JP2004314220A - 研磨方法および研磨装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の面形状を得るための形状補正研磨を効率よく行う。
【解決手段】ワーク5に対して部分的にポリシャ1を当接した状態で相対的に走査させて研磨加工を行う。加工前のワーク5の形状を測定し、測定した形状から走査速度を設定してワーク5の全面を研磨加工する予備研磨工程と、ポリシャ1とワーク5を所定範囲の接触面積で一定時間当接して加工した単一加工痕の深さ分布に基づいて、ワーク5の予備研磨工程前後に測定された形状の各点のデータを前記所定範囲で重み付けして移動平均処理し、この移動平均処理した前記各点のデータを比較することでワーク5の各点における単位時間当たりの研磨量を算出する工程と、この単位時間当たりの研磨量を用いて予備研磨後の形状から理想形状を得る走査速度を算出する工程と、この走査速度でワーク5を理想形状に研磨する仕上げ研磨工程とからなる。
【選択図】 図1
【解決手段】ワーク5に対して部分的にポリシャ1を当接した状態で相対的に走査させて研磨加工を行う。加工前のワーク5の形状を測定し、測定した形状から走査速度を設定してワーク5の全面を研磨加工する予備研磨工程と、ポリシャ1とワーク5を所定範囲の接触面積で一定時間当接して加工した単一加工痕の深さ分布に基づいて、ワーク5の予備研磨工程前後に測定された形状の各点のデータを前記所定範囲で重み付けして移動平均処理し、この移動平均処理した前記各点のデータを比較することでワーク5の各点における単位時間当たりの研磨量を算出する工程と、この単位時間当たりの研磨量を用いて予備研磨後の形状から理想形状を得る走査速度を算出する工程と、この走査速度でワーク5を理想形状に研磨する仕上げ研磨工程とからなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ等の光学素子や成形用の金型の表面を高精度に研磨できる研磨方法および研磨装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
非球面や自由曲面といった形状のレンズや、これらのレンズを成形によって得る場合の金型の加工において、光学性能を満足させる表面を得るために研磨加工が行われる。この研磨加工には様々な手法が用いられるが、最も簡便な方法として、回転している工具(ポリシャ)を被加工物の表面に圧力をかけて当接させ、ポリシャを被加工物の表面に対して位置決め制御しながら加工する方法が知られている。
【0003】
図11に従来技術の研磨方法の断面図を示す。ワーク150の加工面150aに対して部分的にポリシャ110を当接した状態で、ポリシャ用モータ120によりポリシャ110を回転させるとともに、載置台160に固定されたワーク150をワーク用モータ170により回転させ、ガイド130内に設けられた圧縮バネ140によって加工面150aにポリシャ110を荷重させながら、水平軸方向送り機構180によってポリシャ110とワーク150を相対的に走査させて加工面150aの加工を行う。
【0004】
この研磨方法は、加工前のワーク150の形状を測定し、測定した形状から走査速度を設定して加工面150aの全面を研磨加工する予備研磨工程と、予備研磨工程の研磨前後の加工面150aの形状を比較して加工面150aの各点における単位時間当たりの研磨量を算出する工程と、算出した単位時間当たりの研磨量を用いて予備研磨加工後の形状から理想形状を得るための研磨条件を算出する工程と、理想形状を得るための研磨を行う仕上げ研磨工程とからなる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−233952号公報(第3頁、図1,2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来例の研磨方法では、被加工物(ワーク)における研磨前後の形状比較を測定データの各点の比較(被加工物の回転中心から等距離にある点同士の比較)により行うことで、その点での研磨条件(工具の滞留時間)を算出している。つまり、工具(ポリシャ)の作用が点であることを前提としている。しかしながら、このような研磨加工にて使用される工具は遊離砥粒を工具に保持させる必要があるために、樹脂・布・木材・ピッチ等の弾性を有する材料であるため、工具の被加工物上での作用はある程度の面積を有している。面積を有している作用点を点とみなすことによる不具合を図12を用いて説明する。
【0007】
図12(a)に示すように、被加工物200上に幅W1の突起Aがあり、この加工に使用する工具210の作用幅をW2とする。形状修正を行うには、突起Aの頂点における工具210の滞留時間は平坦部Bに対してよりも長く設定されることになる。W1<W2の場合、突起Aの頂点を加工したいにもかかわらず工具210の作用は平坦部Bにも及ぶため、図12(b)に示すように、加工後の形状としてはW型のようになってしまう。このような補正加工によって加工したくない部分が加工されてしまうことにより、結果としてワークに多くの輪帯状のウネリを形成してしまうことになる。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、所望の面形状を得るための形状補正研磨を効率よく行うための研磨方法および研磨装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明の研磨方法は、被加工物に対して部分的に工具を当接した状態で相対的に所定の走査速度で走査させて研磨加工を行う研磨方法において、加工前の被加工物の形状を測定し、測定した形状から走査速度を設定して被加工物の全面を研磨加工する予備研磨工程と、前記工具と前記被加工物とが所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される前記被加工物の単一加工痕の深さ分布に基づいて、前記被加工物の予備研磨工程前後に測定された形状の各点のデータを前記所定範囲で重み付けして移動平均処理し、この移動平均処理した予備研磨工程前後の各点のデータを比較することで被加工物の各点における単位時間当たりの研磨量を算出する工程と、算出した単位時間当たりの研磨量を用いて予備研磨後の形状から理想形状を得るための走査速度を算出する工程と、前記走査速度で前記被加工物を理想形状に研磨する仕上げ研磨工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
この発明では、被加工物に対して予備研磨をした後に仕上げ研磨を行う。予備研磨工程では、被加工物の加工前の形状から所定の走査速度を設定し、この走査速度で被加工物の全面を研磨して、その形状の各点データを得る。また、被加工物に工具を当接して単一加工痕を加工し、その単一加工痕の深さ分布に基づいて重み付けし、被加工物における予備研磨加工前後の形状の各点データを移動平均処理し、被加工物の単位時間当たりの研磨量を算出する。この算出した研磨量を用いて予備研磨後の被加工物を研磨する走査速度を算出し、この走査速度で被加工物の仕上げ研磨加工を行うことにより理想形状を創成することができる。これにより、単一加工痕の大きさや研磨量分布に起因した形状修正誤差を発生させないとともに、工具の状態や研磨装置の機差等の条件が異なっていても、品質の高い面精度での研磨加工を行うことができる。
