JPH11132980A - 炭化水素ガス検知素子 - Google Patents

炭化水素ガス検知素子

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JPH11132980A
JPH11132980A JP29984297A JP29984297A JPH11132980A JP H11132980 A JPH11132980 A JP H11132980A JP 29984297 A JP29984297 A JP 29984297A JP 29984297 A JP29984297 A JP 29984297A JP H11132980 A JPH11132980 A JP H11132980A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一般にガス検知の際の応答特性に優れた金属
酸化物半導体と言われている酸化インジウムを選択し、
低濃度ガス検知が可能で、かつ、湿度依存性が低いガス
検知素子を提供する。 【解決手段】 酸化インジウムを主材とする感応層2を
備えた炭化水素ガス検知素子であって、金属酸化物燃焼
触媒を含有した被覆層3を前記感応層に対して被覆形成
してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化インジウムを
主材とする感応層を備えた炭化水素ガス検知素子に関
し、特に熱線型半導体式ガス検知素子が有効に用いられ
る。ここにいう熱線型半導体式ガス検知素子とは、白金
線コイル等の貴金属線材に金属酸化物半導体を被覆焼成
して形成してあるガス検知素子を指す。
【0002】
【従来の技術】従来、これらの汎用ガス検知素子として
は、通常、酸化スズ半導体を主材とする金属酸化物半導
体を、白金等の貴金属線材に被覆焼成して構成してあ
る、いわゆる熱線型半導体式ガス検知素子が用いられる
(図1参照)。このように形成したガス検知素子は、酸
化スズ半導体の持つ性質から低濃度ガス検知に極めて高
い特性を有すること、貴金属線材上に単に焼成させただ
けの単純構造から、小型化が容易でかつ小型小容量に基
づき吸放熱応答特性に優れる点から、ガス応答性に優れ
る、小電力で稼働することが出来る等のために、汎用さ
れているものであり、その検知原理は、以下のように説
明される。図15に示すように、ガス検知素子に電圧を
かけたときに、貴金属線材と金属酸化物半導体とが、並
列に接続された抵抗として働く形態をとる。一方、前記
金属酸化物半導体は、被検知ガスが金属酸化物半導体に
接触したときに、その金属酸化物半導体の表面で被検知
ガスに起きる化学反応により、電子の授受を行うことで
見かけの電気抵抗が変化するという性質を持つ。ガス検
知素子は、貴金属線材と金属酸化物半導体とが並列接続
された合成抵抗体として働いているから、その合成抵抗
値が、前記ガス検知素子の前記金属酸化物半導体に対す
る被検知ガスの接触による化学反応に応じて変化する事
になる。また、前記抵抗値の変化は、化学反応に伴う電
子の授受に基づいているから、化学反応量は被検知ガス
の濃度に基づいて決定されるため、前記抵抗値の変化も
被検知ガスの濃度に基づいて決定されることになる。つ
まり、ガス検知素子全体としての抵抗値が、前記被検知
ガスの濃度に基づいて変化することを利用すれば、その
ガス検知素子の抵抗値の変化を測定することによって、
そのガス検知素子に接触した被検知ガスの濃度を測定す
ることができるようになるのである。ちなみに、前記貴
金属線材と、前記金属酸化物半導体とは、抵抗体同士を
並列に接続した関係にあるから、前記貴金属線材と、金
属酸化物半導体との抵抗差が小さいほど、前記金属酸化
物半導体の抵抗値変化に対する合成抵抗の変化が大きく
設定できるという特性を有することになり、熱線型半導
体式ガス検知素子における前記金属酸化物半導体として
は、抵抗値の小さなものほど有利に用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の汎用ガ
