JPH0841571A - アルミニウム合金およびその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金およびその製造方法

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JPH0841571A
JPH0841571A JP7102948A JP10294895A JPH0841571A JP H0841571 A JPH0841571 A JP H0841571A JP 7102948 A JP7102948 A JP 7102948A JP 10294895 A JP10294895 A JP 10294895A JP H0841571 A JPH0841571 A JP H0841571A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、自動車、電気機器、その他の産業
に利用できる高強度、高弾性率、高硬度や高耐熱性等の
特性を有するバルク状のアルミニウム合金およびその製
造方法を提供する。 【構成】 アルミニウムと1〜40at%の炭素とを有
する合金であって、このアルミニウム合金のマトリック
ス中に微細に分散した平均径が100ナノメータ以下の
炭素を有するバルク状のアルミニウム合金およびアルミ
ニウムと炭素とを原料として被加工材を作製する被加工
材形成工程と、該被加工材を加工用型中に挿入し、10
0〜400℃に保持しながら、前記被加工材中の炭素を
微細に分散させるような塑性変形を被加工材に繰返し与
え、アルミニウムのマトリックス中に平均径が100ナ
ノメータ以下の炭素を分散した組織を形成する組織形成
工程と、からなるバルク状のアルミニウム合金の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、航空機、電気
機器、その他の産業に利用できる高強度、高硬度、高弾
性率、低熱膨張係数、高耐熱性、高耐摩耗性等の優れた
特性を有するバルク状のアルミニウム合金およびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】比強度が大きく高強度、高硬度、高弾性
率、高耐熱性、高耐摩耗性等の優れた特性を有するアル
ミニウム合金は、自動車、航空機、事務機器等、特に高
速運動部品等では高性能化の達成が期待されるため、急
冷法やメカニカルアロイング法等により研究が盛んに行
なわれている。
【0003】しかし、急冷法やメカニカルアロイング法
で得られるものの形状は、通常数ミクロン(μm)〜数
10μmの粉末状か、または20μm程度の厚さのリボ
ン状であり、これらの形状では、適用が限定される。部
品として実用する場合には、粉末を固化させる必要があ
り、一般的には、非酸化性雰囲気中、400〜550℃
でキャンニング押出しをしたり、HIP等によって固化
させている。これらの方法では非晶質または非平衡相の
加熱による結晶化、平衡相化が生じ、得られた合金は通
常結晶質となる。また、加熱により析出した分散粒子は
凝集して粗大粒となり、強度が低下する。また、前記キ
ャンニング押出しにおいて、押出温度を下げると粉末間
の結合が充分でなく強度が劣るという欠点があった。
【0004】一方、前記アルミニウム合金を製造する方
法としては、アルミニウム溶湯中に黒鉛粉末を攪拌しな
がら添加後鋳造する方法がある。この方法では、黒鉛の
均一分散が難しく、黒鉛粒子が1〜30μmと大きく、
かつ黒鉛とアルミニウム界面の結合がないため黒鉛が剥
離し易い欠点があった。また、メカニカルアロイング法
によりアルミニウム粉末と黒鉛粉末を強制攪拌混合する
場合には、黒鉛の大部分はアルミニウムと反応し、アル
ミニウムカーバイドを形成し、低摩擦材として有効な黒
鉛が少なくなる欠点があった。さらに、これらの混合粉
末を固化する場合には400〜550℃の温度範囲にお
いてキャンニング押出し等をする必要があり、この工程
中で残りの黒鉛はアルミニウムカーバイドに変化し、こ
れらのアルミニウムカーバイドは比較的大きいため、強
度が低いという問題があった。また、アルミニウムカー
バイドの析出による時効硬化特性が起こらない等の欠点
があった。
【0005】このように、従来の急冷法やメカニカルア
ロイング法等によって得られる非平衡相等を有する材料
は粉末あるいはリボン状であって、これをさらにキャン
ニング押出等により製品形状に加工しなければならない
という厄介な問題があり、高強度、高硬度、高弾性率、
低熱膨張係数、高耐熱性、高耐摩耗性、低摩擦性等の特
性に優れた非平衡相等を有するバルク状の材料を低コス
トで容易に得ることができるアルミニウム合金の製造方
法の開発が強く望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、前記問
題点を詳細に検討し、以下の点に着眼した。すなわち、
純アルミニウム粉末に炭素粉末とチタンの粉末を混合
し、この混合粉末を圧粉成形した圧粉体を、図1に示す
ような加工方向を変えられる加工手段を用い繰返し強加
工を行い、被加工材に従来の塑性加工以上の歪みを与え
たところ、過飽和固溶体相等の非平衡相中にナノメータ
(nm)オーダーの炭素が微細分散した組織からなり、
かつこの加工工程だけで被加工材全体をバルク状にでき
ることを見出した。さらにこの材料を300〜600℃
に加熱したところ金属間化合物を主体とする非平衡相が
微細に析出した引張強度が700MPa以上、弾性率が
