JPH1192459A - シトシンの製法 - Google Patents

シトシンの製法

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JPH1192459A
JPH1192459A JP9258924A JP25892497A JPH1192459A JP H1192459 A JPH1192459 A JP H1192459A JP 9258924 A JP9258924 A JP 9258924A JP 25892497 A JP25892497 A JP 25892497A JP H1192459 A JPH1192459 A JP H1192459A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、抗菌剤、抗ウィルス剤として有用で
ある高い純度のシトシン結晶の工業的な製法を提供する
ことである。 【解決手段】3−アルコキシアクリロニトリル及び3,
3−ジアルコキシプロピオニトリルからなる群から選ば
れた少なくとも1種のニトリル化合物と尿素とを、アル
カリ金属アルコラ−トの存在下に、水難溶性有機溶媒中
で、反応させて、シトシンのアルカリ金属塩を含む反応
混合液を得て、次いで、その反応混合液に水を添加して
層分離により水層(水溶液)を分離して、その水層に水
可溶性低級アルコ−ルを添加して、その水溶液を酸で中
和してシトシンを生成させ、シトシン結晶をその中和液
から析出させることにより、高い純度のシトシン結晶を
工業的に容易に得ることができる方法に係わる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、副生物からなる不
純物を実質的に含有していない、高い純度のシトシン結
晶を工業的に容易に製造する方法に係わる。前記のシト
シンは、例えば、抗菌剤、抗ウィルス剤などの医薬品の
製造原料として有用な化合物である。そのシトシンは、
一般に、次に示す式(5)で示されるものであり、以
下、シトシン結晶(5)と言うこともある。
【0002】
【化5】
【0003】
【従来の技術】3−アルコキシアクリロニトリル(1)
及び/又は3,3−ジアルコキシプロピオニトリル
(2)のニトリル化合物と、尿素とを、アルカリ金属ア
ルコラ−ト(3)の存在下に反応させることによりシト
シンを生成させるシトシンの製法としては、従来、種々
の方法が提案されている。特に、上記の反応において尿
素とアルカリ金属アルコラ−トとの混合物が熱に不安定
であることから、この熱の問題を解消する目的などで種
々の反応溶媒が提案されている。
【0004】例えば、特開平2−273663号公報に
は、反応溶媒としてキシレン又はトルエンのような水に
対して難溶性の有機溶媒を使用することにより、収率7
0%以上で生成物としてシトシンのアルカリ金属塩
(4)を主として含む反応混合液を得て、その反応混合
液からアルコ−ルを除去することにより反応を完結させ
た後、水を添加し、層分離して得た、シトシンのアルカ
リ金属塩(4)を含む水層(水溶液)を酸で中和してシ
トシンを生成させ、水層(水溶液)の中和液からシトシ
ンを析出させて単離するという製法が開示されている。
【0005】近年、シトシンなどを医薬の原料物質とし
て使用する場合には、特にその純度が高いレベルである
ように要求されるようになっている。すなわち、シトシ
ンの合成における副生物は、シトシンと類似した官能基
を持つことが多いため、医薬化合物の合成の途中で分離
・除去することが困難であり、最終的に目的の医薬化合
物中にまで随伴することが多く、シトシンを医薬原料と
して高い純度にすることが要求されることとなった。特
開平2−273663号公報に開示されている方法で
は、その反応で得られるシトシン結晶中に、式(6)
【0006】
【化6】
【0007】で示される7−アミノ−2,3−ジヒドロ
−2−オキソ−ピリド〔2,3−d〕ピリミジン〔以
下、不純物(6)とも言う〕、及び、そのアルカリ金属
塩が微量含まれる。
【0008】不純物(6)などを微量含むシトシンのア
ルカリ金属塩(4)の水溶液から不純物を除去すること
は、特開平2−273663号公報に記載の製法〔シト
シンのアルカリ金属塩(4)を含む反応混合液に水を添
加し、分離した水層を酸で中和してシトシンを生成さ
せ、シトシン結晶(5)を水層から析出させて、単離す
る方法〕ではかなり困難である。そして、この製法では
不純物(6)がシトシンと同じ官能基を持つために、こ
の不純物(6)などを含むシトシン結晶(5)を医薬品
用化合物の製造用の原料として使用した場合、不純物
(6)に由来する副生物が生じる恐れがある。従来公知
のシトシンの製法は、高い純度のシトシン結晶(5)を
工業的に得る製法としては充分に満足することができな
いものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、第1工程に
おいて、3−アルコキシアクリロニトリル(1)及び/
又は3,3−ジアルコキシプロピオニトリル(2)のニ
トリル化合物と、尿素とを、アルカリ金属アルコラ−ト
(3)の存在下に、水難溶性有機溶媒中で反応させてシ
トシンのアルカリ金属塩(4)を含む反応生成物を生成
させ、次いで、第2工程において、その反応混合液に水
を添加し、層分離させて得られたシトシンのアルカリ金