【0011】
第2の発明の研磨方法は、第1の発明の研磨方法において、前記予備研磨工程と前記仕上げ研磨工程の加工条件における加工条件のうち、被加工物に対する工具の走査速度以外がすべて同一条件であることを特徴とする。
【0012】
この発明では、工具の走査速度以外のすべての加工条件を予備研磨工程および仕上げ研磨工程の双方で同一とするため、走査速度だけを制御するだけで同一の品質の研磨を行うことができる。このため、演算処理が簡単となり、研磨の制御も容易となる。
【0013】
第3の発明の研磨方法は、第1または第2の発明の研磨方法において、前記被加工物の単一加工痕の深さ分布は、前記被加工物と同一形状または近似の形状と前記工具とが所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される形状の断面の分布であることを特徴とする。
【0014】
この発明では、被加工物の単一加工痕の深さ分布を、予備研磨する被加工物と同一形状または近似形状の被加工物に工具を当接して加工される形状の断面の分布としたので、研磨加工時と同様の加工条件での工具の加工痕の状態を明らかにでき、工具の被加工物への接触状態の影響を排除した形状修正加工を行うことができる。
【0015】
第4の発明の研磨装置は、被加工物に対して工具を当接させた状態で、前記工具と前記被加工物とを相対的に所定の走査速度で走査させることにより、前記被加工物を研磨加工する研磨装置において、前記被加工物を回転させる被加工物回転手段と、前記工具を回転させる工具回転手段と、前記被加工物と前記工具とが所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される前記被加工物の単一加工痕の深さ分布に基づいて、前記被加工物の各点における形状を前記所定範囲で重み付して移動平均処理するとともに加工前後の形状の差を用いて走査速度を算出する算出手段と、前記工具を前記被加工物に当接させた状態で相対的に移動させる移動手段と、を具備することを特徴とする。
【0016】
この発明では、被加工物を被加工物回転手段により回転させるとともに、工具を工具回転手段により回転させつつ、被加工物と工具とを相対的に走査して被加工物の予備研磨を行う。このとき、被加工物の加工面の全面を研磨し、その形状の各点データを得る。また、被加工物に工具を当接して単一加工痕を加工し、その単一加工痕の深さ分布に基づいて重み付けし、被加工物における予備研磨加工前後の形状の各点データを移動平均処理し、被加工物の単位時間当たりの研磨量を算出する。そして、この算出した研磨量を用いて予備研磨後の被加工物を研磨する走査速度を算出手段により算出し、この走査速度に基づいて移動手段により工具と被加工物を相対的に移動させて被加工物の仕上げ研磨加工を行うことにより理想形状を創成することができる。これにより、単一加工痕の大きさや研磨量分布に起因した形状修正誤差を発生させないとともに、工具の状態や研磨装置の機差等の条件が異なっていても、品質の高い面精度での研磨加工を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の請求項1〜4に対応する実施の形態について図1〜図7を用いて説明する。図1は本実施の形態の研磨装置の概略図、図2は本実施の形態の研磨方法のフローチャート、図3は予備研磨加工の水平軸方向送り速度の設定の概略図、図4は単一加工痕の形状による移動平均処理の条件算出の概要、図5は移動平均処理の一例、図6は予備加工前後の形状データ(移動平均処理後)による研磨量の算出の概要、図7は仕上げ研磨加工時の水平軸方向送り速度の修正の概要である。
【0018】
まず、本実施の形態の研磨装置を図1を用いて説明する。この実施の形態では、加工方法(研磨方法)の説明を容易にするために、ここでは被加工物に対する平面加工を例にして説明する。
【0019】
研磨装置は工具軸部10およびワーク軸部20を備えており、工具軸部10は、被加工物としてのワーク5と当接して加工を行うための工具としての球状のポリシャ1と、ポリシャ1を回転させるための工具回転手段としてのポリシャ用モータ2とを備えている。また、ポリシャ用モータ2と共にポリシャ1の上下方向への移動を可能にさせるガイド3と、ガイド3内に組み込まれてポリシャ1に対して下方向へ与圧する圧縮バネ4とを有している。ポリシャ1は、上下移動を可能とするガイド3に対して45度の角度を有して傾斜するように固定されている。
【0020】
ワーク軸部20は、平坦な加工面5aを有するワーク5の加工面5aが水平になるように載置固定された載置台6と、載置台6と共にワーク5を回転軸に沿って回転させるための被加工物回転手段としてのワーク用モータ7と、工具軸部10とワーク軸部20の水平軸方向の相対移動速度を制御するための移動手段としての水平軸方向送り機構8とからなる。ワーク軸部20の水平軸方向送り機構8は算出手段としての制御ユニット9と接続されており、ポリシャ1とワーク5との相対移動速度を制御可能に構成されている。
【0021】
ポリシャ1によるワーク5の研磨加工は、ポリシャ1とワーク5が回転した状態において、圧縮バネ4の与圧により荷重されて行われる。そして、その状態にてワーク軸部20の水平軸方向送り機構8が、制御ユニット9により設定された速度で水平方向へ動作(走査)することでワーク5の加工面5aの加工が行われる。
【0022】
上記研磨装置を用いた研磨方法は、図2のフローチャートに示すように、まず、加工前のワーク5の回転中心を通る断面形状を測定する(STEP1)。次に、測定した断面形状に基づいて、ワーク5の最外径部から中心部にかけての水平軸方向送り速度を制御ユニット9によって設定する。この水平軸方向送り速度が、ポリシャ1とワーク5の予備研磨加工時の走査速度となる(STEP2)。次に、その水平軸方向送り速度を用いて予備研磨加工を行う(STEP3)。この予備研磨加工はワーク5の加工面5aの全面に対して行う。次に、予備研磨加工後のワーク5の断面形状を測定する(STEP4)。
【0023】
次に、加工前のワーク5と同一形状である別のワークを載置台6に固定し、ワーク軸部20すなわちワークを回転させずにポリシャ1により60秒間加工を行い、単一加工痕を加工したワークを得る(STEP5)。この際の加工条件は予備研磨加工と同一である。次に、この単一加工痕の直径方向の断面形状を測定し、単一加工痕の幅および深さ方向の分布を明らかにし、単位時間当たりの単一加工痕を得る(STEP6)。
【0024】
次に、予備研磨加工前後の形状データの移動平均処理を行う(STEP7)。これは、各データの移動平均処理を行うデータ長さを単一加工痕の幅と同一にし、かつその各データに単一加工痕の深さ方向分布に応じた重み付け(加工量の多い部分を重く配分するように重み付けをする)を行う。次に、この移動平均処理を行った予備研磨加工前後の形状の差(断面形状各位置の研磨量の差)を求める(STEP8)。次に、理想形状(仕上げ研磨後の所望断面形状)と予備研磨後の断面形状の差(断面形状各位置の必要研磨量)を求め(STEP9)、仕上げ研磨加工時の水平軸方向送り速度を設定し(STEP10)、仕上げ研磨を実行する(STEP11)。
【0025】
上記フローチャートに従った加工の内容を説明する。