130GPa以上、熱膨張係数が15×10-6/K以下
の材料を得ることができることを見出した。
【0007】本発明は、自動車、航空機、電気機器、そ
の他の産業に利用できる高強度、高硬度、高弾性率、低
熱膨張係数、高耐熱性、高耐摩耗性等の優れた特性を有
するバルク状のアルミニウム合金およびその製造方法の
提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)本第1発明(請求項1に記載の発
明)のバルク状のアルミニウム合金は、アルミニウムと
1〜40at%の炭素とを有する合金であって、このア
ルミニウム合金のマトリックス中に微細に分散した平均
径が100nm以下の炭素を有することを特徴とする。
【0009】(第2発明の構成)本第2発明(請求項2
に記載の発明)のバルク状のアルミニウム合金は、アル
ミニウムと1〜40at%の炭素と0.5〜20at%
の周期律表の第4a属、第5a属、第6a属、第7a
属、第8a属、シリコンおよび硼素から選ばれた少なく
とも1種以上の金属および/または非金属とを主体とす
る組成のアルミニウム合金であって、このアルミニウム
合金のマトリックス中に微細に分散した平均径が100
nm以下の炭素ならびに平均径が100nm以下のアル
ミニウムと前記金属および非金属が反応して生成した過
飽和固溶体相および/または化合物等を主体とする非平
衡相とを有することを特徴とする。
【0010】(第3発明の構成)本第3発明(請求項3
に記載の発明)のバルク状のアルミニウム合金は、アル
ミニウムと1〜40at%の炭素とを有する合金であっ
て、このアルミニウム合金のマトリックス中に微細に分
散した平均径が100nm以下のアルミニウムの炭化物
を主体とする非平衡相および/または平衡相を有するこ
とを特徴とする。
【0011】(第4発明の構成)本第4発明(請求項4
に記載の発明)のバルク状のアルミニウム合金は、アル
ミニウムと1〜40at%の炭素と0.5〜20at%
の周期律表の第4a属、第5a属、第6a属、第7a
属、第8a属、シリコンおよび硼素から選ばれた少なく
とも1種以上の金属および/または非金属とを有するア
ルミニウム合金であって、このアルミニウムのマトリッ
クス中に微細に分散した平均径が100nm以下のアル
ミニウムと炭素との化合物ならびに平均径が100nm
以下のアルミニウムと周期律表の第4a属、第5a属、
第6a属、第7a属、第8a属、シリコンおよび硼素か
ら選ばれた少なくとも1種以上の金属および/または非
金属との化合物を主体とする非平衡相および/または平
衡相とを有することを特徴とする。
【0012】(第5発明の構成)本第5発明(請求項5
に記載の発明)のバルク状のアルミニウム合金の製造方
法は、アルミニウムと炭素を主体とする被加工材を作製
する被加工材形成工程と、該被加工材を加工用型中に挿
入し、100〜400℃に保持しながら、前記被加工材
を構成する炭素を微細に分散させるような塑性変形を被
加工材に繰返し与え、アルミニウムのマトリックス中に
平均径が100nm以下の炭素を分散した組織を形成す
る組織形成工程と、からなることを特徴とする。
【0013】(第6発明の構成)本第6発明(請求項6
に記載の発明)のバルク状の高強度アルミニウム合金の
製造方法は、アルミニウムと炭素と周期律表の第4a
属、第5a属、第6a属、第7a属、第8a属、シリコ
ンおよび硼素から選ばれた少なくとも1種以上の金属お
よび/または非金属とを主体とする被加工材を作製する
被加工材形成工程と、該被加工材を加工用型中に挿入
し、100〜400℃に保持しながら、前記被加工材を
構成する炭素を微細に分散させ、被加工材を構成する各
元素間の拡散反応が生ずるような塑性変形を被加工材に
繰返し与え、アルミニウム合金のマトリックス中に平均
径が100nm以下の炭素と平均径が100nm以下の
過飽和固溶体相および/または化合物等を主体とする非
平衡相とを分散した組織を形成する組織形成工程と、か
らなることを特徴とする。
【0014】(第7発明の構成)本第7発明(請求項9
に記載の発明)のバルク状の高強度アルミニウム合金の
製造方法は、第1発明および第2発明のバルク状の高強
度アルミニウム合金の製造方法によって製造したアルミ
ニウム合金を300〜650℃の温度で加熱処理し金属
間化合物を主体とする非平衡相および/または平衡相を
分散した組織を形成する変性工程と、からなることを特
徴とする。
【0015】
【作用・効果】
(第1発明の作用・効果)本第1発明のバルク状のアル
ミニウム合金は、アルミニウムに炭素を1〜40at%
添加するのが望ましく、1at%以下では耐摩耗、高強
度材としての効果が小さく、40at%以上では脆くな
るため好ましくない。アルミニウムのマトリックス中に
分散して存在する炭素の大きさは平均径が100nm以
下が望ましく100nmより大きくなると強度および耐
熱性が低下するため好ましくない。特に数nmから数1
0nmの範囲が高強度、高硬度、高弾性率、低熱膨張係
数、高耐熱性、高耐摩耗性の点から望ましい。本第1発
明のバルク状のアルミニウム合金は、そのマトリックス
中に平均径が100nm以下の炭素が微細に分散してい
るため高強度、高硬度、高弾性率、低熱膨張係数、高耐
熱性、高耐摩耗性等の優れた特性を有し、特に、炭素と
して黒鉛を用いた場合にはその潤滑作用により摩擦係数
を小さくすることができる。
【0016】(第2発明の作用・効果)本第2発明のバ
