JP3976883B2 - ガス検知素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、メタン、ブタン等の飽和炭化水素ガスを検知するためのガス検知素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
火力発電所、化学工場、石油プラント等の場所では、できるだけ低濃度で可燃性ガスであるメタン、ブタン等の飽和炭化水素ガスを検知し、可燃性ガスの漏洩を早期に発見する必要性が高まっている。というのも、上記火力発電所等での使用状態は、風等の影響を受けやすい敷地の広大な屋外現場での使用であるため、漏洩した燃料ガスが拡散し希釈され低濃度になる場合があり、ガス検知素子の設置場所以外で大量に漏洩し局所的爆発の危険性があるからである。実際、例えば、警報濃度設定レベルを200ppmにする等、高感度検知が行われている。
また、化学工場等の敷地によっては別の化学工場等が隣接しているため、検知を目的とする可燃性ガス以外の干渉ガスが共存している場合があり、誤作動を避けるためにも適度なガス選択性が必要であるという実状がある。
そこで、この低濃度検知及び高い選択性を得るべくガス感応材料に酸化スズを採用したガス検知素子が研究されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、可燃性ガスの漏洩検知を目的とする化学工場等の現場は屋外であるため、一日或いは年間を通して天候或いは気候の変動による湿度の大きな変動がある。ここで、ガス感応材料に酸化スズを採用したガス検知素子のセンサ出力は、湿度依存性が大きく十分なS/N比が得られない。そのため、上記化学工場等の屋外現場で誤作動等の重大な問題が生ずる場合が指摘されており改善が求められている。
一方、センサ出力の湿度の変動による影響をできるだけ少なくするため、湿度依存性を補正する等対策もなされているが、実用上不十分であり、またコストアップにつながるため、その商品化に大きな不都合が生じていた。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記の欠点に鑑み、簡単な構造でありながら、湿度変動に伴うガス検知性能やガス選択性能の変動の少ないガス検知素子を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、金属酸化物半導体部に、コバルト及び少なくとも一種の金属の酸化物を添加してある場合に、湿度変動に伴うガス検知性能やガス選択性能の変動を有効に抑制し得るという新知見を見いだし本発明に至った。つまり、前記目的を達成するための本発明のガス検知素子は、電気伝導度の変化を検出する電極の周囲に原子価制御された酸化スズ半導体を主成分とする金属酸化物半導体部を備えたガス検知素子であって、前記電極が、前記金属酸化物半導体部を加熱する機能を備えた1本のコイルで構成されると共に、前記金属酸化物半導体部が、前記酸化スズ半導体に対してコバルト及び少なくとも一種の金属酸化物を、0.05atm%〜0.5atm%で添加してあることを特徴とする。
【0006】
[作用]
つまり、コバルト、クロム、鉄の中から選択された少なくとも一種の金属の酸化物を添加する事により、原子価制御された酸化スズ半導体を主成分とする金属酸化物半導体部の湿度依存性を低減することが出来たのである。
更に、このような場合、0.05atm%以上の添加割合としておけば、十分な湿度依存性低減効果を発揮させることが出来、しかも、0.5atm%以下としておくことによって、ガス選択性能の喪失を防止できる。
これは、以下の作用によるものと考えられる。
本発明ガス検知素子の感応部である金属酸化物半導体部を構成する酸化スズ半導体は、表面酸素や表面水酸基が比較的不安定なため酸化活性は特に高く、燃料ガスの主成分として使用されているメタン、ブタン等の化学的に安定な飽和炭化水素ガスを検知するには好都合な材料である。
