JP6525410B1 - 車両の挙動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両挙動がオーバーステア状態に変化するような状況で、ヨーモーメントを車両に付与する制御を適切に実行する。【解決手段】左右の車輪に異なる制動力を付与可能なブレーキ制御システム18を備えた車両の挙動制御装置であって、PCM14は、操舵角が減少している場合に、操舵角及び車速に応じた車両の目標ヨーレートと実ヨーレートとの差の変化速度に基づき、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定して、この目標ヨーモーメントを車両に付与するようにブレーキ制御システム18を制御する。この場合に、PCM14は、操舵角が減少していなくても、車両挙動がオーバーステア状態に変化する又は変化したと判定した場合に、目標ヨーモーメントを設定して、この目標ヨーモーメントを車両に付与するようにする。【選択図】図2

Description

本発明は、車両の挙動制御装置に係わり、特に、左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段を備えた車両の挙動制御装置に関する。
従来、スリップ等により車両の挙動が不安定になった場合に安全方向に車両の挙動を制御するもの(横滑り防止装置等)が知られている。具体的には、車両のコーナリング時等に、車両にアンダーステアやオーバーステアの挙動が生じたことを検出し、それらを抑制するように車輪に適切な減速度を付与するようにしたものが知られている。
また、上述したような車両の挙動が不安定になるような走行状態における安全性向上のための制御とは異なり、日常運転領域から稼動するハンドル操作に連係した加減速を自動的に行い、限界運転領域で横滑りを低減させるようにした車両の運動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特に、この特許文献1には、車両の前後方向の加減速を制御する第1のモードと、車両のヨーモーメントを制御する第2のモードと、を備えた車両の運動制御装置が開示されている。
特開2010−162911号公報
上述したように、特許文献1に開示された技術では、第2のモードにおいて、ヨーモーメントを車両に付与している。このヨーモーメントを車両に付与する制御は、典型的にはステアリングホイールが切り戻し操作されるときに実行される。すなわち、ステアリングホイールが切り戻し操作されたときに、車両の旋回を抑えるべく、換言すると車両の直進方向への復帰を促進させるべく、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントが付与される。これにより、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を安定化させることができる。
このようなヨーモーメントを車両に付与する制御は、車両挙動がオーバーステア状態に変化するような状況(車両挙動がオーバーステア状態に既に変化した状況も含む。以下同様とする。)で実行すると、車両のオーバーステアを抑制する上で効果的であると考えられる。特に、車両のオーバーステアを事前に抑制することで、車両挙動が急激にオーバーステア状態になることを回避できるものと考えられる。しかしながら、このヨーモーメントを車両に付与する制御は、基本的には、ステアリングホイールが切り戻し操作されないと実行されない。車両挙動がオーバーステア状態に変化するような状況は、ステアリングホイールの切り戻し操作によらずに発生する。そのため、従来の技術では、ヨーモーメントを車両に付与する制御を、車両挙動がオーバーステア状態に変化するような状況において適切に実行することができなかった。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車両挙動がオーバーステア状態に変化する又は変化したと判定される場合に、ヨーモーメントを車両に付与する制御を適切に実行して、車両のオーバーステアを効果的に抑制することができる車両の挙動制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段を備えた車両の挙動制御装置であって、ドライバにより操作されるステアリングホイールと、ステアリングホイールの操作に対応する操舵角を検出する操舵角検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、車両の実ヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、操舵角検出手段により検出された操舵角に基づき、ステアリングホイールの切り戻し操作が判定されたとき、操舵角及び車速に応じた車両の目標ヨーレートと実ヨーレートとの差の変化速度に基づき、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定する目標ヨーモーメント設定手段と、目標ヨーモーメントを車両に付与するように制動手段を制御する制御手段と、を有し、目標ヨーモーメント設定手段は、操舵角検出手段により検出された操舵角に基づき、ステアリングホイールの保舵又は切り込み操作が判定され、且つ、実ヨーレートが目標ヨーレートよりも大きくなることが判定された場合に、目標ヨーモーメントを設定して、制御手段による制御を実行させるようにする、ことを特徴とする。
