JPH1199923A - 車両の姿勢制御装置 - Google Patents

車両の姿勢制御装置

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JPH1199923A
JPH1199923A JP26711597A JP26711597A JPH1199923A JP H1199923 A JPH1199923 A JP H1199923A JP 26711597 A JP26711597 A JP 26711597A JP 26711597 A JP26711597 A JP 26711597A JP H1199923 A JPH1199923 A JP H1199923A
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晴樹 岡崎
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嘉寛 渡辺
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Toshiaki Tsuyama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドライバーの運転技量等に応じて臨機応変に
姿勢制御を行うことができる車両の姿勢制御装置を提供
する。 【解決手段】 SCS・ECU10は、車両の走行状態
に応じて設定される目標ヨーレートと、該車両において
実測される実ヨーレートとの間の偏差であるヨーレート
偏差の経時的平均値が、所定の第1基準値よりも小さい
ときにはドライバーの運転技量が比較的高いものと推測
し、ヨーレート制御開始しきい値ないしは横滑り角制御
開始しきい値を増加方向に補正するとともに、ヨーレー
ト制御ないしは横滑り角制御の初期補正量を減少方向に
補正して、ドライバーの操縦の自由度を高めるようにし
ている。これにより、走行安定性を確保しつつ、ドライ
バーの運転技量あるいは心理状態に応じて臨機応変に適
切なSCS制御を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、旋回走行時、緊急
の障害物回避時あるいは路面状況急変時等において車両
のドリフトアウトやスピンを抑制するための車両の姿勢
制御装置に関するものであって、とくにドライバーの運
転技量等に応じて姿勢制御の制御特性を補正するように
した車両の姿勢制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両の旋回走行時等において一
部の車輪のグリップ力が限界に達すると、車両の走行安
定性が悪くなる。例えば、旋回走行時に前輪のグリップ
力が限界に達すると、車両はドライバーの意図する旋回
コースに沿って旋回することができず、旋回コースの外
側にはみ出るといった現象いわゆるドリフトアウトを起
こすことが多い。他方、後輪のグリップ力が限界に達す
ると、車両が旋回コースの内側に巻き込まれるように自
転するといった現象いわゆるスピンを起こすことが多
い。
【0003】そこで、近年、走行中の車両のヨーレート
やステアリング舵角等の車両の状態量に基づいて、旋回
走行時、緊急の障害物回避時あるいは路面状況急変時等
における車両のドリフトアウトやスピンを抑制する姿勢
制御装置を備えた車両が数多く提案されている。例え
ば、特開平6−69230号公報には、目標ヨーレート
に応じた姿勢制御時に、目標ヨーレートを横滑り角に応
じて規制するようにしたものが開示されている。また、
本願出願人にかかる特願平9−186977号の明細書
中には、車両の状態量に応じてヨーレート制御又は横滑
り角制御を行うようにした上で、ヨーレート制御から横
滑り角制御に移行する際の制御ショックを緩和するよう
にした車両の姿勢制御装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
姿勢制御装置を備えた従来の車両においては、ドリフト
アウトあるいはスピンの発生が未然にかつ自動的に抑制
されるので、車両の走行安定性ないしは操縦性が高めら
れるといった利点はあるものの、かかる姿勢制御がかえ
ってドライバーの自由な操縦の足かせとなる場合もあ
る。例えば、運転技量が比較的高いドライバーの場合
は、車両を故意にスピンさせて急旋回(例えばスピンタ
ーン)するといった運転を行う場合もある。また、摩擦
係数が非常に低い路面例えば雪道を走行するのに慣れて
いるドライバーの場合は、車両を適宜軽くスピンさせる
方が円滑な運転を行うことができることが多い。しかし
ながら、このような場合、姿勢制御装置を備えた従来の
車両では、自動的に姿勢制御が実行されてスピンの発生
が抑制されるので、スピンを利用して走行することはで
きない。
【0005】他方、運転技量がさほど高くないドライバ
ーの場合は、スピンを利用するなどといった技量を世す
る運転を行うことはあまりないので、より積極的に姿勢
制御を実行して走行安定性を高めるのが好ましい。しか
しながら、従来の姿勢制御装置では、ドライバーの運転
技量に応じて臨機応変に姿勢制御を行うことはできない
といった問題がある。
【0006】本発明は、上記従来の問題を解決するため
になされたものであって、ドライバーの運転技量等に応
じて臨機応変に姿勢制御を行うことができる車両の姿勢
制御装置を提供することを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
なされた本発明は、車両走行時に、各車輪に設けられた
制動装置をそれぞれ独立に制御することにより、車両の
所定の姿勢状態量を目標値に追従させて該車両を姿勢制
御する車両の姿勢制御装置において、(a)車両の走行
状態に応じて設定される姿勢状態量目標値と、該車両に
おいて実測される姿勢状態量実測値との間の偏差(以
下、これを「姿勢状態量偏差」という)が所定の制御開
始しきい値以上となったときに姿勢制御を開始させる姿
勢制御手段と、(b)姿勢状態量偏差の代表値が所定の
第1の基準値よりも小さいときには、制御開始しきい値
を増加方向に補正する補正制御手段とが設けられている
ことを特徴とするものである。ここで、車両の姿勢状態
量としては、例えばヨーレートがあげられる。
【0008】この姿勢制御装置においては、姿勢状態量
偏差、例えばヨーレート偏差の代表値が第1の基準値よ
りも小さいとき、すなわち姿勢状態量実測値が姿勢状態
量目標値に比較的よく追従しており、したがってドライ
バーの運転技量が比較的高いものと推測されるときに
は、姿勢制御の制御開始しきい値が高くなるので、姿勢
制御が起こりにくくなる。したがって、ドライバーの車
両操縦の自由度が高くなり、例えばスピンを利用して急
旋回し、あるいはスピンを利用して摩擦係数の非常に低
い路面例えば雪道を円滑に走行するなどといった技量を
要する運転を行うことが可能となる。なお、この場合で
も、姿勢状態量偏差が、補正により高められた制御開始
しきい値以上になれば姿勢制御が開始されるので、走行
安定性は確保される。
【0009】他方、姿勢状態量偏差の代表値が第1の基
準値以上のとき、すなわち姿勢状態量実測値が姿勢状態
量目標値にあまり追従せず、したがってドライバーの運
転技量が比較的低いものと推測されるときには、制御開
始しきい値は補正されないので、姿勢制御が比較的起こ
りやすくなり車両の走行安定性が十分に高められる。つ
まり、この姿勢制御装置では、ドライバーの運転技量あ
るいは心理状態に応じて臨機応変に適切な姿勢制御が行
われる。
【0010】上記姿勢制御装置においては、補正制御手
段が、姿勢状態量偏差の代表値が第1の基準値よりも小
さいときには、制御開始しきい値を増加方向に補正する
とともに、姿勢制御における初期制御量(初期補正量)
を減少方向に補正するのが好ましい。このようにすれ
ば、姿勢状態量偏差の代表値が第1の基準値よりも小さ
いとき、すなわちドライバーの運転技量が比較的高いも
のと推測される場合において、姿勢制御が開始されたと
きでも、姿勢制御初期における制御量が比較的小さいの
で、ドライバーの操縦の自由度が高くなり、該ドライバ
ーの要求により合致した操縦が可能となる。また、姿勢
制御開始時に急激な姿勢制御が起こらないので、違和感
が生じない。
【0011】また、上記姿勢制御装置においては、補正
制御手段が、姿勢状態量偏差の代表値が、第1の基準値
よりも大きい所定の第2の基準値よりも大きいときに
は、制御開始しきい値を減少方向に補正するようになっ
ているのが好ましい。このようにすれば、姿勢状態量偏
差の代表値が第2の基準値より大きいとき、すなわちド
ライバーの運転技量がかなり低いものと推測されるとき
には、制御開始しきい値が減少方向に補正されるので、
姿勢制御がより起こりやすくなり、運転技量がかなり低
いドライバーに相応して車両の走行安定性が高められ
る。
【0012】上記姿勢制御装置においては、姿勢状態量
偏差の代表値は、時々刻々に変化する偏差ではなく、ド
ライバーの運転技量を推定することが可能な程度に継続
的ないしは普遍的なもの、例えば姿勢状態量目標値の平
均値と姿勢状態量実測値の平均値との差であるのが好ま
しい。時々刻々の偏差からは、ドライバーの運転技量を
判別することができないからである。
【0013】上記姿勢制御装置においては、ドライバー
が交代する可能性がある状況が発生したとき、例えばイ
グニッションスイッチがオフされたとき、車両が停止し
たときには、制御開始しきい値又は初期制御量の補正処
理をリセットするのが好ましい。ドライバーが交代した
場合は、該ドライバー用に姿勢状態量偏差の代表値を更
新する必要があるからである。また、車両の走行状況な
いしは走行環境が比較的大きく変化したとき、例えば車
速が所定値以下となったとき、あるいは車両の旋回走行
が終了したときにも、制御開始しきい値又は初期制御量
の補正処理をリセットするのが好ましい。このような場
合には、ドライバーの運転態様ないしは心理状態が変化
する可能性があるので、姿勢状態量偏差の代表値を更新
するのが好ましいからである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
の図面を参照しつつ具体的に説明する。 [姿勢制御装置の制御ブロック構成]まず、この実施の形
態にかかる車両の姿勢制御装置の制御ブロック構成を説
明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる車両の姿
勢制御装置の制御ブロックの全体構成を示す図である。
【0015】図1に示すように、この姿勢制御装置は、
例えば、車両のコーナリング時や緊急の障害物回避時や
路面状況急変時等において、走行中の車両の横滑りやス
ピンを抑制するために前後左右の各車輪への制動力を制
御するものである。各車輪には、それぞれ、油圧ディス
クブレーキ等からなるFR(右前輪)ブレーキ31と、F
L(左前輪)ブレーキ32と、RR(右後輪)ブレーキ33
と、RL(左後輪)ブレーキ34とが設けられている。こ
れらのFR、FL、RR、RLブレーキ31〜34は、
それぞれ油圧制御ユニット30に接続されている。油圧
制御ユニット30は、FR、FL、RR、RLブレーキ
31〜34の各ホイールシリンダ(図示せず)に接続さ
れ、各ブレーキ31〜34のホイールシリンダに油圧を
