JPS5812390B2 - 絹の加工方法 - Google Patents

絹の加工方法

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JPS5812390B2
JPS5812390B2 JP12370176A JP12370176A JPS5812390B2 JP S5812390 B2 JPS5812390 B2 JP S5812390B2 JP 12370176 A JP12370176 A JP 12370176A JP 12370176 A JP12370176 A JP 12370176A JP S5812390 B2 JPS5812390 B2 JP S5812390B2
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は絹の加工方法、特に絹糸、その他の絹製品を
増量改質する加工法に係わる。
絹の増量加工は古くより知られているが、lO数年位以
前よりビニル基を有する化合物(以下ビニルモノマーと
いう)でもって絹を増量加工する方法の研究が進み、商
業化に発展していった。
この加工法ではビニルモノマーが絹繊維に対しグラフト
重合しているとされ、一般的に絹のグラフト加工或いは
絹のグラフト重合加工と称せられている。
そしてこの加工は単に絹の増量にとどまらず、一般的に
風合い、光沢、防しわ性、防カビ性等が良好になるとさ
れ、改質法であるともいわれている。
この加工法で最初に商業化されたのはスチレン次いでメ
チルメタクリレートによるグラフト加工であるが、これ
らビニルモノマーは水不溶乃至難溶性(メチルメタクリ
レートはスチレンに比べれば水に溶け易い)であるため
、水性媒体中で重合を行なわせるために乳化剤を必要と
し、またモノマーに特有の臭気があったり、燃え易いな
どの問題があった。
更にこれらのビニルモノマーによって増量加工された製
品は吸湿性が悪く、燃え易く、増量率が上がるにしたが
って染色性が阻害され、加工斑が生じたときには、それ
がそのまゝ染色斑となって現われる。
また静電気による不都合もあった。
かゝる不都合を克服するため、ヒドロキシエチルアクリ
レート(或いはメタクリレート)又はヒドロキシプロピ
ルアクリレート(或いはメタクリレート)を使用して絹
のグラフト加工を行う方法が提案された(特公昭46−
28684号公報参照)。
これらのヒドロキシ化合物は水溶性であって、臭気の問
題もなく、更にそのグラフト加工品は水に対する親和性
があるため、帯電性の問題がなく、染色斑の問題につい
ても前記二者に比べ改善されている。
しかしながら染色性において、この加工絹糸と未加工絹
糸とを同じ浴中で一緒に染色すると加工絹糸の方が未加
工絹糸にくらべ50〜70%程度の濃度にしか染まらな
い。
このことは加工斑があれば染色斑を生ずることにつなが
る。
また増量率が高まるに従って固くなる傾向を示し、燃焼
性も未加工絹糸に比べると燃え易い。
その他に、水溶性化合物であるアクリル酸アマイドでも
って絹をグラフト加工する試みも報告されているが、〔
長峰秋夫氏「絹グラフト重合法の工業的利用について(
1)」京染と精練染色、第19巻第1号(1968年)
〕この報文によればアクリルアマイドはグラフト効率が
悪く、増量目的には向かないとある。
事実本発明者の知見によってもグラフト効率は非常に悪
く、使用モノマーの10%以下しか増量されず、風合い
は絹に近い特性を示すが、絹の増量加工法としては工業
的といえない。
