JP4878710B2 - 過酸化水素安定化剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過酸化水素安定化剤に関する。本発明は、特に、セルロース系繊維を漂白する際に用いられる過酸化水素安定化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セルロース系繊維を漂白する際には過酸化水素が広く使用されており、過酸化水素の異種解離(H22 →H+ +HO2 - )により生成するパーヒドロキシルイオン(HO2 - )が漂白の有効成分であると考えられている。この異種解離はアルカリの存在下で行われるのが効果的であるが、一方でセルロース系繊維や漂白浴中に含まれる鉄、マンガンなどの重金属によって過酸化水素の分解(2H22 →2H2 O+O2 )が促進されるため、漂白効果が低下しやすく、さらに生成する分子状酸素(O2 )によってセルロース系繊維が酸化分解され、脆化するなどの問題がある。そこで、過酸化水素を安定化させるために種々の過酸化水素安定化剤が漂白浴に添加されている。
【0003】
過酸化水素安定化剤としては、従来から、珪酸ソーダが多用されている。珪酸ソーダは、過酸化水素の安定化効果が高く、セルロース系繊維の白度を向上させるが、その反面水中に存在するカルシウム、マグネシウムなどと水に不溶性の塩(珪酸スケール)を形成し、繊維や漂白装置に付着あるいは沈着する、いわゆる珪酸トラブルを生じるという欠点を有し、そのため珪酸ソーダを含まない非珪酸系過酸化水素安定化剤が望まれている。
【0004】
非珪酸系過酸化水素安定化剤としては、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダなどのポリカルボン酸塩やポリ−α−ヒドロキシアクリル酸塩(特公平4−34595号公報)、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸塩とアクリル酸などのモノマーとから得られる共重合体(特公平7−9155号公報)などがあり、珪酸トラブルのような問題を生じることなく、過酸化水素を安定化し、繊維の白度を向上させることが知られている。
【0005】
しかし、従来の過酸化水素安定化剤は、低濃度のアルカリの存在下(例えば、水酸化ナトリウムの場合で40g/Lより低濃度)でのみ安定化効果を発揮するため、精練または漂白浴への適用条件が限られている。つまり、高濃度のアルカリの存在下(例えば、水酸化ナトリウムが40〜100g/Lの高濃度)においては、安定化効果が弱いかもしくは過酸化水素安定化剤自体の耐アルカリ性が低いために、過酸化水素の分解がすすみ、漂白効果の低下やセルロース系繊維の脆化が著しいという欠点がある。
【0006】
さらに、従来の過酸化水素安定化剤は、低濃度のアルカリの存在下においても過酸化水素の安定化効果が長続きせず、経時において漂白性能が低下するため、連続のまたは長時間にわたるバッチでの精練、漂白処理にも適していない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の如き従来技術の問題点を解消し、繊維、特にセルロース系繊維の糊抜、漂白、精練およびソーピングの際に使用する過酸化水素安定化剤であって、耐アルカリ性と過酸化水素の安定化効果に優れ、高濃度のアルカリの存在下においても過酸化水素による漂白性能を維持し、繊維の白度を向上させることができる過酸化水素安定化剤を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討の結果、アクリル酸などのモノマーとポリ−α−ヒドロキシアクリル酸とから得られるポリマーと、水溶性マグネシウム化合物とをある特定の割合で含有する組成物が、単に両者の足し合わせで予測される効果以上に、高濃度のアルカリの存在下においても効率よく過酸化水素を安定化することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、
(a)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーとポリ−α−ヒドロキシアクリル酸および/またはその塩とをラジカル重合させて得られるポリマーと、および
(b)水溶性マグネシウム化合物と
を含有し、
前記ポリマーとマグネシウムの重量比が1:1〜45:1である
過酸化水素安定化剤を提供する。
【0010】
上記本発明の過酸化水素安定化剤において、水溶性マグネシウム化合物は、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硝酸マグネシウムおよびエチレンジアミン四酢酸のマグネシウム塩から選ばれる1種以上であるのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の過酸化水素安定化剤の構成について説明する。
