JP4110486B2 - 車両の姿勢制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の姿勢制御装置に関し、例えば、コーナリング時や緊急の障害物回避時や路面状況急変時等において、走行中の車両の横滑りやスピンを抑制するための車両の姿勢制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、走行中の車両のヨーレートやステアリング舵角等の車両状態量を検出して、コーナリング時や緊急の障害物回避時や路面状況急変時等に車両の横滑りやスピンを抑制する制御装置が数多く提案されている。
【0003】
特開平6−115418号公報には、車速やステアリング舵角に応じて配分制御の開始条件を変更することにより、本当に必要な場合に限って配分制御を実行するものが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、ヨーレートに基づく姿勢制御中に、横滑り角が大きくなってドリフトアウト等が発生しそうになり横滑り角に基づく姿勢制御に切り換えられた場合、ドライバのステアリング操作に反して車両の姿勢を急激に戻そうとするため、本当に姿勢制御が必要な時には非常に有効であるが、それ以外の急激な姿勢の戻し制御が不要な時にはドライバの操作に悪影響を及ぼす虞がある。
【0005】
また、車両状態量として演算する横滑り角は、ヨーレート、車速、横方向加速度により演算される横方向速度の積算値であるため、ヨーレートのセンサ値が非常に大きくなるスピン発生後は、推定演算される推定横滑り角の積分誤差がそのヨーレートのセンサ値の影響で非常に大きくなり、姿勢制御に移行する必要が無い場合でもドライバの意思に反して姿勢制御に移行してしまう等、ドライバの操作に悪影響を及ぼす虞がある。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の姿勢を立て直すためのドライバによるステアリング操作に合致した姿勢制御を実現し、姿勢制御時の安定性を向上できる車両の姿勢制御装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の問題点を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる車両の姿勢制御装置は、以下の構成を備える。即ち、
車両を制動制御して、走行中の車両の姿勢を制御する装置であって、車両のステアリング舵角を検出する舵角検出手段と、車両の状態量に基づいて、目標横滑り角と推定横滑り角とを演算する横滑り角演算手段と、前記横滑り角演算手段にて演算される目標横滑り角と推定横滑り角との偏差が所定閾値以上となると、前記推定横滑り角を前記目標横滑り角に収束させるよう制御する収束制御手段と、前記舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角に応じて、前記所定閾値を補正する補正手段とを備え、前記補正手段は、前記舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角の変化速度が増加するに従って、前記所定閾値の値を増加方向に補正する。
また、本発明に係わる車両の姿勢制御装置は、以下の構成を備える。即ち、
車両を制動制御して、走行中の車両の姿勢を制御する装置であって、車両の車速を検出する車速検出手段と、車両に発生するヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、車両に発生する横方向加速度を検出する横方向加速度検出手段と、車両のステアリング舵角を検出する舵角検出手段と、車両の状態量に基づいて、目標横滑り角と推定横滑り角とを演算する横滑り角演算手段と、前記横滑り角演算手段にて演算される目標横滑り角と推定横滑り角との偏差が所定閾値以上となると、前記推定横滑り角を前記目標横滑り角に収束させるよう制御する収束制御手段と、前記舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角に応じて、前記所定閾値を補正する補正手段とを備え、前記横滑り角演算手段は、前記各手段により検出された車速、ステアリング舵角、ヨーレート、横方向加速度に基づいて、前記目標横滑り角及び推定横滑り角を演算し、前記補正手段は、前記ヨーレート検出手段にて検出されたヨーレートが急激に増加する場合に、前記所定閾値を増加方向に補正する
また、本発明に係わる車両の姿勢制御装置は、以下の構成を備える。即ち、
車両を制動制御して、走行中の車両の姿勢を制御する装置であって、車両走行中の路面の摩擦係数を検出する摩擦検出手段と、車両のステアリング舵角を検出する舵角検出手段と、車両の状態量に基づいて、目標横滑り角と推定横滑り角とを演算する横滑り角演算手段と、前記横滑り角演算手段にて演算される目標横滑り角と推定横滑り角との偏差が所定閾値以上となると、前記推定横滑り角を前記目標横滑り角に収束させるよう制御する収束制御手段と、前記舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角に応じて、前記所定閾値を補正する補正手段とを備え、前記補正手段は、前記摩擦検出手段にて検出された摩擦係数が急激に変化する場合に、前記所定閾値を増加方向に補正する
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる実施形態につき添付図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
[姿勢制御装置の制御ブロック構成]
先ず、本実施形態に係る車両の姿勢制御装置の制御ブロック構成について説明する。図1は本発明の実施形態に係る車両の姿勢制御装置の制御ブロックの全体構成を示す図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の姿勢制御装置は、例えば、車両の走行状態がコーナリング時や緊急の障害物回避時や路面状況急変時等において、走行中の車両の横滑りやスピンを抑制するために前後・左右の各車輪への制動力を制御するものである。各車輪には、油圧ディスクブレーキ等のFR(右前輪)ブレーキ31、FL(左前輪)ブレーキ32、RR(右後輪)ブレーキ33、RL(左後輪)ブレーキ34が設けられている。これらFR、FL、RR、RLブレーキ31〜34は油圧制御ユニット30に夫々接続されている。油圧制御ユニット30はFR、FL、RR、RLブレーキ31〜34の各ホイールシリンダ(不図示)に接続され、各ブレーキ31〜34のホイールシリンダに油圧を導入することにより各車輪へ制動力を付加する。油圧制御ユニット30は、加圧ユニット36及びマスタシリンダ37に接続されている。マスタシリンダ37はブレーキペダル38の踏力圧に応じて1次油圧を発生させる。この1次油圧は、加圧ユニット36に導入され、加圧ユニット36で2次油圧に加圧されて油圧制御ユニット30に導入される。油圧制御ユニット30は、SCSECU10に電気的に接続され、ECU10からの制動制御信号に応じてFR、FL、RR、RLブレーキ31〜34への油圧を配分制御して各車輪への制動力を制御する。
【0011】
SCS(STABILITY CONTROLLED SYSTEM)・ECU(ELECTRONIC CONTROLLED UNIT)10は、本実施形態の姿勢制御装置として前後・左右の各車輪への制動制御を司ると共に、従来周知のABS(アンチロックブレーキシステム)制御やTCS(トラクションコントロールシステム)制御をも司る演算処理装置である。SCS・ECU10には、FR車輪速センサ11、FL車輪速センサ12、RR車輪速センサ13、RL車輪速センサ14、車速センサ15、ステアリング舵角センサ16、ヨーレートセンサ17、横方向加速度センサ18、前後方向加速度センサ19、ブレーキ踏力圧センサ35、EGIECU20、TCSオフスイッチ40が接続されている。
【0012】
ABS制御及びTCS制御の概要を説明すると、ABS制御とは、車両走行中に急ブレーキ操作がなされて、車輪が路面に対してロックしそうな場合に車輪への制動力を自動的に制御して車輪のロックを抑制しながら停止させるシステムであり、TCS制御とは、車両走行中に車輪が路面に対してスリップする現象を各車輪への駆動力或いは制動力を制御することにより抑制しながら走行させるシステムである。
【0013】
FR車輪速センサ11は右前輪の車輪速度の検出信号v1をSCS・ECU10に出力する。FL車輪速センサ12は左前輪の車輪速度の検出信号v2をSCS・ECU10に出力する。RR車輪速センサ13は右後輪の車輪速度の検出信号v3をSCS・ECU10に出力する。RL車輪速センサ14は左後輪の車輪速度の検出信号v4をSCS・ECU10に出力する。車速センサ15は車両の走行速度の検出信号VをSCS・ECU10に出力する。ステアリング舵角センサ16はステアリング回転角の検出信号θHをSCS・ECU10に出力する。ヨーレートセンサ17は車体に実際に発生するヨーレートの検出信号ψをSCS・ECU10に出力する。横方向加速度センサ18は車体に実際に発生する横方向加速度の検出信号YをSCS・ECU10に出力する。前後方向加速度センサ19は車体に実際に発生する前後方向加速度の検出信号ZをSCS・ECU10に出力する。ブレーキ踏力圧センサ35は加圧ユニット36に設けられ、ブレーキペダル38の踏力圧の検出信号PBをSCS・ECU10に出力する。TCSオフスイッチ40は、後述するが車輪のスピン制御(トラクション制御)を強制的に停止するスイッチであり、このスイッチ操作信号SをSCS・ECU10に出力する。EGI(ELECTRONIC GASOLINE INJECTION)ECU20は、エンジン21、AT(AUTOMATIC TRANSMISSION)22、スロットルバルブ23に接続され、エンジン21の出力制御やAT22の変速制御、スロットルバルブ23の開閉制御を司っている。