このように構成された本発明においては、ステアリングホイールが切り戻し操作されている場合に、目標ヨーレートと実ヨーレートとの差の変化速度に応じた目標ヨーモーメントを設定して、制動手段を制御してこの目標ヨーモーメントを車両に付与する構成において、ステアリングホイールが切り戻し操作されていなくても、ステアリングホイールの保舵又は切り込み操作が判定され、且つ実ヨーレートが目標ヨーレートよりも大きくなることが判定された場合に、上記のように目標ヨーモーメントを設定して、この目標ヨーモーメントを車両に付与するよう制動手段を制御する。
これにより、車両挙動がオーバーステア状態に変化するような状況において、ヨーモーメントを車両に付与する制御を適切に実行することができ、車両のオーバーステアを効果的に抑制することができる。すなわち、車両のオーバーステアを事前に抑制することで、車両挙動が急激にオーバーステア状態になることを回避することができる。その結果、車両挙動が危険領域に入ることを事前に回避でき、一般的な横滑り防止制御が介入する頻度を効果的に低減することが可能となる。
また、本発明において、好ましくは、車両の旋回時において当該車両のオーバーステア状態が判定されたとき、このオーバーステア状態に基づき車輪に付与する制動力を制御する横滑り防止制御手段を更に有し、ステアリングホイールの保舵又は切り込み操作が判定され且つ実ヨーレートが目標ヨーレートよりも大きくなることが判定された場合に、目標ヨーモーメント設定手段により設定される目標ヨーモーメントに応じて付与される制動力は、横滑り防止制御手段により付与される制動力よりも小さい
また、本発明において、好ましくは、目標ヨーモーメント設定手段は、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差の変化速度が大きいほど、目標ヨーモーメントを大きく設定する。
このように構成された本発明においては、例えば圧雪路のような低μ路において急なステアリング操作に対して車両挙動の応答が遅れることにより実ヨーレートと目標ヨーレートとのヨーレート差の変化速度が増大すると、目標ヨーモーメントをより大きく設定する。これにより、ステアリング操作に対する車両挙動の応答遅れが大きいほど、旋回を抑える方向のヨーモーメントをより強く車両に付与することができ、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を効果的に安定化させることができる。
また、本発明において、好ましくは、目標ヨーモーメント設定手段は、操舵角が減少している場合には、更に、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差の変化速度が所定値以上であるという条件が成立した場合にのみ、目標ヨーモーメントを設定する。
このように構成された本発明によれば、車両の挙動が不安定になり易い状況でのみ、具体的にはステアリング操作に対して車両挙動の応答が遅れ易い状況でのみ、ヨーモーメントを付与する制御を介入させることができる。よって、過度の制御介入を抑制することができる。
本発明に係る車両の挙動制御装置によれば、車両挙動がオーバーステア状態に変化する又は変化したと判定される場合に、ヨーモーメントを車両に付与する制御を適切に実行して、車両のオーバーステアを効果的に抑制することができる。
本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両の全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が実行する挙動制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が付加減速度を設定する付加減速度設定処理のフローチャートである。 操舵速度と付加減速度との関係を示したマップである。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が目標ヨーモーメントを設定する付加減速度設定処理のフローチャートである。 本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両に旋回走行させたときの、挙動制御に関わる各種パラメータの時間変化を示すタイムチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を説明する。
まず、図1により、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両について説明する。図1は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両の全体構成を示すブロック図である。