またジャーナルオブ ザ コレアン ケミカル ソサイ
エテイ、第13巻第4号(1969年)第365〜37
1頁に、硝酸第2セリウムアンモニウムを触媒とし、メ
タクリル酸アマイドを絹にグラフト重合する方法が報告
されているが、この方法によるときは、グラフト効率、
増量率共に著しく悪く、到底工業的に成立し得ないもの
である。
上記のような背景にかんがみ、本発明者は絹に一層近い
特性を示すグラフト加工品を得るため鋭意研究を重ね本
発明を完成した。
本発明は、グラフト加工製品の好ましい性質を保持し、
しかも未加工の絹に劣る性質、特に染色性、燃焼性を改
善した絹のグラフト加工品を得る方法を提供することを
目的とするものであって、その要旨とするところは過酸
化物系ラジカル重合触媒の存在下、水性媒体中でメタク
リル酸アマイドで絹繊維をグラフト加工することを特徴
とする絹の加工方法に存する。
以下、本発明方法を詳細に説明する。
本発明方法で用いるメタクリル酸アマイドは水溶性であ
るので、このビニルモノマーを単独使用する場合は水溶
液で用いる。
そして本発明方法では、このメタクリル酸アマイド使用
による特長を著しく損なわない範囲で他のビニルモノマ
ーを添加して使用することができる。
この場合、さきに挙げたヒドロキシエチルメタクリレー
トのような水溶性ヒドロキシ化合物を混用する場合は、
このものとメタクリル酸アマイドとの相溶性は良く、如
何なる割合ででも混合でき、水溶液で用いられる。
そしてこれらヒドロキシ化合物はメタクリル酸アマイド
の特色を失なわない程度、通常、50重量%以下の量で
混用するのがよい。
水不溶性乃至難溶性のビニルモノマー例えばスチレン、
メタクリル酸アルキルエステル(例えばメチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、ノルマルブチルメタク
リレート、インブチルメタクリレート等)と併用する場
合は乳化剤を用い水分散液の形で重合を行なわせるのが
よい。
そしてこれらビニルモノマーの混用割合もメタクリル酸
アマイドの特長を著しく損なわない範囲で用いられる。
これらビニルモノマーは前記ヒドロキシ化合物に比べ使
用割合を少な目にする方がよく、通常25重量係以下に
止めるのがよい。
また、これらビニルモノマーと前記ヒドロキシ化合物を
メタクリル酸アマイドと併用してもよい。
上記のようにメタクリル酸アマイドに他のビニルモノマ
ーを併用するときは、絹繊維に対し共重合した形でグラ
フト重合するものと考えられるが、メタクリル酸アマイ
ドが主要量用いられるときは、メタクリル酸アマイドの
特色は発揮される。
そしてメタクリル酸アマイドと共重合し得る化合物は上
記以外にも、メタクリル酸アマイドの特色を損なわない
範囲で用いることができる。
また、メタクリル酸アマイドに少量のアクリル酸アマイ
ドを添加して用いることもできる。
この添加は増量というよりもむしろ風合いなどの特性を
一層よくする上で好ましい。
本発明方法ではメタクリル酸アマイド及び必要に応じ上
記のようなビニルモノマーとを水溶液或いは水分散液の
形で用いるが、その量は絹に対する増量目標に従って定
めればよい。
そしてこれら水性媒体中にはグラフト重合を行なわせる
触媒、例えば過硫酸カリ、過硫酸アンモニウムのような
過硫酸塩、過硼酸塩、過酸化水素のようなラジカル重合
触媒を添加する。
またこれらと亜硫酸塩とでレドツクス重合を行なわせる
こともできる。
そしてこの処理浴は酸性とするのが好ましく、pH1.