【0014】
SCS・ECU10及びEGI・ECU20は、CPU、ROM、RAMを含み、入力された上記各検出信号に基づいて予め記憶された姿勢制御プログラムやエンジン制御プログラムを実行する。
【0015】
[姿勢制御の概略説明]
本実施形態の姿勢制御は、各車輪を制動制御することで車体に旋回モーメントと減速力を加えて前輪或いは後輪の横滑りを抑制するものである。例えば、車両が旋回走行中に後輪が横滑りしそうな時(スピン)には主に前外輪にブレーキを付加し外向きモーメントを加えて旋回内側への巻き込み挙動を抑制する。また、前輪が横滑りして旋回外側に横滑りしそうな時(ドリフトアウト)には各車輪に適量のブレーキを付加し内向きモーメントを加えると共に、エンジン出力を抑制し減速力を付加することにより旋回半径の増大を抑制する。
【0016】
姿勢制御の詳細については後述するが、概説すると、SCS・ECU10は、上述した車速センサ15、ヨーレートセンサ17、横方向加速度センサ18の検出信号V、ψ、Yから車両に発生している実際の横滑り角(以下、実横滑り角という)βact及び実際のヨーレート(以下、実ヨーレートという)ψactを演算すると共に、実横滑り角βactからSCS制御に実際に利用される推定横滑り角βcontの演算において参照される参照値βrefを演算する。また、SCS・ECU10は、ステアリング舵角センサ等の検出信号から車両の目標とすべき姿勢として目標横滑り角βTR及び目標ヨーレートψTRを演算し、推定横滑り角βcontと目標横滑り角βTRの差或いは実ヨーレートψactと目標ヨーレートψTRの差が所定閾値β0、ψ0を越えた時に姿勢制御を開始し、推定実横滑り角βcont或いは実ヨーレートψactが目標横滑り角βTR或いは目標ヨーレートψTRに収束するよう制御する。
【0017】
[姿勢制御の詳細説明]
次に、本実施形態の姿勢制御(以下、SCS制御という)について詳細に説明する。図2は、本実施形態の姿勢制御を実行するための全体的動作を示すフローチャートである。
【0018】
図2に示すように、先ず、運転者によりイグニッションスイッチがオンされてエンジンが始動されると、ステップS2でSCS・ECU10、EGI・ECU20が初期設定され、前回の処理で記憶しているセンサ検出信号や演算値等をクリアする。ステップS4ではSCS・ECU10は上述のFR車輪速センサ11の検出信号v1、FL車輪速センサ12の検出信号v2、RR車輪速センサ13の検出信号v3、RL車輪速センサ14の検出信号v4、車速センサ15の検出信号V、ステアリング舵角センサ16の検出信号θH、ヨーレートセンサ17の検出信号ψ、横方向加速度センサ18の検出信号Y、前後方向加速度センサ19の検出信号Z、ブレーキ踏力圧センサ35の検出信号PB、TCSオフスイッチ40のスイッチ操作信号Sを入力する。ステップS6ではSCS・ECU10は上述の各検出信号に基づく車両状態量を演算する。ステップS7では車両状態量に基づいて車輪速補正処理を実行する。ステップS8ではSCS・ECU10は、ステップS6で演算された車両状態量からSCS制御に必要となるSCS制御目標値や制御出力値を演算する。同様に、ステップS10ではABS制御に必要なABS制御目標値や制御出力値等を演算し、ステップS12ではTCS制御に必要なTCS制御目標値や制御出力値等を演算する。
【0019】
ステップS14ではステップS8〜ステップS12で演算された各制御出力値の制御出力調停処理を実行する。この制御出力調停処理では、SCS制御出力値、ABS制御出力値、TCS制御出力値を夫々比較し、最も大きな値に対応した制御に移行させる。また、後述するが、SCS制御出力値とABS制御出力値との調停処理は、運転者のブレーキ踏力圧PBの大きさに応じて実行される。即ち、ステップS14においてABS制御出力値が最も大きな値の場合にはABS制御出力値に基づいてABS制御が実行され(ステップS16)、SCS制御出力値が最も大きな値の場合にはSCS制御出力値に基づいてSCS制御が実行され(ステップS18)、TCS制御出力値が最も大きな値の場合にはTCS制御出力値に基づいてTCS制御が実行される(ステップS20)。その後、ステップS22ではSCS・ECU10は油圧制御ユニット30等が正常に動作されているか否かフェイルセーフ判定し、もし異常があると判定された場合にはその異常箇所に対応する制御を中止して、ステップS2にリターンして上述の処理を繰り返し実行する。
【0020】
[SCS演算処理の説明]
次に、図2のステップS8に示すSCS演算処理の詳細について説明する。尚、ステップS10、12のABS制御演算処理及びTCS制御演算処理については周知であるので説明を省略する。図3は、図2のSCS演算処理を実行するためのフローチャートである。
【0021】
図3に示すように、処理が開始されると、ステップS30ではSCS・ECU10はFR車輪速v1、FL車輪速v2、RR車輪速v3、RL車輪速v4、車速V、ステアリング舵角θ、実ヨーレートψact、実横方向加速度Yactを入力する。ステップS32ではSCS・ECU10は車両に発生する垂直荷重を演算する。この垂直荷重は車速V、横方向加速度Yから周知の数学的手法により推定演算される。ステップS33ではSCS・ECU10は車両に実際に発生する実横滑り角βactを演算する。実横滑り角βactは、実横滑り角βactの変化速度Δβactを積分することにより演算される。また、Δβactは、下記の式1により算出される。
Δβact=−ψact+Yact/V…(1)
次に、ステップS34では、SCS・ECU10はSCS制御に実際に利用される推定横滑り角βcontの演算において参照される参照値βrefを演算する。この参照値βrefは、車両諸元と、車両状態量(車速V、ヨーレートψact、実横方向加速度Yact、実横滑り角βactの変化速度Δβact、ヨーレートψactの変化量(微分値)Δψact)、ブレーキにより生じるヨーモーメントの推定値D1、ブレーキにより生じる横方向の力の低下量の推定値D2に基づいて2自由度モデルを流用して演算される。この参照値βrefは、要するに、検出された車両状態量及びブレーキ操作力に基づいて推定される横滑り角を演算している。その後、ステップS35では、SCS・ECU10はSCS制御に実際に利用される推定横滑り角βcontを演算する。この推定横滑り角βcontは、下記の式2、式3から導かれる微分方程式を解くことにより算出される。即ち、
Δβcont=Δβact+e+Cf・(βref−βcont)…(2)
Δe=Cf・(Δβref−Δβact−e)…(3)
但し、e:ヨーレートセンサと横方向加速度センサのオフセット修正値
Cf:カットオフ周波数
また、後で詳述するが、カットオフ周波数Cfは推定横滑り角βcontを参照値βrefの信頼性に応じてこの参照値βrefに収束するように補正して、推定横滑り角βcontに発生する積分誤差をリセットする際の補正速度の変更ファクタとなり、参照値βrefの信頼性が低い程小さくなるように補正される係数である。また、参照値βrefの信頼性が低くなるのは前輪のコーナリングパワーCpf或いは後輪のコーナリングパワーCprに変化が生じた時である。
【0022】
ステップS36ではSCS・ECU10は各車輪の車輪スリップ率及び車輪スリップ角を演算する。車輪スリップ率及び車輪スリップ角は、各車輪の車輪速v1〜v4、車速V、推定横滑り角βcont、前輪ステアリング舵角θHから周知の数学的手法により推定演算される。ステップS38ではSCS・ECU10は各車輪への負荷率を演算する。車輪負荷率は、ステップS36で演算された車輪スリップ率及び車輪スリップ角とステップS32で演算された垂直荷重から周知の数学的手法により推定演算される。ステップS40ではSCS・ECU10は走行中の路面の摩擦係数μを演算する。路面の摩擦係数μは、実横方向加速度YactとステップS38で演算された車輪負荷率から周知の数学的手法により推定演算される。次に、ステップS42ではSCS・ECU10は実ヨーレートψact及び推定横滑り角βcontを収束させるべく目標値となる目標ヨーレートψTR、目標横滑り角βTRを演算する。目標ヨーレートψTRは、車速V、ステップS40で演算された路面の摩擦係数μ、前輪ステアリング舵角θHから周知の数学的手法により推定演算される。また、目標横滑り角βTRは、下記の式4、式5から導かれる式6の微分方程式を解くことにより算出される。即ち、
βx=1/(1+A・V↑2)・{1−(M・Lf・V↑2)/(2L・Lr・ Cpr)}・Lr・θH/L…(4)
A=M・(Cpr・Lr−Cpf・Lf)/2L↑2・Cpr・Cpf…(5)
ΔβTR=C・(βx−βTR)…(6)
但し、V:車速
θH:前輪ステアリング舵角
M:車体質量
I:慣性モーメント
L:ホイルベース
Lf:前輪から車体重心までの距離
Lr:後輪から車体重心までの距離
Cpf:前輪のコーナリングパワー
Cpr:後輪のコーナリングパワー
C:位相遅れに相当する値
尚、上記式中の「↑」は乗数を表わす。例えば「L↑2」はLの2乗を意味し、以下の説明でも同様である。
【0023】
次に、図4に示すステップS44では、SCS・ECU10は、目標横滑り角βTRから推定横滑り角βcontを減算した値の絶対値がSCS制御開始閾値β0以上か否かを判定する(|βTR−βcont|≧β0?)。ステップS44で目標横滑り角βTRから推定横滑り角βcontを減算した値の絶対値がSCS制御開始閾値β0以上の場合(ステップS44でYes)、ステップS46に進んでSCS制御目標値を目標横滑り角βTRに設定する。一方、ステップS44で目標横滑り角βTRから推定横滑り角βcontを減算した値の絶対値がSCS制御開始閾値β0を超えない場合(ステップS44でNo)、ステップS52に進んでSCS・ECU10は、目標ヨーレートψTRから実ヨーレートψactを減算した値の絶対値がSCS制御開始閾値ψ0以上か否かを判定する(|ψTR−ψact|≧ψ0?)。ステップS52で目標ヨーレートψTRから実ヨーレートψactを減算した値の絶対値がSCS制御開始閾値ψ0以上の場合(ステップS52でYes)、ステップS54に進んでSCS制御目標値を目標ヨーレートψTRに設定する。一方、ステップS52で目標ヨーレートψTRから実ヨーレートψactを減算した値の絶対値がSCS制御開始閾値ψ0を超えない場合(ステップS52でNo)、ステップS30にリターンして上述の処理を繰り返し実行する。
