JPS589668B2 - 葉巻種たばこの緑色系上巻葉の火力乾燥法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は葉巻種の緑色系上巻葉の乾燥方法に関する。

葉巻たばこの緑色系上巻葉は緑色の色調が商品価値とし
て重要であり、乾燥途中で黄色味を帯びてくると商品価
値は顕著に低下する。

同時に香喫味上も優れていることが要求される。

このような緑色系上巻葉を産出する乾燥法としては、従
来は特殊な気象条件の地域で戸外における自然風干法が
おこなわれていた。

すなわち、高冷地帯で乾燥時期が９月初旬から１０月下
旬になるように作付けされ、一般に１０〜１５℃の気温
のもとで風干される。

冷たい外気中で乾燥することによって、脱水は緩徐に行
われるため、乾燥所要日数は約３０日間を要するが、気
温が低いために黄変の進行が抑制されて、緑の色調の強
い乾燥が得られる。

その香喫味も青くさみが少なく、葉巻特有の香味を持っ
ている。

しかし、この自然風千法では乾燥に要する期間が長いだ
けでなく、天候に左右されやすく、長雨などの湿気の多
い日が続くと色むらや、じみの多い乾葉が産出される難
点がある。

過去５年間の実績でも乾葉のうち葉巻上巻葉の適品は収
量の８％程度にすぎない。

本発明はこれらの欠点をなくシ、人工的な火力乾燥によ
って短時間に色調が緑色でしかも香喫味の良い葉巻上巻
葉を産出する乾燥方法を提供せんとするものである。

本発明者は種々の乾燥条件における実験を積み重ねた結
果、つぎの知見を得た。

乾球温度を３０〜４０℃の範囲として乾燥した場合には
内容成分の好ましい変化（いわゆるキュアリング）は急
速に進むが、この場合相対湿度を４５〜５０％の範囲の
比較的低湿度条件においても、乾葉の色調が黄色味を帯
びることを防ぐことはできない。

一方、乾球温度４５℃で乾燥した場合には相対湿度が５
０％以下であれば緑色の乾葉が得られるが、キュアリン
グがおこなわれず、香喫味に青くさみと苦渋味があり、
原料として価値が著しく低下する。

本発明法はこの二つの知見をもとにしたもので、乾燥当
初は乾球温度３０〜４０℃、相対湿度５０〜６０％の条
件下で主にキュアリングをおこない、葉に黄色味が現れ
る以前に乾球温度を４５℃以上に昇温しで葉色の黄変を
防止し、香喫味の良い緑色系上巻葉を産出することを特
徴とする。

まず、葉巻種たばこの収穫葉を重ねて、吊込用ラツクに
収容し、乾燥装置内に吊り込む。

乾燥装置は熱風循環式の温湿度調節自在の乾燥装置を使
用するのが便利である。

収穫葉を吊り込んだあと、乾球温度３５〜４０℃、相対
湿度５０〜６０％の条件でキュアリングをおこなう。

このような条件下でのキュアリングをそのまま続けてゆ
くと前述のように葉色が黄色味を帯びて来るが、葉色が
黄色味を帯びる前に乾球温度を４５℃以上に上げると、
葉の黄変化が阻止され、緑色系上巻葉に仕上げることが
できるのである。

本発明のポイントは何を指標としてこの温度上昇の時期
を決定するかであるが、本発明者は研究の結果、吊込ん
だ葉の葉重に着目し、それが吊込み時の６０〜７０％に
減じたときに温度上昇をおこなうことが必要であるとの
結論を得た。

葉重の変化の測定は秤を使用するのが勿論正確であるが
、経験を積めば触感もしくは葉のしおれ具合の観察によ
ってもおこなうことができるようになる。

葉重が吊込み時の６０〜７０％に減じたとき昇温する乾
球温度の下限は４５℃であるが上限は品質上の関％から
、７０℃であるこの４５〜７０℃の範囲で適宜乾球温度
を設定し得るのであるが、一般には乾燥の進行にともな
って除々に昇温させることか望ましい。

以上のような本発明法の操作によって、葉巻種葉たばこ
をきわめて効率よく緑色系上巻葉に仕土げることか可能
となる。

因に、本発明法と従来の黄色種葉たばこの乾燥方法とは
原理的、操作的に全く異るものである。

すなわち、黄色乾燥法においては、例えば、乾燥初期（
約３５時間）は湿球温度３８℃、乾球温度４０℃であり
、これは相対湿度８８％という高湿度条件であってこの
ような高湿度条件下において葉たばこの黄変をはかるの
である。

これに対して本発明法においては、最初から相対湿度５
０〜６０％という低湿度条件で乾燥をおこなって黄変を
妨げつつ、内容成分の好ましい変化をおこさせてキュア
リングをおこなうのであり、しかしこのキュアリングを
長時間つづけると葉の黄変が現われるので、葉重が吊込
み時の６０〜７０％になったとき、４５〜７０℃の範囲
に昇温させてキュアリングを停止させ、緑色のまま乾燥
を仕上げるのである。

以上のように、本発明法と従来の黄色乾燥法とは原理的
、操作的に全く異っている。

実施例 葉巻種（フロリダ１５、中葉）の収穫葉を黄色種用のバ
ルク乾燥機に吊込み、乾球温度４０℃、相対湿度５０％
で１５時間キュアリングを行い、その重量が吊込時の６
０％に減じた時に、直に乾球温度を４５℃に上げ、葉肉
の％が乾いた時（吊込時の重量の３０％に減じた時）に
、さらに５０℃に昇温して葉肉部を乾かし、しかる後に
６０°Ｃで中骨部を乾固させ、全体として７０時間で乾
葉に仕上げた。

得られた乾葉の色調は色差計（東京電色ＴＡ−１型）を
用いて、Ｌ，ａ，ｂ値を測定した。

ここでａ，ｂ値は色度（色相または彩度）を示し、ａが
一側で数値が犬であれば緑色が強く、ｂが十側で数値が
犬であれば黄色が強い。

Ｌは明度を表し、Ｌ値が１００に接近すると白色が強い
。

乾葉の香喫味は乾葉を常法によって発酵したのち、葉巻
品に試製し、葉巻専門の官能検査員３名によって評価さ
れた。

本発明法による乾葉の品質は表−１に示されたように、
従来法による乾燥品にくらべて緑色が強くて黄色味が少
なく、香喫味も良好である。

本発明法は従来の乾燥法に比べて著しく所要期間を短縮
できるだけでなく、葉巻上巻葉適品が安定して産出でき
る。

品質は香喫味において遜色なく、葉色は本発明法によっ
て産出されたものの方がむしろ優れている。

また、本発明法においては、収穫葉を乾燥装置内に高い
密度で吊込み、葉と葉が互に密着した状態で乾燥される
ため、乾葉にはしわがなく、従来の葉のしの作業も必要
がなくなる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 葉巻種たばこの収穫葉を乾燥装置に吊り込み、乾球
   温度３５〜４０℃１相対湿度５０−６０％でキュアリン
   グを行ない、葉重が吊り込み時の６０〜７０％に減じた
   時に４５〜７０℃の範囲まで乾球温度を上げることを特
   徴とする葉巻種たばこの緑色系上巻葉の火力乾燥法。