JPS607449Y2 - フライバツクトランスのコイルボビン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はテレビジョン受像機において使用するフライバ
ックトランスのコイルボビンに関するものである。

フライバックトランスコイルに絶縁樹脂を施こす方法と
して第１図、第２図に示すものがある。

第１図の方法は絶縁ケース１に低圧コイル２と高圧コイ
ル３を組合せて収納すると共に高圧リード線５の引き出
し口を封印する部材６を取り付け、しかる後、液状の樹
脂４を注入し、加熱炉の中で該樹脂を熱硬化せしめるも
のである。

第２図の方法は金型７，８内に低圧コイル９と高圧コイ
ル１０を組合せて図示のように収納し、樹脂１１を射出
的に施こすものである。

しかし、これらの方法は必ずしも優れたものとはいえな
い。

第１図では、絶縁ケース１や部材６を必須として部品点
数が増大するばかりでなく、樹脂注入後内部に生じてい
る気泡を取り除くための脱泡（真空ポンプで気圧を徐々
に下げることにより行なう）時間が長くかかり作業性が
悪いと共に使用する樹脂がコイルがボビン等に密着性の
よいものでなければならないから樹脂の選択性が狭めら
れるという諸欠点があるからであり、また第２図の場合
には高圧コイル１０が第３図の如く眉間紙１２を介して
順次多層に積層巻きされたものであって射出成型時の圧
力により巻線分布が乱れるのを防ぐため予め別の樹脂１
３を含浸硬化させてから金型内に入れてモールドするも
ので、コイルの含浸とモールドが同時にできないという
欠点があるからである。

このような従来の第１図、第２図に示す方法より一歩進
んで第４図以下に示すように中空状の第１ボビン１４に
巻装した低圧コイル１５と複数の鍔１７（第５図参照）
を有する第２ボビン１６に巻装された高圧コイル１８と
を第２ボビン■が外側になるように放射方向に一定の間
隙をもって組合せてなるフライバックトランスコイルを
第１、第２、第３金型１９．２０．２１内に入れ駒２２
を使って固定すると共に該金型内に絶縁樹脂２３を高温
・高圧力で圧入、硬化して前記コイル１５．１８の含浸
とモールドを同時に行なう方法が望ましい。

前記において、入れ駒２２は第１、第２、金型１９，２
０と第３金型２１によって挾持されるように固定される
が、この入れ駒２２は第６図にも示されるように第１、
第２、金型１９．２０の大開口端を塞ぐに十分な円形状
の鍔部２２ａと該鍔部２２ａの中央より突出した脚部２
２ｂとを有していて、前記脚部２２ｂにフライバックト
ランスの第１ボビン上土を嵌挿すると共に鍔部２２ａに
設けた穴２２ｃに端子ピン２４をを受は入れることで前
記フライバックトランスコイル全体を金型内に保持し、
それ自身はその脚部２２ｂの先端を第１、第２、金型１
９，２０に形成した嵌合溝２５に嵌合して金型内での固
定を確実にしている。

このため第１ボビン土工の固定はしつかりしているが、
第２ボビン１６は第１ボビン土工に対し放射方向に多少
離間して配置されており、しかも一端において第１ボビ
ンと結合されている（凹凸による嵌合）に過ぎないので
樹脂射出時の高圧力により第２ボビン１６が第７図に示
すようにゲート２６とは反対側に押しやられて左側では
樹脂層が薄くなって絶縁耐電圧が低下し、斯るフライバ
ックトランスは放電の可能性がでてきて危険である。

本考案はこのような点に鑑み、金型内での前記第２ボビ
ンの固定をはかるよう工夫したフライバックトランスの
コイルボビンを提案するものである。

第８図は本考案による第２ボビン旦を示す。

この実施例では複数の鍔１７のうち端部の２つ１７ａ、
１７ｂに金型内壁に当接する突起２７を形成しであるが
、これに限定されることなく更に他の鍔にも突起を設け
てもよいことは言うまでもない。

