JPH0447364Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この考案は、内燃機関の動弁機構に組込まれる
密封式油圧ラツシユアジヤスタ装置に関するもの
である。

【従来の技術】

一般に、オーバーヘツドカムシヤフト型内燃機
関においては、カムシヤフトのカムとバルブステ
ムとの間に油圧ラツシユアジヤスタを組込み、そ
の油圧ラツシユアジヤスタ装置の作動によつてエ
ンジンの温度上昇に伴う熱膨張時の寸法変化を吸
収し、弁隙間の発生によつて生じる不具合の解消
と、弁の制御性能の向上を図るようにしている。 この種の装置の従来技術として、特開昭55−
131514号公報に開示されたものが存在する。とこ
ろで、上記公報に示された油圧ラツシユアジヤス
タ装置においては、環状の薄肉鉄板よりなるロツ
クプレートをリフターの内周面に圧入、嵌合さ
せ、その周面にて弾性シール（ダイヤフラムシー
ル）の外側取付部を圧着させると共に、凸部を芯
金切欠部に嵌め合せてリフターとプランジヤとの
相対回転を防止し、且つプランジヤの軸方向の摺
動量を規制させている。

【考案が解決しようとする問題点】

上記油圧ラツシユアジヤスタ装置では、ロツク
プレートをリフター内周面に圧入、嵌合させるた
め、リフター自体の高さが増し、組立作業性、重
量及びコストの点でも問題点を内在していた。

【問題点を解決するための手段】

上記の問題点を解決するために、この考案はリ
フタボデイの内径面に形成されたリング溝に切り
離し部分を有するリングを嵌合し、その切り離し
部分の両端部を上記キヤツプ体に連結することに
より、このキヤツプ体を回り止めするようにした
のである。

【実施例】

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。 図示のように、筒形リフタボデイ１は端板２を
備え、その端板２の内面中央部にはシリンダ３が
形成されている。 シリンダ３の内側にはプランジヤ４がスライド
可能に組込まれ、そのプランジヤ４の組込みによ
つて、シリンダ３の内部に油圧室５が形成され
る。 この油圧室５の内部にはスプリング６が収容さ
れ、そのスプリング６は、プランジヤ４をシリン
ダ３の開放部から押し出すように作用している。 リフタボデイ１の内側には、ダイヤフラム７が
組込まれている。 このダイヤフラム７は、シール部８の外径面が
そのシール部８の内径部に取付けたＬ字形リング
９により、リフタボデイ１の内径面に押し付けら
れて密着し、一部がリフタボデイ１の内径面に形
成した係合溝１０のテーパ面１１に係合してい
る。 また、シール部８は、上記係合溝１０に嵌合し
た波形の弾性リング１２によつて下方向に移動す
るのが防止される。 上記のようにしてダイヤフラム７を取付けるこ
とにより、そのダイヤフラム７とリフタボデイ１
との間に油室１３が形成される。 この油室１３と上記油圧室５は、上記プランジ
ヤ４に形成した通路１４によつて連通し、油圧室
５の作動油が油室１３に流入するのを防止するた
め、油圧室５にチエツクバルブ１５を設けてあ
る。 上記リフタボデイ１の内径面には、係合溝１０
の下方にリング溝１６が形成され、そのリング溝
１６に嵌合したリング１７は、一部が切り離さ
れ、その切り離し端の両端部がキヤツプ体１８に
連結されてキヤツプ体１８を回り止めしている。 このキヤツプ体１８は、上記ダイヤフラム７の
内径部を加流接着して液密に接続すると共に、プ
ランジヤ４の端面に衝合し、プランジヤ４の軸方
向のスライド量を規制する。 第２図はオーバヘツドカムシヤフト型内燃機関
に、この考案に係る密封式油圧ラツシユアジヤス
タ装置を組込んだ場合を示し、シリンダヘツド３
０に形成した取付孔３１にリフタボデイ１がスラ
イド可能に挿入され、そのリフタボデイ１の端板
２にカムシヤフト３２のカム３３が接触してい
る。 また、カム３３の回転により、押し下げられる
バルブステム３４は、その外側に嵌合したスプリ
ング３５の弾力により、第１図に示すように、キ
ヤツプ体１８の下面に押し付けられている。 いま、カム３３を回転し、リフタボデイ１を押
し下げると、バルブステム３４に当接して下方向
に移動するのが防止されたプランジヤ４に対し
て、上記リフタボデイ１が下降するため、油圧室
５の作動油が圧縮され、その圧力によりバルブス
テム３４が押し下げられる。また、カム３３が端
板２から離れる方向に回転して、両者間にクリア
ランスが生じ始めると、スプリング６の弾力によ
り、リフタボデイ１が押し上げられ、そのリフタ
ボデイ１の上方向への移動により、油圧室５の容
積が増し、油圧室５の圧力低下によつて、チエツ
クバルブ１５が通路１４を開放する。このため、
油室１３の作動油は油圧室５に流入し、スプリン
グ６の弾力とでリフタボデイ１を上方向に移動さ
せる。エンジンの駆動により、温度が上昇し、油
室１３の作動油が熱膨脹すると、ダイヤフラム７
が変形し、そのダイヤフラム７の変形によつて作
動油の容積変化を吸収する。 第３図は第１図の底面図であるが、リング１７
がキヤツプ体１８の側面に形成された係止孔１９
に係止されている。 リング１７はリフタボデイ１の内径面に形成さ
れたリング溝１６に装着される環状装着部２０
と、キヤツプ体１８を所定の弾性でもつて衝合せ
しめるための屈曲部２１と、上記キヤツプ体１８
の係止孔１９に係止する係止部２２とからなつて
いる。 なお、上記屈曲部２１の弾性を調整することに
より、プランジヤ４を軸方向に押圧するスプリン
グ６を廃止することも可能である。

