JP6525410B1 - 車両の挙動制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このように構成された本発明においては、ステアリングホイールが切り戻し操作されている場合に、目標ヨーレートと実ヨーレートとの差の変化速度に応じた目標ヨーモーメントを設定して、制動手段を制御してこの目標ヨーモーメントを車両に付与する構成において、ステアリングホイールが切り戻し操作されていなくても、ステアリングホイールの保舵又は切り込み操作が判定され、且つ実ヨーレートが目標ヨーレートよりも大きくなることが判定された場合に、上記のように目標ヨーモーメントを設定して、この目標ヨーモーメントを車両に付与するよう制動手段を制御する。
これにより、車両挙動がオーバーステア状態に変化するような状況において、ヨーモーメントを車両に付与する制御を適切に実行することができ、車両のオーバーステアを効果的に抑制することができる。すなわち、車両のオーバーステアを事前に抑制することで、車両挙動が急激にオーバーステア状態になることを回避することができる。その結果、車両挙動が危険領域に入ることを事前に回避でき、一般的な横滑り防止制御が介入する頻度を効果的に低減することが可能となる。
このように構成された本発明においては、例えば圧雪路のような低μ路において急なステアリング操作に対して車両挙動の応答が遅れることにより実ヨーレートと目標ヨーレートとのヨーレート差の変化速度が増大すると、目標ヨーモーメントをより大きく設定する。これにより、ステアリング操作に対する車両挙動の応答遅れが大きいほど、旋回を抑える方向のヨーモーメントをより強く車両に付与することができ、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を効果的に安定化させることができる。
このように構成された本発明によれば、車両の挙動が不安定になり易い状況でのみ、具体的にはステアリング操作に対して車両挙動の応答が遅れ易い状況でのみ、ヨーモーメントを付与する制御を介入させることができる。よって、過度の制御介入を抑制することができる。
このブレーキ制御システム18の少なくとも一部は、本発明における制動手段及び制御手段として機能する。
PCM14は、上述したセンサの検出信号の他、駆動制御システム4の運転状態を検出する各種センサが出力した検出信号に基づいて、駆動制御システム4の各部(例えば、スロットルバルブ、ターボ過給機、可変バルブ機構、点火装置、燃料噴射弁、EGR装置、バッテリ残量等)に対する制御を行うべく、制御信号を出力する。
これらのPCM14の各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
詳細は後述するが、PCM14は本発明における車両の挙動制御装置に相当し、目標ヨーモーメント設定手段及び制御手段として機能する。
図3は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が実行する挙動制御処理のフローチャートであり、図4は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が付加減速度を設定する付加減速度設定処理のフローチャートであり、図5は、操舵速度と付加減速度との関係を示したマップであり、図6は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が目標ヨーモーメントを設定する付加減速度設定処理のフローチャートである。図5に示したマップは予め作成されメモリ等に記憶されている。
挙動制御処理が開始されると、図3に示すように、ステップS1において、PCM14は車両1の各種情報を取得する。具体的には、PCM14は、操舵角センサ8が検出した操舵角、車速センサ10が検出した車速、ヨーレートセンサ12が検出したヨーレート等を含む、上述した各種センサが出力した検出信号を取得する。
続いて、ステップS3において、PCM14のヨーモーメント設定部22は目標ヨーモーメント設定処理を実行し、車両1に付与すべき目標ヨーモーメントを設定する。
図4に示すように、付加減速度設定処理が開始されると、ステップS11において、付加減速度設定部20は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角に基づき操舵速度を算出する。
その結果、切り込み操作中且つ操舵速度が閾値S1以上である場合、ステップS13に進み、付加減速度設定部20は、操舵速度に基づき付加減速度を設定する。この付加減速度は、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するために、ステアリング操作に応じて車両1に付加すべき減速度である。
図5における横軸は操舵速度を示し、縦軸は付加減速度を示す。図5に示すように、操舵速度が閾値S1未満である場合、対応する付加減速度は0である。即ち、操舵速度が閾値S1未満である場合、PCM14は、ステアリング操作に基づき車両1に減速度を付加するための制御(具体的にはエンジンやモータの出力トルクの低減)を行わない。
一方、操舵速度が閾値S1以上である場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する付加減速度は、所定の上限値Dmaxに漸近する。即ち、操舵速度が増大するほど付加減速度は増大し、且つ、その増大量の増加割合は小さくなる。この上限値Dmaxは、ステアリング操作に応じて車両1に減速度を付加しても、制御介入があったとドライバが感じない程度の減速度に設定される(例えば0.5m/s2≒0.05G)。