【0024】
次に、ステップS50では、SCS・ECU10はSCS制御に実際に利用されるSCS制御量βamtを演算する。また、ステップS56では、SCS・ECU10はSCS制御に実際に利用されるSCS制御量ψamtを演算する。
【0025】
[SCS制御とABS制御との調停処理]
次に、図5〜図7を参照してSCS制御と、SCS制御とABS制御との調停処理について説明する。図5〜図7は、SCS制御とABS制御との調停処理を実行するためのフローチャートである。
【0026】
以下に示す調停処理は、SCS制御開始条件が成立してもABS制御中であればABS制御を優先させ、或いはABS制御出力値に基づいてSCS制御出力値を補正する。また、SCS制御開始条件とABS制御開始条件とが両方成立した場合には、運転者のブレーキ踏力圧PBの大きさに応じていずれかの制御が実行される。
【0027】
具体的な処理を説明する。
【0028】
図5に示すように、ステップS58では、SCS・ECU10はSCS制御に用いる油圧制御ユニット30等に故障が発生しているか否か判定する。ステップS58で故障している場合(ステップS58でYes)、ステップS74に進んでSCS制御を中止して図2に示すステップS2にリターンして上述の処理を繰り返し実行する。一方、ステップS58で故障していない場合(ステップS58でNo)、ステップS60に進む。ステップS60ではSCS・ECU10はSCS制御フラグF1が"1"にセットされているか否かを判定する。SCS制御フラグF1は、"1"がセットされているとSCS制御実行中であることを表わす。ステップS60でSCS制御フラグF1が"1"にセットされている場合(ステップS60でYes)、ステップS76に進んでABS制御フラグF2が"1"にセットされているか否かを判定する。ABS制御フラグF2は、"1"がセットされているとABS制御実行中であることを表わす。一方、ステップS60でSCS制御フラグF1が"1"にセットされていない場合(ステップS60でNo)、ステップS62に進んでABS制御実行中か否かを判定する。ステップS62でABS制御実行中の場合(ステップS62でYes)、後述するステップS80に進む。一方、ステップS62でABS制御実行中でない場合(ステップS62でNo)、ステップS64に進む。ステップS64では、SCS・ECU10はTCS制御実行中か否かを判定する。ステップS64でTCS制御実行中の場合(ステップS64でYes)、ステップS78に進みTCS制御における制動制御を中止して(即ち、エンジンによるトルクダウン制御のみ実行可能とする)ステップS66に進む。一方、ステップS64でTCS制御実行中でない場合(ステップS62でNo)、ステップS66に進む。
【0029】
ステップS66では、SCS・ECU10はSCS制御の対象となる車輪を選択演算し、その選択車輪に配分すべき目標スリップ率を演算し、その目標スリップ率に応じたSCS制御量βamt又はψamtを演算する。その後、ステップS68では必要なトルクダウン量に応じたエンジン制御量を演算する。そして、ステップS70でSCS制御を実行して、ステップS72でSCS制御フラグF1を"1"にセットした後、上述したステップS2にリターンして上述の処理を繰り返し実行する。
【0030】
ステップS76でABS制御フラグF2が"1"にセットされている場合(ステップS76でYes)、図6に示すステップS80に進む。ステップS80では、SCS・ECU10はABS制御量をSCS制御量βamt又はψamtに基づいて補正する。その後、ステップS82では、SCS・ECU10はABS制御が終了したか否かを判定する。ステップS82でABS制御が終了していない(ステップS82でNo)、ステップS84でSCS制御フラグF1を"1"にセットすると共に、ステップS86でABS制御フラグF2を"1"にセットして上述のステップS30にリターンする。一方、ステップS82でABS制御が終了したならば(ステップS82でYes)、ステップS88でSCS制御フラグF1を"0"にリセットすると共に、ステップS90でABS制御フラグF2を"0"にリセットして上述のステップS30にリターンする。
【0031】
更に、ステップS76でABS制御フラグF2が"1"にセットされていない場合(ステップS76でNo)、図7に示すステップS92に進む。ステップS92では、SCS・ECU10はブレーキ踏力圧PBが所定閾値P0以上あるか否かを判定する(PB≧P0?)。ステップS92でブレーキ踏力圧PBが所定閾値P0以上あるならば(ステップS92でYes)、ステップS94に進んでSCS制御を中止して、ステップS96でABS制御に切り換える。そして、ステップS98でABS制御フラグF2を"1"にセットして上述のステップS30にリターンする。一方、ステップS92でブレーキ踏力圧PBが所定閾値P0を超えないならば(ステップS92でNo)、ステップS100に進む。ステップS100では、SCS・ECU10はSCS制御が終了したか否かを判定する。ステップS100でSCS制御が終了していない(ステップS100でNo)、上述したステップS68にリターンしてその後の処理を実行する。一方、ステップS100でSCS制御が終了したならば(ステップS100でYes)、ステップS102でSCS制御フラグF1を"0"にリセットすると共に、ステップS104でABS制御フラグF2を"0"にリセットして上述のステップS30にリターンする。
【0032】
[車輪速補正処理の説明]
次に、図2のステップS7に示す車輪速補正処理の詳細について説明する。図8は、図2の車輪速補正処理を実行するためのフローチャートである。図9は、車輪速補正手順を示す模式図である。
【0033】
例えば、パンク対応時用いる補助車輪(以下、テンパ車輪という)はノーマル車輪よりその径が約5〜15%小さく、他のノーマルタイヤに比べて車輪速が高くなる。車輪速補正処理は、このようなテンパ車輪やノーマル車輪の径のばらつきによる弊害を取り除くために実行される。その弊害とは下記に示す通りである。即ち、
▲1▼ABS制御では、1輪だけ車輪速が高いと基準となる車速が持ち上がってテンパ車輪以外のノーマル車輪がロック傾向にあると誤判定してしまう。
【0034】
▲2▼TCS制御では、駆動輪にテンパ車輪が装着されていると、他方の駆動輪であるノーマル車輪がスピンしていると誤判定してしまう。
【0035】
▲3▼ノーマル車輪ではその径に最大5%の誤差があり、この誤差に基づく車輪速のばらつきがSCS制御に影響する。
【0036】
図9に示すように、処理が開始されると、ステップS110ではSCS・ECU10はFR車輪速v1、FL車輪速v2、RR車輪速v3、RL車輪速v4を入力する。ステップS112ではSCS・ECU10は車両が定常走行中か否かを判定する。この定常走行中とは、車輪速度の信頼性が低下するような極端な加減速時やコーナ走行時ではない状態を表している。ステップS112で定常走行中でない場合(ステップS112でNo)、ステップS110にリターンする。また、ステップS112で定常走行中である場合(ステップS112でYes)、ステップS114に進んでSCS・ECU10はFR車輪速v1、FL車輪速v2、RR車輪速v3、RL車輪速v4のいずれか1輪が所定閾値va以上なのか否かを判定する。ステップS114でいずれか1輪が所定閾値va以上である場合(ステップS114でYes)、ステップS116に進む。一方、ステップS114でいずれも所定閾値を超えない場合(ステップS114でNo)、ステップS122に進んでノーマル車輪に対する車輪速補正を実行する。
【0037】
ステップS116では、SCS・ECU10は1輪のみが所定閾値以上である状態が所定時間継続したか否かを判定する。ステップS116で1輪のみが所定閾値以上である状態が所定時間継続している場合(ステップS116でYes)、ステップS118に進む。一方、ステップS116で1輪のみが所定閾値以上である状態が所定時間継続しなかった場合(ステップS116でNo)、ステップS122に進んでノーマル車輪に対する車輪速補正を実行する。ステップS118では、SCS・ECU10は1輪のみが所定閾値以上である状態が所定時間継続したのでその1輪はテンパ車輪であると判定する。そして、ステップS120でSCS・ECU10はテンパ車輪に対する車輪速補正を実行する。
【0038】
ノーマル輪或いはテンパ車輪に対する車輪速補正は、図9に示す▲1▼〜▲3▼の手順で実行される。即ち、
▲1▼FR車輪速を基準としてRR車輪速を補正し、次に、▲2▼FR車輪速を基準としてFL車輪速を補正し、最後に▲3▼FL車輪速を基準としてRL車輪速を補正する。但し、FR車輪がテンパ車輪である場合は基準となる車輪は他の車輪に設定する。
【0039】
以下の説明において、図4のステップS44からS46へ進み、それ以降の処理を横滑り角制御、ステップS52からS54へ進み、それ以降の処理をヨーレート制御と称する。
【0040】
[横滑り角制御開始閾値β0の補正処理]
図4のステップS44で参照する横滑り角制御開始閾値β0の補正処理について説明する。図10は、横滑り角制御開始閾値β0の補正処理を実行するためのフローチャートである。図11は、横滑り角制御開始閾値β0をステアリング舵角θHに応じて補正するためのマップを示す図である。図12〜図14は、横滑り角制御開始閾値β0をステアリング舵角θHの変化速度に応じて補正するためのマップを示す図である。
【0041】
