JP3821345B2 - クランクピンの研削方法及び研削装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、クランクシャフトをジャーナル中心と一致するC軸周りに回転させ、クランクピンの遊星回転位相に応じて回転研削工具をクランク軸の径方向と一致するX軸に沿って進退させることによりクランクピンを研削するC−X軸制御のクランクピンの研削方法及び研削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クランクシャフトをジャーナル中心と一致するC軸周りに回転させ、クランクピンの遊星回転位相に応じて回転切削工具をクランク軸の径方向と一致するX軸に沿って進退させるクランクミラーにおけるC−X軸制御切削加工方法は公知である(例えば、特開平6−8105号公報)。
この種の公知の加工法では、NC装置のプロファイルデータメモリにC軸の各回転位相(例えば、1度毎の角度位置)におけるX軸の進退位置を定義するプロファイルデータが予め登録されており、そのデータにより加工が行われる。
この加工方法においては、クランクピンを試し削りし、この試し削り後のクランクピンの真円度を測定し、各回転位相位置における真円誤差を求め、この真円誤差によりプロファイルデータのX軸データを補正する補正プロファイルデータを作成し、正規の加工においては、補正プロファイルデータに従ってC−X軸制御を行い、クランクピンの加工真円度の向上を図っている。
この種の加工方法を応用したC−X軸制御クランクピン研削方法もまた公知である。
また、一般に、研削加工では、砥石のX軸に沿う切り込み運動は、例えば、比較的速度の速い粗研削送り速度で研削代の多くの部分を除去し、その後比較的速度の遅い精研削送り速度で仕上研削するように、その切り込み送り速度を順次減速するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のC−X軸制御研削方法では、試し削り後にクランクピンの真円度を計測して真円誤差を求めている。つまり、粗研削及び仕上研削を含めた全研削工程完了後の真円度誤差を求め、この誤差でプロファイルデータを補正している。
このため、従来のC−X軸制御研削方法では、比較的時間のかかる仕上研削工程における研削代を小さくすると、粗研削工程における真円度誤差の悪影響が仕上研削工程の終了時点まで波及し、これを回避するために時間の掛かる仕上研削工程を短くすること(仕上研削代を小さくすること)ができないという問題がある。加工能率の観点では、粗研削取代を大きくし、仕上研削代をできるだけ小さくすることが望ましい。
【0004】
そこで、本発明の目的は、試し研削による補正データを用いて正規の研削を行うことにより、真円度の向上したクランクピンの研削方法及び研削装置を提供することである。
本発明の他の目的は、未加工のクランクピンを少なくとも1つの切り込み工程で試し研削し、真円度誤差を測定し、正規の研削における粗研削工程をその誤差に基づく補正データを用いて行うようにした、効率的で真円度の向上したクランクピンの研削方法及び研削装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のクランクピンの研削方法は、クランクピンの遊星回転位相に応じて砥石の切り込み位置をプロファイルデータに従って制御すると共に、複数の連続した送り速度の異なる切り込み工程によりクランクピンを所定直径の真円に研削するクランクピンの研削方法において、まず粗研削工程について試し研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により粗研削用補正プロファイルデータを作成し、仕上研削工程の試し研削は、粗研削工程を前記粗研削用補正プロファイルデータに従って研削することにより実質的に真円度誤差を排除した後に、理論プロファイルデータに従って試し仕上研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により仕上研削用補正プロファイルデータを作成し、正規の研削においては、粗研削工程及び仕上研削工程をそれぞれの補正プロファイルデータに従って研削加工することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