属塩(4)を含む水層(水溶液)を得て、さらに、その
水層を酸で中和することにより、『式(5)で示される
シトシン結晶(5)』を中和液から析出させるシトシン
の製法において、前述の第1工程の反応でシトシンのア
ルカリ金属塩(4)と共に生成する『式(6)で示され
る不純物(6)又はそのアルカリ金属塩』などが充分に
除去された高い純度のシトシン結晶(5)を工業的に容
易に製造することができる方法を提供することを目的と
している。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1工程にお
いて、式(1)
【0011】
【化7】 (式中、R1 は炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表
わされる3−アルコキシアクリロニトリル(1)、及
び、式(2)
【0012】
【化8】
【0013】(式中、R2 及びR3 は、同一または異な
っていてもよい、炭素数1〜6のアルキル基を示す)で
表わされる3,3−ジアルコキシプロピオニトリル
(2)からなる群から選ばれた少なくとも1種のニトリ
ル化合物と、尿素とを、式(3)
【0014】
【化9】
【0015】(式中、R4 は炭素数1〜6のアルキル基
を示し、Xはアルカリ金属を示す)で表わされるアルカ
リ金属アルコラ−ト(3)の存在下に、水難溶性有機溶
媒中で反応させて、式(4)
【0016】
【化10】
【0017】(式中、Xは前記と同じである)で示され
るシトシンのアルカリ金属塩(4)を主成分とする反応
生成物を生成させ、次いで、第2工程において、前記の
第1工程の反応によって得られた『シトシンのアルカリ
金属塩(4)を含む反応混合液』に水を添加・混合して
有機溶媒層と水層とに層分離させ、その層分離によって
得られた『シトシンのアルカリ金属塩(4)を含む水層
(水溶液)』に水可溶性低級アルコールを添加し、さら
に、その水溶液を酸で中和することにより、シトシン結
晶(5)をその中和液から析出させ、単離することを特
徴とするシトシンの製法に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明におけるシトシンの製法
は、例えば、次に概略を例示するような、第1工程と第
2工程とを少なくとも必須とする反応・操作工程からな
っている。
【0019】
【化11】
【0020】本発明における第1工程は、反応・操作工
程(A工程)に例示されているように、3−アルコキシ
アクリロニトリル(1)及び3,3−ジアルコキシプロ
ピオニトリル(2)からなる群から選ばれた少なくとも
1種のニトリル化合物と、尿素とを、式(3)で表わさ
れるアルカリ金属アルコラ−ト(3)の存在下に、水難
溶性有機溶媒中で、必要であれば低級アルコール(最初
から添加されていた低級アルコール溶媒及び反応で副成
する低級アルコール)を留去しながら反応させて、シト
シンのアルカリ金属塩(4)を主な反応生成物として含
む反応混合液を得る工程である。
【0021】本発明の第1工程において使用されるニト
リル化合物は、式(1)中のR1 が炭素数1〜6(特に
炭素数1〜4)のアルキル基である3−アルコキシアク
リロニトリル(1)である。また、式(2)中のR2
びR3 が同一又は異なっていてもよい、炭素数1〜6
(特に炭素数1〜4)のアルキル基である3,3−ジア
ルコキシプロピオニトリル(2)であってもよい。前述
の式(1)におけるR1 、或いは、式(2)におけるR
2 及びR3 としては、例えば、メチル、エチル、n−プ
ロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−
ペンチル、n−ヘキシルなどの直鎖状又は分枝状のアル
キル基(炭素数1〜6のアルキル基)をそれぞれ好適に
挙げることができる。
【0022】本発明の第1工程において使用されるニト
リル化合物(1)としては、式(1)におけるR1 が炭
素数1〜4の低級アルキル基であるような式(1)で示
されるアクリロニトリル化合物が好ましく、中でも式
(1)におけるR1 がメチル、エチルまたはプロピルで
ある3−アルコキシアクリロニトリル(1)が特に好ま
しい。また、ニトリル化合物(2)としては、式(2)
におけるR2 及びR3 がいずれも炭素数1〜4のアルキ
ル基であるような式(2)で示されるプロピオニトリル
化合物が好ましく、中でも式(2)におけるR2 及びR
3 がいずれもメチル、エチルまたはプロピルである3,
3−ジアルコキシプロピオニトリル(2)が特に好まし
い。
【0023】本発明の第1工程において使用されるニト
リル化合物としては、3−アルコキシアクリロニトリル
(1)と3,3−ジアルコキシプロピオニトリル(2)
とが併用されていてもよく、ニトリル化合物全使用量に
対して、これらがどのような割合で使用されても差しつ
かえない。
【0024】本発明の第1工程の反応において使用され
るアルカリ金属アルコラ−ト(3)は式(3)で表わさ
れるアルコラート化合物であり、その式(3)における
4は炭素数1〜6のアルキル基であるアルカリ金属ア
ルコラ−ト(3)が好ましい。本発明においては、その
式(3)中のR4 が、例えば、メチル、エチル、n−プ
ロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−
ペンチル、n−ヘキシルなどの直鎖状又は分枝状のアル