【0012】
本発明の過酸化水素安定化剤は、過酸化水素の安定化のための有効成分として、(a)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーとポリ−α−ヒドロキシアクリル酸および/またはその塩とをラジカル重合させて得られるポリマーと、(b)水溶性マグネシウム化合物と、を含有するものである。
【0013】
上記(a)成分の生成に用いられるポリ−α−ヒドロキシアクリル酸およびその塩は、従来公知の製造方法、例えば、高分子量のポリ−α−ヒドロキシアクリル酸またはポリ−α−ヒドロキシアクリレートの酸化解重合、対応するポリラクトンと水酸化ナトリウム等の水性塩基との反応(特公平6−60215号公報)等の方法により得ることができる。あるいは、市販されているものを使用してもよい。ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸の塩としては、水溶性塩であるのが好ましく、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩などが挙げられる。
【0014】
ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸およびその塩は、重量平均分子量が500〜1,000,000の範囲であるのが好ましく、1,000〜100,000であるのがさらに好ましい。ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸およびその塩の重量平均分子量が500未満では、過酸化水素の安定化効果が不十分となるおそれがあり、重量平均分子量が1, 000, 000を超えると、過酸化水素安定化剤の耐アルカリ性が低下し、それに伴い過酸化水素の安定化効果が不十分になるおそれがある。
【0015】
本発明においては、上記のポリ−α−ヒドロキシアクリル酸および/またはその塩と、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーとをラジカル重合させて、(a)成分のポリマーを得る。ここで、ラジカル重合に使用するアクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸の塩も水溶性塩であるのが好ましく、その例としてはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩が挙げられる。
【0016】
また、ラジカル重合には、上記のモノマーのほか、過酸化水素の安定化効果を阻害しない程度に共重合可能なモノマーを使用してもよい。共重合可能なモノマーには、特に制限はなく、エチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどのビニル系モノマー、アクリルアミド、アクリレート類およびメタクリレート類などが含まれる。アクリレート類およびメタクリレート類としては、特に制限はないが、炭素数1〜3の炭化水素基を有するものが好ましく、この炭化水素基はヒドロキシル基などの置換基を有していてもよい。そのようなアクリレート類およびメタクリレート類としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレートなどが挙げられる。これらの共重合可能なモノマーは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸および/またはその塩と、ラジカル重合に使用する前記モノマーとの重量比は、1:10〜10:1であるのが好ましい。この重量比が1:10未満であると、過酸化水素の安定効果が不十分となるおそれがあり、10:1を超えると、過酸化水素安定化剤の耐アルカリ性が低下するおそれがある。
【0018】
本発明に有用な(a)成分は、従来公知のラジカル重合法により得ることができる。例えば、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸および/またはその塩の水溶液に、ラジカル重合に使用する前記モノマーの全体を混合し、さらに重合開始剤を添加して30〜150℃で2〜5時間加熱反応させる方法、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸および/またはその塩の水溶液に重合開始剤を加えた後、ラジカル重合に使用する前記モノマーを滴下し、30〜150℃で2〜5時間加熱する方法などが挙げられる。このとき、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸および/またはその塩の水溶液に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類やアセトンなどの水混和性溶剤を添加してもよい。