導入することにより各車輪に制動力を付加する。油圧制
御ユニット30は、加圧ユニット36及びマスタシリン
ダ37に接続されている。マスタシリンダ37は、ブレ
ーキペダル38の踏力圧に応じて1次油圧を発生させ
る。この1次油圧は、加圧ユニット36に導入され、加
圧ユニット36で2次油圧に加圧されて油圧制御ユニッ
ト30に導入される。油圧制御ユニット30は、SCS
・ECU10に電気的に接続され、SCS・ECU10
からの制動制御信号に応じて、FR、FL、RR、RL
ブレーキ31〜34への油圧を配分制御して各車輪への
制動力を制御する。
【0016】SCS(STABILITY CONTROLLED SYSTEM)・
ECU(ELECTRONIC CONTROLLED UNIT)10は、この実施
の形態の姿勢制御装置として前後・左右の各車輪への制
動制御を司るとともに、従来より周知のABS(アンチ
ロック・ブレーキ・システム)制御やTCS(トラクショ
ン・コントロール・システム)制御をも司る演算処理装
置である。SCS・ECU10には、FR車輪速センサ
11と、FL車輪速センサ12と、RR車輪速センサ1
3と、RL車輪速センサ14と、車速センサ15と、ス
テアリング舵角センサ16と、ヨーレートセンサ17
と、横方向加速度センサ18と、前後方向加速度センサ
19と、ブレーキ踏力圧センサ35と、EGIECU2
0と、TCSオフスイッチ40とが接続されている。
【0017】ABS制御及びTCS制御の概要を説明す
る。ABS制御とは、車両走行中に急ブレーキ操作がな
されて、車輪が路面に対してロックしそうな場合に車輪
への制動力を自動的に制御して車輪のロックを抑制しな
がら車両を停止させる制御システムである。TCS制御
とは、車両走行中に車輪が路面に対してスリップする現
象を各車輪への駆動力あるいは制動力を制御することに
より抑制しながら車両を走行させる制御システムであ
る。
【0018】FR車輪速センサ11は、右前輪の車輪速
度の検出信号v1をSCS・ECU10に出力する。FL
車輪速センサ12は、左前輪の車輪速度の検出信号v2
SCS・ECU10に出力する。RR車輪速センサ13
は、右後輪の車輪速度の検出信号v3をSCS・ECU1
0に出力する。RL車輪速センサ14は、左後輪の車輪
速度の検出信号v4をSCS・ECU10に出力する。車
速センサ15は、車両の走行速度の検出信号VをSCS
・ECU10に出力する。ステアリング舵角センサ16
は、ステアリング回転角の検出信号θHをSCS・EC
U10に出力する。ヨーレートセンサ17は、車体に実
際に発生するヨーレートの検出信号ψをSCS・ECU
10に出力する。横方向加速度センサ18は、車体に実
際に発生する横方向加速度の検出信号YをSCS・EC
U10に出力する。前後方向加速度センサ19は、車体
に実際に発生する前後方向加速度の検出信号ZをSCS
・ECU10に出力する。ブレーキ踏力圧センサ35
は、加圧ユニット36に設けられ、ブレーキペダル38
の踏力圧の検出信号PBをSCS・ECU10に出力す
る。TCSオフスイッチ40は、後述するが車輪のスピ
ン制御(トラクション制御)を強制的に停止するスイッチ
であり、このスイッチ操作信号SをSCS・ECU10
に出力する。
【0019】EGI(ELECTRONIC GASOLINE INJECTION)
・ECU20は、エンジン21と、AT22(AUTOMATIC
TRANSMISSION)と、スロットルバルブ23とに接続さ
れ、エンジン21の出力制御と、AT22の変速制御
と、スロットルバルブ23の開閉制御とを司っている。
SCS・ECU10及びEGI・ECU20は、CP
U、ROM、RAMを含み、入力された上記各検出信号
に基づいて予め記憶された姿勢制御プログラムやエンジ
ン制御プログラムを実行する。
【0020】[姿勢制御の概略説明]この実施の形態の姿
勢制御は、各車輪を制動制御することにより車体に旋回
モーメントと減速力を加えて前輪あるいは後輪の横滑り
を抑制するものである。例えば、車両の旋回走行中に、
後輪が横滑りしそうな時(スピン)には主に前外輪にブレ
ーキを付加し外向きモーメントを加えて旋回内側への巻
き込み挙動を抑制する。また、前輪が横滑りして旋回外
側に横滑りしそうな時(ドリフトアウト)には各車輪に適
量のブレーキを付加し内向きモーメントを加えるととも
に、エンジン出力を抑制し減速力を付加することにより
旋回半径の増大を抑制する。
【0021】姿勢制御の詳細については後述するが、概
説すると、SCS・ECU10は、上述した車速センサ
15、ヨーレートセンサ17及び横方向加速度センサ1
8の検出信号V、ψ及びYから車両に発生している実際
の横滑り角(以下、実横滑り角という)βact及び実際の
ヨーレート(以下、実ヨーレートという)ψactを演算す
るとともに、実横滑り角βactからSCS制御に実際に
利用される推定横滑り角βcontの演算において参照され
る参照値βrefを演算する。また、SCS・ECU10
は、ステアリング舵角センサ16等の検出信号から車両
の目標とすべき姿勢として目標横滑り角βTR及び目標ヨ
ーレートψTRを演算し、推定横滑り角βcontと目標横滑
り角βTRの差あるいは実ヨーレートψactと目標ヨーレ
ートψTRの差が所定しきい値β0、ψ0を越えたときに姿
勢制御を開始し、推定実横滑り角βcontあるいは実ヨー
レートψactが目標横滑り角βTRあるいは目標ヨーレー
トψTRに収束するよう制御する。
【0022】[姿勢制御の詳細説明]次に、この実施の形
態の姿勢制御(以下、SCS制御という)について詳細に
説明する。図2は、この実施の形態の姿勢制御を実行す
るための全体的動作を示すフローチャートである。図2
に示すように、まず、運転者によりイグニッションスイ
ッチがオンされてエンジンが始動されると、ステップS
2でSCS・ECU10とEGI・ECU20とが初期
設定され、前回の処理で記憶しているセンサ検出信号や
演算値等をクリアする。ステップS4では、SCS・E
CU10は上述のFR車輪速センサ11の検出信号v
1と、FL車輪速センサ12の検出信号v2と、RR車輪
速センサ13の検出信号v3と、RL車輪速センサ14の
検出信号v4と、車速センサ15の検出信号Vと、ステア
リング舵角センサ16の検出信号θHと、ヨーレートセ
ンサ17の検出信号ψと、横方向加速度センサ18の検
出信号Yと、前後方向加速度センサ19の検出信号Z
と、ブレーキ踏力圧センサ35の検出信号PBと、TC
Sオフスイッチ40のスイッチ操作信号Sとを入力す
る。ステップS6では、SCS・ECU10は上述の各
検出信号に基づいて車両状態量を演算する。ステップS
7では、車両状態量に基づいて車輪速補正処理を実行す
る。ステップS8ではSCS・ECU10は、ステップ
S6で演算された車両状態量から、SCS制御に必要と
なるSCS制御目標値や制御出力値を演算する。同様
に、ステップS10では、ABS制御に必要なABS制
御目標値や制御出力値等を演算し、ステップS12で
は、TCS制御に必要なTCS制御目標値や制御出力値
等を演算する。
【0023】ステップS14では、ステップS8〜ステ
ップS12で演算された各制御出力値の制御出力調停処
理を実行する。この制御出力調停処理では、SCS制御
出力値と、ABS制御出力値と、TCS制御出力値とを
それぞれ比較し、最も大きな値に対応した制御に移行さ
せる。また、後述するが、SCS制御出力値とABS制
御出力値との調停処理は、運転者のブレーキ踏力圧PB
の大きさに応じて実行される。すなわち、ステップS1
4において、ABS制御出力値が最も大きな値の場合に
はステップS16でABS制御出力値に基づいてABS
制御が実行され、SCS制御出力値が最も大きな値の場
合にはステップS18でSCS制御出力値に基づいてS
CS制御が実行され、TCS制御出力値が最も大きな値
の場合にはステップS20でTCS制御出力値に基づい
てTCS制御が実行される。この後、ステップS22で
は、SCS・ECU10は油圧制御ユニット30等が正
常に動作しているか否かのフェイルセーフ判定を行い、
もし異常があると判定した場合には、その異常箇所に対
応する制御を中止して、ステップS2にリターンして上
述の処理を繰り返し実行する。
【0024】[SCS演算処理の説明]次に、図2のステ
ップS8に示すSCS演算処理の詳細について説明す
る。なお、ステップS10及びS12のABS制御演算
処理及びTCS制御演算処理については周知の技術であ
るのでその詳しい説明は省略する。図3は、図2のSC
S演算処理を実行するためのフローチャートである。
【0025】図3に示すように、処理が開始されると、
ステップS30でSCS・ECU10は、FR車輪速v1
と、FL車輪速v2と、RR車輪速v3と、RL車輪速v
4と、車速Vと、ステアリング舵角θHと、実ヨーレート
ψactと、実横方向加速度Yactとを入力する。ステップ
S32では、SCS・ECU10は車両に発生する垂直
荷重を演算する。この垂直荷重は車速V、横方向加速度
Yから周知の数学的手法により推定演算される。ステッ
プS33ではSCS・ECU10は車両に実際に発生す
る実横滑り角βactを演算する。実横滑り角βactは、実
横滑り角βactの変化速度Δβactを積分することにより
演算される。また、Δβactは、次の式1により算出さ
れる。
【数1】 Δβact=−ψact+Yact/V………………………………………式1
【0026】次に、ステップS34では、SCS・EC
U10はSCS制御に実際に利用される推定横滑り角β
contの演算において参照される参照値βrefを演算す
る。この参照値βrefは、車両諸元と、車両状態量(車速
V、ヨーレートψact、実横方向加速度Yact、実横滑り
角βactの変化速度Δβact、ヨーレートψactの変化量
(微分値)Δψact)、ブレーキにより生じるヨーモーメン
トの推定値D1、ブレーキにより生じる横方向の力の低
下量の推定値D2に基づいて2自由度モデルを流用して
演算される。この参照値βrefは、要するに、検出され
た車両状態量及びブレーキ操作力に基づいて推定される
横滑り角を演算している。
【0027】この後、ステップS35では、SCS・E
CU10はSCS制御に実際に利用される推定横滑り角
βcontを演算する。この推定横滑り角βcontは、次の式
2及び式3から導かれる微分方程式を解くことにより算
出される。
【数2】 Δβcont=Δβact+e+Cf・(βref−βcont)…………………式2
【数3】 Δe=Cf・(Δβref−Δβact−e)………………………………式3 但し e:ヨーレートセンサと横方向加速度センサのオフセッ
ト修正値 Cf:カットオフ周波数
【0028】また、後で詳述するとおり、カットオフ周
波数Cfは、推定横滑り角βcontを参照値βrefの信頼性
に応じてこの参照値βrefに収束するように補正して、
推定横滑り角βcontに発生する積分誤差をリセットする
際の補正速度の変更ファクタとなり、参照値βrefの信
頼性が低いほど小さくなるように補正される係数であ
る。また、参照値βrefの信頼性が低くなるのは前輪の
コーナリングパワーCpfあるいは後輪のコーナリングパ
ワーCprに変化が生じたときである。
【0029】ステップS36では、SCS・ECU10