ス検知素子によれば、上述の炭化水素ガス検知という利
用目的で、種々の環境でのガス検知に対する安定性が十
分でなく信頼性の面で改良の余地があった。というの
は、前記酸化スズ半導体は、表面酸素や表面水酸基の活
性が高くて空気中の水蒸気濃度に応じて変化しやすいと
いう特性を有するために、湿度変化により、その被検知
ガスに対する検知特性が変化しやすいため、検知対象地
区において常設するような場合に、一日あるいは年間を
通じての湿度変化に対する安定性が確保しにくいという
事情があるためである。そこで、主材とすべき半導体の
種類を替えるなどして、根本的にガス検知特性を変更す
る必要性が生じている。しかしながら、金属酸化物半導
体の特性は、そのガス検知素子の形状、形態によって大
きく変化する場合が多く、一概に他のガス検知素子に用
いられているものを転用することが出来ない。
【0004】そこで、本発明者らは、一般にガス検知の
際の応答特性に優れた金属酸化物半導体と言われている
酸化インジウムを選択し、低濃度ガス検知が可能で、か
つ、湿度依存性が低いガス検知素子を提供する目的で鋭
意研究をおこなった。
【0005】
【課題を解決するための手段】その結果、本発明者らは
酸化インジウム自体が本来高抵抗な物質であり、かつ湿
度の影響を受けにくいという新知見を得た。また、スズ
による原子価制御により、酸化インジウムの抵抗値を調
整することが可能であり、また、このような酸化インジ
ウムを用いたガス検知素子により、低濃度ガスを高感度
に検知できることを見いだした。本発明は、上記新知見
に基づきなされたものであって、前記目的を達成するた
めの本発明の炭化水素ガス検知素子の特徴構成は、酸化
インジウムを主材とする感応層を備えた炭化水素ガス検
知素子であって、金属酸化物燃焼触媒を含有した被覆層
を前記感応層に対して被覆形成してある点にあり、熱線
型半導体式ガス検知素子で形成することが望ましく、前
記被覆層が、酸化スズを主材とするものであることが望
ましく、前記金属酸化物燃焼触媒が酸化鉄、酸化コバル
ト、酸化クロムから選ばれる少なくとも一種を含有する
ものであることが望ましく、前記被覆層が、前記金属酸
化物触媒を0.3atm%以上0.5atm%以下含有
するものである場合に特に有効であり、前記感応層が酸
化スズ、酸化ゲルマニウム等の4価金属酸化物を含有す
るものであれば好ましく、前記感応層にスズの添加量が
0.1atm%以上であることが好ましい。
【0006】〔作用効果〕酸化インジウムが湿度の影響
を受けにくいのは、酸化インジウムの表面酸素や表面水
酸基は、酸化スズのものに比べて活性が低く、疎水的に
なっていることによると考えられる。つまり、前記表面
酸素や表面水酸基には、雰囲気下の水蒸気が付着反応し
て、被検知ガスとの反応を阻害したり、必要以上に活性
をあげてしまうような現象が起きにくくなっており、結
果として湿度の影響を受けにくくなって、所定の活性を
維持し易くなり安定に用いられるのである。そのため、
前記特徴構成に記載のガス検知素子は湿度に対して影響
を受けにくく、高感度で被検知ガスを検知できるのであ
る。尚、この論理に基づけば、酸化インジウムは水を加
えてペーストにするときに、その疎水性によって分散性
が低いはずである。はたして、酸化インジウムをペース
トにすると、酸化スズをペーストにする場合に比べて、
分散性が低く、貴金属線材上に塗布するような場合に取
り扱いの良くないものになりやすいことがわかった。と
ころが、前記スズを酸化インジウムに添加する際に酸化
スズとして添加してあれば、酸化インジウムの疎水的
で、湿度の影響を受けにくい性質を維持しながらペース
トにする際の分散性を向上させられることもわかり、ガ
ス検知素子の製造工程上も好ましいことがわかった。
【0007】尚、これらの実験結果は、99.99%以
上の純度の原料を用い、実験室レベルで厳密に不純物の
混入を遮断した環境下で生成した酸化インジウムについ
