JP2019116144A - 車両の挙動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライバに操舵意図がある場合に制御を作動させることで、強い制御介入感や違和感をドライバに与えることなく、ステアリング操作に対する車両挙動の応答性やリニア感を向上できると共に、車両姿勢を安定させて安心感を向上することができる車両の挙動制御装置を提供する。【解決手段】車両の挙動制御装置は、操舵角センサ8と、操舵角が減少している状況の下で制御介入条件が満たされた場合に、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定するヨーモーメント設定部22と、目標ヨーモーメントを車両に付与するように各車輪の制動力を制御するブレーキ制御システム18とを備え、ヨーモーメント設定部は、操舵速度に基づき、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図の有無を判定し、操舵意図が有る場合には操舵意図が無い場合と比較して制御介入条件を緩和する。【選択図】図2

Description

本発明は、車両の挙動制御装置に係わり、特に、左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段を備えた車両の挙動制御装置に関する。
従来、スリップ等により車両の挙動が不安定になった場合に安全方向に車両の挙動を制御するもの(横滑り防止装置等)が知られている。具体的には、車両のコーナリング時等に、車両にアンダーステアやオーバーステアの挙動が生じたことを検出し、それらを抑制するように車輪に適切な減速度を付与するようにしたものが知られている。
また、上述したような車両の挙動が不安定になるような走行状態における安全性向上のための制御とは異なり、日常運転領域から稼動するハンドル操作に連係した加減速を自動的に行い、限界運転領域で横滑りを低減させるようにした車両の運動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−162911号公報
しかしながら、従来の横滑り防止装置は、車両の挙動が不安定になる程の顕著なアンダーステアやオーバーステアが車両に生じた場合に、車両の姿勢を強制的に制御する。したがって、アンダーステアやオーバーステアが強くなる前の状況では制御が作動せず、また、制御作動時には強い制御介入感をドライバに与えることになる。
また、特許文献1に記載された従来の運動制御装置では、ドライバの操舵の切戻し操作に応じて、車両を加速する向きに駆動力を加える制御が行われるが、ドライバは車両の減速よりも加速を感知し易い傾向にあるので、制御作動時にドライバに違和感を与えてしまう。
また、従来の運動制御装置では、単に操舵角等の制御に用いる検出値が制御介入閾値を超えたときに制御を実行するので、ドライバに操舵意図が無いにも関わらず制御が作動してしまい、制御の介入頻度や介入量が過剰となり、ドライバに違和感を与える可能性がある。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、ドライバに操舵意図がある場合に制御を作動させるようにすることで、強い制御介入感や違和感をドライバに与えることなく、ステアリング操作に対する車両挙動の応答性やリニア感を向上できると共に、車両姿勢を安定させて安心感を向上することができる、車両の挙動制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の車両の挙動制御装置は、左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段を備えた車両の挙動制御装置であって、操舵角を検出する操舵角検出手段と、操舵角が減少している状況の下で、制御介入条件が満たされた場合に、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定する目標ヨーモーメント設定手段と、目標ヨーモーメントを車両に付与するように制動手段を制御する制御手段と、を備え、目標ヨーモーメント設定手段は、操舵速度に基づき、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図の有無を判定し、操舵意図が有る場合には、操舵意図が無い場合と比較して、制御介入条件を緩和する。
このように構成された本発明においては、操舵速度に基づき、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有ると判定した場合には、操舵意図が無い場合と比較して、制御介入条件を緩和するので、制御介入条件が満たされ易くなる。これにより、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有る場合には制御を確実に作動させ、ステアリング操作に対する車両挙動の応答性やリニア感を向上できると共に、車両姿勢を安定させて安心感を向上することができる。
一方、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無いと判定した場合には、操舵意図が有る場合と比較して、制御介入条件を厳しくするので、制御介入条件が満たされ難くなる。これにより、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無い場合には、操舵角や操舵速度が外乱やドライバの手の微小な動き等により振動している状況の下でも制御介入条件が満たされ難くなる。これにより、保舵中に必要以上に挙動制御装置による制御介入が行われることを抑制でき、強い制御介入感や違和感をドライバに与えることを防止できる。
また、本発明において、好ましくは、目標ヨーモーメント設定手段は、操舵角に基づき得られる車両の旋回状態を表す値が所定の制御介入閾値を超えたときに制御介入条件が満たされたと判定し、操舵意図が有る場合には、操舵意図が無い場合と比較して、制御介入閾値を小さくする。
このように構成された本発明においては、操舵速度に基づき、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有ると判定した場合には、操舵意図が無い場合と比較して、旋回状態を表す値が制御介入閾値を超え易くなるので、ドライバの操舵意図に応じて制御を確実に作動させることができる。
