JPS6040967B2 - 多層延伸プラスチツク容器の製造法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ガスバリャ性のすぐれた延伸プロピレン重合
体製容器の製造法に関する。

プロピレン重合体製容器の製造法の一つとして延伸ブロ
ー成形法がある。

この方法は先ず成形されたパリソンを冷却してその融点
以下の温度で管軸方向に延伸し、延伸後のまたは延伸中
のパリソンをその融点以下の温度でブロー成形に附すも
のである。この延伸ブロー成形法によって、器壁が重合
体層からなる容器が製造され、器壁重合体が延伸された
ものであることに相当して外観、剛性、低温強度等の点
ですぐれた製品が得られる。しかしながら、このプロピ
レン重合体は、十分なガスバリャ性がなく、従って、内
容物の酸化を特に防止する必要のある食品や医薬品など
の包装容器の素材として不適である。この欠点を補うた
めに、ガスバリャ性が優れたエチレンビニルアルコール
共重合体層を、プロピレン重合体層に積層して延伸ブロ
ー成形を行うプロピレン重合体製容器を製造する方法が
種々提案されている。例えば、プロピレン重合体層とエ
チレンービニルアルコール共重合体層からなる多層パリ
ソンをプロピレン重合体の二次転移温度以上融点以下の
温度の１４０〜１７０００に調整してこのパリソンを軸
方向に延伸した後、ブロー成形をする延伸積層容器の製
造法である。

しかしながら、エチレンービニルァルコール共重合体の
延伸性が極めて悪いことから、プロピレン重合体のみを
考慮した温度に延伸温度を調整するだけでは、良好な成
形品を製造することはできない。この方法に対し、エチ
レンービニルアルコール共重合体をも考慮した延伸ブロ
ー法が、すなわち、エチレンビニルアルコール共重合体
層がその融点以上にありかつプロピレン重合体層が融点
以下にある温度、例えば１６０〜１７２℃で多層パリソ
ンを延伸する方法がある。しかしながら、この方法では
、プロピレン重合体の融点がエチレンービニルアルコー
ル共重合体の融点と同等ないし高くなくてはならないた
めに、プロピレン重合体は透明性の良くないブロピレン
単位重合体であるか、プロピレン重合体への配合物もプ
ロピレン重合体の融点を低下せしめない樹脂に限定され
る。従って、透明性の良好な延伸プロピレン重合体製容
器を製造することができない。ところで、透明性の優れ
たプラスチック素材としてエチレン含量１〜１５モル％
程度のプ。ピレン−エチレンランダム共重合体がある。
しかしながら、このプロピレンーェチレンランダム共重
合体の融点が比較的低いために、その延伸最適温度もお
のずと低下し、例えば１５２〜１５６ｏｏ程度であるの
に対して、エチレンービニルアルコール共重合体の融点
は一般的にプロピレンーェチレンランダム共重合体のそ
れより高く、例えば１６５こＣ程度である。従って、プ
ロピレンーェチレンランダム共重合体とエチレンービニ
ルアルコール共重合体との延伸温度条件が一致せず、エ
チレンービニルアルコール共重合体からなるガスバリャ
層を上記のプロピレンーェチレンランダム共重合体層に
積層したパリソンから、延伸ブロー法により延伸積層容
器を製造することはできない。本発明の目的は、上述の
問題点を解決して外観、剛性、および低温強度等のみな
らずガスバリャ性ならびに透明性も良好な延伸プロピレ
ン重合体製容器を製造する方法を提供することである。

本発明者らは、プロピレン−エチレンランダム共重合体
からなるプロピレン重合体層にアィソタチックホモポリ
プロピレンを含有せしめれば、プロピレン重合体層の延
伸最適温度を高めてガスバリャ層（エチレンービニルア
ルコール共重合体）の延伸最適温度に一致させることが
でき、しかもプロピレンーェチレンランダム共重合体の
透明性が維持されることを見し、出し、本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明の延伸プロピレン重合体
容器の製造法は、エチレン含量２０モル％までのプロピ
レンーェチレンランダム共重合体を主成分として含有す
るプロピレン重合体の二層と、その間に介在するエチレ
ンービニルアルコール共重合体層とを含む積層パリソン
を多層熱間出し１こよって成形し、次いでこのパリソン
を所定の延伸温度に調整して管軸方向に伸し、延伸後の
もしくは延伸中のパリソンをブロー成形することからな
る多層延伸プラスチック容器を製造する方法であって、
プロピレン重合体層に対し５の重量％までのアイソタチ
ックホモポリブロピレンをプロピレン重合体層に含有せ
しめてプロピレン重合体層の延伸最適温度をエチレンー
ビニルアルコール共重合体層の延伸最適温度に高めるこ
とを特徴とするものである。