【0019】
前記の重合開始剤としては、特に限定はないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過硫酸塩と重亜硫酸ナトリウムなどの組み合わせによるレドックス系開始剤、過酸化水素、水溶性アゾ系開始剤などが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの重合開始剤の使用量は、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸および/またはその塩、およびラジカル重合に使用する前記モノマーの合計100重量部に対して、0. 1〜1. 0重量部であるのが好ましい。
【0020】
また、ラジカル重合の際には、重合度を調整する目的で連鎖移動剤(例えば、チオグリコール酸オクチル)を添加してもよい。
【0021】
本発明に用いられる(b)成分の水溶性マグネシウム化合物は、マグネシウムイオンを生成する化合物であれば特に限定はないが、その中でも塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硝酸マグネシウムや、エチレンジアミン四酢酸のマグネシウム塩などのキレート化合物を好適に用いることができる。これらの水溶性マグネシウム化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
本発明においては、前記の(a)成分のポリマーと、(b)成分中のマグネシウムの重量比が、1:1〜45:1、好ましくは15:1〜40:1、より好ましくは20:1〜35:1となるように、(a)成分および(b)成分を混合して過酸化水素安定化剤を得る。この重量比が1:1未満であると過酸化水素安定化剤の耐アルカリ性が不良となり、その結果過酸化水素の安定化効果が不十分となり、45:1を超えると過酸化水素の安定化効果が劣る。
【0023】
本発明においては、(a)成分および(b)成分の配合割合が重要である。前記の割合で得られる過酸化水素安定化剤は、過酸化水素の安定化効果が特に優れており、従来の過酸化水素安定化剤を適用できない条件、すなわち、高濃度のアルカリ(水酸化ナトリウムの場合で40〜100g/L)の存在下においても、過酸化水素を十分に安定化することができる。
【0024】
本発明の過酸化水素安定化剤には、前記の(a)成分、(b)成分のほかに、本発明の効果を損なわない程度に、精練浸透剤やキレート分散剤を添加してもよい。
【0025】
次に、本発明の過酸化水素安定化剤の使用方法について説明する。
【0026】
本発明の過酸化水素安定化剤は、ナイロン等のポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維等の合成繊維、セルロース系繊維等に適用して処理することができるが、特にセルロース系繊維に適している。ここで、セルロース系繊維としては、セルロース繊維、例えば、綿、麻などの天然繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、およびこれらのセルロース繊維とその他の繊維との複合繊維が挙げられる。また、これらの繊維は、繊維、糸、編み物、織物などのいかなる形態にあってもよい。
【0027】
本発明の過酸化水素安定化剤は、過酸化水素を用いて上記のセルロース系繊維を糊抜、漂白、精練またはソーピングする際に、処理浴に添加して使用する。その添加量は、処理浴中において、有効成分量(すなわち(a)成分と(b)成分の合計重量)が0.01〜6g/Lとなる量が好ましく、0.1〜5g/Lとなる量がさらに好ましい。有効成分が0.01g/L未満であると、過酸化水素の安定化効果が不十分になるおそれがあり、6g/Lを超えて使用しても添加量に見合う効果は得られないおそれがある。
【0028】
また、本発明の過酸化水素安定化剤を、処理浴中に、有効成分量が1〜6g/L(より好ましくは3〜5g/L)となるように添加した場合には、高濃度のアルカリの存在下で高濃度の過酸化水素を安定化できるという、従来の過酸化水素安定化剤には見られない顕著な効果を発揮する。ここで、「高濃度のアルカリ」とは、水酸化ナトリウムを使用した場合で40〜100g/L、好ましくは50〜80g/Lほどの濃度をいう。また、「高濃度の過酸化水素」とは、具体的には、35%過酸化水素水が40〜100mL/L、好ましくは50〜80mL/Lの濃度をいう。
【0029】
セルロース系繊維の漂白方法としては、公知の方法が適用でき、例えば、コールド・パッド・バッチ法などの半連続法、ウィンス染色機、液流染色機、チーズ染色機などのバッチ式装置を使用したバッチ処理、J−ボックス、L−ボックス、パープルレンジなどの連続式装置を利用した連続法が挙げられる。これらのなかでも、本発明の過酸化水素安定化剤は、長時間のバッチ処理や連続法に特に適している。
