JPH1190800A - クランクピンの研削方法および研削装置ならびにクランクシャフトの剛性測定装置 - Google Patents

クランクピンの研削方法および研削装置ならびにクランクシャフトの剛性測定装置

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JPH1190800A
JPH1190800A JP25233797A JP25233797A JPH1190800A JP H1190800 A JPH1190800 A JP H1190800A JP 25233797 A JP25233797 A JP 25233797A JP 25233797 A JP25233797 A JP 25233797A JP H1190800 A JPH1190800 A JP H1190800A
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crank pin
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Yasuo Shinno
康生 新野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研削加工されるクランクピンの真円度を向上
させること。 【解決手段】 本発明は、クランクシャフトSを軸周り
に回転させながら、そのクランクピンPの旋回運動に同
期させて砥石台5を進退させてクランクピンPを研削す
る方法である。本方法は、クランクピンPに荷重をかけ
てその変位を測定することにより、その位置でのクラン
クシャフトSの剛性を算出する剛性測定を複数の角度位
置について行う剛性測定工程と、その測定結果に基づい
て各角度位置におけるクランクピンPに研削時にかかる
荷重によって生じる変位を推算し、同変位に基づいてク
ランクピンPの旋回運動に同期して砥石台5を進退させ
るべき位置に補正を加えた補正位置データを生成するデ
ータ生成工程と、同補正位置データに基づいてクランク
ピンPを研削する研削工程とを有する。クランクシャフ
トSの撓み変形が補正されるので、クランクピンPの真
円度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クランクシャフト
のクランクピンを断面円形に研削するクランクピン研削
技術の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来から広く実施されている技術として
は、クランクピンの中心を割り出してクランクピンの中
心軸周りにクランクシャフトを回転させながらクランク
ピンを砥石で研削する装置が一般的であった。同装置で
は、被研削中のクランクピンが自転するのみで公転(旋
回運動)しないので、クランクピンの砥石に対して背向
する側に撓み止めのレストを当接させて研削が行われて
いる。それゆえ、同装置によれば、真円度が高いクラン
クピンの研削が可能である。
【0003】かような研削盤の一例として、特開平8−
90395号公報に開示されている研削盤がある。同研
削盤には、クランクシャフトの両端を主軸等に固定して
いるチャックの偏心量を補正してピンストロークを補正
するピンストローク補正装置が装備されている。その結
果、上記公報の研削盤によれば、全自動で全てのクラン
クピンのピンストローク精度を向上させることができる
ようになっている。
【0004】本明細書では、上記公報に開示されている
研削装置を従来技術として、以下に本発明の課題を設定
する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、次
の二点の不都合があった。第1に、クランクピンの中心
軸を割り出すための機構が主軸台に必要であるので、主
軸台が大型化してしまうだけではなく研削装置が高価に
なるという不都合があった。第2に、位相(ジャーナル
回転軸周りの角度位置)が異なるクランクピンを加工す
る度に、クランクピンの中心軸の割り出しを行う必要が
あるので、研削加工以前の段取りに工数がかかってしま
い、生産性があまり良くないという不都合がある。
【0006】そこで、ジャーナル回転軸だけを中心とし
てクランクシャフトを回転させ、旋回運動(公転運動)
するクランクピンに同期させて砥石台を進退させて研削
を行う研削盤(以下同期型研削盤と称する)が提案され
ている。このような研削盤によれば、上記不都合が解消
され、比較的小型の研削装置で生産性がよい研削加工が
可能になる。
【0007】しかしながら、かような研削盤ではレスト
が使用されていないので、研削加工されるクランクピン
の真円度が低下するという不都合がある。かといってク
ランクピンの旋回運動と同期して進退するレストを備え
ると、研削装置が大型化し高価になるというジレンマを
抱えている。そこで本発明は、同期型研削盤の生産性を
あまり損なうことなく、生産されるクランクシャフトの
ピン部(クランクピン)の真円度を向上させることがで
きるクランクピンの研削方法および研削装置を提供する
ことを解決すべき課題とする。併せて、同装置に装備さ
れ同方法に使用されて好適なクランクシャフトの剛性測
定装置を提供することをも課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題を解決するために、発明者は以下の手段を発明し
た。 (第1手段)本発明の第1手段は、請求項1記載のクラ
ンクピンの研削方法である。本手段では、クランクシャ
フトをジャーナル回転軸周りに回転させながら、クラン
クシャフトのクランクピンの旋回運動に同期させて砥石
台を進退させ、砥石台が回転駆動する円盤状の砥石によ
ってクランクピンの断面形状が円形になるように研削す
るクランクピンの研削方法において、剛性測定工程とデ
ータ生成工程と研削工程とを備えていることを特徴とし
ている。
【0009】先ず剛性測定工程では、所定の角度位置に