まず、予備加工前のワーク5の断面形状をフォームタリサーフ(テーラーホブソン社製)にて測定する。これによりワーク5の回転中心を通る断面の形状を得る。
【0026】
次に、水平軸方向送り機構8による水平軸方向送り速度(走査速度)の設定を行う。図3は予備研磨加工時の水平軸方向送り速度の設定を示し、横軸がワーク5の径方向位置、縦軸がポリシャ1とワーク5との水平軸方向送り速度(相対位置移動速度)である。予備研磨であるため、水平軸方向送り速度を大まかに設定するが、ワーク5の全面で均一な研磨量を得る場合には、回転軸対称のワーク5では外周部に向かうにつれて、その径位置における研磨加工の取り代の総和が大きくなるため、ワーク5の中心部よりも外周部の方が水平軸方向送り速度が小さくなるように設定することが好ましい。図3において、各径位置の送り速度の大きさをS1とする。この加工条件にて、予備研磨加工を行う。
【0027】
次に、上述のように設定された走査速度を図1の制御ユニット9に設定し、その走査速度に従ってポリシャ1とワーク5を互いに回転させながら相対移動(本実施の形態では、ワーク5を水平軸方向送り機構8によって水平軸方向へ移動)させ、予備研磨加工を行う。
【0028】
次に、単一加工痕の取得を行う。図4(a)はワーク5を回転させずに、ポリシャ1のみを回転させ60秒間ワーク5に当接させることで得られた加工痕の断面形状である。この測定は、実際の加工時にポリシャ1が走査する方向の断面を測定したものである。この単一加工痕を図4(b)のように単位時間当たり(1秒当たり)の単一加工痕に変換し、さらに、最も加工量の大きい部分を「1」、加工されていない部分が「0」となるように、図4(c)のように変換する。これにより、幅W(0.6mm)と深さ方向の分布S(係数)が求められる。
【0029】
次に、予備研磨加工前後におけるワーク5の断面形状データの移動平均処理を行う。測定された断面形状データは0.75μm間隔である。この各データを単一加工痕の幅Wおよび深さ分布Sを用いて移動平均処理を行う。移動平均処理を行う幅は、そのデータを中心として0.6mmとする。この範囲には800個のデータがある。通常の移動平均であれば、このデータの平均値をとるのであるが、ここでは図4(c)に示した深さ方向の分布Sに従った係数を各データに与え、その平均値を得ることにする。深さ方向の分布Sはあらかじめ近似式に変換しておくことで、上述の移動平均処理時の重み付けが容易に行うことができる。ある断面形状を例として、この移動平均処理を行った結果を図5に示す。
【0030】
図6は、上述のような方法にて移動平均処理を行った予備研磨加工前のワーク5の断面形状を縦軸方向「0」の位置に配置させ、予備研磨加工後のワーク5の断面形状を研磨量分だけ下方に配置させたものである。ここでは最外周部の研磨量が0.2μmの場合を示している。研磨量は、加工前後の高さ方向の変位を電気マイクロメータ等の測長器で測定することができる。各径位置における予備研磨加工の研磨量の大きさをΔH1とする。
【0031】
次に、図7を用いて、仕上げ研磨加工時の水平軸方向送り速度設定の考え方について説明する。図7(a)は予備研磨加工後の断面形状を縦軸方向「0」の位置に配置させ、仕上げ研磨加工後の断面形状(所望の理想形状)を仕上げ研磨加工の研磨量分だけ縦軸方向下方に配置させたものである。ここでは、ワーク5の最外周部の仕上げ研磨量が0.2μmの場合を示している。各径位置における仕上げ研磨加工の研磨量の大きさ(必要研磨量)をΔH2とする。研磨量の大きさは、ワーク5上のポリシャ1の滞留時間に比例するため、水平軸方向送り速度の大きさとは反比例することになる。よって、各径位置における仕上げ研磨加工の水平軸方向送り速度の大きさS2は下式で示される。
S2=(0.2/0.2)×S1×(ΔH2/ΔH1)
この仕上げ研磨加工時の水平軸方向送り速度の設定を図7(b)に示す。この設定に従って仕上げ研磨加工を実施する。
【0032】
上記研磨加工例は、ワーク5とポリシャ1の相対位置移動速度の設定の仕方を簡単に説明するために被加工物を平面の例で説明したが、被加工物が球面や非球面でも同様の加工を行うことができ、図8にその装置の概要を示す。
【0033】
図8は、球面や非球面(回転軸対称の加工面)を有する被加工物の加工を行う研磨装置の実施の形態を示し、工具軸部30とワーク軸部40を備えている。
【0034】
工具軸部30は、被加工物としてのワーク41の加工面41aと当接して加工を行うための工具としての球状のポリシャ31と、ポリシャ31を回転させるための工具回転手段としてのポリシャ用モータ32とを備えている。また、ポリシャ用モータ32と共にポリシャ31を鉛直方向下方に荷重させるためのシリンダ33と、ポリシャ31とポリシャ用モータ32およびシリンダ33のすべてを鉛直方向上下に位置決めする上下移動手段としてのZ軸(図示省略)とからなる。
【0035】
ワーク軸部40は、ワーク41を載置固定する載置台42と、載置台42と共にワーク41を回転させる被加工物回転手段としてのワーク用モータ43と、それらを揺動位置決めさせるための揺動手段としてのA軸(図示省略)と、それらすべてを水平方向左右に位置決めする水平移動手段としてのY軸(図示省略)とからなり、Z軸とY軸とA軸の3軸は移動手段を構成している。A,Y,Zの3軸(図示省略)は算出手段としての制御ユニット44と接続されており、その位置決めよびポリシャ31とワーク41の相対移動速度が制御可能に構成されている。
【0036】
ポリシャ31は、シリンダ33による一定荷重にてワーク41と当接するとともに、A,Y,Zの3軸を制御することにより、常にワーク41の加工面41aに対してポリシャ31が垂直方向から荷重されるように制御される。すなわち、回転するポリシャ31とワーク41が、垂直荷重されるように一定荷重で当接するとともに、3軸の制御によりポリシャ31とワーク41が相対位置移動速度を有するように軸移動することにより加工が行われる。
【0037】
このような研磨装置を用いることで、球面や非球面の加工においても、前述した平面加工の場合と同様の研磨加工を行うことができる。
【0038】
さらに、上記例のような回転軸対称の被加工物以外に、非軸対称の自由曲面加工にも適用することができ、図9にその装置の概要を示す。
【0039】
図9は、非軸対称の自由曲面を有する被加工物の加工を行う研磨装置の実施の形態を示し、工具軸部50とワーク軸部60を備えている。
【0040】
工具軸部50は、被加工物としてのワーク61の加工面61aと当接して加工を行うための工具としての球状のポリシャ51と、ポリシャ51を回転させるための工具回転手段としてのポリシャ用モータ52とを備えている。また、ポリシャ用モータ52と共にポリシャ51を鉛直方向下方に荷重させるためのシリンダ53と、ポリシャ51とポリシャ用モータ52およびシリンダ53のすべてを鉛直方向上下に位置決めする上下移動手段としてのZ軸(図示省略)とからなる。
【0041】
ワーク軸部60は、ワーク61を載置固定する載置台62と、載置台62と共にワーク61を水平方向の左右および前後に位置決めさせる第1の水平移動手段としてのX軸および第2の水平移動手段としてのY軸(図示省略)とからなり、X軸とY軸とZ軸の3軸は移動手段を構成している。X,Y,Zの3軸(図示省略)は算出手段としての制御ユニット63と接続されており、その位置決めおよびポリシャ51とワーク61の相対移動速度が制御可能に構成されている。