しかし、空気中の酸素は、酸化スズの表面に負電荷吸着しやすく半導体の電気伝導度に影響を与え、またその表面で起きる還元性ガスの酸化反応を支配する活性種でもある。一方、空気中に存在する水は酸化スズの表面に吸着し、隣接する吸着酸素と反応することで最終的に水酸基として吸着したり、或いはその逆反応である水酸基の脱離反応も生じやすい。このため空気中に共存する水も酸化スズの電気伝導度や表面で起きる酸化反応に大きく影響を与える。
このような干渉作用によって空気中の酸素や水は金属酸化物半導体の抵抗やガス感度を変動させる重要な原因となる。
【0007】
これに対して前記金属酸化物半導体部に、コバルト、クロム、鉄の中から選択された少なくとも一種の金属の酸化物を添加すると、酸化スズの表面活性が変化する。
即ち、酸化活性の高い酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄の中から選択された少なくとも一種の金属酸化物を添加すると、酸化スズ固有の親水性を弱め適度に疎水的にして水の吸着活性を抑制することができ、同時に前記金属酸化物半導体部表面の酸化活性の安定化を図ることができると考えられるのである。
そのため、ガス検知素子の水に対する安定性が増し、ガス検知素子の湿度依存性が改善されるのである。
【0008】
【発明の効果】
従って、屋外通電操作において、年間を通じての気候変動等による湿度変動に伴うメタンやイソブタン等の燃料ガスに対するガス検知性能やガス選択性能の変動を大幅に抑制したガス検知素子を得ることができた。
【0009】
【発明の実施の形態】
市販の四塩化スズ(SnCl4)と、所定量のコバルト、クロム、鉄、ランタ ン、セリウムの硝酸塩と、少量の五塩化アンチモン(SbCl5)の混合水溶液 中にアンモニウム水溶液を滴下し、それぞれの塩を加水分解することによりコロイド状の白色沈殿を得た。これを塩素等余分なイオンを除去するために蒸留水で数回水洗いし、乾燥機で乾燥させスズ酸ゲルの試料を得た。
次に、このスズ酸ゲルの試料を細かく粉砕し、電気炉の中で600℃にて4時間焼成し、最終的に所定量の酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄、酸化ランタン、酸化セリウムさらにアンチモンがドープされた酸化スズ半導体を得た。ここで、アンチモンは原子価制御法により酸化スズの抵抗値を最適化するために添加されたものである。
次に、これを粉砕機により粉砕し微粉体を得、分散媒を用いてペースト状にした。貴金属線材としての直径20μmの白金線コイルにペースト状の酸化スズを直径0.5mmの球状に塗布する。そして、乾燥させコイルに電流を流しそのジュール熱で加熱し600℃にて1時間空気中で焼結させた。
このようにして本願発明のガス検知素子が得られた。その構造を図1に示す。白金線コイル1を金属酸化物半導体部2が球状に被覆する構造をしている。
【0010】
本願発明のガス検知素子を図2に示すようなブリッジ回路を使用して動作させた。センサ温度はブリッジ電圧(E)によって制御し、ブリッジ出力(V)をセンサ出力とした。
即ち、センサ出力は図2から次のように表わされる。
V=−E{rS/(rS+r0)−r1/(r1+r2)}
ここでrSはガス検知素子RSの抵抗、r0、r1及びr2はそれぞれ固定抵抗R0、 R1、R2の抵抗である。
また、ガス感度(ΔV)は次のように定義される。
ガス感度(ΔV)=V(検知ガス共存空気中出力)−V(清浄空気中出力)
【0011】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
酸性酸化物でありかつ酸化活性の高い上記酸化コバルト等の金属酸化物に対して、焼結阻害剤として有効とされる塩基性酸化物でかつ酸化活性の低い酸化ランタン若しくは酸化セリウムを添加したガス検知素子を製作し、ガス検知性能やガス選択性能の湿度変動による影響を本発明に係るガス検知素子と比較した。