て種々の試験を行って得られたものであり、既報の物性
と異なる結果が多数得られていることについては、既報
の物性が、原料純度の相違や、製法の相違による種々の
不純物が、ドーパントとして働き、再現性に乏しい結果
をもたらしたと考えられるのに対し、再現性の高い結果
を与えるものと言える条件下で行われた試験によって得
られたものである。
【0008】しかしながら、このようなガス検知素子
は、ガス選択性に乏しく、実際には、水素ガスや、アル
コールガス、一酸化炭素ガスに対しても高いガス感度を
有するために、たとえば、炭化水素ガスのように特定の
ガスのみを検知するガス検知素子を作成することは、や
はり、困難であった。
【0009】そこで、本発明者らが、鋭意研究した結
果、酸化インジウムを主材とした感応層を備えた熱線型
半導体式ガス検知素子であっても、金属酸化物燃焼触媒
を含有した被覆層を前記感応層に対して被覆形成してあ
れば、メタンやイソブタンのような炭化水素ガスを選択
性高く検出できる(以下フィルタ効果と称する)ことを
見いだした。
【0010】また、このような金属酸化物触媒は、酸化
スズを主材とする被覆層に含有させると有効に用いられ
ることが分かり、さらに、その金属酸化物燃焼触媒とし
ても種々検討したところ、酸化コバルトがもっとも好ま
しく、次いで酸化鉄、酸化クロムが好適に用いられるこ
とがわかり、可燃性ガスのうち、炭化水素ガスのみを有
効に検出することに出来るガス検知素子が得られた。
【0011】尚、前記金属酸化物触媒の含有量について
も検討を加えたところ、0.3atm%以上0.5at
m%以下であれば、十分にフィルタ効果が得られること
を見いだし選択性の高いガス検知素子を提供することが
出来るようになった。また、感応層には、酸化スズ、酸
化ゲルマニウム等の4価の金属酸化物を添加しておくこ
とによって、極めて感度特性が向上させられるという知
見も得ており、0.1atm%以上、好ましくは、酸化
スズの場合に0.1〜50atm%、酸化ゲルマニウム
の場合は、0.1〜30atm%、さらに好ましくは、
0.1〜5atm%添加しておくことにより、極めて高
い感度特性を得られるので好ましい。
【0012】尚、本発明に言う炭化水素ガス検知素子と
しては、前述の熱線型半導体式ガス検知素子に限らず、
基盤型のものに対して有効に働くものと考えられる。
(注:請求項1では、これについての限定をしておりま
せん)
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。 〔熱線型半導体式ガス検知素子の製造〕水酸化インジウ
ムの微粉体に塩化スズの所定濃度水溶液を、前記水酸化
インジウム中のインジウムに対してスズが0.5atm
%含まれるように含浸させ、80℃で24時間乾燥させ
た後、電気炉で600℃で4時間焼成した。こうして得
られた酸化インジウムをさらに粉砕して、平均粒径1.
5μm程度の微粉体を形成した。この微粉体を1,3−
ブタンジオールを用いてペーストにして、実効寸法0.
40mmの白金線コイル1(線径20μm、巻き径0.
30mm、巻き間隔0.02mm)に直径0.45mm
の球形で、前記白金線コイルの全体を覆うように塗布す
る。これをさらに80℃で1時間乾燥させた後、前記白
金線コイルに電流を流し、そのジュール熱で600℃で
1時間焼成させ、熱線型半導体式ガス検知素子の感応層
2を得た。一方、市販の塩化スズと硝酸コバルトを前記
コバルトが溶質成分中に、0.1、0.3、0.5、
1.0、2.0atm%含まれるような所定濃度に溶解
した混合水溶液を用意し、アンモニア水溶液を滴下し、
加水分解により沈殿物を得た。生成した沈殿物は、蒸留
水で洗浄して塩素等の雑イオンを除去した後、80℃1
時間乾燥させて、スズ酸ゲルを得た。これをさらに細か
く粉砕し、電気炉を用いて600℃にて4時間焼成し、
最終的に酸化コバルトを0.5atm%含有した酸化ス
ズを得た。この酸化物をさらに粉砕して、平均粒径1.