一方、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無いと判定した場合には、操舵意図が有る場合と比較して、操舵角や操舵速度が外乱やドライバの手の微小な動き等により振動している状況の下でも旋回状態を表す値が制御介入閾値を超え難くなるので、保舵中に必要以上に挙動制御装置による制御介入が行われることを抑制でき、強い制御介入感や違和感をドライバに与えることを防止できる。
また、本発明において、好ましくは、旋回状態を表す値は、車両に実際に生じている実ヨーレートと操舵角に基づき算出された目標ヨーレートとの差の変化速度である。
このように構成された本発明によれば、例えば圧雪路のような低μ路でステアリングホイールの操作を行った場合に、実ヨーレートの応答遅れに起因するヨーレート差の急激な変化に応じて直ちに旋回を抑える方向のヨーモーメントを車両に付与することができ、車両の挙動が不安定になる前の状況において、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
また、本発明において、好ましくは、旋回状態を表す値は、操舵角に基づき算出された横ジャークである。
このように構成された本発明によれば、横ジャークに応じた大きさのヨーモーメントを車両の旋回を抑える方向に付与することができ、ドライバのステアリング操作により生じる横ジャークの大きさに応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
また、本発明において、好ましくは、目標ヨーモーメント設定手段は、操舵速度が所定の操舵速度閾値を所定時間内に超えた回数に基づき、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図の有無を判定する。
このように構成された本発明においては、ドライバが操舵角を一定に保持していることにより操舵速度が操舵速度閾値の近傍で振動している場合には、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無いと判定し、ドライバが操舵角を連続的に変化させていることにより操舵速度が操舵速度閾値から離れている状況が継続している場合には、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有ると判定することができ、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図の有無をより精度よく判定することができる。
また、本発明において、好ましくは、操舵速度閾値は、20deg/s以下に設定されている。
このように構成された本発明においては、ドライバが操舵角を一定に保持していることにより操舵速度が20deg/s以下の領域で振動している場合には、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無いと判定し、ドライバが操舵角を連続的に変化させていることにより操舵速度がある程度大きい状況が継続している場合には、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有ると判定することができ、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図の有無をより精度よく判定することができる。
本発明による車両の挙動制御装置によれば、ドライバに操舵意図がある場合に制御を作動させるようにすることで、強い制御介入感や違和感をドライバに与えることなく、ステアリング操作に対する車両挙動の応答性やリニア感を向上できると共に、車両姿勢を安定させて安心感を向上することができる。
本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両の全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が実行する挙動制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が付加減速度を設定する付加減速度設定処理のフローチャートである。 操舵速度と付加減速度との関係を示したマップである。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が目標ヨーモーメントを設定する目標ヨーモーメント設定処理のフローチャートである。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両に旋回走行を行わせたときの、保舵判定に関わる各パラメータの時間変化を示すタイムチャートであり、(a)は操舵角を示すチャート、(b)は操舵速度を示すチャート、(c)は操舵速度が判定時間内に操舵速度閾値を超えた回数を示すチャートである。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両に圧雪路で旋回走行を行わせたときの、挙動制御に関わる各パラメータの時間変化を示すタイムチャートであり、(a)は操舵角を示すチャート、(b)は目標ヨーレート及び実ヨーレートを示すチャート、(c)は実ヨーレートと目標ヨーレートとの差を示すチャート、(d)は実ヨーレートと目標ヨーレートとの差の変化速度を示すチャート、(e)は目標横加速度を示すチャート、(f)は目標横ジャークを示すチャート、(g)は目標ヨーモーメントを示すチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を説明する。
まず、図1により、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両について説明する。図1は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両の全体構成を示すブロック図である。
図1において、符号1は、本実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両を示す。車両1の車体前部には、駆動輪2(図1の例では左右の前輪)を駆動する駆動制御システム4が搭載されている。駆動制御システム4としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃エンジンや、モータを用いることができる。詳細は後述するが、駆動制御システム4の少なくとも一部は、本発明における駆動手段として機能する。