キル基であるアルカリ金属アルコラ−ト(3)を好適に
使用することができる。
【0025】第1工程で使用されるアルカリ金属アルコ
ラ−ト(3)において、式(3)中のXはアルカリ金属
であり、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム又は
ルビジウムを挙げることができる。本発明でのアルカリ
金属アルコラ−ト(3)としては、ナトリウムメトキシ
ド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムn−プロポキシ
ド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシ
ド、カリウムn−プロポキシド、カリウムイソプロポキ
シド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属の低級
アルコラート(炭素数1〜4個の低級アルコールのアル
カリ金属アルコラート)が好ましい。
【0026】本発明の第1工程で使用される水難溶性有
機溶媒は、水に対して25℃で10容量%(特に5容量
%)以上溶解することができない有機溶媒であることが
好ましい。この有機溶媒としては、特に、置換基を有し
ていてもよい脂肪族又は脂環式炭化水素系の水難溶性有
機溶媒、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素系の
水難溶性有機溶媒、及び、エーテル系の水難溶性有機溶
媒からなる群から選ばれた少なくとも1種の水難溶性有
機溶媒が好適である。
【0027】前記の水難溶性有機溶媒としては、例え
ば、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサ
ン、シクロヘプタン、ニトロエタンなどの置換基を有し
てもよい脂肪族又は脂環式炭化水素系の水難溶性有機溶
媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クモール、クロル
ベンゼン、ニトロベンゼン、エチルベンゼンなどの置換
基を有していてもよい芳香族炭化水素系の水難溶性有機
溶媒、アニソール、ジベンジルエーテル、ジエチレング
リコールエーテルなどのエーテル系の水難溶性有機溶媒
などを好適に挙げることができる。本発明では、前記の
水難溶性有機溶媒として、中でもトルエン、キシレン、
クモールなどのアルキル基を置換基として有する芳香族
炭化水素系の水難溶性有機溶媒が好適である。
【0028】本発明の第1工程において、反応混合物
(反応開始時)中のニトリル化合物の濃度は、0.5〜
40重量%、特に1.0〜30重量%、更に2〜25重
量%程度であることが好ましい。本発明の第1工程にお
ける尿素の使用量は、第1工程で使用されるニトリル化
合物1モルに対して、0.2〜10倍モル、特に0.5
〜8倍モル、更に1.0〜5倍モル程度となるような割
合の量であることが好ましい。本発明の第1工程におけ
るアルカリ金属アルコラート(3)の使用量は、第1工
程で使用されるニトリル化合物1モルに対して、0.1
〜10倍モル、特に0.5〜8倍モル、更に1.0〜5
倍モル程度であることが好ましい。
【0029】本発明の第1工程における反応温度は約5
0〜150℃程度であればよい。その第1工程において
は、ニトリル化合物とアルカリ金属アルコラート(3)
とに由来して副生する低級アルコール(例えば、メタノ
ール、エタノールなど)を反応混合液から留去しながら
反応させることが好ましい。例えば、低級アルコールが
多量に副生する反応初期には、反応温度を該低級アルコ
ールの沸点近くの比較的低い温度(特に約50〜90
℃、更に60〜80℃程度)とすることになり、そし
て、低級アルコールの留出が実質的になくなる反応終了
時には、水難溶性有機溶媒の沸点近く(特に90〜13
0℃、更に95〜120℃程度)まで反応温度を上昇さ
せて、反応混合液から低級アルコールをほとんど(実質
的に全量)留去させることが好ましい。
【0030】本発明では、前述の第1工程における低級
アルコール留出時後半における反応温度は、この反応に
使用された水難溶性有機溶媒の沸点(B℃)に対して、
(B−50)℃〜(B+50)℃の範囲、特に(B−4
0)℃〜(B+30)℃程度の範囲内で次第に昇温させ
ることが、反応混合液を安定に還流させながら第1工程
の反応を行わせると共に副生する低級アルコールを効果
的に留去させるために好ましい。本発明の第1工程にお
ける反応時間は0.1〜50時間であればよく、特に
0.5〜20時間、更に1〜10時間程度の範囲である
ことが好ましい。
【0031】本発明の第1工程において、前記の反応を
させるためには、反応圧力を約0.5〜20気圧とする
ことが好ましいが、本発明の第1工程においては、反応
温度を60〜130℃、特に65〜125℃、更に70
〜120℃とすると共に、反応圧力を常圧付近(特に
0.8〜1.5気圧、更に0.9〜1.2気圧)とする
ことが特に好ましい。
【0032】本発明の第1工程において得られるシトシ
ンのアルカリ金属塩(4)を含む反応混合液はそのまま
第2工程に供することが好ましいが、必要であれば、水
難溶性有機溶媒を除去して反応混合液中の反応生成物の
濃度を調整するなどして第2工程に供することもでき
る。
【0033】本発明の第2工程では、前述のような第1
