JPH1192846A - 焼結摩擦材およびその製造方法 - Google Patents

焼結摩擦材およびその製造方法

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JPH1192846A
JPH1192846A JP9252396A JP25239697A JPH1192846A JP H1192846 A JPH1192846 A JP H1192846A JP 9252396 A JP9252396 A JP 9252396A JP 25239697 A JP25239697 A JP 25239697A JP H1192846 A JPH1192846 A JP H1192846A
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powder
intermetallic compound
compound particles
particles
particle size
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JP9252396A
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Inventor
Katsuyoshi Kondo
勝義 近藤
由重 ▲高▼ノ
Yoshie Kouno
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、耐焼付き性および耐熱性に優れた
ニッケル基焼結摩擦材を優れた経済性の下で提供する。 【解決手段】 焼結材のマトリックス2は、Niまたは
Ni合金からなる。マトリックス2中にNi−Al系金
属間化合物粒子4が分散している。このNi−Al系金
属間化合物粒子4の最大粒径は15μm以下で、平均粒
径は10μm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、クラッチやブレ
ーキ材料のような摩擦材に関し、特に、高い負荷が与え
られて著しく高温状態になるような状況でも使用するこ
とのできる焼結摩擦材およびその原料粉末ならびにそれ
らの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から提案されている金属系摩擦材に
おいては、Cu−Sn、Cu−Zn、Cu−Zn−N
i、またはそれらの相互合金からなる銅系焼結材をマト
リックスにしたものが主流である。このような金属系摩
擦材を高圧・高速条件といったより過酷な条件下で使用
すると、摺動面に発生する摩擦熱によって焼結体の温度
が上昇し、その結果、銅系焼結材の耐熱性の不足に起因
した摩耗損傷や相手材との焼付き現象、またマトリック
スの塑性変形による摩擦係数の低下といった問題が生ず
る。
【0003】そこで、銅合金よりも耐熱性に優れた金
属、たとえばニッケル(Ni)をベースにした焼結材の
適用が考えられる。このような焼結材は、たとえば、特
公昭45−21168号公報、特公平3−8409号公
報、特開平8−283701号公報などに開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
先行技術においては、マトリックスの耐熱性に欠け
る、硬質成分の脱落による焼付き現象(凝着)の発
生、といった2つの課題がある。1つ目の課題は、マト
リックスが、耐熱性に優れた金属間化合物粒子(たとえ
ば、Ni−Al、Ni−Ti、Ti−Al、Ni−Ti
−Al、Ni−Cr系)を含有しておらず、単にNiま
たはNi合金からなるために生じる。2つ目の課題につ
いては、硬質成分粒子または硬質成分繊維をNi基粉末
と単に混合して成形・焼結しただけであるために生じ
る。すなわち、硬質成分とマトリックスとの界面に拡散
反応層を有しないので、摩擦摺動時に硬質成分がマトリ
ックスから脱落して摩耗粉となり、その結果、相手材と
の焼付き(凝着)現象を誘発する。
【0005】この発明は、上述したような課題を解決す
るためになされたものであり、その目的は、耐摩耗性、
耐焼付き性、耐熱性に優れたニッケル基焼結摩擦材を優
れた経済性の下で提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、要約すれ
ば、 i) Alを含有する金属間化合物粒子をNi素地、ま
たはNi合金素地中に均一に分散させたNi基複合粉末
を作製し、 ii) 上記Ni基複合粉末を型押し成形して圧粉体と
し、 iii )上記圧粉体を焼結する過程で、金属間化合物粒子
とNiとを反応させて耐熱性に優れた微細なNi−Al
系金属間化合物粒子をNi基焼結体のマトリックス中に
分散して生成する、ことにより達成される。
【0007】本発明の具体的な構成は、次のとおりであ
る。本発明に従った焼結摩擦材は、Ni基複合粉末を圧
粉・加熱して得られるものである。焼結材のマトリック
スは、NiまたはNi合金からなる。マトリックス中に
は、Ni−Al系金属間化合物粒子が分散している。こ
のNi−Al系金属間化合物粒子の最大粒径は15μm
以下で、平均粒径は10μm以下である。
【0008】好ましくは、Ni−Al系金属間化合物粒
子は、マトリックスを形成している旧粉末粒の内部に分
散している。また、好ましい実施例では、潤滑成分粒子
として、黒鉛、ビスマスおよび二硫化モリブデンからな
る群から選ばれた少なくとも1種を含有する。潤滑成分
粒子の含有量は、摩擦材全体に対して重量基準で3〜1
5%である。焼結材中の空孔率は、20%以下が好まし
い。
【0009】焼結摩擦材の原料粉末であるNi基複合粉
末は、次の特徴を有する。すなわち、Niを主成分とす
る粉末の素地中に、Alを含有する金属間化合物粒子が
分散している。この金属間化合物粒子の硬度は、素地よ
りも大きい。金属間化合物粒子の最大粒径は25μm以
下で、平均粒径は20μm以下である。
【0010】好ましい実施例では、金属間化合物粒子の
含有量は、複合粉末全体に対して重量基準で5〜40%
である。また、金属間化合物粒子中のAlの含有量は、
金属間化合物粒子全体に対して重量基準で20〜80%
であるのが望ましい。金属間化合物粒子の硬さは、マイ
