JPS582761B2 - 数値制御旋盤およびそれによる加工方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は水平主軸を垂直方向に複数個積み重ねて設け，
独立して同時に制御される対向刃物台の各々に主軸と同
数の工具保持体を各主軸に対応して垂直に積み重ねて設
けた，数値制御旋盤およびそれによる加工方法に関する
。

従来複数の主軸を有する旋盤では第１図に示すように１
つの横送り台上に主軸に対し同じ向きに主軸と同数の刃
物台が設けられ、該刃物台の各々に工具が各主軸中心線
に対し同じ位置関係に取付けられている。

そして各工具は複数制御装置により働きを制御され，同
一軌跡を描き複数の加工物を同時に加工する。

このような旋盤では１つの主軸に対し１本の工具が作用
するのみである。

そして刃物台が主軸に対し同じ向きに設置されるため刃
物台の移動あるいは工具の旋回により心押台を設けるこ
とがほとんど不可能でセンタ一作業が実施不可能であっ
た。

もし心押台を設けようとすれば主軸間隔を大きくとる必
要があり，全体の構造が大きくなることは不可避であっ
た。

又工具を工具保持体に取付けた時の各工具刃先と基準点
との取付誤差が工具によって異なるため工具補正を数値
制御装置により同時に複数個の工具に対して行なえず工
具特に仕上工具の取付には細心の注意と時間を要してい
た。

また第２図に示すものは主軸を水平面内に２つ配列し、
各主軸に対し１つの刃物台を有する往復台を前後両側に
対向して設け、それぞれを個別に数値制御装置によって
駆動するものである。

この種の旋盤においては各工具の工具補正を数値制御装
置により行うことができるが，第１図のものと同様１つ
の主軸に対し１本の工具が作用するのみである。

また主軸を水平に配列したため機械の前後方向の幅が大
きくなり，操作しにくい欠点がある。

また１本の主軸に対して左右ねじを有する１本の送りね
じに取付けた刃物台によって両側から加工するようにし
たものがあるが，一方の工具のみに補正移動させること
ができない。

そこで本発明は垂直方向に配列して２つの水平主軸に対
しその両側で個別に制御される対向する２つの刃物台の
各々に同じ指令で割出され且主軸と同数の工具保持体に
取付けた工具により荒削り加工では各主軸当り２本の工
具で両側から同時に加工し，又仕上加工では上段の主軸
の加工物を一方の刃物台の上段の工具保持体の工具で下
段の主軸の加工物を他方の刃物台の下段の工具保持体の
工具でそれぞれ加工する方法とこの方法を実施する旋盤
であって，各仕上工具の工具補正を数値制御装置により
行い、加工時間を短縮し仕上工具の取付けおよび工具補
正を容易に行なえるようにするものである。

本発明の実施態様を第３図ないし第５図により説明する
。

上面に長手力向に２組の摺動面６，６’，２６，２６’
を有し該摺動面間に切屑排出溝４０を設けたベッド１の
左上部に垂直に２段の水平主軸２Ａ，２Ｂを回転可能に
軸承する主軸台３が締着され，各主軸２Ａ，２Ｂの端面
に取付られたチャック４Ａ，４Ｂには各々に加工物５Ａ
，５Ｂが把持される。

ベッド１の上部手前側に主軸軸線方向（以後これをＺ軸
方向と記す。

これに対し水平面内で主軸と直交する切込方向をＸ軸方
向と記す）に設けられた摺動面６，６′に案内されＺ軸
方向にねじ７を介してサーボモータ（図略）で駆動され
る手前往復台本体８が載置されている。

該往復台本体８の上面にＸ軸方向に設けられた摺動面９
に案内され往復台本体８の前面に固設されたサーボモー
タ１０によりＸ軸方向に駆動される手前横送り台１１が
載置されている。

該横送り台１１上には垂直に積重ねられ回転軸心が主軸
２Ａ，２Ｂの軸心と平行で同一高さ位置に六角形の工具
保持体（以後六角タレットと記す）１２Ａ，１２Ｂを有
する手前刃物台１３が・・・固着されている。

該六角タレット１２Ａ，１２Ｂの各面は工具番号１２Ａ
−Ｌ１２Ａ−２〜１２Ａ−６，１２Ｂ−１，１２Ｂ−２
，〜１２Ｂ−６が付けられ適宜外径加工用工具、内径加
工用工具が取付けられる。

そして数値制御装置に指示された工具番号が主軸軸線に
向かった位置に割出し位置決め固定される。

又主軸２Ａ，２Ｂの後側には往復台等が手前側と対称に
構成されている。

即ちベッド１の上部後側にＺ軸方向に設けられた摺動面
２６，２６’上に手前側と対向して同一構造のねじ２７
，往復台本体２８，横送り台３１，刃物台３３，六角タ
レット３２Ａ，３２Ｂが載置されている。