ここで、酸化ランタンは酸化スズ半導体に対して0.1atm%添加し、酸化セリウムは酸化スズ半導体に対して0.3atm%添加した。また、作成方法は、上記発明の実施の形態で示した酸化コバルト等を添加したガス検知素子と同様の方法であった。
本発明に係るガス検知素子は、上記発明の実施の形態で示した方法で作成した。酸化スズ半導体に対する濃度は、酸化クロムで0.05、0.1、0.3、0.5atm%、酸化コバルトで0.1atm%、酸化鉄で0.1atm%とした。
センサ電圧は2.4V(負荷抵抗:R0は10Ω)、センサ温度は450℃の 条件の下で以下に示すように種々の実験を行った。尚、金属酸化物半導体部に含有されているアンチモン濃度も各図に示した。
【0012】
(実施例1)
金属酸化物半導体層に添加する酸化クロムの量を種々変化させて、本発明に係るガス検知素子の各種ガスに対する相対感度のガス濃度依存性を調べた。各ガス検知素子における酸化クロムの濃度はそれぞれ0.05、0.1、0.3、0.5atm%である。その結果を図3(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に示した。ここで、縦軸はイソブタン濃度2000ppmに対するガス感度を1とした相対感度である。
図3(イ)では、例えば、メタンガスに対する相対感度は0.74で、水素ガスに対する相対感度は0.55であり、検知目的とするメタンガス若しくはイソブタンガスと検知目的ではない水素ガス等の相対感度の差は比較的大きい。それに対し、図3(ハ)では、例えば、メタンガスに対する相対感度は0.77で、水素ガスに対する相対感度は0.72であり、検知目的とするメタンガス若しくはイソブタンガスと検知目的ではない水素ガス等の相対感度の差は比較的小さくなる。
このように、酸化クロムの添加量の増加とともに例えば水素等のメタンやイソブタン以外の干渉性ガスに対する感度が相対的に上昇しガス選択性が悪くなる。これは、酸化クロムの添加量が多くなると焼結体である金属酸化物半導体部の酸化活性が高くなり、メタンやイソブタンの焼結体表面での燃焼除去が起きるため感度が出難くなることが主要因と考えられる。
図示していないが、酸化クロムの添加量を0.5atm%以上に増やした場合は、ガスセンサ素子表面で接触燃焼が起き、センサの温度が上昇しセンサ出力が低下する。例えば酸化クロムの添加量を1atm%とした場合にあってはセンサ出力の低下は明らかとなる。さらに、酸化クロムの添加量を1atm%以上に増やした場合は、センサ素子抵抗が著しく増加し感度が出難くなると同時に接触燃焼も促進され感度の著しい低下が起きる。
従って、酸化クロムの添加量が0.5atm%以下としておくことによって、ガス選択性能の喪失を防止しつつ、センサ出力の低下も防止できることが判明した。
【0013】
同様に金属酸化物半導体層に添加する酸化コバルトの量を変化させて、本発明に係るガス検知素子の各種ガスに対する相対感度のガス濃度依存性を調べた。各ガス検知素子における酸化コバルトの濃度はそれぞれ0.1、0.3atm%である。酸化コバルトの添加量の増加とともに例えば水素等のメタンやイソブタン以外の干渉性ガスに対する感度が相対的に上昇し選択性が悪くなる。これは、上記酸化クロムを添加したガス検知素子の場合と同様の理由による。その結果を図4(イ)(ロ)に示す。ここで、同様に、縦軸はイソブタン濃度2000ppmに対する感度を1とした相対感度である
また、図5は、酸化鉄を添加したガス検知素子の各種ガスに対する相対感度のガス濃度依存性を示すものである。ここで、同様に、縦軸はイソブタン濃度2000ppmに対する感度を1とした相対感度である。酸化鉄の濃度は0.1atm%である。ここでも、図を示していないが、酸化鉄の添加量の増加とともに例えば水素等のメタンやイソブタン以外の干渉性ガスに対する感度が相対的に上昇し選択性が悪くなると考えられる。