また、車両1は、ステアリングホイール6に連結されたステアリングコラム(図示せず)の回転角度(操舵角)を検出する操舵角センサ8、車速を検出する車速センサ10、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ12を備えている。これらの各センサは、それぞれの検出値をPCM14(Power-train Control Module)に出力する。
また、車両1は、各車輪に設けられたブレーキ装置16のホイールシリンダやブレーキキャリパにブレーキ液圧を供給するブレーキ制御システム18を備えている。ブレーキ制御システム18は、PCM14から入力されたヨーモーメント指令値に基づき、各車輪のホイールシリンダやブレーキキャリパのそれぞれに独立して供給する液圧を算出し、それらの液圧に応じてポンプを制御する。詳細は後述するが、ブレーキ制御システム18の少なくとも一部は、本発明における制動手段及び制御手段として機能する。
次に、図2により、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の電気的構成を説明する。図2は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
PCM14は、上述したセンサの検出信号の他、駆動制御システム4の運転状態を検出する各種センサが出力した検出信号に基づいて、駆動制御システム4の各部(例えば、スロットルバルブ、ターボ過給機、可変バルブ機構、点火装置、燃料噴射弁、EGR装置、インバータ等)に対する制御を行うべく、制御信号を出力する。
PCM14は、操舵角の変化に関連して車両1に付加すべき付加減速度を設定する付加減速度設定部20と、操舵角の変化に関連して車両1に付与すべき目標ヨーモーメントを設定するヨーモーメント設定部22とを有する。
これらのPCM14の各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
詳細は後述するが、PCM14は本発明における車両の挙動制御装置に相当し、目標ヨーモーメント設定手段として機能する。
次に、図3〜図6により、車両の挙動制御装置が実行する処理について説明する。
図3は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が実行する挙動制御処理のフローチャートであり、図4は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が付加減速度を設定する付加減速度設定処理のフローチャートであり、図5は、操舵速度と付加減速度との関係を示したマップであり、図6は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が目標ヨーモーメントを設定する目標ヨーモーメント設定処理のフローチャートである。図5に示したマップは予め作成されメモリ等に記憶されている。
図3の挙動制御処理は、車両1のイグニッションがオンにされ、車両の挙動制御装置に電源が投入された場合に起動され、所定周期(例えば50ms)で繰り返し実行される。
挙動制御処理が開始されると、図3に示すように、ステップS1において、PCM14は車両1の各種情報を取得する。具体的には、PCM14は、操舵角センサ8が検出した操舵角、車速センサ10が検出した車速、ヨーレートセンサ12が検出したヨーレート等を含む、上述した各種センサが出力した検出信号を取得する。
次に、ステップS2において、PCM14の付加減速度設定部20は付加減速度設定処理を実行し、車両1に付加すべき付加減速度を設定する。
続いて、ステップS3において、PCM14のヨーモーメント設定部22は目標ヨーモーメント設定処理を実行し、車両1に付与すべき目標ヨーモーメントを設定する。
次に、ステップS4において、駆動制御システム4は、ステップS2において設定された付加減速度を車両1に付加するようにアクチュエータ(エンジンの燃料噴射装置、点火装置、吸排気系や、モータ等)を制御する。具体的には、駆動制御システム4は、設定された付加減速度を車両1に付加するように、エンジンやモータの出力トルクを減少させる。
また、ステップS4において、ブレーキ制御システム18は、ステップS3において設定された目標ヨーモーメントを車両1に付与するようにアクチュエータ(ポンプ等)を制御する。例えば、ブレーキ制御システム18は、ヨーモーメント指令値とポンプの回転数との関係を規定したマップを予め記憶しており、このマップを参照することにより、ステップS3の目標ヨーモーメント設定処理において設定されたヨーモーメント指令値に対応する回転数でポンプを作動させると共に、各車輪のブレーキ装置16への液圧供給ラインに設けられたバルブユニットを個々に制御し、各車輪の制動力を調整する。
ステップS4の後、PCM14は、挙動制御処理を終了する。
次に、図4により、付加減速度設定処理について説明する。
図4に示すように、付加減速度設定処理が開始されると、ステップS11において、付加減速度設定部20は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角に基づき操舵速度を算出する。
次に、ステップS12において、付加減速度設定部20は、ステアリングホイール6の切り込み操作中(即ち操舵角が増大中)且つ操舵速度が所定の閾値S1以上であるか否かを判定する。
その結果、切り込み操作中且つ操舵速度が閾値S1以上である場合、ステップS13に進み、付加減速度設定部20は、操舵速度に基づき付加減速度を設定する。この付加減速度は、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するために、ステアリング操作に応じて車両1に付加すべき減速度である。
具体的には、付加減速度設定部20は、図5のマップに示した操舵速度と付加減速度との関係に基づき、ステップS11において算出した操舵速度に対応する付加減速度を設定する。
図5における横軸は操舵速度を示し、縦軸は付加減速度を示す。図5に示すように、操舵速度が閾値S1未満である場合、対応する付加減速度は0である。即ち、操舵速度が閾値S1未満である場合、PCM14は、ステアリング操作に基づき車両1に減速度を付加するための制御(具体的にはエンジンやモータの出力トルクの低減)を行わない。