は各車輪の車輪スリップ率及び車輪スリップ角を演算す
る。車輪スリップ率及び車輪スリップ角は、各車輪の車
輪速v1〜v4と、車速Vと、推定横滑り角βcontと、前輪
ステアリング舵角θHとから周知の数学的手法により推
定演算される。ステップS38では、SCS・ECU1
0は各車輪への負荷率を演算する。車輪負荷率は、ステ
ップS36で演算された車輪スリップ率及び車輪スリッ
プ角とステップS32で演算された垂直荷重から周知の
数学的手法により推定演算される。ステップS40で
は、SCS・ECU10は走行中の路面の摩擦係数μを
演算する。路面の摩擦係数μは、実横方向加速度Yact
とステップS38で演算された車輪負荷率から周知の数
学的手法により推定演算される。次に、ステップS42
では、SCS・ECU10は実ヨーレートψact及び推
定横滑り角βcontを収束させるべく目標値となる目標ヨ
ーレートψTR、目標横滑り角βTRを演算する。目標ヨー
レートψTRは、車速Vと、ステップS40で演算された
路面の摩擦係数μと、前輪ステアリング舵角θHとから
周知の数学的手法により推定演算される。
【0030】また、目標横滑り角βTRは、次の式4及び
式5から導かれる式6の微分方程式を解くことにより算
出される。
【数4】 βx=1/(1+A・V2)・{1−(M・Lf・V2)/(2L・Lr・Cpr)} ・Lr・θH/L ………………………………………………式4
【数5】 A=M・(Cpr・Lr−Cpf・Lf)/2L2・Cpr・Cpf…………式5
【数6】 ΔβTR=C・(βx−βTR)……………………………………………式6 但し V:車速 θH:前輪ステアリング舵角 M:車体質量 I:慣性モーメント L:ホイルベース Lf:前輪から車体重心までの距離 Lr:後輪から車体重心までの距離 Cpf:前輪のコーナリングパワー Cpr:後輪のコーナリングパワー C:位相遅れに相当する値
【0031】次に、図4に示すステップS44で、SC
S・ECU10は、目標横滑り角βTRから推定横滑り角
βcontを減算した値の絶対値がSCS制御開始しきい値
β0以上か否かを判定する(|βTR−βcont|≧β0?)。
ステップS44で目標横滑り角βTRから推定横滑り角β
contを減算した値の絶対値がSCS制御開始しきい値β
0以上の場合(ステップS44でYES)、ステップS4
6に進んでSCS制御目標値を目標横滑り角βTRに設定
する。一方、ステップS44で目標横滑り角βTRから推
定横滑り角βcontを減算した値の絶対値がSCS制御開
始しきい値β0を超えない場合(ステップS44でN
O)、ステップS52に進んでSCS・ECU10は、
目標ヨーレートψTRから実ヨーレートψactを減算した
値の絶対値がSCS制御開始しきい値ψ0以上か否かを
判定する(|ψTR−ψact|≧ψ0?)。ステップS52で
目標ヨーレートψTRから実ヨーレートψactを減算した
値の絶対値がSCS制御開始しきい値ψ0以上の場合(ス
テップS52でYES)、ステップS54に進んでSC
S制御目標値を目標ヨーレートψTRに設定する。一方、
ステップS52で目標ヨーレートψTRから実ヨーレート
ψactを減算した値の絶対値がSCS制御開始しきい値
ψ0を超えない場合(ステップS52でNO)、ステップ
S30にリターンして上述の処理を繰り返し実行する。
【0032】次に、ステップS50では、SCS・EC
U10はSCS制御に実際に利用されるSCS制御量β
amtを演算する。また、ステップS56では、SCS・
ECU10はSCS制御に実際に利用されるSCS制御
量ψamtを演算する。
【0033】[SCS制御とABS制御との調停処理]次
に、図5〜図7を参照しつつSCS制御と、SCS制御
とABS制御との調停処理とについて説明する。図5〜
図7は、SCS制御とABS制御との調停処理を実行す
るためのフローチャートである。以下に示す調停処理
は、SCS制御開始条件が成立してもABS制御中であ
ればABS制御を優先させ、あるいはABS制御出力値
に基づいてSCS制御出力値を補正する。また、SCS
制御開始条件とABS制御開始条件とが両方とも成立し
たときには、運転者のブレーキ踏力圧PBの大きさに応
じていずれかの制御が実行される。
【0034】以下、具体的な処理を説明する。図5に示
すように、ステップS58では、SCS・ECU10は
SCS制御に用いる油圧制御ユニット30等に故障が発
生しているか否か判定する。ステップS58で故障して
いる場合(ステップS58でYES)、ステップS74に
進んでSCS制御を中止して図2中に示すステップS2
にリターンして上述の処理を繰り返し実行する。一方、
ステップS58で故障していない場合(ステップS58
でNO)、ステップS60に進む。ステップS60で
は、SCS・ECU10はSCS制 御フラグF1
「1」にセットされているか否かを判定する。SCS制
御フラグF1は、「1」がセットされているときにはS
CS制御実行中であることを表わす。ステップS60で
SCS制御フラグF1が「1」にセットされている場合
(ステップS60でYES)、ステップS76に進んでA
BS制御フラグF2が「1」にセットされているか否か
を判定する。ABS制御フラグF2は、「1」がセット
されているときにABS制御実行中であることを表わ
す。
【0035】一方、ステップS60でSCS制御フラグ
1が「1」にセットされていない場合(ステップS60
でNO)、ステップS62に進んでABS制御実行中か
否かを判定する。ステップS62でABS制御実行中の
場合(ステップS62でYES)、後述するステップS8
0に進む。一方、ステップS62でABS制御実行中で
ない場合(ステップS62でNO)、ステップS64に進
む。ステップS64では、SCS・ECU10はTCS
制御実行中か否かを判定する。ステップS64でTCS
制御実行中の場合(ステップS64でYES)、ステップ
S78に進みTCS制御における制動制御を中止して
(すなわち、エンジンによるトルクダウン制御のみ実行
可能とする)ステップS66に進む。一方、ステップS
64でTCS制御実行中でない場合(ステップS62で
NO)、ステップS66に進む。
【0036】ステップS66では、SCS・ECU10
はSCS制御の対象となる車輪を選択演算し、その選択
車輪に配分すべき目標スリップ率を演算し、その目標ス
リップ率に応じたSCS制御量βamt又はψamtを演算す
る。この後、ステップS68では必要なトルクダウン量
に応じたエンジン制御量を演算する。そして、ステップ
S70でSCS制御を実行して、ステップS72でSC
S制御フラグF1を「1」にセットした後、上述したス
テップS2にリターンして上述の処理を繰り返し実行す
る。
【0037】ステップS76でABS制御フラグF2
「1」にセットされている場合(ステップS76でYE
S)、図6中に示すステップS80に進む。ステップS
80では、SCS・ECU10はABS制御量をSCS
制御量βamt又はψamtに基づいて補正する。その後、ス
テップS82では、SCS・ECU10はABS制御が
終了したか否かを判定する。ステップS82でABS制
御が終了していない(ステップS82でNO)、ステップ
S84でSCS制御フラグF1を「1」にセットすると
ともに、ステップS86でABS制御フラグF2
「1」にセットして上述のステップS30にリターンす
る。一方、ステップS82でABS制御が終了したと判
定されたならば(ステップS82でYES)、ステップS
88でSCS制御フラグF1を「0」にリセットすると
ともに、ステップS90でABS制御フラグF2
「0」にリセットして上述のステップS30にリターン
する。
【0038】さらに、ステップS76でABS制御フラ
グF2が「1」にセットされていない場合(ステップS7
6でNO)、図7に示すステップS92に進む。ステッ
プS92では、SCS・ECU10はブレーキ踏力圧P
Bが所定のしきい値P0以上あるか否かを判定する(PB
0?)。ステップS92で、ブレーキ踏力圧PBが所定
のしきい値P0以上あると判定されたならば(ステップS
92でYES)、ステップS94に進んでSCS制御を
中止して、ステップS96でABS制御に切り換える。
そして、ステップS98でABS制御フラグF2
「1」にセットして上述のステップS30にリターンす
る。一方、ステップS92でブレーキ踏力圧PBが所定
のしきい値P0を超えていないと判定されたならば(ステ
ップS92でNO)、ステップS100に進む。ステッ
プS100では、SCS・ECU10はSCS制御が終
了したか否かを判定する。ステップS100で、SCS
制御が終了していないと判定された場合は(ステップS
100でNO)、上述したステップS68にリターンし
てその後の処理を実行する。一方、ステップS100で
SCS制御が終了したと判定されたならば(ステップS
100でYES)、ステップS102でSCS制御フラ
グF1を「0」にリセットするとともに、ステップS1
04でABS制御フラグF2を「0」にリセットして上
述のステップS30にリターンする。
【0039】[車輪速補正処理の説明]次に、図2のステ
ップS7に示す車輪速補正処理の詳細について説明す
る。図8は、図2の車輪速補正処理を実行するためのフ
ローチャートである。図9は、車輪速補正手順を示す模
式図である。例えば、パンク対応時に用いる補助車輪
(以下、これを「テンパ車輪」という)はノーマル車輪よ
りその径が約5〜15%小さく、他のノーマルタイヤに
比べて車輪速が高くなる。車輪速補正処理は、このよう
なテンパ車輪やノーマル車輪の径のばらつきによる弊害
を取り除くために実行される。その弊害とは以下に示す
とおりである。
【0040】ABS制御では、1輪だけ車輪速が高い
と基準となる車速が持ち上がってテンパ車輪以外のノー
マル車輪がロック傾向にあると誤判定してしまう。 TCS制御では、駆動輪にテンパ車輪が装着されてい
ると、他方の駆動輪であるノーマル車輪がスピンしてい
ると誤判定してしまう。 ノーマル車輪ではその径に最大5%の誤差があり、こ
の誤差に基づく車輪速のばらつきがSCS制御に影響す
る。
【0041】図8に示すように、処理が開始されると、
ステップS110で、SCS・ECU10はFR車輪速
v1と、FL車輪速v2と、RR車輪速v3と、RL車輪速v4
とを入力する。ステップS112では、SCS・ECU
10は車両が定常走行中か否かを判定する。ここで、定
常走行中とは、車輪速度の信頼性が低下するような極端
な加減速時やコーナ走行時ではない状態を表している。
ステップS112で定常走行中でないと判定された場合
(ステップS112でNO)、ステップS110にリター
ンする。また、ステップS112で定常走行中であると
判定された場合(ステップS112でYES)、ステップ
S114に進んでSCS・ECU10はFR車輪速v1
FL車輪速v2、RR車輪速v3及びRL車輪速v4のいずれ
かが所定のしきい値va以上であるか否かを判定する。ス
テップS114でいずれか1輪の車輪速が所定のしきい
値va以上であると判定された場合は(ステップS114
でYES)、ステップS116に進む。一方、ステップ
S114でいずれも所定のしきい値を超えていないと判
定された場合(ステップS114でNO)、ステップS1
