JPS5850112Y2 - 常時接触式クラツチのケ−ブル式クラツチレリ−ズ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はクラッチのダイヤフラムスプリングとレリーズ
ベアリングとが常時接触しており、ケーブルを介してク
ラッチペダルの運動がレリーズフォークへ伝達される常
時接触式クラッチのケーブル式クラッチレリーズ装置に
関する。

例えば機関とトランスミッションとの間に設けられるク
ラッチでは、インチケーブルの長さが固定されているた
めにクラッチディスクが摩耗すると、クラッチペダルの
遊びが変化するという不具合が生じる。

本考案の目的は、クラッチディスクの摩耗に関係なく、
クラッチペダルの遊びを一定に維持することができるよ
うに自動調整される常時接触式クラッチのケーブル式ク
ラッチレリーズ装置を提供することである。

次に図面を参照して本考案の実施例を説明する。

第１図においてフライホイール１は機関（図示せず）の
クランク軸２に固定され、トランスミッション（図示せ
ず）の入力軸３にパイロットベアリング４を介して相対
回転可能に支持されている。

クラッチカバー５はボルト６によりフライホイール１に
固定されているとともに、ダイヤフラムスプリング７０
所定個所をピボットリング８により担持している。

プレッシャプレート１１は外周部の所定個所においてス
トラップ（図示せず）を介してクラッチカバー５に支持
され、さらにリトラクテイングスプリング１２によりダ
イヤフラムスプリング７の外周縁と結合しでいる。

クラッチディスク１３は、フライホイール１とプレッシ
ャプレート１１との間に配置され、ハブ１４に固定され
、ハブ１４は軸３にスプライン嵌合している。

軸３に整合して突出形成されているベアリングリテーナ
１５０円筒部外周には、ダイヤフラムスプリング７の中
央部分に当接作用するクラッチレリーズベアリング１６
を装着したクラッチレリーズベアリング・・ブ１７が軸
方向−退動自在に備え付けられる。

レリーズフォーク１８は一端において軸１９の周りに揺
動可能に支持され、中間においてレリーズハブ１Ｔに結
合され、他端においてインナケーブル２０を結合されて
いる。

インナケーブル２０を被覆するアウタケーブル２５は、
クラッチハウジング２６に取付げられたブシュ２７に一
端において当接し、ダッシュパネル２８に取付げられた
ブシュ２９に他端において当接する。

クラッチペダル３３は、下端にペダルパッド３４をもつ
第１のクラッチペダル部材３５と、第２のクラッチペダ
ル部材３６とを備え、第１、および第２のクラッチペダ
ル部材３５．３６はともに、ボデーに固定されているペ
ダルボス３７に揺動可能に支持される。

引張ばねとしての戻しばね３８は、両端をそれぞれ第１
のクラッチペダル部材３５とボデー３９とに固定され、
第１のクラッチペダル部材３５を戻り方向４０へ付勢す
る。

同様に引張ばねとしてのばね４１は、両端をそれぞれ第
１および第２のクラッチペダル部材３５．３６に固定さ
れ、第２のクラッチペダル部材３６を戻り方向４０へ付
勢する。

突出量を調整可能なペダルストッパ４５は、ボデー３９
に固定され、第１および第２のクラッチペダル部材３５
．３６のそれぞれに当接可能であり、両者の戻り運動を
制限する。

扇形部材４６は、ペダルボス３７に揺動可能に支持され
、一方の周縁にケーブルガイド４７を設げられ、他方の
周縁にラチェット４８を形成されている。

インナケーブル２０はダッシュパネル２８を貫通してケ
ーブルガイド４７のブ端４９に留められている。

爪部材５３は、ピン５４を介して第２のクラッチペダル
部材３６に揺動可能に支持され、ラチェット４８に係合
可能な爪５５を一端に設けられている。

第２図に爪部材５３が拡大して示されているように、爪
部材５３の他端６１が自由状態にある場合には、インナ
ケーブル２０がクラッチ側へ引かれる方向へラチェット
４８が移動しようとするとき、すなわちラチェット４８
が矢印５６の方向へ移動しようとするとき、ラチェット
４８から爪部材５３へ作用する力Ｆが、爪５５に対する
ラチェット４８の相対移動を許容する方向へ爪部材５３
を揺動させる力として爪部材５３に作用するように、ピ
ン５４の位置は選択されている。

再び第１図においてばね５９は、ピン５４に巻回して取
付けられ、爪部材５３を付勢して爪５５をラチェット４
８に接触した状態に常時維持する。

爪部材５３の他端６１に当接可能である当接ピン６０は
、第１および第２のクラッチペダル部材３５．３６がと
もにペダルストッパ４５に当接しているときには、爪部
材５３の他端６１との間に所定寸法ａの間隙６５が存在
するようにその位置を選択されて、第１のクラッチペダ
ル部材３５に固定されている。