一方、操舵速度が閾値S1以上である場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する付加減速度は、所定の上限値Dmaxに漸近する。即ち、操舵速度が増大するほど付加減速度は増大し、且つ、その増大量の増加割合は小さくなる。この上限値Dmaxは、ステアリング操作に応じて車両1に減速度を付加しても、制御介入があったとドライバが感じない程度の減速度に設定される(例えば0.5m/s2≒0.05G)。
さらに、操舵速度が閾値S1よりも大きい閾値S2以上の場合には、付加減速度は上限値Dmaxに維持される。
ステップS13の後、付加減速度設定部20は付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
また、ステップS12においてステアリングホイール6の切り込み操作中ではない(即ち操舵角が一定又は減少中)か、操舵速度が閾値S1未満である場合、付加減速度設定部20は付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
駆動制御システム4は、上述した付加減速度設定処理において操舵角の増大速度に基づき設定した付加減速度を実現するように、図3の挙動制御処理のステップS4においてエンジンやモータの出力トルクを減少させる。このように、ステアリングホイール6の切り込み操作が行われた場合に、その操舵速度に基づきエンジンやモータの出力トルクを減少させることにより前輪2の垂直荷重を増大させ、ドライバによる切り込み操作に対して良好な応答性で車両1の挙動を制御することができる。
次に、図6により、目標ヨーモーメント設定処理について説明する。
図6に示すように、目標ヨーモーメント設定処理が開始されると、ステップS21において、ヨーモーメント設定部22は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角に基づき、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図の有無の判定(保舵判定)を行う。
具体的には、ステップS21において、ヨーモーメント設定部22は、操舵角から算出した操舵速度が、直前の判定時間TS(例えば100ms)において、予め20deg/s以下に設定された操舵速度閾値SSを超えた回数(操舵速度閾値SS未満から操舵速度閾値SSより大きい値に変動した回数)が1回以上か否かを判定する。PCM14に入力される操舵角信号の分解能は0.1deg程度であり、PCM14が挙動制御処理中に操舵速度を演算する演算周期は5ms程度である。即ち、1回の演算周期中に操舵角が0.1deg変化すると、操舵速度としては20deg/sとなる。このことから、「操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図がなく、操舵速度が0近傍で振動している」ことを的確に捉えるには、操舵速度閾値SSを20deg/s以下、より具体的には5deg/sに設定することが望ましい。
ステップS21の判定の結果、判定時間TS内に操舵速度が操舵速度閾値SSを超えた回数が1回以上である場合、ステップS22に進み、ヨーモーメント設定部22は、保舵中である(即ち、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無い)と判定する。
一方、判定時間TS内に操舵速度が操舵速度閾値SSを超えた回数が1回以上ではない(即ち0回である)場合、ステップS23に進み、ヨーモーメント設定部22は、保舵中ではない(即ち、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有る)と判定する。
ステップS22又はS23の後、ステップS24に進み、ヨーモーメント設定部22は、ステップS21からS23の保舵判定結果に基づき、制御介入閾値を設定する。具体的には、この制御介入閾値は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得したヨーレートセンサ12が検出したヨーレート(実ヨーレート)と操舵角に基づき算出される目標ヨーレートとの差の変化速度の制御介入閾値Y1と、操舵角に基づき算出される目標横ジャークの制御介入閾値J1である。保舵中ではない(即ち、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有る)場合の制御介入閾値Y1、J1は、それぞれ、保舵中である(即ち、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無い)場合の制御介入閾値Y1、J1よりも小さい(即ち、制御介入条件が緩和されている)。
例えば、保舵中である場合と保舵中ではない場合とのそれぞれに応じた制御介入閾値Y1、J1が予めメモリ等に記憶されており、ヨーモーメント設定部22は、ステップS21からS23の保舵判定結果に対応する制御介入閾値をメモリから取得する。
次に、ステップS25において、ヨーモーメント設定部22は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角及び車速に基づき目標ヨーレート及び目標横ジャークを算出する。
具体的には、ヨーモーメント設定部22は、車速に応じた係数を操舵角に乗ずることにより目標ヨーレートを算出する。また、ヨーモーメント設定部22は、目標ヨーレート及び車速から目標横加速度を算出し、この目標横加速度を時間微分することにより目標横ジャークを算出する。
次に、ステップS26において、ヨーモーメント設定部22は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得したヨーレートセンサ12が検出した実ヨーレートとステップS25で算出した目標ヨーレートとの差(ヨーレート差)Δγを算出する。
次に、ステップS27において、ヨーモーメント設定部22は、ステアリングホイール6の切り戻し操作中(即ち操舵角が減少中)であり、且つ、ヨーレート差Δγを時間微分することで得られるヨーレート差の変化速度Δγ′が制御介入閾値Y1以上であるか否かを判定する。