クロビッカース硬さ300以上1000以下であるのが
よい。好ましくは、素地を構成する成分は、素地全体に
対して重量基準で、Niを60%以上、Ti、Cr、M
o、Sn、Fe、Cu、Coおよびこれらの相互合金か
らなる群から選ばれた少なくとも1種を5〜40%含
む。
【0011】この発明に従ったNi基複合粉末の製造方
法では、まず、Ni粉末またはNi合金粉末からなる素
地用粉末と、Alを含有する金属間化合物粒子とを準備
する。準備した素地用粉末と金属間化合物粒子とを所定
の割合で配合して混合する。この混合粉末を機械的粉砕
・混合・合金化処理することによって、NiまたはNi
合金の素地中に金属間化合物粒子を分散させる。機械的
粉砕・混合・合金化処理は、好ましくは、乾式ボールミ
ルによって行なわれる。
【0012】この発明に従った焼結摩擦材の製造方法で
は、まず、Ni粉末またはNi合金粉末からなる素地用
粉末と、Alを含有する金属間化合物粒子とを準備す
る。準備した素地用粉末と金属間化合物粒子とを所定の
割合で配合して混合する。この混合粉末を機械的粉砕・
混合・合金化処理することによって、NiまたはNi合
金の素地中に金属間化合物粒子を分散させたNi基複合
粉末を得る。得られたNi基複合粉末を圧粉・成形して
粉末固化体にする。この粉末固化体を加熱下で保持して
焼結する。
【0013】1つの実施例では、粉末固化体の加熱温度
は1050〜1250℃である。他の実施例では粉末固
化体の加熱温度は950〜1250℃であり、この温度
で加熱された状態で粉末固化体は4t/cm2 以上の面
圧で加圧・圧縮される。
【0014】この発明の特徴的な構成およびその作用に
ついて以下に詳細に説明する。 (A) Ni基複合粉末およびその製造方法 Ni基複合粉末の組織構造 本発明に従ったNi基複合粉末の特徴は、i)Niを主
成分とする粉末の素地中に、Alを含有する金属間化合
物粒子が分散し、ii)金属間化合物粒子の硬度が素地よ
りも大きく、iii )金属間化合物粒子の最大粒径が25
μm以下で、平均粒径が20μm以下である点、にあ
る。
【0015】図1に示すように、Ni基複合粉末1のN
i基素地2中には、Alを含有する金属間化合物粒子3
が分散している。金属間化合物粒子3がAlを含む理由
は、後の焼結過程において、金属化合物粒子中に含まれ
るAlと素地のNiとを反応させて、耐熱性に優れた微
細なNi−Al系金属間化合物粒子を生成させるためで
ある。Ni基焼結摩擦材を示す図2を参照して、Ni−
Al系金属間化合物粒子4はNi基素地2中に分散して
いる。特に、Ni−Al系金属間化合物粒子4は、旧粉
末粒5の内部に分散している。図中6は空孔である。微
細なNi−Al系金属間化合物粒子が焼結体のマトリッ
クス中に分散することにより、焼結体自身の耐熱性およ
び高温での耐摩耗性が向上する。
【0016】図3および図4は、比較のために、Ni基
粉末7と、Alを含有する金属間化合物粒子8とを単に
混合した場合の状態を示している。図3に示すように、
金属間化合物粒子8がNi基粉末7の素地中、すなわち
粉末内部に分散せずに、単にNi基粉末7と接触した状
態で焼結すると、反応によってNi−Al系金属間化合
物粒子を生成させることが可能である。この状態が図4
に示される。生成したNi−Al系金属間化合物粒子1
0は粗大に成長する。また、図示するように、Ni−A
l系金属間化合物粒子10は、焼結体のマトリックス9
中に存在するのではなく、旧粉末粒界11に沿って分散
することになる。図示するように、粗大なNi−Al系
金属間化合物粒子10が焼結体中に不均一に分散するこ
とになるので、焼結体の耐熱性を顕著に改善させること
は困難である。
【0017】上記のことから明らかなように、Alを含
む金属間化合物粒子はNi基粉末の素地中に分散させる
必要がある。つまり、優れた耐熱性および耐摩耗性を有
するNi基焼結摩擦材を得るためには、Alを含む金属
間化合物粒子が内部に分散したNi基複合粉末を原料粉
末として用いる必要がある。Alを含む硬質の金属間化
合物粒子としては、たとえば、FeAl、TiAl、N
iAl、CrAl、NiTiAl、FeTiAl等が有
効である。
【0018】Ni基粉末と、Alを含む金属間化合物粒
子とを所定の比率で配合した後、たとえば乾式ボールミ
ルによる機械的混合・粉砕・合金化処理を施すことによ
り、金属間化合物粒子をNi基粉末の素地内部に均一に
分散させたNi基複合粉末が得られる。このとき、金属
間化合物粒子の硬さがNi基粉末素地の硬さよりも小さ
ければ、機械的粉砕・混合処理によっても金属間化合物
粒子をNi基粉末の素地内部にまで分散させることがで
きない。その場合、図5に示すように、Ni基粉末20
の表面にのみ金属間化合物粒子21が付着した状態とな
ってしまう。したがって、本発明で使用するAlを含む
金属間化合物粒子は、Ni基粉末の素地よりも硬いこと
が望ましい。
【0019】金属間化合物粒子の大きさとしては、最大
粒径が25μm以下で、かつ平均粒径が20μm以下で
あるのが望ましい。Alを含む金属間化合物粒子は、焼
結過程でNiと反応してNi−Al系金属間化合物粒子
を新たに生成する。この際、Ni−Al系金属間化合物
粒子が粗大に成長すると、焼結体の強度を低下させると
いった問題が生じる。このような問題を避けるために、
焼結する前のNi基粉末素地中に分散する金属間化合物
粒子の大きさを限定する必要がある。具体的には、上述
のように、最大粒径が25μm以下で、かつ平均粒径が
20μm以下であるのが望ましい。最大粒径が25μm
を超える場合、または平均粒径が20μmを超える場合
には、焼結反応によって生成するNi−Al系金属間化
合物粒子が適正な範囲よりも粗大化し、その結果、焼結
体の強度低下を誘発する。ただし、Ni基複合粉末中の
金属間化合物粒子の粒径は、機械的粉砕・混合・合金化
処理における運転条件(たとえば、処理時間や粉末とボ
ールとの割合)により制御することが可能である。
【0020】 金属間化合物粒子の含有量 Ni基複合粉末において、粉末素地中に分散する金属間
化合物粒子の含有量は、Ni基複合粉末全体に対して重
量基準で5〜40%であるのが望ましい。