のクランクピンの研削装置は、クランクピンの遊星回転位相に応じて砥石の切り込み位置をプロファイルデータに従って制御すると共に、複数の連続した送り速度の異なる切り込み工程によりクランクピンを所定直径の真円に研削するクランクピン研削装置において、クランクピンを研削するための理論プロファイルデータと、前記理論プロファイルデータにより試し粗研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により作成した粗研削用補正プロファイルデータと、粗研削工程を前記粗研削用補正プロファイルデータに従って研削することにより実質的に真円度誤差を排除した後に、理論プロファイルデータに従って試し仕上研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により作成した仕上研削用補正プロファイルデータとを登録する手段と、正規の研削において、未加工のクランクピンの研削条件によるモードを判別する手段と、前記モード判別手段のモードにより、前記理論プロファイルデータ、粗研削用補正プロファイルデータ、仕上研削用補正プロファイルデータの組み合わせを選択して研削加工を実行する手段とを有することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のクランクピンの研削方法は、クランクピンの遊星回転位相に応じて砥石の切り込み位置をプロファイルデータに従って制御すると共に、複数の連続した送り速度の異なる切り込み工程によりクランクピンを所定直径の真円に研削するクランクピンの研削方法において、まず粗研削工程について試し研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により粗研削用補正プロファイルデータを作成し、仕上研削工程の試し研削は、粗研削工程を前記粗研削用補正プロファイルデータに従って研削することにより実質的に真円度誤差を排除した後に、理論プロファイルデータに従って試し仕上研削し、真円度誤差を測定し、その誤差により仕上研削用補正プロファイルデータを作成し、正規の研削においては、粗研削工程及び仕上研削工程をそれぞれの補正プロファイルデータに従って研削加工することにより、剛性の小さく研削代の大きなクランクシャフトを効率的、かつ、高精度の真円度に研削加工できる。
【0012】
更に、本発明のクランクピンの研削装置は、クランクピンの遊星回転位相に応じて砥石の切り込み位置をプロファイルデータに従って制御すると共に、複数の連続した送り速度の異なる切り込み工程によりクランクピンを所定直径の真円に研削するクランクピン研削装置において、クランクピンを研削するための理論プロファイルデータと、前記理論プロファイルデータにより試し粗研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により作成した粗研削用補正プロファイルデータと、粗研削工程を前記粗研削用補正プロファイルデータに従って研削することにより実質的に真円度誤差を排除した後に、理論プロファイルデータに従って試し仕上研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により作成した仕上研削用補正プロファイルデータとを登録する手段と、正規の研削において、未加工のクランクピンの研削条件によるモードを判別する手段と、前記モード判別手段のモードにより、前記理論プロファイルデータ、粗研削用補正プロファイルデータ、仕上研削用補正プロファイルデータの組み合わせを選択して研削加工を実行する手段とを有するものであるので、未加工のクランクピンの部分の研削条件により、モードを設定し、そのモードに応じて、理論プロファイルデータ、粗研削用補正プロファイルデータ、仕上研削用補正プロファイルデータの組み合わせを選択して研削加工ができるので、効率的かつ高真円度の加工が可能となる。
【0013】
【実施例】
本発明の1実施例を図1〜図9について説明する。