0μm程度の微粉体を形成した。この微粉体を1,3−
ブタンジオールを用いてペーストにして、前記感応層2
を被覆するように、50μm厚になるようにコーティン
グし、被覆層(触媒層)3を形成した。さらに、同様
に、乾燥後、600℃にて30分間空気中で焼結させ
せ、熱線型半導体式ガス検知素子を得た(図1参照)。
このように構成してあれば、白金線コイルが前記感応層
2の加熱用ヒータと電極とを兼ねる簡単な構成で検知素
子の機能を果たすことになる。
【0014】尚、熱線型半導体式ガス検知素子の形成に
は以下に示す各試薬を用いた。 水酸化インジウム:(株)高純度化学研究所社製、純度
99.99% 塩化スズ:(株)高純度化学研究所社製、純度99.9
9% 1,3ブタンジオール: 東京化成工業(株)製、純
度99%
【0015】〔回路構成〕前記熱線型半導体式ガス検知
素子は、図2に示すように、ブリッジ回路に組み込んで
用いられる。つまり、前記熱線型半導体式ガス検知素子
に、固定抵抗R0を直列に接続するとともに、この熱線
型半導体式ガス検知素子と固定抵抗R0との合成抵抗に
対して固定抵抗R1と固定抵抗R2との合成抵抗を、前
記熱線型半導体式ガス検知素子と固定抵抗R1、固定抵
抗R0と固定抵抗R2が対向するように並列に接続す
る。また、前記熱線型半導体式ガス検知素子と固定抵抗
の間と、前記固定抵抗R1と固定抵抗R2との間との電
位差をセンサ出力として取出す出力部を接続してある。
【0016】このようなブリッジ回路によれば、供給電
圧をE、センサ出力をV、熱線型半導体式ガス検知素子
の全体としての抵抗値をRs、各固定抵抗R0,R1,
R2の抵抗値をそれぞれR0 、R1 、R2 としたとき
に、数1の関係を有する。
【0017】
【数1】
【0018】ここでR1 =R2 とし、ガス感度を、被検
知ガス共存雰囲気下でのセンサ出力と清浄空気中でのセ
ンサ出力との差(ΔV)とすると、そのガス感度は、熱
線型半導体式ガス検知素子の被検知ガスとの接触による
抵抗値変化をΔRsとしたときに、熱線型半導体式ガス
検知素子の抵抗値変化に比例することになる。一方、熱
線型半導体式ガス検知素子の抵抗値Rsは、金属酸化物
半導体と、白金線コイルとの並列抵抗として挙動するか
ら、金属酸化物半導体の抵抗をrS とし、白金線コイル
の抵抗値をrC としたときに、数2(1)式であらわさ
れる。また、被検知ガスとの接触の際の金属酸化物半導
体の抵抗値変化をΔrS としたときに、被検知ガスの濃
度が低いときには、ΔRsやΔrS は、非常に小さいと
すると、その熱線型半導体式ガス検知素子の抵抗変化率
は近似的に数2(2)式で与えられる。つまり、熱線型
半導体式ガス検知素子の抵抗変化率は、金属酸化物半導
体の抵抗変化率に比例することになり、さらに熱線型半
導体式ガス検知素子の感度は、数2(3)のように近似
されることになる。ここで、βは、増幅率に相当し、r
S /rC が小さいほど大きくなり、つまり、一般に金属
酸化物半導体の抵抗は貴金属の抵抗よりも大きいもので
あるから、金属酸化物半導体の抵抗rS が小さいほど、
感度の良い熱線型半導体式ガス検知素子が得られること
になる。ところで、前記感度はΔrS /rS にも関与し
ているので、半導体の抵抗値を小さくしすぎても感度の
低下を招くことになり、その抵抗値を最適化すべく、酸
化スズの添加量を調整するのである。
【0019】
【数2】
【0020】
〔ガス検知温度依存性〕
1. 酸化コバルト 酸化インジウムを主材とし、スズを0.5atm%含有
する感応層を有するとともに、0.3atm%のコバル
トを含有する酸化スズからなる被覆層を形成して熱線型
半導体式ガス検知素子を製造し、種々のガス種(水素
(H2 )、エタノール(C2 5 OH)、一酸化炭素
(CO)、イソブタン(i−C4 10)、メタン(CH
4 ))に対するに対してガス感度の温度依存性を調べた
ところ、図3に示すようになった。同様にコバルトの含
有量を0.5atm%に替えた例についても調べたとこ
ろ図4に示すようになった。つまり、この熱線型半導体
式ガス検知素子は、種々のガスを高感度に検知出来るこ
とがわかる。 2. 酸化鉄 同様に酸化コバルトを酸化鉄に替えた例について調べた