【0030】
本発明の過酸化水素安定化剤は、前記セルロース系繊維の精練またはソーピングにも使用することができ、例えば、ウィンス染色機、液流染色機、チーズ染色機、ジッカー染色機、ワッシャー、オープンソーパー、リラクサーなどの装置による処理に適用することができる。また、パッドスチームやコールド・パッド・バッチのソーピング浴などにも使用することができる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例により、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0032】
なお、合成例1〜3で得られたポリマーの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(HLC−8020GPC(東ソー(株)製))を用いて測定し、ポリエチレングリコール換算により算出した。なお、カラムにはTSKgel G5000PWとG3000PW(いずれも東ソー(株)製)を併用し、リン酸系バッファー(0.025モル/LのNa2 HPO4 ・12H2 Oおよび0.025モル/LのKH2 PO4 )を用い、流量を1.0mL/分として溶出した。粘度は、20℃において、B型粘度計(BH形、(株)東京計器製)を用いて測定した。
【0033】
合成例1
1000mLの四ツ口フラスコ中で、40重量%のポリ−α−ヒドロキシアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量100,000)水溶液163gに、水127gを加えて希釈した後、80℃に加温し、次いで40重量%アクリル酸ナトリウム溶液150gを45分間かけて滴下し、さらに過硫酸ナトリウム5gを添加した。添加後、80〜90℃で2時間30分間反応させ、次いで60℃の温水555gを加えて冷却し、淡黄褐色透明液状のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液の粘度は100mPa・sであり、ポリマーの濃度は12.5重量%であり、ポリマーの重量平均分子量は約20, 000であった。
【0034】
合成例2
1000mLの四ツ口フラスコ中で、40重量%のポリ−α−ヒドロキシアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量100,000)水溶液163gに、水127gを加えて希釈した後、80℃に加温し、次いで40重量%アクリル酸ナトリウム溶液150gを45分間かけて滴下し、さらに過硫酸ナトリウム2gを添加した。添加後、80〜90℃で2時間反応させ、次いで60℃の温水558gを加えて冷却し、淡黄褐色透明液状のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液の粘度は2000mPa・sであり、ポリマーの濃度は12.5重量%であり、ポリマーの重量平均分子量は約200, 000であった。
【0035】
合成例3
1000mLの四ツ口フラスコ中で、40重量%のポリ−α−ヒドロキシアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量100,000)水溶液163gに、水127gを加えて希釈した後、80℃に加温し、次いで40重量%メタクリル酸ナトリウム溶液145gを45分間かけて滴下し、さらに過硫酸ナトリウム5gを添加した。添加後、80〜90℃にて2時間30分間反応させ、次いで60℃の温水560gを加えて冷却し、淡黄褐色透明液状のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液の粘度は100mPa・sであり、ポリマーの濃度は12.3重量%であり、ポリマーの重量平均分子量は約20,000であった。
【0036】
合成例4
1000mLの四ツ口フラスコ中で、40重量%のポリ−α−ヒドロキシアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量100,000)水溶液163gに、水127g加えて希釈した後、80℃に加温し、次いで40重量%マレイン酸ナトリウム溶液145gを45分間かけて滴下し、過硫酸ナトリウム5gを添加した。添加後、80〜90℃にて3時間反応させ、次いで60℃の温水560gを加えて冷却し、淡黄褐色透明液状のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液の粘度は120mPa・sであり、ポリマーの濃度は12.3重量%であり、ポリマーの重量平均分子量は約19,000であった。
【0037】
実施例1