【効果】

以上のように、この考案はリフタボデイの内部
に組込まれ、所定の弾性でもつてキヤツプ体を介
してプランジヤを押圧するリングを設けそのリン
グの切り離し端をキヤツプ体に連結したことによ
り、ダイヤフラムを固着しているキヤツプ体の回
り止めができると共に、プランジヤの軸方向のス
ライド量を規制することができる。 また、ダイヤフラムの回り止めが確実にできる
ことから、耐久性を向上させることができる。 本考案のリングは、以上のような効果だけでな
く、簡単な構造で、組立作業性を向上させ、軽
量、コンパクト、低コストな密封式油圧ラツシユ
アジヤスタ装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係る密封式油圧ラツシユ
アジヤスタ装置の一実施例を示す縦断正面図、第
２図は同上の使用状態を示す断面図、第３図は第
１図の横断底面図である。 １……リフタボデイ、３……シリンダ、４……
プランジヤ、５……油圧室、６……スプリング、
７……ダイヤフラム、１７……リング、１８……
キヤツプ体、２０……環状装着部、２１……屈曲
部、２２……係止部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筒形リフタボデイの端板内面における中央部に
   シリンダを設け、このシリンダの内部に、そのシ
   リンダとの間に油圧室を形成するプランジヤと、
   そのプランジヤをシリンダの開放端に向けて押圧
   するスプリングとを組込み、上記リフタボデイの
   内部に組込まれ、そのリフタボデイとの間に油室
   を形成するダイヤフラムの外径部をリフタボデイ
   の内径面に液密に取付け、内径部をプランジヤに
   衝合したキヤツプ体に液密に接続し、上記プラン
   ジヤには油圧室と油室とを連通する通路を形成
   し、油圧室には、通路から油室への作動油への流
   入を防止するチエツクバルブを設けた密封式油圧
   ラツシユアジヤスタ装置において、上記リフタボ
   デイの内径面に形成されたリング溝に切り離し部
   分を有するリングを嵌合し、その切り離し部分の
   両端部を上記キヤツプ体に連結することにより、
   当該キヤツプ体の回り止めしたことを特徴とする
   密封式油圧ラツシユアジヤスタ装置。