【0014】
(実施例2)
酸化ランタンを0.1atm%添加したガス検知素子のメタンガスに対するセンサ出力のガス濃度依存性と相対感度のガス濃度依存性を異なる湿度で調べた。その結果を図6(イ)(ロ)に示す。尚、金属酸化物半導体部の直径は0.50mmである。
センサ出力曲線は標準状態(9.6g/m3)を中心に低湿側(2.6g/m3)では下方へ、高湿側(28g/m3)では上方へシフトする。そのため、例え ばメタンガス濃度200ppmに相当する標準状態におけるセンサ出力は、低湿側では320ppm、高湿側では90ppmのメタンガス濃度に対応し、濃度指示値の変化は200±58%の誤差を与える。このガス濃度指示値の変動の主な原因は、例えばメタンガス濃度200ppmでは、相対感度の湿度依存性の変動はほとんどないため、清浄空気中(ガス濃度ゼロの場合)で示すセンサ出力(ベース出力)の湿度依存性がそのまま現れているからと考えられる。
【0015】
また、酸化セリウムを0.3atm%添加したガス検知素子のメタンガスに対するセンサ出力のガス濃度依存性と相対感度のガス濃度依存性を異なる湿度で調べた。その結果を図7(イ)(ロ)に示す。尚、金属酸化物半導体部の直径は0.50mmである。ここでも、センサ出力曲線は標準状態(9.6g/m3)を 中心に低湿側(2.6g/m3)では下方へ、高湿側(28g/m3)では上方へシフトする。この現象も酸化ランタンを添加したガス検知素子の場合と同様の理由が主原因と考えられる。
【0016】
一方、酸化コバルトを0.1atm%添加したガス検知素子のメタンガスに対するセンサ出力のガス濃度依存性と相対感度のガス濃度依存性を異なる湿度で調べた。その結果を図8(イ)(ロ)に示す。尚、金属酸化物半導体部の直径は0.50mmである。
センサ出力の湿度依存性変化は酸化ランタン等添加の場合と比較して小さい。これは、相対感度が標準状態を中心に低湿側(2.6g/m3)では感度が高く 高湿側(28g/m3)では感度が低くなっているため、清浄空気中(ガス濃度 ゼロの場合)で示すセンサ出力(ベース出力)の湿度依存性を打ち消すことが主原因と考えられる。結果として、例えばメタンガス200ppmに相当する標準状態の出力レベルは、高湿側で140ppm、低湿側で250ppmのメタンガス濃度に対応し、指示値の誤差は200±28%の誤差を与えるにすぎない。
【0017】
また、酸化鉄を0.1atm%添加したガス検知素子と酸化クロムを0.1atm%添加したガス検知素子のメタンガスに対するセンサ出力のガス濃度依存性と相対感度のガス濃度依存性を異なる湿度で調べた。その結果をそれぞれ図9 (イ)(ロ)、図10(イ)(ロ)に示す。
尚、金属酸化物半導体部の直径はともに0.50mmである。
酸化鉄添加ガス検知素子の場合、酸化クロム添加ガス検知素子の場合ともにセンサ出力のガス濃度依存性は酸化ランタン等塩基性酸化物添加ガス検知素子の場合と比較して小さい。これも、同様に、相対感度が標準状態を中心に低湿側(2.6g/m3)では感度が高く高湿側(28g/m3)では感度が低くなっているため、清浄空気中(ガス濃度ゼロの場合)で示すセンサ出力(ベース出力)の湿度依存性を打ち消すことが主原因と考えられる。
【0018】
(実施例3)
酸化ランタンを0.1atm%添加したガス検知素子のイソブタンガスに対するセンサ出力のガス濃度依存性と相対感度のガス濃度依存性を異なる湿度で調べた。その結果を図11(イ)(ロ)に示す。尚、金属酸化物半導体部の直径は0.50mmである。
センサ出力曲線は標準状態(9.6g/m3)を中心に低湿側(2.6g/m3)では下方へ、高湿側(28g/m3)では上方へシフトする。これも、相対感 度のガス濃度依存性の変動はほとんどないため、清浄空気中(ガス濃度ゼロの場合)で示すセンサ出力(ベース出力)の湿度依存性がそのまま現れていることが主原因と考えられる。
【0019】