図1において、符号1は、本実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両を示す。車両1の車体前部には、駆動輪2(図1の例では左右の前輪)を駆動する駆動制御システム4が搭載されている。駆動制御システム4としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃エンジンや、モータを用いることができる。詳細は後述するが、駆動制御システム4の少なくとも一部は、駆動手段及び駆動制御手段として機能する。
また、車両1は、ステアリングホイール6に連結されたステアリングコラム(図示せず)の回転角度としての操舵角を検出する操舵角センサ(操舵角検出手段)8、車速を検出する車速センサ(車速検出手段)10、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ(ヨーレート検出手段)12を備えている。これらの各センサは、それぞれの検出値をPCM14(Power-train Control Module)に出力する。
また、車両1は、各車輪に設けられたブレーキ装置16のホイールシリンダやブレーキキャリパにブレーキ液圧を供給するブレーキ制御システム18を備えている。ブレーキ制御システム18は、PCM14から入力されたヨーモーメント指令値に基づき、各車輪のホイールシリンダやブレーキキャリパのそれぞれに独立して供給する液圧を算出し、それらの液圧に応じてポンプを制御する。ブレーキ制御システム18は、ヨーモーメント指令値が入力された場合に各車輪のブレーキ装置16の液圧をどの程度上昇させるのかを、ヨーモーメント指令値に応じて規定した制御マップを予め記憶している。ブレーキ制御システム18は、PCM14からヨーモーメント指令値が入力されると、制御マップを参照して、各車輪のブレーキ装置16のそれぞれに独立して供給する液圧がヨーモーメント指令値に応じて上昇するようにポンプを制御する。
このブレーキ制御システム18の少なくとも一部は、本発明における制動手段及び制御手段として機能する。
次に、図2により、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の電気的構成を説明する。図2は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
PCM14は、上述したセンサの検出信号の他、駆動制御システム4の運転状態を検出する各種センサが出力した検出信号に基づいて、駆動制御システム4の各部(例えば、スロットルバルブ、ターボ過給機、可変バルブ機構、点火装置、燃料噴射弁、EGR装置、バッテリ残量等)に対する制御を行うべく、制御信号を出力する。
PCM14は、操舵角の変化に関連して車両1に付加すべき付加減速度を設定する付加減速度設定部20と、操舵角の変化に関連して車両1に付与すべき目標ヨーモーメントを設定するヨーモーメント設定部22とを有する。
これらのPCM14の各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
詳細は後述するが、PCM14は本発明における車両の挙動制御装置に相当し、目標ヨーモーメント設定手段及び制御手段として機能する。
次に、図3〜図6により、車両の挙動制御装置が実行する処理について説明する。
図3は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が実行する挙動制御処理のフローチャートであり、図4は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が付加減速度を設定する付加減速度設定処理のフローチャートであり、図5は、操舵速度と付加減速度との関係を示したマップであり、図6は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置が目標ヨーモーメントを設定する付加減速度設定処理のフローチャートである。図5に示したマップは予め作成されメモリ等に記憶されている。
図3の挙動制御処理は、車両1のイグニッションがオンにされ、車両の挙動制御装置に電源が投入された場合に起動され、所定周期(例えば50ms)で繰り返し実行される。
挙動制御処理が開始されると、図3に示すように、ステップS1において、PCM14は車両1の各種情報を取得する。具体的には、PCM14は、操舵角センサ8が検出した操舵角、車速センサ10が検出した車速、ヨーレートセンサ12が検出したヨーレート等を含む、上述した各種センサが出力した検出信号を取得する。
次に、ステップS2において、PCM14の付加減速度設定部20は付加減速度設定処理を実行し、車両1に付加すべき付加減速度を設定する。
続いて、ステップS3において、PCM14のヨーモーメント設定部22は目標ヨーモーメント設定処理を実行し、車両1に付与すべき目標ヨーモーメントを設定する。
