JPH1186265A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH1186265A
JPH1186265A JP24303797A JP24303797A JPH1186265A JP H1186265 A JPH1186265 A JP H1186265A JP 24303797 A JP24303797 A JP 24303797A JP 24303797 A JP24303797 A JP 24303797A JP H1186265 A JPH1186265 A JP H1186265A
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magnetic recording
layer
weight
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JP24303797A
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Tadashi Yasuoka
正 安岡
Kunio Ando
邦雄 安藤
Toshio Yamazaki
登志夫 山崎
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高出力を維持しつつエラーレートの初期値を
低くすることができ、またエラーレートの上昇率も小さ
い磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】 磁気記録媒体の長手方向が、AlFeS
il角材の長手方向と直交するように、磁性層の表面を
該AlFeSil角材の長手方向一稜辺にラップ角12
°で接触させた状態で、該磁気記録媒体を40〜45g
/cmの張力下において200mm/secで500m
走行させたときの該AlFeSil角材の摩耗幅が、1
5〜35μmであるような表面硬度を有し、且つ上記磁
性層の表面粗さRaが2〜6nmであることを特徴とす
る磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強磁性粉末が結合
剤に分散されてなる塗布型の磁気記録媒体に関し、更に
詳しくは出力が高く且つエラーレートの少ない磁気記録
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】磁気記
録媒体の再生出力を高めるための一つの手段として、磁
気ヘッドと媒体表面との間の距離を小さくしてスペーシ
ング・ロスを小さくするという手段が知られている。ス
ペーシング・ロスを小さくするための具体的な手段とし
ては、媒体の表面を出来るだけ平滑にすればよいが、余
りに平滑すぎると媒体が磁気ヘッドに貼り付いたり或い
はヘッド詰まり等が生じてエラーレートが高くなってし
まうという不都合が起こる。
【0003】エラーレートを下げるためには、媒体に研
磨材粒子を配合して研磨性を挙げればよいが、該研磨材
粒子の配合によって磁性粉末の充填性が下がり再生出力
が低下してしまう。また、ヘッドが摩耗するとい不都合
も生じる。更には、該研磨材粒子の配合によって媒体表
面の粗さが大きくなり、スペーシング・ロスが大きくな
る結果、再生出力が低下してしまう。このように、再生
出力の向上と、エラーレートの低下とは二律背反の性格
を有するものであった。
【0004】従って、本発明の目的は、高出力を維持し
つつエラーレートの初期値を低くすることができ、また
エラーレートの上昇率も小さい磁気記録媒体を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、磁気記録媒体の研磨性がエラーレートの低下と
密接に関係していることを見いだし、更に検討を推し進
めたところ、特定の表面粗さを有し且つ特定の条件で測
定されたAlFeSil角材の摩耗量が特定の範囲内に
あるような表面硬度を有する磁気記録媒体により上記目
的が達成されることを知見した。
【0006】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、強磁性金属粉末が結合剤に分散されてなる磁性層を
非磁性支持体上に設けてなる磁気記録媒体において、上
記磁気記録媒体の長手方向が、AlFeSil角材の長
手方向と直交するように、上記磁性層の表面を該AlF
eSil角材の一稜辺にラップ角12°で接触させた状
態で、該磁気記録媒体を40〜45g/cmの張力下に
おいて200mm/secで500m走行させたときの
該AlFeSil角材の摩耗幅が、15〜35μmであ
るような表面硬度を有し、且つ上記磁性層の表面粗さR
aが2〜6nmであることを特徴とする磁気記録媒体を
提供することにより上記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体は、(a)
特定条件下で測定されたAlFeSil角材に対する摩
耗幅が15〜35μmであるような表面硬度を有し、
(b)該磁気記録媒体における磁性層の表面粗さRaが
2〜6nmであることが最も特徴とするところである。
そして、これら(a)及び(b)を組み合わせることに
よって、後述する実施例からも明らかなように、高出力
を維持しつつエラーレートの初期値を低くすることがで
き、またエラーレートの上昇率も小さい磁気記録媒体が
得られるという効果が奏される。斯かる効果は、上記
(a)及び(b)を組み合わせることによってはじめて
奏されるものであり、これらのうちの何れか一方が欠け
ても斯かる効果は奏され得ない。
【0008】上記(a)は、磁気記録媒体の長手方向
が、AlFeSil角材の長手方向と直交するように、
磁性層の表面を該AlFeSil角材の長手方向一稜辺
にラップ角θ=12°で接触させた状態で、該磁気記録
媒体を40〜45g/cmの張力下において200mm
/secで500m走行させたときの該AlFeSil
角材の摩耗幅が15〜35μmであるような表面硬度を
規定したものであり、該摩耗幅の値が大きいほど磁気記
録媒体の表面硬度、即ち研磨性が大きいことを意味す
る。そして、該摩耗幅が15μmに満たないと、研磨効
果が不十分であり、磁気記録媒体の記録・再生中に磁気
ヘッドにゴミやチリが蓄積する、いわゆるヘッド詰まり
が生じ、エラーレートが高くなってしまう。一方、該摩
耗幅が35μmを超えると、研磨効果が大き過ぎて、磁
気記録媒体の記録・再生中に磁気ヘッドが著しく摩耗し
たり、或いは多量の研磨材の添加に起因して磁性粉末の