引張ばね６２は、両端をそれぞれ扇形部材４６の耳部６
３と第１のクラッチペダル部材３５の耳部６４とへ固定
されて、インナケーブル２０のたるみを防止する。

ペダルパッド３４が踏込まれると、第１のクラッチペダ
ル部材３５はペダルボス３７の周りに踏込方向６７へ回
転する。

第１のクラッチペダル部材３５の踏込方向６７への踏込
運動にもかかわらず、ばね４１の引張力により第２のク
ラッチペダル部材３６は初期的にはペダルストッパ４５
に当接した状態を維持される。

したがって第１および第２のクラッチペダル部材３５，
３６の間に相対的な移動が生じる。

こうして第１のクラッチペダル部材３５の踏込量が所定
の遊びｂに達する時（第３図）、爪部材５３の他端６１
に対する当接ピン６０の相対移動量が所定寸法ａに達し
て当接ピン６０は他端６１に当接して爪部材５３へ図に
おいて時計方向への回転モーメントを付与するので、爪
５５とラチェット４８とは互いに一体的に固定される。

爪５５とラチェット４８との互いに一体的な固定後は、
第１のクラッチペダル部材３５の踏込運動に伴って第１
．第２のクラッチペダル部材３５．３６および扇形部材
４６はペダルボス３７の周りを一体的に揺動し、クラッ
チペダル３３の踏込量の増大につれてインナケーブル２
０はクラッチペダル３３側へ引かれ、これによリレリー
ズベアリング１６がダイヤフラムスプリングγの中央部
分をフライホイール１側へ押し、プレッシャプレート１
１がフライホイール１から離れてクラッチは解放状態と
なる。

爪５５とラチェット４８との互いに一体的な固定は、爪
部材５３の他端が第１のクラッチペダル部材３５に一体
的な当接ピン６０により付勢されることにより維持され
、第１のクラッチペダル部材３５の踏込運動中は、この
付勢が解除されることはない。

ラチェット４８と爪５５とが係合および解放（爪５５が
ラチェット４８から離れること。

）することによりインナケーブル２０とクラッチペダル
３３との間の運動伝達が有効および無効になる形式のラ
チェット機構では、爪５５とラチェット４８とが係合し
た後は、ラチェット４８側からの反力が爪５５へ及ぼさ
れ、ラチェット４８および爪５５の形状、ならびに反力
とピン５４との位置関係によっては反力が、爪５５をラ
チェット４８から外すような回転モーメントを爪部材５
３へ及ぼす。

したがって通常のラチェット機構では、踏込運動中は第
４図に示されるように、ラチェット４８からの反力Ｇが
、爪５５とラチェット４８との係合を促進するような（
第４図では時計方向）回転モーメントとして爪部材５３
に作用するように、すなわちセルフロックが生じるよう
に、ラチェット４８および爪５５０寸法、形状等を考慮
する必要がある。

本考案では、反力Ｇが爪部材５３に第１図および第３図
において反時計方向の回転モーメントとして爪部材５３
に作用する場合にも、当接ピン６０により外れ方向への
爪部材５３０回転は阻止されるので、軸５４を回転中心
とするセルフロックのための構造を省略することができ
る。

さらに、本考案でばばね５９により爪５５はラチェット
４８に接触した状態を維持されて爪５５とラチェット４
８との間に係合、解放が繰返されることがないので、爪
５５およびラチェット４８の摩耗防止上、有利である。

クラッチペダル３３の戻り運動において、最初の期間で
は爪５５とラチェット４８との互いに一体的な固定がな
お維持されているので、第１、第２のクラッチペダル部
材３５．３６および扇形部材４６はペダルボス３７の回
りに戻り方向４０へ一体的に揺動し、レリーズベアリン
グ１６はフライホイール１から離れる方向へ移動する。

第２のクラッチペダル部材３６は第１のクラッチペダル
部材３５より戻り方向４０へ前述の遊びｂに相当する角
度Ｃ（第３図）だけ進んでいるので、第２のクラッチペ
ダル部材３６は第１のクラッチペダル部材３５より先に
ペダルストッパ４５に当接する。

第１のクラッチペダル部材３５へ戻しばね３８から作用
する回転モーメントはばね４１からのそれより大きいの
で、第１のクラッチペダル部材３５は戻しばね４１に抗
して戻しばね３８によって引かれ、遊びｂだげ移動して
からペダルストッパ４５に当接する（第１図）。

遊びｂに相当する期間の第１のクラッチペダル部材３５
、すなわチ当接ピン６０の移動により、当接ピン６０は
爪部材５３の他端６１から寸法ａだげ離れ、こうしてク
ラッチペダル３３の最終位置ではクラッチペダル３３と
インナケーブル２０との結合は外されるとともに、第２
図において説明したような爪５５に対するラチェット４
８の相対移動を許容する爪部材５３の揺動が可能となる
。