その結果、切り戻し操作中且つヨーレート差の変化速度Δγ′が制御介入閾値Y1以上である場合、ステップS28に進み、ヨーモーメント設定部22は、ヨーレート差の変化速度Δγ′に基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する。具体的には、ヨーモーメント設定部22は、所定の係数Cm1をヨーレート差の変化速度Δγ′に乗ずることにより、目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
一方、ステップS27において、ステアリングホイール6の切り戻し操作中ではない(即ち操舵角が一定又は増大中である)場合、ステップS29に進み、ヨーモーメント設定部22は、ヨーレート差の変化速度Δγ′が実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向(即ち車両1の挙動がオーバーステアとなる方向)であり且つヨーレート差の変化速度Δγ′が制御介入閾値Y1以上であるか否かを判定する。具体的には、ヨーモーメント設定部22は、目標ヨーレートが実ヨーレート以上の状況の下でヨーレート差が減少している場合や、目標ヨーレートが実ヨーレート未満の状況の下でヨーレート差が増大している場合に、ヨーレート差の変化速度Δγ′は実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向であると判定する。
その結果、ヨーレート差の変化速度Δγ′が実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向であり且つヨーレート差の変化速度Δγ′が制御介入閾値Y1以上である場合、ステップS28に進み、ヨーモーメント設定部22は、ヨーレート差の変化速度Δγ′に基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する。
ステップS28の後、又は、ステップS29においてヨーレート差の変化速度Δγ′が実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向ではないかヨーレート差の変化速度Δγ′が制御介入閾値Y1未満である場合、ステップS30に進み、ヨーモーメント設定部22は、ステアリングホイール6の切り戻し操作中(即ち操舵角が減少中)であり、且つ、ステップS25で算出した目標横ジャークが制御介入閾値J1以上であるか否かを判定する。
その結果、切り戻し中且つ目標横ジャークが制御介入閾値J1以上である場合、ステップS31に進み、ヨーモーメント設定部22は、目標横ジャークに基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを第2の目標ヨーモーメントとして設定する。
具体的には、ヨーモーメント設定部22は、所定の係数Cm2を目標横ジャークに乗ずることにより、第2の目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
ステップS31の後、又は、ステップS30においてステアリングホイール6の切り戻し操作中ではない(即ち操舵角が一定又は増大中である)か目標横ジャークが制御介入閾値J1未満である場合、ステップS32に進み、ヨーモーメント設定部22は、ステップS28で設定した目標ヨーモーメントとステップS31で設定した第2の目標ヨーモーメントとの内、大きい方をヨーモーメント指令値に設定する。
ステップS32の後、ヨーモーメント設定部22は目標ヨーモーメント設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
次に、図7を参照して、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が実行する保舵判定の例を説明する。図7は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両に旋回走行を行わせたときの、保舵判定に関わる各パラメータの時間変化を示すタイムチャートである。
図7のチャート(a)は、操舵角の時間変化を示すチャートである。チャート(a)に示すように、時刻t0からt1において車両1が左旋回する方向(操舵角が正の方向)にステアリングホイール6が保持され、時刻t1からt2において車両1が右旋回する方向(操舵角が正の方向)にステアリングホイール6の切り込み操作が行われる。その後、時刻t3までは操舵角がほぼ一定に維持され、時刻t3からt4において車両1が左旋回する方向(操舵角が正の方向)にステアリングホイール6の切り込み操作が行われる。時刻t4の後、操舵角は再びほぼ一定に維持される。
図7のチャート(b)は、チャート(a)の操舵角を時間微分した操舵速度を示すチャートであり、チャート(c)は、判定時間TS内に操舵速度が操舵速度閾値SSを超えた回数(チャート(c)における「カウント数」)を示すチャートである。
チャート(b)に示すように、路面状況の変化や横風等の外乱、あるいはドライバの手の微小な動きにより、操舵速度は細かく振動している。したがって、時刻t0からt1、t2からt3、又はt4以降のように、操舵角がほぼ一定に保持されている状況の下でも、操舵速度の振動により、ヨーレート差の変化速度Δγ′や目標横ジャークが瞬間的に大きい値となる可能性がある。
しかしながら、本実施形態によるヨーモーメント設定部22は、チャート(c)に示すように、図6のステップS21からS23の保舵判定において、判定時間TS内に操舵速度が操舵速度閾値SSを超えた回数が1回以上である場合には保舵中であると判定し、ステップS24において、保舵中ではない場合よりも制御介入閾値Y1、J1を大きくする。
即ち、ヨーモーメント設定部22は、図7における時刻t0からt1、t2からt3、又はt4以降のように、操舵速度が20deg/s以下の領域で振動している場合には保舵中と判定し、保舵中ではないと判定した場合よりも制御介入閾値Y1、J1を大きくする(即ち制御介入条件を厳しくする)ので、操舵速度の振動によりヨーレート差の変化速度Δγ′や目標横ジャークが瞬間的に大きい値となった場合でも制御介入閾値Y1、J1を超え難くなる。これにより、保舵中に必要以上に挙動制御装置による制御介入が行われることを抑制できる。
一方、本実施形態によるヨーモーメント設定部22は、チャート(c)に示すように、図6のステップS21からS23の保舵判定において、判定時間TS内に操舵速度が操舵速度閾値SSを超えた回数が0回である場合には保舵中ではないと判定し、ステップS24において、保舵中の場合よりも制御介入閾値Y1、J1を小さくする。