工程において得られた『シトシンのアルカリ金属塩
(4)を含む反応混合液』に水を添加・混合して、層分
離により有機溶媒層と水層(シトシンのアルカリ金属塩
(4)を含む水溶液)とに分離し、その層分離により得
られた『シトシンのアルカリ金属塩(4)を含む水層
(水溶液)』に水可溶性低級アルコールを添加し、更
に、その水溶液を適当な酸で中和して、シトシン結晶
(5)を析出させて単離することにより、前記の不純物
(6)などが除去されている高い純度のシトシン結晶
(5)を得るのである。
【0034】本発明の第2工程において、第1工程で得
られた反応混合液に添加される水の使用量は、有機溶媒
層と水層とを効果的に層分離させることができればどの
ような使用量であってもよい。特に、水の使用量が、第
1工程の反応で生成するシトシンのアルカリ金属塩
(4)の合計量(重量:シトシン換算)に対して、1〜
50重量倍、特に2〜40重量倍、更に5〜30重量倍
程度であることが、層分離操作により前述の水層(水溶
液)を効果的に得るために好ましい。
【0035】本発明の第2工程において反応混合液に水
を添加し層分離により得られた水層(水溶液)へ添加さ
れる水可溶性低級アルコ−ルとしては、25℃において
水に対して50重量%以上(特に80重量%以上)溶解
しうるような『炭素数1〜4(特に好ましくは炭素数1
〜3)の脂肪族アルコール』が好ましい。前記の脂肪族
アルコールとしては、例えば、メチルアルコ−ル、エチ
ルアルコ−ル、n−プロピルアルコ−ル、イソプロピル
アルコ−ル、tert−ブチルアルコ−ル、イソブチル
アルコールなどの炭素数1〜4の脂肪族アルコール(特
に炭素数1〜3の脂肪族アルコール)を挙げることがで
き、特にイソプロピルアルコールが好適である。
【0036】本発明の第2工程において、前記の水可溶
性低級アルコ−ルの使用量は、第1工程における反応で
生成するシトシンのアルカリ金属塩(4)の合計量(重
量:シトシン換算)に対して、0.5〜15重量倍、特
に1〜10重量倍、更に1.2〜8重量倍程度となるよ
うな量であることが好ましい。そして、水可溶性低級ア
ルコールの使用量は、水層(水溶液)中の水の総量10
0重量部に対して0.5〜50重量部、特に1〜30重
量部、更に2〜20重量部程度となるような量であるこ
とが好ましい。
【0037】前記の層分離によって得られた水層(水溶
液)へ添加される水可溶性低級アルコ−ルの使用量が少
なくなり過ぎると、その水層(水溶液)へ酸を加える中
和工程及び晶析工程において不純物(6)などがシトシ
ン結晶(5)と共に析出してしまうのでシトシン結晶中
の不純物(6)などを効果的に除去できないことがあ
り、また、該低級アルコールの使用量が余りに多くなり
過ぎる場合には、シトシン結晶(5)の析出が少なくな
り、濾液側に溶解しているシトシンが増加して、ロスが
多くなるので、好ましくない。
【0038】即ち、第2工程において、水層へ適当な量
比で加えられた水可溶性低級アルコールは、酸による水
層の中和及びその中和液からシトシン結晶(5)が析出
する際に、不純物(6)がシトシン結晶(5)と共に容
易に析出するのを防止する。このため、中和液から析出
したシトシン結晶(5)に不純物(6)が混入すること
を低く抑えることができる。その結果、得られたシトシ
ン結晶(5)の純度を高くすると共に不純物(6)の含
有率を極めて低くすることができるのである。
【0039】本発明の第2工程において水層(水溶液)
の中和のために使用される酸としては、例えば、塩酸、
硫酸、りん酸、硝酸などの無機酸、酢酸、ギ酸、プロピ
オン酸などの有機カルボン酸を好適に挙げることがで
き、特に、酢酸などの有機カルボン酸がシトシン結晶
(5)の析出操作において好ましい。前述の水層の中和
のための酸の使用量は、水層(水溶液)のpHが7〜
9、特に7〜8となる範囲の水層を調製できるような酸
の使用量であればよい。
【0040】本発明の第2工程において、水の添加によ
る層分離、酸添加による水層(水溶液)の中和、シトシ
ン結晶(5)の析出などは0〜100℃という広い温度
範囲で行ってもよく、例えば、5〜50℃の温度で水層
の中和を行うと共に、その中和液からシトシン結晶
(5)を析出させて、更に、必要であれば、中和液を室
温(25℃)以下の温度に冷却することが好ましい。
【0041】なお、例えば、前記の第2工程において水
層(水溶液)に酸を添加する中和操作を約60〜100
℃、特に70〜90℃の比較的高温で行い、そして、中
和された水層(水溶液)からシトシン結晶(5)を析出
させる操作は、中和操作における水層の温度よりも約1
0〜100℃、更に20〜50℃程度低い温度であっ
て、しかも0〜80℃、特に5〜70℃、更に10〜5
0℃である比較的低い温度にまで冷却することによって
行うことができる。本発明の第2工程においては、前述
のいずれの操作も大気圧下で行われるが、減圧下、或い
は、加圧下でも行うことができる。
【0042】本発明の第2工程において析出したシトシ
ン結晶(5)は、例えば、濾過等の常法により単離され
るが、更に、必要であれば、その水層から析出したシト
シン結晶(5)を減圧下等で充分に乾燥すると共に、シ
トシン結晶(5)から結晶水(シトシン1分子に対して
結晶水1分子)を実質的に除去することが好ましい。こ
のようにして、医薬品原料として十分に高い純度を有し
ているシトシン結晶(5)を容易に得ることができる。