あるクランクピンに所定の荷重をかけ、クランクピンの
変位を測定することにより、当該クランクピンの位置で
のクランクシャフトの剛性を算出する剛性測定が、複数
の角度位置について行なわれる。剛性測定工程により、
複数の角度位置でのクランクピンの剛性が測定されるの
で、砥石切り込み速度に対応して所定の押圧力が砥石か
らクランクピンにかかった場合に、どの程度の変位がク
ランクピンに生じるかを推算することが可能になる。
【0010】次にデータ生成工程では、上記剛性測定工
程での測定結果に基づいて各角度位置におけるクランク
ピンに研削時にかかる荷重によって生じる変位を推算
し、変位に基づいてクランクピンの旋回運動に同期して
砥石台を進退させるべき位置に補正を加えた補正位置デ
ータが生成される。そして研削工程では、上記補正位置
データに基づいてクランクピンが研削されるので、旋回
運動をするクランクピンの各角度位置において常に適正
量に補正された切り込み量で、砥石がクランクピンを研
削加工し続ける。それゆえ、旋回運動するクランクピン
の角度位置によってクランクピンの剛性が変化し撓み変
位が変化するにも係わらず、クランクピンの全周に渡っ
てクランクピンの撓み分が補正されて研削加工される。
その結果、研削加工の仕上がり時のクランクピンの断面
形状の真円度は、撓み変位の補正がされている分だけ向
上する。
【0011】したがって本手段によれば、同期型研削盤
の生産性をあまり損なうことなく、生産されるクランク
シャフトのピン部(クランクピン)の真円度を向上させ
得るクランクピンの研削方法を提供することができると
いう効果がある。 (第2手段)本発明の第2手段は、請求項2記載のクラ
ンクピンの研削方法である。
【0012】本手段では、上記第1手段のクランクピン
の研削方法において、剛性測定工程およびデータ生成工
程に限定が加えられている。すなわち、剛性測定工程で
は、クランクピンにかかる所定の荷重の方向に対して、
クランクピンの角度位置が0°または180°である場
合と、同角度位置が90°または−90°である場合と
で、剛性測定が行われる。一方、データ生成工程では、
前者の場合の変位を曲げ変位とし、後者の場合の変位を
曲げ変位と捻り変位との合成変位としてとらえられる。
そして、押圧力によって生じる変位は、クランクピンの
角度位置および砥石の押圧力の関数として、曲げ変位と
捻り変位との合成変位として推算される。
【0013】それゆえ、本手段では二箇所の角度位置で
の剛性測定が行われるだけでクランクピンの全ての角度
位置での変位を推算することが可能となるので、剛性測
定工程に要する工数が最小限で済む。しかも、比較的精
密にクランクピンの全ての角度位置での変位を推算する
ことが可能となるものと考えられるので、後述の他の手
段に比べても真円度がそれほど劣ることはない。
【0014】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、剛性測定工程に要する工数が最小限
で済むので生産性が向上するという効果がある。 (第3手段)本発明の第3手段は、請求項3記載のクラ
ンクピンの研削方法である。本手段では、上記第1手段
において、剛性測定工程では、クランクピンの角度位置
を多数取って剛性測定が行われ、データ生成工程では、
これらの多数の角度位置での測定結果を補間して補正位
置データが生成される。クランクピンの角度位置の多数
に渡って剛性測定がなされるので、クランクピンの撓み
が、一定の曲げ剛性および捻り剛性だけでとらえられる
ものではなく、曲げ剛性の異方性等によるモデル化が比
較的難しい撓み成分が無視できない場合にも、精密な撓
み補正が可能となる。
【0015】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、曲げ剛性および捻り剛性以外に起因
する撓み成分が無視できない場合にも、より精密な補正
ができるので、クランクピンの真円度がよりいっそう向
上するという効果がある。なお上記補間は、単純な線形
補間であっても良いし、スプライン補間など他の補間方
法による補間であっても良い。
【0016】(第4手段)本発明の第4手段は、請求項
4記載のクランクピンの研削方法である。本手段では、
上記第3手段において、前記剛性測定工程では、クラン
クピンの角度位置を全周のうち第1象限〜第4象限のう
ちいずれかの象限で剛性測定が行われ、データ生成工程
では、その象限で計測された測定結果を他の三つの象限
にも敷衍して補正位置データが生成される。すなわち、
一つの象限と他の象限との角度位置による剛性の分布
は、例えば象限の境界線を対称軸とする線対称の関係に
あるものとの仮定が導入されている。
【0017】それゆえ、一つの象限で多数の点(例えば
両端部を含む三点以上)での剛性測定が行われて、その
一つの象限での変位が推算されれば、その象限から例え
ば線対称であるとして推算された変位を折り返し、隣の
象限の変位の推算に代えることができる。同様にして、
上記一つの象限と対角位置にある象限に対しては、その
隣の象限から線対称であるとして変位の分布を角度位置
の折り返しにより、変位の推算に代えることができる。
その結果、剛性測定をクランクピンの旋回運動の全周に
渡る角度位置に関して行う必要がなく、四分の一周に渡
って行うだけで済むので、剛性測定に要する工数が比較
的少なくて済む。
【0018】したがって本手段によれば、上記第3手段
の効果に加えて、剛性測定工程に要する工数が比較的少
なくて済むので生産性が向上するという効果がある。 (第5手段)本発明の第5手段は、請求項5記載のクラ
ンクピンの研削装置である。本手段には、通常の同期型
研削盤と同様に、クランクシャフトを回転駆動する主軸
台と、砥石を軸支する砥石台と、クランクピンの角度位
置と砥石台の位置とを対応させて数値制御する制御装置
とが、装備されている。本手段のクランクピンの研削装
置の特徴は、クランクシャフトの剛性測定装置とデータ