次に、ステップS4において、駆動制御システム4は、ステップS2において設定された付加減速度を車両1に付加するようにアクチュエータ(エンジンの燃料噴射装置、点火装置、吸排気系や、モータ等)を制御する。具体的には、駆動制御システム4は、設定された付加減速度を車両1に付加するように、エンジンやモータの出力トルクを減少させる。
また、ステップS4において、ブレーキ制御システム18は、ステップS3において設定された目標ヨーモーメントを車両1に付与するようにアクチュエータ(ポンプ等)を制御する。例えば、ブレーキ制御システム18は、ヨーモーメント指令値とポンプの回転数との関係を規定したマップを予め記憶しており、このマップを参照することにより、ステップS3の目標ヨーモーメント設定処理において設定されたヨーモーメント指令値に対応する回転数でポンプを作動させると共に、各車輪のブレーキ装置16への液圧供給ラインに設けられたバルブユニットを個々に制御し、各車輪の制動力を調整する。
以上述べたステップS4の後、PCM14は、挙動制御処理を終了する。
次に、図4により、付加減速度設定処理について説明する。
図4に示すように、付加減速度設定処理が開始されると、ステップS11において、付加減速度設定部20は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角に基づき操舵速度を算出する。
次に、ステップS12において、付加減速度設定部20は、ステアリングホイール6の切り込み操作中(即ち操舵角(絶対値)が増大中)且つ操舵速度が所定の閾値S1以上であるか否かを判定する。
その結果、切り込み操作中且つ操舵速度が閾値S1以上である場合、ステップS13に進み、付加減速度設定部20は、操舵速度に基づき付加減速度を設定する。この付加減速度は、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するために、ステアリング操作に応じて車両1に付加すべき減速度である。
具体的には、付加減速度設定部20は、図5のマップに示した操舵速度と付加減速度との関係に基づき、ステップS11において算出した操舵速度に対応する付加減速度を設定する。
図5における横軸は操舵速度を示し、縦軸は付加減速度を示す。図5に示すように、操舵速度が閾値S1未満である場合、対応する付加減速度は0である。即ち、操舵速度が閾値S1未満である場合、PCM14は、ステアリング操作に基づき車両1に減速度を付加するための制御(具体的にはエンジンやモータの出力トルクの低減)を行わない。
一方、操舵速度が閾値S1以上である場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する付加減速度は、所定の上限値Dmaxに漸近する。即ち、操舵速度が増大するほど付加減速度は増大し、且つ、その増大量の増加割合は小さくなる。この上限値Dmaxは、ステアリング操作に応じて車両1に減速度を付加しても、制御介入があったとドライバが感じない程度の減速度に設定される(例えば0.5m/s2≒0.05G)。
さらに、操舵速度が閾値S1よりも大きい閾値S2以上の場合には、付加減速度は上限値Dmaxに維持される。
ステップS13の後、付加減速度設定部20は付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
また、ステップS12においてステアリングホイール6の切り込み操作中ではない(即ち操舵角が一定又は減少中)か、操舵速度が閾値S1未満である場合、付加減速度設定部20は付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
駆動制御システム4は、上述した付加減速度設定処理において操舵角の増大速度に基づき設定した付加減速度を実現するように、図3の挙動制御処理のステップS4においてエンジンやモータの出力トルクを減少させる。このように、ステアリングホイール6の切り込み操作が行われた場合に、その操舵速度に基づきエンジンやモータの出力トルクを減少させることにより前輪2の垂直荷重を増大させ、ドライバによる切り込み操作に対して良好な応答性で車両1の挙動を制御することができる。
次に、図6により、目標ヨーモーメント設定処理について説明する。
図6に示すように、目標ヨーモーメント設定処理が開始されると、ステップS21において、ヨーモーメント設定部22は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角及び車速に基づき目標ヨーレート及び目標横ジャークを算出する。
具体的には、ヨーモーメント設定部22は、車速に応じた係数を操舵角に乗ずることにより目標ヨーレートを算出する。また、ヨーモーメント設定部22は、目標ヨーレート及び車速から目標横加速度を算出し、この目標横加速度を時間微分することにより目標横ジャークを算出する。
次に、ステップS22において、ヨーモーメント設定部22は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得したヨーレートセンサ12が検出したヨーレート(実ヨーレート)とステップS21で算出した目標ヨーレートとの差(ヨーレート差)Δγを算出する。