図1は本発明のクランクピンの研削方法を実施するためのクランクピン研削装置の全体を示したものである。クランクピン研削装置はその平面図を図1に示すように、ベッド1の横長手方向に設けられたガイド3、3上にテーブル2が横方向(Z軸方向)に摺動自在に載置されている。テーブル2上にはその両端に主軸台7及び心押台8が対向する位置に設けられ、主軸台7にはワーク回転駆動用の主軸駆動モータ9が設けられ、チャック等によりワークであるクランクシャフトWの軸端を把持して回転駆動できるように構成され、一方心押台8はそのセンターによりクランクシャフトWの軸芯を支持するように構成されている。したがって、その主軸軸線と同軸にクランクシャフトWのジャーナル部が把持されるので、クランクシャフトWはそのジャーナル部の軸線回り(C軸)に制御回転されるようになっている。
【0014】
ベッド1上にはZ軸送りねじ4が横方向(Z軸方向)に配置され、その左端に設けられたテーブル駆動モータ5によりテーブル2を横方向に摺動させることができる。このテーブル2のZ軸方向に移動により、異なったクランクピンCP1,CP2の位置を砥石15に対して整列、割り出しができる。
【0015】
前記テーブル2の摺動方向(Z軸方向)と直交する方向(X軸方向)に、X軸ガイド11、11上を摺動できるように回転砥石15を有する砥石台10が載置されており、X軸送りねじ12、砥石台駆動モータ13により、砥石15をクランクシャフトWの軸線と直交する方向(X軸方向)に移動できるように構成されている。砥石台10には、当然回転砥石15を回転させるための駆動モータ(図示せず)が備えられている。前記砥石台駆動モータ13、テーブル駆動モータ5、主軸駆動モータ9は、いずれも、プログラムに基づいて制御回転できるようにエンコーダ14,6を備えたサーボモータが使用されている。なお、モータ9のエンコーダは図示省略されている。
【0016】
本クランクピンの研削装置は、数値制御装置20を備えており、数値制御装置20は、入出力装置21を介して、加工動作プログラム60、クランクピンを加工するための理論プロファイルデータ(理論P/Fデータ)24、各研削加工段階での補正プロファイルデータ(補正P/Fデータ1、2)30、40等が登録され、CPU22、インターフェース23を介し、主軸駆動(C軸)モータ制御回路16、砥石台駆動モータ(X軸)制御回路18、テーブル駆動モータ(Z軸)制御回路17が接続され、クランクピン研削装置の主軸駆動モータ9、砥石台駆動モータ13、テーブル駆動モータ5を夫々制御駆動するようになっている。したがって、数値制御装置20により、テーブル駆動モータ5を駆動してクランクピンCP1の位置が砥石15の位置と整列するようにテーブル2を割り出し、主軸駆動モータ9によりクランクシャフトWを回転させ、その回転により遊星的に回転するクランクピンCP1の遊星回転位相に応じた形状位置に、砥石15を接触させるように砥石台駆動モータ14を駆動することによりクランクピンCP1の研削加工を行うものである。
【0017】
数値制御装置20に蓄積される研削サイクルを実行するための加工動作プログラム60は、図6のフローチャートで示されており(後述)、また、クランクピンを加工するための理論プロファイルデータ(理論P/Fデータ)24は、図8に示されているように、加工部分であるクランクピンCP(1)の回転位相(C軸)の角度C0,C1,C2,C3・・・・Cnに対する砥石15のX軸方向の位置X0,X1,X2,X3・・・・XnをデータとしたC−X軸制御データであり、補正P/Fデータ1は、理論P/Fデータを粗研削条件に合わせて補正した粗研削用補正プロファイルデータ30であり、補正P/Fデータ2は仕上研削(精研削)条件に合わせて補正した仕上研削用補正プロファイルデータ40である。
【0018】
図2は、本クランクピンの研削方法を実現するために工程管理者又はオペレータが行う作業プロセスを示している。まず、ステップ25で理論プロファイルデータを作成する。これは前述のように図8に示されているC−X軸制御データを作成するものであり、クランクピンをカムとした場合のカム−従節運動をカム−砥石運動に変換したデータに相当する。ステップ26では研削条件の設定が行われる。これは図7に示されるように、クランクピンCP(1)の仕上径Dfに対して取代eがある場合、砥石は早送りによりクランクピンに近付けられ、クランクピンに接触する手前の点(a)で粗研削送りに切り替えられ、仕上げ研削代を残した点(b)で仕上研削(精研削)送りに切り替えられ、仕上径Dfに達したところで、砥石が原位置に戻されるという研削サイクルが設定され、更に、夫々の切り込み位置、速度等が研削条件として設定される。