ルク状のアルミニウム合金は、アルミニウムに炭素が1
〜40at%、周期律表の第4a属、第5a属、第6a
属、第7a属、第8a属、シリコンおよび硼素から選ば
れた少なくとも1種以上の金属および/または非金属が
0.5〜20at%有していることが望ましい。炭素量
の限定理由は第1発明のアルミニウム合金の場合と同様
である。また、前記炭素以外の金属および/または非金
属の量は、0.5at%以下では強化に効果はなく、2
0at%以上では靭性が失われるため好ましくない。
【0017】また、前記アルミニウム合金のマトリック
ス中に微細に分散した炭素の平均径の限定理由は第1発
明のアルミニウム合金の場合と同様である。また、アル
ミニウムと前記金属および/または非金属が反応して生
成した過飽和固溶体相および/または化合物等を主体と
する非平衡相の平均径を100nm以下にする理由は1
00nmより大きくなると分散粒子としての効果が減少
するためである。特に数nmから数10nmの範囲がア
ルミニウムのマトリックス中における転位の辷りを抑制
する効果が大きくなり、高強度化の点から望ましい。ま
た、アルミニウムと前記金属および/または非金属が反
応して生成した過飽和固溶体相および/または化合物等
の非平衡相の中に炭素が固溶していてもよい。このよう
に該非平衡相の中に炭素が固溶すると強度等の特性をさ
らに向上させることができる。
【0018】本第2発明のバルク状のアルミニウム合金
は、そのマトリックス中に平均径が100nm以下の炭
素およびアルミニウムと前記合金元素が反応して生成し
た過飽和固溶体相等の非平衡相が微細に分散しているた
め高強度、高硬度、高弾性率、低熱膨張係数、高耐熱
性、高耐摩耗性等の優れた特性を有し、特に、炭素とし
て黒鉛を用いた場合にはその潤滑作用により摩擦係数を
小さくすることができる。
【0019】(第3発明の作用・効果)本第3発明のバ
ルク状のアルミニウム合金は、そのマトリックス中に転
位の辷り抑制効果を有するアルミニウムの炭化物が微細
に分散しており、平均径が100nm以下のアルミニウ
ムの炭化物を主体とする非平衡相および/または平衡相
が微細に分散しているため高強度、高硬度、高弾性率、
低熱膨張係数、高耐熱性や高耐摩耗性等の優れた特性を
有する。
【0020】(第4発明の作用・効果)本第4発明のバ
ルク状のアルミニウム合金は、そのマトリックス中に平
均径が100nm以下の金属間化合物を主体とする非平
衡相および/または平衡相が微細に分散しているため高
強度、高硬度、高弾性率、低熱膨張係数、高耐熱性を有
する。
【0021】(第5発明の作用・効果)本第5発明のア
ルミニウム合金の製造方法は、繰返し塑性変形を行って
炭素の微細分散を得て、繰返し塑性変形だけで製品形状
に近いバルク状の材料を得ることができる点に特徴を有
する。本発明において炭素の微細分散を形成し得る理由
は以下のようであると推定される。
【0022】被加工材が、例えば、アルミニウム粉末に
炭素粉末を圧粉した成形体の場合は、繰返しにより被加
工材の構成元素であるアルミニウム粉末間では拡散によ
り結合するがアルミニウム粉末と炭素粉末間では結合せ
ず、炭素粉末はアルミニウムのマトリックス中に閉じ込
められる。このように閉じ込められた状態での塑性変形
により炭素は破砕を繰り返されて通常では得られない平
均径が100nm以下のサイズにまで微細化される。前
記加工の繰返しは、加工毎に加工方向を変えで行うと各
粉末同士の擦合と破砕が容易に起こる。なお、同一方向
の加工を繰り返し行っても良い。
【0023】また、本第5発明では、100〜400℃
といった温度で、前記バルク状とするものである。本工
程は、高エネルギーによって、金属粉末間の擦合と破砕
により炭素を微細化し、高圧力と活性表面効果により各
金属粉末同士を強固に結合させバルク状とするものであ
る。この粉末間同士の結合は粉末間のアルミニウムの拡
散によって生じると考えられる。拡散速度を大きくする
には、加工温度を上昇させるのが最も有利であり、材料
の変形抵抗を小さくする上でも、温度上昇は望ましい。
しかし、温度が高すぎる場合には、粉末間等の拡散反応
によって、アルミニウムカーバイド等の平衡相が生じ易
くなる。そこで、加工温度を100〜400℃とするも
のである。
【0024】本第5発明のアルミニウム合金の製造方法
によれば、繰返し塑性変形を行うといった比較的簡易な
組織形成工程によりアルミニウムのマトリックス中に平
均径が100nm以下の炭素を微細に分散した組織を得
ることができるので高強度、高硬度、高弾性率、高耐熱
性、低熱膨張係数、高耐摩耗性、低摩擦係数を有する材
料を得ることができる。また、このアルミニウム合金
は、粉末やリボン状ではなく製品形状に近いバルク状で
得られるため、粉末の場合の危険性や固化工程が不要に
なる利点を有する。
【0025】さらに、炭素として黒鉛を用いた場合に
は、鍛造型へのアルミニウムの焼付が著しく減少するた
め、加工荷重を小さくでき、また被加工材の取出し等が
容易となる長所を有する。
【0026】(第6発明の作用・効果)本第6発明のア
ルミニウム合金の製造方法は、繰返し塑性変形を行う組
織形成工程によって微細に分散した炭素ならびに非平衡
相である過飽和固溶体相や化合物等を形成することが可
能である点およびこの繰返し塑性変形だけで製品形状に
近いバルク状の材料を得ることができる点に特徴を有す
る。
【0027】炭素の微細分散および非平衡相の形成は、
前記構成で述べたように、アルミニウムと炭素と第4a