合成例1で得られたポリマー溶液100gおよび硫酸マグネシウム2gを混合し、有効成分量が14.2重量%の過酸化水素安定化剤を得た。ポリマーとマグネシウムの重量比は31:1である。
【0038】
実施例2
合成例1で得られたポリマー溶液100gおよび硫酸マグネシウム3gを混合し、有効成分量が15.0重量%の過酸化水素安定化剤を得た。ポリマーとマグネシウムの重量比は21:1である。
【0039】
実施例3
合成例1で得られたポリマー溶液100gおよび硫酸マグネシウム5gを混合し、有効成分量が16.7重量%の過酸化水素安定化剤を得た。ポリマーとマグネシウムの重量比は13:1である。
【0040】
実施例4
合成例1で得られたポリマー溶液100gおよび硫酸マグネシウム10gを混合し、有効成分量が20.5重量%の過酸化水素安定化剤を得た。ポリマーとマグネシウムの重量比は6:1である。
【0041】
実施例5
合成例1で得られたポリマー溶液100gおよび塩化マグネシウム2.5gを混合し、有効成分量が14.6重量%の過酸化水素安定化剤を得た。ポリマーとマグネシウムの重量比は20:1である。
【0042】
実施例6
合成例2で得られたポリマー溶液100gおよび硫酸マグネシウム3gを混合し、有効成分量が15.0重量%の過酸化水素安定化剤を得た。ポリマーとマグネシウムの重量比は21:1である。
【0043】
実施例7
合成例3で得られたポリマー溶液100gおよび硫酸マグネシウム3gを混合し、有効成分量が14.9重量%の過酸化水素安定化剤を得た。ポリマーとマグネシウムの重量比は21:1である。
【0044】
実施例8
合成例4で得られたポリマー溶液100gおよび硫酸マグネシウム3gを混合し、有効成分量が14.9重量%の過酸化水素安定化剤を得た。ポリマーとマグネシウムの重量比は21:1である。
【0045】
比較例1
1000mLの四ツ口フラスコ中で、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量100,000)の40重量%水溶液を325gと、60℃の温水585gとを混合し、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸ナトリウム45g、グルコン酸ナトリウム45gを添加して均一になるまで混合した後冷却し、ポリヒドロキシアクリル酸系の過酸化水素安定化剤を得た。この過酸化水素安定化剤の有効成分量は22重量%であり、粘度は90mPa・sであった。
【0046】
比較例2
40℃の温水620gに珪酸ソーダ368g、硫酸マグネシウム2gおよびナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(デモールNL、花王(株)製)10gを均一になるまで混合し、珪酸ソーダ系の過酸化水素安定化剤を得た。この過酸化水素安定化剤の有効成分量は38重量%であり、粘度は100mPa・sであった。
【0047】
比較例3
トリデシルアルコールのエチレンオキサイド7モル付加物88gおよびアルギン酸ナトリウム9gを均一になるまで混合した。この混合液に50℃の温水778gを徐々に加えながら撹拌し、次いで硫酸マグネシウム74g、オレイン酸39gおよび25%のアンモニア水12gを加えて、均一になるまで混合した後冷却し、過酸化水素安定化剤を得た。この過酸化水素安定化剤の有効成分量は21重量%であり、粘度は20Pa・sであった。
【0048】
比較例4
合成例1で得られたポリマーをそのまま過酸化水素安定化剤とした。
【0049】
比較例5
1000mLの四ツ口フラスコ中で、合成例1で得られたポリマー溶液500gに温水413.5gを加えた後、グルコン酸ナトリウム70g、硫酸マグネシウム6.5gおよびジエチレントリアミンペンタアセテート5ナトリウム塩10gを加え、均一になるまで混合した後冷却し、過酸化水素安定化剤を得た。この過酸化水素安定化剤の有効成分量は14.9重量%であり、粘度は30mPa・sであり、ポリマーとマグネシウムの重量比は48:1である。
【0050】
上記のようにして得られた、実施例および比較例の過酸化水素安定化剤について、耐アルカリ性、過酸化水素の安定化効果および漂白性能について、下記のようにして評価した。
【0051】
(1)耐アルカリ性
過酸化水素安定化剤5gと、水酸化ナトリウムを30、50、70または90gとを水に溶解させ、全量を1Lとした。これらの水溶液を、それぞれ、25℃で24時間静置した後、沈殿物および表面分離の有無を目視により判定し、耐アルカリ性を下記の3段階で評価した。
【0052】
○:良好である(沈殿および表面分離のいずれも見られない)
△:やや不良である(幾分沈殿が生じ、分離が見られる)
×:不良である(沈殿が生じ、完全に分離している)
(2)過酸化水素の安定化効果