22に進んでノーマル車輪に対する車輪速補正を実行す
る。
【0042】ステップS116では、SCS・ECU1
0は1輪の車輪速のみが所定のしきい値以上である状態
が所定時間継続したか否かを判定する。ステップS11
6で1輪の車輪速のみが所定のしきい値以上である状態
が所定時間継続していると判定された場合は(ステップ
S116でYES)、ステップS118に進む。一方、
ステップS116で、1輪の車輪速のみが所定のしきい
値以上である状態が所定時間継続しなかったと判定され
た場合は(ステップS116でNO)、ステップS122
に進んでノーマル車輪に対する車輪速補正を実行する。
ステップS118では、SCS・ECU10は1輪の車
輪速のみが所定のしきい値以上である状態が所定時間継
続したのでその1輪はテンパ車輪であると判定する。そ
して、ステップS120で、SCS・ECU10はテン
パ車輪に対する車輪速補正を実行する。
【0043】ノーマル車輪あるいはテンパ車輪に対する
車輪速補正は、図9に示す〜の手順で実行される。
すなわち、FR車輪速を基準としてRR車輪速を補正
し、次に、FR車輪速を基準としてFL車輪速を補正
し、最後にFL車輪速を基準としてRL車輪速を補正
する。但し、FR車輪がテンパ車輪である場合は、基準
となる車輪は他の車輪に設定する。以下の説明におい
て、図4のステップS44からS46へ進み、それ以降
の処理を横滑り角制御、ステップS52からS54へ進
み、それ以降の処理をヨーレート制御と称する。
【0044】[横滑り角制御開始しきい値β0の補正処
理]以下、図4のステップS44で参照する横滑り角制
御開始しきい値β0の補正処理について説明する。図1
0は、横滑り角制御開始しきい値β0の補正処理を実行
するためのフローチャートである。図11は、横滑り角
制御開始しきい値β0をステアリング舵角θHに応じて補
正するためのマップを示す図である。図12〜図14
は、横滑り角制御開始しきい値β0をステアリング舵角
θHの変化速度に応じて補正するためのマップを示す図
である。
【0045】図4のステップS52、S54及びS56
に示すヨーレート制御中において、車両の横滑り角βが
徐々に増加していくと、ステップS44に示す条件が成
立した時点で横滑り角制御に移行する。この横滑り角制
御への移行時点で、ヨーレート制御の結果、車両が横滑
り角の大きく発生した姿勢であると、次に実行される横
滑り角制御では、車両の姿勢(推定横滑り角βcont)が目
標横滑り角βTRに対して大きくかけ離れているため、車
両の姿勢は横滑り角制御により急激に修正されることに
なる。つまり、ドライバーのステアリング操作に反して
車両の姿勢を急激に戻そうとするため、本当に姿勢制御
が必要なときには非常に有効であるが、それ以外の急激
な姿勢の戻し制御が不要な時にはドライバーの操作に悪
影響を及ぼすおそれがある。
【0046】上記課題を踏まえて、この横滑り角制御開
始しきい値β0の補正処理は、ヨーレート制御から横滑
り角制御へスムーズに切り換えるために、ドライバーの
ステアリング操作に応じて早めに横滑り角制御に移行さ
せるようにしている。図10に示すように、処理が開始
されると、ステップS132では、ドライバーのステア
リング操作の状態を判定する。このステアリング操作の
判定は、ステアリング舵角θHが増加している状態又は
ステアリング舵角θHの変化速度が増加している状態で
切増しと判定し、反対に切増しの状態からステアリング
舵角θHが減少している状態又はステアリング舵角θH
変化速度の方向が逆転した状態で切戻しと判定する。
【0047】ステップS132でステアリングの切増し
操作中の場合には、ステップS134に進む。このステ
アリングの切増し操作中の場合とは、例えば、旋回路へ
の侵入直前か或いは旋回走行の前半のステアリング舵角
θHが増加している状態と考えられる。ステップS13
4では、図11のマップに示すように、横滑り角制御開
始しきい値β0をステアリング舵角θHに応じて補正する
0→β0・x5)。続いて、ステップS136では、図1
2のマップに示すように、ステップS134にて補正さ
れた横滑り角制御開始しきい値β0を、ステアリング舵
角θHの変化速度ΔθH(ステアリング舵角θHの時間によ
る微分値)に応じて更に補正する(β0→β0・x5・x6)。
この後、ステップS132にリターンする。
【0048】図11に示すマップにおいて、ステアリン
グ舵角θHがエリアa1の範囲では、ステアリング舵角θH
が極めて小さく略直進走行中あるいは旋回路に侵入した
初期段階と考えられる。このエリアa1において、急激に
ステアリングが操作される場合とは、例えば、前方障害
物を避けるために急激なステアリング操作を行った場合
やタイヤがパンクした場合が考えられ、早急に(あるい
はドライバーが気付かない間に)車両の姿勢を立て直す
のが望ましい。このため、エリアa1の範囲では、横滑り
角制御開始しきい値β0を極めて減少方向に補正して、
図4のステップS44からステップS46への、横滑り
角制御に移行しやすくなるように補正している。
【0049】また、図11に示すマップにおいて、ステ
アリング舵角θHがエリアa2の範囲では、通常の旋回路
走行中と考えられる。このエリアa2では、横滑り角制御
に頼らずに、なるべくヨーレート制御により旋回できる
ことが望ましい。このため、エリアa2の範囲では、SC
S制御開始閾値β0を増加方向に補正して、横滑り角制
御に移行しにくくなる方向に補正している。
【0050】また、図11に示すマップにおいて、ステ
アリング舵角θHがエリアa3の範囲では、旋回走行中に
ステアリング舵角θHが非常に大きいので、例えば、雪
上走行中にステアリングを切っているにもかかわらず車
両が真直ぐ進んでしまう状態等が想定され、横滑り角が
非常に大きく発生している状態と考えられる。このエリ
アa3では、横滑り角制御に早く移行して、車両の姿勢を
立て直すことが望ましい。このため、エリアa3の範囲で
は、横滑り角制御開始しきい値β0を減少方向に補正し
て、横滑り角制御に移行しやすくなる方向に補正してい
る。
【0051】また、図11中の破線で示すように、車速
Vが増加するに従って、横滑り角制御開始しきい値β0
をより減少方向に補正して、横滑り角制御に移行しやす
くなる方向に補正してもよい。また、図12に示すマッ
プにおいて、ステアリング舵角θHの変化速度ΔθHが速
くなる場合とは、ドライバーの意思でステアリング操作
を速くして旋回しようとしている状態と考えられる。こ
の状態では、ドライバの意思通りに車両が進むように、
横滑り角制御開始しきい値β0を増加方向に補正して、
横滑り角制御に移行しにくくなる方向に補正し、ドライ
バーのステアリング操作に反して車両の姿勢を急激に戻
そうとはしないようにしている。
【0052】ところで、前記のステップS132で、ス
テアリングの切戻し操作中の場合には、ステップS13
8に進む。このステアリングの切戻し操作中の場合と
は、例えば、旋回路から抜け出す直前あるいは旋回走行
の後半のステアリング舵角θHが減少している状態と考
えられる。ステップS138では、車両がドライバーに
よるカウンタ操作中か否かを判定する。この判定は、ス
テアリング舵角θHの方向とヨーレートψの方向とが反
対となっているか否か、すなわち、ステアリング操作方
向と車体の旋回方向とが反対になっているか否かにより
判定する。
【0053】ステップS138で、ステアリング舵角θ
Hの方向とヨーレートψの方向とが同方向の場合は(ステ
ップS138でNO)、カウンタ操作ではないと判定さ
れ、ステップS140に進む。ステップS140では、
車両は安定方向に向かって走行しているが、その後に急
激に横滑りが発生した場合等に対応できるように、横滑
り角制御開始しきい値β0を10%だけ減少方向に補正
する。また、ステップS138で、ステアリング舵角θ
Hの方向とヨーレートψの方向とが反対の場合は(ステッ
プS138でYES)、カウンタ操作であると判定さ
れ、ステップS142に進む。ステップS142では、
車両が不安定な状態で走行しており、早急に車両の姿勢
を立て直す必要があるため、横滑り角制御開始しきい値
β0を20%だけ減少方向に補正する。続いて、ステッ
プS144では、カウンタ操作が収束したか否かを判定
する。ステップS144でカウンタ操作が収束したと判
定されたならば(ステップS144でYES)、ステップ
S132にリターンし、カウンタ操作が収束していない
と判定されたならば(ステップS144でNO)、ステッ
プS142にリターンして、更に横滑り角制御開始しき
い値β0を20%だけ減少方向に補正する。
【0054】上記ステップS140、S142で補正対
象となる横滑り角制御開始閾値β0は、ステップS13
4とステップS136とを経て補正された値β00・x
5、β0・x5・x6)でも、図4のステップS44で設定さ
れた補正前の値β0であっても良い。
【0055】ここで、図12に示すマップの代わりに図
13及び図14に示すマップにより横滑り角制御開始し
きい値β0を補正してもよい。図13及び図14に示す
マップでは、図12に示すマップとは逆に、横滑り角制
御に移行しやすくなるように補正している。図13及び
図14に示すマップにおいて、ステアリング舵角θH
変化速度ΔθHが速くなる場合(急激にステアリングが操
作される場合)とは、例えば、前方障害物を避けるため
に急激なステアリング操作を行った場合やタイヤがパン
クした場合が考えられ、早急に車両の姿勢を立て直すこ
と望ましい。このため、ステアリング舵角θHの変化速
度ΔθHが速くなる程、横滑り角制御開始しきい値β0
減少方向に補正して、横滑り角制御に移行しやすくなる
ように補正している。
【0056】<変形例>以下、変形例を説明する。 ヨーレートのセンサ値が非常に大きくなるスピン発生
後は、推定演算される推定横滑り角の積分誤差がそのヨ
ーレートのセンサ値の影響で非常に大きくなり、姿勢制
御に移行する必要が無い場合でもドライバーの意思に反
して姿勢制御に移行してしまう等、ドライバーの操作に
悪影響を及ぼす虞がある。このため、スピンが発生した
か否かを判定して、スピンが発生すると(スピンは、ヨ
ーレートが急激に増加することにより判定する)、横滑
り角制御開始しきい値β0を増加方向に補正して、横滑
り角制御に移行しにくくなる方向に補正してもよい。ま
た、ドリフトアウト発生後も同様である。ドリフトアウ
トの発生は、ステアリング舵角θHに対する車両の横滑
り角が非常に大きいことにより判定する。
【0057】路面の摩擦係数μが急激に増減する場合
にも、推定演算される推定横滑り角の積分誤差が大きく
なり、また、ドライバの意思による姿勢立て直し操作に
反して制御介入してしまうこともあるため、横滑り角制
御開始しきい値β0を増加方向に補正して、横滑り角制
御に移行しにくくなる方向に補正してもよい。 ステアリング舵角θHの変化が少ない略直進走行の継
続時間が大きくなるほど、横方向の負荷が検出できず、
摩擦係数μが極めて小さな値となり推定横滑り角の値が
不正確となるため、横滑り角制御開始しきい値β0を増
加方向に補正して、横滑り角制御に移行しにくくなる方
向に補正してもよい。
【0058】[ヨーレート制御量ψamtの補正処理]次
に、図4のステップS56で参照するヨーレート制御量
ψamtの補正処理について説明する。図15は、ヨーレ