【0019】
次に、図2のステップ27において、粗研削用補正プロファイルデータを作成する。これは図3に示されるフローチャートにより、未加工ワーク(クランクピン)を図7に示す粗研削条件の下で試し削りして行われるが、まず、ステップ32において、理論プロファイルデータを使用して未加工クランクピンの粗研削が実行される。図8に示すように粗研削が終了した段階でクランクピンの各角度位相C0,C1,C2,C3・・・・Cnにおける真円度を測定し、真円度誤差α0、α1、α2、α3・・・・αn、の抽出が行われる。この真円度測定は、後述の定寸装置(図9)を用いて、インプロセスで行われている。ステップ34において、抽出された誤差α0、α1、α2、α3・・・・αnに基づいて理論プロファイルデータのX軸方向位置X0,X1,X2,X3・・・・Xnを補正して粗研削用補正プロファイルデータを作成し、数値制御装置のメモリに登録(ステップ35)して、終了する。
【0020】
続いて図2のステップ28において、仕上研削用補正プロファイルデータの作成が行われる。これは図4又は図5に示されたフローチャートにしたがって作成される。図4においては、図3のフローチャートにおいて粗研削用補正プロファイルデータを作成するために試し研削されたクランクピンは使用せず、別の未加工のクランクピンを図7に示す仕上研削条件で試し研削して仕上研削用補正プロファイルデータの作成が行われる。すなわち、ステップ42において、図3のフローチャートにしたがって作成された粗研削用補正プロファイルデータ30を使用して、未加工クランクピンクの粗研削を行い、その後理論プロファイルデータ24を使用してワークの仕上研削が実行(ステップ43)される。仕上研削終了後、真円度測定を行い、各角度位相C0,C1,C2,C3・・・・Cnにおける真円度誤差α0、α1、α2、α3・・・・αnを抽出し(ステップ44)、その抽出誤差α0、α1、α2、α3・・・・αnに基づいて理論プロファイルデータのX軸方向位置X0,X1,X2,X3・・・・Xnを補正して仕上研削用補正プロファイルデータ40を作成し(ステップ45)、その補正データを数値制御装置のメモリに登録する(ステップ46)。
【0021】
図5のフローチャートは、図4のものに代えて研削代の小さい場合に用いられる第2の仕上研削用補正プロファイルデータを作成するものである。ステップ52において、理論プロファイルデータを使用して、図7に示す仕上研削条件の下で未加工クランクピンの仕上研削を行い、仕上研削終了後、真円度測定を行い、真円度誤差α0、α1、α2、α3・・・・αnを抽出し(ステップ53)、その抽出誤差α0、α1、α2、α3・・・・αnに基づいて理論プロファイルデータのX軸方向位置X0,X1,X2,X3・・・・Xnを補正して第2の仕上研削用補正プロファイルデータを作成し(ステップ54)、その補正データを数値制御装置のメモリに登録(ステップ55)して、終了する。
【0022】
図4の第1の仕上研削用補正プロファイルデータの作成では、粗研削用補正プロファイルデータを使用して、未加工クランクピンクの粗研削を行った後理論プロファイルデータを使用してワークの仕上研削を実施しているのに対して、図5の作成では、粗研削用補正プロファイルデータは使用されず、理論プロファイルデータを使用して、未加工クランクピンの仕上研削のみが実行されるものであり、その第2の仕上研削用補正プロファイルデータはクランクピンの研削取代が小さく粗研削の取代が殆ど無いか、粗研削工程が実施されない場合等に用いられる。粗研削用補正プロファイルデータ及び、2つの仕上研削用補正プロファイルデータが作成、登録された段階で、図2のステップ29において、正規の研削加工を実行する。
【0023】
クランクピンの正規の研削加工は図6のフローチャートに基づいて実行される。本クランクピンの研削方法においては、そのクランクピンの研削条件(形状、材質、研削代の量、仕上げ公差等)により3つの創成モードにより実行される。概ね、創成モード1は通常の場合に用いられ、創成モード2は研削条件が緩やかな場合に適用され、創成モード3は研削取代が小さい場合に適用される。
まず、研削加工の実行要求があると、加工開始の条件が整っているかを判定し(ステップ62)、OKでない場合にはアラームを出し(ステップ63)、OKの場合には加工されるクランクピンの研削条件により予め決められた創成モードを読み込み(ステップ64)、加工するクランクピン(CP1)の位置にテーブルを割り出し(ステップ65)、砥石15とクランクピン(CP1)とを整列させる。