充填性が下がり磁気記録媒体の再生出力が低下してしま
う等の不都合が起こる。上記摩耗幅の値の好ましい範囲
は18〜33μmであり、更に好ましくは20〜32μ
mである。
【0009】上記摩耗幅の測定方法について図1(a)
〜(c)を参照して詳述する。ここで、図1(a)は、
AlFeSil角材の摩耗幅の測定方法を示す概略斜視
図であり、図1(b)は測定開始前の図1(a)におけ
るI−I線断面図であり、図1(c)は測定時の図1
(a)におけるI−I線断面図である。
【0010】図1(a)〜(c)に示すように、一辺が
0.5cmである正方形の断面を有する、長さ2.5c
mのAlFeSil角材10を用いる。AlFeSil
とは、アルミニウム5.4重量%、鉄85.0重量%お
よび珪素9.6重量%からなる合金の一般名称である。
幅3.8mmである磁気記録媒体1の長手方向が、該A
lFeSil角材10の長手方向と直交するように、磁
性層の表面を該AlFeSil角材10の一稜辺にラッ
プ角θ=12°で接触させる。次いで、23℃・50%
RHの環境下で該磁気記録媒体1を40〜45g/cm
の張力下において200mm/secで500m走行さ
せる。走行によって、上記稜辺は摩耗する。この稜辺の
摩耗幅W〔図1(c)参照〕を、光学顕微鏡を用いて該
稜辺の上方から観察・測定する。尚、ラップ角とは、図
1(b)及び(c)に示すように、AlFeSil角材
10との接触部に関して上流側の磁気記録媒体の入射角
と、下流側の磁気記録媒体の出射角とが同角度であるよ
うに保たれた状態のもとで、AlFeSil角材10と
の接触部に関して上流側の磁気記録媒体の走行方向の延
長線Lと、下流側の磁気記録媒体とのなす角をいう。ま
た、本明細書において、「磁気記録媒体の長手方向」と
は、磁気記録媒体がテープ状の場合には、テープの長手
方向を意味し、磁気記録媒体がディスク状の場合には、
ディスクに打ち抜く前の磁気記録媒体原反の長手方向を
意味する。
【0011】上記(b)は、磁気記録媒体における磁性
層の表面粗さRaが2〜6nmであることを規定するも
のである。上記(a)で規定された摩耗幅は、磁気記録
媒体の研磨性の尺度となるものであるから、この摩耗幅
の値が大きいことは、研磨性が大きいこと、即ち、磁気
記録媒体の表面が粗く且つ硬いことを意味している。磁
気記録媒体の表面が粗いと、磁気ヘッドと媒体との間の
距離が大きくなり、スペーシング・ロスによって再生出
力が低下してしまう。また、上述した通り、研磨性が大
きいことは、多量の研磨材の添加に起因して磁性粉末の
充填性が下がり、これによっても磁気記録媒体の再生出
力が低下してしまう。そこで、本発明においては、上記
表面粗さRaの上限値を6nmとしたものである。一
方、磁気記録媒体の再生出力向上の点からは、上記表面
粗さRaは小さいほど好ましいが、余りに小さ過ぎると
記録・再生時に磁気ヘッドとの貼り付きの現象が起こ
り、また十分な研磨性も得られないので、ヘッド詰まり
が生じエラーレートが高くなってしまう。そこで、本発
明においては、上記表面粗さRaの下限値を2nmとし
たものである。上記表面粗さRaの値の好ましい範囲
は、2〜5nmであり、更に好ましくは2〜4nmであ
る。
【0012】上記表面粗さRaは、光干渉式表面粗さ計
(Zygo社製、Laser Intermetric
Maxim 30 Model 5700)を用い、
次の条件にて測定した。尚、表面粗さRaは下記式
(I)で定義される。 ・レンズ:Fizeauレンズ 40倍 ・フィルター周波数:4.0/mm ・フィルター波長:0.25mm ・Remove:Cylinder ・Trim:0
【0013】
【数1】
【0014】上述した通り、本発明の磁気記録媒体は、
表面粗さRaを低く抑えつつ〔上記(b)〕、研磨性を
向上させる〔上記(a)〕ことによって、高出力を維持
しつつエラーレートの初期値を低くすることができ、ま
たエラーレートの上昇率も小さくなるという効果を奏す
るものである。そして、本発明の磁気記録媒体が上記
(a)及び(b)を満たすような磁気記録媒体を得るた
めの具体的手段としては例えば以下の手段等が挙げられ
るが、これらに制限されるものではない。 (i)磁性層中に分子量の異なる2種以上のポリウレタ
ン樹脂系結合剤を含有させる。詳細には、数平均分子量
10,000〜20,000のポリウレタン樹脂1種以
上および数平均分子量21,000〜50,000のポ
リウレタン樹脂1種以上を含有させる。また、これらの
ポリウレタン樹脂に何れも水酸基を含有させ、その水酸
基含有量を異なるようにすることが好ましく、特にその
うち1種のポリウレタン樹脂は水酸基含有量を10-4
量/g以上とし、他の1種のポリウレタン樹脂は水酸基
含有量10-4当量/g未満とすることが好まし。更に、
数平均分子量10,000〜20,000のポリウレタ
ン樹脂の水酸基含有量を10-4当量/g以上とし且つ数
平均分子量21,000〜50,000のポリウレタン
樹脂の水酸基含有量を10-4当量/g未満とすることが
好ましい。 (ii)磁性層に隣接して中間層を設け、この中間層中に
分子量の異なる2種以上のポリウレタン樹脂を含有させ
る。詳細には、数平均分子量10,000〜20,00
0のポリウレタン樹脂1種以上および数平均分子量2
1,000〜50,000のポリウレタン樹脂1種以上
を含有させる。また、この場合、中間層には、モース硬
度6以上の研磨材粒子を含有させることが好ましい。
【0015】次に、上記(a)及び(b)を満たすよう
な好ましい実施形態の磁気記録媒体について図面を参照
して説明する。ここで、図2は、本発明の磁気記録媒体
の一実施形態の構造を示す模式図である。
【0016】図2に示す磁気記録媒体1においては、支
持体2の一方の面上に、該支持体2に隣接して中間層3
が設けられおり、該中間層3に隣接して最上層としての
磁性層4が設けられている。また、支持体2の他方の面
上にバックコート層5が設けられている。
【0017】上記磁性層4は、強磁性金属粉末が結合剤
に分散されて形成されている。上記強磁性金属粉末とし
ては、針状、紡錘状などの形状である、合金あるいは金
属単体系の粉末、例えば、金属分が50重量%以上であ
り、該金属分の60重量%以上が少なくとも一種類の強
磁性金属あるいは合金(例、Fe、Co、Ni、Fe−
Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe、C
o−Ni−P、Co−Ni−Fe−B、Fe−Ni−Z