生成手段とが装備されており、制御装置が、補正位置デ
ータに基づいてクランクピンの旋回に同期して前記砥石
台を進退させることである。
【0019】より詳しく説明すると、クランクシャフト
の剛性測定装置は、クランクピンの複数の所定の角度位
置で、クランクピンに所定の荷重をかけてクランクピン
の変位を測定する装置である。一方、データ生成手段
は、上記剛性測定装置の測定結果に基づいてクランクピ
ンに研削時にかかる荷重によって生じる変位を推算し、
同変位に基づいてクランクピンの旋回運動に同期して砥
石台を進退させるべき位置に補正を加えた補正位置デー
タを生成する手段である。補正位置データが生成された
結果、同補正位置データに基づき、制御装置はクランク
ピンの旋回に同期して砥石台を進退させることが可能に
なる。
【0020】すなわち、本手段のクランクピンの研削装
置は、前述の第1手段ないし第4手段のクランクピンの
研削方法を実施することができるように構成されてい
る。したがって本手段によれば、同期型研削盤の生産性
をあまり損なうことなく、生産されるクランクシャフト
のクランクピンの真円度を向上させ得るクランクピンの
研削装置を提供することができるという効果がある。
【0021】(第6手段)本発明の第6手段は、請求項
6記載のクランクシャフトの剛性測定装置である。本手
段では、当接子がクランクピンに当接して所定の押圧力
を加える一方で、変位計測手段は、クランクピンの表面
上の所定の測定点において、当接子の押圧力によってク
ランクピンに生じる変位を計測する。当接子は、砥石台
に保持されているので、比較的小型軽量に構成すること
が可能である。一方、変位計測手段は、クランクピンの
角度位置に合わせて測定点を移動できるように構成され
ているので、クランクピンの任意の角度位置での変位計
測が可能である。また、同様の理由で、クランクピンの
軸長方向の位置や旋回半径や断面の直径が異なる各種の
クランクシャフトにも適用ができる。
【0022】その結果、前述の第1手段ないし第4手段
のクランクピンの研削方法において剛性測定工程が容易
に実施できるようになる。同様に、上記第5手段のクラ
ンクシャフトの剛性測定装置を比較的容易に構成できる
ようになる。したがって本手段によれば、本発明のクラ
ンクピンの研削方法および研削装置の剛性測定に好適な
クランクシャフトの剛性測定装置を提供することができ
るという効果がある。
【0023】なお、変位計測手段は、接触式の変位セン
サに限定されることはなく、光学式を含め多くの種類の
非接触型の変位センサをも、変位計測手段として採用す
ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態および実施例】本発明のクランクピ
ンの研削方法および研削装置ならびにクランクシャフト
の剛性測定装置の実施の形態については、当業者に実施
可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十
分に説明する。 [実施例1] (実施例1のクランクピンの研削装置)本発明の実施例
1としてのクランクピンの研削装置は、図1に示すよう
に、クランクシャフトSを軸支してジャーナル回転軸周
りに回転駆動する主軸32を有する主軸台3と、円盤状
の砥石55を回転駆動し砥石55をクランクシャフトS
に対して進退可能に支持する砥石台5とを、ベッド1の
上に移動可能に有する。
【0025】より詳しく説明すると、工作物テーブル2
は、一対のレール22に沿って図中横方向に移動可能に
ベッド1に搭載されている。工作物テーブル2の横方向
への移動は、CNC装置8に制御されたテーブル移動モ
ータ21が、図示しないボールねじを回転駆動すること
により行われる。工作物テーブル2の上には、一端(図
中左端)に主軸台3が固定されており、他端(図中右
端)には、軸長方向(図中横方向)に移動可能な心押台
4が保持されていて、両者3,4のセンタ33,43は
同軸に対向している。主軸台3には、クランクシャフト
Sの一端(図中左端)が主軸センタ33に軸支されてお
り、主軸32に固定されている駆動チャック34を介し
て、クランクシャフトSは、主軸32ごと主軸回転モー
タ31により回転駆動される。一方、心押台4には、ク
ランクシャフトSの他端(図中右端)が心押センタ43
に押されて軸支されており、クランクシャフトSは心押
軸42を連れて回転する。すなわち、クランクシャフト
Sは、主軸台3と心押台4とによって軸支されており、
主軸台3によりジャーナル回転軸C(図2参照)周りに
回転駆動される。
【0026】砥石台5は、砥石台移動用モータ51に駆
動されて、ベッド1の上を一対の案内レール56に沿っ
てクランクシャフトSの軸長方向と直交する方向(図中
縦方向)に移動可能に装備されている。砥石台5は、円
盤状の砥石55と、砥石55を回転自在に軸支している
砥石軸54と、砥石軸54をベルト53を介して回転駆
動する砥石回転モータ52とを備えている。
【0027】また、本実施例のクランクピンの研削装置
は、ジャーナル回転軸周りに旋回するクランクシャフト
SのクランクピンPの角度位置と砥石台5の位置とから
算出されるプロフィールデータに基づき、クランクピン
Pの角度位置と砥石台5の位置とを対応させて数値制御
する制御装置としてのCNC装置8を有する。CNC装
置8は、上記各モータ21,41,51,52等を、内
蔵する研削加工プログラムに沿って数値制御する。
【0028】さて、本実施例のクランクピンの研削装置
の特徴的は、クランクシャフトの剛性測定装置と補正位
置データを生成するデータ生成手段とを有し、CNC装
置8が上記補正位置データに基づいて砥石台5の位置を
制御することである。すなわち、クランクシャフトの剛
性測定装置は、砥石台5に装備されている押圧装置6
と、工作物テーブル2の上に移動可能に装備されている
変位計測装置7とからなる。剛性測定装置を構成してい
る押圧装置6および変位計測装置7の構成と作用とにつ