8〜2.5の範囲内が最も良好である。
絹紡糸での実験ではp}16. 5でも65%程度の増
量効果を示す。
本発明方法の加工操作は特別のものである必要はなく、
従来知られているビニルモノマーによるグラフト加工に
準じて行なうことができる。
その1例を示すと、20〜30℃の温湯にビニルモノマ
ーを溶かし、(水不溶性モノマー併用のときは乳化剤を
使用)この浴に硫酸のような酸性物質を加えて上記の範
囲にpHを調整し、過硫酸塩等のラジカル重合触媒をモ
ノマーに対し1.5〜2.5重量係加え、被処理物たる
絹製品を入れ、適度の攪拌をしながら徐々に昇温し、4
5〜60分間で85〜95℃とし、その温度で30〜4
5分間攪拌をつづける。
しかる後、被処理物を取出し、湯洗い次いで水洗した後
、排イオン又はアニオン界面活性剤中で、60〜100
℃において10〜30分間ソーピングし、再度水洗する
本発明方法は繊維、糸、織布等の絹製品に対し、何れも
適用できる。
以上のようにして本発明方法は実施されるが、従来のビ
ニルモノマーによるグラフト加工においては、過硫酸塩
等の酸化作用のため、加工絹が黄褐色を帯びる傾向を示
すが、本発明の加工法によれば殆んど黄褐色を帯びない
ため、純白を要求されない限り漂白処理を必要としない
純白を要求されるときは0.3g/lのエチレンジアミ
ンテトラアセテート及び1g/lのハイドロサルファイ
トの割合のものをソーピング中に入れて処理すればよい
このようにして得られる加工絹は2..5cc/lアン
モニア水中で1時間煮沸しても変化せず、また炭素系溶
剤によっても不溶性のため溶出しない。
本発明方法によってグラフト加工された絹は染色性及び
燃焼性において従来のビニルモノマーによるグラフト加
工品よりも著しく優れており、未加工絹のそれに著しく
近似している。
この事実は以下の実験結果から明白である。
下記の表において、染色性は表示する夫々のビニルモノ
マーでグラフト加工された絹糸又は絹紡糸と、加工され
ていない絹糸又は絹紡糸とを同一染色浴(浴比1:20
)に入れ(加工絹は加工前の絹の重量に換算し未加工絹
と同重量用いる)、夫々の表に示す染料を用い、90%
酢酸を1重量係加えた染色浴で煮沸染色したものについ
てである。
その数値は未加工絹染色物の濃さを基準値100とし、
肉眼で判定した濃度である。
表中、染料名の前の係数は、被染色絹の重量に対する染
料の使用重量%である。
C.Iはカラーインデツクスである。
燃焼性は加工糸を5〜6cmとり、一端をライターで着
火し、燃焼状態を肉眼で観察したものである。
表中増量率は次式による。
加工後の絹の重量−加工前の絹の重量/加工前の絹の重
量×100ビニルモノマーの名称において、STはスチ
レン、BMAはノルマルブチルメタクリレート、HEM
Aは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、HPMAは
ヒドロキシプロピルメタクリレート、MAAはメタクリ
ル酸アマイド(本発明による場合)であり、モノマー混
用の場合の略号の次の括弧内の数値は割合を示す重量%
である。
上記第1〜4表におけるグラフト加工の条件は下記第5
表に示す通りであり、グラフト加工、後処理は後記実施
例lの方法に準じて行なった。
この表中、実験番号に付したAは第1表の実験番号を表
わし、同様にBは第2表、Cは第3表の実験番号を示す
第4表のものは、第3表と同じ加工条件でグラフト加工
したものを分割し、染色性を調べたものである。
pH調整のためには98%硫酸を水B当り0.4cc使
用し、触媒の過硫酸アンモウは使用モノマーに対し2.
5重量係用いた。
マタ実験番号A−1 ,A−2 ,C−1 ,C−2
,C一5およびC−6では水不溶性モノマーを用いてい
るので、モノマーに乳化剤を加えた。