n、Fe−Co−Cr)である粉末が挙げられる。この
場合、該金属分の20重量%以下の範囲内で他の成分
(例、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、C
u、Zn、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、
Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、B
i、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、T
b、Dy、Ho、Yb、Lu、B、P)を含んでいても
よい。更に窒化鉄、あるいは合金系に水酸化物または酸
化物を含むもの等、更に、これら系の混合系の粉末でも
よい。上記他の成分は合金状態として含有されていても
よく、また核となる金属成分の表面付近に酸化物ないし
水酸化物の状態で局在化してもよい。
【0018】上記強磁性金属粉末は、その平均長軸長が
0.03〜0.25μm、特に0.05〜0.2μmで
あることが好ましい。また、好ましい針状比は3〜2
0、好ましいX線粒径は13〜25nmであり、好まし
いBET比表面積は30〜60m2 /gである。
【0019】特に好ましく用いられる強磁性金属粉末と
しては、その表面にAl並びにY、Nd、La及びSm
から選ばれる少なくとも一種の原子を含む、Feを主体
とする金属粉末が挙げられる。とりわけ、該金属粉末に
おけるAlのFeに対する重量比が0.3〜15重量%
(特に1〜10重量%)であり且つY、Nd、La及び
Smから選ばれる少なくとも一種の原子のFeに対する
重量比が0.3〜15重量%(特に1〜10重量%)で
あることが好ましい。斯かる強磁性金属粉末を用いるこ
とで、結合剤との親和性が向上し、良好な分散性が得ら
れ、また、表面が硬質の酸化物で被覆されているために
磁気ヘッドの目詰まりが減少するので好ましい。斯かる
強磁性金属粉末の平均長軸長は0.03〜0.12μm
であることが、高周波の電磁変換特性が良好なることか
ら好ましい。
【0020】上記強磁性金属粉末の保磁力(Hc)は、
120〜207kA/mであることが好ましく、特に1
28〜200kA/mであることが好ましい。この範囲
内であれば全波長領域でのRF出力が過不足なく得ら
れ、しかもオーバーライト特性も良好となる。また、そ
の飽和磁化(Bs)は、1.26×10-5〜2.26×
10-5Wb/gであることが好ましく、特に1.38×
10-5〜2.01×10 -5Wb/gであることが好まし
い。この範囲内であれば十分な再生出力を得ることがで
きる。
【0021】上記強磁性金属粉末の分散性などを向上さ
せるために、該強磁性金属粉末に表面処理を施してもよ
い。上記表面処理は「Characterization of Powder Sur
faces 」(T.J.Wiseman ら著,Academic Press,1976)
に記載されている方法などと同様の方法により行うこと
ができ、例えば上記強磁性金属粉末の表面を無機質酸化
物で被覆する方法が挙げられている。この際用いること
ができる無機質酸化物としては、Al2 3 、Si
2 、TiO2 、ZrO2 、SnO2 、Sb2 3、Z
nOなどが挙げられ、使用に際してはこれらを単独で用
いても二種以上を混合して用いてもよい。なお、上記表
面処理は上記の方法以外にシランカップリング処理、チ
タンカップリング処理及びアルミニウムカップリング処
理などの有機処理によっても行うことができる。
【0022】上記結合剤としては、磁気記録媒体に用い
られる公知のものなら、制限なく用いることが出来る。
例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および反応型樹脂な
らびにこれらの混合物等が挙げられる。具体的には、塩
化ビニルの共重合体及びその変成物、アクリル酸、メタ
クリル酸及びそのエステルの共重合物、アクリロニトリ
ルの共重合体(ゴム系の樹脂)、ポリエステル樹脂、ポ
リウレタン樹脂、エポキシ樹脂、繊維素系樹脂、ポリア
ミド樹脂等を用いることができる。上記結合剤の数平均
分子量は2,000〜200,000であることが好ま
しい。また、分散性を向上させるため、上記結合剤に、
水酸基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基ま
たはその塩、リン酸基またはその塩、ニトロ基または硝
酸エステル基、アセチル基、硫酸エステル基またはその
塩、エポキシ基、ニトリル基、カルボニル基、アミノ
基、アルキルアミノ基、アルキルアンモニウム塩基、ス
ルホベタイン、カルボベタイン等のベタイン構造等の分
極性の官能基(所謂、極性基)を含有させることが好ま
しい。該結合剤は、上記強磁性金属粉末100重量部に
対して10〜16重量部、特に12〜15重量部配合さ
れることが好ましい。
【0023】特に、上記結合剤として、上述した通り、
分子量の異なる二種のポリウレタン樹脂を含むものを用
いることが、上記表面硬度および上記表面粗さRaを容
易に上述した範囲内とし得る点から好ましい。
【0024】更に詳述すると、分子量の異なる二種のポ
リウレタン樹脂としては、上述した通り、数平均分子量
が10,000〜20,,000のポリウレタン樹脂A
と、数平均分子量が21,000〜50,000のポリ
ウレタン樹脂Bとを用いることが好ましい。ポリウレタ
ン樹脂Aの数平均分子量が10,000未満であると、
塗膜が軟らかくなり研磨性を挙げることができない場合
があり、20,000を超えると、上記強磁性金属粉末
の充填性が低下し、再生出力が低下する場合がある。一
方、ポリウレタン樹脂Bの数平均分子量が21,000
未満であると、耐久性が低下する場合があり、50,0
00を超えると、上記強磁性金属粉末の分散性が低下
し、再生出力が低下する場合がある。ポリウレタン樹脂
Aの更に好ましい分子量の範囲は10,000〜16,
000であり、一層好ましくは10,000〜13,0
00である。一方、ポリウレタン樹脂Bの更に好ましい
分子量の範囲は25,000〜40,000であり、一
層好ましくは25,000〜35,000である。
【0025】また、上述した通り、分子量の異なる二種
のポリウレタン樹脂が、何れも極性基として水酸基を含
有し、その水酸基含有量(当量/g)が異なることも、
上記表面硬度および上記表面粗さRaを容易に上述した