前記対向後側六角タレット・３２Ａ，３２Ｂの各面は手
前側と同様に工具番号３２Ａ−１，３２Ａ−２〜３２Ａ
−６，３２Ｂ−１，３２Ｂ−２〜３２Ｂ−６が付けられ
ている。

手前および対向後側とも上下の六角タレットの工具番号
は１つの指令で同時に割出位置決めされる。

即ち手前側は工具番号指令１２−１で工具番号１２Ａ−
１，１２Ｂ−１が加工位置に位置決めされ同様に対向後
側は工具番号指令３２−２で工具番号３２Ａ−２，３２
Ｂ−２が加工位置に位置決めされる。

勿論六角タレットを４個別々にして割り出すようにする
ことも可能である。

一般に主軸２Ａ，２Ｂを反時計方向に回転させしかも今
加工物５Ａ，５Ｂの外径荒削りおよび仕上加工をするた
め各六角タレット１２Ａ，１２Ｂ，３２Ａ，３２Ｂに取
付けられる工具は加工位置において切刃が手前側が上向
き，対向後側は下向きになるよう取付けられる。

更にベッド１に設けられた前記摺動面６′，２６′の間
の下部に対向して摺動面４１，４１’がＺ軸方向に設け
られており、その面に案内されてＺ軸方向に移動可能な
心押台４２が載置されている。

該心押台４２には主軸２Ａ，２Ｂの軸心と一致する位置
に穴４３Ａ，４３Ｂが設けられ前端のテーパ穴にセンタ
４４Ａ，４４Ｂを挿着したスリーブ４５Ａ，４５Ｂがそ
れぞれ嵌挿され右側面に配設されているシリンダ４６Ａ
，４６Ｂで軸方向に駆動される。

なお前記センサ４４Ａ，４４Ｂに代えてドリル等を挿着
しうろことは勿論である。

心押台４２はボルト４７により摺動面４１，４１’をは
さんで心押台４２に吊り下げられた締板４８を締上げる
ことによってベッド１に緊定される。

そして上記構造において手前側の往復台本体８と横送り
台１１および対向後側の往復台本体２８と横送り台３１
は先に出願人が提案した特願昭５１−６８３７号の制御
手段を採用した４軸同時制御の数値制御装置により個別
に作動される。

勿論２軸同時制御の数値制御装置を２台使用することも
可能である。

次に作用について説明する。

以下説明する各動作はすべてあらかじめ数値制御に入力
された指令により行なわれる。

今，一例として手前六角タレット１２Ａ，１２Ｂの工具
番号１２Ａ−１，１２Ｂ−１に同一形状の荒削り工具１
４Ａ，１４Ｂを対応する主軸中心に対して同じ関係位置
に取付ける。

工具番号１２Ａ−２には工具を取付けず工具番号１２Ｂ
−２には仕上工具１５を取付ける。

対向側六角タレット３２Ａ，３２Ｂの工具番号３２Ａ−
１，３２Ｂ−１には前記工具１４Ａ，１４Ｂとは違う別
の外径加工をする工具３４Ａ，３４Ｂを対応する主軸中
心に対して同じ関係位置に取付け，工具番号３２Ａ−２
には前記仕上工具１５と同一形状の仕上工具３５を取付
ける。

工具番号３２Ｂ−２には工具を取付けない。

まず各六角タレット１２Ａ，１２Ｂ，３２Ａ，３２Ｂは
工具指令１２−１で工具番号１２Ａ−１，１２Ｂ−１、
が又工具指令３２−１で工具番号３２Ａ−１，３２Ｂ−
１が主軸に向かった加工位置に割出し固定される。

次に各刃物台１３，３３は独自にＸ，Ｚ軸方向に制御さ
れ加工物５Ａ，５Ｂの外径加工を手前側荒削り工具１４
Ａ，１４Ｂにて行い、対向後側荒削り工具３４Ａ，３４
Ｂにて前記工具１４Ａ，１４Ｂとは違った外径加工を同
時に行う。

両外形加工終了後各六角タレット１２Ａ，１２Ｂ，３２
Ａ，３２Ｂを旋回させ工具番号１２Ａ−２．１２Ｂ−２
，３２Ａ−２，３２Ｂ−２を加工位置に位置めさせる。

そして刃物台１３，３３を主軸軸線と対称に動作軌跡を
描くように制御し上部加工物５Ｂは手前上部六角タレッ
ト１２Ｂの工具番号１２Ｂ−２に取付けられた仕上工具
１５により，下部工作物５Ａは対向後側下部六角タレッ
ト３２Ａの工具番号３２Ａ−２に取付けられた仕上工具
３５によりそれぞれ仕上加工される。