いては、項を改めて後述する。要するに剛性測定装置
6,7は、クランクピンPの複数の所定の角度位置で、
クランクピンPに所定の荷重をかけてクランクピンPの
変位を測定する装置である。
【0029】本実施例のクランクピンの研削装置はま
た、砥石台5を進退させるべき位置に補正を加えた補正
位置データを生成するさらにデータ生成手段を有する。
データ生成手段は、剛性測定装置6,7の測定結果に基
づいて、クランクピンPに研削時にかかる荷重によって
生じる変位を推算する。さらにデータ生成手段は、同変
位に基づいて、クランクピンPの旋回運動に同期して砥
石台5を進退させるべき位置に補正を加えた補正位置デ
ータを生成する。そして制御装置8は、データ生成手段
によって生成された補正位置データに基づいて、クラン
クピンPの旋回に同期させて砥石台5を進退させる。
【0030】(実施例1のクランクシャフトの剛性測定
装置)本実施例のクランクシャフトの剛性測定装置は、
図2に示すように、クランクピンPに当接して所定の押
圧力を加える当接子としての押し付け板61を有する押
圧装置6と、クランクピンPの変位を計測する変位計測
手段としての変位計測装置7とからなる。
【0031】押圧装置6は、砥石台5に搭載されてお
り、砥石台5に固定されている油圧シリンダ63と、油
圧シリンダ63に駆動されるピストン64と、ピストン
の先端に固定されている押し付け板61と、押し付け板
61にかかる押圧力を検出する押圧力センサ62とから
なる。押し付け板61は、CNC装置8によって制御さ
れた油圧シリンダ63によって、破線の位置61’にま
で押し出され、クランクピンPに当接して水平方向に所
定の押圧力を及ぼす。同押圧力は、歪み計型の押圧力セ
ンサ62によって検出され、CNC装置8にフィードバ
ックされる。
【0032】一方、変位計測装置7は、クランクピンP
の角度位置に合わせて測定点の移動ができるように、研
削装置の工作物テーブル2の上面に対し摺動可能にベッ
ド1に保持されており、押圧装置6と対向する位置に配
設されている。そして変位計測装置7は、上記測定点に
おいて、押し付け板61の押圧力によってクランクピン
Pに生じる変位を計測する。すなわち変位計測装置7
は、クランクピンPの表面にある測定点に軽く当接して
同測定点の変位をピックアップする測定子72と、測定
子72に連結され測定子72の変位を計測する差動コイ
ル型の変位センサ71とを有する。
【0033】変位計測装置7はまた、変位センサ71を
上下方向に精密に移動可能に支持するボールねじ74、
その送りモータ73、支柱75および台座76と、台座
76を水平方向(図中左右方向)に精密に移動させるボ
ールねじ77および送りモータ87とを有する。以上の
構成の変位計測装置7はベッド1に摺動可能に搭載され
ており、クランクシャフトSの剛性測定時には、油圧シ
リンダ79およびピストン79’によって図中右方に突
き出され、剛性測定が終わると図中左方へ撤退させられ
る。
【0034】なお、再び図1に示すように、クランクシ
ャフトSを支持している工作物テーブル2は軸長方向に
移動可能であり、砥石台5に搭載されている押圧装置6
およびベッド1に保持されている変位計測装置7の位置
に、任意のクランクピンPを持ってくることができる。
それゆえ、クランクシャフトSに複数あるクランクピン
Pのうち任意のものに押圧力を及ぼして変位を計測し、
クランクシャフトSの剛性を測定することが可能であ
る。
【0035】(実施例1のクランクピンの研削方法)実
施例1としてのクランクピンの研削方法は、以上のクラ
ンクシャフトの剛性測定装置6,7を含む前述のクラン
クピンの研削装置を使用して実施される。本実施例のク
ランクピンの研削方法は、クランクシャフトSをジャー
ナル回転軸周りに回転させながら、クランクピンPの旋
回運動に同期させて砥石台5を進退させ、回転する砥石
55によってクランクピンPの断面形状が円形になるよ
うに研削する方法である。
【0036】本実施例のクランクピンの研削方法の特徴
は、以下に説明する剛性測定工程、データ生成工程およ
び研削工程を有することである。剛性測定工程では、所
定の角度位置にあるクランクピンPに所定の荷重をか
け、クランクピンPの変位を測定することにより、当該
クランクピンPの位置でのクランクシャフトSの剛性を
算出する剛性測定が、複数の角度位置について行われ
る。データ生成工程では、上記剛性測定工程での測定結
果に基づいて、各角度位置におけるクランクピンPに研
削時にかかる荷重によって生じる変位を推算し、推算さ
れた変位に基づいてクランクピンPの旋回運動に同期し
て砥石台5を進退させるべき位置に補正を加えた補正位
置データが生成される。そして研削工程では、上記補正
位置データに基づいて砥石台5の進退位置が制御され、
クランクピンPの研削が行われる。
【0037】上記剛性測定工程および上記データ生成工
程は、具体的には以下のようにして実施される。先ず剛
性測定工程では、図3に示すように、押圧装置6の押し
付け板61が及ぼす荷重の方向に対して、クランクピン
Pの角度位置が0°である場合(図中右方)と、同角度
位置が90°である場合(図中上方)とで、剛性測定が
行われる。この剛性測定により、クランクピンPの角度
位置が0°である場合には水平方向に生じる変位dx0
が計測され、同角度位置が90°である場合には同じく
水平方向に生じる変位dx1 が計測される。
【0038】次にデータ生成工程では、クランクピンP
の角度位置が0°である場合のクランクピンPの変位d
0 が曲げ変位としてとらえられる。一方、同角度位置
が90°である場合の同変位dx1 は、曲げ変位dx0
と、捻り変位(dx1−dx0)=rS ・ξとの合成変位
としてとらえられる。ここで、ξ rad =(dx1−d
0)/rS は、上記押圧力によって生じたクランクシ
ャフトSのねじれ変形角度である。すなわち、クランク
シャフトSのねじれ変形角度ξは、クランクピンPの旋