即ち、ヨーモーメント設定部22は、図7における時刻t1からt2や、t3からt4のように、操舵速度が大きい状況が継続している場合には保舵中ではないと判定し、保舵中と判定した場合よりも制御介入閾値Y1、J1を小さくする(即ち制御介入条件を緩和する)ので、ヨーレート差の変化速度Δγ′や目標横ジャークが増大した場合に制御介入閾値Y1、J1を超え易くなる。これにより、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有る場合には、挙動制御装置が制御介入を確実に行うようにすることができる。
次に、図8を参照して、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の作用を説明する。図8は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両1に圧雪路においてほぼ一定車速で旋回走行を行わせたときの、挙動制御に関わる各パラメータの時間変化を示すタイムチャートである。
図8のチャート(a)は、操舵角の時間変化を示すチャートである。チャート(a)に示すように、車両1が右旋回する方向(操舵角が負の方向)にステアリングホイール6の切り込み操作が行われることにより右旋回方向に操舵角が増大し、その後切り戻し操作に応じて操舵角が減少する。
更に、ステアリングホイール6が中立位置で一時的に保持され、その後、左旋回方向(操舵角が正の方向)にステアリングホイール6の切り込み操作が行われることにより左旋回方向に操舵角が増大し、その後切り戻し操作に応じて操舵角が減少する。
チャート(b)はヨーレートの時間変化を示すチャートであり、破線が目標ヨーレート、実線が実ヨーレートを示している。また、チャート(c)は、実ヨーレートと目標ヨーレートとのヨーレート差Δγを示すチャートである。
チャート(b)、(c)に示すように、車速に応じた係数を操舵角に乗ずることにより得られる目標ヨーレートは操舵角から遅れることなく変化するのに対し、実ヨーレートは目標ヨーレートよりもやや遅れて変化している。また、路面のμが低い圧雪路で車両1が旋回走行を行っているので、前輪2のスリップアングルは車両1が高μ路で旋回走行を行う場合と比較して大きくなる。
したがって、チャート(b)、(c)に示すように、右旋回方向にステアリングホイール6の切り込み操作が行われることにより右旋回方向に操舵角が増大するにつれ、実ヨーレートより目標ヨーレートが大きくなる方向にヨーレート差が増大する。その後、切り戻し操作による操舵角の減少に応じて目標ヨーレートは減少するが、実ヨーレートは目標ヨーレートからやや遅れて減少し始める。このため、ヨーレート差は急激に減少し、一時的に実ヨーレートが目標ヨーレートよりも大きくなる。即ち、ステアリングホイール6の切り戻し操作に対し、ヨーレート差は実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向に向かって急激に変化する。
その後、実ヨーレートも減少し始めるとヨーレート差はほぼ0のまま維持される。続いて左旋回方向に切り込み操作が行われることにより左旋回方向に操舵角が増大するにつれ、実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向にヨーレート差が再び増大する。その後、切り戻し操作が行われることにより操舵角が減少すると、目標ヨーレートが直ちに減少し始めるのに対して実ヨーレートの減少はやや遅れるので、右旋回の場合と同様に、ステアリングホイール6の切り戻し操作に対し、ヨーレート差は実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向に向かって急激に変化する。
チャート(d)はヨーレート差の変化速度を示すチャートである。上述したように、右旋回及び左旋回の何れにおいても、ステアリングホイール6の切り戻し操作が行われるときに、ヨーレート差は実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向に向かって急激に変化する。即ち、チャート(d)に示すように、ヨーレート差の変化速度は、ステアリングホイール6の切り戻し操作が開始されると直ちに実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向に増大する。
チャート(e)は目標横加速度を示すチャートであり、チャート(f)は目標横ジャークを示すチャートである。
チャート(e)、(f)に示すように、操舵角に基づき算出される目標横加速度は、操舵角から遅れることなく変化する。ステアリングホイール6の切り戻し操作による操舵角の減少に応じて目標横加速度が減少するときには、その減少速度に応じて、目標横ジャークが車両1の旋回方向とは逆方向に増大する。
チャート(g)は目標ヨーモーメントの変化を示すチャートであり、実線がヨーレート差の変化速度Δγ′に基づき設定された目標ヨーモーメント、破線が目標横ジャークに基づき設定された第2の目標ヨーモーメントを示す。
上述したように、路面のμが低い圧雪路で車両1が旋回走行を行った場合、実ヨーレートと目標ヨーレートとのヨーレート差が大きくなりやすく、特に切り戻し操舵を行うときにヨーレート差の変化速度が大きくなる。そのため、チャート(g)に示すように、右旋回中に切り戻し操作を行った場合と、左旋回中に切り戻し操作を行った場合の何れにおいても、ヨーレート差の変化速度Δγ′に基づき設定された目標ヨーモーメントの方が目標横ジャークに基づき設定された第2の目標ヨーモーメントよりも大きくなっている。この場合、ヨーモーメント設定部22は、ヨーレート差の変化速度Δγ′に基づき設定された目標ヨーモーメントをヨーモーメント指令値に設定する。
即ち、ステアリングホイール6の切り戻し操作が開始され、実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向に向かってヨーレート差が急激に変化すると、ヨーモーメント設定部22は、車両1の実ヨーレートとは逆回りの方向且つヨーレート差の変化速度に応じたヨーモーメント指令値をブレーキ制御システム18に出力する。これにより、圧雪路のような低μ路でステアリングホイール6の切り戻し操作を行った場合に、実ヨーレートの応答遅れに起因するヨーレート差の急激な変化に応じて直ちに旋回を抑える方向のヨーモーメントを車両1に付与するので、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