図4のステップS52、S54、S56に示すヨーレート制御中において、車両の横滑り角βが徐々に増加していくと、ステップS44に示す条件が成立した時点で横滑り角制御に移行する。この横滑り角制御への移行時点で、ヨーレート制御の結果である車両が横滑り角の大きく発生した姿勢であると、次に実行される横滑り角制御では、車両の姿勢(推定横滑り角βcont)が目標横滑り角βTRに対して大きくかけ離れているため、車両の姿勢は横滑り角制御により急激に修正されることになる。つまり、ドライバのステアリング操作に反して車両の姿勢を急激に戻そうとするため、本当に姿勢制御が必要な時には非常に有効であるが、それ以外の急激な姿勢の戻し制御が不要な時にはドライバの操作に悪影響を及ぼす虞がある。
【0042】
上記課題を踏まえて、この横滑り角制御開始閾値β0の補正処理は、ヨーレート制御から横滑り角制御へスムーズに切り換えるために、ドライバのステアリング操作に応じて早めに横滑り角制御に移行させるようにしている。
【0043】
図10に示すように、処理が開始されると、ステップS132では、ドライバのステアリング操作の状態を判定する。このステアリング操作の判定は、ステアリング舵角が増加している状態又はステアリング舵角の変化速度が増加している状態で切増しと判定し、反対に切増しの状態からステアリング舵角が減少している状態又はステアリング舵角の変化速度の方向が逆転した状態で切戻しと判定する。
【0044】
ステップS132でステアリングの切増し操作中の場合には、ステップS134に進む。このステアリングの切増し操作中の場合とは、例えば、旋回路への侵入直前か或いは旋回走行の前半のステアリング舵角が増加している状態と考えられる。ステップS134では、図11のマップに示すように、横滑り各制御開始閾値β0をステアリング舵角θHに応じて補正する(β0→β0・x5)。続いて、ステップS136では、図12のマップに示すように、ステップS134にて補正された横滑り角制御開始閾値β0を、ステアリング舵角θHの変化速度ΔθH(ステアリング舵角θHの時間による微分値)に応じて更に補正する(β0→β0・x5・x6)。その後、ステップS132にリターンする。
【0045】
図11に示すマップにおいて、ステアリング舵角θHがエリアa1の範囲では、ステアリング舵角θHが極めて小さく略直進走行中或いは旋回路に侵入した初期段階と考えられる。このエリアa1において、急激にステアリングが操作される場合とは、例えば、前方障害物を避けるために急激なステアリング操作を行った場合やタイヤがパンクした場合が考えられ、早急に(或いはドライバが気付かない間に)車両の姿勢を立て直すこと望ましい。このため、エリアa1の範囲では、横滑り角制御開始閾値β0を極めて減少方向に補正して、図4のステップS44からステップS46への、横滑り角制御に移行しやすくなるように補正している。
【0046】
また、図11に示すマップにおいて、ステアリング舵角θHがエリアa2の範囲では、通常の旋回路走行中と考えられる。このエリアa2では、横滑り角制御に頼らずに、なるべくヨーレート制御により旋回できることが望ましい。このため、エリアa2の範囲では、SCS制御開始閾値β0を増加方向に補正して、横滑り角制御に移行しにくくなる方向に補正している。
【0047】
また、図11に示すマップにおいて、ステアリング舵角θHがエリアa3の範囲では、旋回走行中にステアリング舵角が非常に大きいので、例えば、雪上走行中にステアリングを切っているにも関らず車両が真直ぐ進んでしまう状態等が想定され、横滑り角が非常に大きく発生している状態と考えられる。このエリアa3では、横滑り角制御に早く移行して、車両の姿勢を立て直すことが望ましい。このため、エリアa3の範囲では、横滑り角制御開始閾値β0を減少方向に補正して、横滑り角制御に移行しやすくなる方向に補正している。
【0048】
また、図11の点線で示すマップのように、車速Vが増加するに従って、横滑り角制御開始閾値β0をより減少方向に補正して、横滑り角制御に移行しやすくなる方向に補正してもよい。
【0049】
また、図12に示すマップにおいて、ステアリング舵角の変化速度ΔθHが速くなる場合とは、ドライバの意思でステアリング操作を速くして旋回しようとしている状態と考えられる。この状態では、ドライバの意志通りに車両が進むように、横滑り角制御開始閾値β0を増加方向に補正して、横滑り角制御に移行しにくくなる方向に補正し、ドライバのステアリング操作に反して車両の姿勢を急激に戻そうとしないようにしている。
【0050】
説明を続けると、ステップS132にて、ステップS132でステアリングの切戻し操作中の場合には、ステップS138に進む。このステアリングの切戻し操作中の場合とは、例えば、旋回路から抜け出す直前か或いは旋回走行の後半のステアリング舵角が減少している状態と考えられる。ステップS138では、車両がドライバによるカウンタ操作中か否かを判定する。この判定は、ステアリング舵角θHの方向とヨーレートψの方向とが反対となっているか否か、即ち、ステアリング操作方向と車体の旋回方向とが反対になっているか否かにより判定する。
【0051】
ステップS138で、ステアリング舵角θHの方向とヨーレートψの方向とが同方向の場合(ステップS138でNo)、カウンタ操作ではないと判定され、ステップS140に進む。ステップS140では、車両は安定方向に向かって走行しているが、その後に急激に横滑りが発生した場合等に対応できるように、横滑り角制御開始閾値β0を10%だけ減少方向に補正する。また、ステップS138で、ステアリング舵角θHの方向とヨーレートψの方向とが反対の場合(ステップS138でYes)、カウンタ操作であると判定され、ステップS142に進む。ステップS142では、車両が不安定な状態で走行しており、早急に車両の姿勢を立て直す必要があるため、横滑り角制御開始閾値β0を20%だけ減少方向に補正する。続いて、ステップS144では、カウンタ操作が収束したか否かを判定する。ステップS144でカウンタ操作が収束したならば(ステップS144でYes)、ステップS132にリターンし、カウンタ操作が収束していないならば(ステップS144でNo)、ステップS142にリターンして、更に横滑り角制御開始閾値β0を20%だけ減少方向に補正する。
【0052】
上記ステップS140、142で補正対象となる横滑り角制御開始閾値β0は、ステップS134、ステップS136を経て補正された値β0(β0・x5、β0・x5・x6)でも、図4のステップS44で設定された補正前の値β0であっても良い。
【0053】
ここで、図12に示すマップの代わりに図13、図14に示すマップにより横滑り角制御開始閾値β0を補正してもよい。これら図13、図14に示すマップでは、図12に示すマップとは反対に、横滑り角制御に移行しやすくなるように補正している。この図13、図14に示すマップにおいて、ステアリング舵角の変化速度ΔθHが速くなる場合(急激にステアリングが操作される場合)とは、例えば、前方障害物を避けるために急激なステアリング操作を行った場合やタイヤがパンクした場合が考えられ、早急に車両の姿勢を立て直すこと望ましい。このため、ステアリング舵角の変化速度ΔθHが速くなる程、横滑り角制御開始閾値β0を減少方向に補正して、横滑り角制御に移行しやすくなるように補正している。
【0054】
また、図11に示すマップにおいて、ステアリング舵角θHがエリアa2の範囲では、通常の旋回路走行中と考えられる。このエリアa2では、横滑り角制御に頼らずに、なるべくヨーレート制御により旋回できることが望ましい。このため、エリアa2の範囲では、横滑り角制御開始閾値β0を増加方向に補正して、横滑り角制御に移行しにくくなる方向に補正している。
【0055】
また、図11に示すマップにおいて、ステアリング舵角θHがエリアa3の範囲では、旋回走行中にステアリング舵角が非常に大きいので、例えば、雪上走行中にステアリングを切っているにも関らず車両が真直ぐ進んでしまう状態等が想定され、横滑り角が非常に大きく発生している状態と考えられる。このエリアa3では、横滑り角制御に早く移行して、車両の姿勢を立て直すことが望ましい。このため、エリアa3の範囲では、横滑り角制御開始閾値β0を減少方向に補正して、横滑り角制御に移行しやすくなる方向に補正している。
【0056】
<変形例>
変形例として、
▲1▼ヨーレートのセンサ値が非常に大きくなるスピン発生後は、推定演算される推定横滑り角の積分誤差がそのヨーレートのセンサ値の影響で非常に大きくなり、姿勢制御に移行する必要が無い場合でもドライバの意思に反して姿勢制御に移行してしまう等、ドライバの操作に悪影響を及ぼす虞がある。このため、スピンが発生したか否かを判定して、スピンが発生すると(スピンは、ヨーレートが急激に増加することにより判定する)、横滑り角制御開始閾値β0を増加方向に補正して、横滑り角制御に移行しにくくなる方向に補正してもよい。また、ドリフトアウト発生後も同様である。ドリフトアウトの発生は、ステアリング舵角に対する車両の横滑り角が非常に大きいことにより判定する。
【0057】
▲2▼路面の摩擦係数が急激に増減する場合にも、推定演算される推定横滑り角の積分誤差が大きくなり、また、ドライバの意思による姿勢立て直し操作に反して制御介入してしまうこともあるため、横滑り角制御開始閾値β0を増加方向に補正して、横滑り角制御に移行しにくくなる方向に補正してもよい。
【0058】
▲3▼ステアリング舵角θHの変化が少ない略直進走行の継続時間が大きくなる程、横方向の負荷が検出できず、摩擦係数が極めて小さな値となり推定横滑り角の値が不正確となるため、横滑り角制御開始閾値β0を増加方向に補正して、横滑り角制御に移行しにくくなる方向に補正してもよい。
【0059】
[ヨーレート制御量ψamtの補正処理]
次に、図4のステップS56で参照するヨーレート制御量ψamtの補正処理について説明する。図15は、ヨーレート制御量ψamtの補正処理を実行するためのフローチャートである。図16は、ヨーレート制御量ψamtを横滑り角偏差量βdifに応じて補正するためのマップを示す図である。図17は、ヨーレート制御量ψamtを横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifに応じて補正するためのマップを示す図である。