下記の表1に示す組成により試験液1および2を調製し、それぞれ90℃まで昇温して、同温で5分間振とうした後、試験液中の過酸化水素の残存量を酸化還元滴定法により定量し、残存率を算出した。
【0053】
【表1】
Figure 0004878710
【0054】
(3)漂白性能
綿糊抜布の準備
綿(100%)の生機布を90℃で1分間湯洗し、さらに30秒間水洗した後脱水し、下記の組成で調製した糊抜浴にて糊抜処理(95℃で30分間)した。処理後、90℃で1分間湯洗し、さらに30秒間水洗した後脱水し、次いで100℃で1時間乾燥して、綿糊抜布を得た。
【0055】
糊抜浴の組成
ビオテックスSL(酵素糊抜剤、長瀬生化学製) 5g/L
水酸化ナトリウム 10g/L
サンモールCS−500(綿用精練剤、日華化学(株)製) 2g/L
漂白処理
綿糊抜布を30秒間水洗し、脱水した後、下記の表2の組成で調製した漂白浴1または2でパディング処理(ピックアップ60%)し、90℃で5分間スチーム処理した。これを80℃で1分間湯洗し、さらに30秒間水洗した後脱水し、次いで100℃で1時間乾燥し、漂白布1および2を得た。
【0056】
得られた漂白布の白度を、測色機(ミノルタ(株)製CM−3700d)を用いて測定し、漂白性能を評価した。
【0057】
【表2】
Figure 0004878710
【0058】
実施例および比較例の過酸化水素安定化剤について、耐アルカリ性、過酸化水素の安定化効果および漂白性能の評価結果を、それぞれ、下記の表3〜5に示す。なお、表4および5において、「Mg重量比」は過酸化水素安定化剤中のポリマーとマグネシウムとの重量比を示し、「有効成分」は過酸化水素安定化剤の有効成分量を示す。
【0059】
【表3】
Figure 0004878710
【0060】
【表4】
Figure 0004878710
【0061】
【表5】
Figure 0004878710
【0062】
比較例1および3〜5の過酸化水素安定化剤は、漂白布の白度については実施例よりも劣っている。また、過酸化水素の安定化効果は著しく劣っており、従来の過酸化水素安定化剤は、漂白の適用条件が限定されることが示唆される。
【0063】
比較例2の珪酸ソーダ系の過酸化水素安定化剤は、耐アルカリ性や漂白布の白度は実施例と同等に良好であるが、漂白浴中に珪酸スケールが生じて繊維に付着し、漂白布の風合いが著しく悪い欠点が認められた。また、過酸化水素の安定化効果も劣っていた。
【0064】
一方、本発明の過酸化水素安定化剤(実施例1〜8)は、水酸化ナトリウムが90g/Lの濃度で存在するような、非常に高濃度の条件においても分離は見られず、耐アルカリ性に優れている。また、過酸化水素の残存率は、試験液1でいずれも90%以上、試験液2でいずれも80%以上であり、過酸化水素の安定化効果が非常に優れていることがわかる。過酸化水素の安定化効果が大きければ、分解よりもパーヒドロキシルイオン(HO2 - )が生成する異種解離が優先し、その結果漂白処理が効率的に行われるものと推察される。
【0065】
【発明の効果】
本発明の過酸化水素安定化剤は、優れた耐アルカリ性と過酸化水素の安定化効果とを併せ持つものであり、高濃度のアルカリの存在下においても、過酸化水素の漂白性能を維持し、セルロース系繊維の白度を向上させることができる。また、過酸化水素の安定化効果に優れるので、過酸化水素の漂白性能を長持ちさせることができ、連続のまたは長時間にわたるバッチでの漂白処理にも適用可能であることが期待される。

Claims (3)

  1. (a)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーとポリ−α−ヒドロキシアクリル酸および/またはその塩とを重量比1:10〜10:1でラジカル重合させて得られるポリマーと、および(b)水溶性マグネシウム化合物とを含有し、前記ポリマーとマグネシウムの重量比が1:1〜45:1である過酸化水素安定化剤。
  2. 水溶性マグネシウム化合物が、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硝酸マグネシウムおよびエチレンジアミン四酢酸のマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の過酸化水素安定化剤。
  3. (a)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーとポリ−α−ヒドロキシアクリル酸および/またはその塩とを重量比1:10〜10:1でラジカル重合させて得られるポリマーと、および(b)水溶性マグネシウム化合物とを、前記ポリマーとマグネシウムの重量比が1:1〜45:1となるように混合することを特徴とする過酸化水素安定化剤の製造方法。
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