JPS585773B2 - タソウチユウクウセイケイヨウキノ セイゾウホウホウ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は多層中空成形容器の製造方法に係わるものであ
る。

従来の中空成形容器は、単一樹脂層の場合においては、
単一層に対象内容物の保存性能と容器としての機能性を
もたせるよう、種々の検討がなされてきた。

しかしながら中空成形容器に対する近年の質的向上につ
いての諸要求から、単一層では、とうてい満足できる容
器を提供しえないものである。

以上のことから、本発明は多層中空成形容器を採用する
ものであり、詳しくは、塩化ビニリデン系樹脂を含む二
種以上の樹脂により、二層以上の壁面を有する中空成形
容器を製造するもので、容器の内容物保存性を向上させ
るものである。

塩化ビニリデン系樹脂は、結晶性の高い高分子物質で、
ガス不透過性、透明性等の物性がポリオレフイン系樹脂
に比較して、極めて優れているが、反面ポリオレフイン
系樹脂に比べて熱的に不安定で成形が難しく、もろくて
破損しやすい。

そのため、従来の塩化ビニリデン系樹脂の中空成形法と
しては、ひとつは押出機により溶融して得た非晶質重合
体を管状のパリソンにして押出し、続いて前記のパリン
ンの結晶化を行うためパリソン冷却部を通過させて延伸
操作を行った後、金型に導入し、パリソン内に空気を吹
き込んで、中空成形容器を得ていた。

他のひとつの方法としては、前記のパリソンを溶融温度
以下に保温した金型に導入し中空成形して容器としてい
た。

以上のような従来法は、成形設備が特殊になり、しかも
成形サイクル時間が長くなるなどして、塩化ビニリデン
系樹脂成形品は、その物性の優秀さにもかかわらず、普
及度合が低いものであった。

本発明は、従来の塩化ビニリデン系樹脂の成形上の欠点
ともいえる結晶化のために必要とされた延伸操作を廃止
し、かつ金型保持時間を短縮することを、第１のねらい
とするもので、さらに、二層間の接着強度を驚異的に高
めることにも成功したものである。

本発明は塩化ビニリデン樹脂と共重合可能な単量体（例
えば塩化ビニル樹脂等）からなる塩化ビニリデン系樹脂
を一層とするものである。

該樹脂の層と接着可能な第二層としては、ポリオレフイ
ンー酢酸ビニル共重合樹脂を用いることがまずあげられ
る。

また、ポリオレフインー酢酸ビニル共重合樹脂を別のポ
リオレフイン樹脂にブレンドすることも本発明の目的を
達成する。

いずれの場合においても酢酸ビニル分量は１重量パーセ
ント以上であることが必要である。

酢酸ビニルが１重量パーセント以下では塩化ビニリデン
層との接着力が不充分となる。

以下さらに本発明を詳細に説明すれば、前記の塩化ビニ
リデン系樹脂は、塩化ビニリデンの５５〜９５重量部と
塩化ビニリデンと共重合可能な単量体（例えば塩化ビニ
ル等）を４５〜５重量部含有子る共重合体からなり、加
えて、１０部以下の熱安定剤、可塑剤を添加した共重合
樹脂である。

一方該樹脂と接着可能な樹脂層は、１重量パーセント以
上の酢酸ビニルを含むエチレンー酢ビ共重合体であるか
、又は１重量パーセント以上の酢酸ビニルを含むポリエ
チレン、ポリプロピレンアイオノマー樹脂等のポリオレ
フイン±樹脂を主構成とするものである。

（酢酸ビニルが１パーセント以下では塩化ビニリデン層
との接着力が不充分となる）一例として、酢酸ビニル含
有率１６パーセントのエチレン酢ビ共重合体を低密度ポ
リエチレン（密度０．９１９）に混合して、全体として
酢酸ビニル含量が５パーセントとなったブレンドポリオ
レフイン系樹脂があげられる。

この積層パリソンを、延伸操作を行なうことなく、押出
機により金型内に導入し、該パリソン内に空気を吹き込
むことにより中空成形する。

塩化ビニリデンー塩化ビニル共重合体は、これを単一に
押出す場合に比較して、隣接するポリオレフイン系樹脂
の発熱のために徐々に冷却され、結晶化度の高いものと
なる。