【0060】
このヨーレート制御量ψamtの補正処理も、上記横滑り角制御開始閾値β0の補正処理と同一の課題を踏まえている。つまり、このヨーレート制御量ψamtの補正処理は、ヨーレート制御から横滑り角制御へスムーズに切り換えるために、車両の横滑り偏差量βdifに応じてヨーレート制御量ψamtを減少方向に補正していき、目標ヨーレートψTRへ収束させる時の追従性を増減して、車両が大きく姿勢変化しないように、スムーズに横滑り角制御に移行させるようにしている。
【0061】
図15に示すように、処理が開始されると、ステップS152では、車両が横滑り制御領域になく(ステップS44でNo)、ヨーレート制御領域にある(ステップS52でYes)か否かを判定する。ステップS152でヨーレート制御領域にあるならば(ステップS152でYes)、ステップS154に進む。
【0062】
ステップS154では、図16のマップに示すように、ヨーレート制御量ψamtを横滑り角偏差量βdif(βdif=|βTR−βcont|)に応じて補正する(ψamt→ψamt・x7)。続いて、ステップS154では、図17のマップに示すように、ステップS152にて補正されたヨーレート制御量ψamtを、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdif(横滑り角偏差量βdifの時間による微分値)に応じて更に補正する(ψamt→ψamt・x7・x8)。
次に、ステップS158に進み、横滑り角偏差量βdifが増加傾向にあるか否かを判定する。この判定は、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifの増減により判定する。ステップS158で横滑り角偏差量βdifが増加傾向にあるならば(ステップS158でYes)、ステップS160に進み、横滑り角偏差量βdifが増加傾向でないならば(ステップS158でNo)、ステップS162に進む。
【0063】
ステップS160では、横滑り制御に移行する直前と考えられるので、ヨーレート制御量ψamtを20%だけ減少方向に補正して、目標ヨーレートψTRへの収束速度を遅くする。ステップS162では、ヨーレート制御量ψamtが所定値ψ1以下であるか否かを判定する。ステップS162でヨーレート制御量ψamtが所定値ψ1以下(ψamt≦ψ1)ならば(ステップS162でYes)、ステップS164に進み、横滑り角制御開始閾値β0を減少方向に補正して、横滑り角制御に移行しやすくなる方向に補正する。ステップS162での所定値ψ1は、ヨーレート制御量ψamtが更に小さな値になった場合には目標ヨーレートψTRへの追従速度が遅くなり、ヨーレート制御を実行しても車両の姿勢に影響しないような値に設定される。
【0064】
図16に示すマップにおいて、横滑り角偏差量βdifが増加しているということは、横滑り角制御領域には入っていないが車両の姿勢が目標横滑り角βTRに対して大きくずれている状態である。そこで、横滑り角制御に移行する時の前準備として、ヨーレートによる無理な姿勢制御を行なわないで、ゆっくり収束させていく。
【0065】
また、図17に示すマップにおいて、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが増加しているということは、図16と同様に、横滑り角制御領域には入っていないが車両の姿勢が目標横滑り角βTRに対して大きくずれ始めている状態である。そこで、横滑り角制御に移行する時の前準備として、ヨーレートによる無理な姿勢制御を行なわないで、ゆっくりと目標ヨーレートψTRに収束させていく。このため、図17では、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが増加するに従って、ステップS154で補正されたヨーレート制御量ψamt(=ψamt・x7)を更に減少方向に補正して、図4のステップS56に示す目標ヨーレートψTRへ収束させる際の追従速度を小さくしている。
【0066】
<変形例>
図18は、ヨーレート制御量ψamtの補正処理の変形例を示すフローチャートである。
【0067】
この変形例では、横滑り角偏差量βdifが増加傾向にある場合には、ヨーレート制御量ψamtの補正処理を実行し、横滑り角偏差量βdifが増加傾向に無い場合には、横滑り角偏差量βdifが拡大していないため、通常のヨーレート制御を実行するものである。
【0068】
図18に示すように、処理が開始されると、ステップS172では、横滑り角偏差量βdifが所定値β1(<β0)以上か否かを判定する。ステップS172で横滑り角偏差量βdifが所定値β1以上ならば(ステップS172でYes)、ステップS174で通常のヨーレート制御を実行する。ステップS176では、今回の横滑り角偏差量βdifnが前回の横滑り角偏差量βdifn-1以上か否かを判定する。ステップS176で今回の横滑り角偏差量βdifnが前回の横滑り角偏差量βdifn-1以上ならば(ステップS176でYes)、横滑り角偏差量βdifは拡大傾向にあるので、ステップS178にてヨーレート制御量ψamtの補正処理を実行する。このヨーレート制御量ψamtの補正処理は、図15のステップS154移行の処理と同様である。また、ステップS186で今回の横滑り角偏差量βdifnが前回の横滑り角偏差量βdifn-1より小さいならば(ステップS186でNo)、ヨーレート制御により横滑り角偏差量βdifが拡大していないため、通常のヨーレート制御を実行するものである。
【0069】
[目標横滑り角βTRの上限値設定処理]
次に、図3のステップS42で演算する目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを設定する処理について説明する。図19は、目標横滑り角βTRの上限値設定処理を実行するためのフローチャートである。図20は、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを車速Vに応じて設定するためのマップを示す図である。図21、図22は、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimをステアリング舵角θHに応じて設定するためのマップを示す図である。図23は、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimをステアリング舵角θHの変化速度ΔθHに応じて設定するためのマップを示す図である。図24は、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを車速V及びステアリング舵角θHに応じて設定するためのマップを示す図である。図25は、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを車速V及びステアリング舵角θHの変化速度ΔθHに応じて設定するためのマップを示す図である。
【0070】
横滑り角制御中において、例えば、車両にスピンやドリフトアウト等が発生すると、ドライバは慌てるため、車速が高い状態でステアリングを固定させたり、カウンタ操作を行ったりして、ステアリングを通常より大きく操作することが考えられる。このように、ステアリング舵角が大きくなると、本来の目標横滑り角βTRが正常値から大幅にずれるので、ステアリング舵角により設定される目標横滑り角βTRの信頼性も低下する。この状態で、通常通りの横滑り角制御を実行すると、推定横滑り角βcontを信頼性の低い目標横滑り角βTRに収束させてしまうことになり、本来の正常な姿勢からかけ離れた姿勢に立て直そうとしてしまう。
【0071】
上記課題を踏まえて、目標横滑り角βTRの上限値設定処理は、車速Vやステアリング舵角θHに応じて目標横滑り角βTRの信頼性を判断し、目標横滑り角βTRの信頼性が低い場合には、目標横滑り角βTRに上限値βTRLimを設定し、その上限値βTRLimを減少方向に補正することにより、目標横滑り角βTRへの過剰な制御を抑制するようにしている。
【0072】
図19に示すように、処理が開始されると、ステップS182では、目標横滑り角βTRが、図20〜図24に示すマップから決定される目標横滑り角βTRの上限値βTRLim以上であるか否かを判定する。ステップS182で、目標横滑り角βTRが、その上限値βTRLim以上であるならば(ステップS182でYes)、ステップS184にて、目標横滑り角βTRを、図20〜図24に示すマップから決定される目標横滑り角βTRの上限値βTRLimに設定する。
【0073】
図20に示すマップにおいて、エリアa4のように車速Vが低い状態では、例えば、雪路走行中にスピン等が発生すると、ドライバは慌てるため、ステアリングを通常より大きく操作することが考えられる。このように、ステアリング舵角が大きくなると、横滑り角偏差量βdifが誤った方向に拡大してしまう可能性がある。このため、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを減少方向に補正して、横滑り制御量βamtを小さくし車両の挙動変化を小さく抑えている。また、車速Vが低い状態では、横滑り制御量βamtを小さくしても時間的に余裕があるため、繰り返し制御介入することにより車両の姿勢を立て直しやすいのである。
【0074】
反対に、エリアa5のように車速Vが高い状態では、低速時に比べてドライバのステアリング操作に対して横滑り角偏差量βdifが大きくなるため横滑り制御量βamtも大きくなる。ところが、高速走行時に大きな横滑り制御量βamtにて姿勢制御すると、制御が急激すぎて車両が路面とのグリップを失い、スピン等を起こす可能性がある。このため、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを減少方向に補正して、横滑り制御量βamtを小さくし車両の挙動変化を小さく抑えている。