【0043】本発明の第2工程において得られたシトシ
ン結晶(5)は、医薬品原料として、十分に高い純度を
有しているが、更に高い純度のシトシン結晶(5)を得
る場合には、第3工程
【0044】
【化12】
【0045】で表わされる再結晶化処理(必要であれば
活性炭処理を併用する)を前述の第2工程の後に組み合
わせることにより達成することができる。
【0046】本発明の第2工程に更に追加される再結晶
操作(第3工程)は、第2工程で得られた『不純物を含
むシトシン結晶』を、アルカリ金属水酸化物の水溶液に
溶解し攪拌して(必要であれば得られた溶解液に活性炭
を添加し、濾過して精製して)、シトシンのアルカリ金
属塩(4)を含む水溶液を調製する。そのようにして得
られたシトシンのアルカリ金属塩(4)を含む水溶液
(又はその濾液)について第2工程と同様に『酸の添加
による中和操作』と『シトシン結晶(5)の析出操作』
とを行い、最後に濾別により濾液とシトシン結晶(5)
とに分離して高い純度のシトシン結晶(5)を得るので
ある。
【0047】本発明の第3工程において使用されるアル
カリ金属水酸化物としては、例えば、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム又はルビジウムの各水酸化物を挙げるこ
とができ、特にリチウム、ナトリウム又はカリウムの各
水酸化物が好ましい。この発明の再結晶操作では、アル
カリ金属水酸化物として更に好ましいものは水酸化ナト
リウム又は水酸化カリウムである。
【0048】本発明の第3工程において使用されるアル
カリ金属水酸化物の水溶液は、濃度が5〜30重量%、
特に10〜20重量%程度であることが好ましく、そし
て、その水溶液の使用量は、第3工程で使用するシトシ
ン結晶(5)100重量部に対して、100〜1000
重量部、特に150〜800重量部、更に200〜50
0重量部程度であることが好ましい。
【0049】本発明の第3工程において使用される活性
炭の量は、第3工程で使用するシトシン結晶100重量
部に対して、1〜50重量部、特に2〜30重量部、更
に5〜20重量部程度であることが好ましい。
【0050】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示して本発明をさ
らに詳しく説明する。しかし、本発明の範囲はこれらの
実施例に限定されるものではない。実施例、参考例及び
比較例における液体クロマトグラフフィー(以下HPL
Cと略記する)の分析条件は以下の通りである。
【0051】HPLCの分析条件: カラム;TSK−gel ODS−80TM(商品名:
東ソ−株式会社製)4.6mmφx250mm カラム温度;35℃ 移動相;水970ml、アセトニトリル30ml、リン
酸二水素アンモニウム5.75g及びヘキサンスルホン
酸ナトリウム1.88gの混合水溶液をリン酸を使用し
てpH3.5に調製したもの。 流速;1.0ml/min 検出波長;242nm 保持時間;シトシン8.1分間、 化合物(6)18.
8分間
【0052】実施例1 第1工程として、まず、尿素120.4g(2.0モル)
と、ナトリウムメトキシドのメタノ−ル溶液231.2
g〔NaOCH3 :64.7g(28重量%)、CH3OH:1
66.5 g(72重量%)〕と、ニトリル化合物112g(1.
01 モル)〔3, 3- ジメトキシプロピオニトリル(89.1
重量%)と3−メトキシアクリロニトリル(10.9重量
%)との混合物〕とを、トルエン800mlに溶解させ
て、反応原料液を得た。その反応原料溶液を常圧で約7
0℃付近まで加熱還流すると共にメタノールを留去しな
がら4時間反応させ(後半の反応温度は80〜120
℃)、シトシンのナトリウム塩を含む反応混合液を得
た。
【0053】第2工程として、その4時間の反応によっ
て得られた反応混合液を室温(25℃)に冷却すると共
に、460mlの水を添加して層分離させた後、トルエ
ン層(有機溶媒層)を除去して、シトシンのナトリウム
塩などの反応生成物が溶解している水層(水溶液)を得
た。その層分離操作で得られた水層(水溶液)673.
6gをHPLCで定量分析したところ、シトシンのナト
リウム塩はシトシンに換算して96.9g(0.87モ
ル)含まれていることが確認された。
【0054】前述のようにして得られたシトシンのナト
リウム塩を反応生成物として主として含む水層(水溶
液)224g(シトシン換算の含有量:30.93g)
にメタノール60.93gを添加した後、この水溶液を
40℃に保ちながら、酢酸20.31gをゆっくりと滴
下して、該水溶液を中和すると共にシトシン結晶を析出
させ、そして、その中和液のpHを7.5まで中和した
後、室温(25℃)にまで冷却して、その中和液からシ
トシン結晶をほぼ全量析出させた。前記の酢酸の滴下を
終了させた後、pH7.5にまで中和した水溶液から析
出したシトシン結晶が分散しているスラリー状の水溶液
を室温で濾別し、得られたシトシン結晶を減圧乾燥した
ところ、シトシン結晶26.07gが得られた。該シト
シン結晶をHPLCで定量分析したところ、シトシン結
晶はその純度が99.41重量%であって、不純物
(6)の含有率が0.04重量%であった。
【0055】実施例2 実施例1の第1工程及び第2工程に続く第3工程とし
て、実施例1の第2工程で得られたシトシン結晶25.