次に本発明の実施例を説明する。
実施例 l 15gのメタクリル酸アマイドを30℃の温湯450c
cに溶かし、98%濃硫酸を0.18.、CC加え、更
に過硫酸アンモニウム0.3gを加え、その中へ予め精
練済みの絹糸(21/6片)22.;l(生糸の目方と
しては30.45g)を入れ、攪拌しながら徐々に温度
を上げ、約50分を要して90°Cまで昇温し、その温
度で更に30分間、加熱、攪拌を続け、シ.かる後、湯
洗、水洗、ンーピング、水洗を回ナい、最後に乾燥し、
32.1gの加工糸を得た。
このようにして得られた加工絹糸は感触、光沢、白度と
も、殆んど未加工絹糸と変らないものであった。
実施例 2 2.5gのメタクリル酸アマイドと2.5gの2一ヒド
ロキシエチルメタクリレートとを混合して、30℃の温
湯150ccに溶かし、98%濃硫酸0.06CCを加
え、更に0.1gの過硫酸アンモニウムを加え、その中
に予め精練済みの絹糸(21/6片)7.5.5g.(
生糸の目方にして10.2g)を入れ、攪拌しながら徐
々に温度を上げ、約50分間で90℃まで昇温し、その
温度でなお30分間加熱を続け、しかる後、湯洗、水洗
、ソーピング、水洗を行ない、最後に乾燥して10.8
gの加工絹糸を得た。
実施例 3 2.5gのメタクリル酸アマイドと2.5gのヒドロキ
シプロピルメタクリレートを混ぜ合わせ、30℃の温湯
150ccに溶かし、この中に98%濃硫酸0.06c
cを加え、更に0.1gの過硫酸アンモニウムを加え、
この浴に予め精練済みの絹糸(21/6片)7.4 5
g(生糸の目方10.1g)を入れ、実施例2と同様に
操作し、11.2gのグラフト加工絹糸を得た。
実施例 4 2.5gのメタクリル酸アマイドと2.5gのアクリル
酸アマイドを30℃の温湯150ccに溶かし98%濃
硫酸0.06ccを加え、更に0.08gの過硫酸カリ
及び0.02CCの過酸化水素(35%濃度)を加え、
その中へ予め精練済みの絹糸(21/6片)7.45g
(生糸の目方10.1g)を入れ、以下実施例2と同様
に操作し、9.1gの加工糸を得た。
この加工糸の風合いは未加工絹糸によく似たものである
が、グラフト加工効率は良くない。
実施例 5 30gのメタクリル酸アマイドを30℃の温湯450c
cに溶かし、98係i硫酸0.18CCを入ね、更に0
.5gの過硫酸アンモニウムを加え、その中に予め精練
済みの絹紡糸( 140/2双)30.351を入れて
攬拌しながら徐々に温度を上げ、約60分で90℃まで
昇温し、その温度でなお30分間、加熱、攪拌を続け、
しかる後、湯洗、水浅ソーピング、水洗を行ない、最後
に乾燥して58.75gの加工糸を得た。
これは加工効率にして93.66%であり、95.8%
という高増量にもかかわらず、非常に柔軟性に富み、絹
の風合いに近いものであった。
実施例 6 10gのメタクリル酸アマイドを30℃の温湯150c
cの中に溶かし、98係濃硫酸0.06CC,更に0.
2gの過硫酸アンモニウムを加え精練済みの絹紡糸(1
40/2双)10.05gを入れ、以下実施例5と同様
に操作し加工絹糸を得た。
これと同様にして、メタクリル酸アマイドに2−ヒドロ
キシメタクリレート(HEMA)を混合し、その混合割
合を増大してグラフト加工品を得た。
上記夫々の加工品において、メタクリル酸アマイドの使
用割合が大きいほど、風合いは軟らかく、絹に近い。
HBMA単独のものはシャリツとした感じがして固い。
実施例 7 5gのメタクリル酸アマイド及び5gのヒドロキジプロ
ピルメタクリレートを30℃の温湯150ccに溶かし
、98係濃硫酸0.06cc更に0.3gの過硫酸アン
モニウムを加え、精練済みの絹紡糸(140/2双)9
.85gを入れ、以下実施例5と同様に操作して18.