範囲内とし得る点から好ましい。特に、分子量の大きな
方のポリウレタン樹脂の水酸基含有量よりも、分子量の
小さな方のポリウレタン樹脂の水酸基含有量の方が大き
い方が、上記表面硬度および上記表面粗さRaを一層容
易に上述した範囲内とすることができるので好ましい。
特に好ましくは、上記ポリウレタン樹脂Aの水酸基含有
量が1×10-4〜1×10-3当量/g、特に2×10-4
〜6×10-4当量/gであり、上記ポリウレタン樹脂B
の水酸基含有量が1×10-5〜1×10-4当量/g、特
に4×10-5〜8×10-5当量/gであることが好まし
い。尚、これらのポリウレタン樹脂は、水酸基以外の極
性基、例えばスルホン酸基等を含有していてもよい。
【0026】ポリウレタン樹脂Aとポリウレタン樹脂B
との配合割合は、該ポリウレタン樹脂A100重量部に
対して、該ポリウレタン樹脂Bを50〜200重量部と
することが好ましく、70〜150重量部とすることが
更に好ましい。両者の配合割合が斯かる範囲内であれ
ば、上記表面硬度および上記表面粗さRaを容易に上述
した範囲内とすることができる。尚、本発明において
は、上記結合剤として、ポリウレタン樹脂Aおよびポリ
ウレタン樹脂Bのみからなるものを用いてもよく、或い
はこれらの樹脂および他の樹脂、例えば塩化ビニル系共
重合体等を含むものを用いてもよい。他の樹脂と併用さ
れる場合には、これらのポリウレタン樹脂の全量は、結
合剤の全量100重量部に対して10〜50重量部、特
に20〜40重量部であることが好ましい。
【0027】磁性層4は、上述の成分に加えて研磨材を
更に含有していることが、上記摩耗幅および上記表面粗
さRaを容易に上述した範囲内とし得る点から、並びに
膜強度の向上、ひいては磁気ヘッドとの接触に対する耐
久性の向上の点から好ましい。該研磨材としては、モー
ス硬度6以上の物質の粒子、具体的には、α−Fe2
3 、Al2 3 、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、Sn
2 、Sb2 3 、ZnO等が好適に使用できる。該研
磨材の一次粒子の平均粒径は、上記表面硬度および上記
表面粗さRaを容易に上述した範囲内とし得る点から、
50〜1000nmが好ましく、特に100〜750n
mが好ましい。該研磨材は、上記強磁性金属粉末100
重量部に対して、3〜20重量部、特に5〜10重量部
配合されることが、上記表面硬度および上記表面粗さR
aを容易に上述した範囲内とし得る点から、並びに該強
磁性金属粉末の充填性の点から好ましい。
【0028】また、磁性層4は、カーボン粉末を含有し
ていることも好ましい。該カーボン粉末は、磁気記録媒
体の帯電防止剤や固体潤滑剤として用いられるものであ
る。該カーボン粉末としては、平均粒径(一次粒子)が
10〜350nm(特に15〜60nm)のカーボンブ
ラックを用いることが好ましい。また、該カーボン粉末
として、平均粒径の異なる二種以上のカーボンブラック
を組み合わせて用いることもできる。上記カーボン粉末
は、上記強磁性金属粉末100重量部に対して、0.1
〜2重量部、特に0.1〜0.5重量部配合されること
が好ましい。
【0029】更に、磁性層4は、潤滑剤を含有している
ことが、磁気記録媒体の走行性の向上の点から好まし
い。該潤滑剤としては、一般に脂肪酸及び脂肪酸エステ
ルが用いられる。該脂肪酸としては、例えば、カプロン
酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、
リノレン酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン酸、マ
ロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12
−ドデカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸等が挙
げられる。一方、該脂肪酸エステルとしては、例えば、
上記脂肪酸のアルキルエステル等が挙げられ、総炭素数
12〜36のものが好ましい。上記潤滑剤は、上記強磁
性金属粉末100重量部に対して、1〜10重量部、特
に2〜5重量部配合されることが好ましい。
【0030】一般に、塗布型の磁気記録媒体の磁性層に
は、膜強度を高める目的で結合剤に対する硬化剤が含有
されているが、本発明の磁気記録媒体においては、磁性
層4に硬化剤が実質的に含まれていないことが好まし
い。この理由は、上記強磁性金属粉末の充填性を高め、
また、カレンダー処理時のロールの汚れ付着を防ぐため
である。
【0031】尚、磁性層4には、上述の成分の他に、磁
気記録媒体に通常用いられている分散剤、防錆剤、防黴
剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することもでき
る。
【0032】磁性層4は、上述の各成分を溶剤に分散さ
せた磁性塗料を中間層3上に塗布することによって形成
される。該溶剤としては、ケトン系の溶剤、エステル系
の溶剤、エーテル系の溶剤、芳香族炭化水素系の溶剤お
よび塩素化炭化水素系の溶剤等が挙げられる。上記磁性
塗料における該溶剤の配合量は、該磁性塗料に含まれる
上記強磁性金属粉末100重量部に対して、好ましくは
150〜300重量部、更に好ましくは180〜250
重量部である。
【0033】上記磁性塗料を調製するには、例えば、上
記強磁性金属粉末および結合剤を溶剤の一部と共にナウ
ターミキサー等に投入し予備混合して混合物を得、この
混合物を連続式加圧ニーダー等により混練し、次いで、
上記溶剤の一部で希釈し、サンドミル等を用いて分散処
理した後、潤滑剤等の添加剤を混合して、濾過し、更に
上記溶剤の残部を混合する方法等を挙げることができ
る。
【0034】上述の成分を含む磁性塗料から形成された
磁性層4の保磁力(Hc)は、広範囲の記録波長領域で
高い出力を得るため、130〜225kA/mであるこ
とが好ましく、更に好ましくは140〜210kA/m
である。同様の理由により、磁性層4の飽和磁束密度
(Bs)は0.25〜0.55Tであることが好まし
く、更に好ましくは0.30〜0.50Tである。磁性
層4の保磁力や飽和磁束密度を上記範囲内とするために
は、例えば上記強磁性金属粉末の種類や配合量を適切に
選択したり、該強磁性金属粉末の分散状態や配向状態を
適切にコントロールすればよい。
【0035】磁性層4の厚さは、厚み損失の抑止、厚み
ムラによる再生出力変動の軽減、均質な塗布の容易さ点