作業後寸法計測によって加工された仕上寸法と目標寸法
との間に差があるとき，その値を上部主軸の加工物５Ｂ
については手前刃物台１３の工具番号１２−２の工具補
正量として下部主軸の加工物５Ａについては対向刃物台
３３の工具番号３２−２の工具補正量として数値制御装
置に入力し再び加工を行うものである。

尚心押台４２の作用は公知のものと同じである。

本実施態様は両刃物台１３，３３の各六角タレット１２
Ａ，１２Ｂ，３２Ａ，３２Ｂに外径加工工具を取付けた
が、一方の刃物台に外径加工工具、他方の刃物台に内径
加工工具を取付ければ同時に内外径加工ができることは
勿論である。

又工具保持体は六角タレットであるが，工具保持体を含
めた刃物台形状はこれに限られるものでなく従来の刃物
台を上下に積重ね下部に１つの割出機構を有するもので
も実施可能である。

以上説明したように本発明は垂直方向に２個配列した水
平主軸に対し主軸の前後両側にそれぞれ２個の工具保持
体を垂直方向に配列した対向する２つの刃物台を数値制
御装置により個別に制御し，一度に複数個の加工物を各
主軸当り２本の工具で同時に加工するようになし，仕上
加工において１つの刃物台での上段の工具保持体で１主
軸の加工物の仕上加工を行い、対向する他の刃物台での
下段の工具保持体で他の主軸の加工物の仕上加工を行う
ので各仕上工具の工具保持体への取付位置を調整するこ
となく補正量を数値制御装置へ個別に入力するだけで工
具補正が実施でき，荒削り工具の工具保持体取付の多少
の誤差が生じても，工具補正後の加工により目標寸法の
加工物を容易に得ることができる。

又仕上工具の取付が容易になり工具の取付時間を減少さ
せうる。

又荒削り加工のときの切削力が釣合うので重切削ができ
ると共に切削時間の大幅な短縮ができるまた同じ刃物台
上の２つの工具保持体は同じ指令で割出すようになした
ので指令が簡単になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術の説明図，第２図は他の従来技術の説
明図，第３図は本発明の実施態様の正面図．第４図は第
３図の右側面図，第５図は仕上加工における工具位置の
説明図を示したものである。 １……ベッド，２Ａ，２Ｂ……主軸，３……主軸台，６
，６’，２６，２６’……摺動面，１２Ａ，１２Ｂ，３
２Ａ，３２Ｂ……工具保持体（六角タレット）、１３，
３３……刃物台。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上下２段に配列した水平主軸に対応するように上下
   ２段に配列され割出し位置決めされる複数個の工具を有
   する工具保持体を載置し主軸軸線に対して対向するごと
   く設けられた２つの刃物台を主軸軸線方向並びに直交す
   る方向に数値制御装置によって個別に同時に制御し，ま
   た各刃物台上の上下２つの工具保持体は前記数値制御装
   置の１つの指令で同時に割出し，荒削り加工に際しては
   主軸の加工物に対し各刃物台を両側から涸別に送り制御
   し上段の主軸の加工物と下段の主軸の加工物に対して同
   じ刃物台の２つの工具保持体の工具で同時に加工し，仕
   上加工に際しては上下各主軸の加工物に対し別々の刃物
   台を対応させ一方の刃物台では上段の工具保持体は仕上
   工具を下段の工具保持体は工具の取付けてない面を、ま
   た他方の刃物台では上段の工具保持体は工具の取付けて
   ない面を下段の工具保持体は仕上工具をそれぞれ同じ指
   令で上下２つの工具保持体を加工物に対面するように割
   出し上段の主軸の加工物と下段の主軸の加工物とを，両
   側から個別の制御で同時に加工するようになしたことを
   特徴とする数値制御旋盤における加工方法。 ２ 切削排出溝を挾んで上面に対称に２組の摺動面を併
   設したベッドと，該ベッド上に前記２組の摺動面と平行
   でその中心垂直面に上下２段に配列された水平主軸を軸
   承した主軸台と、前記各組の摺動面上に主軸軸線に対し
   て対向し主軸軸線方向及びそれに直交する方向に移動可
   能にそれぞれ載置された２つの刃物台と，該各刃物台上
   垂直方向に上下２段の前記主軸に対応して上下２段に配
   列されるとともに複数本の工具を放射状に配列し同じ指
   令で同時に旋回割出される工具保持体と，前記２つの刃
   物台を主軸軸線方向及びそれに直交する方向に各々独立
   して４軸同時に制御する複数制御装置を備えてなること
   を特徴とする数値制御旋盤。