また、酸化セリウムを0.3atm%添加したガス検知素子のイソブタンガスに対するセンサ出力のガス濃度依存性と相対感度のガス濃度依存性を調べた。その結果を図12(イ)(ロ)に示す。尚、金属酸化物半導体部の直径は0.50mmである。ここでも、センサ出力曲線は標準状態(9.6g/m3)を中心に 低湿側(2.6g/m3)では下方へ、高湿側(28g/m3)では上方へシフトする。この現象も酸化ランタン添加ガス検知素子の場合と同様の理由が主原因と考えられる。
【0020】
一方、酸化コバルトを0.1atm%添加したガス検知素子のイソブタンガスに対するセンサ出力のガス濃度依存性と相対感度のガス濃度依存性を調べた。その結果を図13(イ)(ロ)に示す。尚、金属酸化物半導体部の直径は0.50mmである。
センサ出力のガス濃度依存性変化は酸化ランタン等添加の場合と比較して小さい。これも、同様に、相対感度が標準状態(9.6g/m3)を中心に低湿側( 2.6g/m3)では感度が高く高湿側(28g/m3)では感度が低くなっているため、清浄空気中(ガス濃度ゼロの場合)で示すセンサ出力(ベース出力)の湿度依存性を打ち消すことが主原因と考えられる。
【0021】
また、酸化鉄を0.1atm%添加したガス検知素子と酸化クロムを0.1atm%添加したガス検知素子のイソブタンガスに対するセンサ出力のガス濃度依存性と相対感度のガス濃度依存性を異なる湿度で調べた。その結果をそれぞれ図14(イ)(ロ)、図15(イ)(ロ)に示す。
尚、金属酸化物半導体部の直径はともに0.50mmである。
酸化鉄添加ガス検知素子の場合、酸化クロム添加ガス検知素子の場合ともにセンサ出力のガス濃度依存性変化は酸化ランタン等塩基性酸化物添加の場合と比較して小さい。これも、同様に、相対感度が標準状態(9.6g/m3)を中心に 低湿側(2.6g/m3)では感度が高く高湿側(28g/m3)では感度が低くなっているため、清浄空気中(ガス濃度ゼロの場合)で示すセンサ出力(ベース出力)の湿度依存性を打ち消すことが主原因と考えられる。
【0022】
メタンガス及びイソブタンガスに対するセンサ出力の湿度依存性を比較した。ここでは、標準状態でガス濃度200ppmに相当するセンサ出力の低湿側及び高湿側に対応するガス濃度の変動幅を割合(%)で計算し、濃度指示値の変動幅を200ppm±X%と表現しそのXの値で比較した。その結果を以下の表1に示す
【0023】
【表1】
Figure 0003976883
【0024】
メタンガス及びイソブタンガスいずれに関しても、濃度指示値の変動幅は塩基性酸化物の酸化ランタン若しくは酸化セリウム添加のものより酸性酸化物である酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄のほうが狭くより優れた結果を与えている。
前述したように、酸化スズを使用したガス検知素子においては特にセンサ出力の湿度依存性が大きいのであるが、清浄空気中(ガス濃度ゼロの場合)で示すセンサ出力(ベース出力)の湿度依存性に対して、酸性酸化物を添加した場合では相対感度が反対方向に(あるいは打ち消すように)変化しているため、結果的にセンサ出力としては変化が小さくなり、また濃度指示値としても変動幅が小さくなるのである。
【0025】
(実施例4)
次に上記の実験室で性能評価された結果の整合性を確かめるために、実際の使用環境(現場)に近い状況下で年間を通じての湿度変動下で性能評価試験を行った。
メタンガスに対する0.1atm%酸化セリウム添加ガス検知素子、0.1atm%酸化コバルト添加ガス検知素子及び0.05atm%酸化クロム添加ガス検知素子のガス濃度200ppmに対する年間を通じての指示濃度の変化を調べた。その結果を図17に示す。
また、同様にイソブタンガスに対する0.1atm%酸化セリウム添加ガス検知素子、0.1atm%酸化コバルト添加ガス検知素子及び0.05atm%酸化クロム添加ガス検知素子のガス濃度200ppmに対する年間を通じての指示濃度の変化を調べた。その結果を図18に示す。