属、第5a属、第6a属、第7a属、第8a属、シリコ
ンおよび硼素から選ばれた1種以上の金属および/また
は非金属からなる被加工材を加工用型中に挿入し、不活
性雰囲気中で100〜400℃に保持しながら、前記被
加工材に塑性変形を繰返えし加えることによって行な
う。炭素の微細分散は前記第1発明と同様の作用により
形成される。非平衡相を形成し得る理由は以下のようで
あると推定される。
【0028】本第6発明のアルミニウム合金の製造方法
は、従来のメカニカルアロイング法と同様の固相反応現
象で平均径が数10nm以下の超微細炭素、非平衡相を
形成するものであるが、以下の点で異なる。メカニカル
アロイング法は、ボールミルを用い室温付近で10〜1
000時間のミリングを行ない粉末間の擦合と破砕と凝
集を繰返し行ない、粒間での拡散により非平衡相が形成
されるが、得られる材料の状態は常に粉末状である。こ
れらの粉末は活性であるが、表面は僅かではあるが、雰
囲気ガスによる吸着または化合物形成があることや活性
表面が形成されてからの時間の経過のために、表面活性
は低下している。そのため、この粉末状試料を固化する
場合には、粉末をボールミルから取出し、さらに容器に
入れ450〜600℃といった高温でキャンニング押出
またはHIP処理をする必要がある。
【0029】これに対し、本第6発明では、100〜4
00℃といった温度で、前記バルク状とする工程は、高
エネルギーの繰返し塑性変形によって、金属粉末間の擦
合と破砕により炭素を微細化し、粉末間の拡散反応を起
こさせて非平衡相を形成させると同時に、高圧力と活性
表面効果により各金属粉末同士を強固に結合させバルク
状とするものである。前記加工の繰返しは、加工毎に加
工方向を変えで行うと各粉末同士の擦合と破砕が容易に
起こる。なお、同一方向の加工を繰り返し行っても良
い。非平衡相の形成は、例えばアルミニウム粉末と炭素
粉末とチタンの粉末を用いた場合には、炭素の作用は前
記アルミニウム粉末に炭素粉末を用いた場合と同様であ
るがアルミニウムとチタン間では強加工により各粉末が
互いに擦合と破砕により、界面が活性化され、拡散が生
じ易くなる。次の加工では、各粉末間の新たな擦合、破
砕が生じ活性面の形成が進行する。このような加工の繰
返しにより被加工材中のアルミニウムとチタンが拡散に
より結合し、非平衡相の状態となるとともに、チタンの
量が多い場合には、このマトリックスである非平衡相中
に炭素が微細に分散する。すなわち、非平衡相中にnm
オーダーの炭素が分散した組織が得られる。また、チタ
ンの量が少ない場合にはアルミニウムのマトリックス中
に炭素がnmオーダーで分散した組織が得られる。
【0030】超微細分散、非平衡相の形成は前記したよ
うに高エネルギー付与下での粉末間等の拡散によって生
じると考えられる。拡散速度を大きくし、材料の変形抵
抗を小さくする上でも、加工温度を上昇させるのが望ま
しい。しかし、温度が高すぎる場合には、粉末間等の拡
散反応によって、アルミニウムカーバイド等の平衡相が
生じやすく、また、一度非平衡相が形成されても高温に
保持することにより、相変化して平衡相になる。そこ
で、加工温度を100〜400℃とするものである。
【0031】また、被加工材が鋳造材の場合は、このア
ルミニウム合金鋳造材中に分散した例えば、比較的大き
な炭素または金属間化合物を主体とする安定相に繰り返
し強加工が施され、炭素は粉砕され微細化されるととも
に各安定相は互いに擦合と破砕が繰返し施され過飽和固
溶体相や化合物等の非平衡相が微細に分散した組織とな
る。
【0032】本第6発明のアルミニウム合金の製造方法
によれば、繰返し塑性変形を行うといった比較的簡易な
方法によりアルミニウムのマトリックス中に平均径が1
00nm以下の炭素と過飽和固溶体相や化合物等の非平
衡相を微細に分散した組織を得ることができるので高強
度、高硬度、高耐熱性、低熱膨張係数、高耐熱性、高耐
摩耗性や低摩擦係数等の特性を有する材料を得ることが
できる。また、このアルミニウム合金は、粉末やリボン
状ではなく製品形状に近いバルク状で得られるため、粉
末の場合の危険性や固化工程が不要になる利点を有す
る。
【0033】さらに、炭素として黒鉛を用いた場合に
は、鍛造型へのアルミニウムの焼付が著しく減少するた
め、加工荷重を小さくでき、また、被加工材の取出し等
が容易となる長所を有する。
【0034】(第7発明の作用・効果)本第7発明のア
ルミニウム合金の製造方法は、繰返し強加工を行って超
微細分散した炭素および非平衡相が形成された材料を得
て、この材料に加熱処理を行う変性工程によって金属間
化合物を主体とする非平衡相および/または平衡相を微
細に分散させた点に特徴があり、これらの処理により高
強度等の特性を得るのである。
【0035】前記加熱処理を行うことにより高強度等の
特性を有するアルミニウム合金を製造できる理由は以下
のようであると推定される。前記非平衡相が形成された
アルミニウム合金を300〜650℃で加熱処理すると
アルミニウム合金母材中の過飽和固溶体相等からの合金
元素またはnmオーダーに微細化された活性な元素がア
ルミニウムと反応し、金属間化合物を主体とする非平衡
相や平衡相が微細に分散した組織とすることができて強
度が向上する。しかも300〜650℃といった比較的
高温でもこの強度の低下がない。
【0036】本第7発明のアルミニウム合金の製造方法
によれば、加熱処理前の比較的軟らかな状態で製品形状
に成形後、これを加熱処理することにより比較的簡易に