【0042】
ポリシャ51はシリンダ53による一定荷重にてワーク61と当接するとともに、X,Y,Zの3軸を制御することにより、図10に示すような軌跡(上面図)にてポリシャ51がワーク61の加工面(表面)61aで位置制御されつつ移動する。ポリシャ51とワーク61の界面には、砥粒を懸濁した加工液が与えられ、加工面61aの加工が進行する。
【0043】
測定は、例えば松下電器産業(株)製UA3Pのような三次元形状測定機を用いて行い、上記平面や球面、非球面の加工の場合と同様に、ポリシャ51とワーク61の相対位置送り速度(本例ではX,Y軸の速度)を調整することにより、形状補正研磨加工を行うことができる。
【0044】
なお、上記した具体的実施の形態から次のような構成の技術的思想が導き出される。
(付記)
(1)被加工物に対して部分的に工具を当接した状態で相対的に所定の走査速度で走査させて研磨加工を行う研磨方法において、
加工前の被加工物の形状を測定し、測定した形状から走査速度を設定して被加工物の全面を、前記工具と前記被加工物とを回転させつつ研磨加工する予備研磨工程と、
前記回転する工具と、前記被加工物と同一形状または近似の形状を有する被加工物を回転させずに所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される前記被加工物の単一加工痕の深さ分布に基づいて、前記被加工物の予備研磨工程前後に測定された形状の各点のデータを前記所定範囲で重み付けして移動平均処理し、この移動平均処理した予備研磨工程前後の各点のデータを比較することで被加工物の各点における単位時間当たりの研磨量を算出する工程と、
算出した単位時間当たりの研磨量を用いて予備研磨後の形状から理想形状を得るための走査速度を算出する工程と、
前記走査速度で前記被加工物を理想形状に研磨する仕上げ研磨工程と、
を有することを特徴とする研磨方法。
【0045】
(2)被加工物に対して工具を当接させた状態で、前記工具と前記被加工物とを相対的に所定の走査速度で走査させることにより、前記被加工物を研磨加工する研磨装置において、
前記被加工物を回転させる被加工物回転手段と、
前記工具を回転させる工具回転手段と、
前記被加工物と前記工具とが所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される前記被加工物の単一加工痕の深さ分布に基づいて、前記被加工物の各点における形状を前記所定範囲で重み付けして移動平均処理するとともに加工前後の形状の差を用いて走査速度を算出する算出手段と、
前記工具を前記被加工物に当接させた状態で相対的に水平方向へ移動させる移動手段と、
を具備することを特徴とする研磨装置。
【0046】
(3)前記移動手段は、水平移動手段と上下移動手段と揺動手段を備えることを特徴とする前記(2)記載の研磨装置。
【0047】
(4)前記移動手段は、直交する水平方向へ移動させる第1および第2の水平移動手段と上下移動手段を備えることを特徴とする前記(2)記載の研磨装置。
【0048】
前記(1)の研磨方法によれば、予備研磨加工における被加工物の各点の単位時間当たりの研磨量を算出するとともに、研磨時の単一加工痕の幅および研磨量分布を考慮したうえで予備研磨加工後の形状と理想形状との差を算出する。この際、被加工物を回転させないので走査方向の単一加工痕が得られ、前記差の算出が容易になる。そして、前記差に基づいて仕上げ研磨加工を行うため、単一加工痕の大きさや研磨量分布に起因した形状修正誤差を発生させないとともに、工具の状態や研磨装置の機差等の条件が異なっていても、品質の高い面精度での研磨加工を行うことができる。
【0049】
前記(2)の研磨装置によれば、被加工物に対する平面加工において、工具の単一加工痕の幅および深さ分布を考慮して被加工物の形状を移動平均処理し、そのデータをもとにして形状補正加工条件を算出できるため、工具の被加工物への接触状態の影響を排除した形状修正加工を行うことができる。
【0050】
前記(3)の研磨装置によれば、回転軸対称の球面や非球面を研磨加工することができる。その他の効果は前記(2)と同様である。
【0051】
前記(4)の研磨装置によれば、非軸対称の自由曲面を研磨加工することができる。その他の効果は前記(2)と同様である。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1の研磨方法によれば、予備研磨加工における被加工物の各点の単位時間当たりの研磨量を算出するとともに、研磨時の単一加工痕の幅および研磨量分布を考慮したうえで予備研磨加工後の形状と理想形状との差を算出して仕上げ研磨加工を行うため、単一加工痕の大きさや研磨量分布に起因した形状修正誤差を発生させないとともに、工具の状態や研磨装置の機差等の条件が異なっていても、品質の高い面精度での研磨加工を行うことができる。
【0053】
本発明の請求項2の研磨方法によれば、請求項1の効果に加えて、工具の走査速度を制御するだけで同一の品質の研磨加工を行うことができるため、演算処理が簡単となり、研磨の制御も容易となる。
【0054】
本発明の請求項3の研磨方法によれば、請求項1の効果に加えて、研磨加工時と同様の加工条件での工具の加工痕の状態を明らかにできるため、工具の被加工物への接触状態の影響を排除した形状修正加工を行うことができる。
【0055】
本発明の請求項4の研磨装置によれば、工具の単一加工痕の幅および深さ分布を考慮して被加工物の形状を移動平均処理し、そのデータをもとにして形状補正加工条件を算出できるため、工具の被加工物への接触状態の影響を排除した形状修正加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る研磨装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1の研磨方法における研磨工程のフローチャートである。
【図3】予備研磨加工の水平軸方向送り速度の設定の概略図である。
【図4】単一加工痕の形状による移動平均処理の条件算出の概要図である。
【図5】移動平均処理を行った結果を示す図である。
【図6】予備加工前後の形状データ(移動平均処理後)による研磨量の算出の概要図である。
【図7】仕上げ研磨加工時の水平軸方向送り速度の修正の概要図である。
【図8】回転軸対称のワークへの研磨を行う研磨装置の概略図である。
【図9】非軸対称のワークへの研磨を行う研磨装置の概略図である。
【図10】ワークへの加工を示す上面図である。
【図11】従来の研磨装置を示す概略図である。
【図12】従来の研磨方法における加工を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1,31,51 ポリシャ
2,32,52 ポリシャ用モータ
5,41,61 ワーク
7,43 ワーク用モータ
8 水平軸方向送り機構
9,44,63 制御ユニット
10,30,50 工具軸部
20,40,60 ワーク軸部
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ等の光学素子や成形用の金型の表面を高精度に研磨できる研磨方法および研磨装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