第９図は前記第８図に示された第２ボビン■を金型内に
挿入したときの様子を示している。

尚、当然のことながら第２ボビン１６は第１ボビン上土
と組合せられて第４図のように入れ駒２２を使って金型
内に配置されるものであるが、ここでは簡単のため第２
ボビン１６のみを示しである。

この第２ボビン１６の構造によれば鍔部周面に形成した
突起２７は金型１９，２Ｇの内壁に当接して金型内にお
けるボビン１６の放射方向の位置決めを十分になしてい
る。

従って、第１０図の如く金型内に樹脂２３を高圧力でゲ
ート２６から圧入しても第２ボビン１６は何ら動かされ
ず、樹脂２３は均一に施される。

以上の通り本考案のフライバックトランスボビンによれ
ば絶縁樹脂が均一に施されるので、絶縁破壊が生じると
いう虞れは生じない。

また第１ボビン１４と第２ボビン１６との間の間隔も一
定に保たれるので、金型から前記樹脂の施されたフライ
バックトランスコイルを取り出して、第１ボビンの中空
部に磁芯を挿通してフライバックトランスを組立てた場
合においても、該磁芯に対する高圧コイル１８の位置は
一定であり、従って高圧コイルの分布容量がバラツクこ
とかなく、よく知られた高調波同調がとり易いという効
果もあり、本考案は極めて有用である。

そして、このようなことから、フライバックトランスコ
イルを金型内に入れ駒を使って固定すると共に該金型内
に樹脂を高圧力で射出して前記コイルの含浸とモールド
を同時に行なう絶縁樹脂を施こす方法の実施化が容易と
なる。

尚、前記第２ボビン１６には第１１図に示すように整流
用のダイオード２８を取り付ける溝２９を鍔１７，１７
により形成するが、この部分にはコイル線が巻回されな
いので、第１１図のように底部が角ぼっていると金型内
での圧力が矢印に示す通り均等でなくなり、樹脂充填不
足部分が生じがちとなるが、第１２図のように底部を丸
く仕上げておくと、そこに加わる圧力が矢印に示す如く
一定となり、第１１図の場合のような不都合を回避でき
る。

従って、このような手当を第２ボビン■に付加しておく
と一層前記方法が好適となるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は従来行なわれていたフライバックトラ
ンスコイルに絶縁樹脂を施こす方法を示す図面であり、
第３図は第２図の説明図である。 第４図はフライバックトランスコイルに絶縁樹脂を施こ
す新規な方法を示す図面であり、第５図はそれに使用す
るコイルの組立てる前の状態を示す平面図、第６図は使
用する金型の要部斜視図である。 第７図は本考案のボビンとは異なるボビンを使用したと
きの欠点を説明するための断面図である。 第８図は本考案を実施したボビンを示す斜視図であり、
第９図はそれを金型内に入れたときの状態を示す図面、
そして第１０図は本考案のボビンによる効果を示す断面
図である。 第１１図、第１２図は本考案のボビンに関する補足的説
明図である。 土工・・・・・・第１ボビン、１５・・・・・・低圧コ
イル、１６・・・・・・第２ボビン、１７・・・・・・
鍔、１８・・・・・・高圧コイル、１９，２０，２１・
・・・・・金型、２２・・・・・・入れ駒、２３・・・
・・・樹脂、２７・・・・・・突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 低圧コイルを巻装した中空状の第１ボビンと、高圧コイ
   ルを巻装した複数の鍔付第２ボビンとを第２ボビンが外
   側になるように放射方向に一定の間隙をもって組合せて
   なるフライバックトランスコイルを金型内に第１ボビン
   に入れ駒を嵌挿することにより固定すると共に該金型内
   に樹脂を高圧力で射出して前記コイルの含浸とモールド
   を同時に行なうフライバックトランスのコイルボビンで
   あって、前記第２ボビンの複数の鍔にそれぞれ金型内壁
   に当接して第２ボビンの中心軸を一定に保つ複数の突起
   を設けたことを特徴とするフライバックトランスのコイ
   ルボビン。