ところ、図5,6に示すようになった。 3. 酸化クロム 同様に酸化コバルトを酸化鉄に替えた例について調べた
ところ、図7,8に示すようになった。いずれの場合
も、エタノールや水素に比べ、イソブタンやメタンに対
して高い感度を示し、選択性高く炭化水素ガスを検出し
ていることが分かる。 4. 比較例 酸化インジウムを主材とし、スズを0.5atm%含有
する感応層のみからなる熱線型半導体式ガス検知素子を
製造し、(直径0.5mm)種々のガス種に対してガス
感度の温度依存性を調べたところ、図9に示すようにな
り、エタノールや水素に対しても高い感度を示し、十分
な選択性が得られていないことが分かる。
【0021】〔フィルター性能の評価〕熱線型半導体式
ガス検知素子の各種被覆層のフィルタ効果をガス100
ppmに対する感度で評価すると表1のようになる。ま
た、メタンガスに対する各種妨害ガスのメタンガス10
0ppm相当濃度で評価すると、表2のようになる。つ
まり、表1から、感度特性の面からは、金属酸化物触媒
としては酸化鉄を用いることが好ましく、表2から、妨
害ガスからのガス選択性としては、酸化コバルトを用い
ることが好ましいことが分かる。これらを考察すると、
フィルタ効果は、主に被覆層の酸化活性と、ガスの拡散
速度によって支配されると考えられる。一方、このよう
に小型に成型したガス検知素子においては、被覆層の厚
さは、実用上小さくなり、拡散速度の要因よりは、酸化
活性の要因が大きく働き、被覆層の酸化活性や密度の向
上により、フィルタ効果を向上させられるものと考えら
れる。ところが、酸化活性を高くしすぎると、目的ガス
も除去されてしまうため、ガス選択性を低下させる要因
となり得る。そのため、被覆層の酸化活性や密度等の最
適化を要することになるのであるが、表1,2を総じて
見ると、酸化コバルトを用いた例が、両者のバランスの
点で優れていると言える。尚、以下の表中%とあるの
は、各金属酸化物中の金属のatm%であるまた、熱線
型半導体式ガス検知素子は、感応層の直径0.45m
m、被覆層の厚さ0.05mm、センサ電圧2.1V
(5.6オーム)のものを用いた。
【0022】
【表1】 (単位mV)
【0023】
【表2】 (単位ppm)
【0024】〔ガス濃度依存性〕酸化インジウムを主材
とし、スズを0.5atm%含有する感応層を有すると
ともに、0.3atm%のコバルトを含有する酸化スズ
からなる被覆層を形成して熱線型半導体式ガス検知素子
を製造し、各種ガスに対する出力の濃度依存性を調べた
ところ図10に示すようになった。また、酸化インジウ
ムを主材とし、スズを0.5atm%含有する感応層の
みからなる熱線型半導体式ガス検知素子を製造し、同様
に調べたところ、図11のようになった。比較すると、
ガス選択性が飛躍的に向上していることが分かる。
【0025】〔酸化コバルトの含有量依存性〕先のスズ
を0.5atm%含有する感応層を有するとともに、コ
バルトを含有する酸化スズからなる被覆層を形成して形
成した熱線型半導体式ガス検知素子において、フィルタ
機能の酸化コバルト含有量依存性を調べたところ、表
3、表4のようになった。つまり、フィルタ効果の被検
知ガスへの影響をもって、評価すると、表3に示すよう
になり、酸化コバルトの含有量は、1atm%以下程度
であれば、被検知ガスに対するフィルタ効果を小さく抑
えることが出来て好適であることが分かる。また、フィ
ルタ効果による他の妨害ガスとの選択性という点から評
価すると、表4に示すようになり、酸化コバルトの含有
量は、1atm%以下さらに好ましくは、0.3atm
%以上0.5atm%以下であれば、他の妨害ガスから
の高い選択性を発揮することができることが分かる。
【0026】
【表3】 ただし、各数値は、酸化コバルトを含有しない被覆層を
有する熱線型半導体式ガス検知素子の感度出力を1とし
た比である
【0027】
【表4】 (単位ppm)
【0028】〔センサ出力の湿度依存性〕前記熱線型半
導体式ガス検知素子のガス感度のメタンガス濃度依存性
を種々の湿度環境下で求めたところ、図12に示すよう
になった。また、従来の酸化スズ半導体を主材とする熱
線型半導体式ガス検知素子についても同様に調べたとこ
