JPS6132085Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はオーバヘツドカム（ONC）式エンジ
ンにおいて、ロツカアームを支承して吸、排気バ
ルブのバルブクリアランスを自動的に調整するた
めにラツシユアジヤスタ装置の改良に関するもの
である。

〔従来の技術〕

従来のラツシユアジヤスタ装置の一例を第１図
に示す。第１図において、符号１はシリンダヘツ
ドであり、このシリンダヘツド１に吸、排気バル
ブ２（一方のみを図示）が摺動可能に支持され、
前記吸、排気バルブ２はバルブスプリング３によ
つて閉方向に附勢されている。前記シリンダヘツ
ド１上にはカム軸４が配設させ、このカム軸４に
設けたカム５によつて揺動されるロツカアーム６
の一端部に前記吸、排気バルブ２の上端が支承さ
れ、ロツカアーム６の他端部はラツシユアジヤス
タ装置のプランジヤ７上端に支承されている。前
記プランジヤ７はシリンダ８内に摺動可能に嵌合
され、プランジヤ７の下部に嵌合固定したチエツ
クバルブのバルブシート９にチエツクボール１０
がチエツクスプリング１１によつて支持され、こ
のスプリング１１を支承するリテーナ１２とシリ
ンダ８の底との間にプランジヤ７のリターンスプ
リング１３が介在され、シリンダ８内の底部に油
室１４が形成され、この油室１４がチエツクボー
ル１０によつて開閉される小穴１５を介してプラ
ンジヤ７内の室１６と連通され、この室１６が穴
１７を介してプランジヤ７の外周面に形成した環
状の油溝１８と連通され、この油溝１８は前記シ
リンダ８に設けた穴１９を介してシリンダ８の外
周面に形成成した環状の油溝２０と連通されてい
る。前述のようにプランジヤ７などの各部材がシ
リンダ８内に組付けられたラツシユアジヤスタ組
付体２１は、前記シリンダヘツド１に形成された
有底の穴２２にシリンダ８が嵌合固定されること
により、シリンダヘツド１に装着されている。シ
リンダヘツド１に設けた圧力油の導通路２３にシ
リンダ８の油溝２０が連通され、前記導通路２３
はエンジンのオイルポンプ（図示せず）の吐出側
に連通されている。なお、第１図中、符号２４は
シリンダ８の上端部に嵌合固定したストツパ、２
５はプランジヤ７内の室１６と連通してプランジ
ヤ７上端部のロツカアーム６との当接部に開口す
る穴である。

前述した構成のラツシユアジヤスタ装置は、エ
ンジンの作動によつて送られる圧力油が、シリン
ダヘツド１の導通路２３からシリンダ８の油溝２
０、穴１９およびプランジヤ７の油溝１８は、穴
１７を通つてプランジヤ７内の室１６に圧送され
る。この時に、プランジヤ７下方の油室１４内の
圧力が小さい場合には、チエツクボール１０を押
し下げ、小穴１５を開いて油室に圧力油が送ら
れ、エンジン運転中はバルブクリアランス零の状
態にまでなり、この状態を保持するものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、第１図に示す従来のラツシユアジヤス
タ装置は、シリンダ８内にチエツクボール１０な
どで構成したチエツクバルブをもつプランジヤ７
などを設けたラツシユアジヤスタ組付体２１を、
エンジンのシリンダヘツド１に設けた有底の穴２
２に嵌合固定するものであつたため、ラツシユア
ジヤスタ装置の形状が大きくなると共に、構成部
分の数が多く、製造コストが高くなる欠点があつ
た。

また、シリンダヘツドに設けた嵌挿穴にプラン
ジヤを摺動可能に直接嵌合させることにより、シ
リンダを少略したものが実公昭44−9204号公報に
記載されており、このラツシユアジヤスタ装置
は、第１図に示し前述した従来のものの欠点を解
消し得る利点がある。しかし、実公昭44−9204号
公報に記載されたラツシユアジヤスタ装置は、シ
リンダヘツドに設けた有底の嵌挿穴にプランジヤ
に嵌着した環状パツキングを摺接させて前記プラ
ンジヤを液密に嵌合させると共に、プランジヤに
チエツクボールを円環状座により遊動できるよう
に装着し、前記ボールをきわめて弱いスプリング
で支持してチエツクバルブを構成しているので、
吸、排気バルブのバルブクリアランスに対する追
従または熱膨脹などによるバルブの突き上げに対
するプランジヤの追従をチエツクボールによる圧
力油のプランジヤ下方に設けた油室への送り込
み、あるいは逃がしによつて行なわなければなら
ず、前記チエツクボールときわめて弱いスプリン
グによる作動設定がむずかしいという問題があつ
た。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、前述したプランジヤをシリンダヘツ
ドに形成した有底の嵌挿穴に摺動可能に直接嵌合
させたものにおいて、これによる小形化および部
品数の低減などの利点を失うことなく、プランジ
ヤの外周面と前記嵌挿穴の周壁との間に設けたク
リアランスを流れる油を、プランジヤの油溝より
下方部分に前記嵌挿穴の周壁と摺接するシールリ
ングを嵌着し、このシールリングに切欠または小
穴を形成して、コントロールすることにより、確
実な作動を期待できるラツシユアジヤスタ装置を
提供することを目的としている。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例につき第２図ないし第
４図を参照して説明する。