回半径をrS として、次の数1で算出される。
【0039】
【数1】 ξ [rad] =(dx1−dx0)/rS そして、図4に示すように、押圧力Fによって生じる上
方への変位dxおよび水平方向への変位dyが定義され
るものとする。すると変位dx,dyは、クランクピン
Pの角度位置θおよび砥石55の押圧力Fの関数とし
て、曲げ変位と捻り変位との合成変位として推算され
る。
【0040】すなわち、図5に示すように、角度位置θ
にあるクランクピンPの中心cと砥石55の中心C’と
を通る直線が、クランクシャフトSのジャーナル回転軸
Cと砥石55の回転軸C’との間に引かれた水平線とな
す角度φは、次の数2で算出される。
【0041】
【数2】 φ=sin-1{sinθ・rS/(r+
R)} すると、任意の角度位置θでのクランクピンPの変位d
x,dyは、次の数3に従って曲げ変位と捻り変位との
合成変位として推算される。
【0042】
【数3】dx=dx0・cosφ+rS・ξ・sin(θ
+φ)・sinφ dy=dx0・sinφ+rS・ξ・sin(θ+φ)・
cosφ 最後に、砥石台5をクランクシャフトSへ近づける方向
へ移動させる位置補正量をfとすると、砥石半径Rとピ
ン半径rとの和を底辺とする直角三角形に関して、ピタ
ゴラスの定理から次の数4が成り立つ。
【0043】
【数4】(R+r)2 ={(R+r)sinφ+dy}
2+{(R+r)cosφ+dx−f}2 したがって、砥石台5の位置補正量fは、次の数5に従
って算出される。
【0044】
【数5】f=dx+(R+r)cosφ−[(R+r)
2 −{(R+r)sinφ +dy}2 1/2 そして、クランクシャフトSの曲げ変形および捻り変形
によって生じるクランクピンPの変位分の補正量fが、
クランクピンPの旋回に同期した砥石台5の進退位置の
理想プロフィルに加算されて、砥石台5の補正位置デー
タが生成される。ここで理想プロフィルとは、クランク
ピンPの角度位置θに対し、クランクシャフトSを剛体
と見た砥石台5の進退位置である。その結果、研削工程
では、補正位置データに基づいて砥石台5の進退位置が
制御され、クランクピンPの研削が行われる。
【0045】ところで、砥石5の切り込み速度によるク
ランクピンPへの押圧力が、剛性測定工程での押圧力と
異なる場合には、両押圧力の比率に等しい倍数を補正量
fにかけて、補正位置データを生成すればよい。なお、
補正位置データの生成は、砥石台5に押圧力センサを装
備させておき、研削加工を行いながらリアルタイムで行
っても良い。
【0046】(実施例1の作用)本実施例のクランクピ
ンの研削装置および研削方法とクランクシャフトの剛性
測定装置とは、以上のように構成されているので、以下
のような作用を有する。本作用については、図6および
図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0047】図6に示すように、研削プログラムがスタ
ートすると、先ず、ステップS11で、NC(数値制
御)プログラムの1ブロックが制御装置8のメモリから
演算処理装置によって読み出される。読み出されたNC
プログラムの1ブロックがデータエンドであれば、続く
ステップS13の判定ブロックで、実行中の研削プログ
ラムは終了させられるが、そうでない場合には、研削プ
ログラムは次のステップS13に進む。
【0048】ステップS13の判定ブロックでは、ステ
ップS11で先ほど読み出されたNCプログラムの1ブ
ロックが、砥石台進退位置のプロフィルデータを補正す
べしという命令であるか否かが判定される。同プロフィ
ルデータの補正命令であった場合には、研削プログラム
はステップS21の処理ブロックに進み、砥石台進退位
置のプロフィルデータの補正処理が行われる。この補正
処理については、後ほど図7を参照して詳しく説明す
る。逆に、ステップS11で先ほど読み出されたNCプ
ログラムの1ブロックが、上記プロフィルデータの補正
命令でなかったと判定された場合には、次のステップS
14へ研削プログラムは進む。
【0049】ステップS14の判定ブロックでは、ステ
ップS11で先ほど読み出されたNCプログラムの1ブ
ロックが、砥石台5を移動させる命令であるか否かが判
定される。砥石台移動命令であった場合には、ステップ
S31に進み、後ほど説明するように砥石台5の移動処
理が行われる。逆に、砥石台移動命令でなかった場合に
は、研削プログラムは次のステップS15に進む。
【0050】ステップS15の判定ブロックでは、ステ
ップS11で先ほど読み出されたNCプログラムの1ブ
ロックが、工作物テーブル2の移動命令であるか否かが
判定される。工作物テーブル2の移動命令であった場合
には、研削プログラムはステップS16の処理ブロック
に進み、工作物テーブル2の移動動作が行われる。逆
に、工作物テーブル2の移動命令でなかった場合には、
ステップS17の処理ブロックに進み、砥石55の始
動、回転速度の調整および停止や、研削液の吐出量の調
整等の各種処理が行われる。
【0051】ステップS16およびステップS17のう
ちいずれが行われた場合にも、研削プログラムは、再び
ステップS11のメモリからの読み込み処理ブロックか
ら再スタートする。さて、前述のように、ステップS1
4の判定ブロックで、ステップS11で先ほど読み出さ
れたNCプログラムの1ブロックが、砥石台5を移動さ
せる命令であると判定された場合には、研削プログラム
はステップS31に進む。ステップS31の判定ブロッ
クで、ステップS11で読み出されたNCプログラムの
1ブロックが、砥石台5の早送り命令であるか否かが判
定される。砥石台5の早送り命令であった場合には、研
削プログラムはステップS41の処理ブロックに進み、
砥石台5の早送り動作が実行されたのち、研削プログラ
ムはステップS11から再スタートする。逆に、砥石台
5の早送り命令でなかった場合には、研削プログラムは
次のステップS32に進む。