本発明の製造法によって、次の効果が得られる。ａ プ
ロピレンーヱチレンランダム共重合体を主成分とする延
伸プロピレン重合体を容器の内外層とするので、強度、
美観などのほかに透明性のすぐれた容器を製造すること
ができる。

ｂ アイソタチツクホモポリプロピレンとプロピレンー
ェチレンランダム共重合体とのブレンド比を調整するこ
とによってプロピレン重合体層の延伸最適温度をエチレ
ンーピニルアルコール共重合体層の延伸最適温度範囲内
に入れることができるので、ガスバリャ性のすぐれた多
層延伸プラスチック容器を製造することができる。

以下、本発明を具体的に説明する。本発明においてプロ
ピレン重合体層の主成分として、プロピレンーェチレン
ランダム共重合体が用いられる。

このエチレン含量は、２０モル％以下、好ましくは１〜
１０モル％、特に好ましくは１〜５モル％である。これ
は、エチレン含量の最少限度値未満でプロピレン重合体
層の透明性が低下し、他方最大限度値を超える範囲でプ
ロピレン重合体層の機械的強度や耐熱性が低下するため
である。本発明におけるプロピレン重合体層には、分子
構造が規則的に配列したアィソタチックホモポリプロピ
レンがブレンドされる。

アイソタチツクホモポリマーの含量は、このホモポリプ
ロピレンとプロピレンーェチレンランダム共重合体との
合計量に対し５の重量％以下、である。この範囲内にお
いてアィソタチツクホモポリブロピレン含量は、適宜に
変えることができる。しかしながら、本発明の目的に沿
って、ガスバリヤ層であるエチレンービニルアルコール
共重合体層の延伸温度範囲内にプロピレン重合体層の延
伸最適温度が入るように、アィソタチックホモポリプロ
ピレンの含量を調整することを望ましい。アィソタチツ
クホモポリブロピレン含量を増大させるプロピレン重合
体層の延伸最適温度が上昇し、ガスバリヤ層（エチレン
ービニルアルコール共重合体層）の延伸成形条件に適す
る高さに近ずく一例を下表に示す。

第１表 ＊１ プロピレンーェチレンランダム共重合体とアイソ
タチツクホモポリプロピレンとの合計量に対する重量％
。

＊２ エチレンービニルアルコール共重合体の融点上表
から明らかなように、アィソタチックホモポリプロピレ
ン（融点１６８℃）のブレンドーこよりプロピレン重合
体層の延伸最適温度が高まり、エチレンービニルアルコ
ール共重合体の融点（１６５℃）附近であるその延伸最
適温度範囲に接近することがわかる。

本発明において用いられるエチレンービニルアルコール
共重合体は、ガスバリヤ層とて使用される。

エチレンービニルアルコール共重合体の機械的性質や熱
的性質などが本発明の方法により製造される積層容器の
用途に適するように、この共重合体の組成を整すること
ができる。好適な組成は、ビニルアルコールが５０〜７
５モル％を含有するものであり、この最少限度未満では
ガスバリャ性が低下し、他方最大限度を超えると押出し
成形性が劣化する。本発明にえけるブロピレン重合体層
ならびにガスバリャ層中に、それぞれ公知の種々のプラ
スチック副材料を本発明の目的に反しない限り配合ある
いは、添加することができる。

その副材料には、例えば、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、
充てん剤、着色剤、熱安定剤、および芳香剤などがある
。次いで、本発明の製造方法を説明する。

まず、上述したプロピレン重合体の二層とその間に介在
するエチレンーピニルアルコール共重合体層とからなる
積層構造の器壁を持つパリソン（筒状物）を多層熱間押
出しにより成形する。この押出しは、プロピレン重合体
およびエチレンービニルアルコール共重合体をそれぞれ
押出機で溶融化し、ダイスの先端で合流させる既知の積
層パイプ成形装置で行うことができる。次いで、必要に
応じて切断、成形などの加工を行う。成形された積層パ
リソンは、所定の延伸成形温度条件に調整される。この
調整は通常、オープンなどの加熱装置内にパリソンを導
入して行うことができる。また、延伸成形温度は、プロ
ピレン重合体層の延伸最適温度とエチレンービニルアル
コール共重合体層の延伸最適温度とを考慮して決められ
るが、本発明によって延伸最適温度が後者の延伸最適温
度範囲内に高められているのでこの延伸最適温度である
ことが望ましい。所望の延伸温度に調整された積層パリ
ソンは、直ちにパリソンの管軸方向に延伸される。延伸
は公知の装置を用いて行い、また、延伸倍率などはパリ
ソンの厚さならびに容器の用途などにより決めることが
できる。延伸後もしくは延伸中に、金型にはさまれたパ
リソン内部に加圧空気などを吹き込んで、パリソンを金
型内面に密着するまで膨張させて賦形しかつ冷却するブ
ロー成形を行う。本発明の方法で製造された多層延伸プ
ラスチック容器を図面によって説明する。