高強度の金属間化合物を主体とする非平衡相および/ま
たは平衡相が微細に分散した高強度のバルク状のアルミ
ニウム合金材料を製造できる。
【0037】
【実施例】
(具体化した発明)以下、前記第1発明ないし第7発明
のアルミニウム合金およびその製造方法をさらに具体的
にした具体化した発明について説明する。
【0038】本具体化した発明で被加工材を構成する原
料としては、まず、超微細粒子として炭素が必須であ
る。炭素の種類には特に限定はなく、通常用いられる黒
鉛や無定形炭素であればよい。さらにこの系に過飽和固
溶体相や金属間化合物といった非平衡相を形成しやすい
元素を添加する必要がある。さらに最終工程の加熱処理
により、アルミニウム合金母材中に微細な金属間化合物
を主体とする非平衡相や安定相を分散析出させることが
でき、できるだけ高温において、凝集することなく、微
細に存在し得る析出粒子を形成可能な元素であることが
望ましい。このような元素として周期律表の第4a属、
第5a属、第6a属、第7a属、第8a属、シリコンお
よび硼素から選ばれた1種以上を用いれば良い。
【0039】炭素の添加量としては、1〜40at%が
望ましく、1at%以下では耐摩耗性、強度等の特性を
向上させる効果は少なく、40at%以上では固化が不
十分となり脆くなるため好ましくない。炭素以外の元素
の添加量は、0.5〜20at%が望ましい。0.5a
t%以下では耐摩耗性、強度や耐熱性等の特性を向上さ
せる効果は少なく、20at%以上では靭性が失われる
ため好ましくない。
【0040】また、被加工材の形態は特に限定はない
が、アルミニウムと炭素またはアルミニウムと炭素と周
期律表の第4a属、第5a属、第6a属、第7a属、第
8a属、シリコンおよび硼素から選ばれた少なくとも1
種以上の金属および/または非金属を主体とする混合粉
末または該混合粉末を圧粉した成形体または鋳造材であ
れば問題はない。
【0041】次に、本具体化した発明において、アルミ
ニウム等のマトリックス中に分散して存在する炭素およ
び非平衡相等の大きさは平均径が100nm以下、特に
数nmから数10nmの範囲が高強度化等の点から望ま
しい。微細に分散した炭素および非平衡相を形成する方
法は、(A)アルミニウム粉末と添加元素粉末あるいは
アルミニウム合金中の各種相の破砕、新生面の形成、粉
末間での元素の拡散を可能とするような塑性変形を繰返
す方法を用い、(B)塑性変形および拡散を容易にさせ
るため、100℃以上で、かつ平衡相形成温度である4
00℃以下で行うのが望ましい。これらの温度範囲外で
も可能であるが拡散速度が遅くなる等の問題が生じる。
【0042】(A)に関しては、元素粉末を混合した混
合粉末体、これを圧粉成形した成形体または溶解法等に
より安定相を分散したアルミニウム合金鋳造材のいずれ
を被加工材に使用する場合にも、塑性変形により各々の
相が互いに擦合と破砕を繰返、界面を活性とし、拡散に
より結合させるに充分な加工率と荷重が必要である。こ
のような強加工により接触した表面の一部で拡散して、
固化し、炭素等を閉じ込める。次の加工では、また閉じ
込められた炭素等の新たな破砕と活性面を形成されるよ
うにするためには、数10回以上の繰返加工が必要であ
る。また、加工応力はアルミニウム合金の降伏強度以
上、少なくとも200MPa以上が必要である。望まし
くは、型の摺動面での摩擦力や金型の破損を考慮して6
00〜2000MPaで加工を行うとよい。
【0043】繰返加工法は例えば以下の方法によって行
う。 十字型圧縮法:図1に示すような上下、左右に可動パ
ンチを配設した金型を用い、該金型を通常プレス加工等
で用いられている加工機械に取付けて加工を行う。すな
わち、金型の中央部に被加工材を入れ、まず、パンチ1
にA方向から荷重をかけ圧縮する。被加工材は圧縮され
るが、パンチ2が可動なので被加工材の一部は荷重付与
方向と直角の方向に押出される。次に、パンチ2により
被加工材にB方向から荷重を加え圧縮する。この操作を
繰返して加工を行う。この加工方法によれば、一方のパ
ンチが他方のパンチを直接可動させるため、試料の変形
量を大きくすることができる。この加工方法は金型内の
キャビティの体積が変化するため被加工材にクラックが
生じることがあるが、クラックの発生を防止するために
は、図2に示すような体積がほとんど変化しない密閉式
とした十字型圧縮法がある。この方法では、キャビティ
の体積が変化しないように、荷重を与えるパンチと連動
して他方のパンチを後退させる機構をつけることが望ま
しい。
【0044】押出法:図3に示す金型で行なう方法で
あり、被加工材をパンチ間に入れ、交互に押出しを行な
い、断面積の小さいオリフィス部31を通過させて加工
を行うものである。上部パンチ1によって荷重を加える
場合は、他方のパンチ11はキャビティの体積を一定に
保ちながら下降する。したがって、被加工材は押出され
た後に断面積がパンチの径まで拡大される。本方法は加
工率を大きくでき、体積がほとんど変化しない密閉押出
しをすることによりクラックの生じない材料を得ること
ができる。
【0045】揺動鍛造法:固定された下部金型中央部
に設置した被加工材を上部のパンチを回転揺動させて被
加工材を局部的に流動加圧し、塑性変形させながら全体
を加圧する方法である。本方法では、1回の加工率は比
較的小さいが、繰返回数を増加することが容易であり、
かつ加工荷重が小さくできるため大きな形状の材料が得
られる。
【0046】また、被加工材が粉末の場合には前記