0gを、14重量%の水酸化ナトリウム水溶液78.8
7gに溶解して、シトシンのナトリウム塩の水溶液を調
製した。そのシトシンのナトリウム塩を含む水溶液にメ
タノール50gを添加した後、40℃に保ちながら酢酸
16.25gをゆっくりと滴下して、該水溶液を中和し
た。最終的にpH7.5まで中和してシトシン結晶を析
出させた。
【0056】酢酸の滴下を終了した後、pH7.5の該
水溶液(中和液)から析出したシトシン結晶を室温で濾
別して、得られたシトシン結晶を減圧乾燥したところ、
シトシン結晶21.84gが得られた。該シトシン結晶
をHPLCで定量分析したところ、シトシン結晶はその
純度が99.98重量%であり、不純物(6)の含有率
が約0.00重量%であって不純物(6)が実質的に検
出されなかった。
【0057】実施例3 実施例1の第1工程及び第2工程に続く第3工程とし
て、実施例1の第2工程で得られたシトシン結晶23.
0gを、14重量%の水酸化ナトリウム水溶液72.5
gに溶解して、シトシンのナトリウム塩を含む水溶液を
調製した。そのシトシンのナトリウム塩を含む水溶液に
活性炭(商品名;カルボラフィン:武田薬品工業社製)
2.3gを添加して、その水溶液を45℃で1時間攪拌
した後に、活性炭を濾別して濾液(水溶液)を得た。そ
の濾液にメタノール46gを添加した後、40℃に保ち
ながら酢酸19.6gをゆっくりと滴下して、該水溶液
を中和してシトシン結晶を析出させた。
【0058】酢酸の滴下を終了した後、pH7.5にま
で中和した該水溶液(中和液)から析出したシトシン結
晶を室温で濾別して、得られたシトシン結晶を減圧乾燥
したところ、シトシン結晶19.7gが得られた。該シ
トシン結晶をHPLCで定量分析したところ、シトシン
結晶は、その純度が99.98重量%であり、不純物
(5)の含有率が約0.00重量%であって不純物
(6)が実質的に検出されなかった。
【0059】比較例1 実施例1の第1工程及び第2工程の途中(層分離)ま
で、実施例1と同様に実施して、シトシンのナトリウム
塩を含む水層(水溶液)222gを得た。その水溶液
(シトシンのナトリウム塩のシトシン換算での含有量3
1.9g)にメタノールの添加をすることなく、40℃
に保ちながら酢酸19.6gをゆっくりと滴下して、該
水溶液を中和してシトシンを生成させると共に、シトシ
ン結晶を析出させた。
【0060】酢酸の滴下を終了した後、pH7.5にま
で中和した該水溶液(中和液)から析出したシトシン結
晶を室温で濾別し、得られたシトシン結晶を減圧乾燥し
たところ、シトシン結晶25.7gが得られた。該シト
シン結晶をHPLCで定量分析したところ、シトシン結
晶はその純度が99.41重量%であり、不純物(6)
の含有率が0.16重量%であった。
【0061】実施例4 実施例1と同様にして、第1工程の反応を行って、生成
したシトシンのナトリウム塩を含む反応混合液を得た。
第2工程として、その反応混合液を室温に冷却すると共
に、水を460ml添加して、層分離させてトルエン層
(有機溶媒層)を除去して、シトシンのナトリウム塩な
どの反応生成物が溶解している水層(水溶液)を分離さ
せ、その層分離操作で得られた水層673.6gをHP
LCで定量分析したところ、シトシンのナトリウム塩は
シトシン換算で96.9g(0.87モル)含まれてい
ることが確認された。
【0062】前述のようにして得られた『シトシンのナ
トリウム塩(シトシン換算で)31.9gを含む水溶液
222g』にイソプロピルアルコール63.9gを添加
し、その水溶液を40℃に保ちながら酢酸19.6gを
ゆっくりと滴下して、該水溶液を中和してシトシン結晶
を析出させた。
【0063】酢酸の滴下を終了した後、pH7.5にま
で中和した該水溶液から析出したシトシン結晶を室温で
濾別し、得られたシトシン結晶を減圧乾燥したところ、
シトシン結晶25.0gが得られた。該シトシン結晶を
HPLC分で定量分析したところ、シトシン結晶はその
純度が99.73重量%であり、不純物(6)の含有率
が0.01重量%であった。
【0064】実施例5 実施例4の第1工程及び第2工程に続く第3工程とし
て、実施例4の第2工程で得られたシトシン結晶23.
