JPS5824409Y2 - フライバツクトランスの端子装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はテレビジョン受像機において使用するフライバ
ックトランスの端子装置に関するものである。

フライバックトランスコイルに樹脂モールドを施こす方
法として、第１図、第２図に示すものがある。

第１図の方法は絶縁ケース１にコイル２を収納すると共
に高圧リード線３引き出し口を封印する部材４を取り付
け、しかる後液状の樹脂５を注入し、加熱炉の中で該樹
脂を熱硬化せしめるものである。

第２図の方法は金型６，７内に低圧コイル８と高圧コイ
ル９を組合せて図示のように収納し、樹脂５を射出的に
施こすものである。

しかし、これらの方法は必ずしも優れたものとはいえな
い。

第１図では、絶縁ケース１や部材４を必須として部品点
数が増大するばかりでなく、樹脂注入後内部に生じてい
る気泡を取り除くための脱泡（真空ポンプで気圧を徐々
に下げることにより行なう）時間が長くかかり、作業性
が悪いと共に使用する樹脂がコイルやボビン等に対し密
着性のよいものでなければならないから樹脂の選択性が
狭められるという諸欠点があるからであり、また第２図
の場合には高圧コイル９が層間紙を介して順次多層に積
層巻きされたものであって射出成型時の圧力により巻線
分布が乱れるのを防ぐため予め別の樹脂を含浸硬化させ
てから金型内に入れてモールドするもので、コイルの含
浸とモールドが同時にできないという欠点があるからで
ある。

そして、これら従来技術においては端子ピン、特に低圧
コイル用の端子ピン１０．１１の保持部１２．１３より
下方側については樹脂モールドが行なわれるが、上方側
については何ら樹脂モールドされていない。

しかしながら、従来の第１図、第２図に示す方法より一
歩進んで第３図乃至第５図に示すように中空状の第１ボ
ビン１４に巻装した低圧コイル１５と複数の溝１６（第
４図参照）を有する第２ボビン１７に巻装された高圧フ
ィル１８とを組合せてなるフライバックトランスコイル
を第１、第２金型１９．２０内に入れ駒２１を使って固
定すると共に該金型内に絶縁樹脂２２を高温・高圧力で
圧入・硬化して前記コイル１５．１８の含浸とモールド
を同一の樹脂で同時に行なうようにする場合には、低圧
コイル端子ピン２３も金型内に収納されるので、このピ
ンが圧入された樹脂によって被覆されないよう配慮する
ことが必要となってくる。

本考案は、このような配慮を端子ピンに施して前述の有
用な方法を好適に実施できるよう工夫したフライバック
トランスの端子装置を提案するものである。

まず、コイルの含浸とモールドを金型内で同一樹脂で同
時に行なう場合には相当大きな射出圧力が金型内に加え
られるから金型内におけるコイルの固定は堅固でなけれ
ばならないことが１つの重要な要件であり、そのため入
れ駒２１（入れ駒も金型の一種である）を使用する。

入れ駒２１は第１金型１９と第２金型２０によって挾持
されるように固定されるが、この入れ駒２１は第５図に
も示されるように第１金型１９の大開口端を塞ぐに十分
な円形状の鍔部２１ ａと、該鍔部２１ ａの中央より
突出した脚部２１ ｂとを有していて、前記脚部２１
ｂにフライバックトランスの第１ボビン１４を嵌挿する
と共に鍔部２１ ａに設けた穴２４に端子ピン２３を受
は入れることで前記フライバックトランスコイル全体を
金型内に保持し、それ自身はその脚部２１ ｂの先端を
第１金型１９に形成した嵌合溝２５に嵌合して金型内で
の固定を確実にしている。

このとき第６図に示すように端子ピン２３に何ら工夫を
施こすことはなくそのまま穴２４に端子ピン２３を嵌入
せしめた場合には樹脂２２が端子ピン２３の先端２３
ａにも及ぶのでフライバックトランスをテレビセットに
取り付けて前記端子に配線を結合したとき接触不良が生
じ適当でないが、本考案に従い第７図の如く端子ピン２
３の中途に樹脂進行阻止用の鍔２３ ｂを設けたものに
おいては、このような不都合は生じない。

尚、第８図に示す如く端子保持部２６を入れ駒２１の穴
２４の径大部２４ ａに挿入するようにしてもよく、ま
た第９図の如く端子ピン保持部２６側に当接する第２鍔
２３ Ｃを設けて鍔を二重に形成してもよい。

以上の通り、本考案では端子ピン先端２３ ａが樹脂成
型用の金型の逃げ穴に挿入されたとき樹脂が前記先端側
に流出することがなく、従ってこのピンの導電性が損な
われることはない。

そして、このような配慮をしていることから端子ピンを
も含めコイル全体を金型内に堅固に配置してフライバッ
クトランスコイルの射出成型が可能となる。

また、本考案の端子装置では端子ピン保持部近傍をも樹
脂モールドしているため端子ピンの強度があがるという
効果もあり、本考案は極めて有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はそれぞれ従来例を説明するための一
部断面図である。 第３図は本考案の端子装置に関し、フライバックトラン
スコイルにモールド樹脂を施こす様子を示す断面図であ
り、第４図は同じくそのコイルを分解して示す斜視図、
第５図は成型用金型の一部を示す斜視図である。 第６図は本考案を採用しない場合に生じる不都合を説明
するための図面である。 第７図は金型内における本考案の端子装置を示す図面で
あり、第８図、第９図は同じく本考案の他の実施例につ
いて示す図面である。 １９．２０．２１・・・・・・金型、２３・・・・・・
端子ピン、２２・・・・・・樹脂、２３ａ・・・・・・
端子ピンの先端、２１ ｂ・・・・・・端子ピンの鍔、
２６・・・・・・端子ピン保持部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 低圧コイル端子ピンが設けられた中空状の第１ボビンに
   巻装した低圧コイルと複数の溝を有する第２ボビンに巻
   装された高圧コイルとを組合わせてなるフライバックト
   ランスコイルを金型内に固定するとともに前記金型内に
   絶縁樹脂を高温・高圧力で注入硬化して前記両コイルの
   含浸とモールドを行なうものにおいて、前記端子ピンの
   先端が前記金型の逃げ穴に挿入されたとき樹脂が前記先
   端側に流れ端子ピンの導電性が損なわれるのを阻止する
   ための鍔を端子ピンの中途に形成して端子ピン保持部近
   傍を樹脂でモールドしたフライバックトランスの端子装
   置。