(A)、(B)に加えアルミニウムと各種相表面間で拡
散を生じさせるために、アルミニウム等の表面を清浄に
保つ不活性雰囲気とするのが望ましい。塑性変形によっ
て各粉末が破砕され、活性な新生面が形成されても、雰
囲気中のガスによる酸化や窒化がおこれば、表面活性が
失われ金属間の拡散は生じにくくなる。そこで、形成さ
れた新生面の活性を維持するため、高真空またはAr等
の不活性雰囲気中で行なう。
【0047】(実施例1)−350メッシュの純アルミ
ニウムの粉末と平均粒径が約1μmの純黒鉛の粉末を原
子比で80:20になるように配合し、充分に混合して
から、油圧プレスを用いて、約100MPaの圧力で
縦、横、高さがそれぞれ20、10、8.5ミリメータ
(mm)に圧粉成形した。成形体の重量は3.7gであ
った。この試料を図1−(a)に示す上下、左右に可動
パンチ1、2が配設された金型の中央部に入れて組付
け、酸化を防ぐため、1〜3l/分の流量でArガスを
流しながら、電気炉に入れ300℃に加熱した。その
後、炉より取出し、該金型を、上下から加圧する機構を
有するプレス成形機に組付け、図1−(b)に示すよう
にA方向より試料厚さが2mmになるまで圧縮した。試
料の一部はこの圧縮によってA方向と直角の方向に押し
出された。次に、金型を90°回転させてから図1−
(c)に示すようにB方向からパンチ2によって加圧
し、同様に試料を2mm厚さに圧縮した。この操作を1
20回繰り返した。初期の圧縮荷重のピーク値は約15
0kNであったが、繰返し回数の増加につれて徐々に上
昇し、120回後では200kNであった。
【0048】金型を分解して取出した試料には表面の一
部に若干のクラックが存在するが、各粉末は充分に結合
し、全体がバルク状であり、断面の顕微鏡観察からも内
部にはクラックや介在物等は存在していなかった。
【0049】この試料をX線回折した結果、図4−
(b)のようなパターンが得られ、図4−(a)に示し
たパターンのように出発原料中の黒鉛が確認できない。
一方、透過電子顕微鏡で観察した結果、平均径5〜10
nmの黒鉛がアルミニウム中に分散していた。この結果
を解析した結果、この試料は黒鉛がX線回折で確認でき
ない程度に微細粒子になっていることが明らかとなっ
た。従来の鋳造法ではアルミニウム中の黒鉛の径は1〜
20μmであるのに対して、本実施例の黒鉛の平均径は
5〜10nmであり著しく小さくすることができる。
【0050】また、図5は黒鉛の径に対する繰返加工回
数の影響について示したものである。図5−(a)の出
発原料は黒鉛の径が約1μmであるが、図5−(b)の
繰返加工回数が40回では黒鉛の回折線の変化が少なく
回折線の広がりより求めた黒鉛の結晶粒子の平均径は数
10nmになった。80回(図5−(c))になると1
2nm、120回(図5−(d))になると数nmと微
細化効果が著しく向上した。さらに、前記圧縮を施した
試料の一部をAr気流中で300、400、500およ
び600℃に各1時間加熱(時効処理)後のX線回折パ
ターンを図4−(c)、(d)、(e)、(f)に、ま
た室温でのビッカース硬さ(Hv)を測定した結果を図
6に示した。
【0051】繰返加工後の試料である図4−(b)では
黒鉛の超微細分散組織であり、その硬さはHv100で
あるが、これを時効処理することにより、約500℃で
アルミニウムのカーバイト(Al4 3 )に比較的類似
の相が形成され、さらに高温の600℃近辺で平衡相A
4 3 に変化する。同時に硬さも最高でHv220を
示した。なお、このような加熱による時効硬化特性は黒
鉛に限らず、無定形炭素を用いた場合も同様であった。
【0052】このように本実施例のアルミニウム合金の
製造方法によれば、繰返加工により、従来技術では不可
能であった、黒鉛の超微細組織を得ることができ、さら
に時効処理により硬さが著しく向上したバルク材料を製
造することができる。
【0053】(実施例2)−350メッシュの純アルミ
ニウムの粉末と、約1μmの黒鉛粉末を原子比で95:
5になるように配合し、充分に混合した。この試料を実
施例1と同様、300℃に保持した金型中で2mm厚さ
に圧縮加工する操作を120回繰り返した。金型を分解
して取出した試料には若干のクラックが存在するが、粉
末が充分結合し全体がバルク状であった。
【0054】この試料をX線回折した結果、図4−
(b)と同様、黒鉛が確認できないパターンが得られ、
この試料のアルミニウム合金は、アルミニウム中に平均
径10nm以下の超微細な黒鉛が存在する合金から構成
されることが明らかとなった。
【0055】(実施例3)−350メッシュの純アルミ
ニウム粉末と約1μmの黒鉛粉末を原子比で60:40
になるように配合した試料を実施例1と同様に300℃
に保持し、金型中で2mm厚さに圧縮する操作を120
回繰り返した。
【0056】得られた試料について、X線回折した結
果、アルミニウムの回折線と若干ブロードな黒鉛を示す
パターンが見られ、X線回折線の広がりより求めた結晶
粒子は約15nmの径であった。なお、この試料でも6
00℃に加熱することによりAl4 3 が析出した。
【0057】(実施例4)アルミニウムに対して原子比
で黒鉛が10%、さらにチタン10%になるように配合
し、圧縮加工した。アルミニウムと黒鉛粉末は実施例1
と同様のものを使用した。また、チタンは−350メッ
シュの粉末を用いた。この試料を図2に示した完全密閉
式の金型中に入れ、実施例1と同様に300℃に保持