以下に本発明の実施例および比較例を述べる。

実施例 １ ポリ塩化ビニリデン（ＰＶＤＣ）系樹脂と、エチレンー
酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）を低密度ポリエチレン（
ＬＤ ． ＰＥ ）にブレンドして酢ビ含量５チとし
たものを１５０℃内外で同心円状の２つの口部を有する
ダイスから供給し、内層がＰＶＤＣで外層がＥＶＡ＋Ｌ
Ｄ．ＰＥからなる二層の半溶融状態の管状パリソンをボ
トル金型内でダイレクトブローする。

その際の金型の温度は２０℃であり、金形保持時間は約
１０秒である。

以上のようにして造られた瓶ボトルの物性を表１に示す
。

実施例 ２ 実施例１と異なり、内層をＥＶＡ＋ＬＤ．ＰＥ とし、
外層をＰＶＤＣとした二層パリソンを、実施例１に記載
されたのと同様な方法で、瓶ボトルを成形し、その物性
を表１に列挙する。

実施例 ３ 実施例１と同じ構成の二層パリソン、すなわち内層は
ＰＶＤＣ ，外層をＥＶＡ＋ＬＤ．ＰＥとした半溶融パ
リソンを実施例１の方法とは異なり、金型の温度を５０
℃に保ち、金型保持時間を２５秒として成形する。

以上のようにして得られた２層ボトル瓶の物性を表１に
列挙する。

比較例 １（従来技術） サーリン（デュポン社製・ポリオレフイン系アイオノマ
ー樹脂）と高密度ポリスチレン（ＨＤ．ＰＥ）を２００
℃で二層のダイスに供給し、内層をサーリン、外層をＨ
Ｄ．ＰＥで構成された２層のボトルを成形し、その物性
を表１に示す。

実施例からもわかるように、本発明の容器は内層、外層
のいずれにも、塩化ビニリデン系樹脂が使用できるもの
で、内層の構成としてＥＶＡ＋ＬＤ．ＰＥ（ＥＶＡ含有
率５％）を用いた場合およびＰＶ．ＤＣを用いた場合で
も、共に食品衛生上の問題を生じない。

本発明によれば、二層間の接着強度は極めて高い。

すなわち、塩化ビニリデン層と二層を構成する樹脂層と
して、従来アルコール単位を有するポリオレフイン層（
Ａ）および不飽和カルボン酸をクラフトした変性ポリオ
レフイン層（Ｂ）があげられるが、これ６ （Ａ）（Ｂ
）の塩化ビニリデン層との接着強度と本発明により得ら
れたものの接着強度の比較を表２に示す。

以上のように、本発明による二層間の接着強度は極めて
高く、さらに表１の比較例からもわかるように、ガス不
透過性も極めて優秀である。

本発明によれば、従来は延伸操作等の特殊な前処理を行
っていた塩化ビニリデンの中空成形法において、全く延
伸操作を不要にしたので、中空成形に要する時間を短縮
して速いサイクルで行えるようにした。

しかも、全般的に極めて安価に行える点、本発明は工業
上極めて優れたものである。

なお、第１図は本発明により得られた瓶ボトルの塩化ビ
ニリデン層（内層）の赤外吸収スペクトル（１）を示す
ものであり、従来の単層ボトル瓶の塩化ビニリデンの赤
外吸収スペクトル（２）と比較すれば、７４７ｃｍ’に
おけるＣ−ＣＩ骨格振動の差が明瞭に認められる。

このことは、本発明による複層ボトルの壁を形成する塩
化ビニリデンが結晶性が高いことを示すもので、この結
晶性の良さが、ボトル瓶のガス不透過性および物性の向
上に寄与しているものと考えられるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は瓶ボトルの壁層を形成する塩化ビニリデンの赤
外吸収スペクトルを示す図である。 １・・・・・・本発明によるもの、２・・・・・・従来
のもの。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 塩化ビニリデンを５５から９５重量パーセント含有
   する塩化ビニリデンー塩化ビニル共重合体層と、エチレ
   ンー酢酸ビニル共重合樹脂か、または該エチレンー酢酸
   ビニル共重合樹脂とポリオレフイン樹脂をブレンドした
   樹脂で、いずれの場合にも全体として酢酸ビニル分量を
   １重量パーセント以上になる如く含有するポリオレフイ
   ン系樹脂の層とからなる複層パリソンを、延伸操作を行
   なわずに押出機により金型内に導入し、該パリソン内に
   空気を吹き込むことにより中空成形する多層中空成形容
   器の製造方法。