【0052】ステップS32の判定ブロックでは、ステ
ップS11で読み出されたNCプログラムの1ブロック
が、クランクピンPの研削命令であるか否かが判定され
る。そして、クランクピンPの研削命令であると判定さ
れた場合には、制御装置8のメモリから、ステップS5
1でクランクピンPの研削データ(理想プロフィル)が
読み出され、ステップS52で砥石台5の進退位置の補
正プロフィルデータが読み出される。そして次のステッ
プS53で、上記研削データと補正プロフィルデータと
が重合されて出力され、クランクピンPの精密な研削が
行われる。
【0053】逆に、ステップS32の判定ブロックで、
クランクピンPの研削命令ではないと判定された場合に
は、ステップS33の処理ブロックで、通常の研削送り
動作が行われ、クランクピンP以外の部分(例えばジャ
ーナル部分)の研削が行われる。ステップS33および
ステップS51,52,53のいずれかが行われた場合
にも、研削プログラムは、再びステップS11の読み込
み処理ブロックから再スタートする。
【0054】さて、前述のように、ステップS13の判
定ブロックで、ステップS11で読み出されたNCプロ
グラムの1ブロックが、砥石台5の進退位置のプロフィ
ルデータを補正させる命令であると判定された場合に
は、研削プログラムはステップS21に進む。ステップ
21の処理ブロックでは、図7に示すように、多数の処
理ステップが実行されてプロフィルデータの補正処理が
行われる。
【0055】先ず、図7の左半分にわたる処理ステップ
S61〜70で、クランクシャフトの剛性測定装置によ
るクランクシャフトSの剛性の測定が行われる。すなわ
ち、ステップS61の処理ブロックで、押圧装置6が、
砥石台5ごと前進させられてクランクシャフトSに接近
させられる。続いてステップS62の処理ブロックで、
クランクピンPの単位角度あたりの切り込み量が演算に
より求められ、同切り込み量に相当する研削加工時の砥
石55による押圧力がテーブルデータ等から求められ
る。さらにステップS63の処理ブロックでは、変位計
測装置7が、待機位置から当該のクランクピンPに測定
子72を当接させる位置にまで移動させられるステップ
S64では、クランクシャフトSがジャーナル回転軸と
一致している主軸周りに回転させられて、θ(図4参
照)=0°の角度位置(図3の右側参照)に、研削加工
されるクランクピンPが固定される。そしてステップS
65で、砥石55の切り込み量に対応した押圧力(ステ
ップS62で算出済み)が、押圧装置6の押し付け板6
1から当該のクランクピンPに加えられる。その状態
で、ステップS67でクランクピンPの水平変位dx0
が計測され、メモリに格納される。
【0056】ステップS68では、クランクシャフトS
が主軸周りに回転させられて、θ=90°の角度位置
(図3の上側参照)に、研削加工されるクランクピンP
が固定される。そしてステップS69で、砥石55の切
り込み量に対応した押圧力が、押圧装置6の押し付け板
61から当該のクランクピンPに加えられる。その状態
で、ステップS70の処理ブロックでクランクピンPの
水平変位dx1 が計測され、メモリに格納される。
【0057】以上で剛性測定工程は終わり、砥石台5に
搭載されている押圧装置6の押し付け板61は後退し、
変位計測装置7もクランクピンPから離れて元あった待
機位置まで後退する。次に、図7の右半分に示されてい
るステップS71〜78で、砥石台5の進退位置プロフ
ィルデータの補正データが作成される。
【0058】すなわち、ステップS71の処理ブロック
で、上記数1に従って、クランクピンPの水平変位dx
1 中に占めるクランクシャフトSの捻り変形によるクラ
ンクピンPの変位分(最大捻り変位)ξが求められる。
続いてステップS72の処理ブロックで、クランクピン
Pの角度位置θがゼロに初期化される。ステップS73
の処理ブロックでは、上記数2に従って、砥石55とク
ランクピンPとの接触点(研削部位)とジャーナル回転
軸とが砥石55の軸心周りになす角度φ(図5参照)が
算出される。続いて、ステップS74の処理ステップで
は、研削加工中のクランクピンPの水平方向の変位dx
および上方への変位dyが、上記数3に従って推算され
る。さらに処理ステップS75では、上記数5に従っ
て、砥石台5の進退位置の補正量fが算出され、続く処
理ステップS76で、クランクピンPの角度位置θと一
対一に対応付けられた表形式で補正量fがメモリに格納
される。
【0059】処理ステップS77および判断ステップS
78で、角度位置θのΔθだけのインクリメントが行わ
れ、角度位置θが360°に達しないうちはステップS
73以降が繰り返される。その結果、角度位置θの一周
分に相当する補正値データテーブル(各角度位置θに対
応する補正量fの表)が、制御装置8のメモリ内に格納
されるに至る。
【0060】格納された上記補正値データテーブルは、
前述のように、ステップS52(図6参照)でメモリか
ら読み出され、続くステップS52で研削データ(理想
プロフィル)と重合して出力される。それゆえ、クラン
クピンPの角度位置θによって砥石55の押圧力による
変位が異なるにもかかわらず、クランクピンPに対する
砥石台5の進退位置は上記変位分が補正されているの
で、クランクピンPの真円度が高い研削加工がなされ
る。
【0061】(実施例1の効果)以上詳述したように、
本実施例のクランクピンの研削装置およびクランクシャ
フトの剛性測定装置を使用して、本実施例のクランクピ
ンの研削方法を実施すれば、研削加工されたクランクピ
ンPの真円度を向上させることができるという効果があ
る。
【0062】これは、以下の理由による。すなわち、研
削加工中に砥石55がクランクピンPに及ぼす押圧力に
よってクランクシャフトSが撓むことによって生じるク
ランクピンPの変位は、クランクシャフトSの曲げ変形
による変位成分と捻り変形による変位成分との剛性変位
である。そこで、クランクピンPの角度位置θが0°と