第１図は、本発明による多層延伸プラスチック容器の一
実施例の一部拡大切欠側面図である。この例の容器１で
は器壁が内外層２および３と中間層４とからなっており
、内外層が延伸プロピレス重合体からなり、中間層４が
エチレンービニルアルコール共重合体からなる。本発明
の方法で製造される容器は、第１図で示した多層延伸プ
ラスチック容器の積層構造に限定されず、本発明の範囲
内において変形することができる。

たとえば、第２図に示すような積層構造である。第２図
は、本発明の方法で製造された多層延伸プラスチック容
器の他の例の器壁の一部拡大断面図である。なお、容器
本体の形状は、たとえば第１図のそれと同じである。第
２図における積層構造は、内外層延伸プロピレン重合体
層２および３とエチレンービニルアルコール共重合体層
４との間に、エチレンービニルアルコール共重合体より
も高くない接着材層５および６が介在するものである。
接着材層５および６は、層２と層４との間の、および層
３と層４との間に接着性を高めるためのものであって、
接着材樹脂はプロピレン重合体層とエチレンービニルア
ルコール共重合体層との両方に接着性が良好なものが使
用される。また、本発明の精神からいつて、接着材樹脂
はエチレンービニルアルコール共重合体よりも融点が高
いものであってはいけない。このような接着村樹脂の具
体例を挙げれば、たとえばアィオノマ−、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、無水マレィン酸変性ポリオレフィン
等（特公昭５２−１１２６３号明細書参照）のカルボニ
ル基含有熱可塑性重合体層がある。薮着材層を第２図に
示すような積層構造体中に設けるには、プロピレン重合
体とエチレンービニルアルコール共重合体層との押出し
と同時に、接着材樹脂を多層材樹脂を多層熱間押出し‘
こより積層することができる。なお、第２図は接着材層
を二層設けた例であるが、いずれか一層だけの場合もあ
りうることはいうまでもない。このような積層構造体の
厚さは容器の用途その他の観点から設定することができ
る。選定された厚さのうち、その１／３〜１／５０がエ
チレンービニルアルコール共重合体層であり、その１′
１０〜１′３００が接着材層であることが好適である。
本発明の方法により製造される容器は、図示したピン状
のものの他に、たとえばカップ状のものであってもよい
。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の方法で製造される多層延伸プラスチ
ック容器例の一部拡大切欠側断面図であり、第２図は、
世の例の器壁の一部拡大断面図である。 １・・・・・・容器、２および３・・・・・・延伸プロ
ピレン重合体層、４・・・・・・エチレンービニルアル
コール共重合体層、５および６…・・・接着材層。 豹〆図 努ュ図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ エチレン含量２０モル％までのプロピレン−エチレ
   ンランダム共重合体を主成分として含有するプロピレン
   重合体の二層と、その間に介在するエチレン−ビニルア
   ルコール共重合体層とを含む積層パリソンを多層熱間押
   出しによつて成形し、次いでこのパリソンを所定の延伸
   温度に調整して管軸方向に延伸し、延伸後のもしくは延
   伸中のパリソンをブロー成形することからなる多層延伸
   プラスチツク容器を製造する方法であつてプロピレン重
   合体層に対し５０重量％までのアイタクチツクホモポリ
   プロピレンをプロピレン重合体層に含有せしめてプロピ
   レン重合体層の延伸最適温度をエチレン−ビニルアルコ
   ール共重合体層の延伸最適温度に高めることを特徴とす
   る多層延伸プラスチツク容器の製造法。 ２多層熱間押出しによつて、プロピレン重合体層とエチ
   レン−ビニルアルコール共重合体層との間にエチレン−
   ビニルアルコール共重合体よりも融点が高くない接着材
   層が介在する積層パリソンを成形する。 特許請求の範囲第１項記載の多層延伸プラスチツク容器
   の製造法。３プロピレン−エチレンランダム共重合体の
   エチレン含量が１〜１０モル％でありかつエチレン−ビ
   ニルアルコール共重合体のビニルアルコール含量が５０
   〜７５モル％である。 特許請求の範囲第１項記載の多層延伸プラスチツク容器
   の製造法。