ート制御量ψamtの補正処理を実行するためのフローチ
ャートである。図16は、ヨーレート制御量ψamtを横
滑り角偏差量βdifに応じて補正するためのマップを示
す図である。図17は、ヨーレート制御量ψamtを横滑
り角偏差量βdifの変化速度Δβdifに応じて補正するた
めのマップを示す図である。
【0059】このヨーレート制御量ψamtの補正処理
も、上記横滑り角制御開始しきい値β0の補正処理と同
一の課題を踏まえている。つまり、このヨーレート制御
量ψamtの補正処理は、ヨーレート制御から横滑り角制
御へスムーズに切り換えるために、車両の横滑り偏差量
βdifに応じてヨーレート制御量ψamtを減少方向に補正
してゆき、目標ヨーレートψTRへ収束させる時の追従性
を増減して、車両が大きく姿勢変化しないようにスムー
ズに横滑り角制御に移行させるようにしている。
【0060】図15に示すように、処理が開始される
と、ステップS152では、車両の運転状態が横滑り制
御領域にはなく(ステップS44でNO)、ヨーレート制
御領域にある(ステップS52でYES)か否かを判定す
る。ステップS152、でヨーレート制御領域にあると
判定されたならば(ステップS152でYES)、ステッ
プS154に進む。
【0061】ステップS154では、図16のマップに
示すようにヨーレート制御量ψamtを横滑り角偏差量β
difdif=|βTR−βcont|)に応じて補正する(ψamt
→ψ amt・x7)。続いて、ステップS156では、図17
のマップに示すように、ステップS154で補正された
ヨーレート制御量ψamtを、横滑り角偏差量βdifの変化
速度Δβdif(横滑り角偏差量βdifの時間による微分値)
に応じて更に補正する(ψamt→ψamt・x7・x8)。次に、
ステップS158に進み、横滑り角偏差量βdifが増加
傾向にあるか否かを判定する。この判定は、横滑り角偏
差量βdifの変化速度Δβdifの増減により判定する。ス
テップS158で、横滑り角偏差量βdifが増加傾向に
あると判定されたならば(ステップS158でYES)、
ステップS160に進み、他方横滑り角偏差量βdif
増加傾向でないと判定されたならば(ステップS158
でNO)、ステップS162に進む。
【0062】ステップS160では、横滑り制御に移行
する直前と考えられるので、ヨーレート制御量ψamt
20%だけ減少方向に補正して、目標ヨーレートψTR
の収束速度を遅くする。ステップS162では、ヨーレ
ート制御量ψamtが所定値ψ1以下であるか否かを判定す
る。ステップS162でヨーレート制御量ψamtが所定
値ψ1以下(ψamt≦ψ1)であると判定されたならば(ステ
ップS162でYES)、ステップS164に進み、横
滑り角制御開始しきい値β0を減少方向に補正して、横
滑り角制御に移行しやすくなる方向に補正する。ステッ
プS162での所定値ψ1は、ヨーレート制御量ψamt
さらに小さい値になった場合には目標ヨーレートψTR
の追従速度が遅くなり、ヨーレート制御を実行しても車
両の姿勢に影響しないような値に設定される。
【0063】図16に示すマップにおいて、横滑り角偏
差量βdifが増加しているということは、横滑り角制御
領域には入っていないが車両の姿勢が目標横滑り角βTR
に対して大きくずれている状態である。そこで、横滑り
角制御に移行する時の前準備として、ヨーレートによる
無理な姿勢制御を行なわないで、ゆっくり収束させてゆ
く。
【0064】また、図17に示すマップにおいて、横滑
り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが増加している
ということは、図16の場合と同様に、横滑り角制御領
域には入っていないが車両の姿勢が目標横滑り角βTR
に対して大きくずれ始めている状態である。そこで、横
滑り角制御に移行する時の前準備として、ヨーレートに
よる無理な姿勢制御を行なわないで、ゆっくりと目標ヨ
ーレートψTRに収束させてゆく。このため、図17で
は、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが増加する
のに従ってステップS154で補正されたヨーレート制
御量ψamt(=ψamt・x7)を更に減少方向に補正して、図
4のステップS56に示す目標ヨーレートψTRに収束さ
せる際の追従速度を小さくしている。
【0065】<変形例>図18は、ヨーレート制御量ψ
amtの補正処理の変形例を示すフローチャートである。
この変形例では、横滑り角偏差量βdifが増加傾向にあ
る場合には、ヨーレート制御量ψamtの補正処理を実行
し、横滑り角偏差量βdifが増加傾向に無い場合には、
横滑り角偏差量βdifが拡大していないため、通常のヨ
ーレート制御を実行するものである。
【0066】図18に示すように、処理が開始される
と、ステップS172では、横滑り角偏差量βdifが所
定値β1(<β0)以上か否かを判定する。ステップS17
2で、横滑り角偏差量βdifが所定値β1以上であると判
定されたならば(ステップS172でYES)、ステップ
S174で通常のヨーレート制御を実行する。次に、ス
テップS176で、今回の横滑り角偏差量βdifnが前回
の横滑り角偏差量βdifn-1以上か否かを判定する。ステ
ップS176で、今回の横滑り角偏差量βdifnが前回の
横滑り角偏差量βdifn-1以上であると判定されたならば
(ステップS176でYES)、横滑り角偏差量βdif
拡大傾向にあるので、ステップS178でヨーレート制
御量ψamtの補正処理を実行する。このヨーレート制御
量ψamtの補正処理は、図15のステップS154以降
の処理と同様である。また、ステップS176で今回の
横滑り角偏差量βdifnが前回の横滑り角偏差量βdifn-1
よりも小さいと判定されたならば(ステップS186で
NO)、ヨーレート制御により横滑り角偏差量βdifが拡
大していないため、通常のヨーレート制御を実行するも
のである。
【0067】[目標横滑り角βTRの上限値設定処理]次
に、図3のステップS42で演算する目標横滑り角βTR
の上限値βTRLinを設定する処理について説明する。図
19は、目標横滑り角βTRの上限値設定処理を実行する
ためのフローチャートである。図20は、目標横滑り角
βTRの上限値βTRLinを車速Vに応じて設定するための
マップを示す図である。図21及び図22は、それぞ
れ、目標横滑り角βTRの上限値βTRLinをステアリング
舵角θHに応じて設定するためのマップを示す図であ
る。図23は、目標横滑り角βTRの上限値βTRLinをス
テアリング舵角θHの変化速度ΔθHに応じて設定するた
めのマップを示す図である。図24は、目標横滑り角β
TRの上限値βTRLinを車速V及びステアリング舵角θH
応じて設定するためのマップを示す図である。図25
は、目標横滑り角βTRの上限値βTRLinを車速V及びス
テアリング舵角θHの変化速度ΔθHに応じて設定するた
めのマップを示す図である。
【0068】横滑り角制御中において、例えば、車両に
スピンやドリフトアウト等が発生すると、ドライバーは
あわてるため、車速が高い状態でステアリングを固定さ
せたり、カウンタ操作を行ったりして、ステアリングを
通常より大きく操作することが考えられる。このよう
に、ステアリング舵角θHが大きくなると、本来の目標
横滑り角βTRが正常値から大幅にずれるので、ステアリ
ング舵角θHにより設定される目標横滑り角βTRの信頼
性も低下する。この状態で、通常通りの横滑り角制御を
実行すると、推定横滑り角βcontを信頼性の低い目標横
滑り角βTRに収束させてしまうことになり、本来の正常
な姿勢からかけ離れた姿勢に立て直そうとしてしまう。
【0069】上記課題を踏まえて、目標横滑り角βTR
上限値設定処理は、車速Vやステアリング舵角θHに応
じて目標横滑り角βTRの信頼性を判断し、目標横滑り角
βTRの信頼性が低い場合には、目標横滑り角βTRに上限
値βTRLinを設定し、その上限値βTRLinを減少方向に補
正することにより、目標横滑り角βTRへの過剰な制御を
抑制するようにしている。
【0070】図19に示すように、処理が開始される
と、ステップS182では、目標横滑り角βTRが、図2
0〜図24に示すマップから決定される目標横滑り角β
TRの上限値βTRLin以上であるか否かを判定する。ステ
ップS182で、目標横滑り角βTRが、その上限値β
TRLin以上であると判定されたならば(ステップS182
でYES)、ステップS184で、目標横滑り角β
TRを、図20〜図24に示すマップから決定される目標
横滑り角βTRの上限値βTRLinに設定する。
【0071】図20に示すマップにおいて、エリアa4
ように車速Vが低い状態では、例えば雪路走行中にスピ
ン等が発生した場合、ドライバはあわてるため、ステア
リングを通常より大きく操作することが考えられる。こ
のように、ステアリング舵角θHが大きくなると、横滑
り角偏差量βdifが誤った方向に拡大してしまう可能性
がある。このため、目標横滑り角βTRの上限値βTRLin
を減少方向に補正して、横滑り制御量βamtを小さくし
車両の挙動変化を抑えている。また、車速Vが低い状態
では、横滑り制御量βamtを小さくしても時間的に余裕
があるため、繰り返し制御介入することにより車両の姿
勢を立て直しやすくなる。
【0072】反対に、エリアa5のように車速Vが高い状
態では、低速時に比べてドライバーのステアリング操作
に対して横滑り角偏差量βdifが大きくなるため横滑り
制御量βamtも大きくなる。ところが、高速走行時に大
きな横滑り制御量βamtで姿勢制御すると、制御が急激
すぎて車両が路面とのグリップを失い、スピン等を起こ
す可能性がある。このため、目標横滑り角βTRの上限値
βTRLinを減少方向に補正して、横滑り制御量βamtを小
さくし車両の挙動変化を抑えている。
【0073】図21に示すマップにおいて、エリアa6
ようにステアリング舵角θHが大きくなっていく状態で
は、横滑り角偏差量βdifが大きくなり、車両はスピン
等をしやすい状況にある。このため、目標横滑り角βTR
の上限値βTRLinを増加方向に補正して、早急に姿勢を
立て直すようにしている。つまり、エリアa6に示すステ
アリング舵角θHが低い状態に比べて、エリアa7のよう
にステアリング舵角θHが大きい状態では、例えば、ド
ライバーの操作したステアリング舵角θHが大きく、横
滑り角偏差量βdifが拡大してスピンやドリフトアウト
が発生するおそれがある。そこで、このような状態で
は、目標横滑り角βTRに早急に収束させ、車両の姿勢を
立て直す必要があるので、目標横滑り角βTRの上限値β
TRLinを増加方向に補正して横滑り角制御を実行させる
ようにしている。
【0074】図22に示すマップにおいて、エリアa8
ようにステアリング舵角θHが極端に大きくなる状態と
は、例えば、ドライバーがカウンタ操作している時であ
り、この状態では目標横滑り角βTRに早急に収束させ、
車両の姿勢を立て直す必要がある。このため、目標横滑
り角βTRの上限値βTRLinを増加方向に補正して早く収
束させるようにしている。
【0075】図23に示すマップにおいて、エリアa9
ようにステアリング舵角θHの変化速度ΔθHが極端に大
