JPS5840696B2 - ガス感応素子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は接触燃焼形のガス感応素子に関する。

一般にガス感応素子はガス漏えい警報器等に用いられ最
も重要な素子であるから、微量のガスに対しても応動す
る高い検出感度と、長期間の使用においてその感度が劣
化しない品質とが要求される。

従来のガス感応素子では、清浄な空気中においては１年
間程度では検出感度の低下は起こらないが、これが水蒸
気を含む様々なガスのある高温高湿の雰囲気、例えば家
庭の台所等に設置される場合には、塩化水素、硫化水素
、亜硫酸ガス等の・・ロゲン系、硫黄系のガスにより触
媒が被毒し、検出感度が極めて短時間のうちに劣化して
本来のガス検知能力を失ってしまうという欠点があった
。

本発明はこのような欠点を解消し、特にメタンガス等の
可燃性ガスに対する検出感度があらゆる環境の悪条件下
においても大きく劣化することがなく、長期間にわたっ
て安定した検出感度を維持することを目的としたガス感
応素子で以下にその一実施例に基づいて説明する。

第１図はガス感応素子の一部破断図で、白金等の高温で
酸化しにくい金属からなる熱線条１の外側を、コランダ
ム型アルミナ、シリカ等の耐熱性絶縁剤で固結して絶縁
層２を形成し、この絶縁層２の外面に、スピネル型アル
ミナを主成分とし、数多のパラジウム、白金等の貴金属
粉が混合された触媒層３で覆って構成したもので、かつ
この触媒層３０重量を、絶縁層２と触媒層３との総重量
に対して４０重量φ以上８０重量幅以下の範囲内とした
ものである。

上記の実施例を製造手順にそってさらに詳記すると、耐
熱性絶縁剤の一種であるコランダム型アルミナ粉と水ガ
ラスを適量混合した溶液を熱線条１に円柱状に塗布し、
酸素を含む雰囲気中で２００℃ないし５００℃で熱処理
し、多孔質で耐熱性の絶縁層２を形成させる。

本実施例では絶縁層２の形成にコランダム型アルミナを
使用したがシリカ等の他の耐熱性絶縁剤あるいはこれら
の混合物を使用してもよい。

つづいて、塩化パラジウム（ＰｄＣＩ２）の２０係水溶
液と塩化白金酸（Ｈ２ＰｔＣＩ６・６Ｈ２０）の２０％
水溶液を作り、これらを４：１の容量比で混合したのち
、さらにポットでスピネル型アルミナと混ぜる。

このとき混合の割合をスピネル型アルミナ粉１ｔ？に対
して溶液３ｃｃとする。

そしてこの混合物を蒸発皿に移して乾燥させ粉末を取り
出す。

この粉末１グに対して２係ニトロセルローズ・酢酸ブチ
ル溶液３ＣＣを加えてよく攪拌してペースト状にしたも
のを適当量絶縁層２の外面に塗布した後、酸素を含む雰
囲気中２００℃で焼成し、その後水素気流中４００℃で
処理して還元し、再び酸素気流中６００℃で処理を行な
うと活性化された触媒層３が形成される。

以上のようにして作ったガス感応素子と抵抗３個とでブ
リッジ回路を構成し、このブリッジ回路に対する印加電
圧を１．８■としたときの、各種可燃性ガス濃度と出力
電圧との関係を第４図に示す。

図から明らかなように、ガス濃度に応じて出力電圧が大
きく変化していることがわかる。

なお上記実施例では、ＰｄＣ■２？Ｈ２ＰｔＣ■６・Ｈ
２Ｏといった塩を使用し、水素気流中で金属に還元処理
した後酸素雰囲気中で加熱処理して活性化させて触媒層
を形成したが、かわりに、酸化パラジウムや白金黒を使
用して、スピネル型アルミナと混合してもよく、この場
合には水素気流中での還元処理工程を省略して、容易に
同様なガス感応素子を作成できる。