【0024】
次にステップ66で図7に示す研削条件の下で砥石台の早送り前進工程に移り、読み込まれた創成モードを識別して(ステップ67)創成モード1、2、3の選別をする。創成モード1の場合には、早送り前進から粗研削送りに切り替わった段階で、数値制御装置のメモリに登録しておいた粗研削用補正プロファイルデータ30を用いて砥石台をC−X軸制御して粗研削を行う。粗研削が終わると仕上研削送り(精研削送り)に切り替わるが、その場合には第1の仕上研削用補正プロファイルデータ40を用いて行われる(ステップ69)。仕上研削が終了すると短時間の零切込研削(スパークアウト)工程(ステップ70)を経て、砥石台を早送り後退させて後退位置に戻し(ステップ71)、1箇所のクランクピン(CP1)の研削作業を終了する。
【0025】
次にステップ72において、そのクランクシャフトにおいて他の未加工のクランクピンがあるか否かを判定し、ある場合にはステップ65に戻り、テーブルを次に加工するクランクピン(CP2)の位置に割り出し、前記と同じ研削加工を実施し、全てのクランクピンの研削加工が終了すれば、そのクランクシャフトの研削作業が終了する。
創成モード2は、ワークの剛性が比較的大きく、砥石の切込速度が遅い仕上研削では真円度が低下しない場合がある。この場合には、ステップ74において、粗研削送りは粗研削補正用プロファイルデータを用いて行われるが、仕上研削工程では、理論プロファイルデータを用いて行われる(ステップ75)。他は創成モード1と同じである。
【0026】
また、創成モード3は、ワーク剛性が比較的大きく、砥石の切込み速度も比較的遅い粗研削では真円度がそれ程低下しないが、機械の熱変位等により生じる幾何学的誤差と仕上研削工程の微小な真円度誤差が生じる場合適用される。この場合には、ステッブ76,77における粗研削工程と仕上研削工程は、図5のフローチャートにより作成された第2の仕上研削用補正ブロファイルデータ40を用いて行われる。他は創成モード1と同じである。
C−X同期制御クランクピン研削装置では、クランクピン研削のプロファイルデータは、砥石中心と工作物回転中心の距離及びピン径、砥石径、偏心量をパラメータとして使用し、工作物中心と砥石中心は同一水平面上に存在するとの前提の下で幾何学的に計算される。各々の数値に誤差があるとクランクピンの真円度誤差となり、この誤差は幾何学的な誤差のため粗研削と仕上研削とに共通的に発生する。この誤差は、粗研削工程及び仕上研削工程とに同じように発生する。
従って、モード3は、上述のパラメータ誤差に基づく真円度誤差及びその他工作物の特性を含む研削条件に依存する誤差を、仕上研削工程に先立って除去することを目的として実行される。
【0027】
以上の研削サイクルにおいて、早送り前進工程から、粗研削送り工程に切り替わる点、粗研削送り工程から仕上げ研削送り工程に切り替わる点、更には仕上研削送り工程が終了して早送り後退工程に切り替わる点(図7におけるa、b、c点)は、後述の定寸装置80のインプロセスの測定結果により判別しているが、予め設定されたプログラムにより遂行してもよい。
【0028】
図9の定寸装置80は、粗研削用補正プロファイルデータ、仕上研削用補正プロファイルデータを作成するために使用される真円度誤差を測定し、真円度誤差抽出を行う測定装置の1例である。この測定装置は、前述のように、真円度誤差を測定すると共に、研削工程における定寸装置として機能している。
この定寸装置80は、旋回するクランクピンに絶えず接触しながら追従して加工箇所の測定を行う形式の公知の追従式定寸装置(例えば、イタリア、マーポス社製)であり、以下、図9に基づいて説明する。砥石台10の上面に定寸装置80の支持部材81が載置され、該支持部材81に枢支され砥石15の前方に延びる第1アーム82の先端に第2アーム83が枢支され、更に第2アーム83の先端に約直角に採寸用の測定棒88が固定されている。該測定棒88は、その先端に固定され、加工箇所であるクランクピンCP(1)の外周に接触するVブロック85と、その中心に進退自在に設けられたプローブ87とからなり、該プローブ87の前進後退を電気的に検出して電気信号として出力する構造となっている。