非球面や自由曲面といった形状のレンズや、これらのレンズを成形によって得る場合の金型の加工において、光学性能を満足させる表面を得るために研磨加工が行われる。この研磨加工には様々な手法が用いられるが、最も簡便な方法として、回転している工具(ポリシャ)を被加工物の表面に圧力をかけて当接させ、ポリシャを被加工物の表面に対して位置決め制御しながら加工する方法が知られている。
【0003】
図11に従来技術の研磨方法の断面図を示す。ワーク150の加工面150aに対して部分的にポリシャ110を当接した状態で、ポリシャ用モータ120によりポリシャ110を回転させるとともに、載置台160に固定されたワーク150をワーク用モータ170により回転させ、ガイド130内に設けられた圧縮バネ140によって加工面150aにポリシャ110を荷重させながら、水平軸方向送り機構180によってポリシャ110とワーク150を相対的に走査させて加工面150aの加工を行う。
【0004】
この研磨方法は、加工前のワーク150の形状を測定し、測定した形状から走査速度を設定して加工面150aの全面を研磨加工する予備研磨工程と、予備研磨工程の研磨前後の加工面150aの形状を比較して加工面150aの各点における単位時間当たりの研磨量を算出する工程と、算出した単位時間当たりの研磨量を用いて予備研磨加工後の形状から理想形状を得るための研磨条件を算出する工程と、理想形状を得るための研磨を行う仕上げ研磨工程とからなる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−233952号公報(第3頁、図1,2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来例の研磨方法では、被加工物(ワーク)における研磨前後の形状比較を測定データの各点の比較(被加工物の回転中心から等距離にある点同士の比較)により行うことで、その点での研磨条件(工具の滞留時間)を算出している。つまり、工具(ポリシャ)の作用が点であることを前提としている。しかしながら、このような研磨加工にて使用される工具は遊離砥粒を工具に保持させる必要があるために、樹脂・布・木材・ピッチ等の弾性を有する材料であるため、工具の被加工物上での作用はある程度の面積を有している。面積を有している作用点を点とみなすことによる不具合を図12を用いて説明する。
【0007】
図12(a)に示すように、被加工物200上に幅W1の突起Aがあり、この加工に使用する工具210の作用幅をW2とする。形状修正を行うには、突起Aの頂点における工具210の滞留時間は平坦部Bに対してよりも長く設定されることになる。W1<W2の場合、突起Aの頂点を加工したいにもかかわらず工具210の作用は平坦部Bにも及ぶため、図12(b)に示すように、加工後の形状としてはW型のようになってしまう。このような補正加工によって加工したくない部分が加工されてしまうことにより、結果としてワークに多くの輪帯状のウネリを形成してしまうことになる。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、所望の面形状を得るための形状補正研磨を効率よく行うための研磨方法および研磨装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明の研磨方法は、被加工物に対して部分的に工具を当接した状態で相対的に所定の走査速度で走査させて研磨加工を行う研磨方法において、加工前の被加工物の形状を測定し、測定した形状から走査速度を設定して被加工物の全面を研磨加工する予備研磨工程と、前記工具と前記被加工物とが所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される前記被加工物の単一加工痕の深さ分布に基づいて、前記被加工物の予備研磨工程前後に測定された形状の各点のデータを前記所定範囲で重み付けして移動平均処理し、この移動平均処理した予備研磨工程前後の各点のデータを比較することで被加工物の各点における単位時間当たりの研磨量を算出する工程と、算出した単位時間当たりの研磨量を用いて予備研磨後の形状から理想形状を得るための走査速度を算出する工程と、前記走査速度で前記被加工物を理想形状に研磨する仕上げ研磨工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
この発明では、被加工物に対して予備研磨をした後に仕上げ研磨を行う。予備研磨工程では、被加工物の加工前の形状から所定の走査速度を設定し、この走査速度で被加工物の全面を研磨して、その形状の各点データを得る。また、被加工物に工具を当接して単一加工痕を加工し、その単一加工痕の深さ分布に基づいて重み付けし、被加工物における予備研磨加工前後の形状の各点データを移動平均処理し、被加工物の単位時間当たりの研磨量を算出する。この算出した研磨量を用いて予備研磨後の被加工物を研磨する走査速度を算出し、この走査速度で被加工物の仕上げ研磨加工を行うことにより理想形状を創成することができる。これにより、単一加工痕の大きさや研磨量分布に起因した形状修正誤差を発生させないとともに、工具の状態や研磨装置の機差等の条件が異なっていても、品質の高い面精度での研磨加工を行うことができる。
【0011】
第2の発明の研磨方法は、第1の発明の研磨方法において、前記予備研磨工程と前記仕上げ研磨工程の加工条件における加工条件のうち、被加工物に対する工具の走査速度以外がすべて同一条件であることを特徴とする。
【0012】
この発明では、工具の走査速度以外のすべての加工条件を予備研磨工程および仕上げ研磨工程の双方で同一とするため、走査速度だけを制御するだけで同一の品質の研磨を行うことができる。このため、演算処理が簡単となり、研磨の制御も容易となる。
【0013】
第3の発明の研磨方法は、第1または第2の発明の研磨方法において、前記被加工物の単一加工痕の深さ分布は、前記被加工物と同一形状または近似の形状と前記工具とが所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される形状の断面の分布であることを特徴とする。
【0014】
この発明では、被加工物の単一加工痕の深さ分布を、予備研磨する被加工物と同一形状または近似形状の被加工物に工具を当接して加工される形状の断面の分布としたので、研磨加工時と同様の加工条件での工具の加工痕の状態を明らかにでき、工具の被加工物への接触状態の影響を排除した形状修正加工を行うことができる。
【0015】
第4の発明の研磨装置は、被加工物に対して工具を当接させた状態で、前記工具と前記被加工物とを相対的に所定の走査速度で走査させることにより、前記被加工物を研磨加工する研磨装置において、前記被加工物を回転させる被加工物回転手段と、前記工具を回転させる工具回転手段と、前記被加工物と前記工具とが所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される前記被加工物の単一加工痕の深さ分布に基づいて、前記被加工物の各点における形状を前記所定範囲で重み付して移動平均処理するとともに加工前後の形状の差を用いて走査速度を算出する算出手段と、前記工具を前記被加工物に当接させた状態で相対的に移動させる移動手段と、を具備することを特徴とする。