クラッチディスク１３の摩耗量の増大に連れてレリーズ
ベアリング１６はフライホイール１から離れる向きへ軸
線方向へ移動しようとし、これはクラッチ側へのインナ
ケーブル２０の引張力を増大させるので、この引張力が
所定値以上に達すると爪部材５３は揺動してラチェット
４８が爪５５に対して第２図の方向５６へ相対移動し、
ラチェット４８への爪５５のかみ合い位置は変更される
。

こうしてレリーズベアリング１６はクラッチディスク１
３の摩耗量に応じてフライホイール１から離れることが
でき、クラッチディスク１３の摩耗にかかわらず、クラ
ッチ係合時ではダイヤフラムスプリングＴによる適切な
押付力が維持される。

ラチェット４８への爪５５のかみ合い位置の変更はイン
ナケーブル２０の有効寸法の増大と等価な効果を有する
とともに、爪部材５３の他端６１と当接ピン６０との間
隙は、クラッチディスク１３の摩耗に関係なく所定寸法
ａに維持されるので、クラッチペダル３３の遊びは常に
所定寸法すに維持される。

このように本考案によれば、ラチェット４８と爪５５と
の接触状態が常時維持されており、クラッチペダル３３
の戻り位置（第１図の位置）では、クラッチペダル３３
とインナケーブル２０との結合が外されているとともに
、爪５５に対するラチエツト４８の相対移動が許容され
る。

こうしてラチェット４８への爪５５のかみ合い位置はク
ラッチディスク１３の摩耗量に関係して変化し、これは
インチケーブル２０の長さ調整と等価な効果を有するの
で、クラッチペダル３３の遊びはクラッチディスク１３
の摩耗に関係なく所定寸法すに維持される。

本考案によれば、ラチェット４Ｂと爪５５とは常に接触
状態に維持されていて通常のラチェット機構のようにラ
チェット４８と爪５５との係合および解放が繰返される
ことがないので、ラチェット４８および爪５５の摩耗を
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はクラッチペダルの解放時において本考案の実施
例を示す図、第２図は爪部材の揺動支持点の位置を詳細
に示す図、第３図はクラッチペダルが遊び分だけ踏込ま
れた時の各要素間の位置関係を示す図、第４図は本考案
では省略されるセルフロック構造を示す図である。 １・・・・・・フライホイール、７・・・・・・ダイヤ
フラムスフリング、１１・・・・・・プレッシャプレー
）、１３・・・・・・クラッチディスク、１６・・・・
・・レリーズベアリング、１Ｂ・・・・・・レリーズフ
ォーク、２０・・・・・・インナケーブル、３３・・・
・・・クラッチペダル、３４・・・・・・ペダルバット
、３５・・・・・・第１のクラッチペダル部材、３６・
・・・・・第２のクラッチペダル部材、３１・・・・・
・ペダルボス、３８・・・・・・戻しばね、４０・・・
・・・戻り方向、４１．５９・・・・・・ばね、４５・
・・・・・ペダルストッパ４６・・・・・・扇形部材、
４８・・・・・・ラチェット、５３・・・・・・爪部材
、５４・・・・・・ピン、５５・・・・・・爪、６０・
・・・・・当接ピン ６１・・・・・・他端。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フライホイールとプレッシャプレートとの間に配置され
   るクラッチディスク、プレッシャプレートを介してクラ
   ッチディスクをフライホイールへ押圧するダイヤフラム
   スプリング、ダイヤフラムスプリングに常時接触してい
   るレリーズベアリング、レリーズベアリングの軸方向位
   置を操作するレリーズフォーク、およびレリーズフォー
   クヘ一端において結合しているケーブルを備える常時接
   触式クラッチにおいて、下端にペダルパッドを有して揺
   動可能に支持される第１のクラッチペダル部材、第１の
   クラッチペダル部材の揺動軸線の周りに揺動可能となる
   ように支持される第２のクラッチペダル部材、第１のク
   ラッチペダル部材を戻り方向へ付勢する第１のばね、第
   ２のクラッチペダル部材を戻り方向へ付勢する第２のば
   ね、第１および第２のクラッチペダル部材の戻り運動を
   制限するストッパ、ラチェットを有しておりかつケーブ
   ルの他端を結合されて第１のクラッチペダル部材の揺動
   軸線の周りに揺動可能となるように支持されるラチェッ
   ト部材、ラチェット部材のラチェットに係合可能な爪を
   一端に有しかつ第１と第２のクラッチペダル部材がとも
   にストッパに当接しているときに爪に対するラチェット
   の相対移動が可能となるように支持点を選択されて第２
   のクラッチペダル部材に揺動可能に支持される爪部材、
   爪部材を付勢して爪部材の爪をラチェット部材のラチェ
   ットに接触した状態に常に維持する第３のばね、および
   第１と第２のクラッチペダル部材がともにストッパに当
   接しているときには爪部材の他端との間に所定の間隔が
   存在するように位置を選択されて第１のクラッチペダル
   部材に設けられかつ爪部材の他端に当接可能である当接
   部材を備えることを特徴とする、常時接触式クラッチの
   ケーブル式クラッチレリーズ装置。