90°との二つの場合について、本実施例のクランクシ
ャフトの剛性測定装置を使用して両変位成分を割り出
し、一周にわたる各角度位置θに対応した変位を推算す
ることが可能になる。その結果、クランクシャフトSの
曲げ変形および捻り変形に対応したクランクピンPの変
位量を、砥石55の進退位置を補正することによって相
殺することができるからである。
【0063】(実施例1の変形態様1)本実施例の変形
態様1として、クランクシャフトの剛性測定装置の変位
計測手段として、光変調法による光学変位計を採用した
クランクピンの研削装置の実施が可能である。本変形態
様では、光学変位計が非接触型の変位計であり、計測対
象であるクランクピンPの表面との距離の大小に関係な
く変位の計測ができるので、光学変位計をクランクシャ
フトSに対して進退させる機構が不要になる。すなわ
ち、図2において、台座76を水平方向(図中左右方
向)に精密に移動させるボールねじ77および送りモー
タ87とは不要であり、同様に油圧シリンダ79および
ピストン79’も不要である。
【0064】その結果、光学変位計を水平に保ったま
ま、クランクシャフトSの軸長方向に動かす機構と上下
方向に動かす機構とがあれば、変位計測装置を構成する
ことができる。したがって本変形態様によれば、変位計
測装置の構成が簡素になって可動部分が減るので、コス
トダウンとともに信頼性の向上が得られるという効果が
ある。
【0065】あるいは、本変形態様のさらなる変形態様
として、光学変位計は位置を変えることなく保持されて
おり、同光学変位計の指向する方向だけをサーボモータ
により変更して、当該クランクピンPの表面までの距離
を測定するようにしたクランクシャフトの剛性測定装置
を製作することもできる。当該クランクピンPまでの上
記距離の変化は、簡単な幾何学の計算(三角関数の計
算)により容易にクランクピンPの水平変位に換算でき
るので、同換算によりクランクピンPの水平変位が求め
られる。この変形態様によれば、可動部分が少なく故障
しにくいクランクシャフトの剛性測定装置を、よりいっ
そう安価に製造することが可能になるという効果があ
る。
【0066】(実施例1の変形態様2)本実施例の変形
態様2として、剛性測定工程では、クランクピンPの角
度位置を多数取って剛性測定が行われ、データ生成工程
では、これら多数の角度位置での測定結果を補間して補
正位置データが生成される、クランクピンの研削方法の
実施が可能である。
【0067】本変形態様では、クランクピンPの角度位
置θの一周分に渡ってその変位が実測されるので、前述
の実施例1の推算の仮定が十分に近似しない場合におい
ても、なお精密な変位の補正が可能になる。この場合
は、たとえば、角度位置θが一周する間に起こるクラン
クピンPの変位の変化が、クランクシャフトSの曲げ変
形および捻り変形にだけ起因するのではなく、クランク
シャフトSの曲げ剛性の異方性による成分をも含んでい
る場合などである。
【0068】したがって本変形態様によれば、いかなる
剛性特性をもつクランクシャフトSに対しても、クラン
クピンPの角度位置θの一周分に渡ってその変位が実測
されるので、なお精密な変位の補正が可能になるという
効果がある。 (実施例1の変形態様3)本実施例の変形態様3とし
て、剛性測定工程では、クランクピンの角度位置を全周
のうち第1象限に限定して剛性測定が行われ、データ生
成工程では、第1象限で計測された測定結果が他の三つ
の象限にも敷衍されて、補正位置データが生成される、
クランクピンの研削方法の実施が可能である。
【0069】本変形態様では、第2象限および第4象限
では、第1象限の剛性測定データが線対称に折り返して
使用され、第3象限では第2象限または第4象限のデー
タが線対称に折り返して使用される。本変形態様によれ
ば、上記変形態様2の四分の一の工数で剛性測定工程を
完了することができるので、生産性を変形態様2よりも
向上させることができるという効果がある。
【0070】(実施例1のその他の変形態様)前述の実
施例1およびその各変形態様では、クランクシャフトS
の撓みによるクランクピンPの変位は、研削加工中の砥
石55からの押圧力によって生じる変位だけを補正対象
としていた。しかし、実際の研削加工では、砥石55か
らの摩擦力によって生じる接線方向の力に起因するクラ
ンクピンPの変位も生じており、厳密にはこの摩擦力に
よる変位をも補正対象とすることが望ましい。
【0071】砥石55の押圧力による変位に加えて摩擦
力による変位の補正を行う方法としては、たとえば次の
二つの方法が考えられる。第1に、研削加工中のクラン
クピンPの変位に関する統計データをたくさん取り、砥
石台5の進退位置の補正値fに対して、補正係数aが付
加ないし乗ぜられるようにする方法がある。この方法に
よっても、ある程度の摩擦力に起因する変位の補正が可
能になり、仕上がったクランクピンPの真円度をより向
上させることが可能である。
【0072】第2に、研削加工中の砥石55がクランク
ピンPに及ぼす摩擦力を推定し、押圧力による変位と同
様に幾何学的な計算をして摩擦力による変位成分を算出
して補正する方法がある。摩擦力を推定する方法として
は、切り込み速度から統計的に割り出す方法と、砥石5
5を一定の回転数で回転駆動している砥石回転モータ5
2の電流を計測して摩擦力によるトルク付加から推算す
る方法とがある。いずれの方法によっても、仕上がった
クランクピンPの真円度を、上記第1の方法よりもさら
に向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1としてのクランクピンの研削装置の
構成を示す平面図
【図2】 実施例1のクランクピンの研削装置の要部構
成を示す要部側面図
【図3】 角度位置0°および90°でのクランクピン
の変位を示す模式図
【図4】 クランクピンの撓み変位の座標変換を示す模
式図
【図5】 研削加工中のクランクピンの撓み変位を示す
模式図