【0016】
この発明では、被加工物を被加工物回転手段により回転させるとともに、工具を工具回転手段により回転させつつ、被加工物と工具とを相対的に走査して被加工物の予備研磨を行う。このとき、被加工物の加工面の全面を研磨し、その形状の各点データを得る。また、被加工物に工具を当接して単一加工痕を加工し、その単一加工痕の深さ分布に基づいて重み付けし、被加工物における予備研磨加工前後の形状の各点データを移動平均処理し、被加工物の単位時間当たりの研磨量を算出する。そして、この算出した研磨量を用いて予備研磨後の被加工物を研磨する走査速度を算出手段により算出し、この走査速度に基づいて移動手段により工具と被加工物を相対的に移動させて被加工物の仕上げ研磨加工を行うことにより理想形状を創成することができる。これにより、単一加工痕の大きさや研磨量分布に起因した形状修正誤差を発生させないとともに、工具の状態や研磨装置の機差等の条件が異なっていても、品質の高い面精度での研磨加工を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の請求項1〜4に対応する実施の形態について図1〜図7を用いて説明する。図1は本実施の形態の研磨装置の概略図、図2は本実施の形態の研磨方法のフローチャート、図3は予備研磨加工の水平軸方向送り速度の設定の概略図、図4は単一加工痕の形状による移動平均処理の条件算出の概要、図5は移動平均処理の一例、図6は予備加工前後の形状データ(移動平均処理後)による研磨量の算出の概要、図7は仕上げ研磨加工時の水平軸方向送り速度の修正の概要である。
【0018】
まず、本実施の形態の研磨装置を図1を用いて説明する。この実施の形態では、加工方法(研磨方法)の説明を容易にするために、ここでは被加工物に対する平面加工を例にして説明する。
【0019】
研磨装置は工具軸部10およびワーク軸部20を備えており、工具軸部10は、被加工物としてのワーク5と当接して加工を行うための工具としての球状のポリシャ1と、ポリシャ1を回転させるための工具回転手段としてのポリシャ用モータ2とを備えている。また、ポリシャ用モータ2と共にポリシャ1の上下方向への移動を可能にさせるガイド3と、ガイド3内に組み込まれてポリシャ1に対して下方向へ与圧する圧縮バネ4とを有している。ポリシャ1は、上下移動を可能とするガイド3に対して45度の角度を有して傾斜するように固定されている。
【0020】
ワーク軸部20は、平坦な加工面5aを有するワーク5の加工面5aが水平になるように載置固定された載置台6と、載置台6と共にワーク5を回転軸に沿って回転させるための被加工物回転手段としてのワーク用モータ7と、工具軸部10とワーク軸部20の水平軸方向の相対移動速度を制御するための移動手段としての水平軸方向送り機構8とからなる。ワーク軸部20の水平軸方向送り機構8は算出手段としての制御ユニット9と接続されており、ポリシャ1とワーク5との相対移動速度を制御可能に構成されている。
【0021】
ポリシャ1によるワーク5の研磨加工は、ポリシャ1とワーク5が回転した状態において、圧縮バネ4の与圧により荷重されて行われる。そして、その状態にてワーク軸部20の水平軸方向送り機構8が、制御ユニット9により設定された速度で水平方向へ動作(走査)することでワーク5の加工面5aの加工が行われる。
【0022】
上記研磨装置を用いた研磨方法は、図2のフローチャートに示すように、まず、加工前のワーク5の回転中心を通る断面形状を測定する(STEP1)。次に、測定した断面形状に基づいて、ワーク5の最外径部から中心部にかけての水平軸方向送り速度を制御ユニット9によって設定する。この水平軸方向送り速度が、ポリシャ1とワーク5の予備研磨加工時の走査速度となる(STEP2)。次に、その水平軸方向送り速度を用いて予備研磨加工を行う(STEP3)。この予備研磨加工はワーク5の加工面5aの全面に対して行う。次に、予備研磨加工後のワーク5の断面形状を測定する(STEP4)。
【0023】
次に、加工前のワーク5と同一形状である別のワークを載置台6に固定し、ワーク軸部20すなわちワークを回転させずにポリシャ1により60秒間加工を行い、単一加工痕を加工したワークを得る(STEP5)。この際の加工条件は予備研磨加工と同一である。次に、この単一加工痕の直径方向の断面形状を測定し、単一加工痕の幅および深さ方向の分布を明らかにし、単位時間当たりの単一加工痕を得る(STEP6)。
【0024】
次に、予備研磨加工前後の形状データの移動平均処理を行う(STEP7)。これは、各データの移動平均処理を行うデータ長さを単一加工痕の幅と同一にし、かつその各データに単一加工痕の深さ方向分布に応じた重み付け(加工量の多い部分を重く配分するように重み付けをする)を行う。次に、この移動平均処理を行った予備研磨加工前後の形状の差(断面形状各位置の研磨量の差)を求める(STEP8)。次に、理想形状(仕上げ研磨後の所望断面形状)と予備研磨後の断面形状の差(断面形状各位置の必要研磨量)を求め(STEP9)、仕上げ研磨加工時の水平軸方向送り速度を設定し(STEP10)、仕上げ研磨を実行する(STEP11)。
【0025】
上記フローチャートに従った加工の内容を説明する。
まず、予備加工前のワーク5の断面形状をフォームタリサーフ(テーラーホブソン社製)にて測定する。これによりワーク5の回転中心を通る断面の形状を得る。
【0026】
次に、水平軸方向送り機構8による水平軸方向送り速度(走査速度)の設定を行う。図3は予備研磨加工時の水平軸方向送り速度の設定を示し、横軸がワーク5の径方向位置、縦軸がポリシャ1とワーク5との水平軸方向送り速度(相対位置移動速度)である。予備研磨であるため、水平軸方向送り速度を大まかに設定するが、ワーク5の全面で均一な研磨量を得る場合には、回転軸対称のワーク5では外周部に向かうにつれて、その径位置における研磨加工の取り代の総和が大きくなるため、ワーク5の中心部よりも外周部の方が水平軸方向送り速度が小さくなるように設定することが好ましい。図3において、各径位置の送り速度の大きさをS1とする。この加工条件にて、予備研磨加工を行う。
【0027】
次に、上述のように設定された走査速度を図1の制御ユニット9に設定し、その走査速度に従ってポリシャ1とワーク5を互いに回転させながら相対移動(本実施の形態では、ワーク5を水平軸方向送り機構8によって水平軸方向へ移動)させ、予備研磨加工を行う。
【0028】
次に、単一加工痕の取得を行う。図4(a)はワーク5を回転させずに、ポリシャ1のみを回転させ60秒間ワーク5に当接させることで得られた加工痕の断面形状である。この測定は、実際の加工時にポリシャ1が走査する方向の断面を測定したものである。この単一加工痕を図4(b)のように単位時間当たり(1秒当たり)の単一加工痕に変換し、さらに、最も加工量の大きい部分を「1」、加工されていない部分が「0」となるように、図4(c)のように変換する。これにより、幅W(0.6mm)と深さ方向の分布S(係数)が求められる。
【0029】
