JPH0474935B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は環状の固定子鉄心の各スロツト毎に、
継鉄部に直交するように巻線を巻回する、いわゆ
るトロイダル形巻線を施す電動機固定子に関する
ものである。

従来例の構成とその問題点 近年、電動機の小型軽量化に伴なつて薄型化の
要求も強くなつてきており、電動機の主要部を構
成する固定子の鉄心の各スロツト毎の継鉄部にト
ロイダル状の巻線を施した後、樹脂でこの巻線を
成形し、電動機の薄型化を促進し、合せて材料費
の節減と効率向上を図つた電動機が注目を浴びて
いる。

以下図面を参照しながら、上記したような従来
の電動機固定子について説明を行う。

第１図は従来の電動機固定子の樹脂成形後の構
成を示すものであり、固定子鉄心１の表面に絶縁
層２を形成した後巻線３を巻回し、その端末４と
リード線５を結線部６で結線し、絶縁チユーブ７
で結線部６を絶縁する。結線されたリード線５は
リード線ブツシユ８を通して外部に引き出され
る。上記のようにして構成された固定子を成形金
型に挿入し、樹脂９で成形して固定子を完成す
る。

この樹脂成形の際、リード線５は、樹脂の成形
圧力や流れによつて移動し、固定子内径部１０や
樹脂端面１１に露出する不良が従来多く発生して
いた。このため、第２図の従来の固定子の巻線完
成品に示すように、縛り糸でリード線５同志を縛
る１２、鉄心１とリード線５を縛る１３、あるい
は接着剤で固定１４するなどの固定手段を用いて
リード線の移動を防止する対策がなされていた。

しかし、上記のような手段では巻線工数がかか
り、製造コストが高くなる。また、接着剤が巻線
の絶縁被膜を劣化させ品質の低下を招くなどの欠
点を有していた。

一方、第３図は従来の固定子の分割鉄心を示す
ものであり、分割鉄心１５に巻線機１６で巻線３
を巻回する過程、あるいは巻回後巻線３の１部が
崩れ分割面１７にはみ出す不良があり、巻線機１
６に特別の装置を付属するなど、製造コストが高
くなる問題があつた。

発明の目的 本発明は上記欠点に鑑み、環状の固定子を構成
する複数の分割鉄心の各分割鉄心毎の、分割面近
傍で、鉄心の上下両端面部に壁状の突出部を、鉄
心の絶縁層と一体に形成し、リード線の固定と、
巻線の分割面へのはみ出し防止を図り、品質の良
い、廉価な電動機固定子を提供するものである。

発明の構成 この目的を達成するために本発明の電動機固定
子鉄心は、固定子鉄心を構成する複数の分割鉄心
のスロツト内周面及び上下両端面と、外周面に各
分割鉄心と一体的に電気絶縁に供する樹脂で射出
成形し、絶縁層を形成すると共に、各分割鉄心毎
の分割面近傍の上下両端面にあつて、分割面と略
平行で、軸方向に突出する壁状の突出部を前記絶
縁層と一体に形成し、この突出部に、固定子リー
ド線外径より狭い巾のリード線固定用溝を備えて
構成されたものであり、このリード線固定用溝に
リード線を固定して、固定子巻線を樹脂成形し、
成形時にリード線が移動することを防止すると共
に、固定子の巻線が分割鉄心の分割面にはみ出す
ことを阻止するものである。

実施例の説明 以下本発明による一実施例について図面を参照
しながら説明する。第４図は本発明の一実施例に
おける電動機固定子の巻線完成品を示すものであ
る。図において、１８は分割面１７近傍に配置し
た壁状の突出部であり、結線部６から出たリード
線５は、この突出部１８に固定され、リード線ブ
ツシユ８を通して外部に引き出されている。

一方、巻線３はこの壁状の突出部１８によつて
分割鉄心１５の分割面１７へのはみ出しが阻止さ
れている。

第５図は本発明の一実施例における壁状の突出
部１８を示すものである。リード線外径よりも狭
い巾１９で形成したリード線固定用溝２０に、リ
ード線５を狭んで固定し、固定子巻線３を樹脂成
形する際に、リード線５が移動して、固定子内径
部に露出することを防止している。

尚、本実施例では、１ケ所の壁状の突出部１８
にリード線固定用溝２０を１ケ所配置したが、１
ケ所の壁状の突出部に複数ケ所のリード線固定用
溝を配置してもよい。また、リード線５を配置す
る位置の突出部にのみ、リード線固定用溝を配置
してもよい。

発明の効果 以上の説明から明らかのように、本発明は、従
来例の如く、電動機固定のリード線を固定するた
めに、リード線同志を結束したり、リード線を巻
線や鉄心に縛り付けたり、あるいは、接着剤で固
定するのではなく、固定子鉄心を構成する各分割
鉄心を電気絶縁に供する樹脂で一体的に絶縁層を
形成し、この絶縁層の上下両端面の分割面近傍に
固定子のリード線固定用溝を備えた壁状の突出部
を、絶縁層と一体的に形成することにより、固定
子巻線を樹脂成形する際に、リード線が移動する
ことを防止できると共に、固定子の巻線が分割鉄
心の分割面にはみ出すことを阻止することがで
き、その実用的効果は大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例による電動機固定子の樹脂成形
後の横断面図、第２図は従来例による電動機固定
子の巻線完成品の斜視図、第３図は分割鉄心の巻
線を示す斜視図、第４図は本発明の一実施例にお
ける電動機固定子の平面図、第５図ａ，ｂは本発
明の一実施例における壁状の突出部の平面図およ
び断面図である。 １……固定子鉄心、２……絶縁層、３……巻
線、５……リード線、９……樹脂、１５……分割
鉄心、１７……分割面、１８……突出部、２０…
…リード線固定用溝。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 積厚方向と略直角に分割した複数の分割鉄心
   の各々の分割面を接合してなる環状の電動機固定
   子の、各分割鉄心毎のスロツト内周面、上下両端
   面及び外周面に分割鉄心と一体的に絶縁層を形成
   すると共に、この絶縁層の上下両端面の分割面近
   傍にあつて、分割面と略平行で軸方向に突出した
   壁状の突出部を絶縁層と一体に形成し、前記突出
   部は固定子巻線に接続したリード線外径より狭い
   巾のリード線固定用溝を備え、前記リード線を前
   記溝に挿入し固定してなる電動機固定子。