【0021】Alを含有する金属間化合物粒子は、Ni
基粉末中に分散し、焼結過程で素地中のNiと反応して
Ni−Al系金属間化合物粒子を生成する。そのためA
lを含有する金属間化合物粒子は必須の存在であるが、
その量が多くなりすぎると、Ni基粉末が硬くなり、成
形性を著しく低下させるおそれがある。したがって、A
lを含有する金属間化合物粒子の含有量は、Ni基複合
粉末全体に対して5〜40重量%の範囲にあるのが望ま
しい。
【0022】Ni基複合粉末全体に対して、Alを含む
金属間化合物粒子の含有量が5重量%未満の場合には、
反応によって生成するNi−Al系金属間化合物粒子の
量が不十分となるため、焼結体の耐熱性や高温での耐摩
耗性を顕著に向上させることが困難になる。一方、Al
を含む金属間化合物粒子の含有量が40重量%を超える
場合には、複合粉末の成形性が低下し、圧粉体に亀裂等
が発生して健全な成形体および焼結体を得ることが困難
になる。
【0023】 金属間化合物粒子の成分(Alの含有
量) 金属間化合物粒子中のAlの含有量は、好ましくは、金
属間化合物粒子全体に対して重量基準で20〜80%で
ある。焼結体の耐熱性を改善するのに十分な量のNi−
Al系金属間化合物粒子を焼結過程で反応生成させるた
めには、金属間化合物粒子は20重量%以上のAlを含
有する必要がある。Alの含有量が20重量%未満であ
る場合、焼結体の耐熱性を改善するのに十分必要なNi
−Al系金属間化合物粒子を反応生成することができな
い。一方、Alの含有量が80重量%を超えて多くなる
と、Alを含む金属間化合物粒子の硬さがマイクロビッ
カース硬度300よりも小さくなり、その結果、乾式ボ
ールミルによる機械的混合・粉砕・合金化処理におい
て、この金属間化合物粒子をNi基粉末の素地内部にま
で分散させることができなくなる。この場合、図4に示
すように、Ni基粉末の表面にのみ金属間化合物粒子が
付着することになり、本発明で規定するようなNi基複
合粉末を得ることができなくなる。
【0024】 金属間化合物粒子の硬さ 金属間化合物粒子の硬さは、好ましくは、マイクロビッ
カース硬さ300以上1000以下である。上述のよう
に、金属間化合物粒子の硬さがマイクロビッカース硬さ
300よりも小さい場合には、乾式ボールミルによる機
械的混合・粉砕・合金化処理において、この金属間化合
物粒子をNi基粉末の素地内部にまで均一に分散させる
ことができない。一方、金属間化合物粒子の硬さが10
00を超える場合には、Ni基複合粉末が硬くなりすぎ
るために、粉末の成形性が低下し、その結果、圧粉体に
亀裂等が発生して健全な成形体および焼結体を得ること
が困難となる。したがって、金属間化合物粒子の硬さは
マイクロビッカース硬さ300以上1000以下である
ことが望ましい。
【0025】 Ni基複合粉末の素地に含まれる成分 Ni基複合粉末の素地を構成する成分は、素地全体に対
して重量基準で、Niを60%以上、Ti、Cr、M
o、Sn、Fe、Cu、Coおよびこれらの相互合金か
らなる群から選ばれた少なくとも1種を5〜40%含む
のが望ましい。
【0026】複合粉末中のNiの含有量が60重量%未
満となると、Niの持つ本来の耐熱性が得られず、焼結
体の高温での耐摩耗性が低下するといった問題が生じ
る。また、Ni以外の成分としては、上記のような各種
の金属元素をNi基粉末の素地中に5重量%以上含有す
ることにより、焼結体の強度や耐熱性、耐摩耗性、およ
び耐焼付き性を改善することができる。中でも、Tiは
金属間化合物粒子中のAlと反応してTi−Al系金属
間化合物粒子やNi−Al−Ti系金属間化合物粒子等
を生成し、これにより焼結体の耐熱強度および耐摩耗性
をさらに向上させる。また、CrはNiと全率固溶元素
であることから、焼結性を向上させて焼結体の強度を改
善する効果を発揮するとともに、Alと反応してAl−
Cr系金属間化合物粒子やNi−Al−Cr系金属間化
合物粒子等を生成して焼結体の耐熱性を向上させる効果
を発揮する。Moについては、Niとの化合物を形成し
て焼結体の強度を改善する効果を有する。Snについて
は、摺動時における滑り性を改善して相手材との焼付き
現象を抑制する効果がある。Fe、Co、Cuについて
は、焼結体の強度を向上させる効果をそれぞれ有してい
る。なお、これらの元素の相互合金によっても、それぞ
れ同様の効果を得ることができる。
【0027】しかしながら、Ni基複合粉末全体に対す
るこれらの金属元素の合計含有量が40重量%を超える
場合、焼結体の耐熱強度が低下するといった問題が生じ
る。なお、上記の各金属元素は、Ni基合金粉末を製造
する際に事前にNiの溶湯中に溶解しておき、これを噴
霧することで各金属元素をNi粉末の素地中に合金元素
として添加することができる。
【0028】 硬質粒子の添加 高摩擦係数の発現や耐摩耗性の改善のために硬質粒子を
添加する場合、素地用のNi基粉末やAlを含む金属間
化合物粒子とともに、所定量の硬質粒子を配合した混合
粉末に対して機械的粉砕・混合・合金化処理を施すのが
望ましい。このようにすれば、各種硬質粒子をNi基粉
末の素地中に分散させることができる。
【0029】従来の金属系摩擦材と同様、硬質粒子は、
相手材と接触することにより、摩擦係数を上昇させる効
果や耐摩耗性を改善する効果がある。しかしながら、硬
質粒子が摺動時に焼結摩擦材から脱落すると、摩耗粉を
形成し相手材を攻撃したり、摩耗損傷を促進するといっ
た問題を誘発する。したがって、硬質粒子の脱落を抑制
する観点から、焼結体中に添加する硬質粒子は、Alを
含む金属間化合物粒子と同様に、事前にNi基粉末の素
地中に分散させておく方法が有効である。具体的な方法
としては、機械的粉砕・混合・合金化といった処理方法
が有効である。
【0030】本発明で適用できる硬質粒子の組成に関す
る制約は一切なく、各種の金属間化合物粒子や、酸化
物、窒化物、炭化物等のセラミックス粒子を用いること
ができる。ただし、硬質粒子の硬さについては次のよう
な制約がある。すなわち、機械的混合・粉砕・合金化処
理によって各種の硬質粒子をNi基粉末の素地内部に分
散させるためには、上記の項で記載したのと同様の理
由により、硬質粒子の硬さはマイクロビッカース硬さ3