第２図において、符号１はシリンダヘツドであ
り、このシリンダヘツド１には有底の嵌挿穴２６
が形成され、この嵌挿穴２６にはプランジヤ７が
摺動可能に嵌挿されている。シリンダヘツド１に
形成した圧力油の導通路２３は、前記プランジヤ
７の外周面に形成した環状の油溝１８、穴１７、
プランジヤ７の室１６は、チエツクバルブを構成
するチエツクボール１０によつて開閉される小穴
１５を介して、プランジヤ７下方の嵌挿穴２６底
部に形成した油室１４と連通されている。前記プ
ランジヤ７外周面の前記油溝１８より下方部分
と、この部分に対応する嵌挿穴２６の周壁２７と
の間にはクリアランスが形成されている。プラン
ジヤ７の油溝１８より下方部分には嵌挿穴２６の
周壁２７と弾性的に圧接し、かつ摺動可能なシー
ルリング２８は、第３図、第４図に示すように、
円周方向の一部に切離し部２８ａが形成されてい
ると共に、外周部の円周方向の複数個所に前記ク
リアランスを流れる油をコントロールするための
切欠２８ｂが形成されている。なお、第２図中、
符号２９は環状パツキングである。また、本実施
例の前述した以外の構成および基本作動は第１図
に示す従来のものと同様であるから、同構成の部
分は第２図中に第１図と同符号を付して説明を省
略する。

前述のように構成された本考案の一実施例によ
るラツシユアジヤスタ装置では、プランジヤ７の
下方の油室１４に作動中に発生する油圧によつ
て、油室１４内の油がプランジヤ７の外周面とシ
リンダヘツド１に設けた嵌挿穴２６の周壁２７と
の間のクリアランスを通つて上方に流出する。こ
の時、プランジヤ７に設けてあるシールリング２
８の切欠２８ｂによつて流出油が大きな抵抗を受
け、前記クリアランスを流れる油の流量、流速を
コントロールすることができ、前記切欠２８ｂの
数、大きさなどの条件を適切にすることにより、
ラツシユアジヤスタ装置の機種を良好に維持する
ことができ、この装置が確実に作動する。

なお、前述した実施例ではシールリング２８に
切欠２８ｂを設けたが、本考案は、切欠２８ｂに
代えて小穴を設けてもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案のラツシユアジヤ
スタ装置は、プランジヤ７の油溝１８より下方部
分にシリンダヘツド１に形成した嵌挿孔２６の周
壁２７と摺接するシールリング２８をプランジヤ
７に嵌着し、このシールリング２８に設けた切欠
２８ｂまたは小穴によつて、プランジヤ７の外周
面と前記嵌合挿入孔２６の周壁２７とのクリアラ
ンスを流れる油の流量、流速をコントロールする
ようにしたので、プランジヤ７下方に設けた油室
１４内の有害となる余分の圧力油を前記クリアラ
ンスから緩やかに上方に流出させることができ、
エンジンのバルブ突き上げなどの不具合の発生が
なく、また前記クリアランスを広範囲の自由度を
もつて設定できるために製作が容易であり、さら
に熱的変形や摩耗による前記クリアランスの変化
に対して影響されることがなく、しかもプランジ
ヤ７をシリンダヘツド１の嵌合孔２６に直接嵌合
させたことによる小形で部品数が少なく安価に提
供できる利点も有しているという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のラツシユアジヤスタ装置を示す
縦断面図、第２図は本考案の一実施例によるラツ
シユアジヤスタ装置を示す縦断面図、第３図は同
シールリングの平面図、第４図は第３図の矢視
部分側面図である。 １……シリンダヘツド、２……吸、排気バル
ブ、３……バルブスプリング、４……カム軸、５
……カム、６……ロツカアーム、７……プランジ
ヤ、８……シリンダ、９……バルブシート、１０
……チエツクボール、１１……チエツクスプリン
グ、１２……リテーナ、１３……リターンスプリ
ング、１４……油室、１５……小穴、１６……
室、１７……穴、１８……油溝、１９……穴、２
０……油溝、２１……ラツシユアジヤスタ組付
体、２２……有底の穴、２３……導通路、２４…
…ストツパ、２５……穴、２６……嵌挿穴、２７
……周壁、２８……シールリング、２８ａ……切
離し部、２８ｂ……切欠、２９……環状パツキン
グ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. オーバヘツドカム式エンジンのロツカアームを
   支承するプランジヤを、シリンダヘツドに形成し
   た有底の嵌挿穴に摺動可能に直接嵌合させたラツ
   シユアジヤスタ装置において、前記シリンダヘツ
   ドに設けた圧力油の導通路を、前記プランジヤの
   外周面に形成した環状の油溝、プランジヤ内およ
   びこのプランジヤに装着したチエツクバルブを介
   して、プランジヤの下方の前記嵌挿穴底部に形成
   した油室と連通させ、かつプランジヤ外周面の前
   記油溝より下方部分と、この部分に対応する前記
   嵌挿穴の周壁との間にクリアランスを形成すると
   共に、プランジヤの油溝より下方部分に嵌挿穴の
   周壁と摺接するシールリングを嵌着し、シールリ
   ングに前記クリアランスを流れる油をコントロー
   ルする切穴または小穴を形成したことを特徴とす
   るラツシユアジヤスタ装置。