次に、予備研磨加工前後におけるワーク5の断面形状データの移動平均処理を行う。測定された断面形状データは0.75μm間隔である。この各データを単一加工痕の幅Wおよび深さ分布Sを用いて移動平均処理を行う。移動平均処理を行う幅は、そのデータを中心として0.6mmとする。この範囲には800個のデータがある。通常の移動平均であれば、このデータの平均値をとるのであるが、ここでは図4(c)に示した深さ方向の分布Sに従った係数を各データに与え、その平均値を得ることにする。深さ方向の分布Sはあらかじめ近似式に変換しておくことで、上述の移動平均処理時の重み付けが容易に行うことができる。ある断面形状を例として、この移動平均処理を行った結果を図5に示す。
【0030】
図6は、上述のような方法にて移動平均処理を行った予備研磨加工前のワーク5の断面形状を縦軸方向「0」の位置に配置させ、予備研磨加工後のワーク5の断面形状を研磨量分だけ下方に配置させたものである。ここでは最外周部の研磨量が0.2μmの場合を示している。研磨量は、加工前後の高さ方向の変位を電気マイクロメータ等の測長器で測定することができる。各径位置における予備研磨加工の研磨量の大きさをΔH1とする。
【0031】
次に、図7を用いて、仕上げ研磨加工時の水平軸方向送り速度設定の考え方について説明する。図7(a)は予備研磨加工後の断面形状を縦軸方向「0」の位置に配置させ、仕上げ研磨加工後の断面形状(所望の理想形状)を仕上げ研磨加工の研磨量分だけ縦軸方向下方に配置させたものである。ここでは、ワーク5の最外周部の仕上げ研磨量が0.2μmの場合を示している。各径位置における仕上げ研磨加工の研磨量の大きさ(必要研磨量)をΔH2とする。研磨量の大きさは、ワーク5上のポリシャ1の滞留時間に比例するため、水平軸方向送り速度の大きさとは反比例することになる。よって、各径位置における仕上げ研磨加工の水平軸方向送り速度の大きさS2は下式で示される。
S2=(0.2/0.2)×S1×(ΔH2/ΔH1)
この仕上げ研磨加工時の水平軸方向送り速度の設定を図7(b)に示す。この設定に従って仕上げ研磨加工を実施する。
【0032】
上記研磨加工例は、ワーク5とポリシャ1の相対位置移動速度の設定の仕方を簡単に説明するために被加工物を平面の例で説明したが、被加工物が球面や非球面でも同様の加工を行うことができ、図8にその装置の概要を示す。
【0033】
図8は、球面や非球面(回転軸対称の加工面)を有する被加工物の加工を行う研磨装置の実施の形態を示し、工具軸部30とワーク軸部40を備えている。
【0034】
工具軸部30は、被加工物としてのワーク41の加工面41aと当接して加工を行うための工具としての球状のポリシャ31と、ポリシャ31を回転させるための工具回転手段としてのポリシャ用モータ32とを備えている。また、ポリシャ用モータ32と共にポリシャ31を鉛直方向下方に荷重させるためのシリンダ33と、ポリシャ31とポリシャ用モータ32およびシリンダ33のすべてを鉛直方向上下に位置決めする上下移動手段としてのZ軸(図示省略)とからなる。
【0035】
ワーク軸部40は、ワーク41を載置固定する載置台42と、載置台42と共にワーク41を回転させる被加工物回転手段としてのワーク用モータ43と、それらを揺動位置決めさせるための揺動手段としてのA軸(図示省略)と、それらすべてを水平方向左右に位置決めする水平移動手段としてのY軸(図示省略)とからなり、Z軸とY軸とA軸の3軸は移動手段を構成している。A,Y,Zの3軸(図示省略)は算出手段としての制御ユニット44と接続されており、その位置決めよびポリシャ31とワーク41の相対移動速度が制御可能に構成されている。
【0036】
ポリシャ31は、シリンダ33による一定荷重にてワーク41と当接するとともに、A,Y,Zの3軸を制御することにより、常にワーク41の加工面41aに対してポリシャ31が垂直方向から荷重されるように制御される。すなわち、回転するポリシャ31とワーク41が、垂直荷重されるように一定荷重で当接するとともに、3軸の制御によりポリシャ31とワーク41が相対位置移動速度を有するように軸移動することにより加工が行われる。
【0037】
このような研磨装置を用いることで、球面や非球面の加工においても、前述した平面加工の場合と同様の研磨加工を行うことができる。
【0038】
さらに、上記例のような回転軸対称の被加工物以外に、非軸対称の自由曲面加工にも適用することができ、図9にその装置の概要を示す。
【0039】
図9は、非軸対称の自由曲面を有する被加工物の加工を行う研磨装置の実施の形態を示し、工具軸部50とワーク軸部60を備えている。
【0040】
工具軸部50は、被加工物としてのワーク61の加工面61aと当接して加工を行うための工具としての球状のポリシャ51と、ポリシャ51を回転させるための工具回転手段としてのポリシャ用モータ52とを備えている。また、ポリシャ用モータ52と共にポリシャ51を鉛直方向下方に荷重させるためのシリンダ53と、ポリシャ51とポリシャ用モータ52およびシリンダ53のすべてを鉛直方向上下に位置決めする上下移動手段としてのZ軸(図示省略)とからなる。
【0041】
ワーク軸部60は、ワーク61を載置固定する載置台62と、載置台62と共にワーク61を水平方向の左右および前後に位置決めさせる第1の水平移動手段としてのX軸および第2の水平移動手段としてのY軸(図示省略)とからなり、X軸とY軸とZ軸の3軸は移動手段を構成している。X,Y,Zの3軸(図示省略)は算出手段としての制御ユニット63と接続されており、その位置決めおよびポリシャ51とワーク61の相対移動速度が制御可能に構成されている。
【0042】
ポリシャ51はシリンダ53による一定荷重にてワーク61と当接するとともに、X,Y,Zの3軸を制御することにより、図10に示すような軌跡(上面図)にてポリシャ51がワーク61の加工面(表面)61aで位置制御されつつ移動する。ポリシャ51とワーク61の界面には、砥粒を懸濁した加工液が与えられ、加工面61aの加工が進行する。
【0043】
測定は、例えば松下電器産業(株)製UA3Pのような三次元形状測定機を用いて行い、上記平面や球面、非球面の加工の場合と同様に、ポリシャ51とワーク61の相対位置送り速度(本例ではX,Y軸の速度)を調整することにより、形状補正研磨加工を行うことができる。
【0044】
なお、上記した具体的実施の形態から次のような構成の技術的思想が導き出される。
(付記)
(1)被加工物に対して部分的に工具を当接した状態で相対的に所定の走査速度で走査させて研磨加工を行う研磨方法において、
加工前の被加工物の形状を測定し、測定した形状から走査速度を設定して被加工物の全面を、前記工具と前記被加工物とを回転させつつ研磨加工する予備研磨工程と、
前記回転する工具と、前記被加工物と同一形状または近似の形状を有する被加工物を回転させずに所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される前記被加工物の単一加工痕の深さ分布に基づいて、前記被加工物の予備研磨工程前後に測定された形状の各点のデータを前記所定範囲で重み付けして移動平均処理し、この移動平均処理した予備研磨工程前後の各点のデータを比較することで被加工物の各点における単位時間当たりの研磨量を算出する工程と、
算出した単位時間当たりの研磨量を用いて予備研磨後の形状から理想形状を得るための走査速度を算出する工程と、
前記走査速度で前記被加工物を理想形状に研磨する仕上げ研磨工程と、
を有することを特徴とする研磨方法。
【0045】