から0.1〜0.5μmであることが好ましく、0.1
〜0.3μmであることが更に好ましい。
【0036】中間層3は磁性を有する層であってもよ
く、非磁性の層であってもよい。中間層3が磁性を有す
る層である場合には、該中間層3は磁性粉末を含有する
磁性の層であり、磁性粉末、非磁性粉末、結合剤及び溶
剤を主成分とする磁性の塗料を用いて形成される。一
方、中間層3が非磁性の層である場合には、上記中間層
3は非磁性粉末、結合剤及び溶剤を主成分とする非磁性
の塗料を用いて形成される(以下、これらの塗料を総称
して「中間層塗料」という)。
【0037】上記磁性粉末としては、強磁性粉末が好ま
しく用いられ、該強磁性粉末としては軟磁性粉末及び硬
磁性粉末の何れもが好ましく用いられる。
【0038】上記硬磁性粉末としては、例えば強磁性六
方晶系フェライト粉末、γ−Fe23 、Co被着γ−
Fe2 3 、Co被着FeOx (4/3≦x<1.5)
などの強磁性酸化鉄系粉末および上述した磁性層4に含
有される強磁性金属粉末などが挙げられる。これらのう
ち、強磁性六方晶系フェライト粉末を用いることが特に
好ましい。
【0039】上記強磁性六方晶系フェライト粉末として
は、微小平板状のバリウムフェライト及びストロンチウ
ムフェライト並びにそれらのFe原子の一部がTi,C
o,Ni,Zn,Vなどの原子で置換された磁性粉末な
どが挙げられる。また、該強磁性六方晶系フェライト粉
末は、好ましい板径が0.02〜0.09μmであり、
好ましい板状比が2〜7であり、好ましいBET比表面
積が30〜60m2 /gである。
【0040】一方、上記強磁性酸化鉄系粉末および強磁
性金属粉末では、その形状は針状または紡錘状であるこ
とが好ましい。そしてその長軸長や針状比、X線粒径、
BET比表面積等は、磁性層4に用いられる上記強磁性
金属粉末のそれと同様である。
【0041】上記硬磁性粉末の保磁力は1.2×105
〜2.2×105 A/mであることが好ましく、特に
1.3×105 〜2.0×105 A/mが好ましい。上
記範囲内であれば全波長領域でのRF出力が過不足なく
えられ、しかもオーバーライト特性も良好となる。
【0042】また上記強磁性六方晶系フェライト粉末の
飽和磁化は3.5×10-6〜9.0×10-6Wb/gで
あることが好ましく、特に6.2×10-6〜8.8×1
-6Wb/gであることが好ましい。また、上記強磁性
酸化鉄系粉末及び強磁性金属粉末の飽和磁化は、磁性層
4に用いられる強磁性金属粉末のそれと同様である。上
記範囲内であれば十分な再生出力が得られる。
【0043】一方、上記軟磁性粉末としては、特に制限
されないが、通常磁気ヘッドや電子回路などのいわゆる
弱電機器に用いられているものが好ましく、例えば近角
聡信著「強磁性体の物理(下)磁気特性と応用」(裳華
房、1984年)368〜376頁に記載されているソ
フト磁性材料(軟磁性材料)を使用でき、具体的には酸
化物軟磁性粉末や金属軟磁性粉末を使用することができ
る。
【0044】上記酸化物軟磁性粉末としては、スピネル
型フェライト粉末が好ましく用いられ、該スピネル型フ
ェライト粉末としては、MnFe2 4 、Fe3 4
CoFe2 4 、NiFe2 4 、MgFe2 4 、L
0.5 Fe2.5 4 や、Mn−Zn系フェライト、Ni
−Zn系フェライト、Ni−Cu系フェライト、Cu−
Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Li−Z
n系フェライト、Zn系フェライト、Mn系フェライト
等を挙げることができる。これら酸化物軟磁性粉末は単
独で用いても二種以上併用してもよい。また、上記金属
軟磁性粉末としては、Fe−Si系合金、Fe−Al系
合金(Alperm, Alfenol, Alfer)、パーマロイ(Ni−
Fe系二元合金およびこれにMo、Cu、Crなどを添
加した多元系合金)、センダスト(Fe−9.6wt%
Si−5.4wt%Al)、Fe−Co合金等を挙げる
ことができる。これら金属軟磁性粉末は単独で用いても
二種以上を併用してもよい。
【0045】上記酸化物軟磁性粉末の保磁力は通常8〜
12000A/mであり、飽和磁化は通常3.5×10
-5〜1.2×10-4Wb/gである。また金属軟磁性粉
末の保持力は通常1.6〜8000A/mであり、飽和
磁化は通常6×10-5〜6×10-4Wb/gである。
【0046】上記軟磁性粉末の形状は特に制限されない
が、球状、板状、針状などが挙げられ、その大きさは5
〜800nmであることが好ましい。
【0047】上記磁性粉末には、磁性層4に含まれる強
磁性金属粉末と同様に、必要に応じて希土類元素や遷移
金属元素を含有させることができ、また、該強磁性金属
粉末に施される表面処理と同様の表面処理を施してもよ
い。
【0048】次に、上記非磁性粉末について説明する
と、該非磁性粉末としては、例えば、非磁性の酸化鉄
(ベンガラ)、酸化チタン、硫酸バリウム、硫化亜鉛、
炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、
酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二酸化マグネシウム、二
硫化タングステン、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、二
酸化錫、炭化珪素、酸化セリウム、コランダム、人造ダ
イヤモンド、ザクロ石、ケイ石、窒化珪素、炭化モリブ
デン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、ケ
イソウ土、ドロマイト、樹脂性の粉末などが挙げられ
る。これらの中でも非磁性の酸化鉄(ベンガラ)、酸化
チタン、窒化ホウ素などが好ましく用いられる。これら
非磁性粉末は単独で又は二種以上を混合して用いてもよ
い。上記非磁性粉末の形状は、球状、板状、針状、無定
形の何れでもよい。その大きさは球状、板状、無定形の
ものにおいては5〜200nmであることが好ましく、
針状のものにおいては長軸長が20〜300nmで針状
比が3〜20であることが好ましい。上記非磁性粉末
は、上記磁性粉末と併用される場合(即ち、中間層3が
磁性の層の場合)には、該磁性粉末100重量部に対し
て、好ましくは10〜200重量部、更に好ましくは1
00〜200重量部用いられる。一方、上記磁性粉末が
用いられない場合(即ち、中間層3が非磁性の層の場
合)には、該非磁性粉末100重量部に基づいて他の成