該Vブロック85の先端にはガイド部材86が固定されており、測定棒88のVブロック85がクランクピンCP(1)に係合するためのガイドの役目をしている。定寸装置80には、休止位置(2点鎖線位置)と測定位置(実線位置)とに測定棒88を移動するための作動装置が設けられている。砥石台10の上面には油圧シリンダ91が設けられ、前記第1アーム82の後端に垂直に、しかもオフセットして取付けられた操作片90を前記シリンダ91のピストン92により押圧することにより第1アーム82を上方へ回動させ、図9に2点鎖線で示される休止位置に保たれる。この時第2アーム83は第1アーム82先端に枢支されているのみであるので位置が保てないので、第1アーム82の先端部下方に第3アーム84が固定されており、第3アーム84先端の支持突起89により第2アーム83の位置を保つように構成されている。2点鎖線の休止位置から、油圧シリンダ91のピストン92を戻すことにより徐々に測定棒88が降下しクランクピンCP(1)の位置にくると、まずガイド部材86がクランクピンCP(1)に接触し、ガイド部材86に沿ってクランクピンCP(1)がVブロック85に係合するようになっており、その時点では第2アーム83は第3アーム84の支持突起89から離れて自由に回動できるようになっている。
【0029】
(その他の実施例)
前記の実施例においては、研削工程が、粗研削及び、仕上研削の2工程で行っているが、粗研削を1次、2次に分ける等、3工程以上として、更に真円度を向上させることもできる。すなわち、この場合、各工程の終了時点で、真円度誤差が小さくなるように、各工程における補正プロファイルデータを作成し、その補正プロファイルデータにしたがってC−X軸制御することになる。
また、本クランクピンの研削方法は、研削加工中にレスト装置を用いないレストレス研削に最適であるので、その例について説明したが、レスト装置を用いた研削装置に適用しても良いことは当然である。
更に、真円度測定のために、本実施例においては、図9に示されたインプロセス定寸装置を用いたが、オフラインで真円度を測定しても良い。
【0030】
【発明の効果】
本発明のクランクピンの研削方法は、クランクピンの遊星回転位相に応じて砥石の切り込み位置をプロファイルデータに従って制御すると共に、複数の連続した送り速度の異なる切り込み工程によりクランクピンを所定直径の真円に研削するクランクピンの研削方法において、理想プロファイルデータに従い、未加工のクランクピンを少なくとも1つの切り込み工程で試し研削し、真円度誤差を測定し、この誤差で理論プロファイルデータを補正することにより補正プロファイルデータを作成し、正規の研削において、少なくとも粗研削工程ではその補正プロフアイルデータにより研削加工することにより、研削代の大きい粗研削工程において、補正プロファイルデータを用いて研削できるので、粗研削終了時にすでに高精度の真円度が得られるので、その後の研削工程での真円度が保証され、仕上研削代を小さくでき、研削時間の短縮が可能である。更に、粗研削工程において、補正プロファイルデータを用いて研削する場合には、粗研削終了時にすでに高精度の真円度が得られるので、その後の研削工程では、更に補正プロファイルデータを用いなくても真円度が保証される。
【0031】
更に、本発明のクランクピンの研削方法は、
クランクピンの遊星回転位相に応じて砥石の切り込み位置をプロファイルデータに従って制御すると共に、複数の連続した送り速度の異なる切り込み工程によりクランクピンを所定直径の真円に研削するクランクピンの研削方法において、まず粗研削工程について試し研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により粗研削用補正プロファイルデータを作成し、仕上研削工程の試し研削は、粗研削工程を前記粗研削用補正プロファイルデータに従って研削することにより実質的に真円度誤差を排除した後に、理論プロファイルデータに従って試し仕上研削し、真円度誤差を測定し、その誤差により仕上研削用補正プロファイルデータを作成し、正規の研削においては、粗研削工程及び仕上研削工程をそれぞれの補正プロフアイルデータに従って研削加工することにより、各工程で真円度が向上され、更に高精度の真円度のクランクピン研削が可能となる。
【0032】