尚、夏の高温環境(20g/m3)から始まり秋そして冬の低湿環境(4g/ m3)を経て春そして再び夏に至る場合の屋外通電測定での絶対湿度の年間を通 じての変化は図16に示す。
図17及び図18の結果に基づき、ガス濃度200ppmの指示値の年間を通じての変動幅の評価を割合(%)で計算し、濃度指示値の変動幅を200ppm±X%と表現しそのXの値で比較した。その結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
Figure 0003976883
【0027】
このように、屋外での通電性能評価試験の結果は実験室での実験結果とほぼ一致した。
【0028】
[別実施例]
以下に別実施例を説明する。
先の発明の実施の形態では、貴金属線材の素材として白金を用いたが、金属酸化物半導体を高温に保つヒーターの役割と半導体の電気伝導度変化を検出する電極としての役割を兼ねるものであれば他の素材でもよく、パラジウムと白金の合金等でも良い。
また、貴金属線材の形状としてコイルを採用しているが、これに限定されるものではなく、基板上にプリントされた電極でもよい。
金属酸化物半導体部の主成分に酸化スズを採用しているが、他のものでもよく、例えば、酸化インジウム等を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス検知素子一部破断斜視図
【図2】本発明のブリッジ回路図
【図3】各種ガスに対する酸化クロム添加ガス検知素子の相対感度曲線図
【図4】各種ガスに対する酸化コバルト添加ガス検知素子の相対感度曲線図
【図5】各種ガスに対する酸化鉄添加ガス検知素子の相対感度曲線図
【図6】メタンガスに対する酸化ランタン添加ガス検知素子のセンサ出力曲線及び相対感度曲線図
【図7】メタンガスに対する酸化セリウム添加ガス検知素子のセンサ出力曲線及び相対感度曲線図
【図8】メタンガスに対する酸化コバルト添加ガス検知素子のセンサ出力曲線及び相対感度曲線図
【図9】メタンガスに対する酸化鉄添加ガス検知素子のセンサ出力曲線及び相対感度曲線図
【図10】メタンガスに対する酸化クロム添加ガス検知素子のセンサ出力曲線及び相対 感度曲線図
【図11】イソブタンガスに対する酸化ランタン添加ガス検知素子のセンサ出力曲線及び相対感度曲線図
【図12】イソブタンガスに対する酸化セリウム添加ガス検知素子のセンサ出力曲線及び相対感度曲線図
【図13】イソブタンガスに対する酸化コバルト添加ガス検知素子のセンサ出力曲線及び相対感度曲線図
【図14】イソブタンガスに対する酸化鉄添加ガス検知素子のセンサ出力曲線及び相対感度曲線図
【図15】イソブタンガスに対する酸化クロム添加ガス検知素子のセンサ出力曲線及び相対感度曲線図
【図16】屋外測定環境における絶対湿度の変動を表す図
【図17】メタンガスに対する酸化セリウム、酸化コバルト、酸化クロム添加ガス検知素子の屋外通電評価試験におけるガス濃度指示値の年間変動を表す図
【図18】イソブタンガスに対する酸化セリウム、酸化コバルト、酸化クロム添加ガス検知素子の屋外通電評価試験におけるガス濃度指示値の年間変動を表す図
【符号の説明】
1 白金線コイル
2 金属酸化物半導体部

Claims (1)

  1. 電気伝導度の変化を検出する電極の周囲に原子価制御された酸化スズ半導体を主成分とする金属酸化物半導体部を備えたガス検知素子であって、
    前記電極が、前記金属酸化物半導体部を加熱する機能を備えた1本のコイルで構成されると共に、
    前記金属酸化物半導体部が、前記酸化スズ半導体に対してコバルト及び少なくとも一種の金属酸化物を、0.05atm%〜0.5atm%で添加してあるガス検知素子。
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