分の配合量が決定される。上述した各種非磁性粉末に
は、必要に応じて、上記磁性粉末に施される表面処理と
同様の処理を施してもよい。
【0049】中間層3は、磁性であると非磁性であると
を問わず、上述した成分に加えて更に結合剤、研磨材、
カーボン粉末および潤滑剤等を含んでいる。これらの成
分としては、特に説明しないが、磁性層4に用いられる
成分と同様のものが用いられ、また、これらの成分の配
合量は磁性層4におけるそれと同様である。特に、上記
結合剤として、上述した通り、磁性層4に用いられる好
ましい結合剤と同様のもの、即ち、上記ポリウレタン樹
脂Aと上記ポリウレタン系樹脂Bとを含むものを用いる
ことが、上記表面硬度および上記表面粗さRaを一層容
易に上述した範囲内とし得る点から好ましい。更に、上
述した通り、研磨材としてモース硬度6以上の研磨材粒
子を用いることが、上記表面硬度および上記表面粗さR
aを一層容易に上述した範囲内とし得る点から好まし
い。モース硬度6以上の研磨材粒子としては、磁性層4
に用いられるものと同様のものを用いることができる。
【0050】また、中間層3は、磁性層4に実質的に含
まれていない硬化剤が含まれていることが、膜強度の向
上の点から好ましい。該硬化剤としては、一般に、日本
ポリウレタン工業(株)製のコロネートL(商品名)に
代表されるイソシアネート系硬化剤やアミン系硬化剤が
用いられる。該硬化剤は、上記磁性粉末および非磁性粉
末の合計量100重量部(中間層3が磁性の層である場
合)または該非磁性粉末100重量部(中間層3が非磁
性の層である場合)に対して、好ましくは1〜10重量
部、更に好ましくは3〜6重量部配合される。
【0051】中間層3は、上述の成分および溶剤を含む
中間層塗料を非磁性支持体2上に塗布して形成される。
該溶剤としては、磁性層4の形成に用いられる磁性塗料
に含有される溶剤と同様のものが用いられる。該溶剤の
使用量は、磁性粉末および非磁性粉末の合計量100重
量部(中間層3が磁性の層である場合)または非磁性粉
末100重量部(中間層3が非磁性の層である場合)に
対して、100〜200重量部とすることが好ましく、
特に120〜160重量部とすることが好ましい。
【0052】上記中間層塗料には、必要に応じて磁性層
4の形成に用いられる磁性塗料に添加される添加剤と同
様のものを添加することができる。
【0053】中間層3の厚さは、磁性層4との界面を均
一にするため及び媒体の剛性を適当な範囲にして適当な
ヘッド当たりを得るために、0.5〜3μmであること
が好ましく、特に1〜2μmであることが好ましい。
【0054】中間層3が磁性を有する層である場合、そ
の保磁力(Hc)は、磁気記録のハードシステムの記録
波長等によって適宜選定すればよいが、通常は136〜
236kA/mであることが好ましく、更に好ましくは
146〜216kA/mである。同様の理由により、そ
の飽和磁束密度(Bs)は、通常は0.01〜0.55
Tであることが好ましく、更に好ましくは0.01〜
0.50Tである。
【0055】尚、中間層3及びこれを構成する各成分な
らびに中間層3を形成するための中間層塗料等に関して
特に説明しなかった点については、上述した磁性層4に
関して詳述した説明が適宜適用される。
【0056】次にバックコート層5について説明する。
バックコート層5は主として、結合剤及びカーボンブラ
ックによって構成されている。該結合剤及びカーボンブ
ラックとしては、磁性層4や中間層3で使用されるもの
と同様のものを使用することができる。カーボンブラッ
クの配合量は、バックコート層5に含有される全結合剤
量100重量部に対して5〜100重量部、特に10〜
70重量部であることが好ましい。また、バックコート
層の厚さは、0.05〜1.0μm、特に0.1〜0.
7μmであることが好ましい。
【0057】非磁性支持体2を構成する材料としては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレ
ンジメチレンテレフタレート及びポリエチレンビスフェ
ノキシカルボキシレート等のポリエステル類;ポリエチ
レン及びポリプロピレン等のポリオレフィン類;セルロ
ースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプ
ロピオネート等のセルロース誘導体;ポリ塩化ビニル及
びポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂;ポリアミド;
ポリイミド;ポリカーボネート;ポリスルフォン;ポリ
エーテル・エーテルケトン並びにポリウレタン等のよう
な高分子樹脂等が挙げられる。これらは単独で又は二種
以上を組み合わせて用いることができる。これらの材料
から構成される上記非磁性支持体には、必要に応じて一
軸または二軸の延伸処理や、コロナ放電処理等が施され
ていてもよい。また、これらのプラスチック材料の表面
に薄い接着層(易接着層)を設けてもよい。
【0058】非磁性支持体2の厚さには特に制限はな
く、磁気記録媒体の用途・形態等に応じて適宜選択で
き、例えばテープやディスクの形態で用いる場合には2
〜1000μmが好ましく、2〜300μmが更に好ま
しい。
【0059】次に図2に示す磁気記録媒体1を製造する
好ましい方法の概略を述べる。まず、上記支持体2上に
磁性層4を形成する磁性塗料と中間層3を形成する中間
層塗料とを、各層がそれぞれ所定の厚さとなるようにウ
エット・オン・ウエット方式により同時重層塗布を行
い、磁性層および中間層の塗膜を形成する。即ち、磁性
層は、中間層の湿潤時に塗設・形成されていることが好
ましい。次いで、これらの塗膜に対して、磁場配向処理
を行った後に乾燥処理を行い巻き取る。この後、カレン
ダー処理を行い、更にバックコート層5を形成する。あ
るいはバックコート層5を形成した後に磁性層4および
中間層3を形成してもよい。次いで、必要に応じて、例
えば、磁気テープを得る場合には、40〜80℃下で6
〜100時間エージング処理し、所望の幅にスリットす
る。
【0060】尚、上記重層塗布は、特開平5−7388
3号公報の第42欄31行〜第43欄13行に記載され
いる方法等によって行うことができる。
【0061】また、上記磁場配向処理は、各塗料が乾燥
する前に行われ、例えば本発明の磁気記録媒体が磁気テ
ープの場合には、上記磁性塗料の塗布面に対して平行方
向に約40kA/m以上、好ましくは約80〜800k
A/mの磁界を印加する方法や、上記磁性塗料が湿潤状