し、圧縮変形させる操作を300回繰り返した。金型を
分解して取出した試料にはクラックは存在せず、粉末が
充分に結合し、全体がバルク状であった。
【0058】この試料について、Ar気流中で300、
400、500および600℃の各温度に1時間加熱後
のX線回折結果を図7に、また室温での硬さを測定した
結果を図6に示した。繰返加工後の試料は、図7−
(b)のように純アルミニウムの相とチタンとアルミニ
ウムよりなる非平衡相およびこれらの相中に超微細黒鉛
が分散した組織からなり、その硬さはHv122であっ
た。この試料を500℃に加熱し時効処理を施すことに
より、室温での平衡状態図に記載されていない非平衡相
が形成されると同時に、硬さがHv210になった。ま
た、繰返加工後の室温引張強度は300MPaであった
が、これを500℃で時効処理することにより850M
Paと著しく向上させることができた。
【0059】次に、実施例1と同様にしてアルミニウム
に対して原子比で黒鉛を10%添加したバルク材(Al
−10at%C)を作製した。このバルク材と実施例4
で作製したアルミニウムに対して原子比で黒鉛およびチ
タンを10%添加したバルク材(Al−10at%C−
10at%Ti)、および比較材として市販の純アルミ
ニウム、ジュラルミン(A2024)を用いて弾性率お
よび熱膨張係数を求めた。弾性率および熱膨張係数は以
下の方法により求めた。弾性率は、1×2×11mmの
寸法に加工した試料を使用し、複合振動子法により測定
した。また、熱膨張係数は、弾性率と同一の試料を使用
し、5℃/minの加熱速度で測定し、50〜200℃
までの平均熱膨張係数を測定した。
【0060】その結果を図8に示した。図8は前記各種
アルミニウム材料の弾性率と熱膨張係数を比較したもの
である。純アルミニウムおよび高強度アルミニウム合金
として知られているジュラルミン(A2024)の弾性
率はそれぞれ70と74GPa、熱膨張係数は24.4
×10-6/K、23.5×10-6/Kとほぼ同等である
のに対し、Al−10at%C−10at%Tiでは、
純アルミニウムに比べ弾性率が138GPaと約2倍と
高い値を示し、熱膨張係数は逆に14.7×10-6/K
と約60%に小さくなり、Al−10at%Cでは、弾
性率が約10%増大し、熱膨張係数は約17%に小さく
なった。したがって、本実施例に係るバルク材はチタニ
ウムと同等の弾性率と鉄鋼と同等の熱膨張係数であり、
従来のアルミニウム合金を著しく凌駕している。このた
め、燃料噴射用ノズルのニードルバルブ等のような精密
機器、電気部品等のような部材に使用することができ
る。
【0061】他の実施例に係るバルク材についても弾性
率および熱膨張係数を調べたが同様に優れた特性を示し
た。
【0062】(実施例5)実施例1と同様の組成の粉末
を用い、直径15mm,高さ25mmの成形体を作製し
た。次に、図3に示した押出型を用意した。この型の前
記成形体と接触する部分および圧入時の摺動面部分に黒
鉛を塗布後、前記成形体をこの押出型に入れた。その後
この型を300℃に保持した。所定温度に達した後、油
圧プレスにより、まず一方のパンチから荷重をかけ、そ
の後金型を上下に反転し、もう一方のパンチから荷重を
かける方法で60回繰返圧縮加工を繰り返した。加工荷
重は最大180kNであった。
【0063】押出後のアルミニウム合金は固化してお
り、クラックのないバルク状であった。X線回折の結
果、純アルミニウムのみが同定され、黒鉛は確認されな
かったため実施例1と同様に平均径5〜10nmの黒鉛
が超微細に分散していると考えられる。
【0064】(実施例6)−350メッシュの純アルミ
ニウムの粉末と、約1μm径の純黒鉛の粉末および−3
50メッシュの純鉄粉末を原子比で80:10:10に
なるように配合し、充分に混合した。この試料を実施例
1と同様、300℃に保持した金型中で2mm厚さに圧
縮加工する操作を120回繰り返した。金型を分解して
取出した試料には若干のクラックが存在するが、粉末が
充分結合し全体がバルク状であった。
【0065】この試料をX線回折した結果、出発原料の
黒鉛は確認されず、磁気分析では純鉄の存在量は少な
く、この試料のアルミニウム合金は、黒鉛の超微細分散
と鉄を固溶した合金を主体とした組織より構成されるこ
とが明らかとなった。なお、この合金を300、40
0、500および600℃の各温度で1時間加熱する
と、非平衡相であるアルミニウムの化合物(Al6
e)と平衡相のAl3 Feが微細に析出し、図6に示す
ように硬さが加熱前のHv170よりHv385に上昇
した。また、純鉄の代わりにシリコンを使用した場合も
図6に示すように同様の効果があった。
【図面の簡単な説明】
【図1】繰返加工法(十字型圧縮法)の加工工程を示す
図である。
【図2】繰返加工法(密閉式十字型圧縮法)の加工工程
を示す図である。
【図3】繰返加工法(押出法)の加工工程を示す図であ
る。
【図4】実施例1において繰返加工(十字型圧縮法)し
た試料および300、400、500、600℃でそれ
ぞれ保持した試料をX線回折した結果を示す図である。
【図5】実施例1において繰返加工数を変化させて繰返
加工(十字型圧縮法)する前と後における試料をX線回
折した結果を示す図である。
【図6】実施例1、4、6等において繰返加工(十字型
圧縮法)した試料の保持処理温度と硬さ(Hv)との関
係を示す図である。
【図7】実施例4において繰返加工(十字型圧縮法)す
る前と後における試料および300、400、500、