【0075】
図21に示すマップにおいて、エリアa6のようにステアリング舵角θHが大きくなっていく状態では、横滑り角偏差量βdifが大きくなり、車両はスピン等をしやすい状況にある。このため、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを増加方向に補正して、早急に姿勢を立て直すようにしている。つまり、エリアa6に示すステアリング舵角θHが低い状態に比べて、エリアa7のようにステアリング舵角θHが大きい状態では、例えば、ドライバの操作したステアリング舵角が大きく、横滑り角偏差量βdifが拡大してスピンやドリフトアウトが発生する虞がある。そこで、このような状態では、目標横滑り角βTRに早急に収束させ、車両の姿勢を立て直す必要があるので、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを増加方向に補正して横滑り角制御を実行させるようにしている。
【0076】
図22に示すマップにおいて、エリアa8のようにステアリング舵角θHが極端に大きくなる状態とは、例えば、ドライバがカウンタ操作している時であり、この状態では目標横滑り角βTRに早急に収束させ、車両の姿勢を立て直す必要がある。このため、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを増加方向に補正して早く収束させるようにしている。
【0077】
図23に示すマップにおいて、エリアa9のようにステアリング舵角θHの変化速度ΔθHが極端に大きくなる状態とは、例えば、ドライバがカウンタ操作している時であり、この状態では目標横滑り角βTRに早急に収束させ、ドライバの操作通りに車両の姿勢を立て直す必要があるので、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを増加方向に補正している。
【0078】
図24に示すマップにおいて、車速Vが高い状態でも、ステアリング舵角θHが大きくなる程、横滑り角偏差量βdifが大きくなるため、目標横滑り角βTRに早急に収束させ、ドライバの操作通りに車両の姿勢を立て直す必要があるので、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを増加方向に補正している。
【0079】
図25に示すマップにおいて、エリアa10のように、車速Vが低速でもなく高速でもない中間領域で、且つステアリング舵角θHの変化速度ΔθHが低い状態から中程度の領域では、目標横滑り角βTRの信頼性が高いので、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを増加方向に補正して横滑り角制御を実行させるようにしている。反対に、エリアa10以外のエリアa11の状態では、目標横滑り角βTRの信頼性が低いので、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimの補正処理を実行しないようにしている。
【0080】
<変形例>
変形例として、車両走行中の路面の摩擦係数が所定摩擦係数より小さい場合には、ステアリング操作を行ないやすく、目標横滑り角βTRが増加しやすい状態なので、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを減少方向に補正して、横滑り角制御による急激な車両の挙動変化を抑えるようにしてもよい。
【0081】
[横滑り角制御量βamtの補正処理]
次に、図4のステップS50で参照する横滑り角制御量βamtの補正処理について説明する。図26は、横滑り角制御量βamtの補正処理を実行するためのフローチャートである。図27は、横滑り角制御量βamtをステアリング舵角θH及びその変化速度ΔθHに応じて補正するためのマップを示す図である。
【0082】
図4に示す横滑り角制御中において、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが変化している場合、目標横滑り角βTRの増加に起因していることが考えられる。この目標横滑り角βTRは、ドライバのステアリング操作により決定されるのであるが、横滑り角偏差量βdifが増加している状態で更にステアリングを切り込むことはスピンやドリフトアウトを助長する結果となる。
【0083】
そこで、横滑り角制御量βamtの補正処理では、目標横滑り角βTRが増加している状態で、ドライバのステアリング操作が切り戻されているか、切り増されているか、或いはステアリング舵角θHやその変化速度ΔθHによって横滑り角制御量βamtを補正し、ドライバのステアリング操作に応じた横滑り角制御を行うようにしている。
【0084】
図26に示すように、処理が開始されると、ステップS192では、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが所定値β2以上か否かを判定する。ステップS192で横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが所定値β2以上ならば(ステップS192でYes)、ステップS199に進む。ステップS199では、横滑り角偏差量βdifがかなり大きくなり、早急に車両の姿勢を立て直す必要があるため、横滑り角制御量βamtを20%増加方向に補正して、目標横滑り角βTRへの収束速度を速める。
【0085】
ステップS192で横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが所定値β2以上でないならば(ステップS192でNo)、横滑り角偏差量βdifはそれ程大きくなく、早急に車両の姿勢を立て直す必要もないと考えられ、ステップS194に進む。
【0086】
ステップS194では、ドライバのステアリング操作の状態を判定する。このステアリング操作の判定は、ステアリング舵角が変化しない状態で固定と判定し、ステアリング舵角が増加している状態又はステアリング舵角の変化速度が増加している状態で切増しと判定し、反対に切増しの状態からステアリング舵角が減少している状態又はステアリング舵角の変化速度の方向が逆転した状態で切戻しと判定する。
【0087】
ステップS194でステアリングの固定又は切増し操作中の場合には、ステップS196に進む。このステアリングの固定又は切増し操作中の場合とは、例えば、スピン或いはドリフトアウトが発生しそうな時に横滑り角制御が介入するのであるが、そのスピン或いはドリフトアウトが発生しそうな時にステアリングを固定又は切増し操作するのは、スピン或いはドリフトアウトを助長する結果となりドライバが誤って操作している状態と考えられる。そこで、ステップS196では、目標横滑り角βTRの信頼性は低いと考えられ、図27のマップに示すように、横滑り角制御量βamtをステアリング舵角θH及びその変化速度ΔθHに応じて補正する(βamt→βamt・x9)。
【0088】
また、ステップS194でステアリングの切戻し操作中の場合には、ステップS198に進む。このステアリングの切戻し操作中の場合とは、例えば、スピン或いはドリフトアウトが発生しそうな時に横滑り角制御が介入するのであるが、そのスピン或いはドリフトアウトが発生しそうな時にステアリングがカウンタ操作されていると考えられる。このカウンタ操作は、スピン或いはドリフトアウトを回避する操作であるのでドライバの操作は誤っていないと考えられる。そこで、ステップS198では、目標横滑り角βTRの信頼性は高いと考えられ、早急に車両の姿勢を立て直す必要があるため、横滑り角制御量βamtを10%増加方向に補正して、目標横滑り角βTRへの収束速度を速めている。
【0089】
図27に示すマップにおいて、ステアリングの固定又は切増し操作中の場合には、スピン或いはドリフトアウトが発生しそうな時にステアリングを固定又は切増し操作するのは、スピン或いはドリフトアウトを助長する結果となりドライバが誤って操作している状態なので、ステアリング舵角θHが増加するに従って、目標横滑り角βTRの信頼性は低いと考えられ、横滑り角制御量βamtを減少方向に補正している。同様に、ステアリング舵角θHの変化速度ΔθHが増加するに従って、目標横滑り角βTRの信頼性は低いと考えられ、更に車両の挙動変化が速くなるため、横滑り角制御量βamtを更に減少方向に補正している。
【0090】
[横滑り角偏差量又はヨーレート偏差量の変化要因に基づく補正処理]
次に、横滑り角偏差量βdif又はヨーレート偏差量ψdifの変化要因に基づく補正処理について説明する。図28は、ヨーレート偏差量ψdifに応じた横滑り角制御開始閾値β0、目標横滑り角βTR、ヨーレート制御量ψamtの補正処理を実行するためのフローチャートである。図29は、横滑り角偏差量βdifに応じた、横滑り角制御開始閾値β0、目標横滑り角βTR、横滑り角制御量βamtの補正処理を実行するためのフローチャートである。
【0091】
<ヨーレート偏差量ψdifに応じた補正処理>
先ず、ヨーレート偏差量ψdifに応じた横滑り角制御開始閾値β0、目標横滑り角βTR、ヨーレート制御量ψamtの補正処理について説明する。
【0092】
ヨーレート偏差量ψdif(ψdif=|ψTR−ψact|)に応じた補正処理では、ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdif(今回のヨーレート偏差量ψdifnと前回のヨーレート偏差量ψdifn-1との差)が所定値ψ1以上変化した場合、その変化要因が目標ヨーレートψTRなのか、実ヨーレートψactなのかに応じて、ヨーレート制御量ψamt、横滑り角制御開始閾値β0、目標横滑り角βTRを補正する。
【0093】