態の内に約80〜800kA/mのソレノイド等の中を
通過させる方法により行うことができる。
【0062】上記乾燥処理は、例えば加熱された気体の
供給により行うことができ、この際、気体の温度とその
供給量を制御することにより塗膜の乾燥工程を制御する
ことができる。
【0063】また、上記カレンダー処理は、メタルロー
ル及びコットンロールまたは合成樹脂ロール、メタルロ
ール及びメタルロール等の2本のロールの間を通すスー
パーカレンダー法等により行うことができる。このカレ
ンダー処理の条件を適宜調整することによって、磁性層
4の表面粗さRaをコントロールすることができる。
【0064】尚、本発明の磁気記録媒体の製造に際して
は、必要に応じ、磁性層表面の研磨やクリーニング工程
等の仕上げ工程を施すこともできる。これらの工程によ
っても、上記表面粗さRaを容易に上述した範囲内とす
ることができる。また、上記磁性塗料および中間層塗料
の塗布は、通常公知の逐次重層塗布方法により行うこと
もできる。
【0065】以上、本発明の磁気記録媒体をその好まし
い実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形
態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲におい
て種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態は、
上記(a)及び(b)が容易に満たされ得る好ましい一
例に過ぎず、他の手段によって上記(a)及び(b)が
満たされ得るような磁気記録媒体となしてもよい。ま
た、図2に示す実施形態の磁気記録媒体1は、磁性/磁
性または磁性/非磁性の重層構造のものであるが、これ
に代えて磁性層単層の構造であってもよい。また、図2
に示す実施形態の磁気記録媒体1には、更に、支持体2
と中間層3又は上記バックコート層5との間にプライマ
ー層を設けたり、長波長信号を使用するハードシステム
に対応してサーボ信号等を記録するための他の磁性層及
びその他の層を設けてもよい。また、本発明の磁気記録
媒体は、8mmビデオテープやDATテープ、DDSテ
ープ、DLTテープ、DVCテープ等の磁気テープ、或
いはフレキシブルディスクのような磁気ディスク、更に
は磁気カード等として好適であるが、その他の磁気記録
媒体としても適用することもできる。
【0066】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
すると共にその有効性を例証する。しかしながら、本発
明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
尚、以下の例中、「部」は特に断らない限り「重量部」
を意味する。
【0067】〔実施例1〕下記の配合成分(ブチルステ
アレート及び硬化剤を除く)をそれぞれエクストルーダ
で混練し、次いで攪拌機にて分散し、さらにグレンミル
にて微分散した。次に、ブチルステアレートを添加して
濾過した後、硬化剤を最後に添加して、磁性塗料、中間
層塗料およびバックコート塗料をそれぞれ調製した。
【0068】 <磁性塗料の配合> ・鉄を主体とする針状強磁性金属粉末 100部 〔Fe:Co:Al:Y=100:30:3:3(重量比)〕 (長軸長:0.08μm、針状比:5、保磁力:175kA/m、飽和磁化:1 .76×10-5Wb/g、BET比表面積:50m2 /g) ・アルミナ(研磨材、一次粒子の平均粒径:0.2μm) 10部 ・カーボンブラック(一次粒子の平均粒径:0.05μm 0.5部 ・塩化ビニル共重合体(結合剤) 10部 (平均重合度:260、エポキシ基含有量:3wt%、スルホン酸基含有量:9 ×10-5当量/g) ・ポリウレタン樹脂A(結合剤) 2部 (数平均分子量:30,000、水酸基含有量6×10-5当量/g、スルホン酸 基含有量:4×10-5当量/g) ・ポリウレタン樹脂B(結合剤) 2部 (数平均分子量:12,000、水酸基含有量3×10-4当量/g、スルホン酸 基含有量:1×10-4当量/g) ・ミリスチン酸(潤滑剤) 2部 ・ブチルステアレート(潤滑剤) 1部 ・メチルエチルケトン(溶剤) 150部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 50部
【0069】 <中間層塗料の配合> ・α−Fe2 3 (非磁性粉末) 100部 (長軸長:0.1μm、針状比:5、BET比表面積:50m2 /g) ・板状六方晶系バリウムフェライト 50部 (板径:0.05μm、板状比:3、保磁力:159kA/m、飽和磁化:7. 5×10-6Wb/g、BET比表面積:40m2 /g) ・アルミナ(研磨材、一次粒子の平均粒径:0.2μm) 10部 ・カーボンブラック(一次粒子の平均粒径:0.02μm) 5部 ・塩化ビニル共重合体(結合剤) 20部 (平均重合度:260、エポキシ基含有量:3wt%、スルホン酸基含有量:9 ×10-5当量/g) ・ポリウレタン樹脂A(結合剤) 5部 (数平均分子量:30,000、水酸基含有量6×10-5当量/g、スルホン酸 基含有量:4×10-5当量/g) ・ポリウレタン樹脂B(結合剤) 5部 (数平均分子量:12,000、水酸基含有量3×10-4当量/g、スルホン酸 基含有量:1×10-4当量/g) ・コロネートL 6部 ・ミリスチン酸(潤滑剤) 5部 ・ブチルステアレート(潤滑剤) 5部 ・メチルエチルケトン(溶剤) 150部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 50部
【0070】 <バックコート塗料の配合> ・カーボンブラック(一次粒子の平均粒径:0.02μm) 100部 ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 50部 (数平均分子量:30,000、スルホン酸基含有量:4×10-5当量/g) ・ニトロセルロース(結合剤) 50部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 20部 ・トルエン(溶剤) 500部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 700部
【0071】厚さ4.5μmのポリアミドフィルム(支
持体)の一面に、磁性塗料および中間層塗料を、磁性層
および中間層の乾燥厚さがそれぞれ0.2μm及び1.