きくなる状態とは、例えば、ドライバがカウンタ操作し
ている時であり、この状態では目標横滑り角βTRに早急
に収束させ、ドライバの操作通りに車両の姿勢を立て直
す必要があるので、目標横滑り角βTRの上限値βTRLin
を増加方向に補正している。
【0076】図24に示すマップにおいて、車速Vが高
い状態でも、ステアリング舵角θHが大きくなるほど、
横滑り角偏差量βdifが大きくなるため、目標横滑り角
βTRに早急に収束させ、ドライバーの操作通りに車両の
姿勢を立て直す必要があるので、目標横滑り角βTRの上
限値βTRLinを増加方向に補正している。
【0077】図25に示すマップにおいて、エリアa10
のように、車速Vが低速でもなく高速でもない中間領域
で、且つステアリング舵角θHの変化速度ΔθHが低い状
態から中程度の領域では、目標横滑り角βTRの信頼性が
高いので、目標横滑り角βTRの上限値βTRLinを増加方
向に補正して横滑り角制御を実行させるようにしてい
る。反対に、エリアa10以外のエリアa11の状態では、目
標横滑り角βTRの信頼性が低いので、目標横滑り角βTR
の上限値βTRLinの補正処理を実行しないようにしてい
る。
【0078】<変形例>変形例として、車両走行中の路
面の摩擦係数μが所定の摩擦係数より小さい場合には、
ステアリング操作を行ないやすく、目標横滑り角βTR
増加しやすい状態なので、目標横滑り角βTRの上限値β
TRLinを減少方向に補正して、横滑り角制御による急激
な車両の挙動変化を抑えるようにしてもよい。
【0079】[横滑り角制御量βamtの補正処理]次に、
図4のステップS50で参照する横滑り角制御量βamt
の補正処理について説明する。図26は、横滑り角制御
量βamtの補正処理を実行するためのフローチャートで
ある。図27は、横滑り角制御量βamtをステアリング
舵角θH及びその変化速度ΔθHに応じて補正するための
マップを示す図である。図4に示す横滑り角制御中にお
いて、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが変化し
ている場合、これが目標横滑り角βTRの増加に起因して
いることが考えられる。この目標横滑り角βTRは、ドラ
イバーのステアリング操作により決定されるが、横滑り
角偏差量βdifが増加している状態でさらにステアリン
グを切り込むことはスピンやドリフトアウトを助長する
結果となる。
【0080】そこで、横滑り角制御量βamtの補正処理
では、目標横滑り角βTRが増加している状態で、ドライ
バのステアリング操作が切り戻されているか、切り増さ
れているか、あるいはステアリング舵角θHやその変化
速度ΔθHによって横滑り角制御量βamtを補正し、ドラ
イバのステアリング操作に応じた横滑り角制御を行うよ
うにしている。
【0081】図26に示すように、処理が開始される
と、ステップS192で、横滑り角偏差量βdifの変化
速度Δβdifが所定値β2以上か否かを判定する。ステッ
プS192で、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdif
が所定値β2以上であると判定されたならば(ステップS
192でYES)、ステップS199に進む。ステップ
S199では、横滑り角偏差量βdifがかなり大きくな
り、早急に車両の姿勢を立て直す必要があるため、横滑
り角制御量βamtを20%増加方向に補正して、目標横
滑り角βTRへの収束速度を速める。
【0082】ステップS192で、横滑り角偏差量β
difの変化速度Δβdifが所定値β2以上でないと判定さ
れたならば(ステップS192でNO)、横滑り角偏差量
βdifはそれほど大きくなく、早急に車両の姿勢を立て
直す必要もないと考えられるので、ステップS194に
進む。ステップS194では、ドライバーのステアリン
グ操作の状態を判定する。このステアリング操作の判定
は、ステアリング舵角θHが変化しない状態で固定と判
定し、ステアリング舵角θHが増加している状態又はス
テアリング舵角θHの変化速度ΔθHが増加している状態
で切増しと判定し、反対に切増しの状態からステアリン
グ舵角θHが減少している状態又はステアリング舵角θH
の変化速度ΔθHの方向が逆転した状態で切戻しと判定
する。
【0083】ステップS194で、ステアリングの固定
又は切増し操作中であると判定された場合は、ステップ
S196に進む。このステアリングの固定又は切増し操
作中の場合とは、例えば、スピンあるいはドリフトアウ
トが発生しそうな時に横滑り角制御が介入するのである
が、そのスピンあるいはドリフトアウトが発生しそうな
時にステアリングを固定又は切増し操作するのは、スピ
ンあるいはドリフトアウトを助長する結果となりドライ
バーが誤って操作している状態と考えられる。そこで、
ステップS196では、目標横滑り角βTRの信頼性は低
いものと考えられ、図27のマップに示すように、横滑
り角制御量βamtをステアリング舵角θH及びその変化速
度ΔθHに応じて補正する(βamt→βamt・x9)。
【0084】また、ステップS194で、ステアリング
の切戻し操作中であると判定された場合は、ステップS
198に進む。ステアリングの切戻し操作中の場合と
は、例えば、スピンあるいはドリフトアウトが発生しそ
うな時に横滑り角制御が介入するのであるが、そのスピ
ンあるいはドリフトアウトが発生しそうな時にステアリ
ングがカウンタ操作されていると考えられる。このカウ
ンタ操作は、スピンあるいはドリフトアウトを回避する
操作であるのでドライバの操作は誤っていないものと考
えられる。そこで、ステップS198では、目標横滑り
角βTRの信頼性は高いものと考えられ、早急に車両の姿
勢を立て直す必要があるため、横滑り角制御量βamt
10%増加方向に補正して、目標横滑り角βTRへの収束
速度を高めている。
【0085】図27に示すマップにおいて、ステアリン
グの固定又は切増し操作中の場合には、スピン或いはド
リフトアウトが発生しそうな時にステアリングを固定又
は切増し操作するのは、スピンあるいはドリフトアウト
を助長する結果となりドライバーが誤って操作している
状態なので、ステアリング舵角θHが増加するに従っ
て、目標横滑り角βTRの信頼性は低くなるものと考えら
れ、横滑り角制御量βamtを減少方向に補正している。
同様に、ステアリング舵角θHの変化速度ΔθHが増加す
るに従って、目標横滑り角βTRの信頼性は低くなるもの
と考えられ、さらに車両の挙動変化が速くなるため、横
滑り角制御量βamtをさらに減少方向に補正している。
【0086】[横滑り角偏差量又はヨーレート偏差量の
変化要因に基づく補正処理]次に、横滑り角偏差量βdif
又はヨーレート偏差量ψdifの変化要因に基づく補正処
理について説明する。図28は、ヨーレート偏差量ψ
difに応じた横滑り角制御開始しきい値β0、目標横滑り
角βTR及びヨーレート制御量ψamtの補正処理を実行す
るためのフローチャートである。図29は、横滑り角偏
差量βdifに応じた、横滑り角制御開始しきい値β0、目
標横滑り角βTR及び横滑り角制御量βamtの補正処理を
実行するためのフローチャートである。
【0087】<ヨーレート偏差量ψdifに応じた補正処
理>まず、ヨーレート偏差量ψdifに応じた横滑り角制
御開始閾値β0、目標横滑り角βTR、ヨーレート制御量
ψamtの補正処理について説明する。ヨーレート偏差量
ψdifdif=|ψTR−ψact|)に応じた補正処理で
は、ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdif(今回の
ヨーレート偏差量ψdifnと前回のヨーレート偏差量ψ
difn-1との差)が所定値ψ1以上変化した場合、その変化
要因が目標ヨーレートψTRであるのか、それとも実ヨー
レートψactであるのかに応じて、ヨーレート制御量ψ
amt、横滑り角制御開始閾値β0及び目標横滑り角βTR
補正する。
【0088】図28に示すように、図4のステップS5
6からステップS202に進み、ステップS202で
は、ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdifが所定値
ψ2以上変化したか否かを判定する。ステップS202
で、ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdifが所定値
ψ2以上変化したと判定されたならば(ステップS202
でYES)、ステップS204に進む。ステップS20
4では、ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdifの変
化要因が目標ヨーレートψTRであるのか、それとも実ヨ
ーレートψactであるのかを判定する。ステップS20
4で、ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdifの変化
要因が目標ヨーレートψTRであれば、ステップS206
〜S210に進む。
【0089】ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdif
の変化要因が目標ヨーレートψTRであれば、これはドラ
イバーのステアリング操作によるものと考えられる。そ
こで、ステップS206では、ドライバーの意思に従っ
て、横滑り角制御開始しきい値β0を増加方向に補正し
て、横滑り角制御に移行しにくくして、ドライバーのス
テアリング操作に任せるようにする。さらに、ステップ
S208では、目標横滑り角βTRの上限値βTRLinを増
加方向に補正して、横滑り角制御に移行した場合に、ド
ライバーのステアリング操作に応じて目標横滑り角βTR
が増加できるように補正する。また、ステップS210
では、ヨーレート制御量ψamtを減少方向に補正して、
ヨーレート制御による目標ヨーレートへの急激な姿勢変
化を抑制し、ドライバのステアリング操作に任せるとと
もに、ドライバーのステアリング操作と干渉しないよう
にしている。
【0090】一方、ステップS204で、ヨーレート偏
差量ψdifの変化速度Δψdifの変化要因が実ヨーレート
ψactであると判定されたならば、ステップS212〜
S214に進む。ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δ
ψdifの変化要因が実ヨーレートψactであれば、これは
路面形状変化や路面摩擦係数変化等の外乱に起因するも
のと考えられ、早急に車両の姿勢を立て直す必要があ
る。そこで、ステップS212で、横滑り角制御開始し
きい値β0を減少方向に補正して、横滑り角制御に移行
しやすくし、横滑り角制御に移行した時にスリップやド
リフトアウトに対して早めに対処できるようにする。さ
らに、ステップS214では、早急な姿勢の立て直しを
図るため、ヨーレート制御量ψamtを増加方向に補正し
て目標ヨーレートψTRへの収束を早めている。
【0091】以上のように、ヨーレート制御中におい
て、ヨーレート偏差量ψdifの変化要因に応じて横滑り
角制御開始しきい値β0、目標横滑り角βTR及びヨーレ
ート制御量ψamtを補正するので、ドライバの操作に起
因する場合には、ドライバの意思に従うようにし、外乱
に起因する場合には、早急に車両の姿勢を立て直すよう