ろ図13に示すようになった。つまり、センサ出力の濃
度依存性は、従来のものに比べて湿度によってあまり変
動していないことがわかる。尚、図中、標準とあるの
は、絶対湿度7.1g/m3 、DRYとあるのは0.8
g/m3 、WETとあるのは26g/m3 の湿度条件を
指し、いずれもセンサ電圧2.5V(450℃相当)の
条件下で出力を調べたものである。その結果、本発明の
熱線型半導体式ガス検知素子は湿度によらず安定して炭
化水素ガスを検知できることが分かる。
【0029】〔感応層の種類による感度特性〕酸化イン
ジウムを主材とし、ゲルマニウムを0.5atm%含有
する感応層(直径0.50mm)のみからなるガス検知
素子のガス検知特性をそれぞれ調べたところ、図14の
ようになった。この場合も図9同様高い出力が得られて
おり、炭化水素ガス検知素子として有効に用いられるこ
とが読みとれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱線型半導体式ガス検知素子の縦断斜視図
【図2】熱線型半導体式ガス検知素子を組み込む回路構
成図
【図3】感度出力のガス検知温度依存性を示すグラフ
(Co:0.3atm%)
【図4】感度出力のガス検知温度依存性を示すグラフ
(Co:0.5atm%)
【図5】感度出力のガス検知温度依存性を示すグラフ
(Fe:0.3atm%)
【図6】感度出力のガス検知温度依存性を示すグラフ
(Fe:0.5atm%)
【図7】感度出力のガス検知温度依存性を示すグラフ
(Cr:0.3atm%)
【図8】感度出力のガス検知温度依存性を示すグラフ
(Cr:0.5atm%)
【図9】感度出力のガス検知温度依存性を示すグラフ
(被覆層ナシ:Sn)
【図10】感度出力の濃度依存性を示すグラフ(Co:
0.5atm%)
【図11】感度出力の濃度依存性を示すグラフ(被覆層
ナシ)
【図12】メタンガス感度曲線に対する湿度の影響を示
すグラフ(Co:0.3atm%)
【図13】メタンガス感度曲線に対する湿度の影響を示
すグラフ(被覆層ナシ)
【図14】感度出力のガス検知温度依存性を示すグラフ
(被覆層ナシ:Ge)
【図15】熱線型半導体式ガス検知素子の動作概念図
【符号の説明】
1 貴金属線材 2 感応層 3 被覆層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化インジウムを主材とする感応層を備
    えた炭化水素ガス検知素子であって、金属酸化物燃焼触
    媒を含有した被覆層を前記感応層に被覆形成してある炭
    化水素ガス検知素子。
  2. 【請求項2】 貴金属線材に酸化インジウムを被覆焼成
    して感応層を形成してある請求項1に記載の炭化水素ガ
    ス検知素子。
  3. 【請求項3】 前記被覆層が、酸化スズを主材とするも
    のである請求項1〜2のいずれか1項に記載の炭化水素
    ガス検知素子。
  4. 【請求項4】 前記金属酸化物燃焼触媒が酸化鉄、酸化
    コバルト、酸化クロムから選ばれる少なくとも一種を含
    有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    炭化水素ガス検知素子。
  5. 【請求項5】 前記被覆層が、前記金属酸化物触媒を
    0.3atm%〜0.5atm%含有するものである請
    求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化水素ガス検知素
    子。
  6. 【請求項6】 前記感応層が4価金属酸化物を含有する
    ものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭化水
    素ガス検知素子。
  7. 【請求項7】 前記4価金属酸化物が酸化スズまたは酸
    化ゲルマニウムである請求項6に記載の炭化水素ガス検
    知素子。
  8. 【請求項8】 感応層へのスズの添加量が1atm%以
    上である請求項6〜7のいずれか1項に記載の炭化水素
    ガス検知素子。
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