また従来のガス感応素子では検出感度から触媒層の重量
が絶縁層と触媒層の総重量に対して２０重重量上下と非
常に少ないものであった。

このような従来の素子では、塩化水素ガスを含む雰囲気
中で連続動作させると、第２図の破線４に示されるよう
に数十時間のうちに出力が大きく低下する。

なおこの第２図は初期値を１００とした相対出力で示し
である。

即ちこのような従来のガス感応素子では、たとえば一般
家庭の台所のように、種々の雑ガスが存在しかつ高温高
湿となる場所に設置してプロパンガスの如き特定の可燃
性ガスを精度高く安定的に検出するには不適当であるこ
とが判る。

これに対し、本実施例では触媒層３０重量を絶縁層２と
触媒層３の総重量に対して４０重重量風上８０重量多以
下にしたもので、上記塩化水素ガス雰囲気中で長時間連
続通電してもその相対出力は第２図の実線５のように極
端には低下しないことが確認された。

さらに詳細に述べるならば、触媒層の重量比率を変えた
素子を作製し、それぞれを塩化水素ガスを含む雰囲気中
で２０時間連続動作させた後の、イソブタンを０．２％
含む空気中における出力電圧（初期値を１００とする相
対値）は、第５図Ａに示すように、４０重量悌以上のと
きに出力低下が少なく、寿命特性が安定している。

一方、触媒層の重量比率の異なる素子それぞれを用いて
、前述のようにしてブリッジ回路を構成し、イソブタン
ガスを０．２％含む空気中でその出力電圧を測定したと
ころ、第５図Ｂに示すように、出力電圧は触媒層が２０
重重量子顕著となり、８０重重量上超えると急激に低下
し、感度が悪くなる。

従って触媒層３０重量は４０重量係ないし８０重重量上
適当である。

第３図には、第２図のような悪条件下ではなく通常の室
内で従来の相対出力と本実施例のものを比較した図を示
す。

従来のガス感応素子では破線６に示すように１００時間
経過後からその出力が急激に低下している。

これに対し、本実施例のガス感応素子では実線７に示す
ように１００００時間後でもほとんど低下せずガス検出
感度の劣化はみられない。

本実施例によれば、長期間にわたってガス検出感度が劣
化せず、また水蒸気や硫黄ガス等のある悪条件下でも従
来に比べて非常によい性能を有しており、ガス漏えい警
報器や防爆システムの検知器等に用いて非常に高い信頼
性を得ることができる。

以上のように本発明は、金属性線条を耐熱性絶縁層で覆
い、さらにその外面を貴金属の触媒剤を含むスピネル型
アル□す主成分の触媒層で覆っているので、触媒層にコ
ランダム型アルミナやＳｉＯ２、ガラスなどを使用した
場合に比べて高温度下で使用して寿命特性が安定してお
り、またこの触媒層の重量を、上記耐熱性絶縁層と触媒
層との総重量に対して４０重量係以上８０重量φ以下と
なしたことにより、長時間の使用においてもガス検知感
度が劣化せず、非常に信頼性の高いガス感応素子を得る
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のガス感応素子の一実施例を示す一部破
断斜視図、第２図、第３図は従来のガス感応素子との比
較のために使用経過時間に対する相対出力を示した図、
第４図は本発明にかかる感応素子の各種可燃性ガス感応
特性を示す図、第５図Ａは触媒層と耐熱性絶縁層との合
計重量に対する触媒層の重量比率と特性劣化との関係を
示す図、同図Ｂは同じく出力電圧との関係を示す図であ
る。 １・・・・・・熱線条、２・・・・・・絶縁層、３・・
・・・・触媒層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属製線条を耐熱性絶縁層で覆い、さらにその外面
   を貴金属の触媒剤を含むスピネル型アルミナ主成分の触
   媒層で覆い、かつこの触媒層の重量を上記耐熱性絶縁層
   と触媒層との総重量に対して４０重量係以上８０重量係
   以下となしたことを特徴とするガス感応素子。