にすることができる。
【0092】<横滑り角偏差量βdifに応じた補正処理
>次に、横滑り角偏差量βdifに応じた横滑り角制御開
始しきい値β0、目標横滑り角βTR、横滑り角制御量β
amtの補正処理について説明する。横滑り角偏差量βdif
dif=|βTR−βcont|)に応じた補正処理では、横
滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdif(今回の横滑り角
偏差量βdifnと前回の横滑り角偏差量βdifn-1との差)
が所定値β2以上変化した場合、その変化要因が目標横
滑り角βTRであるのか、推定横滑り角βcontであるのか
に応じて、横滑り角制御開始しきい値β0、目標横滑り
角βTR及び横滑り角制御量βamtを補正する。
【0093】図29に示すように、図4のステップS5
0からステップS222に進み、ステップS222で
は、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが所定値β
2以上変化したか否かを判定する。ステップS222
で、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが所定値β
2以上変化したと判定されたならば(ステップS222で
YES)、ステップS224に進む。ステップS224
では、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifの変化要
因が目標横滑り角βTRであるのか、推定横滑り角βcont
であるのかを判定する。ステップS224で、横滑り角
偏差量βdifの変化速度Δβdifの変化要因が目標横滑り
角βTRであると判定されたならば、ステップS226〜
S230に進む。
【0094】横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdif
変化要因が目標横滑り角βTRであれば、これはドライバ
ーのステアリング操作によるものと考えられる。そこ
で、ステップS226では、ドライバーの意思に従って
横滑り角制御開始しきい値β0を増加方向に補正して、
横滑り角制御に移行しにくくして、ドライバーのステア
リング操作に任せるようにする。さらに、ステップS2
28では、目標横滑り角βTRの上限値βTRLinを増加方
向に補正して、ドライバーのステアリング操作に応じて
目標横滑り角βTRが増加できるように補正する。また、
ステップS230では、横滑り角制御量βamtを減少方
向に補正して、横滑り角制御による目標横滑り角βTR
の急激な姿勢変化を抑制し、ドライバーのステアリング
操作に任せるとともに、ドライバーのステアリング操作
と干渉しないようにしている。
【0095】一方、ステップS224で、横滑り角偏差
量βdifの変化速度Δβdifの変化要因が推定横滑り角ψ
contであると判定されたならば、ステップS232〜S
234に進む。横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdif
の変化要因が推定横滑り角ψcontであれば、これは路面
形状変化や路面摩擦係数変化等の外乱に起因するものと
考えられ、早急に車両の姿勢を立て直す必要がある。そ
こで、ステップS232では、横滑り角制御開始しきい
値β0を減少方向に補正して、横滑り角制御に移行しや
すくし、横滑り角制御に移行した時にスリップやドリフ
トアウトに対して早めに対処できるようにする。さら
に、ステップS234では、早急な姿勢の立て直しを図
るため、横滑り角制御量βamtを増加方向に補正して、
目標横滑り角βTRへの収束を早めている。
【0096】以上のように、横滑り角制御中において、
横滑り角偏差量βdifの変化要因に応じて横滑り角制御
開始しきい値β0、目標横滑り角βTR及び横滑り角制御
量βamtを補正するので、ドライバーの操作に起因する
場合には、ドライバの意思に従うようにし、外乱に起因
する場合には、早急に車両の姿勢を立て直すことができ
る。
【0097】[制御開始しきい値・初期補正量補正処
理]以下、ドライバーの運転技量等に応じてSCS制御
の制御特性、具体的にはSCS制御の制御開始しきい値
及び該SCS制御開始時における初期補正量(初期制御
量)を臨機応変に変更・補正するための補正処理、すな
わち制御開始しきい値・初期補正量補正処理について説
明する。この制御開始しきい値・初期補正量補正処理に
おいては、基本的には、車両の走行状態に応じて設定さ
れる目標ヨーレートψTR(ヨーレート目標値)と、該車
両において実測される実ヨーレートψact(ヨーレート
実測値)との間の偏差(以下、これを「ヨーレート偏
差」という)の代表値(例えば、経時的平均値)が、所
定の第1基準値よりも小さいとき、すなわちドライバー
の運転技量が比較的高いものと推測されるときには、ヨ
ーレート制御開始しきい値ψ0ないしは横滑り角制御開
始しきい値β0を増加方向に補正するとともに、ヨーレ
ート制御ないしは横滑り角制御の初期補正量(初期制御
量)を減少方向に補正して、走行安定性を確保しつつド
ライバーの操縦の自由度を高めるようにしている。
【0098】他方、ヨーレート偏差の代表値が、第1基
準値よりも大きい所定の第2基準値よりも大きいとき、
すなわちドライバーの運転技量が低いものと推測される
ときには、ヨーレート制御開始しきい値ψ0ないしは横
滑り角制御開始しきい値β0を減少方向に補正し、ドラ
イバーの運転技量に相応する積極的なSCS制御を行っ
て、車両の走行安定性をとくに高めるようにしている。
なお、この場合、ヨーレート制御ないしは横滑り角制御
の初期補正量は補正されない。
【0099】また、ヨーレート偏差の代表値が、第1基
準値以上でありかつ第2基準値以下であるとき、すなわ
ちドライバーの運転技量はさほど高くはないが低いとも
いえない普通の技量である推測されるときには、ヨーレ
ート制御及び横滑り角制御の開始しきい値及び初期補正
量の補正を行わず、普通のSCS制御を行い、普通に車
両の走行安定性を高めるようにしている。
【0100】このように、制御開始しきい値・初期補正
量補正処理を行うようにしているので、ドライバーの運
転技量が比較的高いものと推測されるときには、SCS
制御が起こりにくくなり、ドライバーの車両操縦の自由
度が高くなる。このため、例えばスピンを利用して急旋
回し、あるいはスピンを利用して摩擦係数の非常に低い
路面例えば雪道を円滑に走行するなどといった技量を要
する運転を行うことが可能となる。なお、この場合で
も、ヨーレート偏差ないしは横滑り角偏差が、補正によ
り高められた制御開始しきい値以上になればヨーレート
制御ないしは横滑り角制御が開始されるので、走行安定
性は確保される。他方、ドライバーの運転技量がさほど
高くない、あるいは低いものと推測されるときには、ド
ライバー運転技量に相応して積極的にSCS制御が実行
され、車両の走行安定性が十分に高められる。つまり、
ドライバーの運転技量あるいは心理状態に応じて臨機応
変に適切なSCS制御が行われる。
【0101】以下、図30に示すフローチャートを参照
しつつ、制御開始しきい値・初期補正量補正処理の具体
的な制御方法を説明する。図30に示すように、この制
御開始しきい値・初期補正量補正処理においては、まず
ステップS242とステップS244とで、それぞれ、
車速Vが所定の基準車速V0より大きいか否かと、ステ
アリング舵角θHが所定の基準舵角θH0より大きいか否
かとが比較・判定される。そして、V>V0であり(ス
テップS242でYES)、かつθH>θH0である場合
(ステップS244でYES)、すなわち車両がある程
度以上の車速で旋回走行している場合は、ステップS2
46以下の各ステップ(ステップS246〜260)が
実行され、実質的な制御開始しきい値・初期補正量補正
処理が実施される。
【0102】このような場合にのみ実質的な制御開始し
きい値・初期補正量補正処理を実施する理由はおよそ次
のとおりである。すなわち、この制御開始しきい値・初
期補正量補正処理では、基本的にはヨーレート偏差の経
時的平均値(ヨーレート偏差の積分値を経過時間で除算
したもの)の大小に基づいてドライバーの運転技量を判
定するようにしているが、運転技量を把握できる程度の
ヨーレート偏差は、ある程度以上の車速で旋回走行して
いるときでなければ生じないからである。したがって、
V≦V0であるか(ステップS242でNO)、又はθH
≦θH0である場合(ステップS244でNO)、以下の
全ステップ(ステップS246〜260)をスキップし
てリターンする。
【0103】ステップS246では、目標ヨーレートψ
TRから実ヨーレートψactを減算することによりヨーレ
ート偏差Δψが演算される(ψTR−ψact→Δψ)。続
いて、ステップS248で、ヨーレート偏差Δψを平均
化処理することにより、ヨーレート偏差Δψの代表値と
してヨーレート偏差平均値Δψxが演算される。この平
均化処理においては、ヨーレート偏差Δψを時間につい
て積分し、この積分値を経過時間で除算することにより
ヨーレート偏差平均値Δψxを求めるようにしている。
なお、ヨーレート偏差Δψの代表値は、このようなヨー
レート偏差Δψの経時的平均値に限定されるものではな
いが、時々刻々に変化する偏差そのものではなく、ドラ
イバーの運転技量を推定することが可能な程度に継続的
ないしは普遍的なものである必要がある。時々刻々の偏
差からは、ドライバーの運転技量を判別することができ
ないからである。
【0104】次に、ステップS250で、ヨーレート偏
差平均値Δψxが所定の第1基準値Δψx0より小さいか
否かが比較・判定される。ここで、第1基準値Δψ
x0は、ヨーレート偏差平均値Δψxがこれより小さいと
ドライバーの運転技量が高いと判定されるような値に好
ましく設定される。ステップS250で、Δψx<Δψ
x0であると判定された場合は(YES)、ステップS2
52で、ヨーレート制御開始しきい値ψ0及び横滑り角
制御開始しきい値β0が20%だけ増加させられる(高
められる)とともに、ヨーレート制御及び横滑り角制御
の初期補正量が20%だけ低減させられる。
【0105】この場合、SCS制御が起こりにくくな
り、ドライバーの車両操縦の自由度が高くなる。このた
め、例えばスピンを利用して急旋回し、あるいはスピン
を利用して摩擦係数の非常に低い路面例えば雪道を円滑
に走行するなどといった技量を要する運転を行うことが
可能となる。また、SCS制御開始時に急激なSCS制
御が実行されないで、SCS制御開始時に違和感が生じ
ない。
【0106】ここで、各制御開始しきい値の増加率(補
正率)ないしは初期補正量の低減率(補正率)をこのよ
うに固定せず、車速Vが大きいときほど小さくなるよう
に設定してもよい。車速Vが大きいときには、たとえド
ライバーの運転技量が高い場合でも、走行安定性を高め
る必要性が高いからである。なお、この場合、補正率の
車速Vに対する変化特性をリニアな特性にすれば、制御
ロジックが比較的簡素なものとなる。この後、後記のス
テップS256が実行される。
【0107】ところで、前記のステップS250で、Δ
ψx≧Δψx0であると判定された場合(NO)、すなわ
ちドライバーの運転技量がさほど高くはない(普通又は
低い)と判定された場合は、ステップS254で、ヨー