(2)被加工物に対して工具を当接させた状態で、前記工具と前記被加工物とを相対的に所定の走査速度で走査させることにより、前記被加工物を研磨加工する研磨装置において、
前記被加工物を回転させる被加工物回転手段と、
前記工具を回転させる工具回転手段と、
前記被加工物と前記工具とが所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される前記被加工物の単一加工痕の深さ分布に基づいて、前記被加工物の各点における形状を前記所定範囲で重み付けして移動平均処理するとともに加工前後の形状の差を用いて走査速度を算出する算出手段と、
前記工具を前記被加工物に当接させた状態で相対的に水平方向へ移動させる移動手段と、
を具備することを特徴とする研磨装置。
【0046】
(3)前記移動手段は、水平移動手段と上下移動手段と揺動手段を備えることを特徴とする前記(2)記載の研磨装置。
【0047】
(4)前記移動手段は、直交する水平方向へ移動させる第1および第2の水平移動手段と上下移動手段を備えることを特徴とする前記(2)記載の研磨装置。
【0048】
前記(1)の研磨方法によれば、予備研磨加工における被加工物の各点の単位時間当たりの研磨量を算出するとともに、研磨時の単一加工痕の幅および研磨量分布を考慮したうえで予備研磨加工後の形状と理想形状との差を算出する。この際、被加工物を回転させないので走査方向の単一加工痕が得られ、前記差の算出が容易になる。そして、前記差に基づいて仕上げ研磨加工を行うため、単一加工痕の大きさや研磨量分布に起因した形状修正誤差を発生させないとともに、工具の状態や研磨装置の機差等の条件が異なっていても、品質の高い面精度での研磨加工を行うことができる。
【0049】
前記(2)の研磨装置によれば、被加工物に対する平面加工において、工具の単一加工痕の幅および深さ分布を考慮して被加工物の形状を移動平均処理し、そのデータをもとにして形状補正加工条件を算出できるため、工具の被加工物への接触状態の影響を排除した形状修正加工を行うことができる。
【0050】
前記(3)の研磨装置によれば、回転軸対称の球面や非球面を研磨加工することができる。その他の効果は前記(2)と同様である。
【0051】
前記(4)の研磨装置によれば、非軸対称の自由曲面を研磨加工することができる。その他の効果は前記(2)と同様である。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1の研磨方法によれば、予備研磨加工における被加工物の各点の単位時間当たりの研磨量を算出するとともに、研磨時の単一加工痕の幅および研磨量分布を考慮したうえで予備研磨加工後の形状と理想形状との差を算出して仕上げ研磨加工を行うため、単一加工痕の大きさや研磨量分布に起因した形状修正誤差を発生させないとともに、工具の状態や研磨装置の機差等の条件が異なっていても、品質の高い面精度での研磨加工を行うことができる。
【0053】
本発明の請求項2の研磨方法によれば、請求項1の効果に加えて、工具の走査速度を制御するだけで同一の品質の研磨加工を行うことができるため、演算処理が簡単となり、研磨の制御も容易となる。
【0054】
本発明の請求項3の研磨方法によれば、請求項1の効果に加えて、研磨加工時と同様の加工条件での工具の加工痕の状態を明らかにできるため、工具の被加工物への接触状態の影響を排除した形状修正加工を行うことができる。
【0055】
本発明の請求項4の研磨装置によれば、工具の単一加工痕の幅および深さ分布を考慮して被加工物の形状を移動平均処理し、そのデータをもとにして形状補正加工条件を算出できるため、工具の被加工物への接触状態の影響を排除した形状修正加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る研磨装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1の研磨方法における研磨工程のフローチャートである。
【図3】予備研磨加工の水平軸方向送り速度の設定の概略図である。
【図4】単一加工痕の形状による移動平均処理の条件算出の概要図である。
【図5】移動平均処理を行った結果を示す図である。
【図6】予備加工前後の形状データ(移動平均処理後)による研磨量の算出の概要図である。
【図7】仕上げ研磨加工時の水平軸方向送り速度の修正の概要図である。
【図8】回転軸対称のワークへの研磨を行う研磨装置の概略図である。
【図9】非軸対称のワークへの研磨を行う研磨装置の概略図である。
【図10】ワークへの加工を示す上面図である。
【図11】従来の研磨装置を示す概略図である。
【図12】従来の研磨方法における加工を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1,31,51 ポリシャ
2,32,52 ポリシャ用モータ
5,41,61 ワーク
7,43 ワーク用モータ
8 水平軸方向送り機構
9,44,63 制御ユニット
10,30,50 工具軸部
20,40,60 ワーク軸部
Claims (4)
- 被加工物に対して部分的に工具を当接した状態で相対的に所定の走査速度で走査させて研磨加工を行う研磨方法において、
加工前の被加工物の形状を測定し、測定した形状から走査速度を設定して被加工物の全面を研磨加工する予備研磨工程と、
前記工具と前記被加工物とが所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される前記被加工物の単一加工痕の深さ分布に基づいて、前記被加工物の予備研磨工程前後に測定された形状の各点のデータを前記所定範囲で重み付けして移動平均処理し、この移動平均処理した予備研磨工程前後の各点のデータを比較することで被加工物の各点における単位時間当たりの研磨量を算出する工程と、
算出した単位時間当たりの研磨量を用いて予備研磨後の形状から理想形状を得るための走査速度を算出する工程と、
前記走査速度で前記被加工物を理想形状に研磨する仕上げ研磨工程と、
を有することを特徴とする研磨方法。 - 前記予備研磨工程と前記仕上げ研磨工程の加工条件における加工条件のうち、被加工物に対する工具の走査速度以外がすべて同一条件であることを特徴とする請求項1記載の研磨方法。
- 前記被加工物の単一加工痕の深さ分布は、前記被加工物と同一形状または近似の形状と前記工具とが所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される形状の断面の分布であることを特徴とする請求項1または2記載の研磨方法。
- 被加工物に対して工具を当接させた状態で、前記工具と前記被加工物とを相対的に所定の走査速度で走査させることにより、前記被加工物を研磨加工する研磨装置において、
前記被加工物を回転させる被加工物回転手段と、
前記工具を回転させる工具回転手段と、
前記被加工物と前記工具とが所定範囲の接触面積をもって一定時間当接したときに加工される前記被加工物の単一加工痕の深さ分布に基づいて、前記被加工物の各点における形状を前記所定範囲で重み付けして移動平均処理するとともに加工前後の形状の差を用いて走査速度を算出する算出手段と、
前記工具を前記被加工物に当接させた状態で相対的に移動させる移動手段と、
を具備することを特徴とする研磨装置。
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