5μmとなるように、2つの押し出し口を持つコーター
ヘッドを用いて同時重層塗布し、それぞれの塗膜を形成
した。次いで、これらの塗膜が湿潤状態から乾燥状態に
なる間で、400kA/mの磁場強度のソレノイド中を
通過させ磁場配向処理し、更に乾燥処理した。次に、9
5℃、300kg/cmの条件でカレンダー処理を施
し、磁性層および中間層を形成した。引き続き、上記支
持体の反対側の面上にバックコート塗料を乾燥厚さが
0.5μmになるように塗布し、更に乾燥してバックコ
ート層を形成した。最後に、3.8mm幅に裁断し、バ
ーニッシュ及びクリーニング処理を行い、磁性/磁性の
塗布型重層構造の磁気テープを得た。この磁気テープを
DDS用カセットに装填し、評価用のDDS3カセット
を得た。
【0072】〔実施例2〕磁性塗料に配合されるカーボ
ンブラックの一次粒子の平均粒径を0.02μmとする
以外は、実施例1と同様にして磁気テープを得た。
【0073】〔実施例3〕中間層に板状六方晶系バリウ
ムフェライトを配合しない以外は、実施例2と同様にし
て磁性/非磁性の塗布型重層構造の磁気テープを得た。
【0074】〔比較例1〕磁性塗料に配合されるアルミ
ナの一次粒子の平均粒径を0.1μmとする以外は、実
施例1と同様にして磁気テープを得た。
【0075】〔比較例2〕磁性塗料にブチルステアレー
トを配合せず且つ中間層のブチルステアレート配合量を
1部とする以外は、実施例1と同様にして磁気テープを
得た。
【0076】〔比較例3〕磁性塗料の塩化ビニル共重合
体の配合量を12部、ポリウレタン樹脂Aの配合量を3
部、ポリウレタン樹脂Bの配合量を3部とし、中間層に
板状六方晶系バリウムフェライトを配合しない以外は、
実施例1と同様にして、磁性/非磁性の塗布型重層構造
の磁気テープを得た。
【0077】実施例および比較例で得られた磁気テープ
について、上記摩耗幅および表面粗さRaを上述の方法
で測定した。その結果を表1に示す。
【0078】〔性能評価〕実施例および比較例で得られ
た磁気テープの性能を評価するために、下記の方法でエ
ラーレート(初期・最終)を測定し、併せてその上昇率
を測定した。また、下記の方法で再生出力を測定した。
その結果を表1に示す。
【0079】〔エラーレートの測定方法〕市販のDDS
3ドライブを用い、ブロックエラーレートを測定した。
また、エラーレートの上昇率は、(最終のエラーレート
/初期のエラーレート)から算出した。
【0080】〔再生出力の測定方法〕市販のDDS3ド
ライブを用い、周波数0.44MHzの信号を記録した
ときの再生信号の大きさを測定した。表記した値は、実
施例1の再生出力を0dBとしたときの相対値である。
【0081】
【表1】
【0082】表1に示す結果から明らかなように、上記
摩耗幅および表面粗さRaが特定の範囲内にある実施例
の磁気テープ(本発明品)は、比較例の磁気テープに比
して、高再生出力を維持しつつ、エラーレートの初期値
が低く、しかもエラーレートの上昇率も小さいものであ
ることが判る。
【0083】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明によれば、
高出力を維持しつつエラーレートの初期値を低くするこ
とができ、またエラーレートの上昇率も小さい磁気記録
媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、AlFeSil角材の摩耗幅の
測定方法を示す概略斜視図であり、図1(b)は測定開
始前の図1(a)におけるI−I線断面図であり、図1
(c)は測定時の図1(a)におけるI−I線断面図で
ある。
【図2】本発明の磁気記録媒体の一実施形態の構成を示
す概略図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 2 支持体 3 中間層 4 磁性層 5 バックコート層 10 AlFeSil角材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 5/706 G11B 5/706

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強磁性金属粉末が結合剤に分散されてな
    る磁性層を非磁性支持体上に設けてなる磁気記録媒体に
    おいて、 上記磁気記録媒体の長手方向が、AlFeSil角材の
    長手方向と直交するように、上記磁性層の表面を該Al
    FeSil角材の一稜辺にラップ角12°で接触させた
    状態で、該磁気記録媒体を40〜45g/cmの張力下
    において200mm/secで500m走行させたとき
    の該AlFeSil角材の摩耗幅が、15〜35μmで
    あるような表面硬度を有し、且つ上記磁性層の表面粗さ
    Raが2〜6nmであることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 上記結合剤が分子量の異なる二種のポリ
    ウレタン樹脂を含み且つ上記磁性層が研磨材を更に含有
    する請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記強磁性金属粉末は、その平均長軸長
    が0.03〜0.12μmであり、且つその表面にAl
    並びにY、Nd、La及びSmから選ばれる少なくとも
    一種の原子を含むFeを主体とする金属粉末である請求
    項1又は2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記強磁性金属粉末におけるAlのFe
    に対する重量比が0.3〜15重量%であり且つY、N
    d、La及びSmから選ばれる少なくとも一種の原子の
    Feに対する重量比が0.3〜15重量%である請求項
    1〜3の何れかに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記磁性層と上記非磁性支持体との間
    に、非磁性粉末が結合剤に分散されてなる中間層を有す
    る請求項1〜4の何れかに記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記磁性層が硬化剤を含まず且つ上記中
    間層が硬化剤を含む請求項5記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 上記中間層が磁性の層または非磁性の層
    である請求項5又は6記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記ポリウレタン樹脂が、数平均分子量
    が10,000〜20,000のポリウレタン樹脂と、
    数平均分子量が21,000〜50,000のポリウレ
    タン系樹脂とを含む請求項2〜7の何れかに記載の磁気
    記録媒体。
  9. 【請求項9】 上記ポリウレタン樹脂が、何れも極性基
    として水酸基を含有し、その水酸基含有量(当量/g)
    が異なっている請求項2〜8の何れかに記載の磁気記録
    媒体。
  10. 【請求項10】 分子量の大きな方のポリウレタン樹脂
    の水酸基含有量よりも、分子量の小さな方のポリウレタ
    ン樹脂の水酸基含有量の方が大きい請求項2〜9の何れ
    かに記載の磁気記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7144643B2 (en) 2002-04-30 2006-12-05 Tdk Corporation Magnetic recording medium
JP2007273036A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Fujifilm Corp 磁気記録媒体
JP2022021230A (ja) * 2020-07-21 2022-02-02 富士フイルム株式会社 磁気テープカートリッジおよび磁気テープ装置

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