8gの加工糸を得た。
実施例 8 13gのメタクリル酸アマイド及び2gのスチレン(乳
化剤0.2g)を30℃の温湯225cc中に加えて水
性分散液を調製し、これに98%濃硫酸0.09cc,
更にO.:lの過硫酸アンモニウムを加え、精練済みの
絹紡糸(140/2双)15.35gを入れ、以下実施
例5と同様の操作を行なって25.7gの加工糸を得た
この加工糸は親水性で軟らかく、絹に近い風合いを有す
る計しかし増量効率はあまり良くない。
実施例 9 13gのメタクリル酸アマイド及び2gのノルマルブチ
ルメタクリレート(乳化剤0.2g)を用い、実施例8
と同様に操作し、精練済みの絹紡糸(140/2双)1
5.4gから27.4gのグラフト加工糸を得た。
このものも親水性で軟らかく、絹に近い風合いがあった
実施例 10 100ccの水の中へ6gのメタクリル酸アマイドを入
れ、0.03ccの硫酸(98%)と0.15gの過硫
酸カリを加え、その中に精練済みの絹糸(21/6片)
7.47gを入れ、実施例1記載の方法と同様にして加
工を行なった。
得られた加工絹糸は、柔軟な、未加工絹糸と同様の風合
いを有していた。
増量率、グラフト加工効率等の結果を下記第6表に示す
実施例 11 100ccの水の中に6gのメタクリル酸アマイドを入
れ、0.03ccの硫酸(98%)および0.15cc
の過酸化水素(35%)を加え、その中に精練済みの絹
糸(21/6片)7.68gを入れ、実施例1記載の方
法と同様にして加工を行った。
得られた加工絹糸は柔軟で、未加工絹糸と同様の風合い
を有していた。
増量率等の結果を下記第6表に示す。
実施例 l2 100ccの水の中に6gのメタクリル酸アマイド、0
.03CCの硫酸(98チ)および0.15gの過硼酸
ソーダを入れ、その中へ精練済みの絹糸(21/6片)
7.43gを入れて、以下実施例1と同様にしてグラフ
ト加工を行なった。
得られた加工絹糸は柔軟で、未加工絹糸と同様の風合い
を有していた。
増量率等の結果を下記第6表に示す。次にグラフト加エ
モノマーとしてアクリル酸アマイドを用いた比較例を示
す。
比較例 l 100ccの水の中に5gのアクリル酸アマイド,0.
03CCの硫酸(98%)および0.125gの過硫酸
アンモニウムを入れ、その中に精練済みの絹糸(21/
6片>7.3gを入れ、実施例1記載の方法と同様にし
て加工を行なった。
加工上りの重量は7.7 5.9で増量率は6.2%、
グラフト加工効率は9%という極めて悪いものであった
ただ得られた加工絹糸は風合いの柔軟なものであった。
比較例 2 被処理絹糸として7.1 9gの絹糸(21/6片)を
用い、アクリル酸アマイドを7g用いる点を除き、その
他は比較例1と同様にしてグラフト加工を行なった。
加工上りの重量は7.86gであって、増量率は9.3
%、加工効率は9.6%という極めて悪いものであった
ただ得られた加工絹糸は風合いの柔軟なものであった。
モノマーとしてアクリル酸アマイドを用いた上記比較例
においては、グラフト加工中、浴の液の粘度が上がり、
糊の中で加工しているような状態であった。
本発明方法に従ってモノマーとしてメタクリル酸アマイ
ドを用いる場合では同程度の量のセノマーを用いても、
このような粘度上昇は起らず、操作は円滑に進行する。
このようにアクリル酸アマイド使用の場合、浴液の粘度
が上昇するのは、このモノマーが絹に対しグラフト反応
を起こさず、浴液中でホモポリマーとなり、粘度を上げ
るものと考えられる。
従ってグラフト加工効率は著しく悪く、増量率を所望の
ま\に上げることができない。
そして、このように浴液の粘度が上昇することは、絹の
グラフト加工を工業的に実施する場合、極めて効率的な
方法、即ち、被加工絹糸を液との接触が良好になるよう
に保持し、これにポンプで加工液を循環接触させる方式
をとる場合、液の循環が極めて困難となり、工業的実施
は実質的に不可能といえる。
しかしアクリル酸アマイドのホモポリマーは水溶性であ
るため、温洗、水洗を充分繰返えすときは、糸に付着し
ているホモポリマーは除かれ、風合いの柔らかな加工糸
が得られる。
このように、アクリル酸アマイドを単独使用してグラフ
ト加工を行なうときは、加工効率が悪く、増量率を所望
のまゝに上げることができないので、絹のグラフト加工
の主目的とする増量には不向きであるが、本発明方法に
従い、メタクリル酸アマイドと併用するときはグラフト
加工の目的とする増量も達成され、かつ得られる加工糸