00以上であることが必要である。なお、一般には、上
記の各種硬質粒子の硬さはマイクロビッカース硬さ30
0以上であることから、本発明のNi基焼結摩擦材を作
製する場合においてはすべての硬質粒子が適用可能であ
る。
【0031】 Ni基複合粉末の製造方法 Ni基複合粉末は、次のようにして製造される。まず、
Ni粉末またはNi合金粉末からなる素地用粉末と、A
lを含有する金属間化合物粒子とを準備する。そしてこ
れらを所定の割合で配合して混合し、この混合粉末をた
とえば乾式ボールミルによって機械的粉砕・混合・合金
化処理することによって、NiまたはNi合金の素地中
に金属間化合物粒子を微細に粉砕して分散させる。
【0032】機械的粉砕・混合・合金化処理とは、メカ
ニカルアロイング法やメカニカルグラインディング法と
いった粉末冶金法であり、回転ボールミル、振動ボール
ミル、遊星ボールミル、またはアトライタボールミルと
いった設備を用いる。
【0033】乾式で行なうのは、次の理由である。ボー
ルミルにおいては、ボール同士が衝突する際のエネルギ
を粉末の粉砕・合金化のためのエネルギへと変換するわ
けであるが、その際に溶媒を用いた湿式中で粉砕処理を
行なうと、エネルギの変換効率の低下を招き、処理時間
が長くなるといった経済性の問題を生じる。したがっ
て、本発明では、エネルギ変換効率の低下を抑制する目
的で乾式ボールミルを用いる。なお、ボール表面または
ボールミル容器の内壁への粉末の付着を抑制するため
に、粉末とともにステアリン酸などの助剤を少量添加す
る場合もある。
【0034】(B) Ni基焼結摩擦材およびその製造
方法 Ni基焼結摩擦材の組織構造 焼結摩擦材は、上述したようなNi基複合粉末を圧粉・
加熱して得られる。焼結材のマトリックスは、Niまた
はNi合金からなり、このマトリックス中にNi−Al
系金属間化合物粒子が分散している。Ni−Al系金属
間化合物粒子の最大粒径は15μm以下で、平均粒径は
10μm以下である。
【0035】本発明に従ったNi基焼結摩擦材の特徴
は、後述する加熱条件によりNi基複合粉末同士を焼結
する際、粉末素地中に分散する金属間化合物粒子中に含
まれるAlと素地のNiとを反応させて微細でかつ耐熱
性に優れたNi−Al系金属間化合物粒子を生成させ、
これらの化合物粒子をNi基マトリックス中に分散させ
ることである。焼結摩擦材がこのような組織構造を有す
ることにより、マトリックス中に存在する微細なNi−
Al系金属間化合物粒子の分散強化により、焼結体の耐
熱強度および高温での耐摩耗性が著しく改善する。
【0036】上記効果を発現させるために必要な、焼結
体のマトリックス中に分散するNi−Al系金属間化合
物粒子の大きさに関しては、最大粒径15μm以下で、
かつ平均粒径10μm以下であるのが望ましい。焼結体
のマトリックス中に生成・分散するNi−Al系金属間
化合物粒子の最大粒径が15μmよりも大きい場合、ま
たは平均粒径が10μmよりも大きい場合には、上述し
たような分散強化による耐熱性、耐摩耗性の改善に対す
る顕著な効果が得られない。
【0037】 Ni基焼結摩擦材の空孔率 焼結体中の空孔率は、20%以下であるのが望ましい。
空孔率が20%を超えて多くなると、焼結体の強度が低
下する。そのため、高負荷条件下にて使用する場合に、
焼結摩擦材の摩耗損傷を誘発するといった問題が生ず
る。したがって、好ましい空孔率は20%以下である。
【0038】 Ni基焼結摩擦材に添加する潤滑成分 焼結摩擦材は、好ましくは、潤滑成分粒子として、黒
鉛、ビスマス、二硫化モリブデンからなる群から選ばれ
た少なくとも1種を含有する。この潤滑成分粒子の含有
量は、摩擦材全体に対して重量基準で3〜15%である
のが望ましい。
【0039】添加する各種潤滑成分は、相手材との焼付
き現象の抑制や摩擦係数の変動の抑制といった摩擦摺動
特性の改善に対して効果を有する。このような効果を発
現するためには、潤滑成分粒子を焼結摩擦材全体に対し
て重量基準で3%以上添加する必要がある。添加量が3
%未満では十分な効果が得られない。一方、潤滑成分粒
子の添加量が15%を超えると、焼結体の強度低下を誘
発するといった問題が生じる。
【0040】なお、上記の潤滑成分は、焼結体のマトリ
ックスとの界面での濡れ性が良好でないために、強度低
下を誘発するといった問題を生じさせるおそれがある。
そこで、潤滑成分粒子の表面にNiやCu等のめっき被
膜処理を施したものを使用すれば、強度低下の抑制とい
った観点から有効である。
【0041】 Ni基焼結摩擦材の製造方法 Ni基焼結摩擦材は次のようにして製造される。前述の
Ni基複合粉末を圧粉・成形して粉末固化体とし、この
粉末固化体を加熱下で保持して焼結する。粉末固化体の
加熱温度は1050〜1250℃である。または、粉末
固化体の加熱温度は950〜1250℃であり、この温
度で加熱された状態で粉末固化体は4t/cm2 以上の
面圧で加圧・圧縮される。
【0042】Alを含む金属間化合物粒子が素地中に均
一に分散しているNi基複合粉末を型押し・成形して得
られた圧粉体を焼結すると、Ni基粉末の素地中に分散
する金属間化合物粒子中に含まれるAlが素地のNiと
反応し、微細でかつ耐熱性に優れたNi−Al系金属間
化合物粒子を生成する。これらの化合物粒子がNi基マ
トリックス中に分散することにより、耐摩耗性、耐焼付
き性および耐熱性に優れた焼結摩擦材となる。
【0043】NiとAlとの反応を引き起こして、Ni
Al、Ni3 Al、NiAl3 といった二元系の金属間
化合物粒子や、NiAlTi、NiAlCr等のNi−
Al−Xの三元系金属間化合物粒子を生成させるわけで
あるが、この反応を支配するのは焼結温度である。具体
的には、950℃〜1250℃の温度域で加熱・保持す
ることにより、反応によって上記のNi−Al系金属間
化合物粒子を生成することができる。加熱温度が950
℃未満の場合、十分に反応が進まないために、上記の金
属間化合物粒子が得られない。また、焼結温度が125
0℃を超えると、これらの金属間化合物粒子が粗大に成
長し、たとえば、最大粒径が15μmよりも大きくなる
場合や、平均粒径が10μmよりも大きくなる場合が生
じ、その結果、微細なNi−Al系金属間化合物粒子の
