弾性
シール３３とロツクプレー｝４４間の空間の空気も連通
孔４５から逃げて大気圧に保たれるので、何ら支障なく
動作が行なわれる。

また弁駆動時にはカム１とプッシュロツド４によりモー
メント荷重を受けて、リフター１８及びプランジャ１９
は夫々回転するが、リフター１８に圧入固定したロック
プレート剃とプランジャ１９の上部に嵌合固定したボー
ルシ一ト３６との嵌り合いにより両者の相対回転が防止
され、一体に回転するので、弾性シール３３及びプラン
ジャスプリング３２の変形及び破損が防止され、常に安
定した正確な弁駆動を行なうことができる。

この様にロックプレート４４により相対回転を防止する
ので従米の如くリフター１８に切欠部を設けたり、ボー
ルシ一ト３６に突出部を設けたりする必要がなく、製作
加工が容易となり、弾性シール３３等の挿入が容易とな
る。

同時に、弾性シール３３の内側取付部３４をボールシー
ト２６にて押圧固定し、外側取付部３５をロックプレー
ト４４にて押圧固定するので密封性が向上する。

また、ボールシ一ト３６の下部軸部３９をプランジャ１
９内に嵌入させたので、強度を損うことなくプランジャ
１９及びボールシ一ト３６の軸方向長さを短かくするこ
とができ、ボールシート３６の上端がリフター１８の開
口端より下方に位置することになるので、弁駆動時にプ
ッシュロツド４を伝って降下して来る潤滑油がボールシ
ート３６のシート面４７に溜まり、更に弾性シール３３
内に入り、リフター１８内に溜まり、ボールシート３６
のシート面４７を潤滑油中に沈めることになるのでシー
ト面４６とプッシュロツド４の底面との間の潤滑を十分
に行なえ、回転がスムーズで、摩耗も生じない。

また、上記一方向バルブ２６のリテナ２８によりチェッ
クボール２７及びプランジャスプリング３２をプランジ
ャ１９に一体的に組付けることができ、組付けが簡単と
なった。

即ち、リテナ２８の下面にプランジャスプリング３２を
装着し、これの上端を切起片３０に係止させ、この後リ
テナ２８の収納室２８ ａ内にスプリング３１及びチェ
ックボール２７を収納し、この状態でプランジャ１９の
下部開口よりリテナ２８を挿入し、その圧入部２８ ｂ
をプランジャ１９の内壁２１ ａに圧入固定すれば、チ
ェックボール２７及びプランジャスプリング３２がプラ
ンジャ１９に一体的に取付けられる。

そしてこれを油を充満させたりフタ−１８内にチェック
ボール２７を開放させた状態で挿入すると、油室２２内
の空気が油と入れ変り、油室２２及び第１、第２油溜室
２３， ２４内が油で充填される。

この後止め輪３８を嵌合溝３８内に嵌め込み、弾性シー
ル３３を挿入してその外側取付部３５をリフター１８内
の円周溝３７内に嵌め込むと同時に内側取付部３４をブ
ランジャ１゜９の上端に載置する。

そしてロックプレート４４を所定の位置関係になして圧
入し、縮径部４６にて弾性シール３３の外側取付部３５
を押圧させ、最後に第５図乃至第７図に示す様にボール
シ一ト３６を位置関係を決めて挿入し、下部軸部３９を
止めリング４１を介在させて嵌入させ、回り止め部４２
をロックプレート４４の開口部４４ Ｃ内に挿入させ、
プランジャ１９に固定すると共に押圧片４３にて弾性シ
ール３３の内側取付部３４を固定すれば組付けは完了す
る。

上記した様に組付けが非常に簡単で作業性が向上する。

これと同時に弾性シール３３の内側取付部３４をボール
シ一ト３６にて押圧固定するので、弾性シール３３は圧
入することなくルーズに挿入でき、ボールシート３６の
組付時、第５図に示す様にボールシート３６がプランジ
ャ１９に入り込んだ分だけ弾性シール３３とプランジャ
１９との間から第１油溜室２３内の油が外部へ流出し、
その結果第１油溜室２３及び第２油溜室２４内に余分な
圧力が作用せず、弾性シール３３の変形を防止でき、油
の体積膨脹分を十分に吸収させることができる。

以上説明した様にこの考案は回転するカムにより往復動
するりフターと、リフター内に摺動自在に配されるプラ
ンジャと、前記リフターとプランジャ間の油室及びプラ
ンジャの軸線に沿って形或した油溜室間に配置された一
方向バルブと、前記油室に配され、プランジャを押上げ
るプランジャスプリング及びリフターの開口部とプラン
ジャの上方部間を密封する環状の弾性シールとを具備す
る密封式弁間隙自動調整装置に於いて、一方向バルブの
チェックボールを保持するリテナの端縁を下方向に延長
形威して圧入部を形或し、且つ平面部の適当個所に下方
に切起してプランジャスプリングの上端を支持する支持
片を形威し、プランジャの上端にボールシートを被せて
固定すると共に下部突部をプランジャの凹部内に嵌め込
み、更にボールシートとリフターとの間にボールシ一ト
の回り止め及び弾性シールの端部を押圧するロックプレ
ートを圧入固定させたから、リテナをプランジャ内に圧
入固定し、プランジャスプリングの上端をリテナの切起
片に係止させることにより、プランジャヘ一方向バルブ
及びプランジャズプリングを一体に組付けることができ
、位置決め等が不要となり、組付作業性が大幅に向上す
る。

またボールシ一トをプランジャ内へ嵌人させることによ
りプランジャの軸方向長さを短かくでき、ボールシ一ト
のシート面がリフター内に位置し、このシート面を潤滑
油内に沈めることができ、潤滑作用が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の密封式弁間隙自動調整装置を示す縦断面
図、第２図は本考案に係かる密封式弁間隙自動調整装置
を示す縦断面図、第３図は本考案に係かるリテナの形状
を示す一部破断斜視図、第４図は第２図ＩＶ−ＩＶ線断
面図、第５図乃至第７図はボールシ一トの組付状態を示
す要部断面図である。 １８・・・リフター、１９・・・プランジャ、２２・・
・油室、２６・・・一方向バルブ、２８・・・リテナ、
３０・・・切起片、３１・・・プランジャズプリング、
３３・・・弾性シール、３６・・・ボールシート、４４
・・・ロックプレート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転するカムにより往復動するリフターと、リフター内
   に摺動自在に配されるプランジャと、前記リフターとプ
   ランジャ間の油室及びプランジャの軸線に沿って形或し
   た油溜室間に配置された一方向バルブと、前記油室に配
   され、プランジャを押上げるプランジャズプリング及び
   リフターの開口部とプランジャの上方部間を密封する環
   状の弾性シールを具備する密封式弁間隙自動調整装置に
   於いて、一方向バルブのチェックボールを保持するリテ
   ナの端縁を下方向に延長形威して圧入部を形或し、且つ
   平面部の適当個所を下方に切起してプランジャスプリン
   グの上端を支持する支持片を形或し、プランジャの上端
   にボールシ一トを被せて固定すると共に下部突部をプラ
   ンジャの凹部内に嵌め込み、更にボールシ一トとりフタ
   ーとの間にボールシートの回り止め及び弾性シールの端
   部を押圧するロックプレートを圧人固定させたことを特
   徴とする密封式弁間隙自動調整装置。