図28に示すように、図4のステップS56からステップS202に進み、ステップS202では、ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdifが所定値ψ2以上変化したか否かを判定する。ステップS202でヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdifが所定値ψ2以上変化したならば(ステップS202でYes)、ステップS204に進む。ステップS204では、ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdifの変化要因が目標ヨーレートψTRなのか、実ヨーレートψactなのかを判定する。ステップS204でヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdifの変化要因が目標ヨーレートψTRならば、ステップS206〜S210に進む。
【0094】
ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdifの変化要因が目標ヨーレートψTRということは、ドライバのステアリング操作によるものと考えられる。そこで、ステップS206では、ドライバの意志に従って、横滑り角制御開始閾値β0を増加方向に補正して、横滑り角制御に移行しにくくして、ドライバのステアリング操作に任せるようにする。更に、ステップS208では、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを増加方向に補正して、横滑り角制御に移行した場合に、ドライバのステアリング操作に応じて目標横滑り角βTRが増加できるように補正する。また、ステップS210では、ヨーレート制御量ψamtを減少方向に補正して、ヨーレート制御による目標ヨーレートへの急激な姿勢変化を抑制し、ドライバのステアリング操作に任せると共に、ドライバのステアリング操作と干渉しないようにしている。
【0095】
一方、ステップS204でヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdifの変化要因が実ヨーレートψactならば、ステップS212〜S214に進む。
【0096】
ヨーレート偏差量ψdifの変化速度Δψdifの変化要因が実ヨーレートψactということは、路面形状変化や路面摩擦係数変化等の外乱に起因するものと考えられ、早急に車両の姿勢を立て直す必要がある。そこで、ステップS212では、横滑り角制御開始閾値β0を減少方向に補正して、横滑り角制御に移行しやすくし、横滑り角制御に移行した時にスリップやドリフトアウトに対して早めに対処できるようにする。更に、ステップS214では、早急な姿勢の立て直しを図るため、ヨーレート制御量ψamtを増加方向に補正して、目標ヨーレートψTRへの収束を早めている。
【0097】
以上のように、ヨーレート制御中において、ヨーレート偏差量ψdifの変化要因に応じて横滑り角制御開始閾値β0、目標横滑り角βTR、ヨーレート制御量ψamtを補正するので、ドライバの操作に起因する場合には、ドライバの意志に従うようにし、外乱に起因する場合には、早急に車両の姿勢を立て直ようにできる。
【0098】
<横滑り角偏差量βdifに応じた補正処理>
次に、横滑り角偏差量βdifに応じた横滑り角制御開始閾値β0、目標横滑り角βTR、横滑り角制御量βamtの補正処理について説明する。
【0099】
横滑り角偏差量βdif(βdif=|βTR−βcont|)に応じた補正処理では、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdif(今回の横滑り角偏差量βdifnと前回の横滑り角偏差量βdifn-1との差)が所定値β2以上変化した場合、その変化要因が目標横滑り角βTRなのか、推定横滑り角βcontなのかに応じて、横滑り角制御開始閾値β0、目標横滑り角βTR、横滑り角制御量βamtを補正する。
【0100】
図29に示すように、図4のステップS50からステップS222に進み、ステップS222では、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが所定値β2以上変化したか否かを判定する。ステップS222で横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifが所定値β2以上変化したならば(ステップS222でYes)、ステップS224に進む。ステップS224では、横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifの変化要因が目標横滑り角βTRなのか、推定横滑り角βcontなのかを判定する。ステップS224で横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifの変化要因が目標横滑り角βTRならば、ステップS226〜S230に進む。
【0101】
横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifの変化要因が目標横滑り角βTRということは、ドライバのステアリング操作によるものと考えられる。そこで、ステップS226では、ドライバの意志に従って、横滑り角制御開始閾値β0を増加方向に補正して、横滑り角制御に移行しにくくして、ドライバのステアリング操作に任せるようにする。更に、ステップS228では、目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを増加方向に補正して、ドライバのステアリング操作に応じて目標横滑り角βTRが増加できるように補正する。また、ステップS230では、横滑り角制御量βamtを減少方向に補正して、横滑り角制御による目標横滑り角βTRへの急激な姿勢変化を抑制し、ドライバのステアリング操作に任せると共に、ドライバのステアリング操作と干渉しないようにしている。
【0102】
一方、ステップS224で横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifの変化要因が推定横滑り角ψcontならば、ステップS232〜S234に進む。
【0103】
横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifの変化要因が推定横滑り角ψcontということは、路面形状変化や路面摩擦係数変化等の外乱に起因するものと考えられ、早急に車両の姿勢を立て直す必要がある。そこで、ステップS232では、横滑り角制御開始閾値β0を減少方向に補正して、横滑り角制御に移行しやすくし、横滑り角制御に移行した時にスリップやドリフトアウトに対して早めに対処できるようにする。更に、ステップS234では、早急な姿勢の立て直しを図るため、横滑り角制御量βamtを増加方向に補正して、目標横滑り角βTRへの収束を早めている。
【0104】
以上のように、横滑り角制御中において、横滑り角偏差量βdifの変化要因に応じて横滑り角制御開始閾値β0、目標横滑り角βTR、横滑り角制御量βamtを補正するので、ドライバの操作に起因する場合には、ドライバの意志に従うようにし、外乱に起因する場合には、早急に車両の姿勢を立て直すことができる。
【0105】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態を修正又は変更したものに適用可能である。
【0106】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角に応じて、所定閾値を補正することにより、車両の姿勢を立て直すためのドライバによるステアリング操作に合致した姿勢制御を実現し、姿勢制御時の安定性を向上できる。
また、補正手段は、舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角が増加するに従って、所定閾値を徐々に増加方向に補正することにより、ドライバの意思でステアリング舵角が増加している状態に、ドライバの意志通りに車両が進むようにできる。
【0107】
また、横滑り角演算手段は、車速、ステアリング舵角、ヨーレート、横方向加速度に基づいて、目標横滑り角及び推定横滑り角を演算することにより、ドライバ操作と車両の姿勢とを正確に検出できる。
また、補正手段は、ヨーレート検出手段にて検出されたヨーレートが急激に増加する場合に、所定閾値を増加方向に補正することにより、ヨーレートのセンサ値が非常に大きくなるスピン発生後に、推定演算される推定横滑り角の積分誤差が大きくなることで、姿勢制御に移行する必要が無い場合でもドライバの意思に反して姿勢制御に移行してしまう等のドライバ操作への悪影響を低減できる。
【0108】
また、補正手段は、舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角の変化速度が増加するに従って、所定閾値の値を増加方向に補正することにより、ドライバの意思でステアリング操作を速くして旋回しようとしている状態に、ドライバの意志通りに車両が進むようにできる。
【0109】
また、補正手段は、舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角が増加するに従って、所定閾値を徐々に増加方向に補正することにより、ドライバの意思でステアリング舵角が増加している状態に、ドライバの意志通りに車両が進むようにできる。
【0110】
また、補正手段は、ステアリングの切り戻し操作時に、所定閾値を減少方向に補正することにより、例えば、旋回路から抜け出す直前か或いは旋回走行の後半のステアリング舵角が減少している状態で、急激に横滑りが発生した場合等に対応でき、早急に車両の姿勢を立て直すことができる。
【0111】
また、補正手段は、略直進走行の場合に前記所定閾値を極めて小さな値に設定することにより、前方障害物を避けるために急激なステアリング操作を行った場合やタイヤがパンクした場合に、早急に車両の姿勢を立て直すことができる。