【図6】 実施例1としてのクランクピンの研削方法の
研削プログラムを示すフローチャート
【図7】 実施例1としてのクランクピンの研削方法の
補正プログラムを示すフローチャート
【符号の説明】
1:研削装置のベッド 2:工作物テーブル 21:テーブル移動モータ
22:レール 3:主軸台 31:主軸回転モータ 32:主軸 33:主軸センタ 34:駆動チャック 4:心押台 41:心押台移動モータ 42:心押軸 43:心
押センタ 7:変位計測装置(剛性測定装置の変位計測手段とし
て) 71:変位センサ(差動コイル接触型センサ) 7
2:測定子 73:送りモータ 74:ボールねじ 75:支柱 76:台座 77:ボールねじ 78:送りモータ 79:油圧シリンダ 79’:ピストン 5:砥石台 51:砥石台移動モータ 52:砥石回転モータ
53:ベルト 54:砥石軸 55:砥石 56:案内レール 6:押圧装置(剛性測定装置の一部として) 61,61’:押し付け板(当接子として) 62:押圧力センサ 63:油圧シリンダ 64:
ピストン 8:CNC装置(制御装置として) S:クランクシャフト P:クランクピン C:ジャーナル回転軸 T:クランクピンの旋回軌道

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クランクシャフトをジャーナル回転軸周り
    に回転させながら、該クランクシャフトのクランクピン
    の旋回運動に同期させて砥石台を進退させ、該砥石台が
    回転駆動する円盤状の砥石によって該クランクピンの断
    面形状が円形になるように研削するクランクピンの研削
    方法において、 所定の角度位置にある前記クランクピンに所定の荷重を
    かけて該クランクピンの変位を測定することにより、該
    クランクピンの位置での前記クランクシャフトの剛性を
    算出する剛性測定を、複数の該角度位置について行う剛
    性測定工程と、 該剛性測定工程での測定結果に基づいて各角度位置にお
    ける該クランクピンに研削時にかかる荷重によって生じ
    る変位を推算し、該変位に基づいて該クランクピンの前
    記旋回運動に同期して前記砥石台を進退させるべき位置
    に補正を加えた補正位置データを生成するデータ生成工
    程と、 該補正位置データに基づいて該クランクピンを研削する
    研削工程と、を有することを特徴とする、 クランクピンの研削方法。
  2. 【請求項2】前記剛性測定工程は、前記荷重の方向に対
    して前記クランクピンの角度位置が0°または180°
    である場合と、該角度位置が90°または−90°であ
    る場合とで、前記剛性測定を行う工程であり、 前記データ生成工程は、前者の場合の前記変位を曲げ変
    位とし、後者の場合の前記変位を該曲げ変位と捻り変位
    との合成変位としてとらえ、該クランクピンの角度位置
    および前記砥石の押圧力の関数として、該押圧力によっ
    て生じる変位を該曲げ変位と該捻り変位との合成変位と
    して推算する工程である、 請求項1記載のクランクピンの研削方法。
  3. 【請求項3】前記剛性測定工程は、前記クランクピンの
    角度位置を多数取って前記剛性測定を行う工程であり、 前記データ生成工程は、該多数の角度位置での測定結果
    を補間して前記補正位置データを生成する工程である、 請求項1記載のクランクピンの研削方法。
  4. 【請求項4】前記剛性測定工程は、前記クランクピンの
    角度位置を全周のうち第1象限(該角度位置が0°以上
    90°以下)、第2象限(同90°以上180°以
    下)、第3象限(同180°以上270°以下)および
    第4象限(同270°以上360°以下)のうちいずれ
    かの象限で前記剛性測定が行われる工程であり、 前記データ生成工程は、該象限で計測された測定結果を
    他の三つの象限にも敷衍して前記補正位置データを生成
    する工程である、 請求項3記載のクランクピンの研削方法。
  5. 【請求項5】クランクシャフトを軸支してジャーナル回
    転軸周りに回転駆動する主軸を有する主軸台と、 円盤状の砥石を回転駆動し、該砥石を該クランクシャフ
    トに対して進退可能に支持する砥石台と、 該ジャーナル回転軸周りに旋回するクランクピンの角度
    位置と該砥石台の位置とから算出されるプロフィールデ
    ータに基づき、該クランクピンの該角度位置と該砥石台
    の該位置とを対応させて数値制御する制御装置と、を有
    するクランクピンの研削装置において、 前記クランクピンの複数の所定の角度位置で、該クラン
    クピンに所定の荷重をかけて該クランクピンの変位を測
    定するクランクシャフトの剛性測定装置と、 該剛性測定装置の測定結果に基づいて該クランクピンに
    研削時にかかる荷重によって生じる変位を推算し、該変
    位に基づいて該クランクピンの前記旋回運動に同期して
    前記砥石台を進退させるべき位置に補正を加えた補正位
    置データを生成するデータ生成手段とを有し、 前記制御装置は、該補正位置データに基づいて、該クラ
    ンクピンの前記旋回に同期して前記砥石台を進退させる
    ことを特徴とする、 クランクピンの研削装置。
  6. 【請求項6】クランクシャフトのクランクピンを研削す
    る研削装置の砥石台に保持されており、該クランクピン
    に当接して所定の押圧力を加える当接子と、 該クランクピンの角度位置に合わせて測定点の移動がで
    きるように該研削装置に保持されており、該測定点にお
    いて、該当接子の該押圧力によって該クランクピンに生
    じる変位を計測する変位計測手段と、を有することを特
    徴とする、 クランクシャフトの剛性測定装置。
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