次に、本発明の実施形態のさらなる変形例を説明する。
上述した実施形態においては、ステアリングホイール6に連結されたステアリングコラムの回転角度を操舵角として使用すると説明したが、ステアリングコラムの回転角度に代えて、あるいはステアリングコラムの回転角度と共に、操舵系における各種状態量(アシストトルクを付与するモータの回転角や、ラックアンドピニオンにおけるラックの変位等)を操舵角として用いてもよい。
また、上述した実施形態においては、目標ヨーレート及び車速から目標横加速度を算出し、目標横加速度を時間微分して算出した目標横ジャークに基づき第2の目標ヨーモーメントを算出すると説明したが、車両1に横加速度センサを設け、横加速度センサが検出した横加速度から算出した横ジャークに基づき、第2の目標ヨーモーメントを算出するようにしてもよい。
また、上述した実施形態において、ヨーモーメント設定部22は、保舵中ではない場合の制御介入閾値Y1、J1を、それぞれ、保舵中である場合の制御介入閾値Y1、J1よりも小さくすることにより、制御介入条件を緩和すると説明したが、これとは異なる手法で制御介入条件を緩和してもよい。例えば、保舵中ではない場合には、図6のステップS27、S29、S30の判定において、制御介入閾値Y1、J1を判定の条件から除外してもよい。
また、上述した実施形態において、ヨーモーメント設定部22は、操舵速度が直前の判定時間TSにおいて操舵速度閾値SSを超えた回数に基づき、保舵判定を行うと説明したが、操舵速度の大小等、操舵速度に関連する他の条件に基づき保舵判定を行ってもよい。
次に、上述した本発明の実施形態及び本発明の実施形態の変形例による車両の挙動制御装置の効果を説明する。
まず、ヨーモーメント設定部22は、操舵速度に基づき、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有ると判定した場合には、操舵意図が無い場合と比較して、制御介入条件を緩和するので、制御介入条件が満たされ易くなる。これにより、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有る場合には制御を確実に作動させ、ステアリング操作に対する車両挙動の応答性やリニア感を向上できると共に、車両姿勢を安定させて安心感を向上することができる。
一方、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無いと判定した場合には、操舵意図が有る場合と比較して、制御介入条件を厳しくするので、制御介入条件が満たされ難くなる。これにより、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無い場合には、操舵角や操舵速度が外乱やドライバの手の微小な動き等により振動している状況の下でも制御介入条件が満たされ難くなる。これにより、保舵中に必要以上に挙動制御装置による制御介入が行われることを抑制でき、強い制御介入感や違和感をドライバに与えることを防止できる。
また、ヨーモーメント設定部22は、操舵速度に基づき、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有ると判定した場合には、操舵意図が無い場合と比較して、旋回状態を表す値(ヨーレートや操舵速度や横加速度や横ジャークなど)が制御介入閾値を超え易くするので、ドライバの操舵意図に応じて制御を確実に作動させることができる。
一方、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無いと判定した場合には、操舵意図が有る場合と比較して、操舵角や操舵速度が外乱やドライバの手の微小な動き等により振動している状況の下でも旋回状態を表す値が制御介入閾値を超え難くするので、保舵中に必要以上に挙動制御装置による制御介入が行われることを抑制でき、強い制御介入感や違和感をドライバに与えることを防止できる。
また、上記の旋回状態を表す値として、車両1に実際に生じている実ヨーレートと操舵角に基づき算出された目標ヨーレートとの差の変化速度を用いることができる。これにより、例えば圧雪路のような低μ路でステアリングホイールの操作を行った場合に、実ヨーレートの応答遅れに起因するヨーレート差の急激な変化に応じて直ちに旋回を抑える方向のヨーモーメントを車両1に付与することができ、車両1の挙動が不安定になる前の状況において、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
また、上記の旋回状態を表す値として、操舵角に基づき算出された横ジャークを用いることができる。これにより、横ジャークに応じた大きさのヨーモーメントを車両1の旋回を抑える方向に付与することができ、ドライバのステアリング操作により生じる横ジャークの大きさに応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
また、ドライバが操舵角を一定に保持していることにより、20deg/s以下に設定された操舵速度閾値の近傍で操舵速度が振動している場合には、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無いと判定し、ドライバが操舵角を連続的に変化させていることにより操舵速度がある程度大きい状況が継続している場合には、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有ると判定することができ、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図の有無をより精度よく判定することができる。
1 車両
2 駆動輪(前輪)
4 駆動制御システム
6 ステアリングホイール
8 操舵角センサ
10 車速センサ
12 ヨーレートセンサ
14 PCM
16 ブレーキ装置
18 ブレーキ制御システム
20 付加減速度設定部
22 ヨーモーメント設定部