【0113】
また、補正手段は、該摩擦検出手段にて検出された摩擦係数が急激に変化する場合に、所定閾値を増加方向に補正することにより、推定演算される推定横滑り角の積分誤差が大きくなることで、ドライバの意思による姿勢立て直し操作に反して制御介入してしまうことを抑制できる。
【0114】
また、補正手段は、略直進走行状態の継続時間が大きくなる程、所定閾値を増加方向に補正することにより、横方向の負荷が検出できず、摩擦係数が極めて小さな値となり推定横滑り角の値が不正確となる場合に、ドライバの意志に反した制御介入を抑制できる。
【0115】
また、補正手段は、舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角の変化速度が増加するに従って、所定偏差の値を減少方向に補正することにより、ドライバ操作により崩れた姿勢を早急に立て直すことができる。
【0116】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両の姿勢制御装置の制御ブロックの全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態の姿勢制御を実行するための全体的動作を示すフローチャートである。
【図3】図2のSCS演算処理を実行するためのフローチャートである。
【図4】図2のSCS演算処理を実行するためのフローチャートである。
【図5】SCS制御とABS制御との調停処理を実行するためのフローチャートである。
【図6】SCS制御とABS制御との調停処理を実行するためのフローチャートである。
【図7】SCS制御とABS制御との調停処理を実行するためのフローチャートである。
【図8】図2の車輪速補正処理を実行するためのフローチャートである。
【図9】車輪速補正手順を示す模式図である。
【図10】横滑り角制御開始閾値β0の補正処理を実行するためのフローチャートである。
【図11】横滑り角制御開始閾値β0をステアリング舵角θHの変化速度に応じて補正するためのマップを示す図である。
【図12】横滑り角制御開始閾値β0をステアリング舵角θHの変化速度に応じて補正するためのマップを示す図である。
【図13】横滑り角制御開始閾値β0をステアリング舵角θHの変化速度に応じて補正するためのマップを示す図である。
【図14】横滑り角制御開始閾値β0をステアリング舵角θHの変化速度に応じて補正するためのマップを示す図である。
【図15】ヨーレート制御量ψamtの補正処理を実行するためのフローチャートである。
【図16】ヨーレート制御量ψamtを横滑り角偏差量βdifに応じて補正するためのマップを示す図である。
【図17】ヨーレート制御量ψamtを横滑り角偏差量βdifの変化速度Δβdifに応じて補正するためのマップを示す図である。
【図18】ヨーレート制御量ψamtの補正処理の変形例を示すフローチャートである。
【図19】目標横滑り角βTRの上限値設定処理を実行するためのフローチャートである。
【図20】目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを車速Vに応じて設定するためのマップを示す図である。
【図21】目標横滑り角βTRの上限値βTRLimをステアリング舵角θHに応じて設定するためのマップを示す図である。
【図22】目標横滑り角βTRの上限値βTRLimをステアリング舵角θHに応じて設定するためのマップを示す図である。
【図23】目標横滑り角βTRの上限値βTRLimをステアリング舵角θHの変化速度ΔθHに応じて設定するためのマップを示す図である。
【図24】目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを車速V及びステアリング舵角θHに応じて設定するためのマップを示す図である。
【図25】目標横滑り角βTRの上限値βTRLimを車速V及びステアリング舵角θHの変化速度ΔθHに応じて設定するためのマップを示す図である。
【図26】横滑り角制御量βamtの補正処理を実行するためのフローチャートである。
【図27】横滑り角制御量βamtをステアリング舵角θH及びその変化速度ΔθHに応じて補正するためのマップを示す図である。
【図28】ヨーレート偏差量ψdifに応じた横滑り角制御開始閾値β0、目標横滑り角βTR、ヨーレート制御量ψamtの補正処理を実行するためのフローチャートである。
【図29】横滑り角偏差量βdifに応じた、横滑り角制御開始閾値β0、目標横滑り角βTR、横滑り角制御量βamtの補正処理を実行するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10…SCS・ECU
11…FR車輪速センサ
12…FL車輪速センサ
13…RR車輪速センサ
14…RL車輪速センサ
15…車速センサ
16…ステアリング舵角センサ
17…ヨーレートセンサ
18…横方向加速度センサ
19…前後方向加速度センサ
20…EGI・ECU
21…エンジン
22…オートマチックトランスミッション
23…スロットルバルブ
30…油圧制御ユニット
31…FRブレーキ
32…FLブレーキ
33…RRブレーキ
34…RLブレーキ
35…ブレーキ踏力圧センサ
36…加圧ユニット
37…マスタシリンダ
38…ブレーキペダル
40…TCSオフスイッチ

Claims (8)

  1. 車両を制動制御して、走行中の車両の姿勢を制御する装置であって、
    車両のステアリング舵角を検出する舵角検出手段と、
    車両の状態量に基づいて、目標横滑り角と推定横滑り角とを演算する横滑り角演算手段と、
    前記横滑り角演算手段にて演算される目標横滑り角と推定横滑り角との偏差が所定閾値以上となると、前記推定横滑り角を前記目標横滑り角に収束させるよう制御する収束制御手段と、
    前記舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角に応じて、前記所定閾値を補正する補正手段とを備え
    前記補正手段は、前記舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角の変化速度が増加するに従って、前記所定閾値の値を増加方向に補正することを特徴とする車両の姿勢制御装置。
  2. 車両を制動制御して、走行中の車両の姿勢を制御する装置であって、
    車両の車速を検出する車速検出手段と、
    車両に発生するヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
    車両に発生する横方向加速度を検出する横方向加速度検出手段と、
    車両のステアリング舵角を検出する舵角検出手段と、
    車両の状態量に基づいて、目標横滑り角と推定横滑り角とを演算する横滑り角演算手段と、
    前記横滑り角演算手段にて演算される目標横滑り角と推定横滑り角との偏差が所定閾値以上となると、前記推定横滑り角を前記目標横滑り角に収束させるよう制御する収束制御手段と、
    前記舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角に応じて、前記所定閾値を補正する補正手段とを備え、
    前記横滑り角演算手段は、前記各手段により検出された車速、ステアリング舵角、ヨーレート、横方向加速度に基づいて、前記目標横滑り角及び推定横滑り角を演算し、
    前記補正手段は、前記ヨーレート検出手段にて検出されたヨーレートが急激に増加する場合に、前記所定閾値を増加方向に補正することを特徴とする車両の姿勢制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角が増加するに従って、前記所定閾値を徐々に増加方向に補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の姿勢制御装置。
  4. 前記補正手段は、ステアリングの切り戻し操作時に、前記所定閾値を減少方向に補正することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両の姿勢制御装置。
  5. 前記補正手段は、略直進走行の場合に前記所定閾値を極めて小さな値に設定することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両の姿勢制御装置。
  6. 車両を制動制御して、走行中の車両の姿勢を制御する装置であって、
    車両走行中の路面の摩擦係数を検出する摩擦検出手段と、
    車両のステアリング舵角を検出する舵角検出手段と、
    車両の状態量に基づいて、目標横滑り角と推定横滑り角とを演算する横滑り角演算手段と、
    前記横滑り角演算手段にて演算される目標横滑り角と推定横滑り角との偏差が所定閾値以上となると、前記推定横滑り角を前記目標横滑り角に収束させるよう制御する収束制御手段と、
    前記舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角に応じて、前記所定閾値を補正する補正手段とを備え、
    前記補正手段は、前記摩擦検出手段にて検出された摩擦係数が急激に変化する場合に、前記所定閾値を増加方向に補正することを特徴とする車両の姿勢制御装置。
  7. 前記補正手段は、略直進走行状態の継続時間が大きくなる程、前記所定閾値を増加方向に補正することを特徴とする請求項に記載の車両の姿勢制御装置。
  8. 前記補正手段は、前記舵角検出手段にて検出されたステアリング舵角の変化速度が増加するに従って、前記所定偏差の値を減少方向に補正することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の姿勢制御装置。
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