次に、ステップS23において、ヨーモーメント設定部22は、ステアリングホイール6の切り戻し操作中(即ち操舵角(絶対値)が減少中)であり、且つ、ヨーレート差Δγを時間微分することで得られるヨーレート差の変化速度Δγ′が所定の閾値Y1以上であるか否かを判定する。
その結果、切り戻し操作中且つヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1以上である場合、ステップS24に進み、ヨーモーメント設定部22は、ヨーレート差の変化速度Δγ′に基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する。具体的には、ヨーモーメント設定部22は、所定の係数Cm1をヨーレート差の変化速度Δγ′に乗ずることにより、目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
一方、ステップS23において、ステアリングホイール6の切り戻し操作中ではない(即ち操舵角が一定又は増大中である)場合、ステップS25に進み、ヨーモーメント設定部22は、車両挙動がオーバーステア状態に変化するか否か又は変化したか否かを判定する。具体的には、ヨーモーメント設定部22は、(1)操舵角が0ではなく、且つ、(2)車両挙動が一定レベル以下のアンダーステア状態又はオーバーステア状態であり、尚且つ、(3)実ヨーレートと目標ヨーレートとの差がオーバーステア方向に変化している場合に、車両挙動がオーバーステア状態に変化する又は変化したと判定する。
(1)の操舵角が0ではないという状態は、ステアリングホイール6が左又は右に操作されている状態を意味する。(2)の車両挙動が一定レベル以下のアンダーステア状態又はオーバーステア状態であることは、車両挙動が、オーバーステア寄りのアンダーステア状態であるか、又は既にオーバーステア状態であることを意味する。例えば、目標ヨーレートの絶対値から実ヨーレートの絶対値を減算した値が所定値以下である場合に、車両挙動がオーバーステア寄りのアンダーステア状態であると判断できる。(3)の実ヨーレートと目標ヨーレートとの差がオーバーステア方向に変化している状態は、ヨーレート差の変化速度Δγ′が、実ヨーレート(絶対値)が目標ヨーレート(絶対値)より大きくなる方向である状態を意味する。この場合、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差がオーバーステア方向に急激に変化している状態を判定するのがよい。具体的には、ヨーレート差の変化速度Δγ′が、実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向であり、且つ、ヨーレート差の変化速度Δγ′(絶対値)が閾値Y1以上である状態を判定するのがよい。
上記のステップS25の結果、車両挙動がオーバーステア状態に変化する又は変化したと判定された場合、ステップS24に進み、ヨーモーメント設定部22は、上記と同様にして、ヨーレート差の変化速度Δγ′に基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する。
ステップS24の後、又は、ステップS25において車両挙動がオーバーステア状態に変化する又は変化したと判定されなかった場合、ステップS26に進み、ヨーモーメント設定部22は、ステアリングホイール6の切り戻し操作中(即ち操舵角(絶対値)が減少中)であり、且つ、操舵速度が所定の閾値S3以上であるか否かを判定する。
その結果、切り戻し中且つ操舵速度が閾値S3以上である場合、ステップS27に進み、ヨーモーメント設定部22は、ステップS21で算出した目標横ジャークに基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを第2の目標ヨーモーメントとして設定する。
具体的には、ヨーモーメント設定部22は、所定の係数Cm2を目標横ジャークに乗ずることにより、第2の目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
ステップS27の後、又は、ステップS26においてステアリングホイール6の切り戻し操作中ではない(即ち操舵角が一定又は増大中である)か操舵速度が閾値S3未満である場合、ステップS28に進み、ヨーモーメント設定部22は、ステップS24で設定した目標ヨーモーメントとステップS27で設定した第2の目標ヨーモーメントとの内、大きい方をヨーモーメント指令値に設定する。
ステップS28の後、ヨーモーメント設定部22は目標ヨーモーメント設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