上記の目的を達成するために、本発明の車両の挙動制御装置は、左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段を備えた車両の挙動制御装置であって、ドライバにより操作されるステアリングホイールと、ステアリングホイールの操作に対応する操舵角を検出する操舵角検出手段と、操舵角検出手段により検出された操舵角に基づきステアリングホイールの切り戻し操作が判定され、且つ所定の制御介入条件が満たされたと判定された場合に、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定する目標ヨーモーメント設定手段と、目標ヨーモーメントを車両に付与するように制動手段を制御する制御手段と、を備え、目標ヨーモーメント設定手段は、操舵角検出手段により検出された操舵角から設定される操舵速度が所定の操舵速度閾値を所定時間内に超えた回数に基づき、ステアリングホイールが保舵中であるか否かを判定し、ステアリングホイールが保舵中であると判定された場合には、ステアリングホイールが保舵中ではないと判定された場合よりも、制御介入条件を厳しくする。
このように構成された本発明においては、操舵速度が所定の操舵速度閾値を所定時間内に超えた回数に基づき、ステアリングホイールが保舵中でないと判定した場合、つまり操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有ると判定した場合には、操舵意図が無い場合と比較して、制御介入条件を緩和するので、制御介入条件が満たされ易くなる。これにより、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有る場合には制御を確実に作動させ、ステアリング操作に対する車両挙動の応答性やリニア感を向上できると共に、車両姿勢を安定させて安心感を向上することができる。
一方、操舵速度が所定の操舵速度閾値を所定時間内に超えた回数に基づき、ステアリングホイールが保舵中であると判定した場合、つまり操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無いと判定した場合には、操舵意図が有る場合と比較して、制御介入条件を厳しくするので、制御介入条件が満たされ難くなる。これにより、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無い場合には、操舵角や操舵速度が外乱やドライバの手の微小な動き等により振動している状況の下でも制御介入条件が満たされ難くなる。これにより、保舵中に必要以上に挙動制御装置による制御介入が行われることを抑制でき、強い制御介入感や違和感をドライバに与えることを防止できる。
また、本発明において、好ましくは、目標ヨーモーメント設定手段は、操舵角に基づき得られる車両の旋回状態を表す値が所定の制御介入閾値を超えたときに制御介入条件が満たされたと判定し、ステアリングホイールが保舵中であると判定された場合には、ステアリングホイールが保舵中ではないと判定された場合よりも、制御介入閾値を大きくする。
このように構成された本発明においては、操舵速度に基づき、ステアリングホイールが保舵中でないと判定した場合、つまり操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が有ると判定した場合には、操舵意図が無い場合と比較して、旋回状態を表す値が制御介入閾値を超え易くなるので、ドライバの操舵意図に応じて制御を確実に作動させることができる。
一方、ステアリングホイールが保舵中であると判定した場合、つまり操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図が無いと判定した場合には、操舵意図が有る場合と比較して、操舵角や操舵速度が外乱やドライバの手の微小な動き等により振動している状況の下でも旋回状態を表す値が制御介入閾値を超え難くなるので、保舵中に必要以上に挙動制御装置による制御介入が行われることを抑制でき、強い制御介入感や違和感をドライバに与えることを防止できる。

Claims (6)

  1. 左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段を備えた車両の挙動制御装置であって、
    操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記操舵角が減少している状況の下で、制御介入条件が満たされた場合に、前記車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、前記車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定する目標ヨーモーメント設定手段と、
    前記目標ヨーモーメントを前記車両に付与するように前記制動手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記目標ヨーモーメント設定手段は、操舵速度に基づき、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図の有無を判定し、前記操舵意図が有る場合には、前記操舵意図が無い場合と比較して、前記制御介入条件を緩和する、
    車両の挙動制御装置。
  2. 前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記操舵角に基づき得られる車両の旋回状態を表す値が所定の制御介入閾値を超えたときに前記制御介入条件が満たされたと判定し、前記操舵意図が有る場合には、前記操舵意図が無い場合と比較して、前記制御介入閾値を小さくする、請求項1に記載の車両の挙動制御装置。
  3. 前記旋回状態を表す値は、前記車両に実際に生じている実ヨーレートと前記操舵角に基づき算出された目標ヨーレートとの差の変化速度である、請求項2に記載の車両の挙動制御装置。
  4. 前記旋回状態を表す値は、前記操舵角に基づき算出された横ジャークである、請求項2又は3に記載の車両の挙動制御装置。
  5. 前記目標ヨーモーメント設定手段は、操舵速度が所定の操舵速度閾値を所定時間内に超えた回数に基づき、操舵角を変化させようとするドライバの操舵意図の有無を判定する、
    請求項1から4の何れか1項に記載の車両の挙動制御装置。
  6. 前記操舵速度閾値は、20deg/s以下に設定されている、請求項5に記載の車両の挙動制御装置。
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