600℃でそれぞれ保持した試料をX線回折した結果を
示す図である。
【図8】各種アルミニウム材料の弾性率と熱膨張係数を
比較した結果を示す図である。
【符号の説明】
1.2. 可動パンチ 3. コンテナ 31. オリフィス 4. 被加工材

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムと1〜40at%の炭素と
    を有する合金であって、このアルミニウム合金のマトリ
    ックス中に微細に分散した平均径が100ナノメータ以
    下の炭素を有することを特徴とするバルク状のアルミニ
    ウム合金。
  2. 【請求項2】 アルミニウムと1〜40at%の炭素と
    0.5〜20at%の周期律表の第4a属、第5a属、
    第6a属、第7a属、第8a属、シリコンおよび硼素か
    ら選ばれた少なくとも1種以上の金属および/または非
    金属とを有するアルミニウム合金であって、このアルミ
    ニウム合金のマトリックス中に微細に分散した平均径が
    100ナノメータ以下の炭素ならびに平均径が100ナ
    ノメータ以下のアルミニウムと前記金属および非金属が
    反応して生成した過飽和固溶体相および/または化合物
    等を主体とする非平衡相とを有することを特徴とするバ
    ルク状のアルミニウム合金。
  3. 【請求項3】 アルミニウムと1〜40at%の炭素と
    を有する合金であって、このアルミニウム合金のマトリ
    ックス中に微細に分散した平均径が100ナノメータ以
    下のアルミニウムの炭化物を主体とする非平衡相および
    /または平衡相を有することを特徴とするバルク状のア
    ルミニウム合金。
  4. 【請求項4】 アルミニウムと1〜40at%の炭素と
    0.5〜20at%の周期律表の第4a属、第5a属、
    第6a属、第7a属、第8a属、シリコンおよび硼素か
    ら選ばれた少なくとも1種以上の金属および/または非
    金属とを有するアルミニウム合金であって、このアルミ
    ニウムのマトリックス中に微細に分散した平均径が10
    0ナノメータ以下のアルミニウムと炭素との化合物なら
    びに平均径が100ナノメータ以下のアルミニウムと周
    期律表の第4a属、第5a属、第6a属、第7a属、第
    8a属、シリコンおよび硼素から選ばれた少なくとも1
    種以上の金属および/または非金属との化合物を主体と
    する非平衡相および/または平衡相を有することを特徴
    とするバルク状のアルミニウム合金。
  5. 【請求項5】 アルミニウムと炭素とを原料として被加
    工材を作製する被加工材形成工程と、 該被加工材を加工用型中に挿入し、100〜400℃に
    保持しながら、前記被加工材を構成する炭素を微細に分
    散させるような塑性変形を被加工材に繰返し与え、アル
    ミニウムのマトリックス中に平均径が100ナノメータ
    以下の炭素を分散した組織を形成する組織形成工程と、
    からなることを特徴とするバルク状のアルミニウム合金
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 アルミニウムと炭素と周期律表の第4a
    属、第5a属、第6a属、第7a属、第8a属、シリコ
    ンおよび硼素から選ばれた少なくとも1種以上の金属お
    よび/または非金属とを原料として被加工材を作製する
    被加工材形成工程と、 該被加工材を加工用型中に挿入し、100〜400℃に
    保持しながら、前記被加工材を構成する炭素を微細に分
    散させ、前記被加工材を構成する各元素間の拡散反応が
    生ずるような塑性変形を被加工材に繰返し与え、アルミ
    ニウム合金のマトリックス中に平均径が100ナノメー
    タ以下の炭素ならびに平均径が100ナノメータ以下の
    過飽和固溶体相および/または化合物等を主体とする非
    平衡相とを分散した組織を形成する組織形成工程と、か
    らなることを特徴とするバルク状のアルミニウム合金の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5および請求項6における被加工
    材形成工程は、粉末の原料を混合した混合粉末体を形成
    する粉末混合工程、粉末の原料を圧粉して成形体を形成
    する圧粉工程または前記原料を溶融後鋳造して形成する
    鋳造工程であることを特徴とするバルク状のアルミニウ
    ム合金の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5および請求項6における組織形
    成工程は、加工応力が少なくとも200MPa以上であ
    ることを特徴とするバルク状のアルミニウム合金の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項5および請求項6において製造し
    たアルミニウム合金を300〜650℃の温度で加熱処
    理し金属間化合物を主体とする非平衡相および/または
    平衡相を微細に分散した組織を形成する変性工程と、か
    らなることを特徴とするバルク状のアルミニウム合金の
    製造方法。
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