なお、上記のように本実施形態により設定された目標ヨーモーメントに基づき車輪に付与される制動力の大きさは、一般的な横滑り防止制御において、車両1の旋回時にアンダーステアやオーバーステアの挙動が生じた場合に車輪に付与される制動力の大きさよりもかなり小さい。一般的な横滑り防止制御では、主として横滑りによる危険回避を目的として、車両の実ヨーレートが目標ヨーレートに確実に設定されるように制御(目標追従型の制御)するのに対して、本実施形態による制御では、車両1の挙動が不安定になる前の状況において、ドライバのステアリング操作に応じて車両挙動を安定化させるためのアシスト制御であるからである。例えば、一般的な横滑り防止制御においてブレーキ装置16に適用されるブレーキ液圧は、20MPa程度(典型的にはほぼ最大のブレーキ液圧)となるのに対して、本実施形態による制御においてブレーキ装置16に適用されるブレーキ液圧は、その十分の一程度の0.2〜0.5MPa程度となる。このような本実施形態による制御によれば、車両1のオーバーステアを事前に抑制して、車両挙動が急激にオーバーステア状態になることを回避できるので、一般的な横滑り防止制御が介入する頻度を大きく低減することが可能となる。
次に、図7を参照して、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の作用を説明する。図7は、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置を搭載した車両1に旋回走行させたときの、挙動制御に関わる各種パラメータの時間変化を示すタイムチャートである。
図7において、チャート(a)は操舵角を示し、チャート(b)はヨーレートを示し(特に、実線は実ヨーレートを示し、破線は目標ヨーレートを示す)、チャート(c)は実ヨーレートと目標ヨーレートとの差(ヨーレート差)を示し、チャート(d)はヨーレート差の変化速度を示し、チャート(e)は目標ヨーモーメントを示している。
チャート(a)に示すように、ステアリングホイール6が一方向に切り込まれている最中において、チャート(b)に示すように、このステアリング操作に応じた車両1の旋回動作により、実ヨーレート及び目標ヨーレートが変化する。そして、チャート(c)に示すように、実ヨーレートと目標ヨーレートとにおけるヨーレート差が変化して、チャート(d)に示すようなヨーレート差の変化速度が生じる。その結果、ヨーモーメント設定部22は、ステアリングホイール6の切り戻し操作中ではないが(図6のステップS23:No)、車両挙動がオーバーステア状態に変化する又は変化したと判定する(図6のステップS25:Yes)。
具体的には、ヨーモーメント設定部22は、操舵角が0ではなく(チャート(a)参照)、且つ、車両挙動が一定レベル以下のアンダーステア状態又はオーバーステア状態であり(チャート(b)、(c)参照)、尚且つ、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差が急激にオーバーステア方向に変化しているため(チャート(d)参照)、車両挙動がオーバーステア状態に変化する又は変化したと判定する。したがって、ヨーモーメント設定部22は、チャート(e)に示すように、ヨーレート差の変化速度に基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する(図6のステップS24)。詳しくは、ヨーモーメント設定部22は、所定の係数をヨーレート差の変化速度に乗ずることにより、目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
次に、本発明の実施形態による車両の挙動制御装置の効果について説明する。
本実施形態によれば、操舵角が減少している場合に、つまりステアリングホイール6が切り戻し操作されている場合に、目標ヨーレートと実ヨーレートとの差の変化速度に応じた目標ヨーモーメントを設定して、ブレーキ装置16を制御してこの目標ヨーモーメントを車両1に付与する構成において、ステアリングホイール6が切り戻し操作されていなくても、車両挙動がオーバーステア状態に変化する又は変化したと判定された場合に、上記のように目標ヨーモーメントを設定して、この目標ヨーモーメントを車両1に付与するようブレーキ装置16を制御する。これにより、車両挙動がオーバーステア状態に変化するような状況において、ヨーモーメントを車両1に付与する制御を適切に実行することができ、車両1のオーバーステアを効果的に抑制することができる。すなわち、車両1のオーバーステアを事前に抑制することで、車両挙動が急激にオーバーステア状態になることを回避することができる。その結果、車両挙動が危険領域に入ることを事前に回避でき、一般的な横滑り防止制御が介入する頻度を効果的に低減することが可能となる。
また、本実施形態によれば、(1)操舵角が0ではなく、且つ、(2)車両挙動が一定レベル以下のアンダーステア状態又はオーバーステア状態であり、尚且つ、(3)実ヨーレートと目標ヨーレートとの差がオーバーステア方向に変化している場合に、車両挙動がオーバーステア状態に変化する又は変化したと判定されるので、車両1のオーバーステアを抑制すべき状況においてヨーモーメントを車両1に付与する制御を確実に実行することができる。