0gを、14重量%の水酸化ナトリウム水溶液72.5
gに溶解して、シトシンのナトリウム塩を含む水溶液を
調製した。そのシトシンのナトリウム塩を含む水溶液に
メタノール50gを添加した後、40℃に保ちながら酢
酸19.6gをゆっくりと滴下して、該水溶液を中和し
てシトシン結晶を析出させた。
【0065】酢酸の滴下を終了した後、pH7.5にま
で中和した該水溶液から析出したシトシン結晶を室温で
濾別し、得られたシトシン結晶を減圧乾燥したところ、
シトシン結晶19.7gが得られた。該シトシン結晶を
HPLCで定量分析したところ、シトシン結晶はその純
度が99.98重量%であり不純物(6)の含有率が
0.00重量%であった。
【0066】実施例6 実施例5の第3工程と同様に調製したシトシンと水酸化
ナトリウムとの水溶液に活性炭(商品名;カルボラフィ
ン:武田薬品工業社製)2.3gを添加して、45℃で
1時間攪拌して、活性炭と濾液とに濾別した。その濾液
にイソプロピルアルコール46gを添加した後、45℃
に保ちながら酢酸19.6gをゆっくりと滴下して、該
水溶液を中和してシトシン結晶を析出させた。
【0067】滴下を終了させた後、pH7.5まで中和
した該水溶液から析出したシトシン結晶を室温で濾別し
て、得られたシトシン結晶を減圧乾燥したところ、シト
シン結晶19.2gが得られた。該シトシン結晶をHP
LCで定量分析したところ、シトシン結晶は、その純度
が99.98重量%であり、不純物(6)の含有率が
0.00重量%であって、実質的に不純物が検出されな
かった。
【0068】実施例7 第1工程として、先ず、尿素30g(0.50モル)
と、ナトリウムメトキシド(NaOCH3 :20.3
g、28重量%)がメタノール(CH3 OH:52.2
g、72重量%)に溶解したメタノール溶液72.5g
と、3−メトキシアクリロニトリル16.5g(0.1
98モル)とを、トルエン130mlに混合して反応原
料液を調製した。その反応原料液を加熱還流させて、4
時間反応させた。さらに、内部温度が100℃になるま
で溶媒に用いたメタノールと反応で生じるメタノールを
トルエンと共に留去し、シトシンのナトリウム塩を含む
反応混合液を得た。
【0069】第2工程として、そのシトシンのナトリウ
ム塩を含む反応混合液を室温に冷却すると共に、水を1
14ml添加して、層分離させてトルエン層(有機溶媒
層)を除去して、シトシンのナトリウム塩などの反応生
成物が溶解している水層(水溶液)を分離させ、その層
分離操作で得られた水層117.5gをHPLCで定量
分析したところ、シトシンのナトリウム塩はシトシンと
して18.6g(0.167モル)含まれていることが
確認された。前述のようにして得られたシトシンのナト
リウム塩を反応生成物として含む水層(水溶液)14
0.0g(シトシンとして14.69g含有)にメタノ
ール36.8gを添加した後、この水溶液を40℃に保
ちながら酢酸15.9gをゆっくりと滴下して該水溶液
を中和すると共に、シトシン結晶を析出させた。前記の
酢酸の滴下を終了させた後、その中和した水溶液から析
出したシトシン結晶を室温で濾別し、得られたシトシン
結晶をHPLCで定量分析したところ、シトシン結晶は
その純度が99.57重量%であって、不純物(6)の
含有率が0.03重量%であった。
【0070】比較例2 実施例4の第1工程及び第2工程の途中(層分離)まで
実施例4と同様に実施して、『シトシンのナトリウム塩
を含む水層(水溶液)224g』を得た。 その水溶液
(シトシンのナトリウム塩のシトシン換算での含有量3
0.5g)にイソプロピルアルコールの添加をすること
なく、40℃に保ちながら酢酸20.31gをゆっくり
と滴下して、該水溶液を中和してシトシン結晶を析出さ
せた。
【0071】酢酸の滴下を終了した後、pH7.5まで
中和した該水溶液から析出したシトシン結晶を室温で濾
別し、得られたシトシン結晶を減圧乾燥したところ、シ
トシン結晶27.28gが得られた。該シトシン結晶を
HPLCで定量分析したところ、シトシン結晶は、その
純度が99.4重量%であり、不純物(6)の含有率が
0.17重量%であった。
【0072】比較例3 第1工程として、先ず、尿素90g(1.50モル)
と、ナトリウムメトキシド粉末60.9g(1.13モ
ル)と、ニトリル化合物68.4g(0.62モル)
〔3,3-ジアルコキシプロピオニトリル(89.1重量
%)と3-アルコキシアクリロニトリル(10.9重量
%)との混合物〕とを、トルエン390mlに混合して
反応原料液を調製して、その反応原料液を加熱還流させ
て、6時間反応させて、シトシンのナトリウム塩を生成
させた。第2工程として、そのシトシンのナトリウム塩
を含む反応混合物をそのまま室温に冷却すると共に、水
を340ml添加して、層分離させてトルエン層(有機
溶媒層)を除去して、シトリンのナトリウム塩などの反
応生成物が溶解している水層(水溶液)を分離させ、そ
の層分離操作で得られた水層553.0gをHPLCで
定量分析したところ、シトシンのナトリウム塩はシトシ
ンとして52.3g(0.471モル)含まれているこ
とが確認された。又、この層分離操作で得られる水層に
は、GC定量分析によりメタノールが10.8重量%
(59.7g、1.86モル)含まれていることが確認
された。
【0073】前述のようにして得られたシトシンのナト
リウム塩を反応生成物として含む水層(水溶液)54
8.0g(シトシンとして51.84g含有し、メタノ
ール59.2g含有する)に、酢酸15.9gをゆっく
りと滴下して該水溶液を中和すると共に、シトシンの結
晶を析出させた。酢酸の滴下中は、中和される水溶液を
40℃に保った。前述の酢酸の滴下を終了させた後、そ
の中和した水溶液から析出したシトシン結晶を室温で濾
別し、得られたシトシン結晶を減圧乾燥したところ、シ
トシン結晶42.3gが得られた。該シトシン結晶をH
PLCで定量分析したところ、シトシン結晶はその純度