分散強化による耐熱性および耐摩耗性の改善に対する十
分な効果が得られない。
【0044】粉末固化体を常圧下で加熱・保持する場合
には、1050℃以上の温度が必要である。常圧下で9
50℃の温度で加熱・保持した場合、Ni基複合粉末は
十分に焼結せず、得られた焼結体の強度低下を誘発す
る。
【0045】ホットプレスやHIP等の加圧条件下で圧
粉体を加熱する場合、面圧4t/cm2 以上の加圧力が
付加されると、Ni基複合粉末同士が十分に焼結し、そ
の結果、加熱温度が950℃以上であれば、本発明で規
定するような組織構造を有するNi基焼結摩擦材を得る
ことができる。焼結雰囲気については、非酸化性雰囲気
であることが望ましく、特に1×10-2torr以上の
真空度に保持した雰囲気で焼結することがより望まし
い。
【0046】一般にNi基粉末は、鉄粉末や銅粉末に比
べて高価であり、経済性の面において若干の課題があ
る。しかしながら、本発明のNi基焼結摩擦材において
は、焼結温度が950℃〜1250℃であることから、
鉄系粉末やステンレス系粉末等の圧粉体、さらには銅系
粉末圧粉体と合せて同時に焼結することが可能であるの
で、高負荷条件が作用して摺動特性が要求される部分に
のみ本発明のNi基焼結摩擦体を使用し、他の部分には
これらの鉄系、ステンレス系、銅系粉末からなる焼結体
を使用した2層構造とすることが可能である。このよう
にすれば、経済性の問題を解決できる。
【0047】上述のようにして製造された本発明による
Ni基焼結摩擦材は、従来のNi基焼結摩擦材に比べ
て、耐熱性および高温での耐摩耗性・耐焼付き性に優れ
ていることが確認できた。この特徴を利用すれば、たと
えば、チタン合金のような熱伝導率が小さい金属材料を
相手材にする場合であっても、本発明のNi基焼結摩擦
材は十分に優れた機能を発揮する。この場合、摺動面に
発生する摩擦熱が相手材側よりも摩擦材側に伝達するの
で、Ni基焼結摩擦材は高温条件下で使用されることに
なる。
【0048】
【実施例】
(実施例1)Ni粉末(マイクロビッカース硬さ110
〜135mHv、平均粒径75μm)と、Sn粉末(平
均粒径52μm)と、FeAl金属間化合物粒子(マイ
クロビッカース硬さ405〜530mHv、平均粒径4
8μm)とを準備し、重量基準でNi:70%、Sn:
10%、FeAl:20%となるように配合した。な
お、ここで用いたFeAl粒子の組成は、重量基準で、
Fe:Al=52:48であった。
【0049】上記混合粉末を乾式振動ボールミルを用い
て、運転時間4〜16hrで機械的粉砕・混合・合金化
処理を行ない、FeAl金属間化合物粒子が素地中に分
散したNi基複合粉末を作製した。この際、運転時間を
異ならせて、FeAl金属間化合物粒子の粒径が異なる
5種類のNi基複合粉末を作製した。
【0050】それぞれのNi基複合粉末を型押し・成形
した後、1150℃の温度に保持された真空炉(真空
度:1×10-3torr)で1hr焼結を行なった。焼
結過程で各焼結体中に生成した金属間化合物の同定は、
X線回折により行なった。
【0051】機械的粉砕・合金化法によって作製したN
i基複合粉末中のFeAl粒子の最大粒径および平均粒
径と、焼結体のマトリックス中に分散するNiAlおよ
びNi3 Alの金属間化合物粒子の最大粒径および平均
粒径の測定結果を表1に示す。
【0052】表1からわかるように、乾式振動ボールミ
ルによる機械的粉砕・合金化処理時間を変えることによ
って、Ni基粉末中のFeAl金属間化合物粒子の粒径
を制御することが可能である。比較例である試料およ
びについては、それぞれ最大粒径が25μmよりも大
きく、また平均粒径が15μmよりも大きい。これらを
焼結して得られたNi−Al系金属間化合物粒子の粒径
についても、本発明で規定する最大粒径15μm以下、
平均粒径10μm以下を満足していないことが認められ
る。
【0053】一方、本発明例である試料〜のNi基
複合粉末については、粉末素地中に分散するFeAl金
属間化合物粒子の最大粒径および平均粒径は、ともに、
本発明で規定する適正範囲域を満足しており、その結
果、焼結体がマトリックスに生成するNi−Al系金属
間化合物粒子の最大粒径および平均粒径も、それぞれ本
発明の規定範囲である15μm以下、および10μm以
下を満足していることが認められる。
【0054】
【表1】
【0055】(実施例2)焼結体のマトリックス用粉末
として、Ni粉末(マイクロビッカース硬さ110〜1
35mHv、平均粒径75μm)と、Sn粉末(平均粒
径52μm)とを準備し、また、表2に示すようなAl
含有量の異なるFeAl金属間化合物粒子を準備し、重
量基準でNi:70%、Sn:10%、FeAl:20
%となるように配合した後、この混合粉末に対して乾式
振動ボールミルを用いて14hrの機械的粉砕・混合・
合金化処理を施した。得られた粉末の金属組織を光学顕
微鏡により観察した結果を表2に示す。なお、FeAl
金属間化合物粒子中のAl成分を除いた残部はすべてF
eである(試料は純Al粉末を意味する)。
【0056】表2からわかるように、本発明例試料〜
では、使用するFeAl金属間化合物粒子におけるA
l含有量および硬さは、ともに、本発明で規定する適正
範囲を満足している。その結果、機械的粉砕・混合・合
金化処理を施したNi基複合粉末において、FeAl金
属間化合物粒子の最大および平均粒径は本発明の規定範
囲になるまで微細に粉砕されると同時に、Ni基粉末素
地中に均一に分散した組織構造を有していることが確認
できた。
【0057】一方、比較例試料およびについては、
FeAl金属間化合物粒子のAl含有量が多く、そのた
めに粒子の硬さが本発明で規定する適正範囲を満足しな
い。その結果、FeAl金属間化合物粒子、または純A
l粉末は、Ni基粉末素地中に均一に分散せず、本発明
で規定するような複合粉末を得ることができなかった。
なお、試料については、実施例3で説明するように、
このようなNi基複合粉末を焼結して得られる摩擦材で
は、Al含有量が少ないためにその耐熱性を改善するの
に必要なNi−Al系金属間化合物粒子を反応生成する
ことができないことを確認した。
【0058】
【表2】