また、本実施形態によれば、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差の変化速度が大きいほど、目標ヨーモーメントを大きく設定する。例えば、圧雪路のような低μ路において、急なステアリング操作に対して車両挙動の応答が遅れることにより、実ヨーレートと目標ヨーレートとのヨーレート差の変化速度が増大する。本実施形態によれば、ステアリング操作に対する車両挙動の応答遅れが大きいほど、旋回を抑える方向のヨーモーメントをより強く車両1に付与することができ、ドライバのステアリング操作に応じて素早く車両挙動を効果的に安定化させることができる。
また、本実施形態によれば、操舵角が減少している場合には、更に、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差の変化速度が所定値以上であるという条件が成立した場合にのみ、目標ヨーモーメントを設定する。これにより、車両の挙動が不安定になり易い状況でのみ、具体的にはステアリング操作に対して車両挙動の応答が遅れ易い状況でのみ、ヨーモーメントを付与する制御を介入させることができる。よって、過度の制御介入を抑制することができる。
なお、上記した実施形態では、ステアリングホイール6に連結されたステアリングコラムの回転角度を操舵角として使用すると説明したが、ステアリングコラムの回転角度に代えて、あるいはステアリングコラムの回転角度と共に、操舵系における各種状態量(アシストトルクを付与するモータの回転角や、ラックアンドピニオンにおけるラックの変位等)を操舵角として用いてもよい。
1 車両
2 駆動輪(前輪)
4 駆動制御システム
6 ステアリングホイール
8 操舵角センサ
10 車速センサ
12 ヨーレートセンサ
14 PCM
16 ブレーキ装置
18 ブレーキ制御システム
20 付加減速度設定部
22 ヨーモーメント設定部

Claims (4)

  1. 左右の車輪に異なる制動力を付与可能な制動手段を備えた車両の挙動制御装置であって、
    ドライバにより操作されるステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールの操作に対応する操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記車両の実ヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
    前記操舵角検出手段により検出された前記操舵角に基づき、前記ステアリングホイールの切り戻し操作が判定されたとき、前記操舵角及び前記車速に応じた前記車両の目標ヨーレートと前記実ヨーレートとの差の変化速度に基づき、前記車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを、前記車両に付与すべき目標ヨーモーメントとして設定する目標ヨーモーメント設定手段と、
    前記目標ヨーモーメントを前記車両に付与するように前記制動手段を制御する制御手段と、
    を有し、
    前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記操舵角検出手段により検出された前記操舵角に基づき、前記ステアリングホイールの保舵又は切り込み操作が判定され、且つ、前記実ヨーレートが前記目標ヨーレートよりも大きくなることが判定された場合に、前記目標ヨーモーメントを設定して、前記制御手段による制御を実行させるようにする、ことを特徴とする車両の挙動制御装置。
  2. 前記車両の旋回時において当該車両のオーバーステア状態が判定されたとき、このオーバーステア状態に基づき車輪に付与する制動力を制御する横滑り防止制御手段を更に有し、
    前記ステアリングホイールの保舵又は切り込み操作が判定され且つ前記実ヨーレートが前記目標ヨーレートよりも大きくなることが判定された場合に、前記目標ヨーモーメント設定手段により設定される前記目標ヨーモーメントに応じて付与される制動力は、前記横滑り防止制御手段により付与される制動力よりも小さい、請求項1に記載の車両の挙動制御装置。
  3. 前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記実ヨーレートと前記目標ヨーレートとの差の変化速度が大きいほど、前記目標ヨーモーメントを大きく設定する、請求項1又は2に記載の車両の挙動制御装置。
  4. 前記目標ヨーモーメント設定手段は、前記操舵角が減少している場合には、更に、前記実ヨーレートと前記目標ヨーレートとの差の変化速度が所定値以上であるという条件が成立した場合にのみ、前記目標ヨーモーメントを設定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両の挙動制御装置。
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