レート偏差平均値Δψxが所定の第2基準値Δψx1(>
Δψx0)より大きいか否かが比較・判定される。ここ
で、第2基準値Δψx1は、ヨーレート偏差平均値Δψx
がこれより大きいとドライバーの運転技量が低いと判定
されるような値に好ましく設定される。ステップS25
4で、Δψx>Δψx1であると判定された場合は(YE
S)、ステップS260で、ヨーレート制御開始しきい
値ψ0及び横滑り角制御開始しきい値β0が20%だけ低
減させられる。なお、この場合、ヨーレート制御及び横
滑り角制御の初期補正量は変更されない。
【0108】この場合、SCS制御が起こりやすくな
り、したがってドライバーの低い運転技量に相応して積
極的にSCS制御が実行され、車両の走行安定性が十分
に高められる。ここで、各制御開始しきい値の低減率
(補正率)をこのように固定せず、車速Vが大きいとき
ほど大きくなる(SCS制御がより起こりやすくなる)
ように設定してもよい。ドライバーの運転技量が低い場
合、車速が大きいときにはとくに走行安定性を高める必
要があるからである。なお、この場合、補正率の車速V
に対する変化特性をリニアな特性にすれば、制御ロジッ
クが比較的簡素なものとなる。この後、後記のステップ
S256が実行される。
【0109】他方、ステップS254でΔψx≦Δψx1
であると判定された場合(NO)、すなわちドライバー
の運転技量が普通であると判定された場合は、ヨーレー
ト制御及び横滑り角制御の開始しきい値及び初期補正量
の補正を行わず、リターンする。この場合は、普通のS
CS制御が行われ、車両の走行安定性が普通に高められ
ることになる。
【0110】ステップS256では、イグニッションス
イッチがオフされた否かが比較・判定され、イグニッシ
ョンスイッチがオフされていると判定された場合は(Y
ES)、ステップS258で制御開始しきい値及び初期
補正量の補正処理(補正量)がリセット(クリアー)さ
れ、この後リターンする。なお、ステップS256でイ
グニッションスイッチがオフされていないと判定された
場合は(NO)、ステップS258をスキップしてリタ
ーンする。すなわち、上記補正処理(補正量)はリセッ
トされず、継続される。
【0111】このように、イグニッションスイッチがオ
フされたときに、補正処理をリセットする理由は次のと
おりである。すなわち、イグニッションスイッチがオフ
された場合、この後ドライバーが交代する可能性がある
が、ドライバーが交代した場合は、該ドライバーの運転
技量を改めて判定する必要があるからである。また、車
両が停止したときにもドライバーが交代する可能性があ
るので、この場合も補正処理をリセットするようにして
もよい。
【0112】さらに、車両の走行状況ないしは走行環境
が比較的大きく変化したとき、例えば車速Vが所定値以
下となったとき、あるいは車両の旋回走行が終了したと
きにも、制御開始しきい値又は初期制御量の補正処理を
リセットするようにしてもよい。このような場合、ドラ
イバーの運転態様ないしは心理状態が大きく変化する可
能性があるので、ドライバーの運転技量を再度判定する
のが好ましいからである。
【0113】このように、制御開始しきい値・初期補正
量補正処理を行うことにより、ドライバーの運転技量あ
るいは心理状態に応じて臨機応変に適切なSCS制御を
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかる車両の姿勢制御
装置の制御ブロックの全体構成を示す図である。
【図2】 本実施の形態にかかる姿勢制御を実行するた
めの全体的動作を示すフローチャートである。
【図3】 図2中のSCS演算処理ステップを実行する
ためのフローチャートである。
【図4】 図2中のSCS演算処理ステップを実行する
ためのフローチャートである。
【図5】 SCS制御とABS制御との調停処理を実行
するためのフローチャートである。
【図6】 SCS制御とABS制御との調停処理を実行
するためのフローチャートである。
【図7】 SCS制御とABS制御との調停処理を実行
するためのフローチャートである。
【図8】 図2中の車輪速補正処理ステップを実行する
ためのフローチャートである。
【図9】 車輪速補正の手順を示す模式図である。
【図10】 横滑り角制御開始しきい値β0の補正処理
を実行するためのフローチャートである。
【図11】 横滑り角制御開始しきい値β0をステアリ
ング舵角θHの変化速度に応じて補正するためのマップ
を示す図である。
【図12】 横滑り角制御開始しきい値β0をステアリ
ング舵角θHの変化速度に応じて補正するためのマップ
を示す図である。
【図13】 横滑り角制御開始しきい値β0をステアリ
ング舵角θHの変化速度に応じて補正するためのマップ
を示す図である。
【図14】 横滑り角制御開始しきい値β0をステアリ
ング舵角θHの変化速度に応じて補正するためのマップ
を示す図である。
【図15】 ヨーレート制御量ψamtの補正処理を実行
するためのフローチャートである。
【図16】 ヨーレート制御量ψamtを横滑り角偏差量
βdifに応じて補正するためのマップを示す図である。
【図17】 ヨーレート制御量ψamtを横滑り角偏差量
βdifの変化速度Δβdifに応じて補正するためのマップ
を示す図である。
【図18】 ヨーレート制御量ψamtの補正処理の変形
例を示すフローチャートである。
【図19】 目標横滑り角βTRの上限値設定処理を実行
するためのフローチャートである。
【図20】 目標横滑り角βTRの上限値βTRLinを車速
Vに応じて設定するためのマップを示す図である。
【図21】 目標横滑り角βTRの上限値βTRLinをステ
アリング舵角θHに応じて設定するためのマップを示す
図である。
【図22】 目標横滑り角βTRの上限値βTRLinをステ
アリング舵角θHに応じて設定するためのマップを示す
図である。
【図23】 目標横滑り角βTRの上限値βTRLinをステ
アリング舵角θHの変化速度ΔθHに応じて設定するため
のマップを示す図である。
【図24】 目標横滑り角βTRの上限値βTRLinを車速
V及びステアリング舵角θHに応じて設定するためのマ
ップを示す図である。
【図25】 目標横滑り角βTRの上限値βTRLinを車速
V及びステアリング舵角θHの変化速度ΔθHに応じて設
定するためのマップを示す図である。
【図26】 横滑り角制御量βamtの補正処理を実行す
るためのフローチャートである。
【図27】 横滑り角制御量βamtをステアリング舵角
θH及びその変化速度ΔθHに応じて補正するためのマッ
プを示す図である。
【図28】 ヨーレート偏差量ψdifに応じた横滑り角
制御開始しきい値β0、目標横滑り角βTR及びヨーレー
ト制御量ψamtの補正処理を実行するためのフローチャ
ートである。
【図29】 横滑り角偏差量βdifに応じた、横滑り角
制御開始しきい値β0、目標横滑り角βTR及び横滑り角
制御量βamtの補正処理を実行するためのフローチャー
トである。
【図30】 制御開始しきい値・初期補正量補正処理の
制御方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…SCS・ECU、11…FR車輪速センサ、12
…FL車輪速センサ、13…RR車輪速センサ、14…
RL車輪速センサ、15…車速センサ、16…ステアリ
ング舵角センサ、17…ヨーレートセンサ、18…横方
向加速度センサ、19…前後方向加速度センサ、20…
EGI・ECU、21…エンジン、22…オートマチッ
クトランスミッション、23…スロットルバルブ、30
…油圧制御ユニット、31…FRブレーキ、32…FL
ブレーキ、33…RRブレーキ、34…RLブレーキ、
35…ブレーキ踏力圧センサ、36…加圧ユニット、3
7…マスタシリンダ、38…ブレーキペダル、40…T
CSオフスイッチ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 津山 俊明 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両走行時に、各車輪に設けられた制動
    装置をそれぞれ独立に制御することにより、車両の所定
    の姿勢状態量を目標値に追従させて該車両を姿勢制御す
    る車両の姿勢制御装置において、 車両の走行状態に応じて設定される姿勢状態量目標値
    と、該車両において実測される姿勢状態量実測値との間
    の偏差が所定の制御開始しきい値以上となったときに姿
    勢制御を開始させる姿勢制御手段と、 上記姿勢状態量目標値と上記姿勢状態量実測値との間の
    偏差の代表値が所定の第1の基準値よりも小さいときに
    は、上記制御開始しきい値を増加方向に補正する補正制
    御手段とが設けられていることを特徴とする車両の姿勢
    制御装置。
  2. 【請求項2】 上記補正制御手段が、上記偏差の代表値
    が上記第1の基準値よりも小さいときには、上記制御開
    始しきい値を増加方向に補正するとともに、姿勢制御に
    おける初期制御量を減少方向に補正するようになってい
    ることを特徴とする請求項1に記載された車両の姿勢制
    御装置。
  3. 【請求項3】 上記補正制御手段が、上記偏差の代表値
    が、上記第1の基準値よりも大きい所定の第2の基準値
    よりも大きいときには、上記制御開始しきい値を減少方
    向に補正するようになっていることを特徴とする請求項
    1又は2に記載された車両の姿勢制御装置。
  4. 【請求項4】 上記偏差の代表値が、姿勢状態量目標値
    の平均値と姿勢状態量実測値の平均値との差であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載された
    車両の姿勢制御装置。
  5. 【請求項5】 上記補正制御手段が、イグニッションス
    イッチがオフされたときに、上記の制御開始しきい値又
    は初期制御量の補正処理をリセットするようになってい
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載
    された車両の姿勢制御装置。
  6. 【請求項6】 上記補正制御手段が、車速が所定値以下
    となったときに、上記の制御開始しきい値又は初期制御
    量の補正処理をリセットするようになっていることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載された車両
    の姿勢制御装置。
  7. 【請求項7】 上記補正制御手段が、車両の旋回走行が
    終了したときに、上記の制御開始しきい値又は初期制御
    量の補正処理をリセットするようになっていることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載された車両
    の姿勢制御装置。
  8. 【請求項8】 上記姿勢状態量がヨーレートであること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載された
    車両の姿勢制御装置。
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