【0059】(実施例3)実施例2で作製した各Ni基
複合粉末を用いて、空孔率15%の圧粉成形体を作製
し、これらを1150℃の温度に保持された真空炉(真
空度:1×10-3torr)で1hr焼結を行なった。
得られた焼結体の常温および600℃における抗折強度
を測定した。なお、600℃での測定に際しては、各焼
結体の試験片を事前に600℃の雰囲気中で100hr
加熱した後に行なった。また、焼結過程で焼結体中に反
応生成したNi−Al系金属間化合物粒子(NiAlお
よびNi3 Al)の同定は、X線回折により行なった。
さらに、Ni基焼結体全体に対するNi−Al系金属間
化合物粒子の生成量の比率(重量基準)についても、併
せて表3に示す。
【0060】本発明例である試料〜のNi基複合粉
末を用いた場合、焼結体のマトリックス中に反応生成し
たNi−Al系金属間化合物粒子の最大粒径および平均
粒径は、それぞれ、本発明の規定範囲である15μm以
下および10μm以下を満足していることがわかる。ま
た、焼結体の抗折強度の測定結果からも、優れた耐熱性
を有していることがわかる。
【0061】一方、比較例試料およびについては、
粗大なNi−Al系金属間化合物粒子がNi基のマトリ
ックス中ではなく、旧粉末粒界またはマトリックスの外
側の空孔の周辺部分に分散しているために、焼結体の抗
折強度が低下している。また、比較例試料について
は、反応生成したNi−Al系金属間化合物粒子の生成
量が5重量%と少ないため、常温での抗折強度に比べて
600℃での高温抗折強度の測定値が大きく低減してい
ることがわかる。
【0062】
【表3】
【0063】(実施例4)Ni粉末(マイクロビッカー
ス硬さ110〜135mHv、平均粒径75μm)と、
Sn粉末(平均粒径52μm)と、FeAl金属間化合
物粒子(組成Al:Fe=48:52、硬さ405〜5
30mHv、平均粒径48μm)とを準備し、表4に示
すような比率でNi粉末、Sn粉末、FeAl粒子を配
合した。その後、各混合粉末に対して、乾式振動ボール
ミルを用いて12〜18hrの機械的粉砕・混合・合金
化処理を施し、Ni基素地中に分散するFeAl金属間
化合物粒子の最大粒径および平均粒径に関する本発明で
規定する適正範囲を満足するようなNi基複合粉末を作
製した。
【0064】得られた各Ni基複合粉末を用いて、空孔
率15%の圧粉成形体を作製し、これらを1150℃の
温度に保持された真空炉(真空度:1×10-3tor
r)で1hr焼結した。その後、各焼結体の常温および
600℃における抗折強度を測定した。なお、600℃
での測定に際しては、各焼結体の試験片を事前に600
℃の雰囲気中で100hr加熱した後に行なった。さら
に、Ni基焼結体全体に対するNi−Al系金属間化合
物粒子の生成量の比率(重量基準)についても併せて表
4に示す。
【0065】本発明例である試料〜のNi基複合粉
末を用いた場合、亀裂のない良好な圧粉成形体および焼
結体が得られ、また、焼結体の抗折強度の測定結果から
も優れた耐熱性を有していることが認められる。
【0066】一方、比較例試料およびについては、
FeAl金属間化合物粒子の含有量が本発明で規定する
適正範囲よりも多いため、Ni基複合粉末が硬くなり、
その結果、粉末の成形性が低下し、圧粉成形体および焼
結体に亀裂が発生し、良好な試験片が得られなかった。
また、比較例試料については、Ni基複合粉末中Fe
Al金属間化合物粒子の含有量が3重量%と少ないため
に、反応生成したNi−Al系金属間化合物粒子が5重
量%と少なくなり、その結果、常温での抗折強度に比べ
て600℃での高温抗折強度の測定値が大きく低減して
いることがわかる。
【0067】
【表4】
【0068】(実施例5)Ni粉末(マイクロビッカー
ス硬さ110〜135mHv、平均粒径75μm)と、
Sn粉末(平均粒径52μm)と、硬質粒子として表5
に示すような各種金属間化合物粒子(平均粒径44〜6
2μm)とを準備し、重量基準でNi:Sn:金属間化
合物粒子=75:10:15の比率でそれぞれ配合し
た。その後、これらの各混合粉末に対して、乾式振動ボ
ールミルを用いて14hrの機械的粉砕・混合・合金化
処理を施し、微細に粉砕された金属間化合物粒子がNi
基粉末の素地中に分散する複合粉末を作製した。
【0069】得られた各Ni基複合粉末を用いて、空孔
率10%の圧粉成形体を作製し、これらを1200℃の
温度に保持された真空炉(真空度:1×10-3tor
r)で1hr焼結を行なった後、各焼結体の常温および
600℃における抗折強度を測定した。なお、600℃
での測定に際しては、各焼結体の試験片を事前に600
℃の雰囲気中で100hr加熱した後に行なった。その
結果を表5に示す。
【0070】本発明例である試料〜のNi基複合粉
末を用いた場合、金属間化合物粒子がAlを含有するの
で、焼結過程において、耐熱性に優れた微細なNi−A
l系金属間化合物を生成し、これらが焼結体の素地中に
分散する結果、600℃での焼結体の抗折強度は高い値
を示しており、優れた耐熱性を有していることが認めら
れる。
【0071】一方、比較例試料およびについては、
Alを含まない金属間化合物粒子を用いているので、焼
結体中にNi−Al系金属間化合物を生成することがで
きず、その結果、優れた高温強度が望めないことがわか
る。
【0072】
【表5】
【0073】(実施例6)実施例5で作製した本発明例
の粉末試料を用いて、これに固体潤滑成分として、
A)黒鉛粉末(平均粒径84μm)、B)Bi粉末(平
均粒径57μm)、C)MoS2 粉末(平均粒径92μ
m)およびD)Niめっきを施した黒鉛粉末(平均粒径
87μm、黒鉛含有量70重量%)を表6に示す比率で
配合した(残部はNi基複合粉末)。
【0074】各混合粉末を用いて空孔率10%の圧粉形
成体を作製し、これらを1200℃に保持された真空炉
(真空度:1×10-3torr)で1hr焼結を行なっ
た後、各焼結体の常温における抗折強度を測定した。ま
た、チップオンディスク摩擦試験機を用いて摩擦特性を
評価した。なお、チップ側にはNi基焼結材を、相手材
のディスクにはSCM420浸炭材(表面硬さ580〜
650mHv)を用い、滑り速度:6m/s(一定)、