さらに、操舵速度が閾値S1よりも大きい閾値S2以上の場合には、付加減速度は上限値Dmaxに維持される。
ステップS13の後、付加減速度設定部20は付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
図6に示すように、目標ヨーモーメント設定処理が開始されると、ステップS21において、ヨーモーメント設定部22は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角及び車速に基づき目標ヨーレート及び目標横ジャークを算出する。
具体的には、ヨーモーメント設定部22は、車速に応じた係数を操舵角に乗ずることにより目標ヨーレートを算出する。また、ヨーモーメント設定部22は、目標ヨーレート及び車速から目標横加速度を算出し、この目標横加速度を時間微分することにより目標横ジャークを算出する。
その結果、切り戻し操作中且つヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1以上である場合、ステップS24に進み、ヨーモーメント設定部22は、ヨーレート差の変化速度Δγ′に基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する。具体的には、ヨーモーメント設定部22は、所定の係数Cm1をヨーレート差の変化速度Δγ′に乗ずることにより、目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
具体的には、ヨーモーメント設定部22は、所定の係数Cm2を目標横ジャークに乗ずることにより、第2の目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
ステップS28の後、ヨーモーメント設定部22は目標ヨーモーメント設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
2 駆動輪(前輪)
4 駆動制御システム
6 ステアリングホイール
8 操舵角センサ
10 車速センサ
12 ヨーレートセンサ
14 PCM
16 ブレーキ装置
18 ブレーキ制御システム
20 付加減速度設定部
22 ヨーモーメント設定部
Claims (4)
- 左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段を備えた車両の挙動制御装置であって、
ドライバにより操作されるステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールの操作に対応する操舵角を検出する操舵角検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記車両の実ヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
前記操舵角検出手段により検出された前記操舵角に基づき、前記ステアリングホイールの切り戻し操作が判定されたとき、前記操舵角及び前記車速に応じた前記車両の目標ヨーレートと前記実ヨーレートとの差の変化速度に基づき、前記車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、前記車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定する目標ヨーモーメント設定手段と、
前記目標ヨーモーメントを前記車両に付与するように前記制動手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記操舵角検出手段により検出された前記操舵角に基づき、前記ステアリングホイールの保舵又は切り込み操作が判定され、且つ、前記実ヨーレートが前記目標ヨーレートよりも大きくなることが判定された場合に、前記目標ヨーモーメントを設定して、前記制御手段による制御を実行させるようにする、ことを特徴とする車両の挙動制御装置。 - 前記車両の旋回時において当該車両のオーバーステア状態が判定されたとき、このオーバーステア状態に基づき車輪に付与する制動力を制御する横滑り防止制御手段を更に有し、
前記ステアリングホイールの保舵又は切り込み操作が判定され且つ前記実ヨーレートが前記目標ヨーレートよりも大きくなることが判定された場合に、前記目標ヨーモーメント設定手段により設定される前記目標ヨーモーメントに応じて付与される制動力は、前記横滑り防止制御手段により付与される制動力よりも小さい、請求項1に記載の車両の挙動制御装置。 - 前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記実ヨーレートと前記目標ヨーレートとの差の変化速度が大きいほど、前記目標ヨーモーメントを大きく設定する、請求項1又は2に記載の車両の挙動制御装置。
- 前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記操舵角が減少している場合には、更に、前記実ヨーレートと前記目標ヨーレートとの差の変化速度が所定値以上であるという条件が成立した場合にのみ、前記目標ヨーモーメントを設定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両の挙動制御装置。
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