の風合いは良好であるという利点が達成される。
次に上記各実施例および比較例を対比し易いよう、まと
めて第6表に示す。
第6表の実施例番号の欄中、比長および比2とあるのは
それぞれ比較例lおよび2である。
また使用モノマーの種類を略号で示してあるが、これら
は前記第1〜4表に用いたのと同じである。
さきにも述べたように、ジャーナルオブザコレアンケミ
カルソサイエテイ第13巻第4号第365〜371頁に
は硝酸第2セリウムナンモニウムを触媒とし、メタクリ
ル酸アマイドを一にグラフト重合する方法が報舎されて
いる。
この報告によれば、グラフト加工による増量率、グラフ
ト加工効率共に著しく不良である。
即ちこの報告では種々条件を変えて数多くの実験を行っ
ているが、絹に゛対し多量のメタクリル酸アマイドを用
いているにもかかわらず、最も高い増量率を示している
場合で9%であり、その他多くの場合、せいぜい6%程
度であり、またグラフト加工効率は、上記増量率が最も
高かった場合について算出してみて、0.53%程度と
いう著しく低いものである。
本発明者が追試した結果も同様の悪い成績しか得られな
かった。
そしてこの際得られた加工絹繊維は硬い感触を有し、風
合いの非常に悪いものであり、これを顕微鏡写真にとっ
てみると、繊維の上に一面に鱗状の凸状物、更に塊状物
もみられた。
一方、この反応器の内壁部、付属設備にも水不溶性のも
のが多量に生成し、この水不溶物は上記繊維上の鱗状物
などと同様の溶剤に対する挙動を示すことにより、メタ
クリル酸アマイドのホモポリマーと推定される。
一方本発明方法によるグラフト加工は上述のように高い
グラフト加工効率を示し、繊維に対するメタクリル酸ア
マイド量を増すときは、良好なグラフト加工効率を保持
しながら増量率を増す。
この加工繊維を顕微鏡写真にとってみると、繊維表面に
突状部分はなく、平滑な面を保持している。
そして反応系を調べてみると、少量のホモポリマーが生
成しているが、反応系の高温度では水性媒体中に溶解し
ており、使用するメタクリル酸アマイド量を増しても、
繊維上、又は反応器壁に析出することはなく、シかも浴
中に溶けているポリマー量の増減は差程大きく変動しな
い。
このようなことからみて、本発明方法の場合、或る量の
ホモポリマーが生成し、浴液中に溶解すると、それ以上
ホモポリマーは生成せず、もっぱらグラフト重合に関与
するものと考えられる。
このように本発明方法によって生ずるホモポリマーと考
えられるものは熱湯に可溶であるので、加工後、熱湯で
洗浄すれば容易に除かれる。
このように硝酸第2セリウムアンモニウムを触媒とする
場合と、本発明方法による場合とでは、同じメタクリル
酸アマイドを絹繊維にグラフト重合させているのである
が、生成するホモポリマーは物性の相違から物質自体も
相違すると考えられ、結果的には本発明方法によるとき
、グラフト加工効率が高く、増量率を所望のまゝに低度
から高度に上げることができ、しかも得られる加工製品
は硬くならず、その風合いは絹自体と大差ない。
また従来、工業的に実施されたスチレン、2一ヒドロキ
シエチルメタクリレートをグラフト加工する場合、本発
明方法と同じ過硫酸塩触媒を用いても、繊維上に付着す
る、ホモポリマーとみられる突状体の生起が見られ、そ
れぞれのモノマーによる増量率を上げようとすると、ホ
モポリマーの付着量を増し、本発明方法による優れた品
質の製品は得られない。
以上各種の具体例を説明したが、本発明方法は上記の説
明及び実施例に記載された事項によって制約を受けるも
のでなく、本発明方法は特許請求の範囲内でその他、各
種の変更、変形例を採ることができるものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 過酸化物系ラジカル重合触媒の存在下、水性媒体中
    でメタクリル酸アマイドで絹繊維をグラフト加工するこ
    とを特徴とする絹の加工方法。 2 過酸化物系ラジカル重合触媒は過硫酸塩、過硼酸塩
    または過酸化水素である特許請求の範囲第1項記載の絹
    の加工方法。
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CN101314916A (zh) * 2007-05-28 2008-12-03 罗姆有限公司 用于丝接枝的方法和产品

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