加圧力:50kgf/cm2 (一定)の条件で30分
間、大気中で摩擦試験を行なった。その際、摩擦係数
μ、焼結体および相手材の摩耗量、および試験後の摺動
面の観察による凝着(焼付き)現象の有無を確認した。
それらの結果を表6に示す。なお、摩耗量の測定結果に
おいて「+」は凝着により厚みが増加したことを意味す
る。また、摺動面近傍の温度の測定結果(試験開始15
分経過後に摩擦係数が安定した状態で測定)も併せて表
6に示す。
【0075】本発明例であるNi基焼結摩擦材試料〜
においては、相手材との凝着現象を生じることなく、
0.4を超える摩擦係数を発現するとともに、耐摩耗性
および相手攻撃性においても優れていることがわかる。
また、試料の黒鉛含有量は10.5%であるが、同等
の黒鉛含有量である試料およびに比べて高い抗折強
度と優れた耐摩耗性を有している。これは、黒鉛粉末表
面のNiめっきにより、焼結体の素地のNiとの結合力
を向上した結果である。
【0076】一方、比較例である試料〜(10)において
は、以下のような問題があることが確認された。
【0077】試料:潤滑成分を含まないため、相手材
との焼付き現象を生じた。 試料:潤滑成分(黒鉛)が2重量%と少ないため、相
手材との焼付き現象を生じた。
【0078】試料:潤滑成分(黒鉛)が20重量%と
多いため、焼結体の強度が低下し、摩耗損傷が生じた。
【0079】試料(10):潤滑成分(Bi)が18重量%
と多いため、焼結体の強度が低下し、摩耗損傷が生じ
た。
【0080】
【表6】
【0081】(実施例7)実施例5で作製した本発明の
粉末試料を用いて、成形時の面圧を変えることで種々
の空孔率を有する圧粉成形体を作製し、これらを120
0℃の温度に保持された真空炉(真空度:1×10-3
orr)で1hr焼結を行なった後、各焼結体の常温に
おける抗折強度を測定した。その結果を表7に示す。
【0082】本発明例であるNi基焼結摩擦材試料〜
においては、適正な空孔率を有することにより、十分
高い強度を示している。一方、比較例である試料にお
いては、空孔率が25%と多いため、焼結体の強度低下
を生じる。
【0083】
【表7】
【0084】(実施例8)実施例5で作製した本発明例
である粉末試料を用いて、空孔率12%を有する圧粉
成形体を作製し、これを表8に示すような条件で焼結
し、得られた各焼結体の常温における抗折強度を測定し
た。その結果を表8に示す。なお、焼結は真空炉(真空
度:1×10-3torr)、または水素炉中で行なっ
た。
【0085】本発明例であるNi基焼結摩擦材試料〜
においては、適正な焼結条件を与えることにより、十
分高い強度を示している。
【0086】一方、比較例である試料〜において
は、以下のような問題が確認された。 試料:焼結温度が1000℃と低いため、十分に焼結
が進行しない結果、焼結体の強度が低下した。
【0087】試料:焼結温度が1300℃と高いた
め、金属間化合物が粗大化した結果、焼結体の強度が低
下した。
【0088】試料:大気中で焼結したため、粉末表面
が酸化し、焼結が十分進行しない結果、焼結体の強度が
低下した。
【0089】
【表8】
【0090】(実施例9)実施例5で作製した本発明例
である粉末試料を用いて、空孔率10%を有する圧粉
成形体を作製し、これを表9に示すような条件において
ホットプレスを行ない、得られた各焼結体の常温におけ
る抗折強度を測定した。その結果を表9に示す。なお、
ホットプレスでの加熱は減圧窒素雰囲気(1×10-2
orr)で行なった。
【0091】本発明例であるNi基焼結摩擦材試料〜
においては、適正な焼結条件の下でホットプレスを行
なうことにより、十分高い強度を有している。
【0092】一方、比較例である試料〜において
は、以下のような問題が確認された。 試料:加熱温度が900℃と低いため、十分に焼結が
進行しない結果、焼結体の強度が低下した。
【0093】試料:加圧力が3t/cm2 と小さいた
め、十分に焼結が進行しない結果、焼結体の強度が低下
した。
【0094】試料:加熱温度が1300℃と高いた
め、金属間化合物が粗大化した結果、焼結体の強度が低
下した。
【0095】
【表9】
【0096】(実施例10)Ni粉末(マイクロビッカ
ース硬さ110〜135mHv、平均粒径75μm)
と、Sn粉末(平均粒径52μm)と、FeAl金属間
化合物粒子(組成Al:Fe=48:52、硬さ405
〜530mHv、平均粒径48μm)と、ZrO2 粒子
(平均硬さ860mHv、平均粒径52μm)と、Mg
2 粒子(平均硬さ745mHv、平均粒径42μm)
とを準備し、表10に示すような比率でNi粉末、Sn
粉末、FeAl粒子および上記の酸化物セラミックス粒
子を配合した。その後、各混合粉末に対して、乾式振動
ボールミルを用いて14〜18hrの機械的粉砕・混合
・合金化処理を施し、Ni基素地中に分散するFeAl
金属間化合物粒子の最大粒径および平均粒径に関する本
発明で規定する適正範囲を満足させるとともに、添加し
たセラミックス粒子もNi基素地中に分散するようなN
i基複合粉末を作製した。
【0097】得られた各Ni基複合粉末に固体潤滑成分
として、黒鉛粉末(平均粒径84μm)を添加した。な
お、黒鉛粉末は、両者の混合粉末全体に対して7重量%
となるように添加した。
【0098】各混合粉末を用いて空孔率10%の圧粉成
形体を作製し、これらを1200℃の温度に保持された
真空炉(真空度:1×10-3torr)で1hr焼結を
行なった後、チップオンディスク摩擦試験機を用いて摩
擦特性を評価した。なお、チップ側にはNi基焼結材
を、相手材のディスクにはSCM420浸炭材(表面硬
さ580〜650mHv)を用い、滑り速度:6m/s
(一定)、加圧力:50kgf/cm2 (一定)の条件
で30分間、大気中で摩擦試験を行なった。その際、摩
擦係数μ、焼結体および相手材の摩耗量、および試験後
の摺動面の観察による凝着(焼付き)現象の有無を確認
した。それらの結果を表10に示す。
【0099】表10からわかるように、たとえば、硬質
粒子としてZrO2 やMgO2 等の酸化物セラミックス
粒子をNi基素地中に分散させた複合粉末を用いたNi
基焼結摩擦材(試料、、)においては、これらの