更に、本発明のクランクピンの研削装置は、理論プロファイルデータ、粗研削用補正プロファイルデータ、2つの仕上研削用補正プロファイルデータを登録しておき、未加工のクランクピンの部分の研削条件により、モードを設定し、そのモードに応じて、前記理論プロファイルデータ、粗研削用補正プロファイルデータ、2つの仕上研削用補正プロファイルデータの組み合わせを選択して研削加工ができるので、多種ワークに対応でき、クランクシャフト自体の特質(例えば剛性)や研削代や要求加工時間などの条件に合わせて適切で、効率的かつ高真円度の研削加工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクランクピンの研削方法を適用する研削装置の平面図。
【図2】本発明のクランクピンの研削方法の加工準備、実行プロセスを示すフローチャート。
【図3】本発明のクランクピンの研削方法の粗研削用補正プロファイルデータの作成過程を示すフローチャート。
【図4】本発明のクランクピンの研削方法の仕上研削用補正プロファイルデータの作成過程を示すフローチャート。
【図5】本発明のクランクピンの研削方法の他の仕上研削用補正プロファイルデータの作成過程を示すフローチャート。
【図6】本発明のクランクピンの研削方法の正規の研削工程を示すフローチャート。
【図7】本発明のクランクピンの研削方法の研削送り工程を示す概念図。
【図8】本発明のクランクピンの研削方法に使用されるプロファイルデータの説明図。
【図9】本発明のクランクピンの研削方法に使用される定寸装置の側面図。
【符号の説明】
1: ベッド
2: テーブル
5: テーブル駆動モータ
9: 主軸駆動モータ
10: 砥石台
13: 砥石台駆動モータ
16: 主軸駆動モータ制御回路
17: テーブル駆動モータ制御回路
18: 砥石台駆動モータ制御回路
24: 理論プロファイルデータ
30: 粗研削用補正プロファイルデータ
40: 仕上研削用補正プロファイルデータ
W: ワーク(クランクシャフト)
CP:クランクピン
Claims (2)
- クランクピンの遊星回転位相に応じて砥石の切り込み位置をプロファイルデータに従って制御すると共に、複数の連続した送り速度の異なる切り込み工程によりクランクピンを所定直径の真円に研削するクランクピンの研削方法において、 まず粗研削工程について試し研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により粗研削用補正プロファイルデータを作成し、仕上研削工程の試し研削は、粗研削工程を前記粗研削用補正プロファイルデータに従って研削することにより実質的に真円度誤差を排除した後に、理論プロファイルデータに従って試し仕上研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により仕上研削用補正プロファイルデータを作成し、
正規の研削においては、粗研削工程及び仕上研削工程をそれぞれの補正プロファイルデータに従って研削加工することを特徴とするクランクピンの研削方法。 - クランクピンの遊星回転位相に応じて砥石の切り込み位置をプロファイルデータに従って制御すると共に、複数の連続した送り速度の異なる切り込み工程によりクランクピンを所定直径の真円に研削するクランクピン研削装置において、
クランクピンを研削するための理論プロファイルデータと、前記理論プロファイルデータにより試し粗研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により作成した粗研削用補正プロファイルデータと、粗研削工程を前記粗研削用補正プロファイルデータに従って研削することにより実質的に真円度誤差を排除した後に、理論プロファイルデータに従って試し仕上研削し、真円度誤差を測定し、この誤差により作成した仕上研削用補正プロファイルデータとを登録する手段と、
正規の研削において、未加工のクランクピンの研削条件によるモードを判別する手段と、前記モード判別手段のモードにより、前記理論プロファイルデータ、粗研削用補正プロファイルデータ、仕上研削用補正プロファイルデータの組み合わせを選択して研削加工を実行する手段とを有することを特徴とするクランクピンの研削装置。
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