が99.25重量%であって、不純物(6)の含有率が
0.11重量%であった
【0074】
【本発明の作用効果】本発明によれば、3−アルコキシ
アクリロニトリル(1)及び3,3−ジアルコキシプロ
ピオニトリル(2)からなる群から選ばれた少なくとも
1種のニトリル化合物と、尿素とを、アルカリ金属アル
コラ−ト(3)の存在下に、水難溶性有機溶媒中で反応
させてシトシンのアルカリ金属塩(4)を含む反応混合
液を得た後、水を添加して層分離して、シトシンのアル
カリ金属塩(4)を含む水層(水溶液)に水可溶性低級
アルコ−ルを添加しその水層を酸で中和してシトシン結
晶(5)を析出させることにより、この反応における副
生物である不純物(6)などが効果的に除去された高い
純度のシトシン結晶(5)を工業的に容易に得ることが
できるという優れた効果を有する。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1工程において、式(1) 【化1】 (式中、R1 は炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表
    わされる3−アルコキシアクリロニトリル(1)、及
    び、式(2) 【化2】 (式中、R2 及びR3 は、同一または異なっていてもよ
    い、炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表わされる
    3,3−ジアルコキシプロピオニトリル(2)からなる
    群から選ばれた少なくとも1種のニトリル化合物と、尿
    素とを、式(3) 【化3】 (式中、R4 は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは
    アルカリ金属を示す)で表わされるアルカリ金属アルコ
    ラ−ト(3)の存在下に、水難溶性有機溶媒中で反応さ
    せて、式(4) 【化4】 (式中、Xは前記と同じである)で示されるシトシンの
    アルカリ金属塩(4)を生成させ、次いで、第2工程に
    おいて、前記の第1工程の反応によって得られたシトシ
    ンのアルカリ金属塩(4)を含む反応混合液に水を添加
    ・混合して有機溶媒層と水層とに層分離させ、その層分
    離により得られたシトシンのアルカリ金属塩(4)を含
    む水層(水溶液)に水可溶性低級アルコールを添加し、
    更に、その水溶液を酸で中和することにより、シトシン
    結晶(5)をその中和液から析出させ単離することを特
    徴とするシトシンの製法。
  2. 【請求項2】第1工程において使用する水難溶性有機溶
    媒が、25℃において水に10容量%以上溶解すること
    ができない有機溶媒である請求項1に記載のシトシンの
    製法。
  3. 【請求項3】第1工程において、低級アルコールを留去
    しながら反応させてシトシンのアルカリ金属塩(4)を
    生成させる請求項1に記載のシトシンの製法。
  4. 【請求項4】第1工程において使用する水難溶性有機溶
    媒が、置換基を有していてもよい脂肪族又は脂環式炭化
    水素系の水難溶性有機溶媒、置換基を有していてもよい
    芳香族炭化水素系の水難溶性有機溶媒、及びエーテル系
    の水難溶性有機溶媒からなる群から選ばれた少なくとも
    1種の水難溶性有機溶媒である請求項1に記載のシトシ
    ンの製法。
  5. 【請求項5】第2工程において、第1工程で得られたシ
    トシンのアルカリ金属塩(4)を含む反応混合液へ添加
    される水の添加量が、第1工程の反応で生成するシトシ
    ンのアルカリ金属塩(4)の合計量に対して1〜50重
    量倍である請求項1に記載のシトシンの製法。
  6. 【請求項6】第2工程において層分離により得られたシ
    トシンのアルカリ金属塩(4)が溶解している水層(水
    溶液)へ添加される水可溶性低級アルコールの添加量
    が、第1工程における反応で生成するシトシンのアルカ
    リ金属塩(4)の合計量(重量:シトシン換算)に対し
    て、0.5〜15重量倍である請求項1に記載のシトシ
    ンの製法。
  7. 【請求項7】第2工程において層分離により得られたシ
    トシンのアルカリ金属塩(4)が溶解している水層(水
    溶液)へ添加される水可溶性低級アルコールが、25℃
    において水に50容量%以上溶解しうる炭素数1〜4の
    脂肪族アルコールである請求項1に記載のシトシンの製
    法。
  8. 【請求項8】第2工程において水層(水溶液)へ添加さ
    れる水可溶性低級アルコールが、イソプロピルアルコー
    ルである請求項1に記載のシトシンの製法。
  9. 【請求項9】第2工程で得られたシトシン結晶(5)を
    アルカリ金属水酸化物の水溶液に溶解し、そして水可溶
    性低級アルコールを添加して、シトシンのアルカリ水溶
    液を調製し、次いで、その水溶液に酸を添加し中和して
    シトシンを生成させ、シトシン結晶(5)を中和液から
    析出させる請求項1に記載のシトシンの製法。
  10. 【請求項10】第2工程で得られたシトシン結晶(5)
    をアルカリ金属水酸化物の水溶液に溶解し、更に活性炭
    を添加して、活性炭と水溶液とを濾別して、濾液に水可
    溶性アルコールを添加してシトシンのアルカリ水溶液を
    調製し、次いで、その水溶液に酸を添加し中和してシト
    シンを生成させ、シトシン結晶(5)を中和液から析出
    させる請求項1に記載のシトシンの製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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