酸化物粒子を添加しない焼結材(試料)に比べて、高
い摩擦係数と耐摩耗性の改善効果が認められる。以上の
ことから、本発明のNi基焼結摩擦材においては、メカ
ニカルアロイング法等の機械的混合・粉砕・合金化手法
により各種硬質粒子をNi基素地中に分散させた複合粉
末を用いることで、摩擦摺動特性はさらに向上すること
が明らかである。
【0100】
【表10】
【0101】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、Ni基
焼結体のマトリックス中に、耐熱性に優れたNi−Al
系金属間化合物粒子を微細かつ均一に分散させることに
より、焼結体の耐熱性を向上させることができる。その
結果、高負荷条件が付与されて使用環境が著しく高温状
態にあるような状況でも使用できるNi基焼結摩擦材料
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従ったNi基複合粉末の組織構造を
模式的に示す図である。
【図2】この発明に従ったNi基焼結摩擦材の組織構造
を模式的に示す図である。
【図3】Alを含有する金属間化合物粒子がNi基粉末
の表面上に付着している状態を示す模式図である。
【図4】Ni−Al系金属間化合物粒子が摩擦材のマト
リックスの旧粉末粒界に沿って分散している状態を示す
模式図である。
【図5】Alを含有する金属間化合物粒子がNi基粉末
の表面上に付着している状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 Ni基複合粉末 2 Ni基素地 3 Alを含有する金属間化合物粒子 4 Ni−Al系金属間化合物粒子 5 旧粉末粒界 6 空孔

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni基複合粉末を圧縮・加熱して得られ
    る焼結摩擦材において、 焼結材のマトリックスは、NiまたはNi合金からな
    り、 前記マトリックス中にNi−Al系金属間化合物粒子が
    分散しており、 前記Ni−Al系金属間化合物粒子の最大粒径は15μ
    m以下で、平均粒径は10μm以下であることを特徴と
    する、焼結摩擦材。
  2. 【請求項2】 前記Ni−Al系金属間化合物粒子は、
    マトリックスを形成している旧粉末粒の内部に分散して
    いる、請求項1に記載の焼結摩擦材。
  3. 【請求項3】 潤滑成分粒子として、黒鉛、ビスマスお
    よび二硫化モリブデンからなる群から選ばれた少なくと
    も1種を含有し、 前記潤滑成分粒子の含有量は、摩擦材全体に対して重量
    基準で3〜15%である、請求項1または2に記載の焼
    結摩擦材。
  4. 【請求項4】 前記焼結材中の空孔率は20%以下であ
    る、請求項1〜3のいずれかに記載の焼結摩擦材。
  5. 【請求項5】 Niを主成分とする粉末の素地中に、A
    lを含有する金属間化合物粒子が分散し、 前記金属間化合物粒子の硬度は、前記素地よりも大き
    く、 前記金属間化合物粒子の最大粒径は25μm以下で、平
    均粒径は20μm以下である、Ni基複合粉末。
  6. 【請求項6】 前記金属間化合物粒子の含有量は、複合
    粉末全体に対して重量基準で5〜40%である、請求項
    5に記載のNi基複合粉末。
  7. 【請求項7】 前記金属間化合物粒子中のAlの含有量
    は、金属間化合物粒子全体に対して重量基準で20〜8
    0%である、請求項5または6に記載のNi基複合粉
    末。
  8. 【請求項8】 前記金属間化合物粒子の硬さは、マイク
    ロビッカース硬さ300以上1000以下である、請求
    項5〜7のいずれかに記載のNi基複合粉末。
  9. 【請求項9】 前記素地を構成する成分は、素地全体に
    対して重量基準で、Niを60%以上、Ti、Cr、M
    o、Sn、Fe、Cu、Coおよびこれらの相互合金か
    らなる群から選ばれた少なくとも1種を5〜40%含
    む、請求項5〜8のいずれかに記載のNi基複合粉末。
  10. 【請求項10】 Ni粉末またはNi合金粉末からなる
    素地用粉末と、Alを含有する金属間化合物粒子とを準
    備する工程と、 前記素地用粉末と前記金属間化合物粒子とを所定の割合
    で配合して混合する工程と、 前記混合粉末を機械的粉砕・混合・合金化処理すること
    によって、NiまたはNi合金の素地中に前記金属間化
    合物粒子を分散させる工程とを備える、Ni基複合粉末
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記機械的粉砕・混合・合金化処理
    は、乾式ボールミルによって行なわれる、請求項10に
    記載のNi基複合粉末の製造方法。
  12. 【請求項12】 Ni粉末またはNi合金粉末からなる
    素地用粉末と、Alを含有する金属間化合物粒子とを準
    備する工程と、 前記素地用粉末と前記金属間化合物粒子とを所定の割合
    で配合して混合する工程と、 前記混合粉末を機械的粉砕・混合・合金化処理すること
    によって、NiまたはNi合金の素地中に前記金属間化
    合物粒子を分散させたNi基複合粉末を得る工程と、 前記Ni基複合粉末を圧粉・成形して粉末固化体を得る
    工程と、 前記粉末固化体を加熱下で保持して焼結する工程とを備
    える、焼結摩擦材の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記粉末固化体の加熱温度は1050
    〜1250℃である、請求項12に記載の焼結摩擦材の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 前記粉末固化体の加熱温度は950〜
    1250℃であり、この温度で加熱された状態で前記粉
    末固化体は4t/cm2 以上の面圧で加圧・圧縮され
    る、請求項12に記載の焼結摩擦材の製造方法。
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